説明

炭化ケイ素粉末の製造方法

【課題】高密度、高強度の炭化ケイ素焼結体を製造する原料として好適な炭化ケイ素粉末の製造方法を提供すること。
【解決手段】核粒子となるシリカ粒子を含むシリカゾルを生成した後、シリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて混合し、温度およびpHを設定して加水分解する(A)(B)の異なる2段階の条件で加水分解して二峰性のシリカゾルを調製し、その後、フェノール類とホルムアルデヒドおよびアンモニア水溶液を添加して重合し、シリカ粒子を核としてその周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を作製し、無酸素雰囲気下800〜1000℃で熱処理して焼成し、次いで、不活性雰囲気下1400〜2200℃で熱処理して珪化することを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度で強度特性に優れた炭化ケイ素焼結体の製造に好適な炭化ケイ素粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素粉末は、アチソン法で製造したバルク状炭化ケイ素を粉砕し、分級する方法が古くから知られている。しかし、炭化ケイ素は極めて硬質な物質であるため、微細で球形の粉末粒子に粉砕することが困難であり、また粉砕、分級過程において不純物が混入し易く、高純度のものを得難い難点がある。
【0003】
そこで、気相プロセスによりサブミクロン級の微細な炭化ケイ素微粉末を製造する技術が開発されており、例えば特許文献1にはハロゲン化シランを熱分解して得られた炭化ケイ素粉末の平均粒径が0.2〜0.7μmで、各粒子の最大粒径と最小粒径の比率の平均が1.1〜1.4である易焼結性β型炭化ケイ素粉末が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、結晶子が50オングストローム以下のβ型SiCの集合体であり、平均粒径が0.01〜1μmである球状形状の超微粒子状β型多結晶SiCが開示されており、分子中に少なくとも1個のSiH結合を有し、SiX(Xはハロゲン原子など)結合を含まない有機けい素化合物を750℃以上で気相熱分解させることによって製造される旨が記載されている。
【0005】
特許文献3には、シリコンアルコキシドおよび少なくとも1つの炭化水素基をもつアルコキシシランとの混合物を加水分解して球状単分散ゲル粒として、これを焼成してβ−SiC化する球状単分散β−SiC微粒の製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開昭59−102809号公報
【特許文献2】特開昭60−096517号公報
【特許文献3】特開平03−199115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、炭化ケイ素焼結体は、炭化ケイ素粉末に焼結助材などを混合した混合粉末を成形型に充填して、熱圧焼結する方法で製造されるが、原料粉末を均一に混合することが難しいという難点がある。
【0007】
そこで、炭化けい素粉末および焼結助材などを分散媒に分散させてスラリーを調製し、鋳込み成形法により成形体を作製して熱圧焼結する方法が広く行われている。この場合、原料スラリーの流動性を高くすることが緻密な成形体を得る上で重要であり、スラリーの粘度は炭化ケイ素粉末の粒度特性により影響され、一般に粒子径の異なる炭化ケイ素粉末を用いて粒度調整した原料粉末が適用される。
【0008】
また、密度が高く、強度に優れた焼結体を得るには、成形体の密度を高くすることが有効であり、成形体の高密度化を図るためにも粒度調整した原料炭化ケイ素粉末を使用することが好ましいことになる。
【0009】
しかし、所望する粒子径の炭化ケイ素粉末を粉砕などの手段で調製することは、炭化ケイ素が極めて硬質な物質であるから容易でなく、結果的に製品得率が低下し、コスト高にもなる問題がある。
【0010】
そこで、本発明者は、本出願人が先に開発、提案した二峰性の粒度分布を有するシリカ粒子が懸濁したスラリーの製造技術(特願2006−091098)、および、シリカ粒子の周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を焼成、炭化し、次いで珪化する炭化ケイ素粉末の製造技術(特願2006−012432)をベースとして研究を行い、高密度、高強度の炭化ケイ素焼結体を製造する原料として好適な炭化ケイ素粉末の製造に成功した。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、高密度、高強度の炭化ケイ素焼結体を製造する原料として好適な炭化ケイ素粉末の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明に係る炭化ケイ素粉末の製造方法は、シリコンアルコキシドとアルコールの混合溶液にアンモニア水溶液を添加して撹拌し、加水分解してシリカゾルを調製する際に、加水分解時の温度およびpHを調整して核粒子となるシリカ粒子の平均粒子径が400nm以下のシリカゾルを生成した後、
(A)該シリカゾルに、シリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解して、前記シリカ核粒子の大粒化を図り、
(B)次いで、シリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解して、更にシリカ核粒子を大粒化するとともに、大粒中で小粒子を形成させる、
少なくとも(A)、(B)2段階の異なる条件で加水分解して、シリカ粒子の粒度分布が二峰性のシリカゾルを調製し、その後、フェノール類とホルムアルデヒドおよびアンモニア水溶液を添加して重合し、シリカ粒子を核としてその周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を作製し、無酸素雰囲気下800〜1000℃で熱処理して焼成し、次いで、不活性雰囲気下1400〜2200℃で熱処理して珪化することを構成上の特徴とする。
【0013】
上記構成において、二峰性の粒度分布を有するシリカゾルのシリカ大粒子の平均粒子径Dlは500〜2000nm、シリカ小粒子の平均粒子径Dsは10〜500nmであることが好ましく、また、シリカ大粒子の平均粒子径Dlとシリカ小粒子の平均粒子径Dsとの比Dl/Dsは2〜100であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくとも粒度分布が二峰性のシリカ粒子が分散したシリカゾルを調製し、該シリカゾルのシリカ粒子を核としてその周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を作製して焼成、炭化した後、珪化して、大粒子径と小粒子径のシリカ粒子が混在する炭化ケイ素粉末を製造することができるので、この炭化ケイ素粉末を原料とすることにより、高密度で高強度の炭化ケイ素焼結体を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の炭化ケイ素粉末の製造方法の基本プロセスは、シリコンアルコキシドとアルコールの混合溶液にアンモニア水溶液を添加、撹拌してシリコンアルコキシドを加水分解してシリカ粒子が分散したシリカゾルを作製し、次に、シリカゾル中のシリカ粒子を核としてその周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を作製して、炭化および珪化して炭化ケイ素粉末に転化するものである。
【0016】
この基本プロセスにおいて、先ず、シリコンアルコキシドをアルコールに溶解し、この混合溶液にアンモニア水溶液を添加し、温度およびpHを調整してシリコンアルコキシドを加水分解し、核粒子となる粒子径が400nm以下のシリカが分散したシリカゾルを生成させる。この場合、粒子径が均一なシリカ粒子を生成させることが好ましく、例えば、シリコンアルコキシドを体積比で3〜8のアルコールに溶解し、アンモニア水溶液を加えて、温度を20〜70℃、pHを8〜13に調整して加水分解することにより平均粒子径が400nm以下のシリカ核粒子を生成させる。
【0017】
シリコンアルコキシドとしては、アルキルシリケート、(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)アルコキシシラン、テトラアルコキシシランの重合体などが例示される。アルキルシリケートとしては、メチルシリケート、エチルシリケート、ブチルシリケートなどがあり、取扱い性、反応性の観点からエチルシリケートが好ましい。アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラアルコキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体が好適である。
【0018】
シリコンアルコキシドを溶解するアルコールは、水溶性であれば特に制限はなく、メタノール、エタノールなど使用することができる。但し、上記シリカゾルを生成する際の加熱温度は、アルコールの沸点以下で行うことが好ましい。
【0019】
このようにしてシリカ核粒子を生成させたシリカゾルに、(A)シリコンアルコキシドとアルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し、温度およびpHを制御してシリコンアルコキシドを加水分解してシリカ核粒子を粒成長させる。具体的には、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解することにより、シリカ粒子を900nm程度に大粒化する。
【0020】
次いで、(B)再びシリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し温度およびpHを制御してシリコンアルコキシドを加水分解する。
具体的には、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解することによりシリカ粒子を更に粒成長させて大粒化するとともに、大粒子中に小粒子を形成させる。
【0021】
このようにして、核粒子となる平均粒子径が400nm以下のシリカ粒子が分散したシリカゾルに、シリコンアルコキシド、アルコール、アンモニア水溶液の量比を変えて添加し、シリコンアルコキシドの加水分解を少なくとも(A)、(B)2段階の異なる条件下で行うことにより、粒子径の大きいシリカ粒子と粒子径の小さいシリカ粒子を生成させ、シリカ粒子の粒度分布が2つのピークを有する二峰性のシリカゾルが調製される。
【0022】
この場合、シリコンアルコキシド、アルコール、アンモニア水溶液の量比を変え、また加水分解時の温度およびpHを調整することにより、二峰性のシリカゾルの粒度特性を制御して、シリカ大粒子の平均粒子径Dlを500〜2000nm、シリカ小粒子の平均粒子径Dsを10〜500nmに、またその比Dl/Dsを2〜100に制御することにより、高密度、高強度の炭化ケイ素焼結体を製造する上で好適な粒度特性を有する炭化ケイ素粉末を製造することができる。
【0023】
このようにして得られたシリカ粒子の粒度分布が2つのピークを有する二峰性のシリカゾルに水を加えて希釈した後、希釈液にフェノール類とホルムアルデヒドおよびアンモニア水溶液を添加して、フェノール類とホルムアルデヒドを重合させることにより、シリカ粒子の周囲にフェノール類・ホルムアルデヒドの重合物を生成させ、シリカ粒子の核(コア)を、フェノール樹脂で被覆(シェル)した、コア・シェル構造のSiC前駆体を作製する。
【0024】
希釈液はシリカゾルに体積比で0.5〜2倍量の水を加えて希釈することが好ましい。水の添加量が0.5倍量以下ではフェノール類を溶解し得る量が著しく少なく、一方2倍量以上ではフェノール類およびホルムアルデヒドの濃度が希薄となり、いずれも重合反応が円滑に進まなくなるためである。
【0025】
なお、コア・シェル構造のSiC前駆体は、フェノール樹脂とシリカ粒子の割合が体積比でシリカ粒子100に対してフェノール樹脂が33〜500程度となるように調整することが好ましく、例えば、フェノール類に対してホルムアルデヒドをモル比で0.5〜3の範囲で加えて重合させることが好ましい。
【0026】
重合によって得られるフェノール樹脂の体積比が33以下ではシリカ粒子を完全に被覆することができないためであり、また、フェノール樹脂の体積比が500以上となると焼成して樹脂を炭化した際の遊離炭素分が多くなるので、その除去に多くの手間が掛かり、生産性が低下することになる。
【0027】
重合反応は、室温〜100℃の温度範囲内で、pH9〜13の条件で行うことが好ましい。室温以下では重合反応の反応速度が遅く、100℃以上では溶媒の揮散が生じるうえ反応が極めて早く進むために、反応暴走するおそれがあるからである。また、pHが6〜8の中性付近では反応が極めて遅く、更にpH5以下では重合物がゲル化したり、スポンジ状となり、微粉末とするためには粉砕処理が必要となるなどのためである。
【0028】
なお、フェノール類としては、ホルムアルデヒドとの反応により重合物を生成するものであれば何れも使用でき、フェノール、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール、1、3ジヒドロキシベンゼン、1、4ジヒドロキシベンゼンなどが例示され、好ましくは1、3ジヒドロキシベンゼンが用いられる。
【0029】
このようにして作製した粒度分布が二峰性のシリカ粒子を核(コア)として、その周囲をフェノール樹脂で被覆(シェル)した、コア・シェル構造のSiC前駆体をろ過分離して、50〜150℃で乾燥した後、無酸素雰囲気下800〜1000℃で熱処理してフェノール樹脂を焼成し、炭化する。
【0030】
この焼成、炭化処理により、シリカ(SiO)をコアとして、その周囲を樹脂炭化物が被覆したC/SiO構造のSiC前駆体の焼成炭化物が得られる。なお、焼成熱処理時の温度が800℃以下では焼成炭化が不十分となり、一方1000℃以上の温度ではシリカの炭素による還元反応が生じることになり、好ましくない。
【0031】
次に、このSiC前駆体を熱処理して得られたC/SiO構造の焼成炭化物をHe、Ne、ArやNなどの不活性雰囲気下1400〜2200℃の温度で熱処理してシリカを炭素により熱還元して、SiO+C→SiO+CO、SiO+2C→SiC+CO、の反応により珪化する。なお、熱処理温度が1400℃以下ではこの反応の進行が遅く、また2200℃以上ではSiCが分解するためである。
【0032】
なお、珪化した生成物には遊離炭素が存在するので、これを除去する必要があり、遊離炭素の除去は、例えば空気中で1000℃以下の温度で加熱して遊離炭素を燃焼除去する方法が簡便であり好ましい。但し、1000℃以上の温度ではSiCの酸化が生じる。このようにして炭化ケイ素粉末が製造される。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0034】
実施例1
テトラエトキシシラン35gをエタノール175g(体積比で5.8倍量)に溶解し、濃度3%のアンモニア水溶液70gを加えて撹拌し、温度25℃、pH12に調整してテトラエトキシシランを加水分解して、核粒子となるシリカ粒子の平均粒子径が370nmのシリカゾルを作製した。
【0035】
このシリカゾル280gに、(A)テトラエトキシシラン350g、エタノール1750g、3%のアンモニア水溶液700gを加えて撹拌し、温度25℃、pH12に調整して、テトラエトキシシランを加水分解してシリカ核粒子を平均粒子径920nmに粒成長させて大粒化を図った。
【0036】
次いで、(A)のシリカゾル全量の1/10を分取したのち、(B)テトラエトキシシラン35g、エタノール175g、および3%のアンモニア水溶液70gを加えて撹拌して温度40℃、pH12に調整し、テトラエトキシシランを加水分解してシリカ粒子を大粒化し、平均粒子径Dlを1480nmに成長させて大粒化するとともに、大粒子中に小粒子を形成して平均粒子径Dsが280nmの二峰性の粒度分布を有するシリカゾルを調製した。
【0037】
このシリカゾルに体積比で1:1のイオン交換水を加えて希釈した後、希釈液に1、3ジヒドロキシベンゼンと、その2倍量(モル比)のホルムアルデヒドを添加、攪拌した。なお、1、3ジヒドロキシベンゼンの添加量は、1、3ジヒドロキシベンゼンとホルムアルデヒドが重合して生成するフェノール樹脂の体積比がシリカゾル中のシリカ粒子の300%となるように設定した。
【0038】
次いで、アンモニア水溶液を添加してpH12に調整し、室温で攪拌混合して1、3ジヒドロキシベンゼンとホルムアルデヒドを重合させて、シリカ粒子を核として、その周囲を重合物であるフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を含む懸濁液を作製した。この懸濁液をろ過して固形分のみを分離して取り出し、SiC前駆体を作製した。
【0039】
このSiC前駆体を100℃で乾燥したのち酸素を遮断した無酸素雰囲気下に900℃の温度で熱処理して焼成炭化し、シリカ(SiO)をコアとして、その周囲を樹脂炭化物が被覆したC/SiO構造のSiC前駆体の焼成炭化物を得た。
【0040】
次に、この焼成炭化物をArガス雰囲気中、1700℃の温度で熱処理して、SiOをCで熱還元して珪化した後、空気中で800℃に加熱して遊離炭素を燃焼除去して、炭化ケイ素粉末を製造した。
【0041】
実施例2
実施例1において、(B)の加水分解をアンモニア水溶液添加量35g、温度35℃、pH11とした他は、実施例1と同じ方法で炭化ケイ素粉末を製造いた。
【0042】
実施例3
実施例1において、(B)の加水分解をアンモニア水溶液添加量140g、温度70℃、pH13とした他は、実施例1と同じ方法で炭化ケイ素粉末を製造いた。
【0043】
比較例1
実施例1において、(A)、(B)の加水分解を行わない他は全て実施例1と同じ方法で炭化ケイ素粉末を製造した。
【0044】
比較例2
実施例1において、(B)の加水分解を行わない他は全て実施例1と同じ方法で炭化ケイ素粉末を製造した。
【0045】
このようにして製造した炭化ケイ素粉末について、レーザー回折方式により粒度分布を測定して平均粒子径を求めた。得られた結果を製造方法と対比して表1〜2に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
次に、これらの炭化ケイ素粉末のタップ密度を測定して、粉体充填性を比較した。なおタップ密度はJIS R1628−1997「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」の定容積測定法によって測定した。
【0049】
【表3】

【0050】
表1〜3より、二峰性のシリカゾルを用いて製造した実施例のSiC粉末は粉体充填性が高く、一方、単一粒度分布のシリカゾルより生成した比較例のSiC粉末は実施例に比べて粉体充填性が劣るものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンアルコキシドとアルコールの混合溶液にアンモニア水溶液を添加して撹拌し、加水分解してシリカゾルを調製する際に、加水分解時の温度およびpHを調整して核粒子となるシリカ粒子の平均粒子径が400nm以下のシリカゾルを生成した後、
(A)該シリカゾルに、シリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解して、前記シリカ核粒子の大粒化を図り、
(B)次いで、シリコンアルコキシド、アルコールおよびアンモニア水溶液の量比を変えて添加、混合し、温度を35℃〜アルコールの沸点未満、pHを8〜13に設定して加水分解して、更にシリカ核粒子を大粒化するとともに、大粒中で小粒子を形成させる、
少なくとも(A)、(B)2段階の異なる条件で加水分解して、シリカ粒子の粒度分布が二峰性のシリカゾルを調製し、その後、フェノール類とホルムアルデヒドおよびアンモニア水溶液を添加して重合し、シリカ粒子を核としてその周囲をフェノール樹脂で被覆したコア・シェル構造のSiC前駆体を作製し、無酸素雰囲気下800〜1000℃で熱処理して焼成し、次いで、不活性雰囲気下1400〜2200℃で熱処理して珪化することを特徴とする炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項2】
二峰性の粒度分布を有するシリカゾルのシリカ大粒子の平均粒子径Dlが500〜2000nm、シリカ小粒子の平均粒子径Dsが10〜500nmである、請求項1記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。
【請求項3】
シリカ大粒子の平均粒子径Dlとシリカ小粒子の平均粒子径Dsとの比Dl/Dsが2〜100である、請求項1記載の炭化ケイ素粉末の製造方法。

【公開番号】特開2008−150263(P2008−150263A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342076(P2006−342076)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000219576)東海カーボン株式会社 (155)
【Fターム(参考)】