説明

炉外核計装装置

【課題】計測できる中性子検出器電流の幅を精度よく拡大できる炉外核計装装置を得る。
【解決手段】中性子検出器で計測された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して運転時の中性子束の状態を出力するために、前記検出器信号処理回路は、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路及び、ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子炉容器外の中性子束を監視する炉外核計装装置に関し、特に炉外核計装装置を構成している炉外核計装盤内に設置される検出器信号処理回路(I/Eアンプ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炉外核計装装置は、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)の原子炉容器外の中性子束を連続監視することにより、起動時および運転時の原子炉の状態を監視して、中性子束の状態に異常が検出された場合は、警報信号及び原子炉を緊急停止させる信号を出力することで、原子炉の保護を行うものである。炉外核計装装置は、主に中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、変換された電流値を演算処理して前記信号に変換する炉外核計装盤から構成されている。
【0003】
一般に、炉外核計装装置の中性子計測範囲は、原子炉の停止状態から出力運転に至るまでの中性子束のレベルに応じて、中性子源領域、中間領域、及び出力領域(運転領域)に分けられる。中性子検出器および炉外核計装盤の構造、機能は領域ごとに異なり、出力領域の演算処理には検出器信号処理回路(I/Eアンプ、つまり、電流/電圧アンプ)が用いられる。この発明は、この出力領域における検出器信号処理回路に係わるものである。
【0004】
図5は出力領域における炉外核計装装置の一般的な構成を示す構成図である。炉外核計装装置14は、中性子検出器3と炉外核計装盤1とで構成されている。中性子検出器3は、原子炉格納容器15の内部に設けられる原子炉容器16の外部の周囲に複数体設置する。中性子検出器3は、原子炉容器16から漏洩してくる中性子束を計測して電流値に変換する。この電流値を炉外核計装盤1の検出器信号処理回路8に入力して、炉出力レベルに応じた出力電圧に変換する。そして、検出器信号処理回路8の出力電圧を信号処理カード11に入力する。信号処理カード11では、A/D(アナログ/デジタル)変換、工学値変換を行い、各種信号を操作パネル12や原子炉保護系システム2内の入出力カード13に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−8375号公報(図1、図2、段落[0015])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のPWRの原子炉容器から漏洩する中性子は比較的多く、原子炉運転中の出力領域で対応する炉外核計装盤1内の検出器信号処理回路8は、中性子検出器電流値が(例えば、100μA〜3mAで)比較的大きくなる。この従来のPWRから改良された改良型加圧水型原子炉(APWR:Advanced PWR)では、原子炉容器内に中性子を反射させる反射体の性能向上により原子炉容器外に漏洩する中性子が少なくなり、従来の中性子検出器電流値より微小な値(例えば、1μA〜30μA)を計測する必要がある。
【0007】
このため、従来の中性子検出電流処理範囲に対応した検出器信号処理回路8で中性子検出器電流を増幅しても、信号処理カード以降の演算処理が可能であるような、炉出力100%レベルに対応した出力電圧レベル(例えば、増幅して3.3V)を得ることができないという問題点があった。また、従来のPWRとAPWRの両者に対応した炉外核計装の中性子検出器電流処理範囲(上記例では1μA〜3mA)に対応した出力電圧レベルを満たすことができる高ゲインを実現する回路構成が必要であった。
【0008】
また、高ゲインのI/Eアンプによって微小電流を増幅して、高いゲインを実現し、かつ計測値の精度を保つことができる検出器信号処理回路(I/Eアンプ)を得るための回路構成が必要になる。なお、可変利得増幅器としては、特許文献1に示す文献がある。
【0009】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、中性子検出器電流が微小な場合でも、炉出力レベルに対応した電圧レベルを出力でき、正確な中性子束の状態を得ることができると共に、高い精度の計測値を得ることができる炉外核計装装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係わる炉外核計装装置は、原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、前記検出器信号処理回路は、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路及び、ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部とを備えるものである。
【0011】
また、この発明に係わる炉外核計装装置は、原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、前記検出器信号処理回路は、ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路を持つ演算増幅器を有し、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に増幅して変換する電流/電圧変換部と、ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で増幅して変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部とを備えるものである。
【0012】
さらに、この発明に係わる炉外核計装装置は、原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、前記検出器信号処理回路は、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、直列接続された2つのD/Aコンバータを持ち、一方の前記D/Aコンバータで前記中性子検出器で変換された電流値レベルに対応してゲインを選択し、他方の前記D/Aコンバータでゲインを調整する演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の炉外核計装装置によれば、中性子検出器電流が微小な場合でも、演算処理が可能な電圧レベルを出力でき、精度良く中性子束の状態を得ることができると共に、高い精度の計測値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】検出器信号処理回路を示す基本的回路構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1における検出器信号処理回路を示す回路構成図である。
【図3】実施の形態2における検出器信号処理回路を示す回路構成図である。
【図4】実施の形態3における検出器信号処理回路を示す回路構成図である。
【図5】出力領域における炉外核計装装置の一般的な構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図5は、出力領域における炉外核計装装置の一般的な構成を示す構成図である。図5において、原子炉格納容器15内に設置される原子炉容器16の外部の周辺に炉外核計装装置14の中性子検出器3が設けられる。中性子検出器3は、原子炉容器16の上部から漏洩する中性子を検出し電流値に変換する上部検出器4と、この原子炉容器16の下部から漏洩する中性子を検出し電流値に変換する下部検出器5を一体にしたものである。上部検出器4で変換された電流値は上部検出器ケーブル6を経由して、通常原子炉格納容器15の外部に設置される炉外核計装装置14の炉外核計装盤1内にある検出器信号処理回路8に入力される。下部検出器5で変換された電流値も同様に、下部検出器ケーブル7を経由して検出器信号処理回路8に入力される。
【0016】
この検出器信号処理回路8は、上部検出器4に対応した回路と下部検出器5に対応した回路がそれぞれあり、この検出器信号処理回路8により電流値が上部検出器用出力電圧9、下部検出器用出力電圧10に変換される。この両出力電圧9、10を炉外核計装盤1内の信号処理カード11に入力する。信号処理回路11では、A/D(アナログ/デジタル)変換、工学値変換を行い、各種信号を操作パネル12や原子炉保護系システム2内の入出力カード13に出力する。
【0017】
図1は、上部検出器3用、あるいは下部検出器4用の検出器信号処理回路8を示す基本的回路構成図である。検出器信号処理回路8は、上部検出器3又は下部検出器4で検出された中性子束を変換した電流値Iuを電圧値V1に変換する電流/電圧(I/E)変換部21、この電圧値V1を第1段階として増幅し電圧値V2とする可変ゲイン増幅部22、一度増幅された電圧値V2を第2段階として増幅し出力電圧V3としてこの検出器信号処理回路8から出力する固定ゲイン増幅部23、上記電流/電圧変換部21で変換した電圧値V1を表示する検出器電流指示計出力部24、上記可変ゲイン増幅部22の増幅幅を調整する調整制御手段25から構成される。なお、図1および上記では可変ゲイン増幅部22の後段に固定ゲイン増幅部23を配しているが、固定ゲイン増幅部23の後段に可変ゲイン増幅部22を配することも可能である。
【0018】
検出器信号処理回路8の機能に関しては、まず、中性子検出器で計測された電流Iuが電流/電圧変換部21で演算増幅器を用いた反転増幅器31に入力され、電流Iuに応じた電圧値V1が出力される。32は抵抗である。図1では電流/電圧変換部21及び後述する固定ゲイン増幅部23のゲインは一定である。次に、電圧値V1により検出器電流指示計出力部24で検出器電流が表示されると共に、電圧値V1は可変ゲイン増幅部22の演算増幅器である反転増幅器51に入力される。
【0019】
可変ゲイン増幅部22では、あらかじめ出力電圧V3を炉出力に応じた電圧値に校正するため調整制御手段25によってD/Aコンバータ53の調整が行われており、それによって検出器信号処理回路8の出力電圧V3が決定される。すなわち、検出器電流Iuを電流/電圧変換部21の固定ゲイン増幅により変換した電圧値V1を出力表示する検出器電流指示計出力部24の値を基に、調整制御手段25によって可変ゲイン増幅部22の増幅幅を調整している。なお、この調整は中性子検出器3(図5)を設置した後に行われるものであり、炉出力、原子炉容器16(図5)からの中性子の漏洩量、設置した検出器の誤差やその設置場所などから生じる検出精度を吸収するものであり、他の手段(例えば炉内核計装や炉内温度計装など)から得られる炉出力と検出器電流指示計出力部24との関係から作業員が調整制御手段25により調整するものである。また、この作業員の作業を自動化することについては原子力プラント全体の計装システムの考え方により採否決定されるものであり、本炉外核計装装置に関しては採用しても特段問題はない。自動化する場合は、検出器電流指示計出力部24の電圧値の信号と、原子炉保護系システム2(図5、あるいは図示していない他の原子力プラントの計装システム)が有している炉出力の信号を調整制御手段25に入力し、これらの値から増幅幅を算出してD/Aコンバータ53を調整するようにすればよい。
【0020】
D/Aコンバータ53は調整制御手段25からのデジタル電気信号をアナログ電気信号(抵抗値)に変換する電子回路(例えば、12ビット回路)で、1/10000程度の細かさの抵抗値に変換し得る。そして、可変ゲイン増幅部22の出力の電圧値V2は固定ゲイン増幅部23の演算増幅器である非反転増幅器71により増幅され、出力信号の出力電圧V3が信号処理カード11(図5)に入力される。ここで出力信号の出力電圧V3は炉出力と対応した電圧値(例えば、炉出力100%に対応した電圧値3.3V)であり、信号処理カード11以降の演算処理には炉出力に対応した、ある一定のレベルの電圧値が要求されるため、検出器電流Iuは検出器信号処理回路8によって電圧値に変換され増幅されている。なお、54は固定抵抗、52、72〜75は抵抗である。
【0021】
図2はこの発明の実施の形態1における検出器信号処理回路(I/Eアンプ)を示す回路構成図である。図1の検出器信号処理回路と異なる部分を主に説明する。なお、各図中で同一符号は同一又は相当部分を示す。図2の回路構成では、可変ゲイン増幅部22の固定抵抗54(図1)を、ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路61で構成する。電流レベル対応用抵抗回路61は、抵抗とアナログスイッチを直列に接続した直列体を複数個並列に接続した並列体で構成されている。62〜64は抵抗、65〜67はアナログスイッチである。それにより、アナログスイッチを選択して閉じて、低電流レベル対応用の高抵抗回路にすることができる。なお、電流レベル対応用抵抗回路61は可変抵抗器でも構成できる。
【0022】
電流レベル対応用抵抗回路61の抵抗を選択することによって、反転増幅器51のゲインを選択できる。抵抗62=R1、----、抵抗63=R2、抵抗64=R3とし、R1、----、R2、R3=1/100R、----、10R、100Rのように抵抗値を1桁単位で段階的に変えて、選択調整制御手段26により所望する抵抗をアナログスイッチのオン、オフにより選択するよう制御することで、固定抵抗時に比べて可変ゲイン増幅部22のゲインの幅を広げることができる。中性子検出器3で計測された電流Iuが小さい場合には、大きな抵抗値を選択するようにする。
【0023】
可変ゲイン増幅部22のゲインは、D/Aコンバータ53の抵抗値を選択調整制御手段26によるデジタル電気信号で調整して可変できるが、電流レベル対応用抵抗回路61を固定抵抗として、D/Aコンバータ53だけで抵抗値を調整しようとすると、電流入力範囲の下限が、例えば1μAまで下る場合、D/Aコンバータ53におけるゲイン設定用カウント値(デジタル電気信号)当たりの電圧変化幅が大きくなり、精度が悪化する。そのため、図2では、ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路61とゲインを調整するD/Aコンバータ53との二段直列構成として、電流レベル対応用抵抗回路61で大きくゲイン選択して、D/Aコンバータ53で細かくゲイン調整することにより、精度の高いゲイン調整ができる。
【0024】
次に実施の形態1の可変ゲイン増幅部22の選択調整制御手段26による電流レベル対応用抵抗回路61の選択とD/Aコンバータ53の調整について説明する。炉出力100%レベルに対応した中性子検出器電流Iuを電流/電圧変換部21に入力すると、反転増幅器31によって電圧値V1に変換されて出力される。次に、検出器電流指示計出力部24で検出器電流が表示されると共に、可変ゲイン増幅部22の反転増幅器51に電圧値V1が入力される。このとき、可変ゲイン増幅部22の反転増幅器51の電流レベル対応用抵抗回路61における抵抗値を、電流レベル(検出器電流指示計出力部24で表示される検出器電流)により選択的に切り替えると共に、D/Aコンバータ53の抵抗値を調整して、可変ゲイン増幅部22のゲインを変化させることで、検出器信号処理回路の出力電圧V3を要求電圧レベル(例えば、V3=3.3V)へ合わせ込むことができる。
【0025】
つまり、計測された電流が微小で、検出器信号処理回路の出力電圧V3が要求電圧レベルに達しない場合は、アナログスイッチ65〜67のオン、オフで電流レベル対応用抵抗回路61の抵抗62〜64を選択することで抵抗値を切り替えると共に、さらに、D/Aコンバータ53の抵抗値を調整して、可変ゲイン増幅部22のゲインを変化させ、検出器信号処理回路8の出力電圧V3を要求電圧レベルへ合わせ込むことができる。また、D/Aコンバータ53を調整することにより、D/Aコンバータ53の抵抗値、電流レベル対応用抵抗回路61で選択された抵抗値、及びアナログスイッチのオン抵抗値を含めた抵抗値を微調整することができる。そのため、選択調整制御により可変ゲイン増幅部22の持つゲインの幅を従来に比べて大きくかつ精度よく変化させることができるため、結果として計測できる中性子検出器電流の幅が拡大することができる。
【0026】
前述でゲインが選択調整された可変ゲイン増幅部22を有する検出器信号処理回路8を用いた炉外核計装装置について説明する。原子炉の運転時における中性子検出器電流Iuが電流/電圧変換部21に入力されると、反転増幅器31によって電圧値V1として出力される。次に、検出器電流指示計出力部24で検出器電流が表示されると共に、可変ゲイン増幅部22の反転増幅器51に電圧値V1が入力される。その電圧値V1は、ゲインが選択調整制御された可変ゲイン増幅部22で増幅されて、電圧値V2を得、固定ゲイン増幅部23で増幅されて出力電圧V3を得る。炉出力が100%のとき、出力電圧V3が先に設定した要求電圧レベルであれば、原子炉は正常に動作しているが、出力電圧V3が設定した要求電圧レベルを超えて異常が検出された場合には、警報信号及び原子炉を緊急停止させる信号が出力される。
【0027】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2における検出器信号処理回路(I/Eアンプ)8を示す回路構成図である。実施の形態1では、可変ゲイン増幅部22に抵抗とアナログスイッチからなる電流レベル対応用抵抗回路61を追加して切り替え制御をする場合について述べたが、実施の形態2では図3に示すように、図1の基本的回路構成に対して、電流/電圧変換部21に抵抗とアナログスイッチからなる電流レベル対応用抵抗回路41を追加する。なお、42〜44は抵抗、45〜47はアナログスイッチである。電流レベル対応用抵抗回路41における抵抗値を、電圧値V1レベルに基づく検出器電流指示計出力部の表示により選択調整制御手段27で選択的に切り替える。
【0028】
つまり、計測された電流が微小で、検出器信号処理回路の出力電圧V3が要求電圧レベルに達しない場合は、選択調整制御手段27でアナログスイッチ45〜47のオン、オフを制御して抵抗値を選択して、電流/電圧変換部21のゲインを変化させ、さらに、可変ゲイン増幅部22にあるD/Aコンバータ53の抵抗値を選択調整制御装置27で細かく調整して、可変ゲイン増幅部22のゲインを変化させ、総合して検出器信号処理回路8の出力電圧V3を要求電圧レベルへ精度よく合わせ込むことができる。そのため、選択調整制御により検出器信号処理回路のゲインの幅を従来に比べて大きくかつ精度よく変化させることができるため、結果として計測できる中性子検出器電流の幅が拡大することができる。
【0029】
実施の形態3.
図4は実施の形態3における検出器信号処理回路(I/Eアンフ゜)8を示す回路構成図である。図4に示すように、図1に対して、可変ゲイン増幅部22のD/Aコンバータが二段構成となるように、D/Aコンバータ55(DAC1)、56(DAC2)を2つ直列に接続した。
【0030】
一方のD/Aコンバータ55は実施の形態1の電流レベル対応用抵抗回路61に相当して、選択調整制御手段28で抵抗値を大きく選択し、他方のD/Aコンバータ56は実施の形態1のD/Aコンバータ53に相当して、選択調整制御手段28で抵抗値を細かく調整する。そのため、選択調整制御により可変ゲイン増幅部のゲイン、つまり検出器信号処理回路のゲインの幅を従来に比べて大きくかつ精度よく変化させることができるため、結果として計測できる中性子検出器電流の幅を拡大させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 炉外核計装盤 3 中性子検出器
8 検出器信号処理回路 14 炉外核計装装置
16 原子炉容器 21 電流/電圧変換部
22 可変ゲイン増幅部 23 固定ゲイン増幅部
24 検出器電流指示計出力部 25 調整制御手段
26、27、28 選択調整制御手段 41 電流レベル対応用抵抗回路
42〜44 抵抗 45〜47 アナログスイッチ
53、55、56 D/Aコンバータ 61 電流レベル対応用抵抗回路
62〜64 抵抗 65〜67 アナログスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、
変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、
前記検出器信号処理回路は、
前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、
ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路及び、ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と
を備えることを特徴とする炉外核計装装置。
【請求項2】
前記検出器信号処理回路は、
前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、
前記電流/電圧変換部で変換された電圧値より前記中性子検出器で変換された電流値を指示する検出器電流指示計出力部と、
ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路及び、ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と、
前記検出器電流指示計出力部の指示する電流値を基に、前記電流レベル対応用抵抗回路のゲインを選択し、前記D/Aコンバータのゲインを調整する選択調整制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の炉外核計装装置。
【請求項3】
原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、
変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、
前記検出器信号処理回路は、
ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路を持つ演算増幅器を有し、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に増幅して変換する電流/電圧変換部と、
ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で増幅して変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と
を備えることを特徴とする炉外核計装装置。
【請求項4】
前記検出器信号処理回路は、
ゲインを選択できる電流レベル対応用抵抗回路を持つ演算増幅器を有し、前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に増幅して変換する電流/電圧変換部と、
前記電流/電圧変換部で増幅して変換された電圧値より前記中性子検出器で変換された電流値を指示する検出器電流指示計出力部と、
ゲインを調整するD/Aコンバータを持つ演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で増幅して演算された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と、
前記検出器電流指示計出力部の指示する電流値を基に、前記電流レベル対応用抵抗回路のゲインを選択し、前記D/Aコンバータのゲインを調整する選択調整制御手段と
を備えることを特徴とする請求項3記載の炉外核計装装置。
【請求項5】
ゲインを選択できる前記電流レベル対応用抵抗回路は、抵抗とアナログスイッチの直列体の複数個で構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の炉外核計装装置。
【請求項6】
原子炉容器の外の中性子束を計測して電流値に変換する中性子検出器と、
変換された電流値を検出器信号処理回路を用いて演算処理して原子炉の運転時の中性子束の状態を出力する炉外核計装盤とを備える炉外核計装装置において、
前記検出器信号処理回路は、
前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、
直列接続された2つのD/Aコンバータを持ち、一方の前記D/Aコンバータで前記中性子検出器で変換された電流値レベルに対応してゲインを選択し、他方の前記D/Aコンバータでゲインを調整する演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と
を備えることを特徴とする炉外核計装装置。
【請求項7】
前記検出器信号処理回路は、
前記中性子検出器で変換された電流値を、その電流値に応じた電圧値に変換する電流/電圧変換部と、
前記電流/電圧変換部で変換された電圧値より前記中性子検出器で変換された電流値を指示する検出器電流指示計出力部と、
直列接続された2つのD/Aコンバータを持ち、一方の前記D/Aコンバータで前記中性子検出器で変換された電流値レベルに対応してゲインを選択し、他方の前記D/Aコンバータでゲインを調整する演算増幅器を有し、前記電流/電圧変換部で変換された電圧値を増幅する可変ゲイン増幅部と、
前記検出器電流指示計出力部の指示する電流値を基に、前記2つのD/Aコンバータのゲインを選択、調整する選択調整制御手段と
を備えることを特徴とする請求項6記載の炉外核計装装置。
【請求項8】
前記可変ゲイン増幅部と直列に接続され、電圧値を増幅する固定ゲイン増幅部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の炉外核計装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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