濃厚物質を搬送するための上昇管
本発明は、建築物を建てるために濃厚物質、特に液状コンクリートを搬送するための上昇管(10;110)であって、連結箇所において互いに取り外し可能に結合され、上昇管の長手方向に直列に配置される複数個のチューブ(14)を備えた前記上昇管に関わる。本発明によれば、複数個のチューブ(14)のうちの少なくとも1つのチューブ(14)は固定支承部(40;140)で支持され、少なくとも1つの他のチューブ(14)は建築物に固定して取り付けられる案内要素(26)で軸線方向に変位可能に案内されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の濃厚物質を搬送するための上昇管、および請求項25の上位概念に記載の濃厚物質のための上昇管を固定する装置、並びに請求項35の上位概念に記載の昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の上昇管は、特に高層ビル或いはダムのような高層建築物を建てる場合に使用される。上昇管は鉛直方向または斜め上方に延び、液状コンクリートを高位置の使用場所に搬送するために用いる。搬送される液状コンクリートの使用場所がより高度の位置に変位すると、上昇管の上端に他のチューブを接続させることで、建築物の高さに伴って上昇管の高さを増していく。公知の上昇管は、すでにコンクリート打ちを終えた建物の下部領域に固定される。このためチューブクランプ(いわゆるUボルト)をチューブのまわりに設置し、建築物に固定させる。しかしながら、コンクリートが乾燥すると、建築物の壁と天井が沈下するという問題が生じる。この作用は建築物が高ければ高いほど強くなる。壁と天井の沈下はそこに固定されている上昇管に応力を発生させる。応力は建築物が高ければ高いほど大きい。同様に上昇管の長さが変化する。これはたとえば温度変化或いは接続されているコンクリートポンプにより生じる圧力に起因するものであり、建築物に固定されている上昇管に応力を発生させる。加えて、損傷または磨耗した個々のチューブを交換するには、上昇管の大部分を取り外すことが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上昇管と建築物との相対運動時に上昇管に発生する応力を極力低減させる手段を提供することである。さらに、個々のチューブの交換性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明によれば、請求項1の構成を備えた上昇管、および、請求項25の構成を備えた固定装置により解決される。請求項35の構成を備えた昇降装置により、個々のチューブセグメントを、上昇管全体を取り外すことなく交換できる。
【0005】
本発明の技術思想は、上昇管のチューブを建築物に対し軸線方向に可動に案内させるというものである。案内要素は、それぞれのチューブを受容する可動支承部を形成している。建築物が沈下してそれに固定されている案内要素が沈下しても、案内要素のなかに受容されているチューブに対し案内要素が変位するので、上昇管には影響せず、影響してもわずかである。同様に、温度変化或いは濃厚物質ポンプの圧力変化による上昇管の長さ変化に伴う上昇管の応力発生も少なくなる。
【0006】
チューブが案内要素に対し変位可能であることは、特にコンクリートの乾燥過程のために沈下が著しい建築物の上部領域において重要である。したがって、本発明によれば、最上位のチューブのみが案内要素内で軸線方向に変位可能である。しかしながら、固定支承部で支持されているチューブの上方にある複数個のチューブのそれぞれを、建築物に固定されている案内要素で軸線方向に変位可能に案内するのが有利である。これにより、上昇管の下部チューブでも応力の発生が十分回避される。
【0007】
少なくとも1つの案内要素が付属のチューブのための貫通穴を画成している少なくとも2つの部材であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材を有しているのが有利である。これにより案内要素の簡単な取り付けが可能になる。合目的には、少なくとも1つの案内要素が、貫通穴の領域に、チューブに対し当接する滑動要素を備えているのがよい。滑動要素は、少なくとも、チューブに当接する滑動面において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチックから成っているのが好ましい。このプラスチックはポリアミドが有利である。これにより、好ましくは金属のような硬質材料から成っている案内要素に対しチューブが相対運動する際にチューブが損傷するのが避けられる。さらに滑動要素は防音手段として用いられ、その結果ポンプ工程の際に発生する騒音の建物への伝達が少なくとも困難になる。有利には、少なくとも1つの案内要素が、少なくとも2つの板セグメントから成っている案内板を有し、該案内板の板セグメントが互いに取り外し可能に結合され、且つ貫通穴を画成しているのがよい。複数個の案内要素はフロアー天井に設けた破断部においてフロアー天井に取り付けられていてよく、或いは、建築物の壁に固定されたブラケットに取り付けられていてよい。
【0008】
合目的には、複数個のチューブの1つが周回するように延在する外側隆起部を有しているのがよい。有利には、このチューブが2分割の押圧板によって取り囲まれ、その際両部分がチューブをそれぞれ部分的に取り囲んでいるのがよい。押圧板には、周回するように延在する外側隆起部が着座している。支承部は支持台であるのが好ましく、支持台は、水平方向に配置される、押圧板を載置するためのスリット付きの載置板を有し、この場合載置板のスリットは外側隆起部を備えたチューブの径よりも大きな幅を有している。支持台は建築物に固定され、好ましくは土台または下部フロアーに固定されているのが合目的である。載置板には、押圧板を水平方向に固定するための異形部が取り付けられている。上昇管を構築する場合、最下位のチューブは載置板のスリットに挿入され、押圧板によって取り囲まれる。次に、押圧板を異形部の内部で載置板に載置し、下部チューブの、周回するように延在している外側隆起部を、押圧板の上に載置させる。
【0009】
これとは択一的に、固定支承部が、互いに間隔を持ってフロアー天井に載置される2つのレールと、レールに載置され、外側隆起部を備えたチューブを貫通させるための破断部を備えた固定板とを有していてもよい。この場合、押圧板は固定板に固定される。合目的には、押圧板と固定板とレールとがねじにより互いに取り外し可能に結合されているのがよい。上昇管の重量がレール上にかかっていることにより、上昇管の重量は比較的広い面へ分配される。建築物でのレールの固定を改善するため、レールはその端部が建築物の壁破断部を貫通していてよい。レールはスチールから成っているのが合目的である。
【0010】
合目的には、複数個のチューブのうちの少なくとも1つが、案内要素の上方に間隔を持って位置固定要素を備え、該位置固定要素は、貫通穴を貫通できない程度にチューブ外面から突出しているのが合目的である。位置固定要素は、上昇管が破損した場合に、破損箇所の上方にあるチューブが案内要素を通り抜けて下方へ移動し、場合によっては建築物にかなりの損害を与えるのを阻止する。位置固定要素は摩擦でチューブに載置されているのが好ましい。
【0011】
他の有利な構成によれば、複数個のチューブのうちの1つは閉鎖用のスライダを備えている。汲み上げ過程が終了しても、上昇管はまだ濃厚物質で完全に充填されている。高層建築物で使用する場合には、残っている濃厚物質の量はかなりのものである。スライダを用いてチューブを閉鎖させた後、接続されている濃厚物質ポンプを切り離し、スライダを開くことにより、残っている濃厚物質を準備状態にある容器へ排出させるか、或いは、建築物の土台の中へ制御して排出させることができる。このため、スライダは固定支承部の下方に配置されているのが合目的である。
【0012】
チューブはその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部を用いて連結個所において互いに結合されているのが有利である。チューブ連結部はチューブの端部側に取り付けられているフランジと該フランジを互いに結合されている締め付けリングとによって形成されているのが好ましい。これは、チューブ同士の結合を簡単に解除できることを意味している。また、チューブの外面から突出しているチューブ連結部には、上昇管または個々のチューブを持ち上げるため、わずかに力を作用させてよい。最下位のチューブは供給管を介して濃厚物質ポンプに接続されているのが合目的である。
【0013】
本発明による昇降装置は、個々のチューブの簡単な交換を可能にする。このため、スリーブを、チューブを取り囲むようにチューブに当接させる。次に、スリーブを地面で支持されている昇降機によって持ち上げ、これによって上昇管の外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部に力を作用させて持ち上げる。したがって、その下のチューブ連結部を解除すれば、上昇管の一部を持ち上げることができる。これは特に、チューブが連結箇所において互いに嵌合している場合に有利である。
【0014】
合目的には、スリーブが円形の横断面を有し、その内径がチューブ連結部の外径よりも小さいのがよい。昇降機が少なくとも1つの液圧シリンダを有しているのが好ましい。特に、昇降機が、複数個のチューブのうちの1つのチューブを貫通させるための貫通穴を備えたスリーブのための分割可能な支持板を有し、該支持板の下面に該支持板を地面に対し持ち上げるための液圧シリンダが取り付けられているのが有利である。液圧シリンダは液圧ポンプにより圧力付勢することにより大きな力を発揮することができる。本発明による昇降装置は従来慣用されている上昇管に対し使用することができ、この場合まず、昇降機に固定されている上昇管の固定部分の固定を解除しなければならない。しかし、本発明にしたがって軸線方向に変位可能に案内されているチューブを備えた上昇管に対し本発明による昇降装置を使用することは特に有利である。というのは、建物と上昇管との間の固定を解除させずに上昇管を持ち上げることができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
濃厚物質用の上昇管10(図1)は、建物の複数のフロアーを通じて案内され、コンクリートポンプを用いて液状コンクリートを供給管12から高位置にある使用場所へ搬送するために用いる。上昇管10は長手方向に列設された複数個のチューブ14から形成されている。これらのチューブ14は複数個のフロアー18に設けた天井破断部16を貫通して案内されている。チューブ14はその端部に外面から突出するフランジ20を有し、該フランジ20においてこれらチューブ14は締め付けリング22を用いて互いに結合されている。これらのチューブ14はフランジ20において互いに部分的に嵌合している。
【0016】
チューブ14は天井破断部16の領域でフロアー天井18に固定されている。チューブ14はさらに建物の壁24に固定されていてよい(図3)。フロアー天井18および建物の壁24におけるチューブ14の固定は案内要素26を用いて行なう。案内要素26はそれぞれ案内板28を有している。案内板28は互いに取り外し可能に結合されている2つの板セグメント30から成っている。これらの板セグメント30は、継ぎ合わせた状態で、チューブ14を貫通させる貫通穴32を露出させる。板セグメント30のそれぞれは1本のチューブ14を半分だけ取り囲んでおり、その結果1本のチューブ14は案内板28の貫通穴32で受容されている。
【0017】
案内板28は、該案内板をフロアー天井18に固定させる固定手段38を有している。案内要素26を建物の壁24に取り付けると、案内板28は、建物の壁24に固定されているブラケット39に取り付けられる。ブラケット39は固定手段38のための受容部を有し、該受容部は案内板28を建物の壁24に対し可変間隔で装着させることを可能にする。案内板28は貫通穴32内へ突出している滑動要素34を備えている。これらの滑動要素34はポリエチレンから製造され、よって摩擦係数が小さく、且つ耐摩耗性が高い。滑動板34はそれぞれ滑動面36によってチューブ14に当接しており、その結果チューブ14は案内要素26により水平面内ではほとんど不動に固定されているが、軸線方向には移動可能に案内されている。したがって、案内要素26は上昇管10のための可動支承部を形成している。
【0018】
最下位のチューブ14は、建物の下部天井の1つに位置固定して設けられている固定支承部としての支持台40に装着されている(図4)。支持台40は載置板42を有し、載置板42はスタンド44に装着されている。載置板42はスリット46を有し、該スリットの幅はチューブ14の外径よりも大きい。最下位のチューブ14は周回するように延在する隆起部48を有し、隆起部48は2つの半部分から成っている押圧板50の上に載置されている。押圧板50は載置板42の上に載置されており、載置板42の上面に設けた受容異形部52を用いて水平方向にずれないよう位置固定されている。最下位のチューブ14は図示していないコンクリートポンプに通じている供給管12に接続されている。
【0019】
個々のチューブ14を交換するため、昇降装置60が設けられている(図5)。昇降装置60は分割可能なスリーブ62を有し、スリーブ62はチューブ14の1つのまわりに設置される。スリーブ62は昇降機64の上に載置されている。昇降機64はチューブ14のための貫通穴68を備えた支持板66を有している。支持板66の下面には4つの液圧シリンダ70が装着されている。液圧シリンダ70は液圧ポンプ72により圧力で付勢することができる。破損したチューブ14aを交換するため(図6aないし図6cを参照)、まず上部フランジの締め付けリング22を緩める。その上にあるチューブ14bにスリーブ62を取り付け、該スリーブ62を昇降機64により上方へ持ち上げて、その上にあるチューブカップリングまたは締め付けリング22に当接させる。スリーブ62をさらに持ち上げて、上位のチューブ14bを破損したチューブ14aから離間させる。その後は損したチューブ14aを取り外し、交換チューブと交換する。さらに、破損したチューブ14aを受容している案内要素26を離間させることができる。
【0020】
第2実施形態(図7)による上昇管110は、第1実施形態の上昇管10に対し、主に固定支承部の構成の点で異なっている。第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付した。支持台40の代わりに固定支承部140(図8)が設けられている。固定支承部140は互いに平行に間隔を持って配置されている2つのスチールレール142を有している。これらのスチールレール142はフロアー天井18上に載置されている。スチールレール142の両端部は壁破断部25を貫通し、建物に固定されている。スチールレール142上には固定板144がねじ止めされている。固定板144はチューブ14を貫通させるための破断部を有し、該破談部はスチールレール142の中間空間の上方に配置されている。外側隆起部48を備えているチューブ14は、第1実施形態の場合と同様に、固定板144にねじ止めされている2分割の押圧板50によって取り囲まれている。外側隆起部48を備え、上昇管110を固定支承部140で支持させているチューブ14は、第1実施形態とは異なり、通常の搬送チューブではない。このチューブ14は、他のチューブよりも短く且つ固定支承部140で支持するためだけに用いる中間部材である。第1実施形態とは異なり、固定支承部140は建物の土台に配置されるのではなく、下の複数のフロアーの1つのフロアーのフロアー天井18上に配置される。
【0021】
複数個のチューブ14の1つは、固定支承部140の下方に、該チューブを閉鎖させるためのスライダ150を備えている(図9)。液状コンクリート(汲み上げ工程の終了後にまだ上昇管110内にある)は、スライダ150を用いて排出させることができる。このため、まずスライダ150を閉じて、該スライダ150の上方にある液状コンクリートの柱を下方へ逃げないようにする。次に、コンクリートポンプを供給管12から切り離す。その際、上昇管110内でスライダ150の下方にある液状コンクリートが排出される。最後にスライダ150を開け、残っている液状コンクリートを供給管12により準備状態の容器に流入させるか、或いは、土台をコンクリート打ちするために建物内へ供給する。
【0022】
上昇管110を位置固定するため、チューブ14には、案内要素26の上方に間隔を持って位置固定要素160が取り付けられている(図10)。位置固定要素160はねじによって一緒に保持されている2つの湾曲部材162から成っている。湾曲部材162は摩擦でチューブ14の外面に取り付けられている。湾曲部材162は、該湾曲部材が複数個の貫通穴32の1つを貫通できない程度の量でチューブ14の外面から突出している。上昇管110が破損すると、位置固定要素160が案内板28で係止されることにより、該位置固定要素160は、上昇管110の、破損部位の上方にある部分の通り抜けを阻止する。
【0023】
以上を総括すると、以下のようになる。本発明は、建築物を建てるために濃厚物質、特に液状コンクリートを搬送するための上昇管10;110であって、連結箇所において互いに取り外し可能に結合され、上昇管の長手方向に直列に配置される複数個のチューブ14を備えた前記上昇管に関わる。本発明によれば、複数個のチューブ14のうちの少なくとも1つのチューブ14は固定支承部40;140で支持され、少なくとも1つの他のチューブ14は建築物に固定して取り付けられる案内要素26で軸線方向に変位可能に案内されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ふくすうのフロアーを貫通するように延在している第1実施形態の濃厚物質用上昇管の概略図である。
【図2a】天井破断部におけるチューブの固定態様を示す分解斜視図である。
【図2b】天井破断部におけるチューブの固定態様を示す組み立て図である。
【図3】建物壁におけるチューブの固定態様の変形実施形態を示す図である。
【図4】図1の上昇管の最下位のチューブの固定態様を示す図である。
【図5】昇降装置を示す図である。
【図6a】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図6b】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図6c】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図7】ふくすうのフロアーを貫通するように延在している第2実施形態の濃厚物質用上昇管の概略図である。
【図8】図7の上昇管の固定支承部を示す図である。
【図9】図7の上昇管を閉鎖させるためのスライダを示す図である。
【図10】図7の上昇管のための位置固定要素を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の濃厚物質を搬送するための上昇管、および請求項25の上位概念に記載の濃厚物質のための上昇管を固定する装置、並びに請求項35の上位概念に記載の昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の上昇管は、特に高層ビル或いはダムのような高層建築物を建てる場合に使用される。上昇管は鉛直方向または斜め上方に延び、液状コンクリートを高位置の使用場所に搬送するために用いる。搬送される液状コンクリートの使用場所がより高度の位置に変位すると、上昇管の上端に他のチューブを接続させることで、建築物の高さに伴って上昇管の高さを増していく。公知の上昇管は、すでにコンクリート打ちを終えた建物の下部領域に固定される。このためチューブクランプ(いわゆるUボルト)をチューブのまわりに設置し、建築物に固定させる。しかしながら、コンクリートが乾燥すると、建築物の壁と天井が沈下するという問題が生じる。この作用は建築物が高ければ高いほど強くなる。壁と天井の沈下はそこに固定されている上昇管に応力を発生させる。応力は建築物が高ければ高いほど大きい。同様に上昇管の長さが変化する。これはたとえば温度変化或いは接続されているコンクリートポンプにより生じる圧力に起因するものであり、建築物に固定されている上昇管に応力を発生させる。加えて、損傷または磨耗した個々のチューブを交換するには、上昇管の大部分を取り外すことが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上昇管と建築物との相対運動時に上昇管に発生する応力を極力低減させる手段を提供することである。さらに、個々のチューブの交換性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、本発明によれば、請求項1の構成を備えた上昇管、および、請求項25の構成を備えた固定装置により解決される。請求項35の構成を備えた昇降装置により、個々のチューブセグメントを、上昇管全体を取り外すことなく交換できる。
【0005】
本発明の技術思想は、上昇管のチューブを建築物に対し軸線方向に可動に案内させるというものである。案内要素は、それぞれのチューブを受容する可動支承部を形成している。建築物が沈下してそれに固定されている案内要素が沈下しても、案内要素のなかに受容されているチューブに対し案内要素が変位するので、上昇管には影響せず、影響してもわずかである。同様に、温度変化或いは濃厚物質ポンプの圧力変化による上昇管の長さ変化に伴う上昇管の応力発生も少なくなる。
【0006】
チューブが案内要素に対し変位可能であることは、特にコンクリートの乾燥過程のために沈下が著しい建築物の上部領域において重要である。したがって、本発明によれば、最上位のチューブのみが案内要素内で軸線方向に変位可能である。しかしながら、固定支承部で支持されているチューブの上方にある複数個のチューブのそれぞれを、建築物に固定されている案内要素で軸線方向に変位可能に案内するのが有利である。これにより、上昇管の下部チューブでも応力の発生が十分回避される。
【0007】
少なくとも1つの案内要素が付属のチューブのための貫通穴を画成している少なくとも2つの部材であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材を有しているのが有利である。これにより案内要素の簡単な取り付けが可能になる。合目的には、少なくとも1つの案内要素が、貫通穴の領域に、チューブに対し当接する滑動要素を備えているのがよい。滑動要素は、少なくとも、チューブに当接する滑動面において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチックから成っているのが好ましい。このプラスチックはポリアミドが有利である。これにより、好ましくは金属のような硬質材料から成っている案内要素に対しチューブが相対運動する際にチューブが損傷するのが避けられる。さらに滑動要素は防音手段として用いられ、その結果ポンプ工程の際に発生する騒音の建物への伝達が少なくとも困難になる。有利には、少なくとも1つの案内要素が、少なくとも2つの板セグメントから成っている案内板を有し、該案内板の板セグメントが互いに取り外し可能に結合され、且つ貫通穴を画成しているのがよい。複数個の案内要素はフロアー天井に設けた破断部においてフロアー天井に取り付けられていてよく、或いは、建築物の壁に固定されたブラケットに取り付けられていてよい。
【0008】
合目的には、複数個のチューブの1つが周回するように延在する外側隆起部を有しているのがよい。有利には、このチューブが2分割の押圧板によって取り囲まれ、その際両部分がチューブをそれぞれ部分的に取り囲んでいるのがよい。押圧板には、周回するように延在する外側隆起部が着座している。支承部は支持台であるのが好ましく、支持台は、水平方向に配置される、押圧板を載置するためのスリット付きの載置板を有し、この場合載置板のスリットは外側隆起部を備えたチューブの径よりも大きな幅を有している。支持台は建築物に固定され、好ましくは土台または下部フロアーに固定されているのが合目的である。載置板には、押圧板を水平方向に固定するための異形部が取り付けられている。上昇管を構築する場合、最下位のチューブは載置板のスリットに挿入され、押圧板によって取り囲まれる。次に、押圧板を異形部の内部で載置板に載置し、下部チューブの、周回するように延在している外側隆起部を、押圧板の上に載置させる。
【0009】
これとは択一的に、固定支承部が、互いに間隔を持ってフロアー天井に載置される2つのレールと、レールに載置され、外側隆起部を備えたチューブを貫通させるための破断部を備えた固定板とを有していてもよい。この場合、押圧板は固定板に固定される。合目的には、押圧板と固定板とレールとがねじにより互いに取り外し可能に結合されているのがよい。上昇管の重量がレール上にかかっていることにより、上昇管の重量は比較的広い面へ分配される。建築物でのレールの固定を改善するため、レールはその端部が建築物の壁破断部を貫通していてよい。レールはスチールから成っているのが合目的である。
【0010】
合目的には、複数個のチューブのうちの少なくとも1つが、案内要素の上方に間隔を持って位置固定要素を備え、該位置固定要素は、貫通穴を貫通できない程度にチューブ外面から突出しているのが合目的である。位置固定要素は、上昇管が破損した場合に、破損箇所の上方にあるチューブが案内要素を通り抜けて下方へ移動し、場合によっては建築物にかなりの損害を与えるのを阻止する。位置固定要素は摩擦でチューブに載置されているのが好ましい。
【0011】
他の有利な構成によれば、複数個のチューブのうちの1つは閉鎖用のスライダを備えている。汲み上げ過程が終了しても、上昇管はまだ濃厚物質で完全に充填されている。高層建築物で使用する場合には、残っている濃厚物質の量はかなりのものである。スライダを用いてチューブを閉鎖させた後、接続されている濃厚物質ポンプを切り離し、スライダを開くことにより、残っている濃厚物質を準備状態にある容器へ排出させるか、或いは、建築物の土台の中へ制御して排出させることができる。このため、スライダは固定支承部の下方に配置されているのが合目的である。
【0012】
チューブはその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部を用いて連結個所において互いに結合されているのが有利である。チューブ連結部はチューブの端部側に取り付けられているフランジと該フランジを互いに結合されている締め付けリングとによって形成されているのが好ましい。これは、チューブ同士の結合を簡単に解除できることを意味している。また、チューブの外面から突出しているチューブ連結部には、上昇管または個々のチューブを持ち上げるため、わずかに力を作用させてよい。最下位のチューブは供給管を介して濃厚物質ポンプに接続されているのが合目的である。
【0013】
本発明による昇降装置は、個々のチューブの簡単な交換を可能にする。このため、スリーブを、チューブを取り囲むようにチューブに当接させる。次に、スリーブを地面で支持されている昇降機によって持ち上げ、これによって上昇管の外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部に力を作用させて持ち上げる。したがって、その下のチューブ連結部を解除すれば、上昇管の一部を持ち上げることができる。これは特に、チューブが連結箇所において互いに嵌合している場合に有利である。
【0014】
合目的には、スリーブが円形の横断面を有し、その内径がチューブ連結部の外径よりも小さいのがよい。昇降機が少なくとも1つの液圧シリンダを有しているのが好ましい。特に、昇降機が、複数個のチューブのうちの1つのチューブを貫通させるための貫通穴を備えたスリーブのための分割可能な支持板を有し、該支持板の下面に該支持板を地面に対し持ち上げるための液圧シリンダが取り付けられているのが有利である。液圧シリンダは液圧ポンプにより圧力付勢することにより大きな力を発揮することができる。本発明による昇降装置は従来慣用されている上昇管に対し使用することができ、この場合まず、昇降機に固定されている上昇管の固定部分の固定を解除しなければならない。しかし、本発明にしたがって軸線方向に変位可能に案内されているチューブを備えた上昇管に対し本発明による昇降装置を使用することは特に有利である。というのは、建物と上昇管との間の固定を解除させずに上昇管を持ち上げることができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
濃厚物質用の上昇管10(図1)は、建物の複数のフロアーを通じて案内され、コンクリートポンプを用いて液状コンクリートを供給管12から高位置にある使用場所へ搬送するために用いる。上昇管10は長手方向に列設された複数個のチューブ14から形成されている。これらのチューブ14は複数個のフロアー18に設けた天井破断部16を貫通して案内されている。チューブ14はその端部に外面から突出するフランジ20を有し、該フランジ20においてこれらチューブ14は締め付けリング22を用いて互いに結合されている。これらのチューブ14はフランジ20において互いに部分的に嵌合している。
【0016】
チューブ14は天井破断部16の領域でフロアー天井18に固定されている。チューブ14はさらに建物の壁24に固定されていてよい(図3)。フロアー天井18および建物の壁24におけるチューブ14の固定は案内要素26を用いて行なう。案内要素26はそれぞれ案内板28を有している。案内板28は互いに取り外し可能に結合されている2つの板セグメント30から成っている。これらの板セグメント30は、継ぎ合わせた状態で、チューブ14を貫通させる貫通穴32を露出させる。板セグメント30のそれぞれは1本のチューブ14を半分だけ取り囲んでおり、その結果1本のチューブ14は案内板28の貫通穴32で受容されている。
【0017】
案内板28は、該案内板をフロアー天井18に固定させる固定手段38を有している。案内要素26を建物の壁24に取り付けると、案内板28は、建物の壁24に固定されているブラケット39に取り付けられる。ブラケット39は固定手段38のための受容部を有し、該受容部は案内板28を建物の壁24に対し可変間隔で装着させることを可能にする。案内板28は貫通穴32内へ突出している滑動要素34を備えている。これらの滑動要素34はポリエチレンから製造され、よって摩擦係数が小さく、且つ耐摩耗性が高い。滑動板34はそれぞれ滑動面36によってチューブ14に当接しており、その結果チューブ14は案内要素26により水平面内ではほとんど不動に固定されているが、軸線方向には移動可能に案内されている。したがって、案内要素26は上昇管10のための可動支承部を形成している。
【0018】
最下位のチューブ14は、建物の下部天井の1つに位置固定して設けられている固定支承部としての支持台40に装着されている(図4)。支持台40は載置板42を有し、載置板42はスタンド44に装着されている。載置板42はスリット46を有し、該スリットの幅はチューブ14の外径よりも大きい。最下位のチューブ14は周回するように延在する隆起部48を有し、隆起部48は2つの半部分から成っている押圧板50の上に載置されている。押圧板50は載置板42の上に載置されており、載置板42の上面に設けた受容異形部52を用いて水平方向にずれないよう位置固定されている。最下位のチューブ14は図示していないコンクリートポンプに通じている供給管12に接続されている。
【0019】
個々のチューブ14を交換するため、昇降装置60が設けられている(図5)。昇降装置60は分割可能なスリーブ62を有し、スリーブ62はチューブ14の1つのまわりに設置される。スリーブ62は昇降機64の上に載置されている。昇降機64はチューブ14のための貫通穴68を備えた支持板66を有している。支持板66の下面には4つの液圧シリンダ70が装着されている。液圧シリンダ70は液圧ポンプ72により圧力で付勢することができる。破損したチューブ14aを交換するため(図6aないし図6cを参照)、まず上部フランジの締め付けリング22を緩める。その上にあるチューブ14bにスリーブ62を取り付け、該スリーブ62を昇降機64により上方へ持ち上げて、その上にあるチューブカップリングまたは締め付けリング22に当接させる。スリーブ62をさらに持ち上げて、上位のチューブ14bを破損したチューブ14aから離間させる。その後は損したチューブ14aを取り外し、交換チューブと交換する。さらに、破損したチューブ14aを受容している案内要素26を離間させることができる。
【0020】
第2実施形態(図7)による上昇管110は、第1実施形態の上昇管10に対し、主に固定支承部の構成の点で異なっている。第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付した。支持台40の代わりに固定支承部140(図8)が設けられている。固定支承部140は互いに平行に間隔を持って配置されている2つのスチールレール142を有している。これらのスチールレール142はフロアー天井18上に載置されている。スチールレール142の両端部は壁破断部25を貫通し、建物に固定されている。スチールレール142上には固定板144がねじ止めされている。固定板144はチューブ14を貫通させるための破断部を有し、該破談部はスチールレール142の中間空間の上方に配置されている。外側隆起部48を備えているチューブ14は、第1実施形態の場合と同様に、固定板144にねじ止めされている2分割の押圧板50によって取り囲まれている。外側隆起部48を備え、上昇管110を固定支承部140で支持させているチューブ14は、第1実施形態とは異なり、通常の搬送チューブではない。このチューブ14は、他のチューブよりも短く且つ固定支承部140で支持するためだけに用いる中間部材である。第1実施形態とは異なり、固定支承部140は建物の土台に配置されるのではなく、下の複数のフロアーの1つのフロアーのフロアー天井18上に配置される。
【0021】
複数個のチューブ14の1つは、固定支承部140の下方に、該チューブを閉鎖させるためのスライダ150を備えている(図9)。液状コンクリート(汲み上げ工程の終了後にまだ上昇管110内にある)は、スライダ150を用いて排出させることができる。このため、まずスライダ150を閉じて、該スライダ150の上方にある液状コンクリートの柱を下方へ逃げないようにする。次に、コンクリートポンプを供給管12から切り離す。その際、上昇管110内でスライダ150の下方にある液状コンクリートが排出される。最後にスライダ150を開け、残っている液状コンクリートを供給管12により準備状態の容器に流入させるか、或いは、土台をコンクリート打ちするために建物内へ供給する。
【0022】
上昇管110を位置固定するため、チューブ14には、案内要素26の上方に間隔を持って位置固定要素160が取り付けられている(図10)。位置固定要素160はねじによって一緒に保持されている2つの湾曲部材162から成っている。湾曲部材162は摩擦でチューブ14の外面に取り付けられている。湾曲部材162は、該湾曲部材が複数個の貫通穴32の1つを貫通できない程度の量でチューブ14の外面から突出している。上昇管110が破損すると、位置固定要素160が案内板28で係止されることにより、該位置固定要素160は、上昇管110の、破損部位の上方にある部分の通り抜けを阻止する。
【0023】
以上を総括すると、以下のようになる。本発明は、建築物を建てるために濃厚物質、特に液状コンクリートを搬送するための上昇管10;110であって、連結箇所において互いに取り外し可能に結合され、上昇管の長手方向に直列に配置される複数個のチューブ14を備えた前記上昇管に関わる。本発明によれば、複数個のチューブ14のうちの少なくとも1つのチューブ14は固定支承部40;140で支持され、少なくとも1つの他のチューブ14は建築物に固定して取り付けられる案内要素26で軸線方向に変位可能に案内されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ふくすうのフロアーを貫通するように延在している第1実施形態の濃厚物質用上昇管の概略図である。
【図2a】天井破断部におけるチューブの固定態様を示す分解斜視図である。
【図2b】天井破断部におけるチューブの固定態様を示す組み立て図である。
【図3】建物壁におけるチューブの固定態様の変形実施形態を示す図である。
【図4】図1の上昇管の最下位のチューブの固定態様を示す図である。
【図5】昇降装置を示す図である。
【図6a】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図6b】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図6c】チューブの交換の手順を説明する概略図である。
【図7】ふくすうのフロアーを貫通するように延在している第2実施形態の濃厚物質用上昇管の概略図である。
【図8】図7の上昇管の固定支承部を示す図である。
【図9】図7の上昇管を閉鎖させるためのスライダを示す図である。
【図10】図7の上昇管のための位置固定要素を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物を建てるために濃厚物質、特に液状コンクリートを搬送するための上昇管であって、連結箇所において互いに取り外し可能に結合され、上昇管の長手方向に直列に配置される複数個のチューブ(14)を備えた前記上昇管において、
複数個のチューブ(14)のうちの少なくとも1つのチューブ(14)が固定支承部(40;140)で支持されていること、
少なくとも1つの他のチューブ(14)が建築物に固定して取り付けられる案内要素(26)で軸線方向に変位可能に案内されていること、
を特徴とする上昇管。
【請求項2】
最下位のチューブ(14)が固定支承部(40;140)で支持されていること、その上にある複数個のチューブ(14)が建築物に固定して取り付けられる案内要素(26)で軸線方向に変位可能に案内されていることを特徴とする、請求項1に記載の上昇管。
【請求項3】
最下位のチューブ(14)の上にある複数個のチューブ(14)の1つが固定支承部(40;140)で支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の上昇管。
【請求項4】
少なくとも1つの案内要素(26)が付属のチューブ(14)のための貫通穴(32)を画成している少なくとも2つの部材(30)であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材(30)を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項5】
少なくとも1つの案内要素(26)が、貫通穴(32)の領域に、チューブ(14)に対し当接する滑動要素(34)を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の上昇管。
【請求項6】
滑動要素(34)が、少なくとも、チューブ(14)に当接する滑動面(36)において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチック、好ましくはポリアミドから成っていることを特徴とする、請求項5に記載の上昇管。
【請求項7】
少なくとも1つの案内要素(26)が、少なくとも2つの板セグメント(30)から成っている案内板(28)を有し、該案内板(28)の板セグメント(30)が互いに取り外し可能に結合され、且つ貫通穴(32)を画成していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項8】
複数個の案内要素(26)のうちの少なくとも1つがフロアー天井(18)に設けた破断部(16)においてフロアー天井(18)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項9】
複数個の案内要素(26)のうちの少なくとも1つが建築物の壁(24)に固定されているブラケット(39)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項10】
複数個のチューブ(14)の1つが周回するように延在する外側隆起部(48)を有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項11】
2分割の押圧板(50)が設けられ、該押圧板(50)の2つの部分が外側隆起部(48)を備えたチューブ(14)をそれぞれ部分的に取り囲み、押圧板(50)に外側隆起部(48)が設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の上昇管。
【請求項12】
固定支承部(40)が支持台であり、支持台が、水平方向に配置される、押圧板(50)を載置するためのスリット付きの載置板(42)を有し、該載置板(42)のスリット(46)が外側隆起部(46)を備えたチューブ(14)の径よりも大きな幅を有していることを特徴とする、請求項11に記載の上昇管。
【請求項13】
載置板(42)が押圧板(50)を水平方向に固定するための異形部(52)を有していることを特徴とする、請求項12に記載の上昇管。
【請求項14】
支持台(40)が建築物と固定結合されていることを特徴とする、請求項12または13に記載の上昇管。
【請求項15】
固定支承部が、互いに間隔を持ってフロアー天井に載置される2つのレール(142)、好ましくはスチールレールと、レール(142)に載置され、外側隆起部(48)を備えたチューブ(14)を貫通させるための破断部を備えた固定板(144)とを有していることを特徴とする、請求項11に記載の上昇管。
【請求項16】
押圧板(50)と固定板(144)とレール(142)とがねじにより互いに取り外し可能に結合されていることを特徴とする、請求項15に記載の上昇管。
【請求項17】
レール(142)はその端部が建築物の壁破断部(25)を貫通していることを特徴とする、請求項15または16に記載の上昇管。
【請求項18】
複数個のチューブ(14)のうちの少なくとも1つが、案内要素(26)の上方に間隔を持って位置固定要素(160)を備え、該位置固定要素(160)は、貫通穴(32)を貫通できない程度にチューブ外面から突出していることを特徴とする、請求項4から17までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項19】
位置固定要素(160)が摩擦でチューブ(14)に載置されていることを特徴とする、請求項18に記載の上昇管。
【請求項20】
複数個のチューブ(14)のうちの1つが閉鎖用のスライダ(150)を備えていることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項21】
スライダ(150)が固定支承部(40;140)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項20に記載の上昇管。
【請求項22】
チューブ(14)がその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部(20,22)を用いて連結個所において互いに結合されていることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項23】
チューブ連結部がチューブ(14)の端部側に取り付けられているフランジ(20)と該フランジ(20)を互いに結合されている締め付けリング(22)とによって形成されていることを特徴とする、請求項22に記載の上昇管。
【請求項24】
最下位のチューブ(14)が供給管(12)を介して濃厚物質ポンプに接続されていることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項25】
互いに取り外し可能に結合され且つ上昇管の長手方向に直列に配置されるチューブ(14)によって形成される濃厚物質用の上昇管(10;110)、特に液状コンクリート用の上昇管(10;110)を建築物に固定するための固定装置において、
建築物のフロアー天井(18)または壁(24)に固定可能で、複数個のチューブ(14)のうちの1つのチューブ(14)を案内する少なくとも1つの案内要素(26)が設けられ、前記1つのチューブ(14)は軸線方向に変位可能に案内要素(26)に受容可能であることを特徴とする固定装置。
【請求項26】
複数個のチューブ(14)のために、好ましくは各チューブ(14)のためにそれぞれ少なくとも1つの案内要素(26)が設けられていることを特徴とする、請求項25に記載の固定装置。
【請求項27】
少なくとも1つの案内要素(26)が付属のチューブ(14)のための貫通穴(32)を画成している少なくとも2つの部材(30)であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材(30)を有していることを特徴とする、請求項25または26に記載の固定装置。
【請求項28】
少なくとも1つの案内要素(26)が、貫通穴(32)の領域に、チューブ(14)に対し当接する滑動要素(34)を備えていることを特徴とする、請求項27に記載の固定装置。
【請求項29】
滑動要素(34)が、少なくとも、チューブ(14)に当接する滑動面(36)において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチック、好ましくはポリアミドから成っていることを特徴とする、請求項28に記載の固定装置。
【請求項30】
少なくとも1つの案内要素(26)が、少なくとも2つの板セグメント(30)から成っている案内板(28)を有し、該案内板(28)の板セグメント(30)が互いに取り外し可能に結合されてチューブ(14)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項25から29までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項31】
上昇管(10)の複数個のチューブ(14)の1つを支持するために建築物に位置固定可能な支持台(40)が設けられていることを特徴とする、請求項25から30までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項32】
支持台(40)がスリット(46)を備えた載置板(42)を有し、スリット(46)の幅が支持されるべきチューブ(14)の径よりも大きいことを特徴とする、請求項31に記載の固定装置。
【請求項33】
支持されるべきチューブ(14)を取り囲んで載置板(42)に載置するための2分割の押圧板(50)が設けられていることを特徴とする、請求項32に記載の固定装置。
【請求項34】
上昇管(110)を支持するための固定支承部(140)が設けられ、該固定支承部(140)は、互いに間隔を持ってフロアー天井(18)に載置可能な2つのレール(142)、特にスチールレールと、レール(142)に載置可能で、チューブ(14)を貫通させるための破断部を備えた固定板(144)と、チューブ(14)を取り囲んで固定板(144)上に固定させるための2分割の押圧板(50)とを有していることを特徴とする、請求項25から30までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項35】
複数個のチューブ(14)から形成される上昇管(10;110)のための昇降装置であって、チューブ(14)がその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部(20,22)を用いて互いに取り外し可能に結合されている構成の上昇管(10;110)のための前記昇降装置において、
1つのチューブ(14)を少なくとも部分的に取り囲み、上昇管(10)の軸線方向にてチューブ連結部(20,22)に力を作用させるスリーブ(62)と、定置の表面で支持可能で、スリーブ(62)を持ち上げるための昇降機(64)とが設けられていることを特徴とする昇降装置。
【請求項36】
スリーブ(62)が円形の横断面を有し、その内径がチューブ連結部(20,22)の外径よりも小さいことを特徴とする、請求項35に記載の昇降装置。
【請求項37】
昇降機(64)が少なくとも1つの液圧シリンダ(70)を有していることを特徴とする、請求項35または36に記載の昇降装置。
【請求項38】
昇降機(64)が、複数個のチューブ(14)のうちの1つのチューブ(14)を貫通させるための貫通穴(68)を備えたスリーブ(62)のための分割可能な支持板(66)を有し、該支持板(66)の下面に該支持板(66)を地面に対し持ち上げるための液圧シリンダ(70)が取り付けられていることを特徴とする、請求項37に記載の昇降装置。
【請求項39】
請求項35から38までのいずれか一つに記載の昇降装置を、請求項1から24までのいずれか一つに記載の上昇管(10;110)を持ち上げるために使用する使用方法。
【請求項1】
建築物を建てるために濃厚物質、特に液状コンクリートを搬送するための上昇管であって、連結箇所において互いに取り外し可能に結合され、上昇管の長手方向に直列に配置される複数個のチューブ(14)を備えた前記上昇管において、
複数個のチューブ(14)のうちの少なくとも1つのチューブ(14)が固定支承部(40;140)で支持されていること、
少なくとも1つの他のチューブ(14)が建築物に固定して取り付けられる案内要素(26)で軸線方向に変位可能に案内されていること、
を特徴とする上昇管。
【請求項2】
最下位のチューブ(14)が固定支承部(40;140)で支持されていること、その上にある複数個のチューブ(14)が建築物に固定して取り付けられる案内要素(26)で軸線方向に変位可能に案内されていることを特徴とする、請求項1に記載の上昇管。
【請求項3】
最下位のチューブ(14)の上にある複数個のチューブ(14)の1つが固定支承部(40;140)で支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の上昇管。
【請求項4】
少なくとも1つの案内要素(26)が付属のチューブ(14)のための貫通穴(32)を画成している少なくとも2つの部材(30)であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材(30)を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項5】
少なくとも1つの案内要素(26)が、貫通穴(32)の領域に、チューブ(14)に対し当接する滑動要素(34)を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の上昇管。
【請求項6】
滑動要素(34)が、少なくとも、チューブ(14)に当接する滑動面(36)において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチック、好ましくはポリアミドから成っていることを特徴とする、請求項5に記載の上昇管。
【請求項7】
少なくとも1つの案内要素(26)が、少なくとも2つの板セグメント(30)から成っている案内板(28)を有し、該案内板(28)の板セグメント(30)が互いに取り外し可能に結合され、且つ貫通穴(32)を画成していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項8】
複数個の案内要素(26)のうちの少なくとも1つがフロアー天井(18)に設けた破断部(16)においてフロアー天井(18)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項9】
複数個の案内要素(26)のうちの少なくとも1つが建築物の壁(24)に固定されているブラケット(39)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項10】
複数個のチューブ(14)の1つが周回するように延在する外側隆起部(48)を有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項11】
2分割の押圧板(50)が設けられ、該押圧板(50)の2つの部分が外側隆起部(48)を備えたチューブ(14)をそれぞれ部分的に取り囲み、押圧板(50)に外側隆起部(48)が設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の上昇管。
【請求項12】
固定支承部(40)が支持台であり、支持台が、水平方向に配置される、押圧板(50)を載置するためのスリット付きの載置板(42)を有し、該載置板(42)のスリット(46)が外側隆起部(46)を備えたチューブ(14)の径よりも大きな幅を有していることを特徴とする、請求項11に記載の上昇管。
【請求項13】
載置板(42)が押圧板(50)を水平方向に固定するための異形部(52)を有していることを特徴とする、請求項12に記載の上昇管。
【請求項14】
支持台(40)が建築物と固定結合されていることを特徴とする、請求項12または13に記載の上昇管。
【請求項15】
固定支承部が、互いに間隔を持ってフロアー天井に載置される2つのレール(142)、好ましくはスチールレールと、レール(142)に載置され、外側隆起部(48)を備えたチューブ(14)を貫通させるための破断部を備えた固定板(144)とを有していることを特徴とする、請求項11に記載の上昇管。
【請求項16】
押圧板(50)と固定板(144)とレール(142)とがねじにより互いに取り外し可能に結合されていることを特徴とする、請求項15に記載の上昇管。
【請求項17】
レール(142)はその端部が建築物の壁破断部(25)を貫通していることを特徴とする、請求項15または16に記載の上昇管。
【請求項18】
複数個のチューブ(14)のうちの少なくとも1つが、案内要素(26)の上方に間隔を持って位置固定要素(160)を備え、該位置固定要素(160)は、貫通穴(32)を貫通できない程度にチューブ外面から突出していることを特徴とする、請求項4から17までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項19】
位置固定要素(160)が摩擦でチューブ(14)に載置されていることを特徴とする、請求項18に記載の上昇管。
【請求項20】
複数個のチューブ(14)のうちの1つが閉鎖用のスライダ(150)を備えていることを特徴とする、請求項1から19までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項21】
スライダ(150)が固定支承部(40;140)の下方に配置されていることを特徴とする、請求項20に記載の上昇管。
【請求項22】
チューブ(14)がその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部(20,22)を用いて連結個所において互いに結合されていることを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項23】
チューブ連結部がチューブ(14)の端部側に取り付けられているフランジ(20)と該フランジ(20)を互いに結合されている締め付けリング(22)とによって形成されていることを特徴とする、請求項22に記載の上昇管。
【請求項24】
最下位のチューブ(14)が供給管(12)を介して濃厚物質ポンプに接続されていることを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一つに記載の上昇管。
【請求項25】
互いに取り外し可能に結合され且つ上昇管の長手方向に直列に配置されるチューブ(14)によって形成される濃厚物質用の上昇管(10;110)、特に液状コンクリート用の上昇管(10;110)を建築物に固定するための固定装置において、
建築物のフロアー天井(18)または壁(24)に固定可能で、複数個のチューブ(14)のうちの1つのチューブ(14)を案内する少なくとも1つの案内要素(26)が設けられ、前記1つのチューブ(14)は軸線方向に変位可能に案内要素(26)に受容可能であることを特徴とする固定装置。
【請求項26】
複数個のチューブ(14)のために、好ましくは各チューブ(14)のためにそれぞれ少なくとも1つの案内要素(26)が設けられていることを特徴とする、請求項25に記載の固定装置。
【請求項27】
少なくとも1つの案内要素(26)が付属のチューブ(14)のための貫通穴(32)を画成している少なくとも2つの部材(30)であって互いに分離可能で且つ建築物から分離可能な前記部材(30)を有していることを特徴とする、請求項25または26に記載の固定装置。
【請求項28】
少なくとも1つの案内要素(26)が、貫通穴(32)の領域に、チューブ(14)に対し当接する滑動要素(34)を備えていることを特徴とする、請求項27に記載の固定装置。
【請求項29】
滑動要素(34)が、少なくとも、チューブ(14)に当接する滑動面(36)において、摩擦係数が小さな耐摩耗性のプラスチック、好ましくはポリアミドから成っていることを特徴とする、請求項28に記載の固定装置。
【請求項30】
少なくとも1つの案内要素(26)が、少なくとも2つの板セグメント(30)から成っている案内板(28)を有し、該案内板(28)の板セグメント(30)が互いに取り外し可能に結合されてチューブ(14)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項25から29までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項31】
上昇管(10)の複数個のチューブ(14)の1つを支持するために建築物に位置固定可能な支持台(40)が設けられていることを特徴とする、請求項25から30までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項32】
支持台(40)がスリット(46)を備えた載置板(42)を有し、スリット(46)の幅が支持されるべきチューブ(14)の径よりも大きいことを特徴とする、請求項31に記載の固定装置。
【請求項33】
支持されるべきチューブ(14)を取り囲んで載置板(42)に載置するための2分割の押圧板(50)が設けられていることを特徴とする、請求項32に記載の固定装置。
【請求項34】
上昇管(110)を支持するための固定支承部(140)が設けられ、該固定支承部(140)は、互いに間隔を持ってフロアー天井(18)に載置可能な2つのレール(142)、特にスチールレールと、レール(142)に載置可能で、チューブ(14)を貫通させるための破断部を備えた固定板(144)と、チューブ(14)を取り囲んで固定板(144)上に固定させるための2分割の押圧板(50)とを有していることを特徴とする、請求項25から30までのいずれか一つに記載の固定装置。
【請求項35】
複数個のチューブ(14)から形成される上昇管(10;110)のための昇降装置であって、チューブ(14)がその外面から半径方向へ突出しているチューブ連結部(20,22)を用いて互いに取り外し可能に結合されている構成の上昇管(10;110)のための前記昇降装置において、
1つのチューブ(14)を少なくとも部分的に取り囲み、上昇管(10)の軸線方向にてチューブ連結部(20,22)に力を作用させるスリーブ(62)と、定置の表面で支持可能で、スリーブ(62)を持ち上げるための昇降機(64)とが設けられていることを特徴とする昇降装置。
【請求項36】
スリーブ(62)が円形の横断面を有し、その内径がチューブ連結部(20,22)の外径よりも小さいことを特徴とする、請求項35に記載の昇降装置。
【請求項37】
昇降機(64)が少なくとも1つの液圧シリンダ(70)を有していることを特徴とする、請求項35または36に記載の昇降装置。
【請求項38】
昇降機(64)が、複数個のチューブ(14)のうちの1つのチューブ(14)を貫通させるための貫通穴(68)を備えたスリーブ(62)のための分割可能な支持板(66)を有し、該支持板(66)の下面に該支持板(66)を地面に対し持ち上げるための液圧シリンダ(70)が取り付けられていることを特徴とする、請求項37に記載の昇降装置。
【請求項39】
請求項35から38までのいずれか一つに記載の昇降装置を、請求項1から24までのいずれか一つに記載の上昇管(10;110)を持ち上げるために使用する使用方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−531564(P2009−531564A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508101(P2008−508101)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002928
【国際公開番号】WO2006/114183
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500064719)プッツマイスター コンクレーテ プンプス ゲーエムベーハー (23)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002928
【国際公開番号】WO2006/114183
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(500064719)プッツマイスター コンクレーテ プンプス ゲーエムベーハー (23)
【Fターム(参考)】
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