説明

炉内温度測定装置

【課題】 センサ保護管を長寿命化できる気密型の炉内温度測定装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、内部でガスが発生する炉の炉内温度測定装置1に関する。この測定装置1は、炉内に通じる測定孔2Aに連通する支持管3と、先端を炉側に向けて支持管3内に軸方向移動自在に挿通されたセンサ保護管4と、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間を気密にシールする、当該隙間を軸方向で複数の空間部分に分断するように間隔をおいて配置された複数のシールリング6A,6Bと、感温部分がセンサ保護管4の先端部に対応するように、当該保護管4の内部に収容された温度センサ5と、シールリング6A,6Bによるシール状態を維持しつつ、センサ保護管4の先端部を測定孔2Aから炉内に向けて軸方向に出退自在に駆動する駆動機構7と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部でガスが発生する炉の炉内温度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭、コークス、バイオマス及び産業廃棄物等を熱分解して得られた固体炭化水素燃料を高温で燃焼する燃焼炉や、その固体炭化水素燃料をガス化するガス化炉では、炉内の反応を適切に進行させるために、炉内温度の測定値に基づいて炉内を最適温度に制御する必要があり、この最適温度は、概ね1300〜1600°Cと非常に高温である。
また、この種の燃焼炉やガス化炉では、腐食性の強いガスや固体燃料の溶融灰が内部で発生するという特質がある。
【0003】
特に、石炭ガス化炉では、炉内温度が1600°C前後と従来の工業設備にはない程の高温となり、しかも、炉内圧力が2.5MPa前後と非常に高圧になる。また、炉内には還元性のカーボンを多量に含むスラグが存在し、これが高温環境と相俟って炉内が強い腐食性を有するガス雰囲気となっている。
従って、内部でガスが発生する燃焼炉やガス化炉では、炉内の雰囲気ガスを漏洩させないで炉内温度を測定可能な、気密型の炉内温度測定装置が必要である。
【0004】
従来、かかる気密型の炉内温度測定装置は、炉内に通じる測定孔に接続された支持管と、熱電対よりなる温度センサを内部に含むセンサ保護管とを備えており、温度センサの感温部分に対応するセンサ保護管の先端部が炉内に常に露出するように、当該保護管を支持管の内部に気密に収納した構造となっている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−43057号公報
【特許文献2】実開平5−28945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の炉内温度測定装置では、センサ保護管が支持管に対して軸方向不動に収納され、センサ保護管の先端部が常に炉内に露出しているので、センサ保護管の先端部が比較的短期間で劣化し、センサ保護管を早期に交換せねばならない場合があった。
特に、石炭ガス化炉では、前述の通り炉内が高温かつ高圧であり、強い腐食性を有する雰囲気であることから、センサ保護管の先端部の劣化が非常に進行し易いという特質があり、通常の燃焼炉に比べてセンサ保護管の耐久性を如何に向上させるかが問題であった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、炉内の雰囲気ガスをシールしつつ炉内温度を測定する気密型の炉内温度測定装置及び方法において、センサ保護管を長寿命化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の炉内温度測定装置(以下、単に「測定装置」ということがある。)は、内部でガスが発生する炉の炉内温度測定装置であって、炉内に通じる測定孔に連通する支持管と、先端を炉側に向けて前記支持管内に軸方向移動自在に挿通されたセンサ保護管と、前記支持管と前記センサ保護管との間の隙間を気密にシールする、当該隙間を軸方向で複数の空間部分に分断するように間隔をおいて配置された複数のシールリングと、感温部分が前記センサ保護管の先端部に対応するように、当該保護管の内部に収容された温度センサと、前記シールリングによるシール状態を維持しつつ、前記センサ保護管の先端部を前記測定孔から炉内に向けて軸方向に出退自在に駆動する駆動機構と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の測定装置によれば、上記駆動機構が、シール部材によるシール状態を維持しつつ、センサ保護管の先端部を測定孔から炉内に向けて軸方向に出退自在に駆動するので、炉内のガス雰囲気を外部に漏洩をさせないで、センサ保護管の先端部を炉内に出退させることができる。
このため、温度測定が必要な時だけセンサ保護管の先端部を炉内に突出させ、それ以外の時間帯はセンサ保護管の先端部を炉外の待機位置に没入させることにより、センサ保護管の長寿命化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の測定装置によれば、複数のシールリングが、支持管とセンサ保護管との間の隙間を軸方向で複数の空間部分に分断するように、軸方向に間隔をおいて配置されているので、単一のシールリングだけの場合に比べて、支持管に対するセンサ保護管の軸方向相対移動が拗れなくスムーズに行われ、駆動機構によるセンサ保護管の出退をより確実に行えるという利点がある。
【0011】
本発明の測定装置において、前記各シールリングの炉側に位置する前記各空間部分に、炉内圧力よりも高圧の不活性ガスをそれぞれ流通させるガス流通機構を、更に備えていることが好ましい。
この場合、前記ガス流通機構が、前記各シールリングの炉側に位置する前記各空間部分に、炉内圧力よりも高圧の不活性ガスをそれぞれ流通させるので、複数のシールリングと空間部分について、炉に近い側から順に第1、第2……とナンバリングするとすれば、第1空間部分を流通する不活性ガスは、この空間部分から測定孔を通って炉内に入り込む。
このため、第1シールリングが炉内のガス雰囲気に直接晒されることによる、第1シールリングの損傷を未然に防止することができる。
【0012】
また、この場合、第2番目以降の空間部分にも炉内圧力より高圧の不活性ガスを流通させるので、前段のシールリングが損傷しても、次段のシールリングにより支持管とセンサ保護管との間のシール状態が維持され、炉内からのガス漏洩を確実に防止することができる。
なお、各空間部分を流通する不活性ガスには、支持管やセンサ保護管を空冷する機能もあり、これによって各シールリングの熱損傷が有効に防止される。
【0013】
本発明の測定装置において、前記センサ保護管の先端部は、当該保護管のその他の本体部分よりも高い耐腐食性を有し、その本体部分に対して同軸心状でかつ着脱自在に取り付け可能なカバー筒体よりなることが好ましい。
この場合、カバー筒体が本体部分よりも耐腐食性が高いので、測温時に炉内に晒されるセンサ保護管の先端部の耐久性が向上する。また、仮にカバー筒体が損傷しても、これを本体部分から取り外して交換すればよいので、センサ保護管を全体的に交換する場合に比べて、測定装置のメンテナンスコストを低減することができる。
【0014】
また、本発明の測定装置において、前記隙間の基端側開口を外部と隔離するシール室を更に備えており、前記ガス流通機構は、前記シール室にも前記不活性ガスを流通させる流通路を有することが好ましい。
この場合、上記ガス流通機構が、支持管とセンサ保護管との間の隙間の基端側開口を外部と隔離するシール室にも、炉内圧力より高圧の不活性ガスを流通させるので、当該隙間の基端側開口からのガス漏洩をほぼ完全に防止することができる。
【0015】
本発明の測定装置において、前記シールリングは、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム或いはニトリルゴムのうちのいずれかよりなることが好ましい。
その理由は、これらのエラストマー材料の使用温度範囲の上限値は、少なくとも100°C以上であり、その他のエラストマー材料に比べて比較的高いので、炉内からのガス雰囲気や熱伝導によって高温になり易い支持管内部のシール材料として採用した場合に、長寿命化を期待できるからである。
【0016】
また、この場合、前記シールリングに採用するエラストマー材料の使用温度範囲の上限値以下となる前記センサ保護管の軸方向位置に、前記シールリングを設けることが好ましい。
上記の軸方向位置にシールリングを設けることにすれば、採用したエラストマー材料が測定装置の稼働中にその使用温度範囲を超えることがなく、シールリングが上限値以上の高温に晒されて早期に損傷するのを未然に防止することができる。
【0017】
更に、本発明の測定装置において、前記シールリングは、軸方向に近接する複数本のゴムリングよりなることが好ましい。
この場合、空間部分を区画するシールリングが2連以上のゴムリングで構成されることになるので、シールリングを1本のゴムリングで構成する場合に比べて、より確実に空間部分同士の気密性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の通り、本発明によれば、炉内の雰囲気ガスを外部に漏洩させないで、センサ保護管の先端部を炉内に出退させることができるので、温度測定が必要な時だけセンサ保護管の先端部を炉内に突出させ、それ以外の時間帯はセンサ保護管の先端部を炉外の待機位置に没入させることにより、センサ保護管を長寿命化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る炉内温度測定装置の側面断面図であり、センサ保護管が待機位置にある状態を示す。
【図2】炉内温度測定装置の側面断面図であり、センサ保護管が測温位置にある状態を示す。
【図3】炉内温度測定装置の基端側部分の平面図である。
【図4】炉内温度測定装置を図1のA方向から見た正面図である。
【図5】第1の変形例に係る炉内温度測定装置の側面断面図である。
【図6】第2の変形例に係る炉内温度測定装置の側面断面図である。
【図7】シールリングの変形例を示すセンサ保護管の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
〔測定装置の全体構成〕
図1及び図2は、本発明の実施形態に係る炉内温度測定装置1の側面断面図である。また、図1は、センサ保護管4が待機位置にある状態を示し、図2は、センサ保護管4が測温位置にある状態を示している。
なお、本明細書においては、図1及び図2の左側を「炉側」或いは「先端側」といい、右側を「反炉側」(炉の反対側の意味)或いは「基端側」という。また、図2では、図示の簡略化のためガス流通装置9を省略している。
【0021】
本実施形態の測定装置1は、炉内の雰囲気ガスを気密にシールしつつ炉内温度を測定可能な「気密型」のものであり、図1及び図2に示すように、石炭ガス化炉の炉壁2の外面面に取り付けられた支持管3と、この支持管3の内部に軸方向(図1の左右方向)に移動自在に挿通されたセンサ保護管4と、この保護管4の内部に収容された温度センサ5とを備える。
【0022】
また、この測定装置1は、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間を気密にシールするシール部材6と、そのシール状態を維持しつつセンサ保護管4を軸方向に出退自在に駆動する駆動装置7とを備える。
更に、この測定装置1は、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間の基端側開口を外部と気密に隔離する軸方向に伸縮自在なシール室8と、支持管3やシール室8の内部に高圧の不活性ガスを流通させるガス流通装置9(図1参照)とを備える。
【0023】
なお、本実施形態の測定装置1が装着される石炭ガス化炉は、石炭ガス化複合発電(IGCC: Integrated coal Gasification Combined Cycle)や、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel cell combined Cycle)等のプラント設備の構成要素であり、酸素又は空気を加圧供給して炉内で石炭を部分的に酸化させて、CO及びH2を主成分とする石炭ガスを発生させる。
この石炭ガス化炉で発生した石炭ガスは、後段のガス精製装置で不純物質が除去された後、ガスタービン等の燃料として供給され、複合発電が行われる。
【0024】
〔支持管、センサ保護管及び温度センサ〕
上記測定装置1の構成部材のうち、支持管3は、断面中空でかつ円形の管材よりなる。この支持管3は、炉壁2の測定孔2Aに同軸心状に連通するように、炉壁2の外面に片持ち状に取り付けられた炉壁管部3Aと、この炉壁管部3Aの端部に接続された接続管部3Bとから構成され、この各管部3A,3Bは接合フランジ12を管端部に一体に有している。
各管部3A,3Bは、互いの接合フランジ12,12同士を接合させてボルト締結することにより、内周面が軸方向で連続するように同軸心状に接合されている。
【0025】
センサ保護管4は、支持管3の内周径よりも小径の外周径を有し、かつ、その支持管3よりも長さが大きい断面中空でかつ円形の管材よりなり、管内部が温度センサ5の収容空間となっている。
このセンサ保護管4は、当該保護管4の大部分を占める本体部分13と、この本体部分13の先端側(図1の左側)に設けられたカバー筒体14と、本体部分13の基端側(図1の右側)に設けられた取付プラグ15とを備える。
【0026】
このうち、本体部分13は、ステンレス鋼よりも耐熱性の高い金属材料(例えば、50Co-30Cr-20Fe)よりなる。また、炉内に直接晒されるカバー筒体14は、石炭ガス化炉の雰囲気ガスに対して本体部分13よりも優れた耐腐食性を有する金属材料(例えば、純クロム)により構成されている。
なお、石炭ガス化炉のような、非常に高温(約1600°C)でかつ還元による腐食性の強いガス雰囲気に対して耐性実績のある材料としては、純クロムの他に、イリジウム及びセラミックスもある。従って、これらの材料でカバー筒体14を構成してもよい。
【0027】
もっとも、石炭ガス化炉内の高圧の雰囲気ガスに上記各材料を実際に晒し、その各材料の耐久性を調査した結果、イリジウムは1日以内に保護管4としての隔離機能を喪失し、セラミックスは1週間程度で隔離機能を喪失したが、純クロムの場合には、2週間以上に亘って隔離機能を維持した。
従って、石炭ガス化炉の雰囲気ガスに関しては、センサ保護管4の先端部を構成するカバー筒体14の材料としては、純クロムが最も好ましい。
【0028】
また、本体部分13については、必ずしもその全長に亘って耐熱性の高い金属材料で構成する必要はなく、例えば、測温時の温度が100〜1000°Cとなる炉壁2に近い部分だけを当該材料で構成し、測温時の温度が100°C以下となるその他の部分については、安価なSUS材(例えば、SUS316)を採用し、この各部分の軸端同士を接続して一体化することにしてもよい。
これにより、本体部分13の全体を耐熱性の高い金属材料で構成する場合に比べて、製作コストをより低減することができる。
【0029】
本実施形態のカバー筒体14は、セットスクリュー等よりなる螺合による連結部を基端部に有しており、その連結部を本体部分13の先端開口に同軸心状に螺合させることにより、本体部分13に対して着脱自在となっている。
このため、カバー筒体14が炉内の雰囲気ガスによって損傷し、センサ保護管4の先端部が隔離機能を喪失しても、カバー筒体14だけを交換すれば足り、本体部分13についてはその後も使用することができる。
【0030】
取付プラグ15は、本体部分13の基端開口を気密に閉塞するコンプレッションフィッティング等よりなり、この取付プラグ15には、温度センサ5の基端部が貫通状態で連結されている。
温度センサ5は、センサ保護管4の内部でほぼ全長に亘って延びる細長い熱電対よりなり、取付プラグ15の貫通部からカバー筒体14の先端近傍まで至っている。この温度センサ5の感温部分は、センサ保護管4の先端部を構成するカバー筒体14に対応する位置に配置されている。
【0031】
図4に示すように、本実施形態の温度センサ5は、一定間隔だけ離れた一対の平行な電熱素線16,16をシース管(金属被覆管)17の内部に収納したシース熱電対よりなり、シース管17の内部には無機絶縁材18が充填されている。
なお、シース熱電対の構成材料となるシース管17や電熱素線16についても、センサ保護管4の内部の測温時における軸方向の温度分布を考慮して、軸方向の所定範囲ごとに耐熱性能が異なる構成材料を採用し、これらの構成材料の軸端同士を接続して一体化することにしてもよい。
【0032】
また、温度センサ5の基端部は、取付プラグ15の貫通部分からセンサ保護管4の外部に露出しており、この露出部分に設けたカプラ19を介して石炭ガス化炉の燃焼制御部(図示せず)に接続されている。
この燃焼制御部は、温度センサ5が検出した電圧変化に基づいて炉内温度を算出し、この炉内温度が最適温度(約1600°C)に近づくように石炭ガス化炉での燃焼量を増加又は減少させて、炉内温度のフィードバック制御を実行する。
【0033】
〔シール部材及びシール室〕
図1及び図2に示すように、本実施形態のシール部材6は、軸方向に間隔をおいて配置された複数(図例では2つ)のシールリング6A,6Bにより構成されている。
この2つのシールリング6A,6Bは、例えば耐熱温度が150°C程度のフッ素ゴム製のゴムリングよりなり、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間を軸方向で複数の空間部分21A,21Bに分断している。
【0034】
なお、以下において、上記2つのシールリング6A,6Bのうち、炉に近い側(図1の左側)のシールリングを第1シールリング6Aといい、その次のシールリングを第2シールリング6Bという。
また、各シールリング6A,6Bの炉側に位置する2つの空間部分21A,21Bのうち、炉に近い方の空間部分を第1空間部分21Aといい、炉から遠い方の空間部分を第2空間部分21Bという。
【0035】
支持管3の接続管部3Bには、ガス供給口22が設けられ、この供給口22は第1空間部分21Aと連通している。
また、支持管3の接続管部3Bは、円筒状のガス流通管23によって気密に被覆されている。この流通管23は、ガス供給口22の基端側近傍から接続管部3Bの基端縁に至る軸方向範囲で当該接続管部3Bを被覆しており、吸気口24と排気口25とを炉側の端部に有する。接続管部3Bにおけるガス流通管23内の部分には、吸気孔26と排気孔27が設けられおり、この各孔26,27は第2空間部分21Bと連通している。
【0036】
図1〜図3に示すように、シール室8は、炉に近い方の円盤状の固定壁部29と、炉から遠い方の円盤状の可動壁部30と、この各壁部29,20に軸方向両端がそれぞれ取り付けられた軸方向に伸縮自在な伸縮筒体31とから構成されている。
固定壁部29は、後述する駆動装置7の架台36に固定されており、可動壁部30は、その下端部に駆動装置7のリニアスライダ39が取り付けられている。このため、リニアスライダ39が軸方向に移動すると、固定壁部29に対する可動壁部30の軸方向の相対距離が変化し、これによって伸縮筒体31が軸方向に伸縮する。
【0037】
ガス流通管23は、固定壁部29の中央部を気密に貫通しており、この貫通部より基端側の部分がシール室8の内部に収容されている。
従って、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間の基端側開口、すなわち、当該隙間における第2シールリング6Bから見て反炉側(図1の右側)に開口する空間部分が、シール室8によって外部と気密に隔離されている。
センサ保護管4の基端部は、可動壁部30の中央部を貫通してシール室8の外部に突出しており、この突出端部に取付フランジ32が固定されている。
【0038】
この取付フランジ32は、可動壁部30の表面側にボルト締結されており、これによって可動壁部30の中央部が取付フランジ32によって気密に閉塞されている。従って、リニアスライダ39によって可動壁部30が軸方向に移動すると、それに伴ってセンサ保護管4も軸方向の同じ向きに移動する。
なお、シール室8における固定壁部29の炉側の面には、吸気口33と排気口34が形成されている。
【0039】
本実施形態の伸縮筒体31は、ベローズ構造の中空筒体よりなり、このベローズ筒体は、例えば、耐熱性のあるゴム材や薄肉のステンレス鋼材により構成されている。
もっとも、伸縮筒体31は、必ずしもベローズ構造のものに限定されるものではなく、外筒体の内部に内筒体を気密でかつ軸方向摺動自在に挿通した内外二重筒構造(図示せず)のものであってもよい。
【0040】
〔駆動装置〕
図1及び図2に示すように、駆動装置(駆動機構)7は、床面に載置された架台36と、この架台36に設置されたモータ37と、このモータ37によって回転駆動される出力軸38と、この出力軸38に沿って移動するリニアスライダ39とを備えている。
上記出力軸38は、支持管3及びセンサ保護管4の軸心と平行に延びるボールねじよりなる。このボールねじ38は、リニアスライダ39の基端側壁部に形成されたねじ孔に螺合している。
【0041】
従って、モータ37を作動させて出力軸38をその軸心回りに正転させると、リニアスライダ39が炉側(図1の左側)に移動し、出力軸38を逆転させると、リニアスライダ39が反炉側(図1の右側)に移動するようになっている。
【0042】
〔ガス流通装置〕
図1に示すように、ガス流通装置(ガス流通機構)9は、支持管3内の各空間部分21A,21Bとシール室8に不活性ガス(本実施形態では窒素ガス)を供給する供給管路系41と、供給した不活性ガスを空間部分21Bやシール室8から外部に排出する排出管路系42とを備えている。
このうち、供給管路系41は、上流端が不活性ガスのコンプレッサ43に接続されており、下流側において三方に分岐している。この三方に分岐する各分岐管の下流端は、ガス供給口22、吸気口24及び吸気口33にそれぞれ接続されている。
【0043】
また、排出管路系42は、下流端が不活性ガスのドレン室44に接続されており、上流側において二手に分岐している。この二手に分岐する各分岐管の上流端は、排気口25及び排気口34にそれぞれ接続されている。
従って、コンプレッサ43から吐出する不活性ガスは、供給管路系41を通じて、支持管3のガス供給口22、ガス流通管23の吸気口24及びシール室8の吸気口33にそれぞれ供給される。
【0044】
そして、支持管3内の第1空間部分21Aには排気口がないので、ガス供給口22から供給された不活性ガスは、第1空間部分21Aの内部を軸方向先端側に流れ、当該空間部分21Aの先端側開口から測定孔2Aを経由して炉内に流れ込む。
一方、ガス流通管23の吸気口24から供給された不活性ガスは、ガス流通管23の内部を通って吸気孔26に入り込み、第2空間部分21Bの内部に流通する。また、第2空間部21Bの内部に流通した不活性ガスは、排気孔27からガス流通管23の内部に排出され、排気口25を通って排出管路系42に流入する。
【0045】
また、シール室8の吸気口33から供給された不活性ガスは、シール室8の内部に流通する。シール室8の内部に流通した不活性ガスは、当該シール室8の排気口34に至り、この排気口34から排出管路系42に流入する。
【0046】
本実施形態のガス流通装置9は、不活性ガスの供給圧を炉内圧力よりも高めに設定する圧力制御部45を備えている。
この圧力制御部45は、各管路系41,42に設けた制御弁46,47と、各制御弁46,47の開度を制御する差圧計48とからなる。差圧計48は、炉内に通じる第1計測管49と排出管路系42に通じる第2計測管50とを有し、この計測管49,50で検出された装置内圧力(シール室8の圧力)P2と炉内圧力P1との差圧ΔP(=P1−P2)に基づいて、各制御弁46,47の開度を調整する。
【0047】
具体的には、差圧計48は、上記差圧ΔPが所定の設定値(例えば、100kPa)以上になった場合には、供給管路系41の制御弁46の開度を下げかつ排出管路系42の制御弁47の開度を上げることにより、差圧ΔPを減少させて設定値に近づける。
逆に、差圧計48は、上記差圧ΔPが設定値未満になった場合には、供給管路系41の制御弁46の開度を上げかつ排出管路系42の制御弁47の開度を下げることにより、差圧ΔPを増加させて設定値に近づける。
【0048】
このように、圧力制御部45は、装置内圧力P2と炉内圧力P1との差圧ΔPが常に所定の設定値を保つように、各制御弁46,47の開度を調整する圧力制御を行う。
このため、供給管路系41から供給される不活性ガスは、常に、炉内圧力P1よりも設定値分だけ若干高圧となっており、これにより、第1空間部分21Aに流入した不活性ガスが確実に炉内に流れ込むようになっている。
【0049】
〔炉内温度の測定方法〕
次に、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態の測定装置1を用いて行う炉内温度の測定方法を説明する。
まず、本実施形態では、センサ保護管4の軸方向位置に関係なく、予めガス流通装置9を作動させている。このため、支持管3内の各空間部分21A,21Bとシール室8の内部圧力P2は炉内圧力P1よりも予め高圧に保持されており、これによって炉内の雰囲気ガスを気密にシールするシール状態に保持されている。
【0050】
そして、炉内温度の測定が必要でない時間帯は、カバー筒体14の全体が炉壁2の測定孔2Aの内部に収容される待機位置(図1の位置)となるように、センサ保護管4の軸方向位置がセットされている。
次に、炉内温度の測定が必要なタイミングになると、駆動装置7によってセンサ保護管4を軸方向に沿って炉側に移動させ、カバー筒体14を測定孔2Aから炉内に突出する測温位置(図2の位置)にセットし、この測温位置において炉内温度の測定を開始する。
【0051】
なお、前記した燃焼制御部は、カバー筒体14が炉内に突出する測温位置で温度センサ5が検出した電圧変化から炉内温度を算出し、この算出した炉内温度に基づいて石炭ガス化炉の燃焼量をフィードバック制御する。
その後、炉内温度の測定が完了すると、駆動装置7によってセンサ保護管4を軸方向に沿って反炉側に移動させて元の待機位置に戻し、次の温度測定のタイミングになるまでセンサ保護管4の軸方向位置を当該待機位置に保持する。
【0052】
ところで、上記の測定方法において、センサ保護管4を測温位置に突出させる場合や待機位置に没入させる場合において、センサ保護管4の軸方向の移動速度が速すぎてその突出や没入が瞬時に行われると、カバー筒体14に急激な温度変化が生じて当該カバー筒体14が熱衝撃によって損傷する恐れがある。
そこで、上記の測定方法を行う場合には、駆動装置7によるセンサ保護管4の移動速度を、カバー筒体14が熱衝撃によって損傷しない程度の低速度(例えば純クロムの場合には、1〜200mm/秒)に設定することが好ましい。
【0053】
また、図1では、待機位置において、カバー筒体14の先端縁が炉壁2の内面に一致しているが、カバー筒体14の先端縁が炉壁2の内面よりも反炉側に没入する位置(例えば支持管3の内部にまで没入する位置)を待機位置に設定してもよい。
この場合、カバー筒体14の先端縁が炉壁2の内面に到達するまでの軸方向範囲では、センサ保護管4の移動速度を比較的高速に設定し、カバー筒体14が炉壁2の内面から突出する軸方向範囲では、センサ保護管4の移動速度を上記の低速度に設定することが好ましい。このようにセンサ保護管4の移動速度を切り替えるようにすれば、カバー筒体14の待機位置を反炉側にずらすこと伴う移動時間の増加を抑制することができる。
【0054】
〔本実施形態の測定装置による効果〕
以上の通り、本実施形態の測定装置1によれば、シール部材6によるシール状態を維持しつつ、センサ保護管4のカバー筒体14を測定孔2Aから炉内に向けて軸方向に出退自在に駆動するようにしたので、炉内の雰囲気ガスを外部に漏洩させないで、センサ保護管4のカバー筒体14を炉内に出退させることができる。
このため、必要な時だけセンサ保護管4のカバー筒体14を炉内に突出させ、それ以外の時間帯はカバー筒体14を炉外の待機位置に没入させる炉内温度の測定方法が可能となり、この測定方法を採用することによってセンサ保護管4を長寿命化できる。
【0055】
また、本実施形態の測定装置1によれば、カバー筒体14が本体部分13よりも耐腐食性が高いので、測温時に炉内に晒されるセンサ保護管4の先端部の耐久性が向上するとともに、仮にカバー筒体14が損傷しても、これを本体部分13から取り外して交換すれば足りるので、センサ保護管4を全体的に交換する場合に比べて、測定装置1のメンテナンスコストを低減できるという利点がある。
【0056】
本実施形態の測定装置1によれば、第1及び第2シールリング6A,6Bを軸方向に間隔をおいて配置しているので、支持管3に対するセンサ保護管4の軸方向相対移動が拗れなくスムーズに行われる。
また、本実施形態の測定装置1によれば、ガス流通装置9が、炉内圧力P1より高圧の不活性ガスを第1空間部分21Aに供給して炉側に流通させるので、第1シールリング6Aが炉内の雰囲気ガスに直接晒されることがなく、第1シールリング6Aが早期に損傷することがない。
【0057】
更に、上記ガス流通装置9は、第2空間部分21Bにも炉内圧力P1より高圧の不活性ガスを流通させているので、第1シールリング6Aが損傷しても、次の第2シールリング6Bによって支持管3とセンサ保護管4との間のシール状態が維持される。従って、炉内からのガス漏洩をより確実に防止することができる。
なお、各空間部分21A,21Bを流通する不活性ガスには、支持管3やセンサ保護管4を空冷する機能もあり、この空冷により、各シールリング6A,6Bの熱損傷を有効に防止することができる。
【0058】
また、本実施形態の測定装置1では、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間の基端側開口を外部と気密に隔離する伸縮自在なシール室8が設けられ、ガス流通装置9によってそのシール室8にも炉内圧力P1より高圧の不活性ガスを流通させているので、当該隙間の基端側開口からのガス漏洩をほぼ完全に防止することができる。
【0059】
本実施形態の測定装置1では、支持管3を炉側の炉壁管部3Aと反炉側の接続管部3Bとに分割し、接合フランジ12を介して当該両管部3A,3Bを互いに同軸心状に接続する構造を採用している。
このため、接続管部3Bを炉壁管部3Aから分離すると、測定装置1を全体的に炉壁管部3Aから取り外すことができるので、炉壁2に対する測定装置1の脱着が容易である。
【0060】
また、本実施形態の測定装置1によれば、センサ保護管4の貫通部に設けた取付フランジ32によって、シール室8の可動壁部30の貫通孔を気密に閉塞する構造としたので、取付フランジ32を可動壁部30から取り外すことにより、センサ保護管4だけを反炉側に抜き出すことができる。
このため、劣化したカバー筒体14の取り換え作業等の、センサ保護管4に対するメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0061】
〔第1の変形例〕
図5は、上記実施形態の第1の変形例に係る炉内温度測定装置1の側面断面図である。
この変形例の測定装置1が上記実施形態の測定装置1(図1及び図2)と異なるところは、ガス流通装置9を残しつつ、シール室8が省略されている点にある。
シール室8が省略されているので、ガス流通装置9の供給管路系41から、支持管3内の各空間部分21A,21Bのみに不活性ガスが供給され、空間部分21Bに流入した不活性ガスは排出管路系42にて排出されるようになっている。
【0062】
この第1の変形例の測定装置1においても、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間に複数(図例では2つ)のシールリング6A,6Bが軸方向に間隔をおいて配置されている点は、上述の実施形態と同様である。従って、支持管3に対するセンサ保護管4の軸方向相対移動が拗れなくスムーズに行われるという点では、上記実施形態の測定装置1と同様の作用効果を奏する。
なお、第1の変形例の測定装置1の他の構成については、上記実施形態の測定装置1と同様であるから、図5に図1と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
〔第2の変形例〕
図6は、上記実施形態の第2の変形例に係る炉内温度測定装置1の側面断面図である。
この変形例の測定装置1が上記実施形態の測定装置1(図1及び図2)と異なるところは、シール室8及びガス流通装置9の双方が省略されている点にある。
【0064】
この第2の変形例の測定装置1においても、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間に複数(図例では2つ)のシールリング6A,6Bが軸方向に間隔をおいて配置されている点は、上述の実施形態と同様である。従って、支持管3に対するセンサ保護管4の軸方向相対移動が拗れなくスムーズに行われるという点では、上記実施形態の測定装置1と同様の作用効果を奏する。
なお、この変形例の測定装置1の他の構成については、上記実施形態の測定装置1と同様であるから、図6に図1と同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0065】
〔第3の変形例〕
図7は、シールリング6A,6Bの変形例を示すセンサ保護管4の部分拡大図である。
上述の実施形態(第1及び第2変形例を含む。)では、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間を気密にシールする複数のシールリング6A,6Bが、1本のゴムリングで構成されていたが、図6に示すように、軸方向に近接する複数本のゴムリング6x,6y,6zにより、1箇所のシール部分を構成することにしてもよい。
【0066】
すなわち、図6の例では、センサ保護管4の外周面に、軸方向に若干離れた3連の周溝が形成されており、この3つの各周溝に、それぞれゴムリング6x,6y,6zが嵌め込まれている。
図6のように、空間部分21A,21Bを区画するシールリング6A,6Bを2連以上のゴムリング6x,6y,6zで構成すれば、シールリング6A,6Bを1本のゴムリングで構成する上述の実施形態の場合に比べて、より確実に空間部分21A,21B同士の気密性を高めることができる。
【0067】
〔第4の変形例〕
上述の実施形態(第1〜第3変形例を含む。)では、シールリング6A,6Bとして、フッ素ゴム製のゴムリングを採用しているが、その他にも、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等よりなるゴムリングを採用することもできる。
これらの材質の使用温度範囲は、それぞれ次のようになっている。
フッ素ゴム : −50〜300°C
シリコーンゴム :−120〜280°C
クロロプレンゴム: −60〜120°C
ニトリルゴム : −50〜120°C
【0068】
上記の使用温度範囲を比較すると、フッ素ゴムの上限(=300°C)が最も高いことから、本発明の炉内温度測定装置1に最も適しているが、使用するゴムリングの材質に応じて、複数のシールリング6A,6Bのそれぞれの軸方向位置を決定すればよい。
例えば、クロロプレンゴムやニトリルゴムの場合は、使用温度範囲の上限が120°Cであるから、これらの材質を採用する場合には、測定装置1の稼働中でもその上限温度以下となるような、センサ保護管4の軸方向位置にシールリング6A,6Bを設けることにすればよい。
【0069】
このように、シールリング6A,6Bに採用するエラストマー材料の使用温度範囲の上限値以下となるセンサ保護管4の軸方向位置に、シールリング6A,6Bを設けることにすれば、採用したエラストマー材料が測定装置1の稼働中にその使用温度範囲を超えることがなく、シールリング6A,6Bが上限値以上の高温に晒されて早期に損傷するのを未然に防止できるようになる。
【0070】
〔その他の変形例〕
上記実施形態は例示であって本発明の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、石炭ガス化炉に本発明の測定装置1を適用した場合を例示したが、本発明の測定装置1は、内部でガスが発生する炉に対して汎用的に適用でき、石炭以外の燃料のガス化炉や、その燃料を単に燃焼させる燃焼炉に使用してもよい。
【0071】
また、上記実施形態において、支持管3とセンサ保護管4との間に介在させるシールリング6A,6Bは、図例の2つに限定されるものではなく、1つだけ設けることにしてもよいし、3つ以上設けることにしてもよい。
更に、支持管3とセンサ保護管4との間の隙間のシール部材6としては、上記シールリング6A,6Bだけでなく、例えば特許文献1(特開2005−43057号公報)に示すような、その隙間に充填したグラスウール等の耐火物であってもよい。
【0072】
〔他の開示〕
本発明の炉内温度測定装置に関する権利範囲は特許請求の範囲によって規定されているが、その装置による炉内温度測定方法を定義すると、次の通りである。
【0073】
(測定方法1)
炉内に通じる測定孔に接続された支持管内に、温度センサが収容されたセンサ保護管を挿通し、このセンサ保護管の先端部を前記測定孔から炉内に突出させて炉内温度を測定する方法であって、
前記支持管と前記センサ保護管との間の隙間を気密にシールした状態で、前記センサ保護管の先端部を炉外の待機位置で待機させる第1のステップと、
前記隙間のシール状態を維持しつつ、前記センサ保護管を軸方向に沿って炉側に移動させてその先端部を炉内に突出させ、炉内温度を測定する第2のステップと、
前記隙間のシール状態を維持しつつ、温度測定が完了した前記センサ保護管を軸方向に沿って反炉側に移動させて元の前記待機位置に戻す第3のステップと、を含むことを特徴とする炉内温度測定方法。
【0074】
測定方法1によれば、上記隙間のシール状態を維持しつつ、センサ保護管を軸方向に沿って炉側に移動させてその先端部を炉内に突出させ、炉内温度を測定するとともに(第2のステップ)、その隙間のシール状態を維持しつつ、温度測定が完了したセンサ保護管を軸方向に沿って反炉側に移動させて元の待機位置に戻す(第3のステップ)ようにしたので、センサ保護管の先端部を常に炉内に露出させて行う従来の測定方法に比べて、センサ保護管を長寿命化することができる。
【0075】
(測定方法2)
測定方法1において、前記第2及び第3のステップにおける前記センサ保護管の移動速度は、当該保護管の先端部に熱衝撃による損傷が生じない程度の低速度に設定されていることが好ましい。
その理由は、センサ保護管の移動速度を上記程度の低速度に設定すれば、センサ保護管の先端部を炉内に出退させることに伴う、当該保護管の不測の損傷を未然に防止できるからである。
【0076】
(測定方法3)
測定方法1又は2の各ステップにおいて、最も炉側のシールリングの炉側に位置する空間部分に炉内圧力よりも高圧の不活性ガスを流通させることが好ましい。
このようにすれば、空間部分を流通する不活性ガスが当該空間部分から測定孔を通って炉内に入り込むので、最も炉側のシールリングが炉内のガス雰囲気に直接晒されることによる、当該シールリングの損傷を未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 炉内温度測定装置
2 炉壁
2A 測定孔
3 支持管
4 センサ保護管
5 温度センサ
6 シール部材
6A 第1シールリング
6B 第2シールリング
7 駆動装置(駆動機構)
8 シール室
9 ガス流通装置(ガス流通機構)
13 本体部分
14 カバー筒体
21A 第1空間部分
21B 第2空間部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部でガスが発生する炉の炉内温度測定装置であって、
炉内に通じる測定孔に連通する支持管と、
先端を炉側に向けて前記支持管内に軸方向移動自在に挿通されたセンサ保護管と、
前記支持管と前記センサ保護管との間の隙間を気密にシールする、当該隙間を軸方向で複数の空間部分に分断するように間隔をおいて配置された複数のシールリングと、
感温部分が前記センサ保護管の先端部に対応するように、当該保護管の内部に収容された温度センサと、
前記シールリングによるシール状態を維持しつつ、前記センサ保護管の先端部を前記測定孔から炉内に向けて軸方向に出退自在に駆動する駆動機構と、
を備えていることを特徴とする炉内温度測定装置。
【請求項2】
前記各シールリングの炉側に位置する前記各空間部分に、炉内圧力よりも高圧の不活性ガスをそれぞれ流通させるガス流通機構を、更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の炉内温度測定装置。
【請求項3】
前記センサ保護管の先端部は、当該保護管のその他の本体部分よりも高い耐腐食性を有し、その本体部分に対して同軸心状でかつ着脱自在に取り付け可能なカバー筒体よりなる請求項1又は2に記載の炉内温度測定装置。
【請求項4】
前記隙間の基端側開口を外部と気密に隔離するシール室を更に備え、
前記ガス流通機構は、前記シール室にも前記不活性ガスを流通させる流通路を有する請求項2又は3に記載の炉内温度測定装置。
【請求項5】
前記シールリングは、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム或いはニトリルゴムのうちのいずれかよりなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の炉内温度測定装置。
【請求項6】
前記シールリングに採用するエラストマー材料の使用温度範囲の上限値以下となる前記センサ保護管の軸方向位置に、前記シールリングが設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の炉内温度測定装置。
【請求項7】
前記シールリングは、軸方向に近接する複数本のゴムリングよりなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の炉内温度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−73234(P2012−73234A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176144(P2011−176144)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000217686)電源開発株式会社 (207)
【出願人】(000140454)株式会社岡崎製作所 (34)
【Fターム(参考)】