濾過機、当該濾過機が搭載されたチップコンベヤ装置、及び濾過機に使用するフィルター
【課題】 旋盤やフライス盤等の工作機械から排出されたダーティなクーラント液の急激な増減に対応した動作をし、フィルターの目詰まりが生じ難くメンテナンスフリーとなるチップコンベヤ装置を提供する。
【解決手段】 ダーティなクーラント液L1を濾過するフィルター2を内蔵した濾過機3と、濾過機3のダーティ液排出口22から落下したダーティ液L2を受けて所定形状の搬送路内を搬送し切り屑L5として排出する搬送機構5とを備え、前記フィルター2にはダーティ液排出口22を開閉する開閉器90が連結されており、前記ダーティ液排出口22が閉じると前記フィルター2が袋状となる構成とされ、クリーン液排出口39からクリーン液L9が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口22が開いてダーティ液L2が落下し、この落下したダーティ液L2が搬送機構5に受け渡されて搬送され、切り屑L5として切り屑排出口から排出される。
【解決手段】 ダーティなクーラント液L1を濾過するフィルター2を内蔵した濾過機3と、濾過機3のダーティ液排出口22から落下したダーティ液L2を受けて所定形状の搬送路内を搬送し切り屑L5として排出する搬送機構5とを備え、前記フィルター2にはダーティ液排出口22を開閉する開閉器90が連結されており、前記ダーティ液排出口22が閉じると前記フィルター2が袋状となる構成とされ、クリーン液排出口39からクリーン液L9が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口22が開いてダーティ液L2が落下し、この落下したダーティ液L2が搬送機構5に受け渡されて搬送され、切り屑L5として切り屑排出口から排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液からクリーン液を取り出す濾過機、特に、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液からクリーン液を取り出す濾過機と、当該濾過機が一体的に取り付けられたチップコンベヤ装置、並びに当該濾過機に使用するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤やフライス盤等の工作機械においては、バイト、カッタ等の切削工具と被加工物(ワーク)とが接触する加工部位に切削液(クリーンなクーラント液)を供給して当該加工部位の発熱を抑えながら加工を行う湿式タイプが主流になっている。この湿式タイプの工作機械には濾過手段を備えたチップコンベヤ装置が常設されている。チップコンベヤ装置は、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)から切り屑(被加工物から除去された不要物)を分離して排出するとともに、装置内の濾過手段によって切り屑が取り除かれたクリーンなクーラント液に再生して工作機械に返送する。本明細書では、工作機械の加工によってワークから除去された金属屑若しくは金属を含んだ屑全般を切り屑と定義しており、ヒゲ状、カール状、小塊状、粉状、汚泥状に関わらず切り屑と表現している。
【0003】
チップコンベヤ装置に配されて、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液からクリーン液を取り出す濾過機としては、回転ドラムフィルター、サイクロン分離器、マグネットフィルター等が挙げられる。回転ドラムフィルターは、メタルワイヤ(ウェッジワイヤ)やパンチングメタル等によってその外周にメッシュを形成した回転ドラムを、ダーティ槽内で水平軸まわりに回転させることで回転ドラム外周のメッシュ面に切り屑を留めながら切削液を回転ドラムの内側に濾過してクリーン液とし、回転ドラムの内側から濾過済みのクリーン液を水平軸方向(横方向)に排出して隣接したクリーン槽内に排出する。サイクロン分離器は、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液を筐体側面の入口から圧力をかけて流し込み、筐体内部に螺旋流(サイクロン)を発生させ、クリーン液を分離してサイクロン分離器の上方に排出しつつ、濃縮されたダーティ液を筐体下端の分離排出口(ダーティ液排出口)から下方に吐き出す。マグネットフィルターは、筐体に内蔵された磁力体に鉄の切り屑を留めながらクリーン液をマグネットフィルターの外に排出する。これらの濾過機はいずれも、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液の一部からクリーン液を分離して取り出すための機器である。
【0004】
チップコンベヤ装置において、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液から切り屑を分離して搬送する搬送機構としては、チェーンコンベヤ、コイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ等が挙げられる。チェーンコンベヤは、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液を搬送する複数のプレート板が連続的に配されて駆動軸と従動軸との間に掛け渡され、切り屑を複数のプレート板上で搬送しながらコンベヤ上方の総排出口から排出しつつ、切削液を複数のプレート板の下方に通過させる。チェーンコンベヤの切り屑搬送機構としては、プレート板以外に、搬送ベルトに切り屑を掻き上げる掻き取り部材(掻き板)が取り付けられたスクレーパ式コンベヤや、マグネットが取り付けられたマグネット式コンベヤがある。スクリュー式コンベヤは回転軸上に螺旋プロペラが形成されたスクリューを回転させることで、切り屑を搬送しながら圧縮してコンベヤ上方の排出口から排出しつつ、重力にて切削液をコンベヤの下方に移動させるコンベヤである。コイル式コンベヤは、螺旋コイル状に形成された回転軸により切り屑を搬送しながら圧縮してコンベヤ上方の排出口から排出しつつ、切削液をコンベヤの下方に移動させるものである。これらの搬送機構はいずれも、切り屑をコンベヤ上方の排出口に移動させながら、切削液をコンベヤの下方に移動させ、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液から切り屑を分離して取り出すための機構である。
【0005】
従来のチップコンベヤ装置では、切り屑が混ざって排出された使用済み液の処理能力を高めるために、搬送路のサイズ(面積)が大きくなっている。その一方で、工作機械が加工する被加工物(ワーク)の形状、材質、面粗さ等の仕様が多種多様であり、また、加工の進行段階によってワークからの切り屑の発生の仕方が大きく異なり、ワークの発熱量に応じて供給する切削液(クーラント)の量が大きく増減する。つまり、工作機械から切り屑が混ざって排出された切削液(ダーティなクーラント液)の排出量は急激に増減し、また、ダーティなクーラント液に占める切り屑の割合も大きく変動することが通例である。このダーティなクーラント液の排出量の急激な増減に対応するためには、工作機械から排出されたダーティなクーラント液の排出量の瞬間最大値に合わせて、余裕を持たせた大きなサイズの搬送路とするか、ダーティなクーラント液を一時的に溜めるダーティ液槽の容量を充分大きくするか、その両方を実施しなければならず、いずれにしても大型のチップコンベヤ装置となってしまう。
【0006】
従来のチップコンベヤ装置としては、例えば特許文献1にはチェーンコンベヤ装置が記載されており、特許文献2にはスクリュー式コンベヤ装置が記載されている。しかし、これらコンベヤ装置の単体使用だけでは、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)からの切り屑とクリーン液との分離が不十分である。そこで、チェーンコンベヤに回転ドラムフィルターを取り付けたり(例えば特許文献3)、さらにサイクロン分離器やマグネットフィルターを取り付けたりすることで、再生使用するクリーン液のクリーン度合いを高めようとする工夫がなされている。また、ダーティなクーラント液をポンプで汲み上げてサイクロン分離器に供給しサイクロン分離器にてクリーン液の一部を分離してサイクロン分離器の上方に排出しつつ、濃縮されたダーティ液を筐体の下方に吐き出してサイクロン分離器の下方に設置されたダーティ液槽に落下させ、時間の経過によってダーティ液槽に沈降蓄積して貯留された濃縮沈殿物(スラッジと呼ばれる切り屑)をコンベヤにてダーティ液槽の上方に搬送して機外に排出する液処理装置(特許文献4)が開示されている。
【0007】
いっぽう、加工廃液の濾過装置としては、メッシュ(網目)を形成した袋状のフィルターを用いて切り屑を袋状のフィルター内に溜め込んで周囲のメッシュからクリーン液を滲み出させる構造の濾過装置が開示されている(特許文献5、6)。また、特許文献7には、メッシュ(網目)を形成した袋状又は筒状のフィルターを捻って加工廃液の流路の面積を大きくすることで周囲のメッシュからクリーン液を滲み出させる濾過能力を高める方法が開示されている。なお、これらの濾過装置は単体使用されているに過ぎず、他の装置と組み合わせて使用することについては開示も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−253523号公報
【特許文献2】特開2004−224566号公報
【特許文献3】特開2003−145390号公報
【特許文献4】特開2006−75725号公報
【特許文献5】特開平8−118236号公報
【特許文献6】特開2004−106402号公報
【特許文献7】特開平6−55056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1から4に示す従来のコンベヤ装置は、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)の排出量の急激な増減に対応できているとは言い難い。その理由としては、この種のダーティなクーラント液の排出量の急激な増減は予測し難く、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量が急激に増加すると、ダーティ液の液面が上昇してコンベヤ装置の切り屑排出口からダーティ液が溢れ出てしまうからである。いっぽう、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量が急激に減少すると、サイクロン分離器を組み合わせた装置構成においては、サイクロン分離器が正常動作せずにダーティなクーラント液が筐体下端の分離排出口(ダーティ液排出口)から下方に垂れ流し状態となる。また、回転ドラムフィルターを組み合わせた装置構成においては、ドラムフィルターをダーティ液に水没させて使用しているので正常な濾過動作ができなくなる。これらの不具合を避けるためには、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量の瞬間最大値に合わせて、余裕を持たせた大きなサイズの搬送路とするか、ダーティなクーラント液を一時的に溜めるダーティ液槽の容量を充分大きくするか、その両方を実施しなければならず、その結果、大型のチップコンベヤ装置を設置せざるを得ないのが実情である。そして、回転ドラムフィルターを組み合わせた装置構成においては、ドラムフィルターを回転させるための駆動力を必要とし、メッシュ面の目詰まりがし易くメンテナンスが容易ではない。また、特許文献5から7に示すメッシュ(網目)を形成した袋状のフィルターや筒状のフィルターは、フィルター内に溜め込んだ切り屑を除去する後作業が煩雑であり、フィルターが目詰まりし易い配置構成となっているため、フィルターが目詰まりする都度、フィルターを交換して廃棄していることから産業廃棄物が増加することとなり、資源保護の観点からも好ましくない。 また、上述のような加工廃液の濾過機としては、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出されたダーティな油液からクリーンな油液を取り出すための濾過機が知られているが、これらの濾過装置についてもフィルター内に溜め込んだ食品屑を除去する後作業が煩雑であり、フィルターが目詰まりし易い配置構成となっているのが実情であり、フィルターが目詰まりする都度、フィルターを交換して廃棄していることから産業廃棄物が増加することとなり、資源保護の観点からも好ましくない。
【0010】
そこで本発明の目的は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液からクリーン液を取り出すに際し、供給される使用済み液の急激な増減に対応した動作をし、フィルターの目詰まりが生じ難い構成とすることでメンテナンスフリーとなる新たな構造の濾過機と当該濾過機が一体的に取り付けられたチップコンベヤ装置、並びに当該濾過機に使用するフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の濾過機は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過されてクリーン液が取り出される濾過機であって、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下して排出されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前記フィルターの濾過作用でクリーン液が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液として落下して排出される構成であるから、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、機械から屑が混ざって排出された使用済み液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0013】
前記機械から屑が混ざって排出された使用済み液としては、例えば、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が挙げられる。前記クーラント液には比較的粘度の低い水系の切削液と比較的粘度の高い油系の切削液とがある。そして例えば、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出された使用済み油液も本発明の適用対象となる。
【0014】
本発明は、前記使用済み液が、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液であり、前記使用済みクーラント液が前記フィルターの上方側から供給され、その後、前記ダーティ液排出口から前記クリーン液が除かれたダーティ液として排出され、次工程の濾過手段に受け渡されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記クリーン液が除かれたダーティ液が前記ダーティ液排出口から排出された後、受け渡された次工程の濾過手段でまとまった切り屑として連続的に処理し易くなる。ここで、次工程の濾過手段としては、前記フィルターの種別を異ならせた前記濾過機や、既知のチップコンベヤ等が挙げられる。
【0016】
本発明のチップコンベヤ装置は、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過される濾過機と、前記フィルターにてクリーン液が除かれ落下したダーティ液を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構とを備え、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済みクーラント液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下し、この落下したダーティ液が前記搬送機構に受け渡されて搬送され、切り屑として切り屑排出口から排出されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記フィルターの濾過作用でクリーン液を取り出しながら前記搬送機構が搬送し、まとまった切り屑として排出する構成であるから、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出されたダーティなクーラント液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、前記工作機械から排出されたダーティなクーラント液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0018】
本発明に係るフィルターは、前記濾過機に内蔵され、前記開閉器と連結して使用される。前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることが好ましい。前記舌片が前記フィルター側面に配されていることで、前記フィルターを前記開閉器と連結させることが容易である。例えば、前記開閉器先端部(前記フィルターと前記開閉器が当接する位置)にスリットを設けて、前記スリットにて前記舌片を挟む構成としても良いし、また例えば、前記舌片の下面に面ファスナーの一方側部材を配し、前記開閉器先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材と対応する他方側部材を配しておき、前記面ファスナーを介して前記フィルターを前記開閉器と連結させる構成としても良い。前記面ファスナーを介して前記フィルターを前記開閉器と連結させる構成とすれば、前記フィルターの着脱が簡易にできる。
【0019】
前記フィルターの形状としては、円筒形状、底の抜けた袋状、箱形状、多角形状等が挙げられる。前記フィルターは、そのまま使用しても良いし、絞り、捻り、撚り、襞の形成等の加工を施すか、多数個用いるか、多く連ねる等のいずれか一種ないしは複数を組み合わせることが好ましく、これらによって前記フィルターの有効濾過面積を大きくすることができる。 特に、円筒形状や底の抜けた袋状等とすることでその側面に襞(ドレープ)を形成させたカーテン状とし易くなり、ドレープ付きのカーテン状とすることで濾過面積が大きくなるため液処理量を増やすことができ、有利である。例えば、前記フィルターを筒形状とした場合の内径形状としては、ストレート形状が好ましいが、漏斗状や裾が広がったスカート状でもよい。
前記フィルターの材質としては、繊維、布、紙、金属メッシュ、樹脂メッシュ、パンチングメタル、セラミックス膜、高分子膜等が挙げられ、工作機械から切り屑が混ざって排出されたダーティなクーラント液の濾過精度によってその網目の大きさや外周側面の厚みが適宜設定される。また、複数の材質を組み合わせた複合フィルターとしてもよい。
【0020】
本発明は、前記濾過機内の前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、前記フィルターが側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら前記使用済み液(ダーティなクーラント液)を連続的に安定供給することが容易となる。そして、前記供給口から前記フィルターの内側面に向けて前記使用済み液(ダーティなクーラント液)が吐出され、前記フィルターの外側面からクリーン液が滲み出て排出される構成とすることで、前記フィルター側面のメッシュ面に向けて積極的に前記ダーティなクーラント液を沿わせて流すこととなり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記メッシュ面に沿って流れ、それによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動し、積極的に屑(切り屑)を除去する作用が働くので、前記フィルターの目詰まりが生じ難い構成となる。
【0022】
本発明は、前記筒形状のフィルター(筒状フィルター)の入口に前記供給口が配された管体を差し込んでおき、当該管体から供給されたダーティなクーラント液を吐出させ、落下させながら前記筒状フィルターにて濾過させることが好ましい。 本発明によれば、前記管体が前記筒状フィルターの入口に差し込まれた状態でダーティなクーラント液を供給するので、前記管体から供給されたダーティなクーラント液が前記筒状フィルターの外に飛散する虞がない。また、前記管体から供給されたダーティなクーラント液が落下しながら前記筒状フィルターにて濾過されるので、重力を利用して効率的(効果的)に濾過することができる。前記管体には、前記ダーティなクーラント液を供給するための供給口が1つ形成される場合や、複数の供給口が所定間隔で形成される場合がある。前記供給口の向きは、下向き又は斜め下向きが好ましいが、横向きとする場合もある。
【0023】
本発明は、前記濾過機内の前記フィルターの出口が、前記チップコンベヤ装置の前記搬送機構の受口に連結されているか、又は前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に挿入されていることが好ましい。 本発明によれば、前記フィルターの内と外とをより確実に仕切る構成であるから、前記フィルター内を通過したダーティ液が前記濾過機の外に飛散する虞がない。 前記フィルターの出口と前記搬送機構の受口とは、直接連結してもよいし、筒状部材等の連結手段を介して連結してもよい。また、前記フィルターの出口と前記搬送機構の受口とは、着脱自在に連結してもよいし、連結固定することでもよい。
【0024】
前記所定のタイミングとは、前記濾過機内で、前記ダーティ液排出口を開いて前記ダーティ液を落下して排出するタイミングであり、より具体的な運用としては、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口を開く方法や、前記使用済み液の供給開始から所定時間毎に周期的に前記ダーティ液排出口を開く方法や、前記フィルターの重さを計量しながら前記ダーティ液がある程度堆積したと判断される重さとなったところで前記ダーティ液排出口を開く方法等が挙げられる。
【0025】
本発明は、前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記濾過機内には、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開く構成であるから、前記濾過機内で前記使用済み液がオーバーフローとなることを未然に防止しつつ、前記フィルター内に前記ダーティ液がある程度溜まった適切な段階で前記ダーティ液排出口を開いて、次工程へと受け渡すこととなる。
【0027】
本発明は、前記濾過機内には、前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、前記所定のタイミング又は前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出される構成であるから、前記フィルターの内側面に引っ掛かった屑(切り屑)がエアブローによって脱落して、次工程へと受け渡されることとなる。 前記エアノズルの向きとしては、前記フィルターの上方側から下方側に向けて配されることが好ましい。前記エアブローによって前記屑(切り屑)を積極的に落下させることができるからである。
【0029】
前記開閉器は、駆動手段によって前記フィルター下方側のダーティ液排出口を開閉するものであり、前記フィルター下方の側面を前後左右に動かして前記フィルター下方の一方側と他方側とを互いに遠ざけたり近づけたりすることで前記ダーティ液排出口を開閉する構成や、前記フィルター下方側を捻って回動させて前記フィルター下方を絞ったり緩くすることで前記ダーティ液排出口を開閉する構成等が挙げられる。前記駆動手段としては、油圧シリンダ、エアシリンダ、ソレノイド、ばね、電動モータ等が適用される。
【0030】
本発明は、前記濾過機内の前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じる構成であるから、前記ダーティ液排出口の開閉位置が一定となり、簡易に確実に開閉動作させることが容易である。そして、前記可動部材が前記固定部材に近づく際に、前記可動部材の先端部が前記固定部材の先端部の下方に入り込む(潜り込む)構成とするか、又は、前記可動部材の先端部が前記固定部材の先端部の上方に入り込む(嵌め込む)構成とすることで、より確実に前記ダーティ液排出口を閉じることが容易となる。
【0032】
本発明は、前記フィルターが前記濾過機内で吊り下げられていることが好ましい。本発明によれば、前記フィルターが前記濾過機内で吊り下げられていることで、前記ダーティなクーラント液が前記フィルター面の一方側に沿って落下しながら濾過される際に、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動するので、より積極的に切り屑を除去する作用が働くこととなる。
【0033】
本発明の実施形態としては、例えば、底が抜けた袋状部材を用いて前記フィルターとすることで、前記ダーティなクーラント液が筒状フィルターの下方の出口へと落下しながら濾過される際に、この袋状部材が振動して柔軟に動くので、切り屑が引っ掛かり難く切り屑による傷が付き難い。前記袋状部材が濾過機内で吊り下げられて、着脱自在に収納されていることで、前記袋状部材がより柔軟に動くこととなり、筒状フィルターの交換作業も容易である。前記ダーティ液をスムーズに落下させる観点からは、前記筒状フィルターが床面に対して略鉛直に配されていることがより好ましく、特に、粘度の高い油系の切削液を濾過する場合に好適である。筒状フィルターは、ダーティなクーラント液が袋状部材の中を通過することで振動することとなるが、振動モータ等によって外部から強制振動させることもできる。前記筒状フィルターは、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量や切り屑の種別に応じて、最適な性能の筒状フィルターを適宜付け替えて対応することができる。前記筒状フィルターは市販の袋状フィルターの底を抜いて追加工することで使用できる他、網目の大きさや外周側面の厚みや材質を異ならせたカスタム仕様とすることもできる。前記筒状フィルターを複数連ねて配することで、濾過処理能力をさらに高められる。
【0034】
本発明は、前記切り屑が混ざった切削液の一部を吐出するためのリリーフ回路吐出口が前記濾過機に形成されており、このリリーフ回路吐出口の高さが前記切り屑排出口の高さよりも低い位置に設定されていることが好ましい。本発明によれば、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液の液量が増大して前記濾過機の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機に形成されたリリーフ回路吐出口から前記切り屑が混ざったダーティなクーラント液の一部が吐出され、オーバーフローが防止される。
【0035】
本発明は、前記濾過機内の前記ダーティ液排出口から排出された前記ダーティなクーラント液を受けるための前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティなクーラント液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出することを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティなクーラント液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し切り屑排出口から圧縮した切り屑として排出するため、切り屑がまとまって排出され廃棄処理が容易である。また、前記搬送機構をスクレーパ式コンベヤとし、このスクレーパ式コンベヤの下方側にマグネットを取り付ける構成とすれば、マグネットが受取った切り屑を掻き板が漏れなく掻き集めて前記切り屑排出口から排出することとなる。
【0037】
本発明は、前記搬送機構の搬送路が地面に対して30度から80度の傾斜角度で立ち上がっていることで前記切り屑排出口が形成されていることが好ましい。本発明によれば、前記搬送路で受取った切り屑を徐々に押し上げて液切りしながら前記切り屑排出口から圧縮した切り屑として排出することとなり、切り屑の後始末が容易である。前記搬送路の傾斜位置は、前記搬送路の中間地点から立ち上がっている形状としてもよいし、前記切り屑の搬送開始地点から立ち上がっている形状としてもよい。前記搬送路が、切り屑の搬送開始地点からストレート形状で立ち上がっている単純な形状とすることで、小型の駆動モータであっても前記スクリュー式コンベヤを回転させ易い。水平な床面の場合は、前記傾斜角度の最適値は約60度である。
【0038】
本発明は、クリーン液を噴射する洗浄ノズルを前記濾過機内に備え、前記筒状フィルターの外周側面から前記筒状フィルター内にクリーン液を噴射して逆洗する構成とすることができる。例えばダーティなクーラント液に想定外の多量の切り屑が混ざっている場合や、筒状フィルターとダーティなクーラント液との組み合わせが不適当な場合には、前記筒状フィルター側面のメッシュの隙間に切り屑が付着して目詰まりすることも考えられる。前記筒状フィルターの外周側面から前記筒状フィルター内にクリーン液を噴射して逆洗する構成としておくことで、前記筒状フィルターの外周側面のメッシュが目詰まりする心配がない。洗浄ノズルを斜め下向きにしてクリーン液を噴射させ逆洗する構成としておけば、筒状フィルターの外周側面のメッシュの隙間に付着した切削屑を効果的に落下させることができる。洗浄ノズルからのクリーン液の噴射は、間隔をおいて所定の時間毎に噴射させれば、クリーン液の消費量を抑えられる。逆洗の洗浄ノズルは、前記筒状フィルターの外周側面の上方に固定配置してもよいし、洗浄ノズルが上から下に動きながらクリーン液を噴射する構成としてもよい。
【0039】
本発明は、複数のプレート板が連続的に配され駆動軸と従動軸との間に掛け渡されて、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液を前記プレート板上で搬送しながら上方の総排出口から切り屑を排出するチェーンコンベヤと、前記ダーティ液を一時的に溜めるダーティ液槽と、ダーティ液槽からダーティ液を汲み上げて前記濾過機に供給するポンプを備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、前記濾過機内の前記フィルターの濾過作用でクリーン液が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液として落下して排出される構成であるから、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、機械から屑が混ざって排出された使用済み液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。そして、前記クリーン液が除かれたダーティ液が前記ダーティ液排出口から排出された後、受け渡された次工程の濾過装置でまとまった切り屑として連続的に処理し易くなる。 本発明によれば、前記濾過機内の前記フィルターが側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら前記使用済み液(ダーティなクーラント液)を連続的に安定供給することが容易となる。そして、前記供給口から前記フィルターの内側面に向けて前記使用済み液(ダーティなクーラント液)が吐出され、前記フィルターの外側面からクリーン液が滲み出て排出される構成とすることで、前記フィルター側面のメッシュ面に向けて積極的に前記ダーティなクーラント液を沿わせて流すこととなり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記メッシュ面に沿って流れ、それによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動し、積極的に切り屑等の屑を除去する作用が働くので、前記フィルターの目詰まりが生じ難い構成となる。そして、前記フィルターは、交換可能に前記濾過機に内蔵され、前記開閉器と連結して使用される構成であるから、定期的に或いは前記フィルターが目詰まりしたり破損したときに、前記フィルターを容易に着脱することができる。
【0041】
本発明によれば、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開く構成であるから、前記濾過機内で前記使用済み液がオーバーフローとなることを未然に防止しつつ、前記フィルター内に前記ダーティ液がある程度溜まった適切な段階で前記ダーティ液排出口を開いて、次工程の前記搬送機構へと受け渡すこととなる。 そして、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出される構成とすることで、前記フィルターの内側面に引っ掛かった切り屑等の屑がエアブローによって脱落して、次工程へと受け渡されることとなる。 さらには、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じる構成とすることで、前記ダーティ液排出口の開閉位置が一定となり、簡易に確実に開閉動作させることが容易である。 本発明に係る筒状フィルターを用いた濾過機は、特別な動力が不要であるから、静音で省エネルギーの装置設計が容易である。本発明によれば、前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティ液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出するため、切り屑がまとまって排出され切り屑の廃棄処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る濾過機の内部構造と動作を側面側から示す状態図であり、(a)はフィルターのダーティ液排出口が閉じているときの状態図であり、(b)はフィルターのダーティ液排出口が開いているときの状態図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図である。
【図3】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を側面側から示す構造図である。
【図4】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置を上から見た平面図である。
【図5】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を背面側から示す構造図である。
【図6】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の回路図である。
【図7】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の構造を上から見た構造図である。
【図8】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の構造を側面側から見た構造図である。
【図9】上記濾過機の開閉器の構造を側面側から見た構造図の他の例である。
【図10】本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置を示す側面図である。
【図11】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を示す背面図である。
【図12】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から示す断面図である。
【図13】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を後方から示す断面図である。
【図14】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターを示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図15】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターの他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から示す断面図である。
【図17】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の他の例を側方から示す断面図である。
【図18】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターの他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図19】上記実施形態の筒状フィルターを上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器に取付けた動作状態を側面側から見た構造図であり、(a)は筒状フィルターの排出口が閉じたときの図であり、(b)は筒状フィルターの排出口が開いたときの図である。
【図20】上記実施形態の筒状フィルターを上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の他の例に取付けた動作状態を斜め後方側から見た構造図であり、(a)は筒状フィルターの排出口が閉じたときの図であり、(b)は筒状フィルターの排出口が開いたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑4が混ざって排出された使用済みクーラント液L1を濾過対象として説明する。なお、本実施形態は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を濾過対象としており、使用済みクーラント液L1に限られるものではなく、例えば、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出された使用済み油液も本発明の適用対象となる。
【0044】
(本実施形態の濾過機)
図1は、本発明に係る濾過機の内部構造と動作を側面側から示す状態図であり、図1(a)はフィルターのダーティ液排出口が閉じているときの状態図であり、図1(b)はフィルターのダーティ液排出口が開いているときの状態図である。 本実施形態の濾過機3は、箱形状の筐体37と、筐体37内に収納されたフィルター2と、使用済みクーラント液L1を供給するための供給口312が備わった管体31と、フィルター2の下方側に連結された開閉器90とを備えており、筐体37の下方側には、フィルター2によって濾過されたクリーン液L9が排出されるクリーン液排出口39が配されている。前記フィルター2は、その側面にメッシュが形成されている筒状で、底の抜けた袋状を呈しており、濾過面積を大きくするためにドレープ付きのカーテン状となっている。使用済みクーラント液L1を供給するための管体31は、筐体37の天井付近に配設され、その供給口312が、袋状フィルター2の上側から差し込まれており、供給口312によって袋状フィルター2が吊り下げられている。筐体37の下側で、開閉器90の下方には、その中央が抜けている環状のパッキン61が配設されており、袋状フィルター2の下側が挟み込まれて固定されている。
【0045】
本実施形態では、前記フィルター2の濾過作用によって、使用済みクーラント液L1からクリーン液L9が除かれたダーティ液L2が、筐体37の下面の排出口611から排出される構成となっており、図1に示す例では、濾過機3のパッキン61の穴611とダーティ液貯留槽591の受口5911が位置合わせされ、ダーティ液貯留槽591の真上に濾過機3が取り付け固定されている。 そして、本実施形態では、筐体37の内側で、前記フィルター2の外側には、複数のエアノズル381が配されており、フィルター2の外側面2bから内側面2aに向けてエア吐出する構成となっている(図1(b))。
【0046】
本実施形態によれば、フィルター2が側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら使用済み液L1(ダーティなクーラント液)を安定供給することが容易となる。
【0047】
図1に示す例では、前記開閉器90は、左右に動く可動部材91,91が互いに向き合う形で、フィルター2の下側で、前記フィルター2の一方側と他方側にそれぞれ連結されており、前記可動部材91,91が互いに近づくことで前記ダーティ液排出口22が閉じ(図1(a))、前記可動部材91,91が互いに遠ざかることで前記ダーティ液排出口22が開く構成となっている(図1(b))。
【0048】
本実施形態の濾過機3の濾過手順としては、まず、前記可動部材91,91を互いに近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、次に、前記フィルター2の上方側に配された供給口312から使用済み液L1(ダーティなクーラント液)をフィルター2の内側面2aに向けて吐出し、フィルター2の外側面2bからクリーン液L9を滲み出させて取り出し、筐体37の下方側のクリーン液排出口39から排出させる(図1(a))。そして、予めタイマーにより設定した時間になると、前記供給口312が閉じて、前記可動部材91,91を互いに遠ざかる方向に左右に動かして前記ダーティ液排出口22を開き、フィルター2内のダーティなクーラント液L2を落下させ、それとほぼ同時に、エアノズル381からエア(符号389)をフィルター2の外側面2bから内側面2aに向けて吹き付けて、フィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をダーティ液貯留槽591へと排出する(図1(b))。そして、エアノズル381を閉じて、前記可動部材91,91を互いに近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、前記供給口312からの使用済み液L1の吐出を繰り返す。
【0049】
本実施形態によれば、前記フィルター2の濾過作用でクリーン液L9が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口22が開いて前記クリーン液L9が除かれたダーティ液L2として落下して排出される構成であるから、工作機械や食品機械等の機械から屑(切り屑4)が混ざって排出された使用済み液L1を長時間に亘って濾過機3内に滞留させることがなくなり、使用済み液L1の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0050】
(本実施形態のチップコンベヤ装置)
本実施形態のチップコンベヤ装置1は、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液L1を処理する装置であり、濾過機1が搭載され、濾過機1内のフィルター2にてクリーン液L9が除かれ落下したダーティ液L2を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構を備えている。本実施形態の搬送機構としては、コイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤが挙げられ、前記ダーティ液L2を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑L5として排出するチップコンベヤ装置である。
【0051】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図であり、図3は、本実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を側面側から示す構造図である。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、前記濾過機3がスクリュー式コンベヤ5の筐体上に設置される装置構成である。 本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置1は、箱形状の濾過機3と、濾過機3がその受口に連結されたスクリュー式コンベヤ5からなる(図2)。 前記濾過機3内には筒状フィルター2が収納されており、筒状フィルター2の入口21には、ダーティなクーラント液L1を供給する管体31が差し込まれている。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、複数のキャスターC1を備え、旋盤やフライス盤等の工作機械の近傍の地面と水平な床E上に設置され使用される。スクリュー式コンベヤ5の背面側には、装置を押すためのバー79が配されている。濾過機3の側面側には開閉ドア35が取り付けられており、ドア35を開いて、濾過機3に内蔵された筒状フィルター2を交換等できるようになっている。また、スクリュー式コンベヤ5の背面側には、制御回路7(制御盤7)が配されている。なおここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0052】
本実施形態に係るフィルター2は、筒形状を呈した筒状フィルターであり、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1を濾過して、筒状フィルター2の外周側面2bからクリーン液L9を滲み出させて下方に落下させ、クリーン液排出口39から機外に排出するとともに、筒状フィルター2の内周側面2aを通過したダーティ液L2をフィルター出口22から落下させて搬送機構5に受け渡す。
【0053】
本実施形態の筒状フィルター2は、底が抜けた袋状部材であり、図14(a)に示す例では右側上方に楕円形状の入口21が形成され、最下面部分に複数の楕円形状のフィルター出口22が形成されている。筒状フィルター2を、底が抜けた袋状部材とすることで、ダーティ液を下方のフィルター出口22へと落下させながら濾過する際に、この筒状フィルター2が柔軟に動くことによって切り屑4が引っ掛かり難く切り屑4による傷が付き難いようにしている。図14に示す例では4つの細い筒状部が所定間隔で配されて上部の本体に合流している構成である。これらの細い筒状部を設けることで筒状フィルター2の有効濾過面積を大きくして濾過処理能力を高めている。
【0054】
前記筒状フィルター2の材質としては、繊維、布、紙、金属メッシュ、樹脂メッシュ、パンチングメタル、セラミックス膜、高分子膜等が挙げられ、工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の濾過精度によってその網目の大きさや外周側面の厚みが適宜設定される。また、複数の材質を組み合わせた筒状フィルター2とすることができる。本実施形態では、前記筒状フィルター2の材質として、金属メッシュを用いており、少なくともフィルター2本体の側面がメッシュ面となっている。
【0055】
本実施形態では、筒状フィルター2の上部に形成された横向き入口21から細長い円筒状の管体31が内部に差し込まれており、管体31の下側に所定間隔で形成された複数の供給口312からダーティなクーラント液L1が下方に向けて散布される(図5を参照)。供給口312の穴径は、想定される最大の大きさの切り屑4がスムーズに吐出できるだけの大きさに設定される。筒状フィルター2は、濾過機3内の天井に取り付けられたフック等の吊り下げ手段25にて吊り下げられており、着脱自在に収納されている(図5)。本実施形態によれば、筒状フィルター2が吊り下げられていることで、筒状フィルター2がより柔軟に動くこととなる。つまり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記フィルターのメッシュ面(図14、図15では符号2aの面)に沿って流れることによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動することとなり、積極的に切り屑4を除去する作用が働くこととなる。そして、ダーティなクーラント液L1をスムーズに落下させる観点から、筒状フィルター2が床面Eに対して略鉛直に配されている。本実施形態では、工作機械から排出されるダーティなクーラント液L1の排出量や切り屑4の種別に応じて、最適な性能の筒状フィルター2を適宜付け替えて対応する構成となっている。筒状フィルター2は市販の袋状フィルターの底を抜いて追加工することで使用できる他、網目の大きさや外周側面の厚みや材質を異ならせたカスタム仕様とすることもできる。
【0056】
本実施形態では、前記クリーン液L9とダーティ液L1とを仕切るために前記筒状フィルター2の出口22と搬送機構5の受口51とがパッキン61によって封止されている。そして、筒状フィルター2は、図3に示す例では左右に複数連なって配されている。本実施形態によれば、底が抜けた袋状の筒状フィルター2が複数連なって配されていることで、筒状フィルター2の有効濾過面積をより大きくすることができ、濾過処理能力をさらに高められる。
【0057】
本実施形態では、濾過機3内の側面には所定間隔で複数のエアノズル381が取り付けられており、エアノズル381の噴射口がやや斜め下向きで筒状フィルター2の外周側面に向けて配されている(図3)。エアノズル381は、筒状フィルター2の外周側面から筒状フィルター2内にエア389を吐出してフィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をスクリュー式コンベヤ5へと送り出す構成となっている。
【0058】
図15は、本発明に係る筒状フィルター2の他の例を示す図である。図15に示す例では、筒状フィルター2の本体には所定間隔で上下方向に複数箇所(図15では3箇所)の繋ぎ目23が設けられており、これら繋ぎ目23によって複数のフィルター出口22(図15では4つ)を形成している。これら繋ぎ目23によって筒状フィルター2の本体が細分化され、複数のフィルター出口22が形成されることで筒状フィルター2の有効濾過面積を大きくして濾過処理能力を高めている。本実施形態によれば、袋状部材2の有効濾過面積を大きくすることが容易である。
【0059】
本実施形態に係るスクリュー式コンベヤ5のスクリュー部は、回転軸5jの外周側面に一体形成されたスクリュー羽根5pからなり、減速機8gを介して駆動モータ8Mと回転軸5jが連結される。円筒状搬送路5の内周の少なくとも下半分とスクリュー羽根5pの外周とは、摺接している。これは、筒状フィルター2から受取った切り屑4を漏れなく掻き集めて前方側に押しやりながら圧縮するためである。本実施形態に係る円筒状搬送路5は、地面と水平な床面Eに対して水平設置されたストレートな円筒形状の水平部5cと、スクリュー式コンベヤ5のスクリュー部の先端付近から床面Eに対して所定の傾斜角度で立ち上がった傾斜部5bからなる(図2)。床面Eに対する傾斜角度Kは、30度から80度である。傾斜部5bの前方側(図中の右側)は切り屑排出口52となっており、切り屑排出口52の開口径は水平部5cの内径よりも若干大きく設定され、傾斜部5bは、全体として略ラッパ形状を呈する。これは、圧縮された切り屑L5を排出しやすくするためである。
【0060】
本実施形態では、フィルター2の下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口22を開閉する開閉器90が連結されている(図5)。図7は、本実施形態のチップコンベヤ装置1の濾過機3に配された開閉器90の構造を上から見た構造図である。図8は、前記開閉器90の構造を側面側から見た構造図である。 前記開閉器7は、ソレノイドバルブが付設されたエアシリンダ95によって前記フィルター2下方側のダーティ液排出口22を開閉するものである。図8や図9に示す例では、前記開閉器90が、フィルター2の一方側に連結された固定部材92とフィルター2の他方側に連結された可動部材91とからなり、ヒンジ開閉機構によって、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開き、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92に近づくことでダーティ液排出口22が閉じる構成となっている。図8に示す例では、可動部材91の先端部が、固定部材92の先端部の上方に入り込む(嵌め込む)構成となっており、また、図9に示す例では、可動部材91の先端部が、固定部材92の先端部の下方に入り込む(潜り込む)構成となっている。
本実施形態によれば、前記ダーティ液排出口22の開閉位置が一定となり、複数のダーティ液排出口22を同時に開閉動作させることができ。そして、より確実に前記ダーティ液排出口22を閉じることができる。
【0061】
図18は、本発明のチップコンベヤ装置1に係る筒状フィルター2の他の例を示す図であり、図18(a)は側面図、図18(b)は正面図、図18(c)は底面図である。本実施形態の筒状フィルター2は、その両側面に舌片28が配されている。舌片28は、横長の板状であり、ダーティ液排出口22よりも上方に、ダーティ液排出口22と平行な位置で配されている。舌片28は、その上半分が筒状フィルター2に接合されており、接合方法としては、半田付け、縫合、接着、溶着等が挙げられる。本実施例では、舌片28の下面に面ファスナーの一方側部材28aが配されており(図18(b)(c))、前記開閉器90を構成する可動部材91先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材28aと対応する他方側部材91aを配しておくとともに、前記開閉器90を構成する固定部材92先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材28aと対応する他方側部材91aを配しておく(図19(a)(b))。本実施例によれば、フィルター2を開閉器90と連結させることが容易であり、フィルター2の着脱が簡易にできる。そして、上述のようにヒンジ開閉機構によって、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開き(図19(b))、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92に近づいて、可動部材91の先端凸部が固定部材92の上方の凹部に入り込むことでダーティ液排出口22が隙間無く閉じる構成となっている(図19(a))。
図20は、上記実施形態の筒状フィルター2を上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置1における濾過機3の開閉器90の他の例に取付けた動作状態を斜め後方側から見た構造図であり、図20(a)は筒状フィルター2の排出口22が閉じたときの図であり、図20(b)は筒状フィルター2の排出口22が開いたときの図である。図20に示す例では、可動部材91と固定部材92とがフィルター2を介して向き合う対象形状となっており、可動部材91の先端凸部が固定部材92の先端凸部と近接することでダーティ液排出口22が閉じて(図20(a))、可動部材91の先端凸部が固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開く構成となっている(図20(b))。なおここで、例えば可動部材91と可動部材92として筒状フィルター2の側面が互いに近づいたり遠ざかる構成としても良い。また例えば、可動部材91と可動部材92として、それら先端部にそれぞれスリットを設けて、前記スリットにて前記舌片28を挟む構成としても良い。
【0062】
図6は、本実施形態のチップコンベヤ装置1の濾過機3の回路図である。 本実施形態では、前記開閉器90を開閉制御する制御回路7が備わっているとともに、前記濾過機3内には、前記フィルター2の上方側から供給された使用済み液L1の液面高さを検知するフロートスイッチ75が配されており(図5)、制御回路7が、フロートスイッチ75からの検知信号を受けて、開閉器90を開閉制御し、使用済み液L1の液面高さが所定高さとなるタイミングでダーティ液排出口22が所定時間だけ開くように設定されている。
【0063】
本実施形態のチップコンベヤ装置1の動作手順としては、まず、前記可動部材91を固定部材92に近づけてダーティ液排出口22を閉じ、次に、フィルター2の上方側に配された供給口312から使用済み液L1(ダーティなクーラント液)をフィルター2の内側面2aに向けて吐出し、フィルター2の外側面2bからクリーン液L9を滲み出させて取り出し、筐体37の下方側のクリーン液排出口39から排出させる。そして、使用済み液L1の液面高さが予め設定された所定高さとなるとフロートスイッチ75がONとなり、フロートスイッチ75からのON信号を受けて、前記供給口312を閉じて、開閉器90を開閉制御することで、前記可動部材91を固定部材92から遠ざける方向に左右に動かしてダーティ液排出口22を開き、フィルター2内のダーティなクーラント液L2を落下させ、それとほぼ同時に、エアノズル381からエア(符号389)をフィルター2の外側面2bから内側面2aに向けて吹き付けて、フィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をダーティ液貯留槽591へと排出する。そして、エアノズル381を閉じて、前記可動部材91を固定部材92に近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、前記供給口312からの使用済み液L1の吐出を繰り返す。そして、前記濾過機3から落下排出されたダーティなクーラント液L2をスクリュー式コンベヤ5にて受け取って、搬送しながら切り屑L5として切り屑排出口52から排出する(図3)。 旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された使用済みクーラント液L1には、各種切り屑4が混ざっており、前記フィルター2のメッシュ面に細かい切り屑4が付着して目詰まりする場合が想定されるが、フロートスイッチ75(又は液面レベルセンサ75)によって液面高さを検知することで、前記目詰まりを検知し、例えば、1秒〜3秒間隔で、断続的にエアノズル381からエア吐出させ、3秒〜10秒周期で、可動部材91と固定部材92とを近づけたり遠ざけたりすることで、袋状フィルター2のメッシュ面を振動させてより積極的にメッシュ面に付着した切り屑4を振るい落とす動作をさせても良い。
【0064】
図17は、上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置1の他の例を側方から示す断面図である。濾過機3内のフィルタ2の向きは、図17に示すようにスクリューの回転軸5jに沿った配置としても良く、筒状フィルター2のフィルター出口22と搬送機構の受口51とを、連結手段63を介して連結しても良い。 上述した実施形態では、搬送機構としてスクリュー式コンベヤ5を採用したが、鋼線をコイル状に加工しこれを回転させて切り屑4を巻き込んで排出させるコイル式コンベヤ5とすることも可能である。また、前進後退用の駆動モータを追加してスクリュー式コンベヤ5を回転させながら前進させたり後退させたりして圧縮された切り屑L5の嵩や圧縮率を高めることも可能である。
【0065】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図を図10に示し、その背面図を図11に示す。また、上記実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を示す要部断面図を図12と図13に示す。 本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置1は、箱形状の濾過機3と、濾過機3にその筐体の一部が組み込まれたスクレーパ式コンベヤ5からなる(図10)。濾過機3内には筒状フィルター2が収納されており、筒状フィルター2の入口21には、ダーティなクーラント液L1を供給する管体31が差し込まれている。濾過機3の背面側には開閉ドア35が取り付けられており、ドア35を開いて、濾過機3に内蔵された筒状フィルター2を交換等できるようになっている。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0066】
本実施形態では、濾過機3内の天井付近には洗浄ノズル382が取り付けられており、洗浄ノズル382の噴射口が斜め下向きで筒状フィルター2の外周側面に向けて配されている(図13)。洗浄ノズル382は、筒状フィルター2の外周側面から筒状フィルター2内にクリーン液L9を吐出して逆洗する構成となっている。洗浄ノズル38から吐出するクリーン液L9は、筒状フィルター2によって濾過されたクリーン液L9の一部をポンプ(図示せず)で汲み上げて再使用している。
【0067】
本実施形態に係る搬送機構5は、スクレーパ式コンベヤである。スクレーパ式コンベヤ5は、チェーンコンベヤ81が駆動軸8Mと従動軸8Rとの間に掛け渡されて搬送路を形成し、所定間隔でチェーンコンベヤに取り付けられたスクレーパ7が角状搬送路の筐体の内側底部に落下した切り屑4を掻き取って角筒状搬送路の筐体の上方に掻き揚げる構成である。このスクレーパ式コンベヤ5の底面側にはマグネット板58が取り付けられており、マグネット板5の磁力によって集まった鉄系の切り屑4をスクレーパ7が漏れなく掻き集めてスクレーパ式コンベヤ5の上方に形成された切り屑排出口52から排出するようになっている。スクレーパ7にて掻き揚げられる過程で圧縮された切り屑4は、角状搬送路の筐体の上方の切り屑排出口52から機外に落下し、廃棄箱(図示せず)に収まることとなる。本実施形態では、水平な床面Eとスクレーパ式コンベヤ5の筐体の傾斜面がなす傾斜角度Kは、30度から80度の傾斜角度に設定され、傾斜角度Kの最適値は約60度である。本実施形態によれば、筒状フィルター2から受取ったダーティ液L2に混ざった切り屑4を徐々に押し上げて液切りしながら前記切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出することとなり、切り屑4の後始末が容易である。
【0068】
本実施形態では、前記切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1の一部を吐出するためのリリーフ回路吐出口32が前記濾過機3に形成されており、このリリーフ回路吐出口32の高さが前記切り屑排出口52の高さよりも低い位置に設定されている(図12)。本実施形態によれば、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出され切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の液量が増大して前記濾過機3の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機3に形成されたリリーフ回路吐出口32から前記ダーティなクーラント液L1の一部が吐出され、オーバーフローが防止される。本実施形態では、リリーフ回路吐出口32は常時開放型の管形状であるが、適宜、開閉弁や栓を追加で配してもよい。
【0069】
本実施形態のチップコンベヤ装置1の装置構成によれば、切り屑4が混ざったダーティ液L1を管体31から吐出させてフィルター2の内周側面2aに沿わせて落下させるだけで、筒状フィルター2の濾過作用によってクリーン液L9をその外周側面2bから滲み出させてクリーン液排出口39から機外に排出するとともに、筒状フィルター2にて除かれ落下してフィルター出口22から排出されたダーティ液L2を搬送機構5が受けて所定形状の搬送路内を搬送し切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出する。よって、切り屑4を濾過機3内に滞留させることがなくなり、クリーン液L9を機外に排出しながら、搬送機構5が切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出するので、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出されるダーティなクーラント液L1の急激な増減に対応した動作をする。また、本実施形態によれば、切り屑4が混ざったダーティ液L1が筒状フィルター(袋状部材)2の下方のフィルター出口22へと落下しながら濾過される際に、この袋状部材2が振動して柔軟に動くので、切り屑4が引っ掛かり難く切り屑による傷が付き難い。そして、この重力を利用した上から下への落下と、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動する作用とが組み合わさった相乗作用によって、粘度の高い油系の切削液であってもスムーズに濾過させることができる。
【0070】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から、その内部構造を示す要部断面図を図16に示す。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、濾過機3と、チェーンコンベヤ5と、ダーティなクーラント液L1を一時的に溜めるダーティ液槽T1と、ダーティ液槽T1からダーティなクーラント液L1を汲み上げて濾過機3に供給するポンプP1を備える構成である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0071】
本実施形態のチップコンベヤ装置1は、筒状フィルター2を内蔵した濾過機3がチェーンコンベヤ5の筐体上に設置される装置構成である。チェーンコンベヤ5は、複数のプレート板82が連続的に配され駆動軸8Mと従動軸8Rとの間に掛け渡されて搬送路を形成するものであり、搬送路の中間地点で筐体が斜め上方に立ち上がっており、切り屑を搬入する下方の受口51と切り屑を排出する上方の切り屑排出口52を備える。プレート板82は、切り屑搬送面に複数の貫通窓及び貫通窓を覆うメッシュ(金属網)が形成されたメッシュ付きプレート板である。
【0072】
本実施形態では、筒状フィルター2のフィルター出口22と搬送機構の受口51とが、連結手段63を介して連結されている。連結手段63は、ダーティ液L1,L2から前記クリーン液L9を確実に仕切るための筒状部材である。本実施形態では、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1が前記ダーティ液槽T1に一時的に溜められる。そして、前記ポンプP1によってダーティ液槽T1からダーティ液L1が汲み上げられて前記濾過機3に供給され、濾過機3内の筒状フィルター2によって濾過されたクリーン液L9がクリーン液排出口39から機外に排出される。そして、前記筒状フィルター2のフィルター出口22から濃縮されたダーティ液L2が排出されて落下し、筒状フィルター2の下方に配されたチェーンコンベヤ5へと受け渡され、所定形状の搬送路を圧縮搬送され切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出される。そして、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1の液量が増大して前記濾過機3の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機3に形成されたリリーフ回路吐出口32から配管321を経由して前記切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の一部が吐出されてダーティ液槽T1に還流されることによっても、オーバーフローが防止される。
【0073】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記開閉器3の動作としては、前記フィルター2下方の側面を前後左右に動かして前記フィルター2下方の一方側と他方側とを互いに遠ざけたり近づけたりすることで前記ダーティ液排出口22を開閉する構成以外にも、前記フィルター2下方側を捻って回動させて前記フィルター2下方を絞ったり緩くすることで前記ダーティ液排出口22を開閉する構成とすることも可能である。前記開閉器3の駆動手段としては、油圧シリンダ、エアシリンダ、ソレノイド、ばね、電動モータ等が適用される。 また例えば、前記筒状フィルター2の形状は、ストレート形状に限定されず、漏斗状や裾が広がったスカート状でもよい。前記筒状フィルター2は、そのまま使用しても良いし、絞り、捻り、撚り、襞の形成等の加工を施すか、多数個用いるか、多く連ねる等のいずれか一種ないしは複数を組み合わせることによって有効濾過面積を大きくすることができる。また例えば、比較的大きな切り屑(目安として、サイズが1mm以上の切り屑)をチェーンコンベヤの複数のプレート板上で搬送して上方の総排出口から排出し、前記プレート板の下方に通過した比較的小さな切り屑(目安として、サイズが1mm未満の切り屑)をダーティ液槽に一時的に溜めて、ポンプによってダーティ液槽から汲み上げて前記濾過機3に供給する構成としても良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 本発明のチップコンベヤ装置、
2,213 フィルター(筒状フィルター)、
2a フィルターの内側の面、
2b フィルターの外側の面、
22 ダーティ液排出口(フィルター出口)、
3 本発明の濾過機、
31 管体、
312 供給口、
38 ノズル、
381 エアノズル、
39 クリーン液排出口、
4 切り屑、
5 搬送機構、
51 搬送機構の受口、
52 切り屑排出口、
7 制御回路、
75 フロートスイッチ(液面レベルセンサ)、
90 開閉器、
L1 使用済み液(工作機械から排出された使用済みクーラント液)、
L2 ダーティ液(フィルターにて除かれたダーティ液)、
L9 クリーン液(フィルターにて濾過されたクリーン液)
【技術分野】
【0001】
この発明は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液からクリーン液を取り出す濾過機、特に、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液からクリーン液を取り出す濾過機と、当該濾過機が一体的に取り付けられたチップコンベヤ装置、並びに当該濾過機に使用するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
旋盤やフライス盤等の工作機械においては、バイト、カッタ等の切削工具と被加工物(ワーク)とが接触する加工部位に切削液(クリーンなクーラント液)を供給して当該加工部位の発熱を抑えながら加工を行う湿式タイプが主流になっている。この湿式タイプの工作機械には濾過手段を備えたチップコンベヤ装置が常設されている。チップコンベヤ装置は、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)から切り屑(被加工物から除去された不要物)を分離して排出するとともに、装置内の濾過手段によって切り屑が取り除かれたクリーンなクーラント液に再生して工作機械に返送する。本明細書では、工作機械の加工によってワークから除去された金属屑若しくは金属を含んだ屑全般を切り屑と定義しており、ヒゲ状、カール状、小塊状、粉状、汚泥状に関わらず切り屑と表現している。
【0003】
チップコンベヤ装置に配されて、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液からクリーン液を取り出す濾過機としては、回転ドラムフィルター、サイクロン分離器、マグネットフィルター等が挙げられる。回転ドラムフィルターは、メタルワイヤ(ウェッジワイヤ)やパンチングメタル等によってその外周にメッシュを形成した回転ドラムを、ダーティ槽内で水平軸まわりに回転させることで回転ドラム外周のメッシュ面に切り屑を留めながら切削液を回転ドラムの内側に濾過してクリーン液とし、回転ドラムの内側から濾過済みのクリーン液を水平軸方向(横方向)に排出して隣接したクリーン槽内に排出する。サイクロン分離器は、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液を筐体側面の入口から圧力をかけて流し込み、筐体内部に螺旋流(サイクロン)を発生させ、クリーン液を分離してサイクロン分離器の上方に排出しつつ、濃縮されたダーティ液を筐体下端の分離排出口(ダーティ液排出口)から下方に吐き出す。マグネットフィルターは、筐体に内蔵された磁力体に鉄の切り屑を留めながらクリーン液をマグネットフィルターの外に排出する。これらの濾過機はいずれも、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液の一部からクリーン液を分離して取り出すための機器である。
【0004】
チップコンベヤ装置において、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液から切り屑を分離して搬送する搬送機構としては、チェーンコンベヤ、コイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ等が挙げられる。チェーンコンベヤは、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液を搬送する複数のプレート板が連続的に配されて駆動軸と従動軸との間に掛け渡され、切り屑を複数のプレート板上で搬送しながらコンベヤ上方の総排出口から排出しつつ、切削液を複数のプレート板の下方に通過させる。チェーンコンベヤの切り屑搬送機構としては、プレート板以外に、搬送ベルトに切り屑を掻き上げる掻き取り部材(掻き板)が取り付けられたスクレーパ式コンベヤや、マグネットが取り付けられたマグネット式コンベヤがある。スクリュー式コンベヤは回転軸上に螺旋プロペラが形成されたスクリューを回転させることで、切り屑を搬送しながら圧縮してコンベヤ上方の排出口から排出しつつ、重力にて切削液をコンベヤの下方に移動させるコンベヤである。コイル式コンベヤは、螺旋コイル状に形成された回転軸により切り屑を搬送しながら圧縮してコンベヤ上方の排出口から排出しつつ、切削液をコンベヤの下方に移動させるものである。これらの搬送機構はいずれも、切り屑をコンベヤ上方の排出口に移動させながら、切削液をコンベヤの下方に移動させ、工作機械から切り屑が混ざって排出されたクーラント液から切り屑を分離して取り出すための機構である。
【0005】
従来のチップコンベヤ装置では、切り屑が混ざって排出された使用済み液の処理能力を高めるために、搬送路のサイズ(面積)が大きくなっている。その一方で、工作機械が加工する被加工物(ワーク)の形状、材質、面粗さ等の仕様が多種多様であり、また、加工の進行段階によってワークからの切り屑の発生の仕方が大きく異なり、ワークの発熱量に応じて供給する切削液(クーラント)の量が大きく増減する。つまり、工作機械から切り屑が混ざって排出された切削液(ダーティなクーラント液)の排出量は急激に増減し、また、ダーティなクーラント液に占める切り屑の割合も大きく変動することが通例である。このダーティなクーラント液の排出量の急激な増減に対応するためには、工作機械から排出されたダーティなクーラント液の排出量の瞬間最大値に合わせて、余裕を持たせた大きなサイズの搬送路とするか、ダーティなクーラント液を一時的に溜めるダーティ液槽の容量を充分大きくするか、その両方を実施しなければならず、いずれにしても大型のチップコンベヤ装置となってしまう。
【0006】
従来のチップコンベヤ装置としては、例えば特許文献1にはチェーンコンベヤ装置が記載されており、特許文献2にはスクリュー式コンベヤ装置が記載されている。しかし、これらコンベヤ装置の単体使用だけでは、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)からの切り屑とクリーン液との分離が不十分である。そこで、チェーンコンベヤに回転ドラムフィルターを取り付けたり(例えば特許文献3)、さらにサイクロン分離器やマグネットフィルターを取り付けたりすることで、再生使用するクリーン液のクリーン度合いを高めようとする工夫がなされている。また、ダーティなクーラント液をポンプで汲み上げてサイクロン分離器に供給しサイクロン分離器にてクリーン液の一部を分離してサイクロン分離器の上方に排出しつつ、濃縮されたダーティ液を筐体の下方に吐き出してサイクロン分離器の下方に設置されたダーティ液槽に落下させ、時間の経過によってダーティ液槽に沈降蓄積して貯留された濃縮沈殿物(スラッジと呼ばれる切り屑)をコンベヤにてダーティ液槽の上方に搬送して機外に排出する液処理装置(特許文献4)が開示されている。
【0007】
いっぽう、加工廃液の濾過装置としては、メッシュ(網目)を形成した袋状のフィルターを用いて切り屑を袋状のフィルター内に溜め込んで周囲のメッシュからクリーン液を滲み出させる構造の濾過装置が開示されている(特許文献5、6)。また、特許文献7には、メッシュ(網目)を形成した袋状又は筒状のフィルターを捻って加工廃液の流路の面積を大きくすることで周囲のメッシュからクリーン液を滲み出させる濾過能力を高める方法が開示されている。なお、これらの濾過装置は単体使用されているに過ぎず、他の装置と組み合わせて使用することについては開示も示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−253523号公報
【特許文献2】特開2004−224566号公報
【特許文献3】特開2003−145390号公報
【特許文献4】特開2006−75725号公報
【特許文献5】特開平8−118236号公報
【特許文献6】特開2004−106402号公報
【特許文献7】特開平6−55056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1から4に示す従来のコンベヤ装置は、工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済み液(ダーティなクーラント液)の排出量の急激な増減に対応できているとは言い難い。その理由としては、この種のダーティなクーラント液の排出量の急激な増減は予測し難く、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量が急激に増加すると、ダーティ液の液面が上昇してコンベヤ装置の切り屑排出口からダーティ液が溢れ出てしまうからである。いっぽう、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量が急激に減少すると、サイクロン分離器を組み合わせた装置構成においては、サイクロン分離器が正常動作せずにダーティなクーラント液が筐体下端の分離排出口(ダーティ液排出口)から下方に垂れ流し状態となる。また、回転ドラムフィルターを組み合わせた装置構成においては、ドラムフィルターをダーティ液に水没させて使用しているので正常な濾過動作ができなくなる。これらの不具合を避けるためには、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量の瞬間最大値に合わせて、余裕を持たせた大きなサイズの搬送路とするか、ダーティなクーラント液を一時的に溜めるダーティ液槽の容量を充分大きくするか、その両方を実施しなければならず、その結果、大型のチップコンベヤ装置を設置せざるを得ないのが実情である。そして、回転ドラムフィルターを組み合わせた装置構成においては、ドラムフィルターを回転させるための駆動力を必要とし、メッシュ面の目詰まりがし易くメンテナンスが容易ではない。また、特許文献5から7に示すメッシュ(網目)を形成した袋状のフィルターや筒状のフィルターは、フィルター内に溜め込んだ切り屑を除去する後作業が煩雑であり、フィルターが目詰まりし易い配置構成となっているため、フィルターが目詰まりする都度、フィルターを交換して廃棄していることから産業廃棄物が増加することとなり、資源保護の観点からも好ましくない。 また、上述のような加工廃液の濾過機としては、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出されたダーティな油液からクリーンな油液を取り出すための濾過機が知られているが、これらの濾過装置についてもフィルター内に溜め込んだ食品屑を除去する後作業が煩雑であり、フィルターが目詰まりし易い配置構成となっているのが実情であり、フィルターが目詰まりする都度、フィルターを交換して廃棄していることから産業廃棄物が増加することとなり、資源保護の観点からも好ましくない。
【0010】
そこで本発明の目的は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液からクリーン液を取り出すに際し、供給される使用済み液の急激な増減に対応した動作をし、フィルターの目詰まりが生じ難い構成とすることでメンテナンスフリーとなる新たな構造の濾過機と当該濾過機が一体的に取り付けられたチップコンベヤ装置、並びに当該濾過機に使用するフィルターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の濾過機は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過されてクリーン液が取り出される濾過機であって、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下して排出されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、前記フィルターの濾過作用でクリーン液が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液として落下して排出される構成であるから、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、機械から屑が混ざって排出された使用済み液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0013】
前記機械から屑が混ざって排出された使用済み液としては、例えば、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が挙げられる。前記クーラント液には比較的粘度の低い水系の切削液と比較的粘度の高い油系の切削液とがある。そして例えば、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出された使用済み油液も本発明の適用対象となる。
【0014】
本発明は、前記使用済み液が、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液であり、前記使用済みクーラント液が前記フィルターの上方側から供給され、その後、前記ダーティ液排出口から前記クリーン液が除かれたダーティ液として排出され、次工程の濾過手段に受け渡されることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、前記クリーン液が除かれたダーティ液が前記ダーティ液排出口から排出された後、受け渡された次工程の濾過手段でまとまった切り屑として連続的に処理し易くなる。ここで、次工程の濾過手段としては、前記フィルターの種別を異ならせた前記濾過機や、既知のチップコンベヤ等が挙げられる。
【0016】
本発明のチップコンベヤ装置は、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過される濾過機と、前記フィルターにてクリーン液が除かれ落下したダーティ液を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構とを備え、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済みクーラント液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下し、この落下したダーティ液が前記搬送機構に受け渡されて搬送され、切り屑として切り屑排出口から排出されることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前記フィルターの濾過作用でクリーン液を取り出しながら前記搬送機構が搬送し、まとまった切り屑として排出する構成であるから、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出されたダーティなクーラント液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、前記工作機械から排出されたダーティなクーラント液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0018】
本発明に係るフィルターは、前記濾過機に内蔵され、前記開閉器と連結して使用される。前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることが好ましい。前記舌片が前記フィルター側面に配されていることで、前記フィルターを前記開閉器と連結させることが容易である。例えば、前記開閉器先端部(前記フィルターと前記開閉器が当接する位置)にスリットを設けて、前記スリットにて前記舌片を挟む構成としても良いし、また例えば、前記舌片の下面に面ファスナーの一方側部材を配し、前記開閉器先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材と対応する他方側部材を配しておき、前記面ファスナーを介して前記フィルターを前記開閉器と連結させる構成としても良い。前記面ファスナーを介して前記フィルターを前記開閉器と連結させる構成とすれば、前記フィルターの着脱が簡易にできる。
【0019】
前記フィルターの形状としては、円筒形状、底の抜けた袋状、箱形状、多角形状等が挙げられる。前記フィルターは、そのまま使用しても良いし、絞り、捻り、撚り、襞の形成等の加工を施すか、多数個用いるか、多く連ねる等のいずれか一種ないしは複数を組み合わせることが好ましく、これらによって前記フィルターの有効濾過面積を大きくすることができる。 特に、円筒形状や底の抜けた袋状等とすることでその側面に襞(ドレープ)を形成させたカーテン状とし易くなり、ドレープ付きのカーテン状とすることで濾過面積が大きくなるため液処理量を増やすことができ、有利である。例えば、前記フィルターを筒形状とした場合の内径形状としては、ストレート形状が好ましいが、漏斗状や裾が広がったスカート状でもよい。
前記フィルターの材質としては、繊維、布、紙、金属メッシュ、樹脂メッシュ、パンチングメタル、セラミックス膜、高分子膜等が挙げられ、工作機械から切り屑が混ざって排出されたダーティなクーラント液の濾過精度によってその網目の大きさや外周側面の厚みが適宜設定される。また、複数の材質を組み合わせた複合フィルターとしてもよい。
【0020】
本発明は、前記濾過機内の前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、前記フィルターが側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら前記使用済み液(ダーティなクーラント液)を連続的に安定供給することが容易となる。そして、前記供給口から前記フィルターの内側面に向けて前記使用済み液(ダーティなクーラント液)が吐出され、前記フィルターの外側面からクリーン液が滲み出て排出される構成とすることで、前記フィルター側面のメッシュ面に向けて積極的に前記ダーティなクーラント液を沿わせて流すこととなり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記メッシュ面に沿って流れ、それによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動し、積極的に屑(切り屑)を除去する作用が働くので、前記フィルターの目詰まりが生じ難い構成となる。
【0022】
本発明は、前記筒形状のフィルター(筒状フィルター)の入口に前記供給口が配された管体を差し込んでおき、当該管体から供給されたダーティなクーラント液を吐出させ、落下させながら前記筒状フィルターにて濾過させることが好ましい。 本発明によれば、前記管体が前記筒状フィルターの入口に差し込まれた状態でダーティなクーラント液を供給するので、前記管体から供給されたダーティなクーラント液が前記筒状フィルターの外に飛散する虞がない。また、前記管体から供給されたダーティなクーラント液が落下しながら前記筒状フィルターにて濾過されるので、重力を利用して効率的(効果的)に濾過することができる。前記管体には、前記ダーティなクーラント液を供給するための供給口が1つ形成される場合や、複数の供給口が所定間隔で形成される場合がある。前記供給口の向きは、下向き又は斜め下向きが好ましいが、横向きとする場合もある。
【0023】
本発明は、前記濾過機内の前記フィルターの出口が、前記チップコンベヤ装置の前記搬送機構の受口に連結されているか、又は前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に挿入されていることが好ましい。 本発明によれば、前記フィルターの内と外とをより確実に仕切る構成であるから、前記フィルター内を通過したダーティ液が前記濾過機の外に飛散する虞がない。 前記フィルターの出口と前記搬送機構の受口とは、直接連結してもよいし、筒状部材等の連結手段を介して連結してもよい。また、前記フィルターの出口と前記搬送機構の受口とは、着脱自在に連結してもよいし、連結固定することでもよい。
【0024】
前記所定のタイミングとは、前記濾過機内で、前記ダーティ液排出口を開いて前記ダーティ液を落下して排出するタイミングであり、より具体的な運用としては、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口を開く方法や、前記使用済み液の供給開始から所定時間毎に周期的に前記ダーティ液排出口を開く方法や、前記フィルターの重さを計量しながら前記ダーティ液がある程度堆積したと判断される重さとなったところで前記ダーティ液排出口を開く方法等が挙げられる。
【0025】
本発明は、前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記濾過機内には、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開く構成であるから、前記濾過機内で前記使用済み液がオーバーフローとなることを未然に防止しつつ、前記フィルター内に前記ダーティ液がある程度溜まった適切な段階で前記ダーティ液排出口を開いて、次工程へと受け渡すこととなる。
【0027】
本発明は、前記濾過機内には、前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、前記所定のタイミング又は前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出される構成であるから、前記フィルターの内側面に引っ掛かった屑(切り屑)がエアブローによって脱落して、次工程へと受け渡されることとなる。 前記エアノズルの向きとしては、前記フィルターの上方側から下方側に向けて配されることが好ましい。前記エアブローによって前記屑(切り屑)を積極的に落下させることができるからである。
【0029】
前記開閉器は、駆動手段によって前記フィルター下方側のダーティ液排出口を開閉するものであり、前記フィルター下方の側面を前後左右に動かして前記フィルター下方の一方側と他方側とを互いに遠ざけたり近づけたりすることで前記ダーティ液排出口を開閉する構成や、前記フィルター下方側を捻って回動させて前記フィルター下方を絞ったり緩くすることで前記ダーティ液排出口を開閉する構成等が挙げられる。前記駆動手段としては、油圧シリンダ、エアシリンダ、ソレノイド、ばね、電動モータ等が適用される。
【0030】
本発明は、前記濾過機内の前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じる構成であるから、前記ダーティ液排出口の開閉位置が一定となり、簡易に確実に開閉動作させることが容易である。そして、前記可動部材が前記固定部材に近づく際に、前記可動部材の先端部が前記固定部材の先端部の下方に入り込む(潜り込む)構成とするか、又は、前記可動部材の先端部が前記固定部材の先端部の上方に入り込む(嵌め込む)構成とすることで、より確実に前記ダーティ液排出口を閉じることが容易となる。
【0032】
本発明は、前記フィルターが前記濾過機内で吊り下げられていることが好ましい。本発明によれば、前記フィルターが前記濾過機内で吊り下げられていることで、前記ダーティなクーラント液が前記フィルター面の一方側に沿って落下しながら濾過される際に、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動するので、より積極的に切り屑を除去する作用が働くこととなる。
【0033】
本発明の実施形態としては、例えば、底が抜けた袋状部材を用いて前記フィルターとすることで、前記ダーティなクーラント液が筒状フィルターの下方の出口へと落下しながら濾過される際に、この袋状部材が振動して柔軟に動くので、切り屑が引っ掛かり難く切り屑による傷が付き難い。前記袋状部材が濾過機内で吊り下げられて、着脱自在に収納されていることで、前記袋状部材がより柔軟に動くこととなり、筒状フィルターの交換作業も容易である。前記ダーティ液をスムーズに落下させる観点からは、前記筒状フィルターが床面に対して略鉛直に配されていることがより好ましく、特に、粘度の高い油系の切削液を濾過する場合に好適である。筒状フィルターは、ダーティなクーラント液が袋状部材の中を通過することで振動することとなるが、振動モータ等によって外部から強制振動させることもできる。前記筒状フィルターは、工作機械から排出されるダーティなクーラント液の排出量や切り屑の種別に応じて、最適な性能の筒状フィルターを適宜付け替えて対応することができる。前記筒状フィルターは市販の袋状フィルターの底を抜いて追加工することで使用できる他、網目の大きさや外周側面の厚みや材質を異ならせたカスタム仕様とすることもできる。前記筒状フィルターを複数連ねて配することで、濾過処理能力をさらに高められる。
【0034】
本発明は、前記切り屑が混ざった切削液の一部を吐出するためのリリーフ回路吐出口が前記濾過機に形成されており、このリリーフ回路吐出口の高さが前記切り屑排出口の高さよりも低い位置に設定されていることが好ましい。本発明によれば、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液の液量が増大して前記濾過機の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機に形成されたリリーフ回路吐出口から前記切り屑が混ざったダーティなクーラント液の一部が吐出され、オーバーフローが防止される。
【0035】
本発明は、前記濾過機内の前記ダーティ液排出口から排出された前記ダーティなクーラント液を受けるための前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティなクーラント液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出することを特徴とする。
【0036】
本発明によれば、前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティなクーラント液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し切り屑排出口から圧縮した切り屑として排出するため、切り屑がまとまって排出され廃棄処理が容易である。また、前記搬送機構をスクレーパ式コンベヤとし、このスクレーパ式コンベヤの下方側にマグネットを取り付ける構成とすれば、マグネットが受取った切り屑を掻き板が漏れなく掻き集めて前記切り屑排出口から排出することとなる。
【0037】
本発明は、前記搬送機構の搬送路が地面に対して30度から80度の傾斜角度で立ち上がっていることで前記切り屑排出口が形成されていることが好ましい。本発明によれば、前記搬送路で受取った切り屑を徐々に押し上げて液切りしながら前記切り屑排出口から圧縮した切り屑として排出することとなり、切り屑の後始末が容易である。前記搬送路の傾斜位置は、前記搬送路の中間地点から立ち上がっている形状としてもよいし、前記切り屑の搬送開始地点から立ち上がっている形状としてもよい。前記搬送路が、切り屑の搬送開始地点からストレート形状で立ち上がっている単純な形状とすることで、小型の駆動モータであっても前記スクリュー式コンベヤを回転させ易い。水平な床面の場合は、前記傾斜角度の最適値は約60度である。
【0038】
本発明は、クリーン液を噴射する洗浄ノズルを前記濾過機内に備え、前記筒状フィルターの外周側面から前記筒状フィルター内にクリーン液を噴射して逆洗する構成とすることができる。例えばダーティなクーラント液に想定外の多量の切り屑が混ざっている場合や、筒状フィルターとダーティなクーラント液との組み合わせが不適当な場合には、前記筒状フィルター側面のメッシュの隙間に切り屑が付着して目詰まりすることも考えられる。前記筒状フィルターの外周側面から前記筒状フィルター内にクリーン液を噴射して逆洗する構成としておくことで、前記筒状フィルターの外周側面のメッシュが目詰まりする心配がない。洗浄ノズルを斜め下向きにしてクリーン液を噴射させ逆洗する構成としておけば、筒状フィルターの外周側面のメッシュの隙間に付着した切削屑を効果的に落下させることができる。洗浄ノズルからのクリーン液の噴射は、間隔をおいて所定の時間毎に噴射させれば、クリーン液の消費量を抑えられる。逆洗の洗浄ノズルは、前記筒状フィルターの外周側面の上方に固定配置してもよいし、洗浄ノズルが上から下に動きながらクリーン液を噴射する構成としてもよい。
【0039】
本発明は、複数のプレート板が連続的に配され駆動軸と従動軸との間に掛け渡されて、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液を前記プレート板上で搬送しながら上方の総排出口から切り屑を排出するチェーンコンベヤと、前記ダーティ液を一時的に溜めるダーティ液槽と、ダーティ液槽からダーティ液を汲み上げて前記濾過機に供給するポンプを備える構成としてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、前記濾過機内の前記フィルターの濾過作用でクリーン液が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液として落下して排出される構成であるから、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を長時間に亘って濾過機内に滞留させることがなくなり、機械から屑が混ざって排出された使用済み液の急激な増減に対応した動作をさせることができる。そして、前記クリーン液が除かれたダーティ液が前記ダーティ液排出口から排出された後、受け渡された次工程の濾過装置でまとまった切り屑として連続的に処理し易くなる。 本発明によれば、前記濾過機内の前記フィルターが側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら前記使用済み液(ダーティなクーラント液)を連続的に安定供給することが容易となる。そして、前記供給口から前記フィルターの内側面に向けて前記使用済み液(ダーティなクーラント液)が吐出され、前記フィルターの外側面からクリーン液が滲み出て排出される構成とすることで、前記フィルター側面のメッシュ面に向けて積極的に前記ダーティなクーラント液を沿わせて流すこととなり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記メッシュ面に沿って流れ、それによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動し、積極的に切り屑等の屑を除去する作用が働くので、前記フィルターの目詰まりが生じ難い構成となる。そして、前記フィルターは、交換可能に前記濾過機に内蔵され、前記開閉器と連結して使用される構成であるから、定期的に或いは前記フィルターが目詰まりしたり破損したときに、前記フィルターを容易に着脱することができる。
【0041】
本発明によれば、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開く構成であるから、前記濾過機内で前記使用済み液がオーバーフローとなることを未然に防止しつつ、前記フィルター内に前記ダーティ液がある程度溜まった適切な段階で前記ダーティ液排出口を開いて、次工程の前記搬送機構へと受け渡すこととなる。 そして、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出される構成とすることで、前記フィルターの内側面に引っ掛かった切り屑等の屑がエアブローによって脱落して、次工程へと受け渡されることとなる。 さらには、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じる構成とすることで、前記ダーティ液排出口の開閉位置が一定となり、簡易に確実に開閉動作させることが容易である。 本発明に係る筒状フィルターを用いた濾過機は、特別な動力が不要であるから、静音で省エネルギーの装置設計が容易である。本発明によれば、前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティ液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出するため、切り屑がまとまって排出され切り屑の廃棄処理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る濾過機の内部構造と動作を側面側から示す状態図であり、(a)はフィルターのダーティ液排出口が閉じているときの状態図であり、(b)はフィルターのダーティ液排出口が開いているときの状態図である。
【図2】本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図である。
【図3】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を側面側から示す構造図である。
【図4】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置を上から見た平面図である。
【図5】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を背面側から示す構造図である。
【図6】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の回路図である。
【図7】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の構造を上から見た構造図である。
【図8】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の構造を側面側から見た構造図である。
【図9】上記濾過機の開閉器の構造を側面側から見た構造図の他の例である。
【図10】本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置を示す側面図である。
【図11】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を示す背面図である。
【図12】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から示す断面図である。
【図13】上記第2の実施形態のチップコンベヤ装置を後方から示す断面図である。
【図14】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターを示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図15】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターの他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から示す断面図である。
【図17】上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の他の例を側方から示す断面図である。
【図18】本発明のチップコンベヤ装置に係る筒状フィルターの他の例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【図19】上記実施形態の筒状フィルターを上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器に取付けた動作状態を側面側から見た構造図であり、(a)は筒状フィルターの排出口が閉じたときの図であり、(b)は筒状フィルターの排出口が開いたときの図である。
【図20】上記実施形態の筒状フィルターを上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置の濾過機の開閉器の他の例に取付けた動作状態を斜め後方側から見た構造図であり、(a)は筒状フィルターの排出口が閉じたときの図であり、(b)は筒状フィルターの排出口が開いたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑4が混ざって排出された使用済みクーラント液L1を濾過対象として説明する。なお、本実施形態は、機械から屑が混ざって排出された使用済み液を濾過対象としており、使用済みクーラント液L1に限られるものではなく、例えば、フライヤー等の食品機械から食品屑が混ざって排出された使用済み油液も本発明の適用対象となる。
【0044】
(本実施形態の濾過機)
図1は、本発明に係る濾過機の内部構造と動作を側面側から示す状態図であり、図1(a)はフィルターのダーティ液排出口が閉じているときの状態図であり、図1(b)はフィルターのダーティ液排出口が開いているときの状態図である。 本実施形態の濾過機3は、箱形状の筐体37と、筐体37内に収納されたフィルター2と、使用済みクーラント液L1を供給するための供給口312が備わった管体31と、フィルター2の下方側に連結された開閉器90とを備えており、筐体37の下方側には、フィルター2によって濾過されたクリーン液L9が排出されるクリーン液排出口39が配されている。前記フィルター2は、その側面にメッシュが形成されている筒状で、底の抜けた袋状を呈しており、濾過面積を大きくするためにドレープ付きのカーテン状となっている。使用済みクーラント液L1を供給するための管体31は、筐体37の天井付近に配設され、その供給口312が、袋状フィルター2の上側から差し込まれており、供給口312によって袋状フィルター2が吊り下げられている。筐体37の下側で、開閉器90の下方には、その中央が抜けている環状のパッキン61が配設されており、袋状フィルター2の下側が挟み込まれて固定されている。
【0045】
本実施形態では、前記フィルター2の濾過作用によって、使用済みクーラント液L1からクリーン液L9が除かれたダーティ液L2が、筐体37の下面の排出口611から排出される構成となっており、図1に示す例では、濾過機3のパッキン61の穴611とダーティ液貯留槽591の受口5911が位置合わせされ、ダーティ液貯留槽591の真上に濾過機3が取り付け固定されている。 そして、本実施形態では、筐体37の内側で、前記フィルター2の外側には、複数のエアノズル381が配されており、フィルター2の外側面2bから内側面2aに向けてエア吐出する構成となっている(図1(b))。
【0046】
本実施形態によれば、フィルター2が側面にメッシュが形成された筒形状であることで、有効濾過面積を大きくした構成となり、重力を利用しながら使用済み液L1(ダーティなクーラント液)を安定供給することが容易となる。
【0047】
図1に示す例では、前記開閉器90は、左右に動く可動部材91,91が互いに向き合う形で、フィルター2の下側で、前記フィルター2の一方側と他方側にそれぞれ連結されており、前記可動部材91,91が互いに近づくことで前記ダーティ液排出口22が閉じ(図1(a))、前記可動部材91,91が互いに遠ざかることで前記ダーティ液排出口22が開く構成となっている(図1(b))。
【0048】
本実施形態の濾過機3の濾過手順としては、まず、前記可動部材91,91を互いに近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、次に、前記フィルター2の上方側に配された供給口312から使用済み液L1(ダーティなクーラント液)をフィルター2の内側面2aに向けて吐出し、フィルター2の外側面2bからクリーン液L9を滲み出させて取り出し、筐体37の下方側のクリーン液排出口39から排出させる(図1(a))。そして、予めタイマーにより設定した時間になると、前記供給口312が閉じて、前記可動部材91,91を互いに遠ざかる方向に左右に動かして前記ダーティ液排出口22を開き、フィルター2内のダーティなクーラント液L2を落下させ、それとほぼ同時に、エアノズル381からエア(符号389)をフィルター2の外側面2bから内側面2aに向けて吹き付けて、フィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をダーティ液貯留槽591へと排出する(図1(b))。そして、エアノズル381を閉じて、前記可動部材91,91を互いに近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、前記供給口312からの使用済み液L1の吐出を繰り返す。
【0049】
本実施形態によれば、前記フィルター2の濾過作用でクリーン液L9が取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口22が開いて前記クリーン液L9が除かれたダーティ液L2として落下して排出される構成であるから、工作機械や食品機械等の機械から屑(切り屑4)が混ざって排出された使用済み液L1を長時間に亘って濾過機3内に滞留させることがなくなり、使用済み液L1の急激な増減に対応した動作をさせることができる。
【0050】
(本実施形態のチップコンベヤ装置)
本実施形態のチップコンベヤ装置1は、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液L1を処理する装置であり、濾過機1が搭載され、濾過機1内のフィルター2にてクリーン液L9が除かれ落下したダーティ液L2を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構を備えている。本実施形態の搬送機構としては、コイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤが挙げられ、前記ダーティ液L2を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑L5として排出するチップコンベヤ装置である。
【0051】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図であり、図3は、本実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を側面側から示す構造図である。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、前記濾過機3がスクリュー式コンベヤ5の筐体上に設置される装置構成である。 本発明の第1の実施形態のチップコンベヤ装置1は、箱形状の濾過機3と、濾過機3がその受口に連結されたスクリュー式コンベヤ5からなる(図2)。 前記濾過機3内には筒状フィルター2が収納されており、筒状フィルター2の入口21には、ダーティなクーラント液L1を供給する管体31が差し込まれている。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、複数のキャスターC1を備え、旋盤やフライス盤等の工作機械の近傍の地面と水平な床E上に設置され使用される。スクリュー式コンベヤ5の背面側には、装置を押すためのバー79が配されている。濾過機3の側面側には開閉ドア35が取り付けられており、ドア35を開いて、濾過機3に内蔵された筒状フィルター2を交換等できるようになっている。また、スクリュー式コンベヤ5の背面側には、制御回路7(制御盤7)が配されている。なおここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0052】
本実施形態に係るフィルター2は、筒形状を呈した筒状フィルターであり、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1を濾過して、筒状フィルター2の外周側面2bからクリーン液L9を滲み出させて下方に落下させ、クリーン液排出口39から機外に排出するとともに、筒状フィルター2の内周側面2aを通過したダーティ液L2をフィルター出口22から落下させて搬送機構5に受け渡す。
【0053】
本実施形態の筒状フィルター2は、底が抜けた袋状部材であり、図14(a)に示す例では右側上方に楕円形状の入口21が形成され、最下面部分に複数の楕円形状のフィルター出口22が形成されている。筒状フィルター2を、底が抜けた袋状部材とすることで、ダーティ液を下方のフィルター出口22へと落下させながら濾過する際に、この筒状フィルター2が柔軟に動くことによって切り屑4が引っ掛かり難く切り屑4による傷が付き難いようにしている。図14に示す例では4つの細い筒状部が所定間隔で配されて上部の本体に合流している構成である。これらの細い筒状部を設けることで筒状フィルター2の有効濾過面積を大きくして濾過処理能力を高めている。
【0054】
前記筒状フィルター2の材質としては、繊維、布、紙、金属メッシュ、樹脂メッシュ、パンチングメタル、セラミックス膜、高分子膜等が挙げられ、工作機械から排出された切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の濾過精度によってその網目の大きさや外周側面の厚みが適宜設定される。また、複数の材質を組み合わせた筒状フィルター2とすることができる。本実施形態では、前記筒状フィルター2の材質として、金属メッシュを用いており、少なくともフィルター2本体の側面がメッシュ面となっている。
【0055】
本実施形態では、筒状フィルター2の上部に形成された横向き入口21から細長い円筒状の管体31が内部に差し込まれており、管体31の下側に所定間隔で形成された複数の供給口312からダーティなクーラント液L1が下方に向けて散布される(図5を参照)。供給口312の穴径は、想定される最大の大きさの切り屑4がスムーズに吐出できるだけの大きさに設定される。筒状フィルター2は、濾過機3内の天井に取り付けられたフック等の吊り下げ手段25にて吊り下げられており、着脱自在に収納されている(図5)。本実施形態によれば、筒状フィルター2が吊り下げられていることで、筒状フィルター2がより柔軟に動くこととなる。つまり、前記ダーティなクーラント液が落下しながら前記フィルターのメッシュ面(図14、図15では符号2aの面)に沿って流れることによって、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動することとなり、積極的に切り屑4を除去する作用が働くこととなる。そして、ダーティなクーラント液L1をスムーズに落下させる観点から、筒状フィルター2が床面Eに対して略鉛直に配されている。本実施形態では、工作機械から排出されるダーティなクーラント液L1の排出量や切り屑4の種別に応じて、最適な性能の筒状フィルター2を適宜付け替えて対応する構成となっている。筒状フィルター2は市販の袋状フィルターの底を抜いて追加工することで使用できる他、網目の大きさや外周側面の厚みや材質を異ならせたカスタム仕様とすることもできる。
【0056】
本実施形態では、前記クリーン液L9とダーティ液L1とを仕切るために前記筒状フィルター2の出口22と搬送機構5の受口51とがパッキン61によって封止されている。そして、筒状フィルター2は、図3に示す例では左右に複数連なって配されている。本実施形態によれば、底が抜けた袋状の筒状フィルター2が複数連なって配されていることで、筒状フィルター2の有効濾過面積をより大きくすることができ、濾過処理能力をさらに高められる。
【0057】
本実施形態では、濾過機3内の側面には所定間隔で複数のエアノズル381が取り付けられており、エアノズル381の噴射口がやや斜め下向きで筒状フィルター2の外周側面に向けて配されている(図3)。エアノズル381は、筒状フィルター2の外周側面から筒状フィルター2内にエア389を吐出してフィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をスクリュー式コンベヤ5へと送り出す構成となっている。
【0058】
図15は、本発明に係る筒状フィルター2の他の例を示す図である。図15に示す例では、筒状フィルター2の本体には所定間隔で上下方向に複数箇所(図15では3箇所)の繋ぎ目23が設けられており、これら繋ぎ目23によって複数のフィルター出口22(図15では4つ)を形成している。これら繋ぎ目23によって筒状フィルター2の本体が細分化され、複数のフィルター出口22が形成されることで筒状フィルター2の有効濾過面積を大きくして濾過処理能力を高めている。本実施形態によれば、袋状部材2の有効濾過面積を大きくすることが容易である。
【0059】
本実施形態に係るスクリュー式コンベヤ5のスクリュー部は、回転軸5jの外周側面に一体形成されたスクリュー羽根5pからなり、減速機8gを介して駆動モータ8Mと回転軸5jが連結される。円筒状搬送路5の内周の少なくとも下半分とスクリュー羽根5pの外周とは、摺接している。これは、筒状フィルター2から受取った切り屑4を漏れなく掻き集めて前方側に押しやりながら圧縮するためである。本実施形態に係る円筒状搬送路5は、地面と水平な床面Eに対して水平設置されたストレートな円筒形状の水平部5cと、スクリュー式コンベヤ5のスクリュー部の先端付近から床面Eに対して所定の傾斜角度で立ち上がった傾斜部5bからなる(図2)。床面Eに対する傾斜角度Kは、30度から80度である。傾斜部5bの前方側(図中の右側)は切り屑排出口52となっており、切り屑排出口52の開口径は水平部5cの内径よりも若干大きく設定され、傾斜部5bは、全体として略ラッパ形状を呈する。これは、圧縮された切り屑L5を排出しやすくするためである。
【0060】
本実施形態では、フィルター2の下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口22を開閉する開閉器90が連結されている(図5)。図7は、本実施形態のチップコンベヤ装置1の濾過機3に配された開閉器90の構造を上から見た構造図である。図8は、前記開閉器90の構造を側面側から見た構造図である。 前記開閉器7は、ソレノイドバルブが付設されたエアシリンダ95によって前記フィルター2下方側のダーティ液排出口22を開閉するものである。図8や図9に示す例では、前記開閉器90が、フィルター2の一方側に連結された固定部材92とフィルター2の他方側に連結された可動部材91とからなり、ヒンジ開閉機構によって、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開き、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92に近づくことでダーティ液排出口22が閉じる構成となっている。図8に示す例では、可動部材91の先端部が、固定部材92の先端部の上方に入り込む(嵌め込む)構成となっており、また、図9に示す例では、可動部材91の先端部が、固定部材92の先端部の下方に入り込む(潜り込む)構成となっている。
本実施形態によれば、前記ダーティ液排出口22の開閉位置が一定となり、複数のダーティ液排出口22を同時に開閉動作させることができ。そして、より確実に前記ダーティ液排出口22を閉じることができる。
【0061】
図18は、本発明のチップコンベヤ装置1に係る筒状フィルター2の他の例を示す図であり、図18(a)は側面図、図18(b)は正面図、図18(c)は底面図である。本実施形態の筒状フィルター2は、その両側面に舌片28が配されている。舌片28は、横長の板状であり、ダーティ液排出口22よりも上方に、ダーティ液排出口22と平行な位置で配されている。舌片28は、その上半分が筒状フィルター2に接合されており、接合方法としては、半田付け、縫合、接着、溶着等が挙げられる。本実施例では、舌片28の下面に面ファスナーの一方側部材28aが配されており(図18(b)(c))、前記開閉器90を構成する可動部材91先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材28aと対応する他方側部材91aを配しておくとともに、前記開閉器90を構成する固定部材92先端部の上面に前記面ファスナーの一方側部材28aと対応する他方側部材91aを配しておく(図19(a)(b))。本実施例によれば、フィルター2を開閉器90と連結させることが容易であり、フィルター2の着脱が簡易にできる。そして、上述のようにヒンジ開閉機構によって、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開き(図19(b))、同時に複数の可動部材91が対応する固定部材92に近づいて、可動部材91の先端凸部が固定部材92の上方の凹部に入り込むことでダーティ液排出口22が隙間無く閉じる構成となっている(図19(a))。
図20は、上記実施形態の筒状フィルター2を上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置1における濾過機3の開閉器90の他の例に取付けた動作状態を斜め後方側から見た構造図であり、図20(a)は筒状フィルター2の排出口22が閉じたときの図であり、図20(b)は筒状フィルター2の排出口22が開いたときの図である。図20に示す例では、可動部材91と固定部材92とがフィルター2を介して向き合う対象形状となっており、可動部材91の先端凸部が固定部材92の先端凸部と近接することでダーティ液排出口22が閉じて(図20(a))、可動部材91の先端凸部が固定部材92から遠ざかることでダーティ液排出口22が開く構成となっている(図20(b))。なおここで、例えば可動部材91と可動部材92として筒状フィルター2の側面が互いに近づいたり遠ざかる構成としても良い。また例えば、可動部材91と可動部材92として、それら先端部にそれぞれスリットを設けて、前記スリットにて前記舌片28を挟む構成としても良い。
【0062】
図6は、本実施形態のチップコンベヤ装置1の濾過機3の回路図である。 本実施形態では、前記開閉器90を開閉制御する制御回路7が備わっているとともに、前記濾過機3内には、前記フィルター2の上方側から供給された使用済み液L1の液面高さを検知するフロートスイッチ75が配されており(図5)、制御回路7が、フロートスイッチ75からの検知信号を受けて、開閉器90を開閉制御し、使用済み液L1の液面高さが所定高さとなるタイミングでダーティ液排出口22が所定時間だけ開くように設定されている。
【0063】
本実施形態のチップコンベヤ装置1の動作手順としては、まず、前記可動部材91を固定部材92に近づけてダーティ液排出口22を閉じ、次に、フィルター2の上方側に配された供給口312から使用済み液L1(ダーティなクーラント液)をフィルター2の内側面2aに向けて吐出し、フィルター2の外側面2bからクリーン液L9を滲み出させて取り出し、筐体37の下方側のクリーン液排出口39から排出させる。そして、使用済み液L1の液面高さが予め設定された所定高さとなるとフロートスイッチ75がONとなり、フロートスイッチ75からのON信号を受けて、前記供給口312を閉じて、開閉器90を開閉制御することで、前記可動部材91を固定部材92から遠ざける方向に左右に動かしてダーティ液排出口22を開き、フィルター2内のダーティなクーラント液L2を落下させ、それとほぼ同時に、エアノズル381からエア(符号389)をフィルター2の外側面2bから内側面2aに向けて吹き付けて、フィルター2側面のメッシュに付着し目詰まりの原因となっている切り屑4をフィルター2の内側に飛ばして脱落させ、これら切り屑4が混じったダーティなクーラント液L2をダーティ液貯留槽591へと排出する。そして、エアノズル381を閉じて、前記可動部材91を固定部材92に近づけて前記ダーティ液排出口22を閉じ、前記供給口312からの使用済み液L1の吐出を繰り返す。そして、前記濾過機3から落下排出されたダーティなクーラント液L2をスクリュー式コンベヤ5にて受け取って、搬送しながら切り屑L5として切り屑排出口52から排出する(図3)。 旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された使用済みクーラント液L1には、各種切り屑4が混ざっており、前記フィルター2のメッシュ面に細かい切り屑4が付着して目詰まりする場合が想定されるが、フロートスイッチ75(又は液面レベルセンサ75)によって液面高さを検知することで、前記目詰まりを検知し、例えば、1秒〜3秒間隔で、断続的にエアノズル381からエア吐出させ、3秒〜10秒周期で、可動部材91と固定部材92とを近づけたり遠ざけたりすることで、袋状フィルター2のメッシュ面を振動させてより積極的にメッシュ面に付着した切り屑4を振るい落とす動作をさせても良い。
【0064】
図17は、上記第1の実施形態のチップコンベヤ装置1の他の例を側方から示す断面図である。濾過機3内のフィルタ2の向きは、図17に示すようにスクリューの回転軸5jに沿った配置としても良く、筒状フィルター2のフィルター出口22と搬送機構の受口51とを、連結手段63を介して連結しても良い。 上述した実施形態では、搬送機構としてスクリュー式コンベヤ5を採用したが、鋼線をコイル状に加工しこれを回転させて切り屑4を巻き込んで排出させるコイル式コンベヤ5とすることも可能である。また、前進後退用の駆動モータを追加してスクリュー式コンベヤ5を回転させながら前進させたり後退させたりして圧縮された切り屑L5の嵩や圧縮率を高めることも可能である。
【0065】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置の側面図を図10に示し、その背面図を図11に示す。また、上記実施形態のチップコンベヤ装置の内部構造を示す要部断面図を図12と図13に示す。 本発明の第2の実施形態のチップコンベヤ装置1は、箱形状の濾過機3と、濾過機3にその筐体の一部が組み込まれたスクレーパ式コンベヤ5からなる(図10)。濾過機3内には筒状フィルター2が収納されており、筒状フィルター2の入口21には、ダーティなクーラント液L1を供給する管体31が差し込まれている。濾過機3の背面側には開閉ドア35が取り付けられており、ドア35を開いて、濾過機3に内蔵された筒状フィルター2を交換等できるようになっている。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0066】
本実施形態では、濾過機3内の天井付近には洗浄ノズル382が取り付けられており、洗浄ノズル382の噴射口が斜め下向きで筒状フィルター2の外周側面に向けて配されている(図13)。洗浄ノズル382は、筒状フィルター2の外周側面から筒状フィルター2内にクリーン液L9を吐出して逆洗する構成となっている。洗浄ノズル38から吐出するクリーン液L9は、筒状フィルター2によって濾過されたクリーン液L9の一部をポンプ(図示せず)で汲み上げて再使用している。
【0067】
本実施形態に係る搬送機構5は、スクレーパ式コンベヤである。スクレーパ式コンベヤ5は、チェーンコンベヤ81が駆動軸8Mと従動軸8Rとの間に掛け渡されて搬送路を形成し、所定間隔でチェーンコンベヤに取り付けられたスクレーパ7が角状搬送路の筐体の内側底部に落下した切り屑4を掻き取って角筒状搬送路の筐体の上方に掻き揚げる構成である。このスクレーパ式コンベヤ5の底面側にはマグネット板58が取り付けられており、マグネット板5の磁力によって集まった鉄系の切り屑4をスクレーパ7が漏れなく掻き集めてスクレーパ式コンベヤ5の上方に形成された切り屑排出口52から排出するようになっている。スクレーパ7にて掻き揚げられる過程で圧縮された切り屑4は、角状搬送路の筐体の上方の切り屑排出口52から機外に落下し、廃棄箱(図示せず)に収まることとなる。本実施形態では、水平な床面Eとスクレーパ式コンベヤ5の筐体の傾斜面がなす傾斜角度Kは、30度から80度の傾斜角度に設定され、傾斜角度Kの最適値は約60度である。本実施形態によれば、筒状フィルター2から受取ったダーティ液L2に混ざった切り屑4を徐々に押し上げて液切りしながら前記切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出することとなり、切り屑4の後始末が容易である。
【0068】
本実施形態では、前記切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1の一部を吐出するためのリリーフ回路吐出口32が前記濾過機3に形成されており、このリリーフ回路吐出口32の高さが前記切り屑排出口52の高さよりも低い位置に設定されている(図12)。本実施形態によれば、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出され切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の液量が増大して前記濾過機3の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機3に形成されたリリーフ回路吐出口32から前記ダーティなクーラント液L1の一部が吐出され、オーバーフローが防止される。本実施形態では、リリーフ回路吐出口32は常時開放型の管形状であるが、適宜、開閉弁や栓を追加で配してもよい。
【0069】
本実施形態のチップコンベヤ装置1の装置構成によれば、切り屑4が混ざったダーティ液L1を管体31から吐出させてフィルター2の内周側面2aに沿わせて落下させるだけで、筒状フィルター2の濾過作用によってクリーン液L9をその外周側面2bから滲み出させてクリーン液排出口39から機外に排出するとともに、筒状フィルター2にて除かれ落下してフィルター出口22から排出されたダーティ液L2を搬送機構5が受けて所定形状の搬送路内を搬送し切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出する。よって、切り屑4を濾過機3内に滞留させることがなくなり、クリーン液L9を機外に排出しながら、搬送機構5が切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出するので、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出されるダーティなクーラント液L1の急激な増減に対応した動作をする。また、本実施形態によれば、切り屑4が混ざったダーティ液L1が筒状フィルター(袋状部材)2の下方のフィルター出口22へと落下しながら濾過される際に、この袋状部材2が振動して柔軟に動くので、切り屑4が引っ掛かり難く切り屑による傷が付き難い。そして、この重力を利用した上から下への落下と、前記メッシュ面が微振動や蠕動運動する作用とが組み合わさった相乗作用によって、粘度の高い油系の切削液であってもスムーズに濾過させることができる。
【0070】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態のチップコンベヤ装置を側方から、その内部構造を示す要部断面図を図16に示す。本実施形態のチップコンベヤ装置1は、濾過機3と、チェーンコンベヤ5と、ダーティなクーラント液L1を一時的に溜めるダーティ液槽T1と、ダーティ液槽T1からダーティなクーラント液L1を汲み上げて濾過機3に供給するポンプP1を備える構成である。ここで、同一の符号は同じ機能を表しており、その説明を適宜省略する。
【0071】
本実施形態のチップコンベヤ装置1は、筒状フィルター2を内蔵した濾過機3がチェーンコンベヤ5の筐体上に設置される装置構成である。チェーンコンベヤ5は、複数のプレート板82が連続的に配され駆動軸8Mと従動軸8Rとの間に掛け渡されて搬送路を形成するものであり、搬送路の中間地点で筐体が斜め上方に立ち上がっており、切り屑を搬入する下方の受口51と切り屑を排出する上方の切り屑排出口52を備える。プレート板82は、切り屑搬送面に複数の貫通窓及び貫通窓を覆うメッシュ(金属網)が形成されたメッシュ付きプレート板である。
【0072】
本実施形態では、筒状フィルター2のフィルター出口22と搬送機構の受口51とが、連結手段63を介して連結されている。連結手段63は、ダーティ液L1,L2から前記クリーン液L9を確実に仕切るための筒状部材である。本実施形態では、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1が前記ダーティ液槽T1に一時的に溜められる。そして、前記ポンプP1によってダーティ液槽T1からダーティ液L1が汲み上げられて前記濾過機3に供給され、濾過機3内の筒状フィルター2によって濾過されたクリーン液L9がクリーン液排出口39から機外に排出される。そして、前記筒状フィルター2のフィルター出口22から濃縮されたダーティ液L2が排出されて落下し、筒状フィルター2の下方に配されたチェーンコンベヤ5へと受け渡され、所定形状の搬送路を圧縮搬送され切り屑排出口52から圧縮した切り屑L5として排出される。そして、旋盤やフライス盤等の工作機械から排出された切り屑4が混ざったダーティなクーラント液L1の液量が増大して前記濾過機3の処理能力を超える液量となった場合には、前記濾過機3に形成されたリリーフ回路吐出口32から配管321を経由して前記切り屑が混ざったダーティなクーラント液L1の一部が吐出されてダーティ液槽T1に還流されることによっても、オーバーフローが防止される。
【0073】
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記開閉器3の動作としては、前記フィルター2下方の側面を前後左右に動かして前記フィルター2下方の一方側と他方側とを互いに遠ざけたり近づけたりすることで前記ダーティ液排出口22を開閉する構成以外にも、前記フィルター2下方側を捻って回動させて前記フィルター2下方を絞ったり緩くすることで前記ダーティ液排出口22を開閉する構成とすることも可能である。前記開閉器3の駆動手段としては、油圧シリンダ、エアシリンダ、ソレノイド、ばね、電動モータ等が適用される。 また例えば、前記筒状フィルター2の形状は、ストレート形状に限定されず、漏斗状や裾が広がったスカート状でもよい。前記筒状フィルター2は、そのまま使用しても良いし、絞り、捻り、撚り、襞の形成等の加工を施すか、多数個用いるか、多く連ねる等のいずれか一種ないしは複数を組み合わせることによって有効濾過面積を大きくすることができる。また例えば、比較的大きな切り屑(目安として、サイズが1mm以上の切り屑)をチェーンコンベヤの複数のプレート板上で搬送して上方の総排出口から排出し、前記プレート板の下方に通過した比較的小さな切り屑(目安として、サイズが1mm未満の切り屑)をダーティ液槽に一時的に溜めて、ポンプによってダーティ液槽から汲み上げて前記濾過機3に供給する構成としても良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1 本発明のチップコンベヤ装置、
2,213 フィルター(筒状フィルター)、
2a フィルターの内側の面、
2b フィルターの外側の面、
22 ダーティ液排出口(フィルター出口)、
3 本発明の濾過機、
31 管体、
312 供給口、
38 ノズル、
381 エアノズル、
39 クリーン液排出口、
4 切り屑、
5 搬送機構、
51 搬送機構の受口、
52 切り屑排出口、
7 制御回路、
75 フロートスイッチ(液面レベルセンサ)、
90 開閉器、
L1 使用済み液(工作機械から排出された使用済みクーラント液)、
L2 ダーティ液(フィルターにて除かれたダーティ液)、
L9 クリーン液(フィルターにて濾過されたクリーン液)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械から屑が混ざって排出された使用済み液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過されてクリーン液が取り出される濾過機であって、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下して排出されることを特徴とする濾過機。
【請求項2】
前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする請求項1記載の濾過機。
【請求項3】
前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする請求項1または2記載の濾過機。
【請求項4】
前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする請求項1または3記載の濾過機。
【請求項5】
前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の濾過機。
【請求項6】
前記使用済み液が、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液であり、前記使用済みクーラント液が前記フィルターの上方側から供給され、その後、前記ダーティ液排出口から前記クリーン液が除かれたダーティ液として排出され、次工程の濾過手段に受け渡されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の濾過機。
【請求項7】
前記請求項1から6のいずれか一項記載の濾過機には開閉器が備わっており、前記濾過機に内蔵させ、前記開閉器と連結させて使用するフィルター。
【請求項8】
前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることを特徴とする請求項7記載のフィルター。
【請求項9】
旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過される濾過機と、前記フィルターにてクリーン液が除かれ落下したダーティ液を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構とを備え、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済みクーラント液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下し、この落下したダーティ液が前記搬送機構に受け渡されて搬送され、切り屑として切り屑排出口から排出されることを特徴とするチップコンベヤ装置。
【請求項10】
前記濾過機内の前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする請求項9記載のチップコンベヤ装置。
【請求項11】
前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に連結されているか、又は前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に挿入されていることを特徴とする請求項10記載のチップコンベヤ装置。
【請求項12】
前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記濾過機内には、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項13】
前記濾過機内には、前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする請求項9または12記載のチップコンベヤ装置。
【請求項14】
前記濾過機内の前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項15】
前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティ液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出することを特徴とする請求項9から14のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項16】
前記請求項9から15のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置の前記濾過機には開閉器が備わっており、前記濾過機に内蔵させ、前記開閉器と連結させて使用するフィルター。
【請求項17】
前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることを特徴とする請求項16記載のフィルター。
【請求項1】
機械から屑が混ざって排出された使用済み液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過されてクリーン液が取り出される濾過機であって、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下して排出されることを特徴とする濾過機。
【請求項2】
前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする請求項1記載の濾過機。
【請求項3】
前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする請求項1または2記載の濾過機。
【請求項4】
前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする請求項1または3記載の濾過機。
【請求項5】
前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の濾過機。
【請求項6】
前記使用済み液が、旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液であり、前記使用済みクーラント液が前記フィルターの上方側から供給され、その後、前記ダーティ液排出口から前記クリーン液が除かれたダーティ液として排出され、次工程の濾過手段に受け渡されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の濾過機。
【請求項7】
前記請求項1から6のいずれか一項記載の濾過機には開閉器が備わっており、前記濾過機に内蔵させ、前記開閉器と連結させて使用するフィルター。
【請求項8】
前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることを特徴とする請求項7記載のフィルター。
【請求項9】
旋盤やフライス盤等の工作機械から切り屑が混ざって排出された使用済みクーラント液が、その筐体内に収納されたフィルターの上方側から供給され濾過される濾過機と、前記フィルターにてクリーン液が除かれ落下したダーティ液を受けて所定形状の搬送路内で搬送し切り屑として排出する搬送機構とを備え、前記フィルターの下方側には、前記クリーン液が除かれたダーティ液を排出するためのダーティ液排出口が形成されるとともに、当該ダーティ液排出口を開閉する開閉器が連結されており、前記ダーティ液排出口が閉じると前記フィルターが袋状となる構成とされ、前記フィルターの上方側から供給された使用済みクーラント液が濾過されて、前記フィルター外に配されたクリーン液排出口からクリーン液として取り出されるとともに、所定のタイミングで前記ダーティ液排出口が開いて前記クリーン液が除かれたダーティ液が落下し、この落下したダーティ液が前記搬送機構に受け渡されて搬送され、切り屑として切り屑排出口から排出されることを特徴とするチップコンベヤ装置。
【請求項10】
前記濾過機内の前記フィルターが、その側面にメッシュが形成されている筒状であるとともに、前記フィルターの上方側から下方側に向けて前記使用済み液を供給する供給口が設けられており、前記供給口から前記フィルター内側のメッシュ面に向けて前記使用済み液が吐出され、前記フィルター外側のメッシュ面から滲み出た前記クリーン液が前記フィルターの下方側に配された前記クリーン液排出口から取り出されることを特徴とする請求項9記載のチップコンベヤ装置。
【請求項11】
前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に連結されているか、又は前記フィルターの出口が前記搬送機構の受口に挿入されていることを特徴とする請求項10記載のチップコンベヤ装置。
【請求項12】
前記開閉器を開閉制御する制御回路が備わっているとともに、前記濾過機内には、前記フィルターの上方側から供給された使用済み液の液面高さを検知するフロートスイッチ又は液面レベルセンサが配されており、前記制御回路が、前記フロートスイッチ又は液面レベルセンサからの検知信号を受けて、前記開閉器を開閉制御し、前記使用済み液の液面高さが所定高さとなるタイミングで前記ダーティ液排出口が所定時間だけ開くことを特徴とする請求項9から11のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項13】
前記濾過機内には、前記フィルターの外側面から内側に向けてエア吐出するエアノズルが設けられており、前記タイミングで前記供給口からの液吐出が停止し、前記ダーティ液排出口が開いている間に、前記エアノズルからエア吐出されることを特徴とする請求項9または12記載のチップコンベヤ装置。
【請求項14】
前記濾過機内の前記開閉器が、前記フィルターの一方側に連結された固定部材と前記フィルターの他方側に連結された可動部材とからなり、前記可動部材が前記固定部材から遠ざかることで前記ダーティ液排出口が開き、前記可動部材が前記固定部材に近づくことで前記ダーティ液排出口が閉じることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項15】
前記搬送機構がコイル式コンベヤ、スクリュー式コンベヤ、又はスクレーパ式コンベヤのいずれかであり、前記ダーティ液を受けて前記所定形状の搬送路内を搬送することで固液分離し圧縮した切り屑として排出することを特徴とする請求項9から14のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置。
【請求項16】
前記請求項9から15のいずれか一項記載のチップコンベヤ装置の前記濾過機には開閉器が備わっており、前記濾過機に内蔵させ、前記開閉器と連結させて使用するフィルター。
【請求項17】
前記フィルター側面には、前記開閉器と連結させるための舌片が配されていることを特徴とする請求項16記載のフィルター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−254516(P2012−254516A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203072(P2011−203072)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(591234488)株式会社LNSヨシダ (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(591234488)株式会社LNSヨシダ (13)
【Fターム(参考)】
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