説明

濃縮乳固形濃度測定装置、及びこれを用いた濃縮乳の製造方法

【課題】
濃縮乳の固形濃度を算出する手段の提供、及びこれを用いて濃縮乳の濃縮条件を制御し濃縮乳を安定的に製造すること。
【解決手段】
濃縮乳の温度を測定する温度測定手段、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定手段、前記温度測定手段と前記粘度測定手段からの出力に基づいて濃縮乳の固形濃度を算出する手段とを有する濃縮乳固形濃度測定装置、及び濃縮乳の温度と粘度の測定結果から相関式によって濃縮乳の固形濃度を算出し、該固形濃度に応じ濃縮条件を制御して濃縮乳を安定的に製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳製品製造の濃縮工程において、濃縮乳の固形濃度をオンライン測定するための濃縮乳固形濃度測定装置、測定方法、及びこれを用いた濃縮乳の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原料乳の濃縮処理は、例えばチーズ製造において、原料組成の季節変動の規格化やカード生成設備の小型化、熱凝固を利用した連続カード生成等のために行われている。濃縮乳の固形濃度はカード生成で形成するカゼイン結合に多大な影響を及ぼすことが知られている。特に、限外ろ過濃縮乳を用いた連続チーズ製造においてチーズ原料乳の濃度が低いと含水率が高く弱いカードとなり、タンパク質の回収率が低下することが報告されている。また、加熱凝固を利用したカード生成においては、原料乳固形濃度の1%の変動でカードの硬さや水分が変動して食感が変わり、製品品質を安定させるためには原料乳の固形濃度を±1%の範囲で供給することが重要となる。
【0003】
従来、固形濃度の測定法には、(i)乾燥減量から求める方法(例えば、非特許文献1参照。)、(ii)カールフィッシャー法から求める方法(例えば、非特許文献2参照。)、(iii)赤外線の吸光度から求める方法、(iv)マイクロ波の減衰から求める方法、(v)光の屈折率利用方法(例えば、特許文献1参照。)等がある。また、粉乳、練乳、チーズ製造等の乳製品の製造工程において乳の濃縮処理は良く行われている。この濃縮処理での固形濃度が粒径、比重、粘度、硬さ等の製品特性や歩留に影響することから固形濃度計測は工程管理の重要な因子となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-304690号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】林 弘通 監修、「実務必携 乳業技術綜典 上巻」、p350、酪農技術普及学会(1977)
【非特許文献2】財団法人日本食品分析センター 編集、「分析実務者が書いた 五訂日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説」、pp19-22、中央法規(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来方法の固形濃度測定方法は、それぞれいくつかの欠点を有している。例えば、非特許文献1に記載される乾燥重量から求める方法は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」に規定された公定法であるが、測定に長時間を必要とし、さらに製造工程中のオンライン測定ができない。非特許文献2に記載されるカールフィッシャー法では、分析に費用、時間を要し、さらにオンライン測定が困難な操作が多い。赤外線の吸光度から求める方法では、赤外領域での吸収が大きく水分の吸収スペクトルに問題があり、測定可能な水分含有量の範囲が狭く、しかも高水分食品は測定が難しい。マイクロ波の減衰から求める方法、及び特許文献1に記載される光の屈折率利用方法は、オンライン可能な測定方法であるが、マイクロ波の減衰方法から求める方法では、塩分を含む場合は測定値への塩分の影響が大きく、この結果測定誤差が大きくなる。さらに、光の屈折率利用方法では、プリズムの汚れ付着の影響が大きく、長時間の測定で誤差が大きくなる。このように、従来の方法では乳の固形濃度を精度良くオンラインで測定するのが極めて困難であった。
特に、粉乳、練乳、チーズ製造等の乳製品の製造工程では、乳成分のタンパク質や脂肪等が計測器に付着しやすく、オンラインでの長時間の測定は、汚れ付着に伴う測定精度の低下が問題となる。そのため、簡易かつ安価な測定方法として屈折計を利用したオフラインのBrix(ブリックス)濃度測定がいまだ多用され、作業効率化の阻害要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、濃縮乳固形濃度と粘度には相関関係があることに着目して検討した結果、測定温度領域を10℃領域と50℃領域の温度帯に分けて相関式を求めることで、温度と測定粘度から濃縮乳の固形濃度を推定できることを見出し、本発明を完成した。なかでも、粘度測定に振動式粘度計を用いると、乳成分のタンパク質や脂肪等が付着しにくく、オンラインで長時間安定的に粘度測定が可能なことを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、下記のいずれかの構成からなる発明である。
(1)濃縮乳の温度を測定する温度測定手段、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定手段、前記温度測定手段と前記粘度測定手段からの出力に基づいて濃縮乳の固形濃度を算出する手段とを有する濃縮乳固形濃度測定装置。
(2)前記粘度測定手段において、オンライン型振動式粘度計を用いる上記(1)に記載の濃縮乳固形濃度測定装置。
(3)濃縮乳の温度を測定する温度測定工程、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定工程、前記温度測定工程と前記粘度測定工程からの出力を受けて濃縮乳の固形濃度を算出する工程を有する濃縮乳固形濃度測定方法。
(4)前記粘度測定工程において、オンライン型振動式粘度計を用いる上記(3)に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
(5)前記温度測定工程と前記粘度測定工程からの出力を受けて濃縮乳の固形濃度を算出する工程において、以下の相関式を用いる上記(3)又は(4)に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
S=A×Lnμ+B×T+C
ただし、上記式において、Sは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度、A、B、Cは原料乳と粘度を測定する温度帯によって定まる係数を表している。
(6)前記相関式において、前記濃縮乳の成分組成に応じて前記係数Cを補正する上記(5)に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
(7)濃縮乳の温度を測定する温度測定工程と、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定工程と、前記温度測定工程及び前記粘度測定工程より得られた測定結果から相関式によって濃縮乳の固形濃度を算出して制御する工程を有する濃縮乳の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
濃縮乳の温度を測定する温度測定手段、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定手段を設け、濃縮乳の温度と粘度の測定結果から濃縮乳の固形濃度をオンラインで長時間安定して精度よく算出することができる。更に、これを用い濃縮乳固形濃度を算出すると共に、濃縮条件を制御し、設定した固形濃度の濃縮乳を安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】脱脂乳をUF膜濃縮した濃縮乳の10℃領域における粘度と固形濃度の関係を示した図である(実施例1)。
【図2】脱脂乳をUF膜濃縮した濃縮乳の50℃領域における粘度と固形濃度の関係を示した図である(実施例2)。
【図3】本発明の方法で測定して算出した固形濃度と実測固形濃度の関係を示した図である(実施例3)。
【図4】本発明の装置にて連続的に固形濃度を26.5%に制御した時の固形濃度の経時変化を示した図である(実施例5)。
【図5】本発明を用いた濃縮乳固形濃度自動制御装置の構成を示した模式図である(実施例5)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における濃縮乳とは、全脂乳、脱脂乳、その他の乳原料を濃縮したものであり、例えば各種粉乳を製造する工程中の噴霧前の液状原料、各種練乳製品、チーズ製造におけるカード生成前のタンパク質濃度調整乳等が挙げられる。濃縮方法としては、限外ろ過(UF)膜、ナノろ過(NF)膜、透析ろ過(RO)膜等の膜を利用した膜濃縮や薄膜蒸発濃縮等一般的な濃縮方法を用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0012】
本発明において、濃縮乳の温度を測定する温度測定手段とは、連続的にオンラインで濃縮乳の温度を測定できるものであれば如何なるものでもよく、例えば、熱電対式、測温抵抗体式を用いることができる。ただし、温度測定手段は直接濃縮乳と接することから、食品機械装置のサニタリー規格(European Hygienic Equipment Design Group又は3-A Sanitary Standards)に適合していることが望ましい。なお、温度計に汚れが付着しても温度は伝熱で伝わるので、センサーとの界面の特性を測定する粘度計に比べて影響が出にくい。温度計としては、RD-18s Pt100(株式会社シマデン製)、TD-18S K(株式会社シマデン製)、NBR-100(株式会社ネツシン製)、NT966 K(株式会社ネツシン製)等を用いることができるが、特に限定されるものではない。
以上の温度測定手段により測定された値は、電気信号として出力され、濃縮乳の固形濃度を算出する手段に送られる。
【0013】
本発明における濃縮乳の粘度を測定する粘度測定手段とは、濃縮乳の粘度を連続的にオンラインで測定できるものであれば如何なるものでもよく、例えば、振動式粘度計としてねじれ振動を利用したFVM80A(CBC株式会社製)、超音波振動を利用したFUV-1(富士工業株式会社製)等を用いることができる。これら、オンライン型振動式粘度計は長時間安定して粘度測定が可能である。これは振動により粘度計への乳成分のタンパク質や脂肪等の付着が抑制されるためと考えられる。また、FVM80A(CBC株式会社製)のプローブは小型・堅牢で腐食に強いステンレス製であり、接液部はすべて溶接され、稼動部がないことからサニタリー性に優れている。さらに、粘度測定精度は測定値の±1%以内であり、広い粘度領域においてより精度の高い濃度制御が可能となるが、特にこれらに限定されるものではない。
以上の粘度測定手段により測定された値は、電気信号として出力され、濃縮乳の固形濃度を算出する手段に送られる。
【0014】
一般的に乳の粘度は固形分濃度に対して指数関数的に増加することが知られている。しかし、乳の粘度は可溶成分と浮遊成分に関係し、カゼインが最も影響し脂肪及びアルブミンの順となり、それら成分の状態変化に関係する熱変性、温度やpHの影響を受ける。このように乳の粘度に影響する因子は数多く存在するため、粘度で乳固形分濃度を測定することは行なわれてこなかった。
本発明者らは粘度と乳固形濃度の検討を進める中で、製造工程で制御を必要とする濃度範囲である15%〜30%と処理温度範囲10℃領域および50℃領域の粘度と温度の相関式で濃度を求められることを明らかにした。これは、製造工程では成分組成、pHや熱履歴が制御されているため、その他因子の影響が小さいためと考えられる。ここで、10℃領域とは、濃縮処理を行う5℃〜20℃範囲の温度帯をいい、また、50℃領域とは、濃縮処理を行う40℃〜60℃範囲の温度帯のことをいう。
【0015】
以上の理由から、後記する試験例から明らかなように対象とする製造工程や原料乳により係数に違いは生じるが、測定結果から次式によって濃縮乳の固形濃度の予測値を導くことができる。
S=A×Lnμ+B×T+C
ただし、上記式において、Sは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度、A、B、Cは原料乳と粘度を測定する温度帯によって定まる係数を表している。
【0016】
本発明によれば作成した相関式で濃縮乳の固形濃度を求めることができるが、産地や季節による成分組成の変動で相関式の係数が変化することがある。しかし、その影響は一般に乳製品の濃縮工程で使用する10℃領域や50℃領域の温度帯や、全固形濃度15%〜30%の濃度領域では相関式の傾きと切片(係数C)の変動を、係数Cの補正のみでより正確な固形濃度を算出できるようになる。したがって、濃度測定開始時に振動式粘度計による粘度と温度から算出した固形濃度と、乾燥減量法や光の屈折率を利用して測定した濃縮乳の固形濃度の差分を相関式のCから減じる補正を行なうことで、濃縮乳の固形濃度をより正確に導き出すことができる。
【実施例】
【0017】
以下に実施例を示し、本発明について詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
(限外ろ過(UF)膜による脱脂乳の濃縮処理)
UF膜濃縮により脱脂乳を50℃で濃縮処理した。使用したUF膜はDESAL PW4025T(GE Water Technologies社製)である。所定の濃縮倍率において採取した濃縮乳を恒温槽で6℃から18℃の間に調節し、ねじれ振動式粘度計(VISCOMATE FVM80A、CBC社製)による粘度、温度計(RD-18s Pt100 株式会社シマデン製)により温度を測定した。さらに、各濃縮乳の全固形分(TS:Total Solid)を乾燥減量法で測定した。
図1に粘度と固形濃度の関係を示した。横軸及び縦軸は、それぞれ粘度μの自然対数、及び固形濃度を示し、粘度測定温度は黒丸(●)が6℃、三角(△)が14℃、黒四角(■)が18℃を、それぞれ示している。これらデータから固形濃度(%)と粘度μ(mPa・s)と温度T(℃)の関係を一次式で近似すると、
S=3.608×Lnμ+0.245×T+7.217・・・(1)
となった。ただし、上記式(1)において、Sは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度を表す。
【0019】
〔実施例2〕
実施例1で調製した濃縮乳を恒温槽で44℃から55℃の間に調節し、ねじれ振動式粘度計による粘度(VISCOMATE FVM80A、CBC社製)、温度計(RD-18s Pt100 株式会社シマデン製)により温度を測定した。さらに、各濃縮乳の全固形分(TS:Total Solid)を乾燥減量法で測定した。この試験の結果を図2に示した。図2は粘度と固形濃度の関係を示し、図中横軸及び縦軸は、それぞれ粘度μの自然対数、及び固形濃度を示している。粘度測定温度は黒丸(●)が44℃、三角(△)が50℃、黒四角(■)が55℃を、それぞれ示している。これらデータから固形濃度(%)と粘度μ(mPa・s)と温度T(℃)の関係を一次式で近似すると、
S=3.144×Lnμ+0.110×T+12.055・・・(2)
となった。ただし、上記式(2)においてSは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度を表す。
【0020】
〔実施例3〕
UF膜(DESAL PW4025T、GE Water Technologies社製)で脱脂乳を濃縮処理し、適宜採取した濃縮乳の固形濃度と6〜18℃及び44〜55℃の温度帯の、ねじれ振動式粘度計(VISCOMATE FVM80A、CBC社製)による粘度、温度計(RD-18s Pt100 株式会社シマデン製)により温度を測定した。測定した温度帯に合わせて式(1)、式(2)を用いて粘度から固形濃度を算出した。図3に乾燥減量法で測定した実測固形濃度と算出固形濃度の関係を示した。図中横軸及び縦軸は、それぞれ実測固形濃度及び本発明による算出した固形濃度を示している。相関係数は0.96となり、実工程で制御を行なう濃度及び温度帯で両者がよく一致することが明らかとなった。
【0021】
〔実施例4〕
実施例1及び実施例3とは産地や季節が異なる脱脂乳A、Bを用意し、UF膜(DESAL PW4025T、GE Water Technologies社製)で濃縮処理した。濃縮倍率が3〜5倍の濃縮乳を採取して10℃の恒温槽で温度調節しながら10℃のねじれ振動式粘度計(VISCOMATE FVM80A、CBC社製)による粘度、温度計(RD-18s Pt100 株式会社シマデン製)により温度を測定し、乾燥減量法で固形濃度を測定した。そして、式(1)を用いて算出固形濃度を求め、実測固形濃度との差分を係数Cから減じて補正した相関式を式(3)とした。式(1)と式(3)からそれぞれ算出した固形濃度と実測固形濃度から求めた差の標準偏差を表1にまとめた。式(3)を用いた方が差の標準偏差は小さく、相関式の係数Cの補正を行なうことでより正確な濃度を算出できる結果を示した。
S=3.608×Lnμ+0.245×T+7.217-(算出固形濃度-実測固形濃度)・・・(3)
ただし、上記式(3)においてSは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度を示す。
【0022】
【表1】

【0023】
〔実施例5〕
(粘度からの推定値を利用した濃縮濃度制御)
本発明の一実施態様である濃縮乳固形濃度測定装置及び濃縮乳の製造装置の構成を図5に模式図で示した。濃縮乳固形濃度測定装置及び濃縮乳の製造装置は、供給ポンプ4、循環ポンプ5、膜モジュール6、自動圧力調節バルブ7から成る膜濃縮装置に、排出濃縮乳2bの粘度と温度を測定する計測器8、計測器の値から排出濃縮乳2bのBrix濃度を演算し、供給ポンプ4と圧力調整バルブ7の開度を制御する演算・制御システム9を付加して構成されている。演算・制御システムは測定粘度(超音波振動を利用したFUV-1、富士工業株式会社製を使用)と温度(TD-18S K、株式会社シマデン製を使用)から排出濃縮乳2bの濃縮乳の固形濃度を相関式を用いて算出し、設定より低い場合は供給ポンプ4の回転数を上げ、圧力調整バルブ7の開度を下げて濃縮倍率を高める調整を行ない、また、設定値より高い場合には濃縮倍率を低める調整を行なうことにより、目標設定固形濃度に調整することができる。
【0024】
この図5に示した装置を用いて脱脂乳を15時間連続で固形濃度26.5%に調整する濃縮を行った。また、排出濃縮乳を定期的に採取し固形濃度を乾燥減量法で測定した。粘度から式(1)を用いて算出した固形濃度(−実線)と実測の固形濃度(白丸(○))を経時的にプロットしたグラフを図4に示した。図4より15時間付近においても式(1)を用いて算出した固形濃度と実測固形濃度はよく一致していた。この結果から、振動式粘度計を用いた本発明の装置は長時間安定的に濃縮乳の固形濃度を測定することができ、精度の高い濃度制御が可能であることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の濃縮乳固形濃度測定装置は、粉乳、練乳、チーズ製造等の各種乳製品の製造における濃縮工程において用いることができ、また、これを用いて濃縮乳の製造方法における工程管理に用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1:原料乳(脱脂乳)
2:濃縮乳
2a:循環濃縮乳
2b:排出濃縮乳
3:透過液
4:供給ポンプ
5:循環ポンプ
6:膜モジュール
7:自動圧力調整バルブ
8:計測器(振動式粘度計&温度計)
9:演算・制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮乳の温度を測定する温度測定手段、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定手段、前記温度測定手段と前記粘度測定手段からの出力に基づいて濃縮乳の固形濃度を算出する手段とを有する濃縮乳固形濃度測定装置。
【請求項2】
前記粘度測定手段において、オンライン型振動式粘度計を用いる請求項1に記載の濃縮乳固形濃度測定装置。
【請求項3】
濃縮乳の温度を測定する温度測定工程、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定工程、前記温度測定工程と前記粘度測定工程からの出力を受けて濃縮乳の固形濃度を算出する工程を有する濃縮乳固形濃度測定方法。
【請求項4】
前記粘度測定工程において、オンライン型振動式粘度計を用いる請求項3に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
【請求項5】
前記温度測定工程と前記粘度測定工程からの出力を受けて濃縮乳の固形濃度を算出する工程において、以下の相関式を用いる請求項3又は4に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
S=A×Lnμ+B×T+C
ただし、上記式においてSは濃縮乳の固形濃度、μは濃縮乳のねじれ振動式粘度計による粘度、Tは濃縮乳の温度、A、B、Cは原料乳と粘度を測定する温度帯によって定まる係数を表している。
【請求項6】
前記相関式において、前記濃縮乳の成分組成に応じて前記係数Cを補正する請求項5に記載の濃縮乳固形濃度測定方法。
【請求項7】
濃縮乳の温度を測定する温度測定工程と、濃縮乳の粘度を測定する粘度測定工程と、前記温度測定工程及び前記粘度測定工程より得られた測定結果から相関式によって濃縮乳の固形濃度を算出して制御する工程を有する濃縮乳の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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