説明

濡れ性に優れた金属表面の形成方法

金属ホイルまたはシートの表面に濡れ性を付与する処理方法。本方法は、油を被覆した処理する表面を有する金属ホイルまたはシートを得る工程と、リン酸と極性非水性無水溶媒との溶液を少なくとも10mg/ftの範囲の塗布量で表面に均一に塗布する工程であってリン酸が0.5〜2.0mg/ftの量で表面と接触するような濃度でリン酸が溶液に含まれている工程と、表面を乾燥することにより、または処理する表面
からオイルが蒸発するようにホイルもしくはシートを室温より高い高温であって、130℃〜240℃の範囲外の高温に加熱することにより前記溶媒を除去する工程とを含む。得られたホイルは濡れ性を有する表面を備え、例えば別の材料(例えばポリマーまたは接着剤)をコーティングするのに用いることができ、高い剥離強度を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性表面(すなわち水のような極性を有する液体に濡れ性を有する表面)を有する金属シート(または板)物品(とりわけホイル(foil))に関する。とりわけ本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金より成るシート物品の表面に濡れ性を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムシート物品、とりわけアルミニウムホイル(0.0002インチ〜0.004の範囲の厚さの可撓性を有するシート)は、しばしは種々のユーザーの用途に適合する十分な濡れ性を有する表面が求められる。例えばフィンストックシート(通常0.004インチ以上の厚さを有する)は、凝縮装置(または、コンデンサー)で適切な排水を行うよう十分な濡れ性を有する必要がある。厚さが0.002インチ以上のシートは、しばしば水中での汚れ(または腐食、staining)を避けるように表面が濡れ性を有することが求められる。さらに金属ホイルは、しばしばインクにより直接印刷される、または直接塗装されることが意図されており、このため濡れ性を有する必要がある。
【0003】
さらに重要なことに金属ホイルは、直接コーティング材料を塗布する、またはラミネート(例えば、紙、ポリエステル、ビニールまたは他のプラスチックとラミネート)により多層シート(multi layer sheet)の基材を形成するように、他の材料とともに用いることができる。このような種類のホイルは、しばしば「コンバータホイル」と呼ばれる。これらは、顧客により多層シートや複合材料(例えば、ホイルを別の支持材でサンドイッチするラミネータを通過した後)に「コンバート」される(または変えられる)からである。コンバータホイルの主たる用途は、工業用途で用いられる可撓性を有する包装材またはシートである。コンバータホイルはしばしば、AA1145およびAA1100のような1000シリーズのアルミニウム合金から成り、通常0.0002インチから0.005インチのゲージ(または厚さ)で供給され、従って極めて薄く容易に損傷する。コンバータホイル表面は、水または極性材料に対して濡れ性を有し、かつ優れた外観(とりわけ、フォイルが包装に使われる場合)を有しなければならない。濡れ性は、複合材料の剥離強度を決定し、従って厳しく制御する必要のある特性である。コンバータホイルの使用者は通常、表面の十分な濡れ性(所謂、「濡れた(wettable)」表面品質)を必要としている。しかしながら、これを達成するのは困難である。表面の濡れ性は、コンバータホイルが圧延ミルより得られた状態でホイルの表面に常に存在する潤滑オイル(オイルは金属の圧延工程に用いられる)の存在により、悪影響を受ける。接着を避けるように、ホイルがコーティングまたはラミネート工程の金属加工業者に供給される前にオイルをホイルの表面から取り除く必要がある。
【0004】
表面のオイルを取り除き、かつ表面の濡れ性を改善する従来の方法は、シート物品を280℃より高い温度で24〜48時間、炉内で長時間熱処理(加熱焼鈍)することである。このような長時間の焼鈍サイクルはオイルを完全に蒸発するのに必要であるが、しかし金属の再結晶をもたらし、ホイルを必然的にOテンパー(O temper)材に変える(AA1145およびAA1100のような合金はこの温度で完全に再結晶する)。Oテンパー状態のホイルは、極めて軟らかく、従って、いくつかの用途では不適当または望ましくない。結晶化の度合(または再結晶化の度合)をより低くするためには、より低い温度および/またはより短い処理時間が必要であるが、しかしその一方で完全なオイルの除去を確実に行うことができなくなる。よって、濡れ性の要求はコンバータホイルの用途を実用的には、例えば主にOテンパー材に制限している。また、板、フィンまたは容器のような他の用途よりも、顕著に長い焼鈍サイクルをも要している。より強いホイルまたはシートがあったならば、損傷を低減し、多くのコンバータホイルの用途でゲージを低減できる可能性が広がるであろう。
【0005】
化学洗浄法もまた、表面のオイルを除去し、その結果ホイルまたはシートに、水との濡れ性を付与する。このような方法は、ホイルまたはシートを処理する洗浄塔を必要とすることから非常に高価になり得る。ホイルが非常に薄くなると、これらの種類の装置を介し処理を行っている間に容易に損傷し得る。そのため搬送の最高速度および他の制約が厳しく制限され、従って効率が低下する。さらに、化学的な前処理は、ホイルまたはシートの輝き(または光沢、brightness)を低下し、コンバータホイルの用途にとっては極めて有害な、クロム酸塩、リン酸塩および他の化学物質を含み得る。
【0006】
1940年4月16日発行のJunius D. Edwardsによる米国特許第2,197,405号公報は、接着剤を用いた他の材料をアルミニウムの表面に接合する前にアルミニウム表面を処理する方法を開示している。この方法は、リン酸またはリン酸水溶液によるアルミニウム表面の処理を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、長時間の加熱サイクルを伴うことなくアルミニウムホイルの表面に濡れ性を与える改良された方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の典型的な形態は、表面に濡れ性を付与する、アルミニウムまたはアルミニウム合金シートの表面処理方法を提供する。この方法は、溶媒とリン酸との溶液を表面に塗布する工程であって、溶媒が(a)極性非水性無水溶媒(polar, non-aqueous, water-free solvent)および(b)極性非水性無水溶媒と揮発性極性炭化水素溶媒との混合物より成る群から選ばれる工程と、表面を室温で乾燥することにより、または表面を室温より高い高温であって、130℃〜240℃の範囲外の高温に加熱することにより溶媒を除去する工程とを含む。
【0009】
好ましくは、リン酸が0.5mg/ft〜2.0mg/ftの量で表面と接触する量のリン酸を溶液が含み、好ましくは表面に少なくとも10mg/ftの量のリン酸を塗布する。
【0010】
本発明は、また上記方法により処理された金属ホイルにも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下で用いる用語「アルミニウム」は、純アルミニウムに加えて、アルミニウム合金とりわけコンバータホイルの形成に用いるアルミニウム合金を含むことを意図している。
【0012】
以下に示す記載において、便宜上アルミニウムホイルについて述べるが、しかし記載はアルミニウムよりなる他のシート物品(明らかに記載のあるホイルのみを除く)にも適用される。
【0013】
本発明では、リン酸を含む溶液を用い、アルミニウムホイルの表面に実質的に完全な濡れ性を付与する。ホイルは溶液を塗布する前に、前処理または前洗浄が通常行われず、従って圧延工程または圧延ミルから直接受け入れた形態で処理される。処理溶液は、無水極性溶媒(water-free poplar solvent)、好ましくはイソプロパノール、に溶解したリン酸よりなり、リン酸の濃度は極めて低い。理想的には、表面に塗布されるリン酸の量(表面のリン酸の「塗布量(loading)」という」が処理する表面1平方フィートあたり0.5〜2.0mg、より好ましくは0.5〜21.5mg/ftとなるような溶液の濃度にする。塗布量が0.5mg/ftより少ないと、ホイルの表面全体に亘り、均一な濡れ性を全ての場合について保証することができない。塗布量が2.0mg/ftより多いと、得られる表面の品質は多くの場合悪い。当然ながら塗布量は表面に塗布する溶液の量ならびに溶液の濃度に依存するが、余分な液体は表面から流出することから、通常、塗布される溶液の量は一定であり、よって塗布量は主に濃度に依存する傾向がある。
【0014】
溶液は、如何なる手段でもホイルの表面に塗布することができるがしかし、好ましくは高速の工程と両立(compatible)でき、ホイル表面に損傷を与えず高品質の仕上げとなる方法により塗布する。理想的には、用いられる方法は固体の物品がホイル表面に直接機械的に接触するのを避ける方法である。従って、塗布方法は、浸漬、スプレーまたはコーティングを含んでもよい。最も好ましい方法はスプレーであり、理想的には空気混入スプレー(aerated spray)または超音波スプレー(即ち、アトマイズした液体のスプレーを形成するのに高周波音波を用いる超音波液体噴霧)である。超音波スプレーは、実質的に過剰塗布(overspray)を低減し、ホイル表面を損傷しない、ソフト(即ち、液滴が小さい)で低速なスプレーを形成できるという利点がある。超音波スプレーは、また加圧無しで実施でき、スプレージェットの詰まりがないという利点も有する。
【0015】
溶液の塗布は表面に存在するオイルを「洗い流す」(例えば、顕著な流れの形成により)ことを意図したものではないが、溶液は処理する表面を100%確実に覆う(およびパターンを塗布するのに)のに十分な量を塗布する必要がある。これは、概して溶液の塗布量が処理する表面について少なくとも10mg/ft必要であることを意味している。この値より少ないと、十分な濡れ性を全ての場合において確保することができない。しかしながら、塗布材料の流出および過剰使用を避けるように、好ましくは30mg/ft以下の量の溶液を塗布する。
【0016】
リン酸の好ましい最多塗布量および最少塗布量と溶液の好ましい最多塗布量および最少塗布量とは、用いる溶液の必要なリン酸濃度を規定する。例えば、塗布するリン酸の塗布量が最少で0.5mg/ftで、溶液の塗布が最多で30mg/ftである場合、溶液中のリン酸濃度は1.66重量%でなければならない。塗布するリン酸の塗布量が最大で2.0mg/ftで、溶液を最少で10mg/ftで塗布する場合、リン酸濃度は20重量%でなければならない。従って、濃度の有効な範囲は1.66〜20%(重量比)であり、より好ましくは1.66〜5%(重量比)である。
【0017】
溶液は、好ましくは室温で塗布し、またホイルまたはシート自体は、好ましくは低温(室温から最大50℃)で保持すべきである。詳細を以下に示す加熱または乾燥工程を実施する前に、溶液は好ましくは室温で、少なくとも30秒の保持時間ホイル表面と接触すべきである。この保持時間の間、ホイルはコイルに巻き取ることができる。溶液がこのようにホイル表面と接触している間について特定の最大時間はないが、しかし加熱工程または乾燥工程は、好ましくはできるだけ早く開始される。従って、好ましくは、30秒の保持時間の後、可能な限り早くこれらの工程は続けて行われるべきである。
【0018】
特定の動作原理に従っていると見なされることは意図していないが、以下の理由により本方法により表面は濡れ性を付与されるものと考えられる。リン酸は、アルコール、ケトン、およびいくつかの他の有機溶媒に溶ける。これら溶媒は、ホイル表面のオイルに浸透することが可能であり、アルミニウムの露出面(bare surface)に到達し、そこでリン酸が反応することができ、濡れ性を改善する。リン酸はアルミニウム表面と反応し、とりわけ溶媒が蒸発(詳細後述)により排出され、濃縮されたリン酸の層が残存した場合に、これにより表面を親水性にする濡れ性を有するリン酸層を形成する。同様の効果は、水ベースまた水を含有する溶液には存在しない。これらの溶液はオイルに浸透せず、ホイル表面と濡れ性を有しない(または、表面を濡らさない)からである。さらにもし、これらの溶液を表面と濡れ性を有するようにしても(例えば界面活性剤を添加することにより)、これら溶液は、利用可能な時間内にリン酸を濃縮するほど十分に迅速には乾燥しない。水は、アルミニウム表面を不都合に汚し(または腐食し、stain)得る。本発明は、ホイルの表面に残留オイルを残存させることが可能であるが、残留オイルは、続いて被覆する如何なるコーティング材料(とりわけ有機ポリマー)にも概して取り込まれる。さらに、極性溶媒により、オイルはホイル表面との接着力が低くなることから、通常必要な温度より低い温度で蒸発する。
【0019】
本発明に用いる好ましい極性溶媒は、イソプロパノール、エタノールおよびメチルエチルケトン(MEK)である。オイル層に浸透し、かつ早く蒸発する適正な能力を有するためである。前述のように、用いる溶液は常に無水(water-free)である。メタノールおよびアセトンも有効であるがしかし、これらは毒性を有する。よって、これらを用いる場合は、特別の予防処置を講じ環境汚染を回避する必要があり、このため工程でこれらの溶媒を用いる経済的な要望は少ない。
【0020】
極性溶媒の一部はまた、例えばエクソンモービルケミカル社より商品名NORPAR(登録商標)13(平均で13個の炭素原子を有し、初期沸点が約222℃で乾点が242℃の炭素−水素飽和炭化水素)で市販されている溶媒のような、酸と極性溶媒との混合物に対して全体的に混和性を有する揮発性の低い非極性溶媒と置き換えることも可能である。この場合、極性溶媒を体積で0%〜80%の範囲内で(より好ましくは体積で0%〜20%の範囲内で)非極性溶媒に置き換えることができる。これにより溶液の揮発性が増加し、金属シートに混合物を塗布した際の利点となる。しかしながら、不利な点はより多くの溶媒が焼鈍中に除去されることである。よって、この選択肢は全ての場合に望ましいわけではないかもしれない。
【0021】
溶液の塗布およびコイルへの巻取り(コイルへの巻取りが所望の場合)に続いて、ホイルは加熱工程または乾燥工程に進む。これは、2つの形態のうちの1つを行ってもよく、または両方を組み合わせてもよい。1つの形態は、室温でのホイルの乾燥または室温より高く130℃より低い温度でのホイルの加熱を含む低温処理である。このような温度での乾燥または加熱は、いかなる残留極性溶媒でも蒸発させるがしかし、金属シートまたはホイルの焼鈍は起こらない。従って、この形態の加熱または乾燥により十分に硬化したシートまたはホイル(すなわち、冷間圧延テンパー(cold-rolled temper)特性を備えた)を得ることが可能である。加熱または乾燥の時間は、溶液の十分な蒸発を行うのに必要な最少時間(ホイルがコイルの形態の場合数時間のこともあり得る)でよい。より長い時間は不要であるが、適用される温度により金属の構造が変化しないことから有害ではないであろう。一例として、シートまたはホイルを、イソプロパノールが極性溶媒として用いられ、ホイルが重さ2000ポンドのコイルの形態で処理された場合、全てのイソプロパノールを蒸発させるのにちょうど適当な、100℃に4〜5時間保持する。
【0022】
または、加熱または乾燥工程の第2の形態(高温処理と言ってもよい)では、加熱は240℃以上で実施できる。この温度では、極性溶媒が完全に蒸発するだけでなく、金属も部分的にまたは完全に焼鈍される。「十分に硬い(fully hard)」ホイルがまだ必要な場合、加熱時間は極性溶媒を除去するのに十分に長く、ホイルの特性に影響を与える程には長くないように保持しなければならない。これは、例えば240℃で3〜4時間を必要とする。他の実施形態で、ホイルを「十分に軟らかく(fully soft)」する場合、約240℃の温度で加熱時間は8〜16時間でもよい。この加熱時間は、溶媒を蒸発させるのに適当な時間よりも長いがしかし、所望の金属学的特性を得るために必要である。
【0023】
完全なO−テンパーが必要ない場合、処理温度は通常、約280℃より低くすべきであり、処理時間は適宜調整する。処理時間は、また溶媒を完全に蒸発させるのに必要な最少時間にすべきであるが、しかし所望の金属特性を得るために必要である。これにより、全体的に再結晶した金属よりも顕著に強度の高いホイルをもたらす、部分的に焼鈍されたテンパー材を得ることができる。
【0024】
高温処理の場合、最高温度は概して400℃を超えてはならない。コイルの形状を悪化させホイル自体に他の損傷を与え得るからである。
【0025】
必要に応じ、低温の形態の加熱(乾燥)と高温の形態を連続して行ってもよい。つまり、130℃以下の温度で加熱を行い、極性溶媒を完全に蒸発させ、リン酸により表面に濡れ性を付与することができる。そして、ホイルを240℃以上に加熱し、金属テンパー材の所望の変態を生じさせることができる。必要に応じ、ホイルは、この2つの工程の間で不特定の期間(好ましくはコイルの形態で)保管してもよい。
【0026】
中間範囲の温度130℃〜240℃、即ち高温の形態で用いる温度と低温の形態で用いる温度の間での加熱は避けるべきである(240℃まで加熱する間の短い時間は除く)。この範囲内の温度に加熱したホイルは疎水性となり、従ってこのような温度の使用は非生産的だからである。温度を第2の形態で用いる範囲に上昇させるために通常用いられる加熱速度は中間の温度範囲で有害な滞在時間を生じず、従って加熱速度に関し特別の配慮を要せず、中断することなしに中間温度範囲を通り所定の温度に上げることができる。
【0027】
添付の図1は、本方法の工程をより図式的に示す。本図は「選択肢A」が130℃以下での加熱(乾燥)を選択すること示し、「選択肢B」が240℃以上での加熱を選択することを示していることを除けば、説明を要しない(または一目瞭然である)と思われる。
【実施例】
【0028】
本発明は、制限することを意図していない以下の実施例によりさらに説明される。
【0029】
・比較例1
0.002インチの厚さ(ゲージ)のH19アルミニウムホイルをイソプロパノールに浸漬し、そして過剰なイソプロパノールを振動により取り除いた。空気中で室温にて1分保持後ホイルを乾燥した。表面に水滴を置くことでホイルの濡れ性を試験した。ホイルは、全く濡れ性を有していなかった。
【0030】
・比較例2
H19アルミニウムホイルを100℃のオーブン中に配置し、40秒間加熱した。ホイルは全く濡れ性を有していなかった。
【0031】
・実施例1
H19ホイルを、イソプロパノール中に0.05%(重量比)のリン酸を含む溶液により処理した。アルミニウムのサンプルをこの溶液に浸漬し、そして余剰の溶液を振動により取り除いた。ホイルはその後、空気で乾燥した。ホイルは濡れ性を有した。表面への溶液の塗布は1平方フィートあたり約2gであった。これは溶媒の蒸発後に、1平方フィートあたり約0.4mgの酸がホイル表面に残存していたことを意味する。
【0032】
・実施例2
実施例3で形成したホイルを100℃で40秒間〜2時間加熱した。ホイルは濡れ性を有したままであった。
【0033】
・比較例3
実施例3で形成したホイルを200℃で加熱した。そして、サンプルは濡れ性を有しなくなった。
【0034】
・実施例3
44体積%のNORPAR(登録商標)と、54体積%の水と、2体積%のリン酸溶液とからなる溶液を塗れ性を有しないアルミニウムホイルにスプレーした。ホイルは、1分後に親水性になった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる好ましい方法の工程を示す概略的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に濡れ性を付与する前記アルミニウムまたはアルミニウム合金シートの表面の処理方法であって、
溶媒とリン酸との溶液を前記表面に塗布する工程であって、前記溶媒が(a)極性非水性無水溶媒、および(b)極性非水性無水溶媒と揮発性極性炭化水素溶媒との混合物より成る群から選ばれる工程と、
前記表面を室温で乾燥することにより、または前記表面を室温より高い高温であって、130℃〜240℃の範囲外の高温に加熱することにより前記溶媒を除去する工程と、
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項2】
前記リン酸が前記表面と0.5〜2.0mg/ftの量で接触するよう濃度で前記溶液にリン酸が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記溶液を前記表面に少なくとも10mg/ftの量で塗布することを特徴とする請求項2に記載の処理方法。
【請求項4】
前記表面がアルミニウムまたはアルミニウム合金のホイルの表面であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
前記表面がアルミニウムまたはアルミニウムシートの表面であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項6】
前記金属がAA1000シリーズのアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項7】
前記金属がAA1145およびAA1100よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項8】
前記高温が130℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項9】
前記高温が240℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項10】
前記高温が400℃より低いことを特徴とする請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
前記高温が280℃以下であることを特徴する請求項9に記載の処理方法。
【請求項12】
前記加熱を前記金属のハードテンパーが完全に残存する温度および時間で実施することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項13】
前記加熱を前記金属の部分的な焼鈍が生じる温度および時間で実施することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項14】
前記加熱を前記金属の完全なOテンパー材を形成する温度および時間で実施することを特徴とする請求項1に記載の処理方法。
【請求項15】
請求項1に記載の処理方法で製造される濡れ性を有する表面を備えた金属ホイルまたは金属シート。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−503249(P2009−503249A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523083(P2008−523083)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001016
【国際公開番号】WO2007/012175
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506110243)ノベリス・インコーポレイテッド (40)
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
【Fターム(参考)】