説明

灯具及び照明装置

【課題】振動を受けた場合でも、ソケットに螺合した口金部がソケットに対して緩むおそれが少なく、しかも、振動に対して揺れ難い灯具及び照明器具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の照明装置100は、天井壁Hに取り付けられたソケット104を有する照明装置本体101と、灯具1とを備えている。灯具1は、灯具本体2と、灯具本体2に係止された弾性を有するフランジ3とを備えている。灯具本体2の上端には、ソケット104に設けられた雌ネジ105に螺合する雄ネジ24を有する口金部23を備えている。フランジ3の上端は、灯具1の口金部23がソケット104に螺合するに際して、天井壁Hに当接し、この当接に伴って、フランジ3に設けた底部31が弾性を蓄えるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に用いる照明装置用の灯具及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明装置に用いる照明装置用の灯具として種々のものが知られている。例えば、電球の口金部を螺合するための一対の端子点を包含するソケット部を有する雌側基部と,ランプソケット(ソケット)と螺合するための一対の端子点を包含する口金部を有する雄側基部とを、屈曲可能な連結アームで連結し、該連結アームに沿って設けた一対の導線にて前記雌側基部が有するソケット部の一対の端子点と前記雄側基部が有する口金部の一対の端子点とを電気的に導通させるようにしたランプホルダ(灯具)が提案されている。このように構成することにより、連結アームの屈曲方向を変化させることによって照明角度や照明位置を任意に調整することが可能となる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−139107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のように、灯具が連結アーム等を備えたものとすると全体の重量が増し、地震等によってソケットとそれに螺合した口金部とが振動を受けると、ソケットに螺合した口金部がソケットに対して緩むおそれが高くなるとともに、灯具が口金部を中心に揺動し易くなり、天井に取り付けたソケットが壊れ、あるいは、天井から外れる恐れがある。
【0004】
本発明は、振動を受けた場合でも、ソケットに螺合した口金部がソケットに対して緩むおそれが少なく、しかも、振動に対して揺れ難い照明装置用の灯具及び照明器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1は、照明装置に用いられる灯具であって、灯具本体と、フランジとを備え、灯具本体は、その先端側に、発光部を保持する発光保持部を備え、その基端側に、壁面に設けられた雌ネジを有するソケットに通電可能に接続する雄ネジを有する口金部を備え、前記フランジは、灯具本体における前記発光保持部と口金部との間の部分に係止されているとともに、壁面当接部と、弾性部とを備え、前記壁面当接部は、前記口金部が前記ソケットに螺合されるに際して前記壁面に当接し、前記弾性部は、前記壁面当接部の壁面への当接に伴って弾性力が蓄えられるように構成されていることを特徴とする灯具を提供する。
【0006】
請求項2のように、前記フランジは、灯具本体に係止された弾性を有する板状の底壁と、筒状の側壁とを備え、前記壁面当接部は、前記側壁の上端面のほぼ全周に形成され、前記弾性部は、底壁から構成されていることが好ましい。
【0007】
請求項3のように、請求項1または2記載の灯具と、照明装置本体とを備え、前記照明装置本体は、前記ソケットを備えていることを特徴とする照明装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1によれば、壁面当接部は、口金部がソケットに螺合されるに際してソケットの周部における壁面に当接し、弾性部は、その壁面当接部の壁面への当接に伴って弾性力が蓄えられるように構成されているため、互いに螺合した口金部の雄ネジとソケットの雌ネジとに弾性力がかかり、その結果、互いに螺合した口金部の雄ネジとソケットの雌ネジとが相互に回転し難くなり、振動を受けた場合でも、口金部の雄ネジがソケットの雌ネジに対して緩む恐れの少ないものにできる。
【0009】
又、灯具本体の先端をソケットで支持し、灯具本体におけるソケットと発光保持部との間の部分をフランジで支持でき、灯具本体を2箇所で支持できる。従って、灯具本体を振動に対して揺れ難いものにできる。
【0010】
請求項2によれば、フランジは、灯具本体に係止された弾性を有する板状の底壁と、筒状の側壁とを備え、壁面当接部は、前記側壁の上端面に形成されているため、壁面当接部は、壁面におけるソケットの全周部に渡って当接させることができる。これにより、互いに螺合した口金部の雄ネジとソケットの雌ネジとのほぼ全周に均等に弾性力をかけることができ、より確実に、口金部の雄ネジがソケットの雌ネジに対して緩みにくいものにできるとともに、灯具本体がどの方向に対しても揺れ難いものにでき、より一層、揺れ難いものにできる。
【0011】
請求項3によれば、振動を受けた場合でも、ソケットに螺合した口金部がソケットに対して緩むおそれが少なく、しかも、灯具が揺れ難い照明器具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の灯具を有する照明装置の一部を断面にした分解側面図である。まず、本発明の灯具1から説明する。
【0014】
本発明の灯具1は、灯具本体2と、フランジ3とを備えている。灯具本体2は、長尺状の筒体21と、発光部を保持する発光保持部22とを備えている。筒体21は、この実施形態では、円筒状のものから構成されている。又、筒体21の長手方向の上端側(一端側)には、口金部23と、フランジ3を係止するフランジ係止部26とが設けられている。
【0015】
口金部23は、外周に雄ネジ24を備えているとともに、上端面(一端面)に突起25を備えている。これらの雄ネジ24及び突起25は、夫々、接続端子を構成する。
【0016】
フランジ係止部26は、灯具本体2の筒体21と発光保持部22との間の部分に設けられている。この実施形態では、フランジ係止部26は、図2に示すように、口金部23から所定距離だけ離れた口金部23寄りの位置(下方位置)に、筒体21の周方向の全周に渡って、筒体21の外周から径方向に突設されている。
【0017】
発光保持部22は、筒体21の下端側に回転自在に連結され、照射方向を変え得るようになっている。又、発光保持部22は、図示しないが、上記口金部23の雄ネジ24及び突起25の夫々に接続された給電線24a、25aを介して、口金部23から発光部に給電可能とされている。
【0018】
尚、発光保持部22に保持する発光部は、特に限定されず、例えば蛍光灯、無電極放電灯、あるいは、LED等を使用できる。又、発光保持部22に、雌ネジを有するソケットを設けたものとし、口金部を有する電球等を保持するようにしても良く、適宜変更できる。
【0019】
フランジ3は、弾性部としての底壁31と、筒状の側壁32とを備えている。底壁31は、この実施形態では、全体が弾性を有する円板状のものから構成されているとともに、外周側に外部から力がかかると撓んで弾性を蓄えることができるような板厚のものからなる。
【0020】
尚、フランジ3の材質は、特に限定されず、例えば金属、合成樹脂等から構成できる。又、底壁31は、その全体を、弾性部として弾性を有するものから構成する形態のものに限らず、その一部に弾性部を有するものであっても良く、適宜変更できる。
【0021】
又、底壁31の中心部には、灯具本体2の口金部23を挿通する口金部挿通孔33を備えている。また、底壁31における下面側(他面側)の口金部挿通孔33の周部には、灯具本体2のフランジ係止部26に係止される係止面31aを備えている。
【0022】
側壁32は、この実施形態では、円筒状のものからなり、その軸方向の下端側(一端側)が、底壁31の上面側(一面側)に連結され、側壁32の軸方向の上端側(他端側)に、底壁31の上面から上方側に突出し後述する天井の壁面Hに当接する壁面当接部34を備えている。
【0023】
この実施形態では、側壁32は、底壁31の外周側の一部を、全周に渡って、底壁31の上面側(一面側)に、側壁32と底壁31とが略同心になるようにして折り曲げ成形されることによって形成されている。
【0024】
又、側壁32における壁面当接部34から係止面31aの距離L1は、後述する灯具1の口金部23の突起25とフランジ3の突起106とが当接した状態における灯具本体2のフランジ係止部26から天井壁Hまでの距離L2(図3に図示)よりも長くなるように設定され、灯具1の口金部23の突起25とフランジ3の突起106とが当接する前に、側壁32の壁面当接部34が天井壁Hに当接するようになっている。
【0025】
次に、照明装置100について説明する。照明装置100は、照明装置本体101と、灯具1とを備えている。灯具1は、上記のものと同構成のものが使用されている。
【0026】
照明装置本体101は、電源部103と、ソケット104とを備えている。電源部103は、筐体102の内部における上側に保持されている。この実施形態で用いている筐体102は、下面側が開放された筒状体から構成されている。
【0027】
そして、この筐体102は、建造物の壁面としての天井壁Hに設けられた照明装置用の装着孔H1に筐体102を、下方側から入れるようにして、筐体102の下端に設けた固定部102aを壁面Hに、図示しないボルト等の固定手段よって固定することによって天井壁Hに装着されている。
【0028】
ソケット104は、接続端子を構成する雌ネジ105及びその雌ネジ105の奥部に設けられた突起106を備えている。そして、このソケット104は、上記筐体102の内部における電源部103の下方側に保持されている。又、図示しないが、ソケット104の雌ネジ105及び突起106は、夫々、電源部103に、給電線107を介して通電可能に接続されている。
【0029】
このように構成された照明装置本体101に、灯具1を取り付けるには、図1に示すように、灯具本体2のフランジ係止部26にフランジ3を係止した状態で、灯具1の口金部23の雄ネジ24を、照明装置本体101のソケット104の雌ネジ105に螺合させて灯具1を回転させていく。
【0030】
灯具1を回転させていくと、フランジ3の壁面当接部34が天井壁Hにおける装着孔H1の周部に当接する。この状態から、更に灯具1を回転させていくと、図3に示すように灯具1の口金部23の突起25とフランジ3の突起106とが当接し、灯具1の発光保持部22に照明装置本体101の電源部103から電力供給(通電)可能状態になるとともに、フランジ3の底壁31が天井壁Hからの反力により押圧されて撓み、弾性を蓄える。
【0031】
又、この弾性によって、灯具1の口金部23の雄ネジ24を、ソケット104の雌ネジ105に対して付勢する。これにより、地震等によって振動を受けた場合でも、螺合した口金部23の雄ネジ24とソケット104の雌ネジ105とが互いに緩み難いものにできる。尚、図3では、説明の都合上、底壁31が撓んだ状態を、誇張して現しているが、実際は、目視で判らない程度の撓みである。以下の図4でも同様である。
【0032】
また、フランジ3の壁面当接部34が天井壁Hの装着孔H1の周部に当接しているため、地震等によって振動を受けた場合でも、灯具1が、横揺れし難いものにでき、螺合したソケット104を軸にして揺動し難いものにできる。又、その際、フランジ3の底壁31と側壁32とが略同心になるように形成されているため、側壁32を灯具1の全周に渡ってほぼ同距離となる位置に配設でき、灯具1がどの方向に横揺れし始めても、確実に灯具1の横揺れを抑えることができる。
【0033】
尚、上記実施形態では、ソケット104を、筐体102を介して天井の壁面Hに取り付けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば図4に示すようにソケット104を、天井の壁面Hに直接取り付けるとともに、ソケット104の雌ネジ105及び突起106を夫々、天井の壁面Hの裏側に設けた電源部103に、給電線107を介して接続するようにしても良い。
【0034】
又、上記実施形態では、フランジ3は、底壁31と側壁32とから構成しているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば底壁を、係止面から上方に傾斜する面を有するものとするとともに、その先端に壁面当接部を有するものとし、フランジを、弾性部としての底壁のみから構成するようにしても良い。
【0035】
又、フランジ3を、底壁31と側壁32とから構成する場合において、側壁32は、円筒状のものに限らず、多角筒状のものでも良く、適宜変更できる。
【0036】
また、灯具1の口金部23の雄ネジ24の大きさ等は、例えば電球用のソケットとして従来から使用されている一般的なものに適合する形態のものであっても良いが、例えば既存のソケットに適合しない固有の雄ネジから構成するとともに、その雄ネジに螺合し得る雌ネジを有するソケットから構成するようにしても良く、適宜変更し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態の灯具を有する照明装置の一部を断面にした分解側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】灯具を照明装置本体に取り付けた状態の一部を断面にした側面図である。
【図4】照明装置の他の実施形態の一部を断面にした側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 灯具
2 灯具本体
3 フランジ
23 口金部
24 雄ネジ
31 底壁(弾性部)
32 側壁
34 壁面当接部
100 照明装置
101 照明装置本体
104 ソケット
105 雌ネジ
H 天井壁(壁面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置に用いられる灯具であって、灯具本体と、フランジとを備え、
灯具本体は、その先端側に、発光部を保持する発光保持部を備え、その基端側に、壁面に設けられた雌ネジを有するソケットに通電可能に接続する雄ネジを有する口金部を備え、
前記フランジは、灯具本体における前記発光保持部と口金部との間の部分に係止されているとともに、壁面当接部と、弾性部とを備え、
前記壁面当接部は、前記口金部が前記ソケットに螺合されるに際して前記壁面に当接し、
前記弾性部は、前記壁面当接部の壁面への当接に伴って弾性力が蓄えられるように構成されていることを特徴とする灯具。
【請求項2】
前記フランジは、灯具本体に係止された弾性を有する板状の底壁と、筒状の側壁とを備え、
前記壁面当接部は、前記側壁の上端面のほぼ全周に形成され、
前記弾性部は、底壁から構成されていることを特徴とする請求項1記載の灯具。
【請求項3】
請求項1または2記載の灯具と、照明装置本体とを備え、
前記照明装置本体は、前記ソケットを備えていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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