説明

濃厚臭素水溶液及びそれらの調製

本発明は、塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される濃厚殺生物性水溶液を提供する。濃厚溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜17.5重量部の水酸化ナトリウム及び11.0〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものであり、殺生物性溶液は溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願との関係】
【0001】
所有者が共通する他の出願(commonly owned applications)の引用
本明細書で以下の所有者が共通する出願を引用する:
1998年6月1日に申請された出願番号09/088,300、現在は米国特許第6,068,861号明細書、2000年5月30日に発行;2000年9月18日に申請された出願番号09/663,948、現在は米国特許第6,299,909号明細書、2001年10月9日に発行;1999年11月17日に申請された出願番号09/442,025、現在は米国特許第6,306,441号明細書、2001年10月23日に発行;1999年9月24日に申請された出願番号09/404,184、現在は米国特許第6,322,822号明細書、2001年11月27日に発行;2000年9月18日に申請された出願番号09/663,788、現在は米国特許第6,348,219号明細書、2002年2月19日に発行;1999年11月30日に申請された出願番号09/451,344、現在は米国特許第6,352,725号明細書、2002年3月5日に発行;1999年12月8日に申請された出願番号09/456,781、現在は米国特許第6,495,169号明細書、2002年12月17日に発行;2000年12月7日に申請された出願番号09/732,601、現在は米国特許第6,506,418号明細書、2003年1月14日に発行;2000年2月18日に申請された出願番号09/506,911、現在は米国特許第6,511,682号明細書、2003年1月28日に発行;2001年10月9日に申請された出願番号09/974,622、現在は米国特許第6,652,889号明細書、2003年11月25日に発行;2002年10月10日に申請された出願番号10/269,901、2003年6月5日に米国特許第2003/0104074号明細書として公開;2002年10月28日に申請された出願番号10/282,291、2003年6月19日に米国特許第2003/0113383号明細書として公開;2002年10月28日に申請された出願番号10/282,290、2004年2月5日に米国特許第2004/0022874号明細書として公開;2003年11月7日に申請された出願番号10/703,311、2005年7月7日に米国特許第2005/0147696号明細書として公開。上記の米国特許及び公開米国特許出願の開示は引用することにより、本明細書に完全に示されるがごとく、本明細書の内容となる。
【背景技術】
【0002】
背景
臭素に基づく殺生物剤は、冷却水の微生物抑制及び廃液処理システム(waste treatment systems)の消毒に関し、塩素化−脱塩素化を超える殺生物的利点を証明してきた。水処理産業はこれらの利点に:比較的高いpH値における原価効率の高い抑制;アンモニアの存在下において殺生物活性の喪失がほとんどないこと;ならびにバクテリア、藻類及び軟体動物の有効な抑制が含まれると認識している。
【0003】
臭素に基づく殺生物剤を水システム中に導入する通常の方法は、NaOCl漂白剤と一緒のNaBr水溶液の使用を介する。使用者は両材料を共通の点に供給し、するとNaOClがブロミドイオンをHOBr/OBrに酸化する。この活性化された溶液を次いで処理されるべき水システム中に直接導入する。HOBr/OBr混合物は不安定であり、水へのその導入の直前に現場で形成されねばならないので、このやり方で2つの液体を供給することが必要である。さらに、2つの液体の供給及び計量はやっかいであり、それは特にブロミドイオンの活性化が起こるための時間を許すようにシステムを設計しなければならないからである。結局、多くの殺生物剤使用者は単独−供給(single−feed)の臭素に基づく殺生物剤の必要性を表明してきた。元素状臭素及び分子状塩化臭素はこれらの要求を満たすと考えられてきた。両者は室温で液体であり、水システムに直接供給することができ、そこですぐに加水分解が起こって下記の式に従ってHOBrを与える。
【0004】
Br+HO→HOBr+HBr (1)
BrCl+HO→HOBr+HCl (2)
【0005】
臭素及び塩化臭素のある特性−特にそれらの腐蝕性、高い蒸気圧及び発煙の傾向−はそれらの取り扱い及び使用において注意と熟練を必要とする。これらの材料の欠陥を克服するための初期の努力は、強酸の存在下で臭素を過剰のブロミドイオンと錯体化させ、得られる溶液をエタノールアミンで安定化させることを含んだ。得られるエタノールアンモニウム水素ペルブロミドの溶液は、最高で38重量%の元素状臭素を含有した。これに関し、Favstritsky,特許文献1;ならびにFavstritsky,Hein,and Squires,特許文献2を参照されたい。
【0006】
これらの溶液は単独供給を用いる臭素の水システムへの導入を可能にした。臭素及び塩化臭素の場合のように、エタノールアンモニウム水素ペルブロミドは水中で加水分解されてHOBrを放出した。これらの溶液の蒸気圧は元素状臭素及び塩化臭素より低かった。それでも、溶液はまだ測定可能な蒸気圧を有し、かくして貯蔵及び使用の間に望ましくない赤味がかった色の蒸気を生じる傾向があった。
【0007】
BCDMH(1,3−ブロモクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン)のような多くの固体臭素誘導体は、水中に溶解されて水処理システムに液体として供給され得る材料の量において制限される。例えば水中におけるBCDMHの溶解度はわずかに約0.15%である。そのような誘導体の他の制限は、中性のpHにおいてHOBrが急速に分解し、結果としてブロミドイオンを生成することである。かくしてこれらの水溶液を貯蔵し輸送する可能性は非常に制限され、商業的実効性は疑問である。
【0008】
Goodenough et al.への特許文献3は、種々の安定剤で安定化されたある種の臭素水溶液及びそのような溶液を適用できる種々の用途を記載している。特許に記載された組成物は、重量により百万部当たり約0.01〜約100,000部の臭素値を有する臭素水溶液を含み、ここで臭素対臭素安定剤中に存在する窒素のモル比は約2.0:1〜約0.5:1の範囲である。用いられる安定剤はビウレット、スクシンイミド、ウレア、各置換基中に約2〜約4個の炭素原子を含有する低級脂肪族モノ−もしくはジ置換ウレア、スルファミン酸又は式RSONHのアルキルスルホンアミドであり、ここでRはメチル又はエチル基である。溶液は約8〜約10の範囲のpHを溶液において与えるのに十分な水酸化物添加剤も含有し、水酸化物添加剤はアルカリ土類水酸化物又はアルカリ金属水酸化物である。
【0009】
Dallmier et al.への特許文献4は、アルカリもしくはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩の水溶液を水溶性ブロミドイオン源と混合して非安定化アルカリもしくはアルカリ土類金属次亜塩素酸塩の溶液を調製することによる、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属次亜臭素酸塩水溶液の調製を議論している。この溶液に、少なくとも50℃の温度を有し、且つ約0.5〜約6のアルカリ金属スルファメート対アルカリもしくはアルカリ土類金属次亜臭素酸塩のモル比を与える量におけるアルカリ金属スルファメートの水溶液を加え、それにより安定化されたアルカリもしくはアルカリ土類金属次亜臭素酸塩水溶液を調製する。Dallmier et al.の特許は、Goodenough et al.の方法と比較して、もっとずっと高いレベルの消毒に利用可能なハロゲンがこの方法により得られたと記載している。しかしDallmier et al.の特許は、彼らの方法において不安定なNaOBrが生成した後迅速に安定化が起こらなければ
ならないことを認めている。
【0010】
殺生物的に活性な臭素の濃厚水溶液を調製する−ならびにそうする中でも、塩化臭素から生成する新規且つ顕著に有用な濃厚殺生物性水溶液を与える−ための新規なプロセス技術は、所有者が共通する特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16及び特許文献17に示されており、それらのすべての開示は引用することにより本明細書の内容となる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,886,915号明細書
【特許文献2】米国特許第4,966,716号明細書
【特許文献3】米国特許第3,558,503号明細書
【特許文献4】米国特許第5,683,654号明細書
【特許文献5】米国特許第6,068,861号明細書
【特許文献6】米国特許第6,299,909号明細書
【特許文献7】米国特許第6,306,441号明細書
【特許文献8】米国特許第6,322,822号明細書
【特許文献9】米国特許第6,348,219号明細書
【特許文献10】米国特許第6,352,725号明細書
【特許文献11】米国特許第6,495,169号明細書
【特許文献12】米国特許第6,506,418号明細書
【特許文献13】米国特許第6,511,682号明細書
【特許文献14】公開米国特許出願第2003/0104074号明細書
【特許文献15】公開米国特許出願第2003/0113383号明細書
【特許文献16】公開米国特許出願第2004/0022874号明細書
【特許文献17】公開米国特許出願第2005/0147696号明細書
【発明の開示】
【0012】
発明の概略
今回、前記の所有者が共通する特許の濃厚殺生物性水溶液の調製において用いられる塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸の相対的割合を注意深く制御することにより、生成物安定性−それは非常に優れている−をもっと徹底させることができることが見出された。かくして本発明は、もっと徹底したすばらしい安定性を有する活性臭素−含有濃厚殺生物性水溶液を提供する。
【0013】
本発明は、塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される新規且つ顕著に有用な濃厚殺生物性水溶液を提供するものであり、ここで濃厚溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜17.5重量部の水酸化ナトリウム及び11.0〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである。これらの相対的割合におけるこれらの成分から調製される濃厚殺生物性水溶液中の活性臭素の濃度は、仕上げられた生成物溶液が、溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する限り、変り得る。上記のもっと徹底した安定性を達成するために、濃厚溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜16.9重量部の水酸化ナトリウム及び11.3〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである。本発明に従う殺生物性溶液は、比較的安価な原材料から経済的且つ直截的に調製することができ、それらの有効性の故に、そのような殺生物性溶液は経済的ベースで(on an economical basis)殺生物的抑制を与えることができる。本発明の活性臭素含有濃厚殺生物性水溶液の調製方法も本発明により提供される。
【0014】
本発明の1つの態様は、塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される濃厚殺生物性水溶液である。濃厚溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜17.5重量部の水酸化ナトリウム及び11.0〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである。得られる濃厚殺生物性水溶液は溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する。
【0015】
本発明の他の態様は、
A)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製される濃厚殺生物性水溶液である。A)、B)及びC)の濃度はそれぞれ濃厚殺生物性水溶液の調製において用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づく。
【0016】
本発明のさらに別の態様は、濃厚殺生物性水溶液の調製方法である。方法は、
a)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
b)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;
c)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸;及び
d)水
をいずれかの下位組み合わせ(subcombinations)において且ついずれかの順序で一緒に混合することを含む。a)、b)及びc)の濃度はそれぞれ、濃厚殺生物性水溶液の調製において用いられるa)、b)、c)及び水の合計量に基づく。
【0017】
本発明の上記及び他の態様は、続く記述及び添付される請求項からさらにもっと明らかになるであろう。
【0018】
図面の簡単な記述
図1は、本発明の濃厚殺生物性水溶液の104°Fにおける熱安定性を、殺生物性溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比が本発明の重量比の範囲外である殺生物性溶液と比較するグラフである。
【0019】
図2は、本発明の濃厚殺生物性水溶液の130°Fにおける熱安定性を、殺生物性溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比が本発明の重量比の範囲外である殺生物性溶液と比較するグラフである。
【0020】
本発明のさらに詳細な記述
前記の所有者が共通する特許のいずれの方法も、これらの新規な濃厚殺生物性水溶液の調製において用いることができ、但し、塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸は前記の本発明の概略において示された相対的な割合で用いられ、濃厚溶液の調製において用いられる水の量に対する量は、仕上げられた生成物溶液が溶液の合計重量に基づいて重量に基づく少なくとも100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有するような量である。本発明のこれらの仕上げられた生成物溶液は、例えば溶液の合計重量に基づいて約145,000〜約160,000ppm(重量/重量)のような多くの活性臭素を含有することができる。事実、本発明に従って約180,000ppm(重量/重量)かもしくはそれより多くのような多い活性臭素(溶液の合計重量に基づいて)を有する仕上げられた生成物溶液を調製し、提供することができる。
【0021】
本明細書で特に他にことわれなければ、ppmは溶液の合計重量に基づく百万部当たりの部(重量/重量)を意味する。これに関し、百万部当たりの部(重量/重量)と重量パーセントの間には関連性がある。例えば100,000ppm(重量/重量)は通常10重量%に等しいと考えられる。
【0022】
塩化臭素は通常臭素と塩素から生成する。本発明の組成物のそれぞれにおいて、用いられる塩化臭素は平衡混合物であると思われる。かくして臭素及び塩素が1:1以外のモル比で混合されると、塩化臭素は過剰に用いられるハロゲンも含有すると思われる。好ましくは、等モル量の臭素及び塩素又はわずかに過剰の臭素を、本発明の実施において用いられる塩化臭素の製造において用いる。
【0023】
本発明の濃厚殺生物性水溶液を調製する時に最も有効に塩化臭素を用いるために、塩化臭素を加圧下の液体の状態で、そして典型的には平衡混合物が実際に約85モルパーセントの塩化臭素、約7.5モルパーセントの臭素及び約7.5モルパーセントの塩素を含有するような条件下で供給する。かくして塩化臭素に対して本明細書で示される割合は、そのような液体平衡混合物の使用に基づく。これと同じ関係で、スルファミン酸及び水酸化ナトリウムに関して本明細書に示される割合は、それらが固体状態にあり且つ商業的な純度のものである場合の材料に関する。
【0024】
本発明に従うと、塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比は、これらの3つの成分のみの合わされた重量に基づいて計算される。溶液の調製に用いられる他の物質(水のような)はこの比率の計算から排除される。例えば水酸化ナトリウムを水溶液として供給することができても、計算では水酸化ナトリウム自身の重量のみが用いられる。塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比を計算する場合、上記で議論した通り、塩化臭素のすべてが塩化臭素の形態にあり得ないことが理解されても、塩化臭素の製造に用いられる臭素と塩素の合わせられた重量を比率の計算に用いる。
【0025】
「活性臭素」という用語は、もちろん、殺生物的に活性であることができるすべての臭
素−含有種を指す。+1酸化状態にある臭素のすべてが殺生物的に活性であり、かくして、「活性臭素」という用語内に含まれることは、当該技術分野において一般に受け入れられている。当該技術分野において周知の通り、塩化臭素は+1酸化状態における臭素を有する。かくして、塩化臭素は−ならびに他のそのような種はそれらが存在する程度まで−本発明の溶液の活性臭素含有率を構成する。例えば、米国特許第4,382,799号明細書及び米国特許第5,679,239号明細書を参照されたい。溶液中の活性臭素の量の決定のための当該技術分野において十分に確立された方法は、デンプン−ヨウ素滴定であり、それはどのような種が活性臭素を構成してい得るかにかかわらず、試料中のすべての活性臭素を決定する。臭素及び多くの他の酸化剤の定量的決定のための古典的なデンプン−ヨウ素法の有用性及び精度は長い前から既知であり、例えば、Willard−Furman,Elementary Quantitative Analysis,第3版,D.Van Nostrand Company,Inc.,New York,Copyright 1933,1935,1940の第XIV章に証明されている。
【0026】
活性臭素の決定のための典型的なデンプン−ヨウ素滴定は以下の通りに行なわれる。電磁攪拌機及び50ミリリットル(mL)の氷酢酸をヨウ素フラスコ中に入れる。活性臭素を決定されるべき試料(通常は約0.2〜0.5g)を秤量し、酢酸を含有するフラスコに加える。水(50mL)及びヨウ化カリウム水溶液(15%(重量/重量);25mL)を次いでフラスコに加える。水封を用いてフラスコをストッパーでふさぐ。次いで、溶液を15分間攪拌し、その後フラスコからストッパーを除去し、ストッパー及び封止領域を水でフラスコ内に濯ぐ。自動ビュレット(Metrohm Limited)に0.1規定(N)のチオ硫酸ナトリウムを満たす。ヨウ素フラスコ中の溶液を0.1Nチオ硫酸ナトリウムを用いて滴定する;薄い黄色が観察されたら、水中の1重量%デンプン溶液の1mLを加え、フラスコ中の溶液の色を薄い黄色から青に変える。チオ硫酸ナトリウムを用いる滴定を、青色が消失するまで続ける。試料の重量及び滴定されたチオ硫酸ナトリウム溶液の体積を用いて活性臭素の量を計算する。かくして、本発明の組成物中の活性臭素の量を、実際の化学的形態にかかわらず、定量的に決定することができる。
【0027】
1つの態様において、本発明の濃厚殺生物性水溶液は塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される。濃厚殺生物性水溶液の調製において水も用いられる。濃厚溶液の調製に用いられる塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸の量は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜17.5重量部の水酸化ナトリウム及び11.0〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるような塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比におけるものである。示される比率における塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される濃厚殺生物性水溶液は、濃厚殺生物性水溶液が溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有するのに十分に高い塩化臭素の濃度を有する。好ましくは、濃厚殺生物性水溶液は、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に15.3〜16.9重量部の水酸化ナトリウム及び11.3〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられて濃厚殺生物性水溶液が調製されるようなものである;これらの好ましい範囲において、上記のもっと徹底した安定性を達成することができる。
【0028】
より好ましい態様において、本発明の濃厚殺生物性水溶液は、用いられる塩化臭素の10.8〜11.2重量部毎に16.1〜16.8重量部の水酸化ナトリウム及び11.6〜11.9重量部のスルファミン酸が用いられて濃厚殺生物性水溶液が調製されるようなものである。公称的に(nominally)、そのような割合は約11.0重量部の塩化臭素、約16.1重量部の水酸化ナトリウム及び約11.9重量部のスルファミン酸である。これらのより好ましい割合も、調製される濃厚殺生物性水溶液に関するもっと徹底した安定性の達成を可能にする。
【0029】
他の態様において、本発明の濃厚殺生物性水溶液は:
A)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製される。A)、B)及びC)の濃度はそれぞれ濃厚殺生物性水溶液の調製において用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づく。「の濃度に等しい量における」という句は、濃厚殺生物性水溶液の調製のために加えられる塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸の量が、加えられる量が挙げられている範囲内の濃度を与えるであろうようなものであることを意味する。好ましくは、上記で言及したもっと徹底した安定性を達成するために、水酸化ナトリウムは約153,000〜約169,000ppm(重量/重量)の溶液中における濃度を与える量で加えられる;好ましい範囲において上記のもっと徹底した安定性を達成することができる。
【0030】
より好ましい態様において、本発明の濃厚殺生物性水溶液は:
A)約108,000〜約112,000ppm(重量/重量)の塩化臭素;
B)約161,000〜約168,000ppm(重量/重量)の水酸化ナトリウム;及び
C)約116,000〜約119,000ppm(重量/重量)のスルファミン酸が加えられる水から調製される。これらのより好ましい割合も、調製される濃厚殺生物性水溶液に関するもっと徹底した安定性の達成を可能にする。そのような濃度は、公称的に約110,000ppmの塩化臭素、約161,000ppmの水酸化ナトリウム及び約119,000ppmのスルファミン酸を含有する殺生物性溶液を与える。
【0031】
上記の態様のいずれにおいても、濃厚殺生物性水溶液を調製する場合に水酸化ナトリウムの少なくとも一部を水溶液の形態で用いることができる。
【0032】
他の態様において、本発明は濃厚殺生物性水溶液の調製方法を提供する。方法は:
a)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
b)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;
c)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸;及び
d)水
をいずれかの下位組み合わせにおいて且ついずれかの順序で一緒に混合することを含んでなる。a)、b)及びc)の濃度はそれぞれ、濃厚殺生物性水溶液の調製に用いられるa)、b)、c)及び水の合計量に基づく。「の濃度に等しい量における」という句は、濃厚殺生物性水溶液の調製のために一緒に混合される塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸の量が、混合される量が挙げられている範囲内の濃度を与えるであろうようなものであることを意味する。好ましくは、塩化臭素、水酸化ナトリウム、スルファミン酸及び水を一緒に混合することにより調製される濃厚殺生物性水溶液は、少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する。より好ましくは、濃厚殺生物性水溶液は約145,000〜約160,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する。
【0033】
好ましい態様において、濃厚殺生物性水溶液の調製方法は:
a)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に
等しい量における塩化臭素;
b)約153,000〜約169,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;
c)約113,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸;及び
d)水
をいずれかの下位組み合わせにおいて且ついずれかの順序で一緒に混合することを含んでなる。これらの好ましい範囲内で、上記のもっと徹底した安定性を達成することができる。
【0034】
より好ましい態様において、濃厚殺生物性水溶液の調製方法は:
a)約108,000〜約112,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
b)約161,000〜約168,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;
c)約116,000〜約119,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸;及び
d)水
をいずれかの下位組み合わせにおいて且ついずれかの順序で一緒に混合することを含んでなる。より好ましい割合も、調製される濃厚殺生物性水溶液に関するもっと徹底した安定性の達成を可能にする。そのような濃度は、公称的にa)が公称約110,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量にあり、公称的にb)が約161,000ppm(重量/重量)の水酸化ナトリウムの濃度に等しい量にあり、公称的にc)が約119,000ppm(重量/重量)のスルファミン酸の濃度に等しい量にある殺生物性溶液を与える。
【0035】
好ましい態様において、(i)水酸化ナトリウムはいずれかのアルカリ金属水酸化物であるか;あるいは(ii)スルファミン酸はアルカリ金属スルファメートであるか;あるいは(iii)水酸化ナトリウムはいずれかのアルカリ金属水酸化物であり、且つスルファミン酸はアルカリ金属スルファメートである。より好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの両方である。アルカリ金属スルファメートとしてさらにもっと好ましいのは、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム又はスルファミン酸ナトリウムとスルファミン酸カリウムの両方である。非常に好ましいアルカリ金属スルファメートはスルファミン酸ナトリウムである。
【0036】
上記の態様のすべてにおいて、溶液の水の少なくとも一部を水酸化ナトリウムと一緒に、及び/又はスルファミン酸と一緒に、及び/又は別の供給路を介して導入することができる。上記の態様のすべての中のppm(重量/重量)における量は、調製される殺生物性溶液の合計重量に基づく。
【0037】
水酸化ナトリウム及びスルファミン酸は好適に用いられるが、本発明の実施において、当量の他のアルカリ金属水酸化物及び当量のスルファミン酸のアルカリ金属塩を本発明の態様のすべてにおいて用いることができる。2種もしくはそれより多いアルカリ金属水酸化物の混合物及び/又は2種もしくはそれより多いアルカリ金属スルファメートの混合物を用いることができる。1種もしくはそれより多いアルカリ金属スルファメートとスルファミン酸の混合物も用いることができる。簡単にするために、1種のアルカリ金属水酸化物を用いるのが好ましく、且つスルファミン酸のみを用いるか、1種のアルカリ金属スルファメートとして用いるか、又はスルファミン酸と1種のアルカリ金属スルファメートの混合物として用いるのも好ましい。好ましくは、本発明の実施において用いられるアルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである;より好ましくは、アルカリ金属水酸化物は水酸化ナトリウムである。好ましいアルカリ金属スルファメートはスルファミン酸ナトリウム及びスルファミン酸カリウムであり、スルファミン酸ナトリウムがより好ましい。
【0038】
本発明の濃厚殺生物性水溶液に場合による成分が含まれることができる。これらの場合による成分には芳香剤、安定剤、腐蝕防止剤、染料、他の殺生物剤、界面活性剤、泡起剤、希釈剤、ビルダー、キレート剤、分散剤などが含まれる。そのような補助材料はもちろん殺生物性溶液と適合性でなくてはならず、どのような具体的なやり方においても(in any material way)濃厚殺生物性水溶液の性能特性を妨害してはならない。
【0039】
本発明の濃厚生成物水溶液の調製において用いられるスルファミン酸のいくらか又はすべてを最初にいくらかの水酸化ナトリウムにより中和して、スルファミン酸ナトリウムを生成させ、それを次いで水酸化ナトリウムの残りと共にそのような濃厚殺生物性水溶液の調製において用いることができることは、理解されねばならない。言い換えると、(I)スルファミン酸及び/又はスルファミン酸のアルカリ金属塩ならびに(II)アルカリ金属塩基を、少なくとも12のpHを有するスルファミン酸のアルカリ金属塩の水溶液が生成するような割合において水中で一緒に混合することにより、スルファミン酸のアルカリ金属塩の水溶液を予備調製することができる。アルカリ金属スルファメートの調製のための出発材料としてスルファミン酸自身を用いる場合、それを最初に水中のスラリとして用い、それとアルカリ金属塩基を混合する。
【0040】
スルファミン酸のアルカリ金属塩の水溶液(好ましくはスルファミン酸と水酸化ナトリウムから生成する)中に塩化臭素を導入する場合、溶液中に追加のアルカリ金属塩基も導入することによって(所望の通り継続的又は断続的に)、例えば塩化臭素の供給の間にアルカリ金属塩基の水溶液(好ましくは水酸化ナトリウムの水溶液)を同時−供給(co−feed)することにより、溶液の所望のpHを7かもしくはそれより高く保つのが望ましい。濃厚殺生物性水溶液を貯蔵するべき場合(例えばドラム中に)、そして特に長時間貯蔵している場合、そのような溶液のpHを約10かもしくはそれより高くに有するのが望ましい。本発明の濃厚殺生物性水溶液は、好ましくは少なくとも約12のpHを有する;より好ましいのは約12.5〜約14の範囲内のpHである。さらにもっと好ましくは、濃厚殺生物性水溶液のpHは約13〜約14の範囲内にある。
【0041】
スルファミン酸を用いる本発明の組成物の調製のための制限ではない一般的な方法は、第1段階として水中のスルファミン酸のスラリの調製を含む。典型的には、このスラリのpHは1pH単位低い。次いで固体が完全に溶解するまで水酸化ナトリウム(例えば25重量%又は50重量%濃度において)を加える。所望のpHに達するまで追加の水酸化ナトリウム(例えば25重量%又は50重量%濃度において)を加える。次いで塩化臭素が溶解し、且つ反応器の底にハロゲンのプールを形成することなくスルファミン酸と反応するのを可能にする速度で塩化臭素を加える。実験室規模では、簡便な添加速度は1秒当たり約2滴である。所望のpH(例えば7〜約13.5の範囲内、そして13.5〜14の範囲内のpHにおいてさえ操作することが可能であり得る)を保持するために、水酸化ナトリウム(例えば25重量%又は50重量%)を反応器に同時−供給する。本発明の方法により、塩化臭素として16重量%のような多くの活性臭素を含有する安定な溶液を調製できることが見出された。
【0042】
現在、もっと大規模に本発明の方法を実施する好ましい方法は、反応器に水、アルカリ金属水酸化物水溶液(好ましくは水酸化ナトリウム水溶液)、スルファミン酸及び次いで塩化臭素を装入することを含む。成分の好ましい割合は、合計100重量部に関して12
.7重量部の水、64.4重量部の水酸化ナトリウム25重量%水溶液、11.9重量部のスルファミン酸及び11重量部の塩化臭素である。好ましくは、これらの成分を挙げた順序で装入する。しかしながら、塩化臭素を最後に装入する限り、他の3つの成分の添加の順序を変えることができる。用いられる塩化臭素は、好ましくは68.9〜73.1重量%の範囲内の臭素を含有する。しかしながら、望ましければ、純粋な塩化臭素又は塩化臭素と臭素の他の組み合わせを用い、有効な生成物を調製することができる。塩化臭素の添加の間の混合物の温度は、好ましくは50℃を超えることが許されないが、温度は短時間50℃より高くなることが悪影響なく許され得る。高められた温度への長時間の暴露は、生成物の分解を引き起こす傾向があり、かくして避けられるべきである。この方法で調製される得られる生成物殺生物性溶液中の塩化臭素濃度(及びそのような溶液中で活性な塩化臭素が存在するいずれの単数種もしくは複数種の化学的形態においても)は、約10.5重量%〜約11.5重量%(すなわち約105,000〜約115,000ppm(重量/重量))の範囲内であり、そして好ましくは約10.8重量%〜約11.2重量%(すなわち約108,000〜約112,000ppm(重量%/重量%))の範囲内である。活性臭素の濃度の決定はもちろん、デンプン−ヨウ素滴定により容易に行なわれ得る。本節に記載される通りに操作する場合、生成物溶液の最終的なpHは約12.4〜約13.7の範囲内である。
【0043】
直前の節に記載される方法をもっと大規模に行なう他の好ましい方法は、半−連続的又は半−バッチ様式における方法である。これはアルカリ金属スルファメート溶液、好ましくはスルファミン酸ナトリウム溶液を調製し(苛性アルカリ、水及びスルファミン酸を用いて)、スルファメート溶液を含有する適した容器(反応器、タンクなど)中に塩化臭素を供給することを含む。BrClはスルファミン酸ナトリウム水溶液の容器中に直接進むことができるか、あるいは容器上のポンプアラウンドループ(pumparound loop)中に進むことができる。BrClを前もって調製することができるか、あるいはパイプ中で混合要素(mixing element)を用いるかもしくは用いずに臭素と塩素を一緒に継続的に混合することにより調製し、次いでBrClを単離せずにそれをスルファミン酸ナトリウム水溶液中に直接注入することができる。BrClの継続的調製の利点は、別のBrCl反応器又は貯蔵タンクの所有ならびに大量のこの材料をプラント施設上で貯蔵しておく必要性をこれが避けることである。
【実施例】
【0044】
以下の実施例を制限ではなく例示の目的で示す。これらの実施例は本発明の濃厚殺生物性水溶液の調製のための好ましい方法を示す。
【0045】
実施例1
本発明の好ましい組成物の調製において用いられる成分の合計量は以下の通りである:7.81gの臭素、3.19gの塩素(塩化臭素の生成のため)、32.2gの水酸化ナトリウム50重量%水溶液、11.9gのスルファミン酸及び44.9gの水。用いられる方法は、反応器に水を装入し、続いて温度を約70〜約80°F(約21〜約27℃)に、且つpHを約9〜約12に保持しながらスルファミン酸及び水酸化ナトリウム50重量%水溶液を別々に反応器に同時供給することを含む。次に約80°Fより低い温度(約26℃かもしくはそれ未満)及び約8〜約12の範囲内のpHを保持しながら塩化臭素及び水酸化ナトリウム50%水溶液を反応器中に別々に同時−供給する。次いで混合物をこれらの条件下に約15分間保持する。次いで水酸化ナトリウム50重量%水溶液の残りを加える。典型的には、得られる生成物溶液のpHは約12より高いであろう。
【0046】
実施例2
500mLの丸底フラスコに水(129.1g)及びスルファミン酸(112.3g)を装入した。得られるスラリを攪拌し、次いで水酸化ナトリウム水溶液(50重量%,3
03.7g)をゆっくり導入した。添加の間、フラスコの内容物を30℃より低く保った。塩素(31.2g)を75.9gの臭素に加え(塩化臭素の生成のため)、次いでフラスコに加えた。添加の間、再びフラスコの内容物を30℃より低く保った。塩化臭素の添加の最後に、わずかに曇ったオレンジ色の溶液が得られた。溶液は11.0:15.6:11.5のBrCl:NaOH:スルファミン酸の比率を有した。生成物溶液の活性は塩化臭素として15.9重量%であることがデンプン−ヨウ素滴定により決定され、それはBrに基づいて22.0重量%の活性臭素に相当した。
【0047】
実施例3
商業的な寸法のガラスライニングが施された反応器に水を装入した。pHを9〜12に保持しながらスルファミン酸及び水酸化ナトリウム(50重量%)を同時−供給した。次いで塩化臭素及び水酸化ナトリウム水溶液(50重量%)を本質的に同じ条件下で同時−供給し、続いて水酸化ナトリウム水溶液(50重量%)の最後の装入を行なって溶液のpHを12より高くした。これらの操作の間の温度は80°F(〜27℃)かもしくはそれ未満に保持された。用いられた試薬の量は、11.2部のBrCl、16.1部の水酸化ナトリウム(100%固体に基づいて)及び11.6部のスルファミン酸が反応器に加えられたような量であった。生成物の活性は、BrClとして11.0重量%であることがKI/チオ硫酸塩法により決定された。これはBrに基づいて15.2重量%の活性臭素に相当する。生成物溶液のpHは13.4であった。
【0048】
実施例4
実施例3に記載される通りに溶液を調製した。用いられた試薬の量は、11.2部のBrCl、16.1部の水酸化ナトリウム(100%固体に基づいて)及び11.6部のスルファミン酸が反応器に加えられたような量であった。生成物の活性は、BrClとして11.1重量%であることがKI/チオ硫酸塩法により決定され、これはBrに基づいて15.4重量%の活性臭素に相当する。生成物溶液のpHは13.5であった。
【0049】
実施例5
実施例3及び4に記載される通りに本発明の溶液(実験1〜3)を調製した。比較のために、〜11.0部のBrCl、〜14.75部の水酸化ナトリウム及び〜13.0部のスルファミン酸を有する溶液も調製した(実験A;この溶液の調製は、他の点では実施例3及び4における調製に類似していた)。それらの熱安定性を調べるために、これらの溶液の試料を室温、104°F(40℃)又は130°F(54℃)に3〜6ヶ月間暴露した。これらの研究の結果を表1〜3にまとめる;表1〜3における活性は、BrClとして重量パーセントに示される。溶液の活性はKI/チオ硫酸塩法により決定された。「保持」と標識された欄は、最初の活性のどれ位が時間経過の後に残るかを示す。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
表1〜3は、実験Aの比較溶液は安定であるが、本発明の溶液(実験1〜3)は時間を経て、特に高められた温度に長時間暴露されると、もっと徹底した安定性を示すことを示している。表2における保持された活性のパーセントに関するデータを図1においてグラフにより示し、表3における保持された活性のパーセントに関するデータを図2においてグラフにより示す。図は、104°F及び130°Fの両方に関し、調べられた溶液のすべてにおいて活性の量が減少するが、本発明の溶液(図中で1、2及び3と標識)は比較溶液(図中でAと標識)の活性の量と比較して、時間を経てそれより多い活性の量を保持したことを示す。
【0054】
前記の請求項は現在形で(「含む」、「である」など)物質、成分(components)及び/又は成分(ingredients)に言及するかも知れないが、言及は、それが最初に1種もしくはそれより多い他の物質、成分及び/又は成分と接触、配合又は混合された直前の時点にそれが存在する時の、あるいは溶液中で生成する場合、それが溶液中で生成しない場合にそれが存在する時の、すべて本開示に従う物質、成分又は成分への言及である。本開示に従って実施されれば、物質、成分(component)又は成分(ingredient)がそのような接触、配合、混合又はその場生成の経過中に化学反応又は変換を介してその最初のアイデンティティー(identity)を失い得ることは問題ではない。
【0055】
本明細書のいずれの部分において引用されたそれぞれの及びすべての特許又は公開文献も、引用することにより、本明細書に完全に示されるかのように本開示の内容となる。
【0056】
本発明は、その実施において有意な変動を許す。従って前記の記述は本発明を上記に示した特定の例に制限するつもりはなく、制限するとみなされるべきではない。むしろ、包含されることが意図されていることは、前記の請求項及び法律問題として許されるそれらの同等事項に示される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の濃厚殺生物性水溶液の104°Fにおける熱安定性を、殺生物性溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比が本発明の重量比の範囲外である殺生物性溶液と比較するグラフ。
【図2】本発明の濃厚殺生物性水溶液の130°Fにおける熱安定性を、殺生物性溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比が本発明の重量比の範囲外である殺生物性溶液と比較するグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化臭素、水酸化ナトリウム及びスルファミン酸から調製される濃厚殺生物性水溶液であって、濃厚溶液の調製において用いられる塩化臭素:水酸化ナトリウム:スルファミン酸の重量比が、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に、15.3〜17.5重量部の水酸化ナトリウム及び11.0〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものであり、該殺生物性溶液が該溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する濃厚殺生物性水溶液。
【請求項2】
該重量比が、用いられる塩化臭素の10.5〜11.5重量部毎に、15.3〜16.9重量部の水酸化ナトリウム及び11.3〜12.5重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
該重量比が、用いられる塩化臭素の10.8〜11.2重量部毎に、16.1〜16.8重量部の水酸化ナトリウム及び11.6〜11.9重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである請求項1に記載の溶液。
【請求項4】
該重量比が、用いられる塩化臭素の11.0重量部毎に、約16.1重量部の水酸化ナトリウム及び約11.9重量部のスルファミン酸が用いられるようなものである請求項3に記載の溶液。
【請求項5】
該殺生物性溶液が少なくとも約12のpHを有する請求項4に記載の溶液。
【請求項6】
該殺生物性溶液が約145,000〜約160,000ppm(重量/重量)の範囲内の活性臭素を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の溶液。
【請求項7】
水酸化ナトリウムの少なくとも一部が水溶液の形態で用いられる請求項1〜5のいずれかに記載の溶液。
【請求項8】
該殺生物性溶液が少なくとも約10のpHを有する請求項1〜5のいずれかに記載の溶液。
【請求項9】
A)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製され、ここでA)、B)及びC)の濃度がそれぞれ用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づくものである濃厚殺生物性水溶液。
【請求項10】
A)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)約153,000〜約169,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)約113,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製され、ここでA)、B)及びC)の濃度がそれぞれ用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づくものである請求項9に記載の溶液。
【請求項11】
A)約108,000〜約112,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)約161,000〜約168,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)約116,000〜約119,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製され、ここでA)、B)及びC)の濃度がそれぞれ用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づくものである請求項9に記載の溶液。
【請求項12】
A)公称的に(nominally)約110,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
B)公称的に約161,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;及び
C)公称的に約119,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸
が加えられた水から調製され、ここでA)、B)及びC)の濃度がそれぞれ用いられるA)、B)、C)及び水の合計量に基づくものである請求項11に記載の溶液。
【請求項13】
該殺生物性溶液が少なくとも約12のpHを有する請求項12に記載の溶液。
【請求項14】
該殺生物性溶液が少なくとも約10のpHを有する請求項9〜12のいずれかに記載の溶液。
【請求項15】
該殺生物性溶液が該溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を有する請求項9〜12のいずれかに記載の溶液。
【請求項16】
該殺生物性溶液が該溶液の合計重量に基づいて約145,000〜約160,000ppm(重量/重量)の範囲内の活性臭素を含有する請求項9〜12のいずれかに記載の溶液。
【請求項17】
(i)水酸化ナトリウムの少なくとも一部の代わりに当量の少なくとも1種の他のアルカリ金属水酸化物が用いられるか;あるいは(ii)スルファミン酸の少なくとも一部の代わりに当量のアルカリ金属スルファメートが用いられるか;あるいは(iii)水酸化ナトリウムの少なくとも一部の代わりに当量の少なくとも1種の他のアルカリ金属水酸化物が用いられ且つスルファミン酸の少なくとも一部の代わりに当量のアルカリ金属スルファメートが用いられる請求項1又は9に記載の溶液。
【請求項18】
アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの両方である請求項17に記載の溶液。
【請求項19】
アルカリ金属スルファメートがスルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム又はスルファミン酸ナトリウムとスルファミン酸カリウムの両方である請求項17に記載の溶液。
【請求項20】
a)約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量における塩化臭素;
b)約153,000〜約175,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量における水酸化ナトリウム;
c)約110,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量におけるスルファミン酸;及び
d)水
をいずれかの下位組み合わせ(subcombinations)において且つ任意の順序で一緒に混合することを含んでなり、ここでa)、b)及びc)の濃度がそれぞれ用いられるa)、b)、c)及び水の合計量に基づくものである濃厚殺生物性水溶液の調製方法。
【請求項21】
a)における量が約105,000〜約115,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量であり、b)における量が約153,000〜約169,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量であり、且つc)における量が約113,000〜約125,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
a)における量が約108,000〜約112,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量であり、b)における量が約161,000〜約168,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量であり、且つc)における量が約116,000〜約119,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
a)における量が公称的に約110,000ppm(重量/重量)である塩化臭素の濃度に等しい量であり、b)における量が公称的に約161,000ppm(重量/重量)である水酸化ナトリウムの濃度に等しい量であり、且つc)における量が公称的に約119,000ppm(重量/重量)であるスルファミン酸の濃度に等しい量である請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該一緒の混合が該溶液の合計重量に基づいて少なくとも約100,000ppm(重量/重量)の活性臭素を含有する殺生物性溶液を形成する請求項20〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
該一緒の混合が該溶液の合計重量に基づいて約145,000〜約160,000ppm(重量/重量)の範囲内の活性臭素を含有する殺生物性溶液を形成する請求項20〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
(i)水酸化ナトリウムがいずれかのアルカリ金属水酸化物であるか;あるいは(ii)スルファミン酸がアルカリ金属スルファメートであるか;あるいは(iii)水酸化ナトリウムがいずれかのアルカリ金属水酸化物であり且つスルファミン酸がアルカリ金属スルファメートである請求項20に記載の方法。
【請求項27】
アルカリ金属水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの両方である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
アルカリ金属スルファメートがスルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム又はスルファミン酸ナトリウムとスルファミン酸カリウムの両方である請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−512487(P2008−512487A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531387(P2007−531387)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/032239
【国際公開番号】WO2006/029354
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】