説明

濾過濃縮装置と濾過濃縮方法

【課題】本発明は、エアーポンプより上流に設けた濾液を貯留するタンクの容量を小さくでき、高濃度の濃縮汚泥が効率的に得られる濾過濃縮装置、および濾過濃縮方法を提供する。
【解決手段】本発明の課題は、エアーポンプ作動中に貯留タンク内の濾液を液体ポンプで排出することによって解決される。また、貯留タンク内の圧力を測定し、貯留タンク内の圧力が所定の圧力を維持するようにエアーポンプおよび液体ポンプを作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水場や下水処理場等における汚泥の濾過濃縮装置とその濾過濃縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浄水場や下水処理場から排出される汚泥は、重力沈降槽で濃縮した後、機械脱水を行って含水率80%以下の濃縮汚泥とし、この濃縮汚泥を焼却、埋立て処分している。
従来の重力沈降槽による汚泥濃縮では、滞留時間が長く、汚泥の性状により含水率が大幅に変わるので、機械脱水を安定的に運転することが難しい問題点があった。そこで、重力沈降槽の代替手段として濾過濃縮装置が開発された。
従来の濾過濃縮装置を記載した文献として、特許文献1が挙げられるが、動作に記載不十分な点がある。そこで、従来の濾過濃縮装置の動作を補足しつつ、図14を用いて説明する。
【0003】
まず、装置構成について説明する。この濾過濃縮装置は、缶体22の内部を仕切板23により上室24と下室25に区画され、複数の濾過体26が、仕切板23から下室25内に垂設されている。上室24天蓋部には、空気導入管36を備えている。下室25上部には、給排気管37、同底部には、被処理液導入管27を備えている。濾液排出管28には、濾液弁29を備え、さらに、濾液弁29より上流に真空弁30を介して、貯留タンク32、エアーポンプ31を備えた真空ライン33が接続されており、貯留タンク32には排液弁34、吸気弁35を有するラインがそれぞれ接続されている。濾過体26の長さは、例えば1.5m程度である。
【0004】
次に、動作について説明する。まず、はじめに加圧濾過を行う。給排気管37を閉じ、被処理液を被処理液導入管27を通して下室25内に導入し、濾過体26で濾過する。濾液は、上室24内に移動し、濾液排出管28、濾液弁29を介して所定の行き先へと排出される。この時、空気導入管36は、閉じられている。被処理液中の懸濁物は、濾過体26の表面に濾滓(本願の濃縮汚泥に相当する)として捕捉され付着する。
【0005】
次いで、上記加圧濾過を継続中にエアーポンプ31で上室24の減圧を開始する。すなわち、排液弁34、吸気弁35を閉じ、真空弁30を開け、エアーポンプ31を作動させる。
次いで、濾液弁29を閉じ、加圧濾過を停止する。そして、給排気管37を大気開放し、被処理液導入管27から下室25の未濃縮汚泥を排出する。この時、エアーポンプ31による減圧は継続中である。減圧を維持するためには、貯留タンク32の容積は、上室24と濾過体26の容積および付着した濃縮汚泥の水量の合計容積以上でなければならない。さもなければ、エアーポンプ31に濾液が流入してしまい不都合である。減圧を継続すると、濃縮汚泥の含水率はより低下し、暫くすると濃縮汚泥にクラックが発生し空気も上室24に流入するようになる。そして、上室24や濾過体26の2次側の濾液が吸引され除かれる。
【0006】
次いで、空気導入管36を開放して圧縮空気を上室24に導入する。すると、濾過体26は2次側から膨らみ、濾過体26の1次側に付着した濃縮汚泥が剥離される。
なお、上述の装置構成および動作によれば、濾液排出管28および排液弁34の配管には、ポンプなど動力を使った排液装置は記載されていない。
【特許文献1】特開2006−21097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貯留タンク32の容積は、上室24と濾過体26の容積および付着した濃縮汚泥の水量の合計容積以上でなければならないため、装置規模が大きくなった場合、貯留タンク32が大型化してしまう問題点があった。
そこで、本発明は、貯留タンクの容量を小さくでき、高濃度の濃縮汚泥が効率的に得られる濾過濃縮装置、および濾過濃縮方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、エアーポンプ作動中に貯留タンク内の濾液を排出することによって解決される。
すなわち、本発明の特徴は、汚泥槽と、前記汚泥槽に汚泥を供給する汚泥供給手段と、前記汚泥槽内に設置して前記汚泥を濾過する濾過部と、前記濾過部から前記汚泥槽外部に引き出した濾液排出管と、未濃縮汚泥排出手段と、前記濾過部に付着した濃縮汚泥を剥離する剥離手段と、剥離した濃縮汚泥を前記汚泥槽から排出する濃縮汚泥排出手段と、前記濾液排出管の途中に設置した貯留タンクと、前記貯留タンクへ気体を吐出および前記貯留タンク内の気体を吸引できるエアーポンプと、前記貯留タンクと前記エアーポンプを連通する気体通流管と、前記汚泥供給手段と前記汚泥槽を連通する汚泥供給管とを備えた濾過濃縮装置において、前記貯留タンクの圧力を測定する圧力計と、前記貯留タンク内部の水位を測定する水位測定手段と、前記貯留タンクより下流の前記濾液排出管に連通させた液体ポンプと、前記汚泥供給手段,前記未濃縮汚泥排出手段,前記剥離手段,前記濃縮汚泥排出手段,前記濾液排出管,および前記気体通流管の流体流路にそれぞれ設けた弁と、制御装置とを備えることにある。
【0009】
そして、請求項2の発明は、請求項1に記載の濾過濃縮装置において、前記貯留タンク内部と大気とを連通または遮断させる大気開放弁を備えることにある。
また、請求項3の発明の特徴は、汚泥供給工程と、エアーポンプ濾過工程と、未濃縮汚泥排出工程とを備え、前記汚泥供給工程と前記エアーポンプ濾過工程と前記未濃縮汚泥排出工程とが全て終了した後に濃縮汚泥剥離工程を実行する濾過濃縮方法において、前記貯留タンク内の液体水位を所定範囲内に制御する前記液体ポンプ濾過工程と、前記貯留タンク内の気体を吸引するエアーポンプ濾過工程とを同時に実行することにある。
そして、請求項4の発明の特徴は、請求項3に記載の濾過濃縮方法において、前記エアーポンプ濾過工程と、前記未濃縮汚泥排出工程とを同時に行うことにある。
そして、請求項5の発明の特徴は、請求項3または4に記載の濾過濃縮方法において、前記濃縮汚泥剥離工程前に、前記貯留タンクおよび前記濾液排出管の液体を排出する濾液流路排水工程を実行することにある。
そして、請求項6の発明の特徴は、請求項3から5のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法において、前記エアーポンプ濾過工程において、前記圧力計の測定値と所定圧力値とを比較し、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値より大きい時に前記エアーポンプの作動を継続させ、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値以下の時に前記エアーポンプの作動を停止することにある。
そして、請求項7の発明の特徴は、請求項3から6のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法において、前記エアーポンプ濾過工程の前記エアーポンプは、該エアーポンプの作動から所定時間経過後、停止することにある。
そして、請求項8の発明の特徴は、請求項3から7のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法において、前記液体ポンプと前記エアーポンプとが同時に作動する時に、前記貯留タンク内の気体圧力を前記液体ポンプの作動圧力許容範囲内とすることにある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、貯留タンクの容積を小さくできる。また、汚泥槽を気密容器にする必要がないので、規模が大きくなっても製作が容易な構造である。
請求項2の発明によれば、貯留タンク内部と大気とを連通させる大気開放弁を備え、濾過中は大気開放弁を閉じ、エアーポンプで気体を濾過部に供給して濃縮汚泥を剥離させる前には貯留タンク内部と大気とを連通させて濾液排出管および貯留タンクの濾液を除去することで濾液排出管および貯留タンク内部の濾液が濾過部に逆流して濃縮汚泥の濃度を低下させることを防止できる。
請求項3の発明によれば、汚泥供給工程と、エアーポンプ濾過工程と、未濃縮汚泥排出工程とを備え、前記汚泥供給工程と前記エアーポンプ濾過工程と前記未濃縮汚泥排出工程とが全て終了した後に濃縮汚泥剥離工程を実行する濾過濃縮方法において、前記貯留タンク内の液体水位を所定範囲内に制御する前記液体ポンプ濾過工程と、前記貯留タンク内の気体を吸引するエアーポンプ濾過工程とを同時に実行することによって、貯留タンクの容積を小さくできる。
請求項4の発明によれば、前記エアーポンプ濾過工程と、前記未濃縮汚泥排出工程とを同時に行うことによって、前記未濃縮汚泥排出工程時に未濃縮汚泥と共に濾過板表面の濃縮汚泥が脱落することを防止できる。すなわち、サイフォン濾過工程時にできた半固形状の濃縮汚泥は、エアーポンプ濾過により含水率をさらに低下させられ、濾過板表面に付着したままの状態で維持される。
請求項5の発明によれば、前記濃縮汚泥剥離工程前に、前記貯留タンクおよび前記濾液排出管の液体を排出する濾液流路排水工程を実行することによって、前記貯留タンクおよび前記濾液排出管の液体が濾過部に逆流して濃縮汚泥の濃度を低下させることを防止できる。
請求項6の発明によれば、前記エアーポンプ濾過工程において、前記圧力計の測定値と所定圧力値とを比較し、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値より大きい時に前記エアーポンプの作動を継続させ、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値以下の時に前記エアーポンプの作動を停止することによって、エアーポンプの過剰減圧を防止でき、省エネルギーに濃縮濾過を実行できる。
請求項7の発明によれば、前記エアーポンプ濾過工程の前記エアーポンプは、該エアーポンプの作動から所定時間経過後、停止することによって、圧力計が故障していた場合でも確実に濃縮濾過を進行でき、障害耐性が向上する。
請求項8の発明によれば、前記液体ポンプと前記エアーポンプとが同時に作動する時に、前記貯留タンク内の気体圧力を前記液体ポンプの作動圧力許容範囲内とすることによって、前記液体ポンプに過負荷がかかることを防止でき、液体ポンプの故障リスクを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の濾過濃縮装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる濾過濃縮装置の構成図である。
図1の濾過濃縮装置は、底部がテーパー状に細くなっている汚泥槽1と、汚泥槽1への汚泥供給手段および未濃縮汚泥排出手段である汚泥供給兼排出ポンプ2と、汚泥槽1に原汚泥を供給する際に汚泥供給兼排出ポンプ2を作動させて所定の水位まで汚泥を入れるために汚泥水位を検出する水位計18と、汚泥槽1内に設置して汚泥を濾過する濾過部3と、濾過部から汚泥槽1の外部に引き出した濾液排出管4と、弁10,38と、濾過して濃縮された濃縮汚泥を汚泥槽1から排出する濃縮汚泥排出手段である濃縮汚泥ポンプ39と、濃縮汚泥排出管42と、弁9と、水位計20と、濾液排出管4の途中の弁10と弁38の間に設置した貯留タンク5と、貯留タンク5へ気体を吐出および貯留タンク5内の気体を吸引でき濾過部3に付着した濃縮汚泥を剥離する剥離手段の一部となるエアーポンプ7と、弁13と、貯留タンク5とエアーポンプ7を連通する気体通流管40と、汚泥供給兼排出ポンプ2と汚泥槽1を連通する汚泥供給管41と、弁8とを備えた濾過濃縮装置において、貯留タンク5の圧力を測定する圧力計17と、貯留タンク5内部の水位を測定する水位計19と、貯留タンク5より下流の濾液排出管4に連通させた液体ポンプ16および弁11と、貯留タンク5に水を供給する水道水供給管6および弁12と、貯留タンク5に溜まった空気を排出する大気開放管43および弁14と、図示していない制御装置とを備えた構成としている。
【0012】
そして、濾液排出管4の出口高さは、濾過部3下端より下になるようにしている。また、濾過部3は、濾液と汚泥を隔離する袋状の濾過膜3aと、濾過膜3aを支持する濾枠3bから成っている。濾過膜3aの内側上部には、濾液の吸引や濃縮汚泥を剥離するための空気分配管15が設けられている。この空気分配管15は、金属や塩化ビニールなどの丸型や角型パイプを水平方向に設置し、パイプの下部に鉛直下方向に小孔を複数設けている。小孔は、濾過部3内部の濾液を吸引するためや、濃縮汚泥を濾過膜3aから剥離させる加圧空気を供給するために設けられている。空気分配管15の濾液排出管4と接続していない側の端は、封止されている。
【0013】
本発明に係る濾過濃縮装置の制御装置の入出力図を図2に示す。制御装置は、少なくとも水位計18,19,20の水位信号と、圧力計17の圧力信号と、サイフォン濾過設定時間と、液体ポンプ濾過設定時間と、エアーポンプ濾過設定時間とが入力される。そして、同制御装置は、弁8〜14,38と、汚泥供給兼排出ポンプ2と、エアーポンプ7と、液体ポンプ16と、濃縮汚泥ポンプ39とを制御する信号を出力する。
【0014】
次に、濾過濃縮装置の運転方法を説明する。
本発明に係る濾過濃縮方法の運転フロー図を図3に示す。制御装置は、濾過濃縮開始信号を受信すると、汚泥供給工程A、続いてサイフォン形成工程を実行する。
次に、サイフォン濾過工程と、汚泥供給工程Bが平行して実行される。サイフォン濾過工程の途中で貯留タンク5に気体が溜って圧力が上昇した場合は、サイフォン濾過工程を中断してサイフォン形成工程を実行して貯留タンク5内部の気体を除去した後、サイフォン濾過工程に復帰させる。
【0015】
サイフォン濾過工程を所定時間実行した後、エアーポンプ濾過工程と、液体ポンプ濾過工程と、未濃縮汚泥排出工程とを平行して実行する。エアーポンプ濾過工程終了後、濾液流路排水工程、濃縮汚泥剥離工程、濃縮汚泥排出工程をこの順に実行し、濾過濃縮の一連の動作を終了する。
以下に、各工程を更に詳細に説明する。
【0016】
汚泥供給工程AおよびBのフロー図を図4に示す。開始時には、弁8〜14,38は、すべて閉じている。汚泥供給工程AおよびBでは、まず弁8を開き、汚泥供給兼排出ポンプ2を作動させて、汚泥槽1に設置した濾過板3が水没する所定水位まで汚泥を供給する。この所定水位は、水位計18の水位Hに達したかどうかで判断される。汚泥供給工程Bにおいては、サイフォン濾過工程中に汚泥水位が所定水位を維持するために、上述のように汚泥供給兼排出ポンプ2と弁8とを作動および停止させる。
【0017】
次に、サイフォン形成工程のフロー図を図5,6に示す。弁12,14を開いて貯留タンク5が所定水位になるまで水を供給後、弁12,14を閉じる。この所定水位は、水位計19の水位Hに達したかどうかで判断される。
エアーポンプ7を用いてサイフォン形成工程を実施する場合は、弁13を開き、エアーポンプ7で気体を吸引して貯留タンク5内部を減圧させて、貯留タンク5の水位が所定水位になるまで吸引した後、弁13を閉じる。この場合、水道水供給管6,大気開放管43,弁12,14を設置しなくてもよい。
【0018】
次に、サイフォン濾過工程のフロー図を図7に示す。弁10,38を開いて濾過を開始する。濾過膜3aに堆積する汚泥の厚さが、好ましくは10〜13mmになるまで汚泥供給工程Bによる汚泥の供給およびサイフォン濾過工程を継続する。濾過を継続する時間は、予め汚泥堆積厚さと濾過時間との関係を調べておき、その後は、汚泥堆積厚さが前記10〜13mmになる濾過時間を指標にして実施してもよい。具体的には、浄水汚泥の濾過濃縮の場合、例えば90分間濾過を行う。ここで発生される圧力は−30kPa程度である。
【0019】
次に、未濃縮汚泥排出工程のフロー図を図8に示す。弁8を開け、汚泥供給兼排出ポンプ2を逆作動させて、濾過膜3a表面に付着されなかった未濃縮汚泥を汚泥槽1から排出する。水位計18の水位L信号を用いて未濃縮汚泥が汚泥槽1から排出されたかどうか制御装置が判断し、汚泥供給兼排出ポンプ2を止め、弁8を閉じる。
次に、液体ポンプ濾過工程のフロー図を図9に示す。弁10,11を開き、液体ポンプ16を作動させると同時に液体ポンプ作動経過時間の計測を開始する。液体ポンプ濾過の開始当初に貯留タンク内に発生する圧力は−80〜−90kPa程度である。そして、液体ポンプ作動経過時間が液体ポンプ濾過設定時間以上かどうかを比較する。液体ポンプ作動経過時間が液体ポンプ濾過設定時間より小さい場合は、さらに、水位計19の水位と貯留タンクの水位Lとを比較する。水位計19の水位が貯留タンク水位Lより高い場合は、液体ポンプ作動経過時間が液体ポンプ濾過設定時間以上かどうかを比較する処理に戻り、この処理ループを実行する。未濃縮汚泥排出工程は液体ポンプ濾過工程と同時に作動するので、未濃縮汚泥排出工程によって下がりつつある水位より上の濾過膜3a表面に付着した濃縮汚泥は、外気に触れる状態で液体ポンプ濾過が行われる。また、液体ポンプ作動経過時間が液体ポンプ濾過設定時間より大きい場合、および、液体ポンプ作動経過時間が液体ポンプ濾過設定時間より小さくかつ水位計19の水位が貯留タンク水位Lより低いの場合は、液体ポンプ16を停止し、弁11を閉じ、液体ポンプ作動経過時間の計測を終了する。
【0020】
次に、エアーポンプ濾過工程のフロー図を図10に示す。弁10,13を開き、貯留タンク5内の圧力を減圧させるようにエアーポンプ7を作動させると同時にエアーポンプ作動経過時間の計測を開始する。液体ポンプ16とエアーポンプ7とが同時に作動する時に、貯留タンク5内の気体圧力を液体ポンプ16の作動圧力許容範囲内とする。
貯留タンク5の水位が水位H以上になると、弁10,13を閉じる。そして、濾液流路排水工程を実行する。エアーポンプ作動経過時間がエアーポンプ濾過設定時間以上になると、弁10,13を閉じ、エアーポンプを停止させてエアーポンプ濾過工程を終了する。
【0021】
次に、濾液流路排水工程のフロー図を図11に示す。まず、弁14を開ける。そして、貯留タンク5および濾液排出管4の濾液を除去するために、弁38を開け、貯留タンク5の濾液が排水された後に弁14,38を閉じる。前記の「弁38を開け、貯留タンク5の濾液が排水された後に弁14,38を閉じる」方法の代わりに弁11を開け、貯留タンク5の水位が水位Lになるまで液体ポンプ16を作動させた後、弁11,14を閉じて液体ポンプ16を停止させても良い。
【0022】
次に、濃縮汚泥剥離工程のフロー図を図12に示す。弁10,13を開け、濾過膜3aの2次側に空気をエアーポンプ7で入れて加圧すると共に、剥離経過時間の計測を開始する。すると、袋状の濾過膜3aは膨らみ、濾過膜3aの1次側表面に付着した濃縮汚泥は濾過膜3aから剥離され、落下する。落下した濃縮汚泥は汚泥槽1の底に堆積する。剥離経過時間と剥離設定時間を比較し、剥離経過時間が剥離設定時間以上の場合、エアーポンプの動作を停止して弁10,13を閉じる。
【0023】
次に、濃縮汚泥排出工程のフロー図を図13に示す。弁9を開け、濃縮汚泥ポンプを作動させて濃縮汚泥を汚泥槽1から排出する。濃縮汚泥の水位と水位計20の水位を比較して濃縮汚泥の水位が水位計20の水位以下の場合、濃縮汚泥ポンプを停止し、弁9を閉じる。濃縮汚泥排出工程では、水位計20を用いる代わりに濃縮汚泥ポンプの作動時間をタイマーで予め設定しておき、設定時間になると濃縮汚泥ポンプが停止するようにしても良い。
【0024】
本実施例では、各水位計を用いて水面の検知を行っているが、各ポンプの吐出または吸引体積と各タンク寸法とから演算することで、各タンクの水位を測定してもよい。
これらにより、サイフォン濾過工程では汚泥槽1へ入れた汚泥の初期濃度に対して約1.5倍の濃縮度であったものが、エアーポンプ濾過工程および液体ポンプ濾過工程後には更に約1.3倍の高濃度の濃縮汚泥が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る濾過濃縮装置の構成図
【図2】本発明に係る濾過濃縮装置の制御装置の入出力図
【図3】本発明に係る濾過濃縮方法の運転フロー図
【図4】汚泥供給工程AおよびBのフロー図
【図5】サイフォン形成工程のフロー図(外部供給水を用いる場合)
【図6】サイフォン形成工程のフロー図(エアーポンプを用いる場合)
【図7】サイフォン濾過工程のフロー図
【図8】未濃縮汚泥排出工程のフロー図
【図9】液体ポンプ濾過工程のフロー図
【図10】濾液流路排水工程のフロー図
【図11】エアーポンプ濾過工程のフロー図
【図12】濃縮汚泥剥離工程のフロー図
【図13】濃縮汚泥排出工程のフロー図
【図14】従来の濾過濃縮装置の構成図
【符号の説明】
【0026】
1 汚泥槽
2 汚泥供給兼排出ポンプ
3 濾過部
3a 濾過膜
3b 濾枠
4 濾液排出管
5 貯留タンク
6 水道水供給管
7 エアーポンプ
8〜14 弁
15 空気分配管
16 液体ポンプ
17 圧力計
18〜20 水位計
21 濾過濃縮装置
22 缶体
23 仕切板
24 上室
25 下室
26 濾過体
27 被処理液導入管
28 濾液排出管
29 濾液弁
30 真空弁
31 真空ポンプ
32 貯留タンク
33 真空ライン
34 排液弁
35 吸気弁
36 空気導入管
37 給排気管
38 弁
39 濃縮汚泥ポンプ
40 気体通流管
41 汚泥供給管
42 濃縮汚泥排出管
43 大気開放管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥槽と、前記汚泥槽に汚泥を供給する汚泥供給手段と、前記汚泥槽内に設置して前記汚泥を濾過する濾過部と、前記濾過部から前記汚泥槽外部に引き出した濾液排出管と、未濃縮汚泥排出手段と、前記濾過部に付着した濃縮汚泥を剥離する剥離手段と、剥離した濃縮汚泥を前記汚泥槽から排出する濃縮汚泥排出手段と、前記濾液排出管の途中に設置した貯留タンクと、前記貯留タンクへ気体を吐出および前記貯留タンク内の気体を吸引できるエアーポンプと、前記貯留タンクと前記エアーポンプを連通する気体通流管と、前記汚泥供給手段と前記汚泥槽を連通する汚泥供給管とを備えた濾過濃縮装置において、
前記貯留タンクの圧力を測定する圧力計と、前記貯留タンク内部の水位を測定する水位測定手段と、前記貯留タンクより下流の前記濾液排出管に連通させた液体ポンプと、前記汚泥供給手段,前記未濃縮汚泥排出手段,前記剥離手段,前記濃縮汚泥排出手段,前記濾液排出管,および前記気体通流管の流体流路にそれぞれ設けた弁と、制御装置とを備えることを特徴とする濾過濃縮装置。
【請求項2】
前記貯留タンク内部と大気とを連通または遮断させる大気開放弁を備えることを特徴とする請求項1に記載の濾過濃縮装置。
【請求項3】
汚泥供給工程と、エアーポンプ濾過工程と、未濃縮汚泥排出工程とを備え、前記汚泥供給工程と前記エアーポンプ濾過工程と前記未濃縮汚泥排出工程とが全て終了した後に濃縮汚泥剥離工程を実行する濾過濃縮方法において、
前記貯留タンク内の液体水位を所定範囲内に制御する前記液体ポンプ濾過工程と、前記貯留タンク内の気体を吸引するエアーポンプ濾過工程とを同時に実行することを特徴とする濾過濃縮方法。
【請求項4】
前記エアーポンプ濾過工程と、前記未濃縮汚泥排出工程とを同時に行うことを特徴とする請求項3の濾過濃縮方法。
【請求項5】
前記濃縮汚泥剥離工程前に、前記貯留タンクおよび前記濾液排出管の液体を排出する濾液流路排水工程を実行することを特徴とする請求項3または4に記載の濾過濃縮方法。
【請求項6】
前記エアーポンプ濾過工程において、前記圧力計の測定値と所定圧力値とを比較し、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値より大きい時に前記エアーポンプの作動を継続させ、前記圧力計の測定値が前記所定圧力値以下の時に前記エアーポンプの作動を停止することを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法。
【請求項7】
前記エアーポンプ濾過工程の前記エアーポンプは、該エアーポンプの作動から所定時間経過後、停止することを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法。
【請求項8】
前記液体ポンプと前記エアーポンプとが同時に作動する時に、前記貯留タンク内の気体圧力を前記液体ポンプの作動圧力許容範囲内とすることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の濾過濃縮方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2008−6360(P2008−6360A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177876(P2006−177876)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】