火炎センサの製造方法
【課題】一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを小型化し、かつ、安定した電極の位置決めが可能な火炎センサの製造方法を提供する
【解決手段】一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えるようにしたので、火炎センサを小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【解決手段】一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えるようにしたので、火炎センサを小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火炎センサの一種として、ユニット化した紫外線検出用放電管(UVチューブ)を用いて火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサがある。このUVチューブは、紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を円筒形のガラス管内に封止し、上記一対の放電電極それぞれのリード線をガラス管の一端部から導出したものである。
このような構造のUVチューブは、火がついていることを確実に検知するための安全確保の役割を担っており、例えばボイラ内の燃焼状態をモニタするための火炎センサとして用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図1は、従来のUVチューブの構造を示す模式図である。ガラス管10の中に、網目状のアノード電極11と、カソード電極12とが、リード線13,14によってそれぞれ支持されており、ガラス管10にはガスが封入されている。このアノード電極11とカソード電極12とは、平行平面構造であり、両電極間は約0.5mmの距離を保って配置されている。そして、ガラス管10の端部(図1の上端部)及び側部から入射した紫外線が、アノード電極11の網目を抜けてカソード電極12に当たることにより、放電する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−12581号公報
【特許文献2】特公昭44−1039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の火炎センサに用いられるUVチューブは、図1のガラス管10の上下方向の長さが4.3cm前後の比較的大きなものであるため、振動に弱く、ガスタービンや発電所等の特殊な市場では使えないという問題があった。
そこで、UVチューブを小型化することが考えられる。図2は、従来のUVチューブ(図2左側)と、この発明におけるUVチューブ(図2右側)との外観を比較する模式図である。この発明におけるUVチューブは、大幅な小型化を図ったものであり、空間を有するコップ形状のガラス20の上下方向の長さは1.7cm前後である。このように小型化されたUVチューブは、耐振動性、耐衝撃性を向上できるため、このUVチューブを用いた火炎センサは、ガスタービンの燃焼検出など、従来では安定した火炎検出が困難であった過酷な環境での使用が可能となる。
【0006】
しかしながら、UVチューブを小型化したことにより、アノード電極21とカソード電極22とを支えるコバール線(リード線)23(図2においては図示せず)及びコバール線(リード線)24と、ガラスシール部(空間を有するコップ形状のガラス20の溶接部)とが近距離に配置されるため、ガラスシール時の熱影響でコバール線23,24が変動し、アノード電極21及びカソード電極22を安定して保持していることができず、安定した電極の位置決めが非常に困難となる、という課題が発生した。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを小型化し、かつ、安定した電極の位置決めが可能な火炎センサの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明は、一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えることを特徴とする。
【0009】
また、この発明は、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記電極に広げる方向、または、狭くする方向に力を加えることを特徴とする。
【0010】
また、この発明は、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記一対の電極のうちの一方の電極については広げる方向へ、もう一方の電極については狭くする方向へ力を加えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明における火炎センサの製造方法によれば、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを、小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の紫外線検出用放電管(UVチューブ)の構造を示す模式図である。
【図2】従来のUVチューブと、この発明におけるUVチューブとの外観を比較する模式図である。
【図3】この発明の実施の形態1における紫外線検出用放電管(UVチューブ)の製造工程を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)は、図3に示す製造工程にしたがって作成される。ここで、UVチューブ内で使用されるアノード電極21とカソード電極22は、従来同様、いずれも面電極であり、アノード電極21のみ網目状の電極である。
【0014】
まず初めに、図3(a)に示すように、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。
次に、図3(b)に示すように、カソード電極22用の3本のコバール線(リード線)24にカソード電極22を配置して溶接する。この際、3本のコバール線24について、1本ずつ順に電極面上面からコバール線24の端面に向けてレーザーを照射して溶接する。なお、カソード電極22には、アノード電極21用の3本のコバール線23に接触しないよう、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ切欠きが設けられている。
その後、図3(c)に示すように、アノード電極21とカソード電極22との間の距離が所定の距離(ここでは、0.4mm)保たれるようにするために、スペーサ29を一時的に配置する。なお、スペーサ29は必須ではなく、アノード電極21とカソード電極22との間の距離を所定の距離に保つことができるものであれば、他の代替方法を用いても構わない。
【0015】
そして、カソード電極22の上にスペーサ29を一時的に配置してから、図3(d)に示すように、アノード電極21を3本のコバール線(リード線)23に溶接する。なお、網目状のアノード電極21には、3本のコバール線23を接続するための穴が、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ設けられている。また、3本のコバール線23は、カソード電極22用の3本のコバール線24よりも長く作られており、アノード電極21をコバール線23と溶接した際に、アノード電極21とカソード電極22とが接触しないように設定されている。ここで、アノード電極21を溶接する際には、まず初めに、アノード電極21の3つの穴の位置を3本のコバール線23の位置に合わせて、アノード電極21を配置する。この際、スペーサ29がなければ、アノード電極21はカソード電極22と接触してしまうが、スペーサ29を介しているので、アノード電極21はそのスペーサ29の厚さ分だけカソード電極22と距離を保って配置される。この状態で、前述のカソード電極22と同様に、3本のコバール線23について1本ずつ順にレーザー照射によりアノード電極21と溶接する。
【0016】
その後、前記スペーサ29を取り除き、最後に、図3(e)に示すように、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接し、内部にガスを封入してから密閉する。
【0017】
ここで、空間を有するコップ形状のガラス20をボタンステム28と溶接する際の方法について説明する。図4は、この発明の実施の形態1におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。溶接の際には、空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部を、図4に示す横方法(左右方向)から、バーナーにより約1000°Cの熱を加えて接合する。ここで、本願発明におけるUVチューブは小型化され、アノード電極21とカソード電極22とを支えるコバール線(リード線)23,24と、ガラスシール部(空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部)とが近距離に配置されているため、バーナーの熱がボタンガラス27だけでなく、コバール線23,24にも影響を及ぼす。このため、何も支えがなければ、ガラスシール時の熱影響によりコバール線23,24が変動し、アノード電極21及びカソード電極22を安定して保持していることができず、安定した電極の位置決めができなくなってしまう。
【0018】
そこで、この実施の形態1では、図4に示すように、ガラスシール時に治具31を使用する。まず初めに、図3(a)〜(d)により、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具31に固定する。この際、ボタンステム28に空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせた場合に、UVチューブの外部に突出している排気管26を、治具31に固定する。また、治具31は、アノード電極21用のコバール線23(図4においては図示せず)及びカソード電極22用のコバール線24の接合部付近が、ある所定の距離以上狭くならないように、上段部32を備えている。また、アノード電極21用の3本のコバール線23とカソード電極22用の3本のコバール線24とをそれぞれ把持するフィンガー33が、それぞれのコバール線23,24ごとに(計6本)設けられている。
【0019】
このように、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具31及びフィンガー33で固定した状態で、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせて、ボタンステム28との接合部をバーナーで溶接する。この際、フィンガー33の上部を内側に押す方向に外力を加えることにより、バーナーによる溶接により柔らかくなっている接合部付近のコバール線23,24に簡単に力が加わり、ボタンステム28端面(ボタンガラス27)を支点としてアノード電極21及びカソード電極22には広げる力が加わるため、バーナーの熱影響により各電極が撓んでしまうことがなく、平行で安定した状態を保つことができる。
【0020】
なお、この実施の形態1では、面電極の中心部における両電極間の距離は0.4mmとしたが、これはスペーサ29の厚みにより、適宜調節することができる。
また、それぞれの面電極と接続されるコバール線の本数は各3本としたが、少なくとも2本以上であって面電極を支持することが可能な本数であれば、適宜変更してもよい。
【0021】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)は、実施の形態1同様、図3に示す製造工程にしたがって作成される。そして、図3(e)に示す、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接する際の製造方法のみが、実施の形態1と異なる。
図5は、この発明の実施の形態2におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。溶接の際には、実施の形態1同様、空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部を、図5に示す横方法(左右方向)から、バーナーにより約1000°Cの熱を加えて接合する。
【0022】
この実施の形態2では、図5に示すように、ガラスシール時に治具41を使用する。まず初めに、図3(a)〜(d)により、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具41に固定する。この際、ボタンステム28に空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせた場合に、UVチューブの外部に突出している排気管26を、治具41に固定する。また、治具41は、アノード電極21用のコバール線23(図5においては図示せず)及びカソード電極22用のコバール線24の下方が少し広がって固定されるようにするための、下段部42を備えている。また、アノード電極21用の3本のコバール線23とカソード電極22用の3本のコバール線24とをそれぞれ把持するフィンガー43が、それぞれのコバール線23,24ごとに(計6本)設けられている。
【0023】
このように、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具41及びフィンガー43で固定した状態で、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせて、ボタンステム28との接合部をバーナーで溶接する。この際、フィンガー43の上部を内側に押す方向に外力を加えることにより、バーナーによる溶接により柔らかくなっている接合部付近のコバール線23,24に簡単に力が加わり、ボタンステム28端面(ボタンガラス27)を支点としてアノード電極21及びカソード電極22には狭くする力が加わるため、バーナーの熱影響により各電極が撓んでしまうことがなく、電解の強い部分の間隔が広がることにより、電解が均一になり、より安定した放電を促すことが可能になる。
【0024】
なお、実施の形態1のように、各電極に広げる方向に力を加えるか、実施の形態2のように、各電極に狭くする方向に力を加えるかは、バーナーによる熱影響により、電極がどのように変動してしまうかに合わせて、適宜決定すればよいものである。
また、例えば、アノード電極21に対して(コバール線23に対して)は、実施の形態1を適用し、カソード電極22に対して(コバール線24に対して)は、実施の形態2を適用するなど、コバール線23,24ごとに異なる方向へ力を加えるようにすることもできる。この場合には、治具の上段部と下段部とを、コバール線(リード線)1本置きに設けるようにすればよい。これにより、一方の電極については広げる方向へ、他方の電極については狭くする方向へ力を加えることができる。
【0025】
以上のように、この発明における火炎センサの製造方法によれば、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを、小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【0026】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 ガラス管
11,21 アノード電極
12,22 カソード電極
13,14,23,24 コバール線(リード線)
20 空間を有するコップ形状のガラス
26 排気管
27 ボタンガラス
28 ボタンステム
29 スペーサ
31,41 治具
32 治具31の上段部
42 治具41の下段部
33,43 フィンガー
【技術分野】
【0001】
この発明は、火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火炎センサの一種として、ユニット化した紫外線検出用放電管(UVチューブ)を用いて火炎中に含まれる紫外線を検出する火炎センサがある。このUVチューブは、紫外線を受けて放電を生起する一対の放電電極を円筒形のガラス管内に封止し、上記一対の放電電極それぞれのリード線をガラス管の一端部から導出したものである。
このような構造のUVチューブは、火がついていることを確実に検知するための安全確保の役割を担っており、例えばボイラ内の燃焼状態をモニタするための火炎センサとして用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、図1は、従来のUVチューブの構造を示す模式図である。ガラス管10の中に、網目状のアノード電極11と、カソード電極12とが、リード線13,14によってそれぞれ支持されており、ガラス管10にはガスが封入されている。このアノード電極11とカソード電極12とは、平行平面構造であり、両電極間は約0.5mmの距離を保って配置されている。そして、ガラス管10の端部(図1の上端部)及び側部から入射した紫外線が、アノード電極11の網目を抜けてカソード電極12に当たることにより、放電する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−12581号公報
【特許文献2】特公昭44−1039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の火炎センサに用いられるUVチューブは、図1のガラス管10の上下方向の長さが4.3cm前後の比較的大きなものであるため、振動に弱く、ガスタービンや発電所等の特殊な市場では使えないという問題があった。
そこで、UVチューブを小型化することが考えられる。図2は、従来のUVチューブ(図2左側)と、この発明におけるUVチューブ(図2右側)との外観を比較する模式図である。この発明におけるUVチューブは、大幅な小型化を図ったものであり、空間を有するコップ形状のガラス20の上下方向の長さは1.7cm前後である。このように小型化されたUVチューブは、耐振動性、耐衝撃性を向上できるため、このUVチューブを用いた火炎センサは、ガスタービンの燃焼検出など、従来では安定した火炎検出が困難であった過酷な環境での使用が可能となる。
【0006】
しかしながら、UVチューブを小型化したことにより、アノード電極21とカソード電極22とを支えるコバール線(リード線)23(図2においては図示せず)及びコバール線(リード線)24と、ガラスシール部(空間を有するコップ形状のガラス20の溶接部)とが近距離に配置されるため、ガラスシール時の熱影響でコバール線23,24が変動し、アノード電極21及びカソード電極22を安定して保持していることができず、安定した電極の位置決めが非常に困難となる、という課題が発生した。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを小型化し、かつ、安定した電極の位置決めが可能な火炎センサの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、この発明は、一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えることを特徴とする。
【0009】
また、この発明は、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記電極に広げる方向、または、狭くする方向に力を加えることを特徴とする。
【0010】
また、この発明は、前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記一対の電極のうちの一方の電極については広げる方向へ、もう一方の電極については狭くする方向へ力を加えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明における火炎センサの製造方法によれば、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを、小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の紫外線検出用放電管(UVチューブ)の構造を示す模式図である。
【図2】従来のUVチューブと、この発明におけるUVチューブとの外観を比較する模式図である。
【図3】この発明の実施の形態1における紫外線検出用放電管(UVチューブ)の製造工程を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。
【図5】この発明の実施の形態2におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
この発明の実施の形態1における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)は、図3に示す製造工程にしたがって作成される。ここで、UVチューブ内で使用されるアノード電極21とカソード電極22は、従来同様、いずれも面電極であり、アノード電極21のみ網目状の電極である。
【0014】
まず初めに、図3(a)に示すように、排気管26、ボタンガラス27、各3本のコバール線23,24を同時に封着して、ボタンステム28を形成する。
次に、図3(b)に示すように、カソード電極22用の3本のコバール線(リード線)24にカソード電極22を配置して溶接する。この際、3本のコバール線24について、1本ずつ順に電極面上面からコバール線24の端面に向けてレーザーを照射して溶接する。なお、カソード電極22には、アノード電極21用の3本のコバール線23に接触しないよう、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ切欠きが設けられている。
その後、図3(c)に示すように、アノード電極21とカソード電極22との間の距離が所定の距離(ここでは、0.4mm)保たれるようにするために、スペーサ29を一時的に配置する。なお、スペーサ29は必須ではなく、アノード電極21とカソード電極22との間の距離を所定の距離に保つことができるものであれば、他の代替方法を用いても構わない。
【0015】
そして、カソード電極22の上にスペーサ29を一時的に配置してから、図3(d)に示すように、アノード電極21を3本のコバール線(リード線)23に溶接する。なお、網目状のアノード電極21には、3本のコバール線23を接続するための穴が、その3本のコバール線23に対応する箇所にそれぞれ設けられている。また、3本のコバール線23は、カソード電極22用の3本のコバール線24よりも長く作られており、アノード電極21をコバール線23と溶接した際に、アノード電極21とカソード電極22とが接触しないように設定されている。ここで、アノード電極21を溶接する際には、まず初めに、アノード電極21の3つの穴の位置を3本のコバール線23の位置に合わせて、アノード電極21を配置する。この際、スペーサ29がなければ、アノード電極21はカソード電極22と接触してしまうが、スペーサ29を介しているので、アノード電極21はそのスペーサ29の厚さ分だけカソード電極22と距離を保って配置される。この状態で、前述のカソード電極22と同様に、3本のコバール線23について1本ずつ順にレーザー照射によりアノード電極21と溶接する。
【0016】
その後、前記スペーサ29を取り除き、最後に、図3(e)に示すように、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接し、内部にガスを封入してから密閉する。
【0017】
ここで、空間を有するコップ形状のガラス20をボタンステム28と溶接する際の方法について説明する。図4は、この発明の実施の形態1におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。溶接の際には、空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部を、図4に示す横方法(左右方向)から、バーナーにより約1000°Cの熱を加えて接合する。ここで、本願発明におけるUVチューブは小型化され、アノード電極21とカソード電極22とを支えるコバール線(リード線)23,24と、ガラスシール部(空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部)とが近距離に配置されているため、バーナーの熱がボタンガラス27だけでなく、コバール線23,24にも影響を及ぼす。このため、何も支えがなければ、ガラスシール時の熱影響によりコバール線23,24が変動し、アノード電極21及びカソード電極22を安定して保持していることができず、安定した電極の位置決めができなくなってしまう。
【0018】
そこで、この実施の形態1では、図4に示すように、ガラスシール時に治具31を使用する。まず初めに、図3(a)〜(d)により、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具31に固定する。この際、ボタンステム28に空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせた場合に、UVチューブの外部に突出している排気管26を、治具31に固定する。また、治具31は、アノード電極21用のコバール線23(図4においては図示せず)及びカソード電極22用のコバール線24の接合部付近が、ある所定の距離以上狭くならないように、上段部32を備えている。また、アノード電極21用の3本のコバール線23とカソード電極22用の3本のコバール線24とをそれぞれ把持するフィンガー33が、それぞれのコバール線23,24ごとに(計6本)設けられている。
【0019】
このように、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具31及びフィンガー33で固定した状態で、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせて、ボタンステム28との接合部をバーナーで溶接する。この際、フィンガー33の上部を内側に押す方向に外力を加えることにより、バーナーによる溶接により柔らかくなっている接合部付近のコバール線23,24に簡単に力が加わり、ボタンステム28端面(ボタンガラス27)を支点としてアノード電極21及びカソード電極22には広げる力が加わるため、バーナーの熱影響により各電極が撓んでしまうことがなく、平行で安定した状態を保つことができる。
【0020】
なお、この実施の形態1では、面電極の中心部における両電極間の距離は0.4mmとしたが、これはスペーサ29の厚みにより、適宜調節することができる。
また、それぞれの面電極と接続されるコバール線の本数は各3本としたが、少なくとも2本以上であって面電極を支持することが可能な本数であれば、適宜変更してもよい。
【0021】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2における火炎センサの紫外線検出用放電管(UVチューブ)は、実施の形態1同様、図3に示す製造工程にしたがって作成される。そして、図3(e)に示す、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせてボタンステム28と溶接する際の製造方法のみが、実施の形態1と異なる。
図5は、この発明の実施の形態2におけるUVチューブの製造方法を示す模式図である。溶接の際には、実施の形態1同様、空間を有するコップ形状のガラス20とボタンステム28との接合部を、図5に示す横方法(左右方向)から、バーナーにより約1000°Cの熱を加えて接合する。
【0022】
この実施の形態2では、図5に示すように、ガラスシール時に治具41を使用する。まず初めに、図3(a)〜(d)により、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具41に固定する。この際、ボタンステム28に空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせた場合に、UVチューブの外部に突出している排気管26を、治具41に固定する。また、治具41は、アノード電極21用のコバール線23(図5においては図示せず)及びカソード電極22用のコバール線24の下方が少し広がって固定されるようにするための、下段部42を備えている。また、アノード電極21用の3本のコバール線23とカソード電極22用の3本のコバール線24とをそれぞれ把持するフィンガー43が、それぞれのコバール線23,24ごとに(計6本)設けられている。
【0023】
このように、アノード電極21とカソード電極22が溶接されて一体となったボタンステム28を、治具41及びフィンガー43で固定した状態で、空間を有するコップ形状のガラス20をかぶせて、ボタンステム28との接合部をバーナーで溶接する。この際、フィンガー43の上部を内側に押す方向に外力を加えることにより、バーナーによる溶接により柔らかくなっている接合部付近のコバール線23,24に簡単に力が加わり、ボタンステム28端面(ボタンガラス27)を支点としてアノード電極21及びカソード電極22には狭くする力が加わるため、バーナーの熱影響により各電極が撓んでしまうことがなく、電解の強い部分の間隔が広がることにより、電解が均一になり、より安定した放電を促すことが可能になる。
【0024】
なお、実施の形態1のように、各電極に広げる方向に力を加えるか、実施の形態2のように、各電極に狭くする方向に力を加えるかは、バーナーによる熱影響により、電極がどのように変動してしまうかに合わせて、適宜決定すればよいものである。
また、例えば、アノード電極21に対して(コバール線23に対して)は、実施の形態1を適用し、カソード電極22に対して(コバール線24に対して)は、実施の形態2を適用するなど、コバール線23,24ごとに異なる方向へ力を加えるようにすることもできる。この場合には、治具の上段部と下段部とを、コバール線(リード線)1本置きに設けるようにすればよい。これにより、一方の電極については広げる方向へ、他方の電極については狭くする方向へ力を加えることができる。
【0025】
以上のように、この発明における火炎センサの製造方法によれば、一対の電極を備えたUVチューブを用いた火炎センサを、小型化し、かつ、ガラスシール時の熱影響を受けても安定した電極の位置決めが可能な状態で、精度よく製造することができる。
【0026】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 ガラス管
11,21 アノード電極
12,22 カソード電極
13,14,23,24 コバール線(リード線)
20 空間を有するコップ形状のガラス
26 排気管
27 ボタンガラス
28 ボタンステム
29 スペーサ
31,41 治具
32 治具31の上段部
42 治具41の下段部
33,43 フィンガー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えることを特徴とする火炎センサの製造方法。
【請求項2】
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記電極に広げる方向、または、狭くする方向に力を加えることを特徴とする請求項1記載の火炎センサの製造方法。
【請求項3】
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記一対の電極のうちの一方の電極については広げる方向へ、もう一方の電極については狭くする方向へ力を加えることを特徴とする請求項1記載の火炎センサ。
【請求項1】
一対の電極と、この電極を保持する複数のリード線と、前記複数のリード線が貫通するボタンステムと、前記ボタンステムと接合されて前記一対の電極を密封する空間を有するコップ形状のガラスとを備えたUVチューブを用いた火炎センサの製造方法であって、
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記UVチューブの外部に突出している複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加えることを特徴とする火炎センサの製造方法。
【請求項2】
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記電極に広げる方向、または、狭くする方向に力を加えることを特徴とする請求項1記載の火炎センサの製造方法。
【請求項3】
前記空間を有するコップ形状のガラスを前記ボタンステムと高温にして接合する工程において、前記複数のリード線が特定の姿勢を保つように固定して外力を加える際に、前記一対の電極のうちの一方の電極については広げる方向へ、もう一方の電極については狭くする方向へ力を加えることを特徴とする請求項1記載の火炎センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−207967(P2012−207967A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72666(P2011−72666)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]