炊飯器
【課題】より簡単に水位調節を行うことのできるタンクを備えた炊飯器を得る。
【解決手段】内釜2で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンク10を備えた炊飯器100であって、タンク10は、当該タンク10上面に形成された開口部から当該タンク10内に向かって高さ方向に延び、下端部13aが貫通した蒸気案内筒13を備え、蒸気案内筒13は、タンク10に規定量の冷却水が入っている状態で当該タンク10を逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位Rと、当該蒸気案内筒13の下端部13aとが同位置となるような高さに構成されている。
【解決手段】内釜2で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンク10を備えた炊飯器100であって、タンク10は、当該タンク10上面に形成された開口部から当該タンク10内に向かって高さ方向に延び、下端部13aが貫通した蒸気案内筒13を備え、蒸気案内筒13は、タンク10に規定量の冷却水が入っている状態で当該タンク10を逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位Rと、当該蒸気案内筒13の下端部13aとが同位置となるような高さに構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱時に発生する蒸気を、冷却水を収容したタンク内に導いて冷却水中に放散させることで復水するようにした炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−106532号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような炊飯器においては、使用者が、予めタンク内に所定量の冷却水を入れておく必要がある。ここで、タンクに対して水量が少なすぎると蒸気の冷却が不十分となり、また、タンクに対して水量が多すぎると復水された蒸気分と合わせてタンクから水が溢れる可能性があるなどの事情から、使用者においては所定量の水をなるべく正確にタンクに入れることが望まれる。
【0005】
タンクへの所定量の水の注入を可能とするため、例えば、タンクに水位目盛を設けることもできるが、水位目盛に水位を合わせるためには、タンクへの水の出し入れを何度か行わなければならない場合もあり、手間がかかっていた。また、視力の低下した使用者や暗い場所で水位調節を行う使用者にとっては、水位目盛が見えにくい場合があり、水位調節が困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、より簡単に水位調節を行うことのできるタンクを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、前記タンクは、当該タンク上面に形成された開口部から当該タンク内に向かって高さ方向に延び、下端が貫通した蒸気案内筒を備え、前記蒸気案内筒は、前記タンクに規定量の冷却水が入っている状態で当該タンクを逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位と、当該蒸気案内筒の下端とが同位置となるような高さに構成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者が、タンクに規定水位を超える水を入れた状態でタンクを逆さまにすることで、タンク内の余分な水を排出することができる。したがって、使用者は、水位目盛がなくとも、簡単に規定量の水を水タンクに入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施の形態1に係る炊飯器の断面模式図である。
【図3】実施の形態1に係るタンクの斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るタンクの断面図である。
【図5】図4のA部を拡大して示す図である。
【図6】実施の形態1に係るタンクを逆さまにした状態を説明する図である。
【図7】実施の形態2に係るタンクの要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る炊飯器を、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照して説明する。なお、この図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。また、図2は、実施の形態1に係る炊飯器の断面模式図である。
図1、図2に示すように、炊飯器100は、上部が開口した本体1と、本体1の内部に着脱自在に収納される内釜2(加熱容器)と、本体1の外郭の一部に形成されたタンク収容部3に収容されるタンク10と、本体1及びタンク10の上方を開閉自在に覆う上蓋4とを備えている。本体1の底部には、内釜2を加熱するための電気ヒータや誘導加熱コイルからなる加熱手段6が設けられている。また、上蓋4の下面(内釜2側)には、内釜2の上面開口を開閉自在に覆う内蓋4aが取り付けられている。上蓋4の内部には、蒸気パイプ5が配設されており、この蒸気パイプ5の一端は内蓋4aを介して内釜2の内部に、他端はタンク10に接続される。すなわち、蒸気パイプ5を介して、内釜2とタンク10とは連通する。
【0012】
タンク10は、炊飯中に内釜2内で発生した蒸気を、内部に溜められている水(冷却水)により復水して回収するための容器である。タンク10は、上面を開口したタンク本体11と、タンク本体11の上面開口を開閉自在に覆うタンク蓋12とを備えている。
【0013】
上記のような構成の炊飯器100において、炊飯中に発生した蒸気は、内蓋4aに形成された蒸気口を介して蒸気パイプ5内に進入し、蒸気パイプ5内を進み、タンク10内へと流入する。タンク10内へ流入した蒸気は、タンク10内の水により冷却されて復水され、タンク10内に貯留される。このような構成であるため、使用者は、炊飯前に、タンク10内に規定量の水Wを入れておく必要がある。ここで、タンク10内に予め入れておくべき水Wの規定量とは、蒸気を水で凝縮させるのに必要な最低限の水量以上であって、炊飯時の発生蒸気をすべて凝縮してもタンク10の水が漏れない限界の水量以下の水量である。
【0014】
次に、タンク10についてさらに説明する。
図3は、実施の形態1に係るタンクの斜視図である。図4は、実施の形態1に係るタンクの断面図である。図5は、図4のA部を拡大して示す図である。図6は、実施の形態1に係るタンクを逆さまにした状態を説明する図である。なお、以降の説明において、便宜上、タンク10について「通常の向き」等と称する場合があるが、これは、図4に示すようなタンク10の向き(逆さまとは逆向き)のことをいう。また、特に断らない限り、以下の説明においてはタンク10を通常の向きとした場合を基準として説明しており、「上」、「下」等の方向を示す言葉を用いる場合についても、タンク10を通常の向きとした場合の方向をいうものとする。
【0015】
ここで、前述のとおり、タンク10は規定量の水Wが入れられた状態で使用されるのであるが、タンク10に規定量の水Wが入れられたときの水位を、規定水位Rと称し、図4に図示している。
【0016】
タンク10を構成するタンク本体11及びタンク蓋12は、例えば合成樹脂材料で構成されている。タンク本体11は、規定水量よりも多い水を溜めることができる容積を有している。
【0017】
タンク蓋12には、上面開口14が形成されている。この上面開口14は、上蓋4を閉じた状態において蒸気パイプ5の先端開口部と対応する位置に設けられており、タンク10を本体1のタンク収容部3に収容した状態で上蓋4を閉じると、蒸気パイプ5の先端開口部が上面開口14に接続される。
【0018】
タンク蓋12の上面開口14には、タンク蓋12の下面側(タンク本体11の内部側)に向かって延びる蒸気案内筒13がタンク蓋12と一体に設けられている。蒸気案内筒13は、上端部(上面開口14)及び下端部13aが開口し、内部に流体の流路を有する筒状部材である。この蒸気案内筒13は、蒸気パイプ5により導かれた蒸気をタンク本体11内に溜められた水に導く経路となる。
【0019】
蒸気案内筒13の長さは、タンク10を逆さまにした状態において(図6参照)、蒸気案内筒13の下端部13aの位置と、規定水量の水の水面(図6に示す規定水位R)の位置とが同じになるように設定されている。
【0020】
蒸気案内筒13の周壁において、規定水位Rよりも上側の位置には、第一通気孔15が開口している。また、この第一通気孔15に対応する蒸気案内筒13の内側(蒸気が通過する側)の位置には、第一弁部材17が設けられている。
【0021】
第一弁部材17は、例えばシリコンゴムなどの柔軟性を有する素材で形成された薄板状の弁体171と、弁体171の上方において茸状に突出する突部172とを備える。弁体171は、第一通気孔15の開口面積より大きい面積を有している。突部172は、蒸気案内筒13に設けられた弁取付用穴131に対して弾性嵌合し、これによって、第一弁部材17が蒸気案内筒13の側壁に取り付けられる。第一弁部材17が取り付けられた状態において、弁体171は、第一通気孔15を覆う。タンク10内(蒸気案内筒13の外側)の圧力が、蒸気案内筒13の内側の圧力に対して高くなると、第一弁部材17の弁体171がその弾性によって動き(図5に破線で示す)、第一通気孔15を開口させる。
【0022】
このように構成された第一弁部材17は、タンク10が通常の向きである場合には(図4に示す状態)、第一通気孔15にてタンク10の内部から外部への流体(空気)の流れを許容し、タンク10を逆さまにしたときには(図6に示す状態)、第一通気孔15を塞ぐ。
【0023】
タンク本体11の底面には第二通気孔16が開口している。また、この第二通気孔16を開放、閉塞する第二弁部材18が設けられている。
【0024】
第二弁部材18は、球状のボール弁体181と、タンク本体11の底面内部に設けられボール弁体181を収容する収容部182とを備える。ボール弁体181は、その直径が第二通気孔16の直径よりも大きく、第二通気孔16にボール弁体181の一部が嵌ることで、第二通気孔16を塞ぐことができる。収容部182は、タンク10が通常の向きであるときには(図4参照)ボール弁体181が第二通気孔16に嵌り、かつ、タンク10が逆さまのときには(図6参照)ボール弁体181が第二通気孔16から外れるような内部空間を有している。収容部182のタンク本体11の内部側の面(第二通気孔16と対向する面)には、小孔183が開口している。この小孔183は、通気のための開口部である。小孔183は、タンク10を逆さまにしたときにボール弁体181によって塞がれないように設けられている。本実施の形態1では、複数の小孔183を設け、ボール弁体181の位置にかかわらずいずれかの小孔183の開口状態を保つことができるようにしているが、小孔183の具合的構成はこれに限らない。
【0025】
このように構成された第二弁部材18は、タンク10が通常の向きである場合には(図4に示す状態)、第二通気孔16を塞ぐ。一方、タンク10を逆さまにしたときには(図6に示す状態)、第二通気孔16にてタンク10の内部と外部との間で流体の流れを許容する。
【0026】
次に、以上のように構成されたタンク10の作用を説明する。
タンク10に規定水量の水を入れる際には、使用者は、タンク蓋12の上面に設けられた上面開口14からタンク10内に水を注入する。このとき、使用者がタンク10に入れる水は、規定水位Rよりも高い水位となるような水量であればよく、厳密に水位調節を行う必要はない。例えば、タンク10の満水近くまで水を入れるようにし、このときの水位を図4では水位W1として示している。タンク10内に水が注入される過程において、タンク10内に入っていた空気が第一弁部材17の弁体171を押して弁体171を移動、変形させ(図5参照)第一通気孔15を開放させる。このため、タンク10内の空気が排出され、タンク10にスムーズに給水することができる。
【0027】
このとき、第二弁部材18のボール弁体181は第二通気孔16に嵌ってこれを閉塞しており、タンク10の底面から水が漏れない状態となっている。
【0028】
次に、使用者は、タンク10を逆さまにする。このようにすると、水位W1と規定水位Rとの差分に相当する量の水が、蒸気案内筒13、上面開口14を通ってタンク10の外部へと排出される。また、第二弁部材18のボール弁体181が第二通気孔16から外れて第二通気孔16を開放するため、タンク10の外部の空気が第二通気孔16、小孔183を通ってタンク10内に入ってくる。このため、タンク10からの排水をスムーズに行うことができる。そして、パスカルの原理により、蒸気案内筒13の下端部13aの位置と、水面との位置が同じになったところでバランスが保たれ、タンク10からの水の流出が停止する。すなわち、タンク10を逆さまにすることで規定水量に対して余分な水が排出され、水位W1から規定水位Rへと水位が下がる。このときにタンク10内に残っている水が、規定水量の水となる。
【0029】
そして、使用者は、タンク10を通常の向き(図4の向き)に直す。以上で、タンク10への規定水量の水の注入作業は終了となる。なお、タンク10を通常の向きに直す際に、タンク10内の圧力バランスが崩れて多少の水がこぼれうるため、この水がこぼれる分を見込んでタンク10の規定水位を定めておくとよい。また、タンク10を逆さまの状態から通常の状態に戻すようタンク10を傾けた際に、なるべく早く(なるべく小さい傾きで)第二弁部材18が第二通気孔16を閉塞することができるように第二弁部材18を設計することで、タンク10を通常の向きに直す際に水がこぼれるのを最小限に抑えることができる。
【0030】
このように、本実施の形態1のタンク10では、水位目盛と水面とを見比べて水位調節を行う必要もなく、簡単に規定水量の水をタンク10に入れることができる。
【0031】
以上のようにして規定水量の水を入れたタンク10をタンク収容部3にセットするとともに、内釜2内に米と水とを入れて上蓋4を閉めた状態で、使用者は炊飯器100にて炊飯を開始させることができる。
【0032】
炊飯器100は、炊飯開始が指示されると、まず内釜2の温度が予熱温度(例えば55℃〜60℃程度)となるように加熱する予熱工程を所定時間行う。予熱工程が終了すると、内釜2内の温度を沸騰温度(例えば100℃)付近まで上昇させる昇温工程を行う。
【0033】
その後、内釜2内の温度が沸騰温度付近を維持するよう加熱手段6により加熱を続ける沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程においては、被炊飯物全体が沸騰を開始して水蒸気が勢いよく発生し、内釜2内に水蒸気が充満する状態になる。内釜2内に水蒸気が充満する状態になると、内釜2内の水蒸気は、内蓋4aに形成された蒸気口(図示せず)から蒸気パイプ5を経て上面開口14、蒸気案内筒13に至り、タンク10内に入れられている水に拡散され、復水する。このとき、大気圧より高圧の水蒸気が蒸気案内筒13内を通るため、第一弁部材17の弁体171は、蒸気案内筒13の第一通気孔15を閉塞するように、蒸気案内筒13の壁面に押し付けられる。
【0034】
沸騰工程において内釜2内の水分がなくなって内釜2の底部の温度が急激に上昇し、例えば124℃の炊飯完了温度に達したときは、蒸らし工程に移行する。蒸らし工程になると、内釜2内の圧力が大気圧より低くなるため、図5に示すように、第一弁部材17の弁体171が、負圧により蒸気案内筒13の第一通気孔15を開栓するように矢印方向(内側)に動き、同時にタンク蓋12に設けた上面開口14からタンク本体11内に外気が取り込まれ、この外気によって第一弁部材17の弁体171をさらに矢印方向に移動させて第一通気孔15を確実に開口させる。これにより、第一通気孔15から弁体171と壁面との間を通過した外気は、蒸気案内筒13、蒸気パイプ5を経て内釜2(本体1)内に入り、内釜2内の圧力を外気圧と同圧にすることにより、水の逆流を防止する。すなわち、第一通気孔15及び第一弁部材17は、本実施の形態1では、タンク10に水を入れる際にタンク10内の空気を排出する機能を発揮するとともに、炊飯時においてタンク10内の水が内釜2の方へ逆流するのを防止する機能を発揮している。
【0035】
以上のように、本実施の形態1によれば、蒸気案内筒13は、タンク10に規定量の水が入っている状態で当該タンク10を逆さまにしたときの規定水位Rと、蒸気案内筒13の下端部13aとが同位置となるような高さに構成されている。このため、使用者が、タンク10に規定水位Rを超える水を入れた状態でタンク10を逆さまにすることで、タンク10内の余分な水を排出することができる。したがって、使用者は、水位目盛がなくとも、簡単に規定量の水をタンク10に入れることができる。このタンク10においては、水位目盛と水面とを見比べながら水位調節を行う必要もないので、例えば暗い場所でタンク10に水を入れる場合など水位目盛が見えにくい状況であっても、正確に規定量の水をタンク10に入れることができる。
【0036】
また、本実施の形態1では、タンク10が通常の向きであるときには第一通気孔15においてタンク10の内部から外部への流体の流れを許容し、タンク10が逆さまであるときには第一通気孔15を塞ぐように構成された第一弁部材17を備えた。このため、タンク10に水を入れる際には、第一通気孔15が開放されてタンク10内の空気が排出され、タンク10にスムーズに給水することができる。なお、本実施の形態1で示した第一弁部材17の具体的構成を限定するものではなく、上述の機能を発揮可能な弁部材であれば任意のものを採用することができる。
【0037】
また、本実施の形態1では、タンク10が逆さまであるときには第二通気孔16においてタンク10の内部と外部との間の流体の流れを許容し、タンク10が通常の向きであるときには第二通気孔16を塞ぐように構成された第二弁部材18を備えた。このため、タンク10を逆さまにした際には、第二通気孔16が開放されて外部の空気がタンク10の内部に入り、タンク10からの排水をスムーズに行うことができる。なお、本実施の形態1で示した第二弁部材18の具体的構成を限定するものではなく、上述の機能を発揮可能な弁部材であれば任意のものを採用することができる。
【0038】
なお、本実施の形態1では、第一通気孔15を蒸気案内筒13に設けた。このような構成とすることで、前述の通り、タンク10に水を入れる際にタンク10内の空気を排出する機能を発揮するとともに、炊飯時においてタンク10内の水が内釜2の方へ逆流するのを防止する機能を発揮することができるのであるが、第一通気孔15の開口位置はこれに限定されない。第一通気孔15は、タンク10が通常の向き(図4の状態)である場合において、規定水位Rより高い位置に開口していればよく、タンク10の壁部(タンク本体11の壁部及びタンク蓋12の壁部を含む)に設けてもよい。なお、その場合には、炊飯中にはこの第一通気孔15を閉塞するための閉塞部材を設ける。
【0039】
また、第二通気孔16は、タンク10を逆さまにした状態(図6の状態)において、規定水位Rよりも高い位置に設ければよく、その設置位置はタンク10の底面に限定されない。例えば、タンク10の底部近傍の側壁に設けてもよい。なお、その場合には、タンク10を通常の向きとした状態において、第二通気孔16を閉塞した状態を保つことのできる閉塞部材を設ける。
【0040】
実施の形態2.
本実施の形態2では、タンク本体11とタンク蓋12との固定構造について説明する。実施の形態1で説明したように、タンク10に規定量の水を入れるように水位調節する際にはタンク10を逆さまにするのであるが、このようにタンク10を逆さまにしてもタンク本体11からタンク蓋12が容易には外れないようにするための構成例を、本実施の形態2で説明する。
【0041】
図7は、実施の形態2に係るタンクの要部を説明する図であり、タンクの断面模式図を示している。図7では、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付している。
本実施の形態2のタンク10は、タンク本体11の前面を覆うタンクカバー30を有し、このタンク本体11及びタンクカバー30に対してタンク蓋12を着脱可能な構成である。
【0042】
図7に示すように、実施の形態2のタンク本体11には、タンク本体11の前面(図7における紙面右側)を覆うタンクカバー30が設けられている。タンクカバー30の下端部には、タンク本体11の前面側下端部を嵌合させる嵌合溝31が形成されており、タンクカバー30はタンク本体11に対して着脱可能な構成である。
【0043】
タンク蓋12の外周部には、軸部21によって上下方向に回動可能に軸支されたフック状部材20が設けられている。図7に示す例では、前後一対のフック状部材20が設けられている。また、タンクカバー30において、タンク蓋12を閉めたときにフック状部材20に対応する位置には突状の係止部22が形成され、タンク本体11において、同じくフック状部材20に対応する位置に係止部22が設けられている。フック状部材20のフック(爪)は、係止部22に対して押し付ける方向であればこれを乗り越えることができるが、係止部22から離す方向には容易には外れない構成となっている。このフック状部材20と係止部22と同様の構成が、タンク蓋12とタンク本体11またはタンクカバー30の複数箇所に設けられている。本実施の形態2では、フック状部材20及び係止部22によって、本発明の固定部材が構成されている。
【0044】
また、タンク本体11の上部周縁部には溝部19を形成し、この溝部19の中に中空洞のチューブ状のパッキン23を設けている。タンク蓋12を閉めたときには、タンク本体11とタンク蓋12との間にパッキン23が介在する構成としている。
【0045】
このように、本実施の形態2では、フック状部材20と係止部22により、タンク本体11とタンク蓋12とを固定するようにした。このため、タンク10を逆さまにしてもタンク蓋12が外れにくく、タンク蓋12が外れて水がこぼれるといったことも生じにくい。
【0046】
また、タンク本体11に対してタンク蓋12を着脱可能に設けたので、これらを外すことで使用者は容易にタンク本体11及びタンク蓋12を洗うことができる。このため、使い勝手のよいタンク10を得ることができる。
【0047】
また、タンク蓋12を閉めた状態において、タンク本体11とタンク蓋12との間にパッキン23を介在させた。このため、タンク10を逆さまにした場合でも、タンク本体11とタンク蓋12の当接部分からの水漏れを抑制することができる。
【0048】
なお、本実施の形態2では、タンク蓋12にフック状部材20を設け、タンクカバー30またはタンク本体11に係止部22を設ける例を示したが、タンクカバー30またはタンク本体11にフック状部材20を設け、タンク蓋12に係止部22を設けてもよい。また、フック状部材20及び係止部22の具体的形状は、図示のものに限定されない。また、タンクカバー30を設けない構成としてもよい。
【0049】
また、前述の実施の形態1では、タンク10に規定水量の水を入れる際に、タンク蓋12の上面に設けられた上面開口14から水を注入する旨の説明をしたが、タンク蓋12がタンク本体11に対して着脱可能である場合には、タンク蓋12を開けた状態でタンク本体11に水を入れ、その後、タンク蓋12を閉めてからタンク10を逆さまにして余分な水を排水するようにしてもよい。
【0050】
実施の形態3.
前述の実施の形態2では、タンク本体11に対してタンク蓋12を着脱可能な構成にしたが、これらを着脱不能な構成にしてもよい。すなわち、タンク本体11とタンク蓋12との当接部分を溶着し、使用者がタンク蓋12を外すことができないようにしてもよい。この場合には、タンク本体11とタンク蓋12との当接部分をラビリンス構造にすることで、水漏れの抑制効果が大きくなる。あるいは、タンク本体11とタンク蓋12とを一体に構成してもよい。このようにすることで、タンク10を逆さまにした場合でも、タンク本体11とタンク蓋12との間から水漏れすることがない。
【符号の説明】
【0051】
1 本体、2 内釜、3 タンク収容部、4 上蓋、4a 内蓋、5 蒸気パイプ、6 加熱手段、10 タンク、11 タンク本体、12 タンク蓋、13 蒸気案内筒、13a 下端部、14 上面開口、15 第一通気孔、16 第二通気孔、17 第一弁部材、18 第二弁部材、19 溝部、20 フック状部材、21 軸部、22 係止部、23 パッキン、30 タンクカバー、31 嵌合溝、100 炊飯器、131 弁取付用穴、171 弁体、172 突部、181 ボール弁体、182 収容部、183 小孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱時に発生する蒸気を、冷却水を収容したタンク内に導いて冷却水中に放散させることで復水するようにした炊飯器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−106532号公報(第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような炊飯器においては、使用者が、予めタンク内に所定量の冷却水を入れておく必要がある。ここで、タンクに対して水量が少なすぎると蒸気の冷却が不十分となり、また、タンクに対して水量が多すぎると復水された蒸気分と合わせてタンクから水が溢れる可能性があるなどの事情から、使用者においては所定量の水をなるべく正確にタンクに入れることが望まれる。
【0005】
タンクへの所定量の水の注入を可能とするため、例えば、タンクに水位目盛を設けることもできるが、水位目盛に水位を合わせるためには、タンクへの水の出し入れを何度か行わなければならない場合もあり、手間がかかっていた。また、視力の低下した使用者や暗い場所で水位調節を行う使用者にとっては、水位目盛が見えにくい場合があり、水位調節が困難であった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を背景としてなされたものであり、より簡単に水位調節を行うことのできるタンクを備えた炊飯器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る炊飯器は、加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、前記タンクは、当該タンク上面に形成された開口部から当該タンク内に向かって高さ方向に延び、下端が貫通した蒸気案内筒を備え、前記蒸気案内筒は、前記タンクに規定量の冷却水が入っている状態で当該タンクを逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位と、当該蒸気案内筒の下端とが同位置となるような高さに構成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用者が、タンクに規定水位を超える水を入れた状態でタンクを逆さまにすることで、タンク内の余分な水を排出することができる。したがって、使用者は、水位目盛がなくとも、簡単に規定量の水を水タンクに入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。
【図2】実施の形態1に係る炊飯器の断面模式図である。
【図3】実施の形態1に係るタンクの斜視図である。
【図4】実施の形態1に係るタンクの断面図である。
【図5】図4のA部を拡大して示す図である。
【図6】実施の形態1に係るタンクを逆さまにした状態を説明する図である。
【図7】実施の形態2に係るタンクの要部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る炊飯器を、家庭用IH式炊飯器に適用した場合を例に図面を参照して説明する。なお、この図面の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る炊飯器の上蓋を開放しタンクを取り出した状態を示す斜視説明図である。また、図2は、実施の形態1に係る炊飯器の断面模式図である。
図1、図2に示すように、炊飯器100は、上部が開口した本体1と、本体1の内部に着脱自在に収納される内釜2(加熱容器)と、本体1の外郭の一部に形成されたタンク収容部3に収容されるタンク10と、本体1及びタンク10の上方を開閉自在に覆う上蓋4とを備えている。本体1の底部には、内釜2を加熱するための電気ヒータや誘導加熱コイルからなる加熱手段6が設けられている。また、上蓋4の下面(内釜2側)には、内釜2の上面開口を開閉自在に覆う内蓋4aが取り付けられている。上蓋4の内部には、蒸気パイプ5が配設されており、この蒸気パイプ5の一端は内蓋4aを介して内釜2の内部に、他端はタンク10に接続される。すなわち、蒸気パイプ5を介して、内釜2とタンク10とは連通する。
【0012】
タンク10は、炊飯中に内釜2内で発生した蒸気を、内部に溜められている水(冷却水)により復水して回収するための容器である。タンク10は、上面を開口したタンク本体11と、タンク本体11の上面開口を開閉自在に覆うタンク蓋12とを備えている。
【0013】
上記のような構成の炊飯器100において、炊飯中に発生した蒸気は、内蓋4aに形成された蒸気口を介して蒸気パイプ5内に進入し、蒸気パイプ5内を進み、タンク10内へと流入する。タンク10内へ流入した蒸気は、タンク10内の水により冷却されて復水され、タンク10内に貯留される。このような構成であるため、使用者は、炊飯前に、タンク10内に規定量の水Wを入れておく必要がある。ここで、タンク10内に予め入れておくべき水Wの規定量とは、蒸気を水で凝縮させるのに必要な最低限の水量以上であって、炊飯時の発生蒸気をすべて凝縮してもタンク10の水が漏れない限界の水量以下の水量である。
【0014】
次に、タンク10についてさらに説明する。
図3は、実施の形態1に係るタンクの斜視図である。図4は、実施の形態1に係るタンクの断面図である。図5は、図4のA部を拡大して示す図である。図6は、実施の形態1に係るタンクを逆さまにした状態を説明する図である。なお、以降の説明において、便宜上、タンク10について「通常の向き」等と称する場合があるが、これは、図4に示すようなタンク10の向き(逆さまとは逆向き)のことをいう。また、特に断らない限り、以下の説明においてはタンク10を通常の向きとした場合を基準として説明しており、「上」、「下」等の方向を示す言葉を用いる場合についても、タンク10を通常の向きとした場合の方向をいうものとする。
【0015】
ここで、前述のとおり、タンク10は規定量の水Wが入れられた状態で使用されるのであるが、タンク10に規定量の水Wが入れられたときの水位を、規定水位Rと称し、図4に図示している。
【0016】
タンク10を構成するタンク本体11及びタンク蓋12は、例えば合成樹脂材料で構成されている。タンク本体11は、規定水量よりも多い水を溜めることができる容積を有している。
【0017】
タンク蓋12には、上面開口14が形成されている。この上面開口14は、上蓋4を閉じた状態において蒸気パイプ5の先端開口部と対応する位置に設けられており、タンク10を本体1のタンク収容部3に収容した状態で上蓋4を閉じると、蒸気パイプ5の先端開口部が上面開口14に接続される。
【0018】
タンク蓋12の上面開口14には、タンク蓋12の下面側(タンク本体11の内部側)に向かって延びる蒸気案内筒13がタンク蓋12と一体に設けられている。蒸気案内筒13は、上端部(上面開口14)及び下端部13aが開口し、内部に流体の流路を有する筒状部材である。この蒸気案内筒13は、蒸気パイプ5により導かれた蒸気をタンク本体11内に溜められた水に導く経路となる。
【0019】
蒸気案内筒13の長さは、タンク10を逆さまにした状態において(図6参照)、蒸気案内筒13の下端部13aの位置と、規定水量の水の水面(図6に示す規定水位R)の位置とが同じになるように設定されている。
【0020】
蒸気案内筒13の周壁において、規定水位Rよりも上側の位置には、第一通気孔15が開口している。また、この第一通気孔15に対応する蒸気案内筒13の内側(蒸気が通過する側)の位置には、第一弁部材17が設けられている。
【0021】
第一弁部材17は、例えばシリコンゴムなどの柔軟性を有する素材で形成された薄板状の弁体171と、弁体171の上方において茸状に突出する突部172とを備える。弁体171は、第一通気孔15の開口面積より大きい面積を有している。突部172は、蒸気案内筒13に設けられた弁取付用穴131に対して弾性嵌合し、これによって、第一弁部材17が蒸気案内筒13の側壁に取り付けられる。第一弁部材17が取り付けられた状態において、弁体171は、第一通気孔15を覆う。タンク10内(蒸気案内筒13の外側)の圧力が、蒸気案内筒13の内側の圧力に対して高くなると、第一弁部材17の弁体171がその弾性によって動き(図5に破線で示す)、第一通気孔15を開口させる。
【0022】
このように構成された第一弁部材17は、タンク10が通常の向きである場合には(図4に示す状態)、第一通気孔15にてタンク10の内部から外部への流体(空気)の流れを許容し、タンク10を逆さまにしたときには(図6に示す状態)、第一通気孔15を塞ぐ。
【0023】
タンク本体11の底面には第二通気孔16が開口している。また、この第二通気孔16を開放、閉塞する第二弁部材18が設けられている。
【0024】
第二弁部材18は、球状のボール弁体181と、タンク本体11の底面内部に設けられボール弁体181を収容する収容部182とを備える。ボール弁体181は、その直径が第二通気孔16の直径よりも大きく、第二通気孔16にボール弁体181の一部が嵌ることで、第二通気孔16を塞ぐことができる。収容部182は、タンク10が通常の向きであるときには(図4参照)ボール弁体181が第二通気孔16に嵌り、かつ、タンク10が逆さまのときには(図6参照)ボール弁体181が第二通気孔16から外れるような内部空間を有している。収容部182のタンク本体11の内部側の面(第二通気孔16と対向する面)には、小孔183が開口している。この小孔183は、通気のための開口部である。小孔183は、タンク10を逆さまにしたときにボール弁体181によって塞がれないように設けられている。本実施の形態1では、複数の小孔183を設け、ボール弁体181の位置にかかわらずいずれかの小孔183の開口状態を保つことができるようにしているが、小孔183の具合的構成はこれに限らない。
【0025】
このように構成された第二弁部材18は、タンク10が通常の向きである場合には(図4に示す状態)、第二通気孔16を塞ぐ。一方、タンク10を逆さまにしたときには(図6に示す状態)、第二通気孔16にてタンク10の内部と外部との間で流体の流れを許容する。
【0026】
次に、以上のように構成されたタンク10の作用を説明する。
タンク10に規定水量の水を入れる際には、使用者は、タンク蓋12の上面に設けられた上面開口14からタンク10内に水を注入する。このとき、使用者がタンク10に入れる水は、規定水位Rよりも高い水位となるような水量であればよく、厳密に水位調節を行う必要はない。例えば、タンク10の満水近くまで水を入れるようにし、このときの水位を図4では水位W1として示している。タンク10内に水が注入される過程において、タンク10内に入っていた空気が第一弁部材17の弁体171を押して弁体171を移動、変形させ(図5参照)第一通気孔15を開放させる。このため、タンク10内の空気が排出され、タンク10にスムーズに給水することができる。
【0027】
このとき、第二弁部材18のボール弁体181は第二通気孔16に嵌ってこれを閉塞しており、タンク10の底面から水が漏れない状態となっている。
【0028】
次に、使用者は、タンク10を逆さまにする。このようにすると、水位W1と規定水位Rとの差分に相当する量の水が、蒸気案内筒13、上面開口14を通ってタンク10の外部へと排出される。また、第二弁部材18のボール弁体181が第二通気孔16から外れて第二通気孔16を開放するため、タンク10の外部の空気が第二通気孔16、小孔183を通ってタンク10内に入ってくる。このため、タンク10からの排水をスムーズに行うことができる。そして、パスカルの原理により、蒸気案内筒13の下端部13aの位置と、水面との位置が同じになったところでバランスが保たれ、タンク10からの水の流出が停止する。すなわち、タンク10を逆さまにすることで規定水量に対して余分な水が排出され、水位W1から規定水位Rへと水位が下がる。このときにタンク10内に残っている水が、規定水量の水となる。
【0029】
そして、使用者は、タンク10を通常の向き(図4の向き)に直す。以上で、タンク10への規定水量の水の注入作業は終了となる。なお、タンク10を通常の向きに直す際に、タンク10内の圧力バランスが崩れて多少の水がこぼれうるため、この水がこぼれる分を見込んでタンク10の規定水位を定めておくとよい。また、タンク10を逆さまの状態から通常の状態に戻すようタンク10を傾けた際に、なるべく早く(なるべく小さい傾きで)第二弁部材18が第二通気孔16を閉塞することができるように第二弁部材18を設計することで、タンク10を通常の向きに直す際に水がこぼれるのを最小限に抑えることができる。
【0030】
このように、本実施の形態1のタンク10では、水位目盛と水面とを見比べて水位調節を行う必要もなく、簡単に規定水量の水をタンク10に入れることができる。
【0031】
以上のようにして規定水量の水を入れたタンク10をタンク収容部3にセットするとともに、内釜2内に米と水とを入れて上蓋4を閉めた状態で、使用者は炊飯器100にて炊飯を開始させることができる。
【0032】
炊飯器100は、炊飯開始が指示されると、まず内釜2の温度が予熱温度(例えば55℃〜60℃程度)となるように加熱する予熱工程を所定時間行う。予熱工程が終了すると、内釜2内の温度を沸騰温度(例えば100℃)付近まで上昇させる昇温工程を行う。
【0033】
その後、内釜2内の温度が沸騰温度付近を維持するよう加熱手段6により加熱を続ける沸騰維持工程に移行する。沸騰維持工程においては、被炊飯物全体が沸騰を開始して水蒸気が勢いよく発生し、内釜2内に水蒸気が充満する状態になる。内釜2内に水蒸気が充満する状態になると、内釜2内の水蒸気は、内蓋4aに形成された蒸気口(図示せず)から蒸気パイプ5を経て上面開口14、蒸気案内筒13に至り、タンク10内に入れられている水に拡散され、復水する。このとき、大気圧より高圧の水蒸気が蒸気案内筒13内を通るため、第一弁部材17の弁体171は、蒸気案内筒13の第一通気孔15を閉塞するように、蒸気案内筒13の壁面に押し付けられる。
【0034】
沸騰工程において内釜2内の水分がなくなって内釜2の底部の温度が急激に上昇し、例えば124℃の炊飯完了温度に達したときは、蒸らし工程に移行する。蒸らし工程になると、内釜2内の圧力が大気圧より低くなるため、図5に示すように、第一弁部材17の弁体171が、負圧により蒸気案内筒13の第一通気孔15を開栓するように矢印方向(内側)に動き、同時にタンク蓋12に設けた上面開口14からタンク本体11内に外気が取り込まれ、この外気によって第一弁部材17の弁体171をさらに矢印方向に移動させて第一通気孔15を確実に開口させる。これにより、第一通気孔15から弁体171と壁面との間を通過した外気は、蒸気案内筒13、蒸気パイプ5を経て内釜2(本体1)内に入り、内釜2内の圧力を外気圧と同圧にすることにより、水の逆流を防止する。すなわち、第一通気孔15及び第一弁部材17は、本実施の形態1では、タンク10に水を入れる際にタンク10内の空気を排出する機能を発揮するとともに、炊飯時においてタンク10内の水が内釜2の方へ逆流するのを防止する機能を発揮している。
【0035】
以上のように、本実施の形態1によれば、蒸気案内筒13は、タンク10に規定量の水が入っている状態で当該タンク10を逆さまにしたときの規定水位Rと、蒸気案内筒13の下端部13aとが同位置となるような高さに構成されている。このため、使用者が、タンク10に規定水位Rを超える水を入れた状態でタンク10を逆さまにすることで、タンク10内の余分な水を排出することができる。したがって、使用者は、水位目盛がなくとも、簡単に規定量の水をタンク10に入れることができる。このタンク10においては、水位目盛と水面とを見比べながら水位調節を行う必要もないので、例えば暗い場所でタンク10に水を入れる場合など水位目盛が見えにくい状況であっても、正確に規定量の水をタンク10に入れることができる。
【0036】
また、本実施の形態1では、タンク10が通常の向きであるときには第一通気孔15においてタンク10の内部から外部への流体の流れを許容し、タンク10が逆さまであるときには第一通気孔15を塞ぐように構成された第一弁部材17を備えた。このため、タンク10に水を入れる際には、第一通気孔15が開放されてタンク10内の空気が排出され、タンク10にスムーズに給水することができる。なお、本実施の形態1で示した第一弁部材17の具体的構成を限定するものではなく、上述の機能を発揮可能な弁部材であれば任意のものを採用することができる。
【0037】
また、本実施の形態1では、タンク10が逆さまであるときには第二通気孔16においてタンク10の内部と外部との間の流体の流れを許容し、タンク10が通常の向きであるときには第二通気孔16を塞ぐように構成された第二弁部材18を備えた。このため、タンク10を逆さまにした際には、第二通気孔16が開放されて外部の空気がタンク10の内部に入り、タンク10からの排水をスムーズに行うことができる。なお、本実施の形態1で示した第二弁部材18の具体的構成を限定するものではなく、上述の機能を発揮可能な弁部材であれば任意のものを採用することができる。
【0038】
なお、本実施の形態1では、第一通気孔15を蒸気案内筒13に設けた。このような構成とすることで、前述の通り、タンク10に水を入れる際にタンク10内の空気を排出する機能を発揮するとともに、炊飯時においてタンク10内の水が内釜2の方へ逆流するのを防止する機能を発揮することができるのであるが、第一通気孔15の開口位置はこれに限定されない。第一通気孔15は、タンク10が通常の向き(図4の状態)である場合において、規定水位Rより高い位置に開口していればよく、タンク10の壁部(タンク本体11の壁部及びタンク蓋12の壁部を含む)に設けてもよい。なお、その場合には、炊飯中にはこの第一通気孔15を閉塞するための閉塞部材を設ける。
【0039】
また、第二通気孔16は、タンク10を逆さまにした状態(図6の状態)において、規定水位Rよりも高い位置に設ければよく、その設置位置はタンク10の底面に限定されない。例えば、タンク10の底部近傍の側壁に設けてもよい。なお、その場合には、タンク10を通常の向きとした状態において、第二通気孔16を閉塞した状態を保つことのできる閉塞部材を設ける。
【0040】
実施の形態2.
本実施の形態2では、タンク本体11とタンク蓋12との固定構造について説明する。実施の形態1で説明したように、タンク10に規定量の水を入れるように水位調節する際にはタンク10を逆さまにするのであるが、このようにタンク10を逆さまにしてもタンク本体11からタンク蓋12が容易には外れないようにするための構成例を、本実施の形態2で説明する。
【0041】
図7は、実施の形態2に係るタンクの要部を説明する図であり、タンクの断面模式図を示している。図7では、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付している。
本実施の形態2のタンク10は、タンク本体11の前面を覆うタンクカバー30を有し、このタンク本体11及びタンクカバー30に対してタンク蓋12を着脱可能な構成である。
【0042】
図7に示すように、実施の形態2のタンク本体11には、タンク本体11の前面(図7における紙面右側)を覆うタンクカバー30が設けられている。タンクカバー30の下端部には、タンク本体11の前面側下端部を嵌合させる嵌合溝31が形成されており、タンクカバー30はタンク本体11に対して着脱可能な構成である。
【0043】
タンク蓋12の外周部には、軸部21によって上下方向に回動可能に軸支されたフック状部材20が設けられている。図7に示す例では、前後一対のフック状部材20が設けられている。また、タンクカバー30において、タンク蓋12を閉めたときにフック状部材20に対応する位置には突状の係止部22が形成され、タンク本体11において、同じくフック状部材20に対応する位置に係止部22が設けられている。フック状部材20のフック(爪)は、係止部22に対して押し付ける方向であればこれを乗り越えることができるが、係止部22から離す方向には容易には外れない構成となっている。このフック状部材20と係止部22と同様の構成が、タンク蓋12とタンク本体11またはタンクカバー30の複数箇所に設けられている。本実施の形態2では、フック状部材20及び係止部22によって、本発明の固定部材が構成されている。
【0044】
また、タンク本体11の上部周縁部には溝部19を形成し、この溝部19の中に中空洞のチューブ状のパッキン23を設けている。タンク蓋12を閉めたときには、タンク本体11とタンク蓋12との間にパッキン23が介在する構成としている。
【0045】
このように、本実施の形態2では、フック状部材20と係止部22により、タンク本体11とタンク蓋12とを固定するようにした。このため、タンク10を逆さまにしてもタンク蓋12が外れにくく、タンク蓋12が外れて水がこぼれるといったことも生じにくい。
【0046】
また、タンク本体11に対してタンク蓋12を着脱可能に設けたので、これらを外すことで使用者は容易にタンク本体11及びタンク蓋12を洗うことができる。このため、使い勝手のよいタンク10を得ることができる。
【0047】
また、タンク蓋12を閉めた状態において、タンク本体11とタンク蓋12との間にパッキン23を介在させた。このため、タンク10を逆さまにした場合でも、タンク本体11とタンク蓋12の当接部分からの水漏れを抑制することができる。
【0048】
なお、本実施の形態2では、タンク蓋12にフック状部材20を設け、タンクカバー30またはタンク本体11に係止部22を設ける例を示したが、タンクカバー30またはタンク本体11にフック状部材20を設け、タンク蓋12に係止部22を設けてもよい。また、フック状部材20及び係止部22の具体的形状は、図示のものに限定されない。また、タンクカバー30を設けない構成としてもよい。
【0049】
また、前述の実施の形態1では、タンク10に規定水量の水を入れる際に、タンク蓋12の上面に設けられた上面開口14から水を注入する旨の説明をしたが、タンク蓋12がタンク本体11に対して着脱可能である場合には、タンク蓋12を開けた状態でタンク本体11に水を入れ、その後、タンク蓋12を閉めてからタンク10を逆さまにして余分な水を排水するようにしてもよい。
【0050】
実施の形態3.
前述の実施の形態2では、タンク本体11に対してタンク蓋12を着脱可能な構成にしたが、これらを着脱不能な構成にしてもよい。すなわち、タンク本体11とタンク蓋12との当接部分を溶着し、使用者がタンク蓋12を外すことができないようにしてもよい。この場合には、タンク本体11とタンク蓋12との当接部分をラビリンス構造にすることで、水漏れの抑制効果が大きくなる。あるいは、タンク本体11とタンク蓋12とを一体に構成してもよい。このようにすることで、タンク10を逆さまにした場合でも、タンク本体11とタンク蓋12との間から水漏れすることがない。
【符号の説明】
【0051】
1 本体、2 内釜、3 タンク収容部、4 上蓋、4a 内蓋、5 蒸気パイプ、6 加熱手段、10 タンク、11 タンク本体、12 タンク蓋、13 蒸気案内筒、13a 下端部、14 上面開口、15 第一通気孔、16 第二通気孔、17 第一弁部材、18 第二弁部材、19 溝部、20 フック状部材、21 軸部、22 係止部、23 パッキン、30 タンクカバー、31 嵌合溝、100 炊飯器、131 弁取付用穴、171 弁体、172 突部、181 ボール弁体、182 収容部、183 小孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、
前記タンクは、
当該タンクの上面に形成された開口部から当該タンク内に向かって高さ方向に延び、下端が貫通した蒸気案内筒を備え、
前記蒸気案内筒は、前記タンクに規定量の冷却水が入っている状態で当該タンクを逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位と、当該蒸気案内筒の下端とが同位置となるような高さに構成されている
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記タンクに規定量の冷却水が入れられたときの水面よりも上方のタンク壁又は前記蒸気案内筒に形成された第一通気孔を開閉する第一弁部材と、
前記タンクに規定量の冷却水が入れられた状態で当該タンクを逆さまにしたときの水面よりも上方のタンク壁に形成された第二通気孔を開閉する第二弁部材と、を備え、
前記第一弁部材は、前記タンクが通常の向きであるときには前記第一通気孔において前記タンクの内部から外部への流体の流れを許容し、前記タンクが逆さまであるときには前記第一通気孔を塞ぐように構成され、
前記第二弁部材は、前記タンクが逆さまであるときには前記タンクの外部から内部への流体の流れを許容し、前記タンクが通常の向きであるときには前記第二通気孔を塞ぐように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記タンクは、
前記タンクの上面を構成するタンク蓋と、
前記タンク蓋が着脱可能に装着されるタンク本体と、
前記タンク本体と前記タンク蓋とを固定する固定部材とを備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記タンク蓋又は前記タンク本体の一方に設けられ、上下方向に回動可能に支持されたフック状部材と、
前記タンク蓋又は前記タンク本体の他方に設けられ、前記フック状部材を係止させる係止部とを有する
ことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記タンク蓋と前記タンク本体との間にパッキンを介在させる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の炊飯器。
【請求項1】
加熱容器内で発生した蒸気を内部に入れられた冷却水により復水するタンクを備えた炊飯器であって、
前記タンクは、
当該タンクの上面に形成された開口部から当該タンク内に向かって高さ方向に延び、下端が貫通した蒸気案内筒を備え、
前記蒸気案内筒は、前記タンクに規定量の冷却水が入っている状態で当該タンクを逆さまにしたときに、規定量の冷却水の水位である規定水位と、当該蒸気案内筒の下端とが同位置となるような高さに構成されている
ことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記タンクに規定量の冷却水が入れられたときの水面よりも上方のタンク壁又は前記蒸気案内筒に形成された第一通気孔を開閉する第一弁部材と、
前記タンクに規定量の冷却水が入れられた状態で当該タンクを逆さまにしたときの水面よりも上方のタンク壁に形成された第二通気孔を開閉する第二弁部材と、を備え、
前記第一弁部材は、前記タンクが通常の向きであるときには前記第一通気孔において前記タンクの内部から外部への流体の流れを許容し、前記タンクが逆さまであるときには前記第一通気孔を塞ぐように構成され、
前記第二弁部材は、前記タンクが逆さまであるときには前記タンクの外部から内部への流体の流れを許容し、前記タンクが通常の向きであるときには前記第二通気孔を塞ぐように構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記タンクは、
前記タンクの上面を構成するタンク蓋と、
前記タンク蓋が着脱可能に装着されるタンク本体と、
前記タンク本体と前記タンク蓋とを固定する固定部材とを備えた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記タンク蓋又は前記タンク本体の一方に設けられ、上下方向に回動可能に支持されたフック状部材と、
前記タンク蓋又は前記タンク本体の他方に設けられ、前記フック状部材を係止させる係止部とを有する
ことを特徴とする請求項3記載の炊飯器。
【請求項5】
前記タンク蓋と前記タンク本体との間にパッキンを介在させる
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の炊飯器。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【公開番号】特開2013−102806(P2013−102806A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246455(P2011−246455)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】
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