炭酸ガスインジケーター、及び包装体
【課題】水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターを得る。
【解決手段】指示部を２層以上の炭酸ガス検知層を積層した多層指示部とし、炭酸ガス検知層を形成するための炭酸ガス検知用インキ組成物中の多価アルコールの濃度が互いに異なる。好ましくは、多価アルコール濃度の低い炭酸ガス検知層を内容物に近い方に配置し、それよりも多価アルコール濃度が高い炭酸ガス検知層を内容物から遠い方に配置する。これにより、内容物からの水分に対し、吸水性能の低い炭酸ガス検知層がバッファとして働き、吸水性能の高い炭酸ガス検知層への吸水量を制御することが出来る。このため、指示部の外観不良を防ぐことが出来る。
【解決手段】指示部を２層以上の炭酸ガス検知層を積層した多層指示部とし、炭酸ガス検知層を形成するための炭酸ガス検知用インキ組成物中の多価アルコールの濃度が互いに異なる。好ましくは、多価アルコール濃度の低い炭酸ガス検知層を内容物に近い方に配置し、それよりも多価アルコール濃度が高い炭酸ガス検知層を内容物から遠い方に配置する。これにより、内容物からの水分に対し、吸水性能の低い炭酸ガス検知層がバッファとして働き、吸水性能の高い炭酸ガス検知層への吸水量を制御することが出来る。このため、指示部の外観不良を防ぐことが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品、飲料、及び薬品等を長期間保存するためのガス置換包装中の置換されたガス雰囲気が保持されていることを検出するための炭酸ガス検知用インキ組成物を用いた炭酸ガスインジケーター、及びこれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、炭酸ガスを含む置換ガスを封入したガス置換包装のピンホール、及びシール不良の発生によるガス雰囲気の変化を簡単に確認し得る種々の炭酸ガスインジケーターが上市されている。
【０００３】
この炭酸ガスインジケーターは、ｐＨ指示薬を含み、周囲雰囲気中の炭酸ガスが十分に存在すると、炭酸ガスインジケーター中の水に炭酸ガスが溶けて弱い酸性を示し、ｐＨ値が低くなり、これに伴って、ｐＨ指示薬の色調が変化する。また一方、ピンホール等で周囲雰囲気中の炭酸ガス濃度が低下するに従ってｐＨ値が上がり、これに伴って、ｐＨ指示薬の色調が変化する。このｐＨ指示薬の色調の変化を利用して、周囲雰囲気の炭酸ガス濃度の変化を視覚的に検知することができる（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
この炭酸ガスインジケーターの指示部は、ｐＨ指示薬及びバインダーを含有する炭酸ガスインジケーター用インキ組成物を用いて印刷することができる。また、そのインキ層は、鮮明な色調変化と、十分な発色のために２層以上重ねて形成することが望ましい。
【０００５】
しかしながら、これらの炭酸ガスインジケーターは、高温多湿の条件下では、インジケーターインキ層に過剰な水分が寄り集まって水溜りとなり外観が損なわれるという問題があった。外装体内の相対湿度は、内容物や外部の温湿度、内部空間容積によって変わってくる。特に、内容物によるところが大きい。食品や飲料、医薬品はそれぞれ固有の水分活性（相対湿度（％ＲＨ）＝水分活性［−］×１００）を持っており、内容物により外装体内の湿度が大きく変わる要因となっている。例えば、コーヒー、のり、お茶、米菓、ビスケット、チョコレートは０．１〜０．５、米、キャラメル、煮干、医療用アンプルは０．５〜０．７、味噌、生菓子、団子、パン粉、チーズ、ちくわ、餅、飲料、医療用薬液バッグ等は０．７〜１を示す。水分活性が高いものほど相対湿度が高くなり、インジケーターの外観が損なわれる原因となる。
【特許文献１】国際公開第０１／０４４３８５号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第１の目的は、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターを提供することにある。
【０００７】
また、本発明の第２の目的は、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターを設けた包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を具備し、
該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする。
【０００９】
本発明の包装体は、支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を有する炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したものであって、該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明を用いると、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、支持体上に、ｐＨ指示薬、結合剤、及び溶媒として多価アルコールを含む炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部を有する。
【００１２】
本発明に使用される指示部は、２以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部である。この２以上の炭酸ガス検知層は、それぞれ、その多価アルコール濃度の異なる炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて形成される。
【００１３】
また、本発明の包装体は、基材と、基材上にｐＨ指示薬、結合剤、及び溶媒として多価アルコールを含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部とを含む炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したものであって、使用される指示部は、２以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部であり、２以上の炭酸ガス検知層は、それぞれ、その多価アルコール濃度の異なる炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて形成される。
【００１４】
溶媒として使用される多価アルコールは、保湿剤として作用し、指示部となるインキ層中に適度な水分を保持して炭酸ガスの吸収を容易にせしめ、ｐＨ指示薬の呈色反応を促進させることができる。
【００１５】
本発明によれば、指示部を構成する炭酸ガス検知層を２層以上積層すると、内容物からの例えば水蒸気などの水分は、内容物に近い方の炭酸ガス検知層を介して内容物から遠い方の炭酸ガス検知層に到達するため、吸水量の配分が適度に制御されて、指示部における過剰な吸水による外観不良が発生しにくくなる。
【００１６】
好ましくは、多価アルコール濃度の低い炭酸ガス検知層を内容物に近い方に配置し、それよりも多価アルコール濃度が高い炭酸ガス検知層を内容物から遠い方に配置することが出来る。これにより、内容物からの水分に対し、吸水性能の低い炭酸ガス検知層がバッファとして働き、吸水性能の高い炭酸ガス検知層への吸水量を制御することが出来る。このため、指示部の外観不良を防ぐことが出来る。
【００１７】
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。より好ましくはグリセリンを使用することができる。
【００１８】
多価アルコールの添加量は、インキ組成物に１重量％〜１０重量％が好ましい。本発明においては、多価アルコール濃度の低い方の炭酸ガス検知層では１重量％〜４重量％、多価アルコール濃度の高い方の炭酸ガス検知層では４重量％〜７重量％が好ましい。
【００１９】
本発明に用いられる多層指示部は、複数の積層された炭酸ガス検知層を含み得る。積層の数が増加して、インキ組成物の量が増加すると、吸収可能な水の量が増加して、外観不良が起こり易くなるため、積層数は、２ないし３層が好ましい。また、炭酸ガス検知層一層の厚さは、１μｍ以下であることが好ましい。また、印刷により均一な層を形成するために、一層の厚さは０．５μｍ以上であることが好ましい。
【００２０】
ｐＨ指示薬としては、炭酸ガスの影響で色調変化を伴うもの、またはアルカリ性物質の濃度変化に応じたｐＨの変動に対して色調変化を伴うものであれば、どのようなものでも使用できる。
【００２１】
下記表１に好ましいｐＨ指示薬及びその呈色範囲を示す。
【表１】
【００２２】
特に好ましいｐＨ指示薬としては、安全性及び呈色反応の変化がわかりやすいことなどからメタクレゾールパープルがあげられる。
【００２３】
本発明のインキ組成物には、好ましくは、０より大きく５重量％以下のアルカリ性物質を添加することができる。５重量％を超えるアルカリ性物質を添加しても、その効果は同等となる傾向がある。
【００２４】
本発明に用いられるアルカリ性物質は、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレンイミンなどの有機アルカリ、及び水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ及びアンモニア等から選択することができる。
【００２５】
上記多価アルコールと共に、本発明に使用し得る溶媒としては、本発明のインキ組成物の各成分を均一にかつ安定に溶解または分散することのできるものが選択され、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素、エステル類、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。特に、アルコール類が好ましい。
【００２６】
また、色素、アルカリ性物質等を溶解させてインキ組成物とし、且つインジケーターとしての良好な発色を得るためには、溶媒にさらに水が含まれることが好ましい。本発明に用いられる多価アルコール及び溶媒の重量と、水の重量との割合としては、水１重量部に対して、溶媒が１ないし３重量部であることが好ましい。溶媒の添加量が３重量部を超えると、水の割合が少なくなり発色が悪くなるので、十分な発色が得られず色調の変化が判別不可となる傾向がある。また、溶媒が１重量部未満であると、水の割合が多くなり、高湿度条件下で外観不良が発生する傾向がある。
【００２７】
バインダ樹脂は、ｐＨ指示薬等の構成成分を支持体上に固着するために使用するもので、被膜形成後に水を吸って膨潤したり、水に溶解したりするような樹脂は不適であり、水を保持するような樹脂を用いる。このような結合剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、酢酸ビニル部分ケン化物等があげられる。
【００２８】
上記表１に示すｐＨ指示薬は、指示薬そのものの色調の変化で判断するだけでなく、他の色の色素との混色による色調の変化で判断することができる。
【００２９】
このような目的で、本発明の炭酸ガス検知用インキ組成物には、着色剤を添加することができる。
【００３０】
着色剤を添加して、炭酸ガス検知用インキ組成物の色と混色させることにより、例えば指示薬そのものの色調の変化が視覚的に判断しにくいものであるとき、あるいはデザイン上所望の色調でないとき、視覚的に判断しやすい色調、あるいはデザイン上所望の色調に変化させることができる。
【００３１】
また同様の目的で、白以外の着色された支持体を適用し、その上に、本発明の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いた炭酸ガス検知層を設けることができる。
【００３２】
本発明に使用される着色剤としては、例えば食用赤色２号（アマランス）、食用赤色３号（エリスロシン）、食用赤色４０号（アルラレッドＡＣ）、食用赤色１０２号（ニューコクシン）、食用赤色１０４号（フロキシン）、食用赤色１０６号（アシッドレッド）、及び天然系コチニール色素等の赤色着色剤、食用黄色４号（タートラジン）、食用黄色５号（サンセットイエローＦＣＦ）、及び天然系紅花黄色素等の黄色着色剤、食用青色１号（ブリリアントブルーＦＣＦ）、及び食用青色２号（インジゴカルミン）等の青色着色剤があげられる。
【００３３】
インキ組成物に着色剤を添加する以外に、支持体として着色されたものを用いることにより、同様の色調の変化が得られる。
【００３４】
また、この他インキの塗工性向上のため、炭酸ガス検知用インキの発色に影響を与えない範囲で各種薬剤例えば界面活性剤、ニス、コンパウンド、乾燥抑制剤、及びドライヤー等を添加することも可能である。
【００３５】
支持体へのインキの塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。
【００３６】
本発明に用いられる多層指示部の形成には、インキ組成物の塗布量が比較的多く、一定であることが望まれることから、印刷法を用いることが好ましい。
【００３７】
本発明に用いられる指示部を外装体に印刷し、本発明のインジケーターを有する包装体を作成することができる。
【００３８】
例えば支持体に多層指示部を連続して印刷し、ヒートシール及び切断することにより包装袋を加工する場合には、支持体が巻き取り供給され得ることから、グラビア印刷やフレキソ印刷が適している。支持体としては、本発明のインキ組成物と反応せず、しかも試薬の呈色を阻害しないものが選択され得る。このような支持体として、例えば紙、合成紙、不繊布または合成樹脂フィルムを用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のフィルム、及びこれらフィルムにシリカ、あるいはアルミナ蒸着層を設けた透明蒸着フィルム等を、目的、使用形態に合わせて用いることができる。
【００３９】
また、指示部は、文字、絵柄等のパターンを有するインキ層からなることが好ましい。特に指示部として文字を選択した場合、商品名等を印刷したラベルと兼用することもできる。
【００４０】
本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターの使用形態としては、（１）食品、飲料、薬品等の内容物を収納するガスバリアー性材料からなる容器内を炭酸ガス雰囲気とし、容器内に炭酸ガスインジケーターを配置する方法、（２）内容物を収容するガス透過性材料からなる容器をガスバリアー性材料からなる外装体で包装し、該外装体内を炭酸ガス雰囲気にすると共に外装体内に炭酸ガスインジケーターを配置する方法を例示することができる。
【００４１】
より具体的には、上記（１）の場合、炭酸ガスインジケーターを配置する方法としては、例えば紙、合成紙、不織紙、合成樹脂フィルム、または前記材料の少なくとも２種を組み合わせた積層体からなる支持体に印刷した炭酸ガスインジケーターを単に容器内に入れる方法、容器内面に炭酸ガスインジケーターを接着する方法、または容器を構成する材料を支持体とすることによって容器内面に上述のインキ組成物を直接印刷する方法がある。
【００４２】
一方、上記（２）の場合、前述の炭酸ガスインジケーターの配置は、容器の外面、容器と外装体の間の空間部、及び外装体の内面とすることができる。容器の外面または外装体の内面に炭酸ガスインジケーターを配置する方法としては、該インジケーターをこれらの面に接着する方法、あるいは本発明に用いられるインキ組成物を直接これらの面に印刷する方法がある。
【００４３】
なお、上記（１）におけるガスバリアー性材料からなる容器の内面、上記（２）におけるガス透過性容器の外面又はガスバリアー性材料からなる外装体の内面にインキ組成物を直接印刷する場合は、フィルムにインキ組成物を印刷後、印刷面をガス透過性フィルムで被うことも可能であり、被覆した場合は内容物又は容器との接触がなく、衛生的であり且つ指示部の摩耗も防ぐことができるので好適である。
【００４４】
本発明の炭酸ガスインジケーターが適用され得る食品、飲料、及び薬品としては、酸素と接触して変質するおそれのあるもの、あるいは炭酸ガスの放出によって、品質の劣化や薬効が失われるおそれのものなどがある。
【００４５】
食品、飲料としては、例えばお茶、コーヒー、チーズ、ハム、味噌、及び生肉などをあげることができる。
【００４６】
薬品の例としては、例えば重炭酸塩含有薬液、アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤、抗生物質製剤等をあげることができる。
【００４７】
本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターは、外観不良が生じないように、吸水性が調整された指示部を有しているので、本発明の包装体には、外装体内の相対湿度が５０％ないし１００％となるような内容物を封入することが出来る。
【００４８】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【００４９】
図１は、本発明の炭酸ガスインジケーターの多層指示部の断面図である。
【００５０】
図示するように、この炭酸ガスインジケーターの指示部は、例えばメタクレゾールパープル、炭酸ナトリウム、ポリビニルアセタール樹脂、微結晶セルロース、及び水からなる炭酸ガス検知用インキ組成物を円形状のパターンで支持体５上にスクリーン印刷により塗布して得られた炭酸ガス検知層１、及び炭酸ガス検知層２を積層した多層指示部４で構成される。
【００５１】
図２は第１の例を表す正面図、図３はその断面図である。
【００５２】
図示するように、このインジケーター１０は、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体５の両面に、指示部４を有し、その周囲を炭酸ガス透過性を有する例えば多孔性のフィルム７で包囲した構成を有する。このインジケーターの指示部は、通常の空気中では、紫色を呈している。なお、図２及び図３では、支持体１の両面に指示部４を設けたが、片面のみに指示部を設けた構成も適用し得る。また、このインジケーターは、通気性フィルム７で包囲されているが、通気性フィルム７を用いないで、そのまま使用することができる。
【００５３】
図４は、本発明の炭酸ガスインジケーターの第２の例の構成を表す断面図を示す。
【００５４】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター７０は、片面のみに指示部を設けた例であって、支持体として例えばポリエステル樹脂にシリカを蒸着したフィルムからなる炭酸ガス不透過性を有する層７１と、この炭酸ガス不透過性を有する層７１上に指示部４と、炭酸ガス不透過性を有する層７１上に設けられた指示部４を封止するように形成された、例えばポリエチレンフィルムからなる炭酸ガス透過性を有する層７３とから構成される。
【００５５】
ここで、炭酸ガス不透過性とは、約２３℃、約４０％ＲＨで、５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下の炭酸ガス透過率を有することをいう。
【００５６】
また、炭酸ガス透過性とは、約２３℃、約４０％ＲＨで、５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上の炭酸ガス透過率を有することをいう。
【００５７】
この炭酸ガスインジケーター７０は、炭酸ガス透過性を有する層７３側からのみ炭酸ガスを透過して検知し、支持体側からは炭酸ガスを透過しない構成を有する。例えば支持体として包装体の外装体等を使用し、炭酸ガス不透過性を有する層７１を外側に、炭酸ガス透過性を有する層７３が内側になるように包装体を作成し、この炭酸ガスインジケーター７０が包装体内部で機能するように、包装体を構成することができる。このようにして得られた包装体は、雰囲気の変化に対する応答性に優れ、かつ炭酸ガスの保持性が良好であるため内容物の保存性に優れる。
【００５８】
炭酸ガスを透過すべき層の炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）より低いと、炭酸ガス雰囲気変化へ対する応答が遅くなり、判定を誤るおそれがある。
【００５９】
また、例えば包装体を構成する場合、炭酸ガスを不透過にすべき層の炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）より高いと、包装体内の炭酸ガス雰囲気を保持することができない。
【００６０】
本発明に使用可能な炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下の樹脂フィルムとしては、ポリエステル（ＰＥＴ）フィルムやナイロン（Ｎｙ）フィルム等の合成樹脂からなる基材フィルム上にシリカやアルミナ等を蒸着した透明蒸着フィルム、及びポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）フィルム、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＯＨ）フィルム等があげられる。
【００６１】
これらのフィルムは単独であるいは積層して使用することができる。また、使用目的に応じた強度や耐熱性等を得るために他の樹脂フィルムを積層することができる。例えば、突き刺し強度を得るために、ナイロンフィルム等を積層することができる。
【００６２】
本発明に用いる炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上であるフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン類があげられる。なお、低密度ポリエチレンや未延伸ポリプロピレンはヒートシール性を有しており、包装袋内層として最適である。
【００６３】
指示部が印刷された支持体と、炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下のフィルムと、炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上のフィルム、及びその他のフィルムを貼り合わせる方法としては、公知の方式が利用可能であり、例えば接着剤を用いたドライラミネーションが利用可能である。
【００６４】
図５は、本発明の炭酸ガスインジケーターの第３の例の構成を表す断面図を示す。図示するように、この炭酸ガスインジケーター５０は、例えばアルミナ蒸着層（図示せず）を有するナイロンフィルム５５と、これに接着剤層５６を介して積層された、アルミナ蒸着層（図示せず）を有するポリエステルフィルム５７とからなる支持体１と、支持体１上に形成されたアンカーコート層５１と、アンカーコート層５１上に前記指示部４と指示部４が印刷されたアンカーコート層５１上に、この指示部４を封止するように形成されたオーバーコート層５２とから構成される。このインジケーターの指示部４は、通常の空気中では、紫色を呈している。
【００６５】
指示部４中のｐＨ指示薬は、溶媒例えば水やアルコール化合物などの親水性溶媒を介して反応する。このため指示部４は、このような溶媒を含み得る。このため、指示部４は、水がたまりやすく、外観不良を起こしやすい。また、指示部４は、外的衝撃に弱く、この指示部４及びその周辺で剥離、破断し易い。この炭酸ガスインジケーター５０のように、指示部４をアンカーコート層５１とオーバーコート層５２で挟み込むことにより、指示部４を構成する炭酸ガス検知用インキ組成物を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止することができる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性が良好となる。
【００６６】
このアンカーコート層５１としては、非水溶性であり、支持体５とその上に形成される指示部４との密着性が良好な材料を、また、オーバーコート層５２としては、炭酸ガス透過性、指示部４との密着性、及び任意に指示部４上にさらに設けられ得る例えば接着剤層または他の樹脂層との密着性が良好な材料を好ましく使用することができる。
【００６７】
このような材料として、例えばウレタン系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【００６８】
なお、ここでは、支持体４の片面のみに指示部を設けたが、支持体５の両面に指示部４を設けた構成も適用し得る。また、支持体５の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【００６９】
また、図６は、炭酸ガスインジケーターの第４の例の構成を表す断面図である。
【００７０】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター６０は、上述の炭酸ガスインジケーター５０の改良例であって、アンカーコート層５１の代わりに、支持体１上に第１のアンカーコート層５３と第２のアンカーコート層５４の積層構造が使用されていること以外は、図５に示す炭酸ガスインジケーターと同様の構造を有する。好ましくは第１のアンカーコート層５３の周縁部とオーバーコート層５２とが密着されることにより指示部４及び第２のアンカーコート層５４が２つの層５２，５３内に封入されている。第１のアンカーコート層としては、支持体５と密着性の良い非水溶性材料例えばウレタン系樹脂等が好ましく使用される。また、第２のアンカーコート層としては、第１のアンカーコート層及び指示部４との密着性が良好であり、さらに好ましくは親水基を有し、水を含む指示部５に対し保水効果を有する材料例えばブチラール系樹脂等が好ましく使用される。
【００７１】
オーバーコート層としては例えばウレタン系樹脂等を用いることができる。アンカーコート層及びオーバーコート層の塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。この炭酸ガスインジケーター６０では、アンカーコート層を２層に分けて形成しているので、第１のアンカーコート層５３により、支持体５と指示部４との密着性を強固にする作用、第２のアンカーコート層５４により、少なくとも指示部４中のｐＨ指示薬が機能するために十分な量の水分を確保する作用が得られる。従って、炭酸ガスインジケーター６０は、図５に示す炭酸ガスインジケーター５０のように、アンカーコート層を１層だけ形成するよりも、より強固な密着性と、指示部に対するより効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性がさらに良好となる。
【００７２】
なお、ここでは、支持体５の片面のみに指示部を設けたが、支持体５の両面に指示部４を設けた構成も適用し得る。また、支持体５の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【００７３】
図７に、本発明にかかるガス置換包装体の第１の例を表す図を示す。図示するように、このガス置換包装体２０は、例えば薬液、飲料等の内容物を収納したポリエチレン製の容器１１と、炭酸ガスインジケーター１０とを、置換ガスとして窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２に封入した構成を有する。
【００７４】
この包装体中のインジケーターの指示部４は、封入時には黄色を呈している。しかしながら、包装体にピンホールあるいはシール不良等が発生し、置換ガスが漏れ出して代わりに周囲の大気が混入すると、包装体内の炭酸ガス濃度が低下する。このため、インジケーター１０周囲のガス雰囲気が変化して、指示部４の色調が黄色からうす茶色、さらには紫色へとｐＨに応じて変化する。この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含む雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。
【００７５】
なお、炭酸ガスインジケーター１０の代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００７６】
図８には、本発明にかかるガス置換包装体の第２の例を示す。
【００７７】
図示するように、包装体３０は、例えばブロック生肉等の内容物を真空包装したポリエチレンフィルム製の容器１４の表面に、容器１４の外装部を支持体とし、本発明のインキ組成物を用いてスクリーン印刷により形成された指示部４と、この指示部４上に被覆された通気性材料からなる被覆層８とを有する炭酸ガスインジケーター１８を設け、置換ガスとして窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２で封入した構成を有する。また、被覆層８を設けない以外は、図８の包装体３０と同様の構成を有する包装体とすることもできる。
【００７８】
この包装体３０でも、図７に示す包装体と同様に、この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含むガス雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。
【００７９】
なお、炭酸ガスインジケーター１８の代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第２の例、第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００８０】
図９には、本発明にかかるガス置換包装体の第３の例を示す。
【００８１】
図７、図８に示した包装体以外に、図９に示すように指示部４を外装体１２上に印刷、又は指示部４を設けた支持体５からなるインジケーター１０を外装体１２に接着する等の方法で、包装体と一体化して使用しても良い。
【００８２】
この包装体４０は、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２と、外装体１２内面に、外装体１２を支持体として本発明のインキ組成物を用いて例えばスクリーン印刷により設けられた指示部４とを有する炭酸ガスインジケーターとから構成される。この包装体４０は、例えば２枚の積層フィルムを指示部４を内側にして配し、その間に内容物１６を配置した後、窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３で置換しながら、外装体１２周辺をヒートシールにより気密に封止することにより形成され得る。
【００８３】
図１０には、本発明にかかるガス置換包装体の第３の例に使用し得る炭酸ガスインジケーターの構造の一例を表す図を示す。
【００８４】
外装体１２を支持体として、本発明のインキ組成物を用いて指示部４を印刷したインジケーターの場合、図１０に示すように、外装体１２を構成するガスバリアー層を含む積層体３１のガスバリアー層３２の内面に指示部４を設け、指示部４の内面側を炭酸ガス透過性の保護フィルム３３で覆うことも可能である。
【００８５】
このように指示部４が露出しない構成とすることにより、指示部４が直接、容器又は内容物と接触することがなく、また製造工程中や輸送中に指示部４が摩耗することを防ぐことができる。
【００８６】
なお、炭酸ガスインジケーターの代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第２の例、第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００８７】
図１１には、本発明に係る炭酸ガスインジケーターの第４の例を包装体の外装体に適用した例を表す断面図を示す。
【００８８】
図示するように、支持体となる外装体として、例えばアルミナ蒸着層（図示せず）を有するナイロンフィルム８１とアルミナ蒸着層（図示せず）を有するポリエステルフィルム８３とを接着剤層８２を介して積層して得られた積層フィルムを使用する。この積層フィルムと、その上に図６に示す炭酸ガスインジケーターの第４の例と同様に、第１のアンカーコート層５３と第２のアンカーコート層５４の積層構造、指示部４、及びオーバーコート層５２を順に設けることにより、炭酸ガスインジケーターが構成されている。また、この外装体上のその他の領域には、任意に、例えば商品名等の文字、あるいは画像等のパターンを有するインキ層１７を炭酸ガスインジケーター、８０の作製と平行して設けることができる。さらに、このオーバーコート層５２及びインキ層１７上には、例えば接着層７４を介して低密度ポリエチレンからなるシーラント層７５が設けられている。
【００８９】
このような炭酸ガスインジケーターが設けられた外装体を使用して例えば窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を置換ガスとして内容物を封止することにより炭酸ガスインジケーター付き包装体が得られる。得られた包装体では、指示部の強固な密着性と、指示部に対する効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーター付き包装体の長期安定性が良好となる。
【００９０】
実施例
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【００９１】
実施例１
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【００９２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン４重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
ウレタン樹脂４重量部、イソプロピルアルコール５重量部、酢酸エチル１０重量部、メチルエチルケトン５重量部、トルエン１０重量部
１２μｍ厚のポリエズテルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ１μｍ、炭酸ガス検知層ｂ１μｍ、オーバーコート層１μｍをグラビア印刷法により順次積層させ、その上に例えばポリエチレンフィルムからなる炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。得られた炭酸ガスインジケーターの炭酸ガス検知層ｂは、炭酸ガス検知層ａよりもグリセリンすなわち多価アルコールの含有量が少ない。
【００９３】
得られた炭酸ガスインジケーターをガスバリアー性基材からなる透明な外装体に入れて、内部を炭酸ガス５０％窒素５０％に置換し、重曹溶液入りの内容物を封入し内部の湿度が７０％の包装体を得た。
【００９４】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【００９５】
得られた結果を下記表２に示す。
【００９６】
なお、表中、外観は、外観に全く問題がない場合を◎、外観に多少の劣化が見られた場合を○、外観不良が生じた場合を×と評価した。
【００９７】
また発色は、発色の視認性が良好な場合を○、不十分な場合を×と評価した。
【００９８】
実施例２
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【００９９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【０１００】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０１】
実施例３
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして、包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【０１０３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０４】
実施例４
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にした包装体を得た。得られた炭酸ガスインジケーターの炭酸ガス検知層ｂは、炭酸ガス検知層ａよりもグリセリンすなわち多価アルコールの含有量が多い。
【０１０６】
上記各インキ組成物を使用し、得られた実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１０７】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０８】
実施例５
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１１０】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１１】
実施例６
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１１２】
酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１１３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１４】
実施例７
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１１５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを１層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを２層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１１６】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１１７】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察した。外観及び発色は確認されなかった。
【０１１８】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１９】
比較例１
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２０】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１２１】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２２】
比較例２
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２３】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ−プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。炭酸ガス置換時にインジケーター部の変色が起こらなかった。２４時間放置後変色が起こった。
【０１２４】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２５】
比較例３
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２６】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１２７】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２８】
比較例４
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１３０】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３１】
比較例５
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１３２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１３３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３４】
比較例６
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１３５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを１層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを３層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１３６】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１３７】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、指示部に水が溜まり、発色が悪くなった。
【０１３８】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３９】
比較例７
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１４０】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを３層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを１層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１４１】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１４２】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、指示部に水が溜まり、発色が悪くなった。
【表２】
【０１４３】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１４４】
食品、飲料、及び薬品等を長期保存するためのガス置換包装体中の置換されたガス置換雰囲気が保持されていることを検出するために適用できる。
【図面の簡単な説明】
【０１４５】
【図１】本発明の炭酸ガスインジケーターの指示部の断面図
【図２】本発明の炭酸ガスインジケーターの第１の例を示す正面図
【図３】図２の断面図
【図４】本発明の炭酸ガスインジケーターの第２の例の構成を表す断面図
【図５】本発明の炭酸ガスインジケーターの第３の例の構成を表す断面図
【図６】炭酸ガスインジケーターの第４の例の構成を表す断面図
【図７】本発明にかかるガス置換包装体の第１の例を表す図
【図８】本発明にかかるガス置換包装体の第２の例を表す図
【図９】本発明にかかるガス置換包装体の第３の例を表す図
【図１０】本発明にかかるガス置換包装体の第３の例に使用し得る炭酸ガスインジケーターの構造の一例を表す図
【図１１】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの第４の例を包装体の外装体に適用した例を表す断面図
【符号の説明】
【０１４６】
１、２…炭酸ガス検知層、４…指示部５…支持体、７、７３…炭酸ガス透過性フィルム、８…被覆層、１０、１８、５０、６０、７０、８０…炭酸ガスインジケーター、１１，１４，１６…容器、１２…外装体、１３…炭酸ガス含有ガス、１７…インキ層、２０、３０、４０…包装体、３１…積層体、３２…ガスバリアー層、３３…保護フィルム、５１…アンカーコート層、５２…オーバーコート層、５３…第１のアンカーコート層、５４・・・第２のアンカーコート層、５５、８１…ナイロンフィルム、５６、７４、８２…接着剤層、５７、８３…アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、７１…炭酸ガス不透過性フィルム、７５…シーラント層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、食品、飲料、及び薬品等を長期間保存するためのガス置換包装中の置換されたガス雰囲気が保持されていることを検出するための炭酸ガス検知用インキ組成物を用いた炭酸ガスインジケーター、及びこれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、炭酸ガスを含む置換ガスを封入したガス置換包装のピンホール、及びシール不良の発生によるガス雰囲気の変化を簡単に確認し得る種々の炭酸ガスインジケーターが上市されている。
【０００３】
この炭酸ガスインジケーターは、ｐＨ指示薬を含み、周囲雰囲気中の炭酸ガスが十分に存在すると、炭酸ガスインジケーター中の水に炭酸ガスが溶けて弱い酸性を示し、ｐＨ値が低くなり、これに伴って、ｐＨ指示薬の色調が変化する。また一方、ピンホール等で周囲雰囲気中の炭酸ガス濃度が低下するに従ってｐＨ値が上がり、これに伴って、ｐＨ指示薬の色調が変化する。このｐＨ指示薬の色調の変化を利用して、周囲雰囲気の炭酸ガス濃度の変化を視覚的に検知することができる（例えば、特許文献１参照）。
【０００４】
この炭酸ガスインジケーターの指示部は、ｐＨ指示薬及びバインダーを含有する炭酸ガスインジケーター用インキ組成物を用いて印刷することができる。また、そのインキ層は、鮮明な色調変化と、十分な発色のために２層以上重ねて形成することが望ましい。
【０００５】
しかしながら、これらの炭酸ガスインジケーターは、高温多湿の条件下では、インジケーターインキ層に過剰な水分が寄り集まって水溜りとなり外観が損なわれるという問題があった。外装体内の相対湿度は、内容物や外部の温湿度、内部空間容積によって変わってくる。特に、内容物によるところが大きい。食品や飲料、医薬品はそれぞれ固有の水分活性（相対湿度（％ＲＨ）＝水分活性［−］×１００）を持っており、内容物により外装体内の湿度が大きく変わる要因となっている。例えば、コーヒー、のり、お茶、米菓、ビスケット、チョコレートは０．１〜０．５、米、キャラメル、煮干、医療用アンプルは０．５〜０．７、味噌、生菓子、団子、パン粉、チーズ、ちくわ、餅、飲料、医療用薬液バッグ等は０．７〜１を示す。水分活性が高いものほど相対湿度が高くなり、インジケーターの外観が損なわれる原因となる。
【特許文献１】国際公開第０１／０４４３８５号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その第１の目的は、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターを提供することにある。
【０００７】
また、本発明の第２の目的は、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターを設けた包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を具備し、
該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする。
【０００９】
本発明の包装体は、支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を有する炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したものであって、該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
本発明を用いると、水分の多い条件下で使用しても外観が損なわれない指示部を有する炭酸ガスインジケーターが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本発明の炭酸ガスインジケーターは、支持体上に、ｐＨ指示薬、結合剤、及び溶媒として多価アルコールを含む炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部を有する。
【００１２】
本発明に使用される指示部は、２以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部である。この２以上の炭酸ガス検知層は、それぞれ、その多価アルコール濃度の異なる炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて形成される。
【００１３】
また、本発明の包装体は、基材と、基材上にｐＨ指示薬、結合剤、及び溶媒として多価アルコールを含有する炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて印刷された指示部とを含む炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したものであって、使用される指示部は、２以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部であり、２以上の炭酸ガス検知層は、それぞれ、その多価アルコール濃度の異なる炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて形成される。
【００１４】
溶媒として使用される多価アルコールは、保湿剤として作用し、指示部となるインキ層中に適度な水分を保持して炭酸ガスの吸収を容易にせしめ、ｐＨ指示薬の呈色反応を促進させることができる。
【００１５】
本発明によれば、指示部を構成する炭酸ガス検知層を２層以上積層すると、内容物からの例えば水蒸気などの水分は、内容物に近い方の炭酸ガス検知層を介して内容物から遠い方の炭酸ガス検知層に到達するため、吸水量の配分が適度に制御されて、指示部における過剰な吸水による外観不良が発生しにくくなる。
【００１６】
好ましくは、多価アルコール濃度の低い炭酸ガス検知層を内容物に近い方に配置し、それよりも多価アルコール濃度が高い炭酸ガス検知層を内容物から遠い方に配置することが出来る。これにより、内容物からの水分に対し、吸水性能の低い炭酸ガス検知層がバッファとして働き、吸水性能の高い炭酸ガス検知層への吸水量を制御することが出来る。このため、指示部の外観不良を防ぐことが出来る。
【００１７】
多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール等が使用可能である。より好ましくはグリセリンを使用することができる。
【００１８】
多価アルコールの添加量は、インキ組成物に１重量％〜１０重量％が好ましい。本発明においては、多価アルコール濃度の低い方の炭酸ガス検知層では１重量％〜４重量％、多価アルコール濃度の高い方の炭酸ガス検知層では４重量％〜７重量％が好ましい。
【００１９】
本発明に用いられる多層指示部は、複数の積層された炭酸ガス検知層を含み得る。積層の数が増加して、インキ組成物の量が増加すると、吸収可能な水の量が増加して、外観不良が起こり易くなるため、積層数は、２ないし３層が好ましい。また、炭酸ガス検知層一層の厚さは、１μｍ以下であることが好ましい。また、印刷により均一な層を形成するために、一層の厚さは０．５μｍ以上であることが好ましい。
【００２０】
ｐＨ指示薬としては、炭酸ガスの影響で色調変化を伴うもの、またはアルカリ性物質の濃度変化に応じたｐＨの変動に対して色調変化を伴うものであれば、どのようなものでも使用できる。
【００２１】
下記表１に好ましいｐＨ指示薬及びその呈色範囲を示す。
【表１】
【００２２】
特に好ましいｐＨ指示薬としては、安全性及び呈色反応の変化がわかりやすいことなどからメタクレゾールパープルがあげられる。
【００２３】
本発明のインキ組成物には、好ましくは、０より大きく５重量％以下のアルカリ性物質を添加することができる。５重量％を超えるアルカリ性物質を添加しても、その効果は同等となる傾向がある。
【００２４】
本発明に用いられるアルカリ性物質は、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレンイミンなどの有機アルカリ、及び水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ及びアンモニア等から選択することができる。
【００２５】
上記多価アルコールと共に、本発明に使用し得る溶媒としては、本発明のインキ組成物の各成分を均一にかつ安定に溶解または分散することのできるものが選択され、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素、エステル類、アルコール類、ケトン類等が挙げられる。特に、アルコール類が好ましい。
【００２６】
また、色素、アルカリ性物質等を溶解させてインキ組成物とし、且つインジケーターとしての良好な発色を得るためには、溶媒にさらに水が含まれることが好ましい。本発明に用いられる多価アルコール及び溶媒の重量と、水の重量との割合としては、水１重量部に対して、溶媒が１ないし３重量部であることが好ましい。溶媒の添加量が３重量部を超えると、水の割合が少なくなり発色が悪くなるので、十分な発色が得られず色調の変化が判別不可となる傾向がある。また、溶媒が１重量部未満であると、水の割合が多くなり、高湿度条件下で外観不良が発生する傾向がある。
【００２７】
バインダ樹脂は、ｐＨ指示薬等の構成成分を支持体上に固着するために使用するもので、被膜形成後に水を吸って膨潤したり、水に溶解したりするような樹脂は不適であり、水を保持するような樹脂を用いる。このような結合剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、酢酸ビニル部分ケン化物等があげられる。
【００２８】
上記表１に示すｐＨ指示薬は、指示薬そのものの色調の変化で判断するだけでなく、他の色の色素との混色による色調の変化で判断することができる。
【００２９】
このような目的で、本発明の炭酸ガス検知用インキ組成物には、着色剤を添加することができる。
【００３０】
着色剤を添加して、炭酸ガス検知用インキ組成物の色と混色させることにより、例えば指示薬そのものの色調の変化が視覚的に判断しにくいものであるとき、あるいはデザイン上所望の色調でないとき、視覚的に判断しやすい色調、あるいはデザイン上所望の色調に変化させることができる。
【００３１】
また同様の目的で、白以外の着色された支持体を適用し、その上に、本発明の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いた炭酸ガス検知層を設けることができる。
【００３２】
本発明に使用される着色剤としては、例えば食用赤色２号（アマランス）、食用赤色３号（エリスロシン）、食用赤色４０号（アルラレッドＡＣ）、食用赤色１０２号（ニューコクシン）、食用赤色１０４号（フロキシン）、食用赤色１０６号（アシッドレッド）、及び天然系コチニール色素等の赤色着色剤、食用黄色４号（タートラジン）、食用黄色５号（サンセットイエローＦＣＦ）、及び天然系紅花黄色素等の黄色着色剤、食用青色１号（ブリリアントブルーＦＣＦ）、及び食用青色２号（インジゴカルミン）等の青色着色剤があげられる。
【００３３】
インキ組成物に着色剤を添加する以外に、支持体として着色されたものを用いることにより、同様の色調の変化が得られる。
【００３４】
また、この他インキの塗工性向上のため、炭酸ガス検知用インキの発色に影響を与えない範囲で各種薬剤例えば界面活性剤、ニス、コンパウンド、乾燥抑制剤、及びドライヤー等を添加することも可能である。
【００３５】
支持体へのインキの塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。
【００３６】
本発明に用いられる多層指示部の形成には、インキ組成物の塗布量が比較的多く、一定であることが望まれることから、印刷法を用いることが好ましい。
【００３７】
本発明に用いられる指示部を外装体に印刷し、本発明のインジケーターを有する包装体を作成することができる。
【００３８】
例えば支持体に多層指示部を連続して印刷し、ヒートシール及び切断することにより包装袋を加工する場合には、支持体が巻き取り供給され得ることから、グラビア印刷やフレキソ印刷が適している。支持体としては、本発明のインキ組成物と反応せず、しかも試薬の呈色を阻害しないものが選択され得る。このような支持体として、例えば紙、合成紙、不繊布または合成樹脂フィルムを用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セロハン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のフィルム、及びこれらフィルムにシリカ、あるいはアルミナ蒸着層を設けた透明蒸着フィルム等を、目的、使用形態に合わせて用いることができる。
【００３９】
また、指示部は、文字、絵柄等のパターンを有するインキ層からなることが好ましい。特に指示部として文字を選択した場合、商品名等を印刷したラベルと兼用することもできる。
【００４０】
本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターの使用形態としては、（１）食品、飲料、薬品等の内容物を収納するガスバリアー性材料からなる容器内を炭酸ガス雰囲気とし、容器内に炭酸ガスインジケーターを配置する方法、（２）内容物を収容するガス透過性材料からなる容器をガスバリアー性材料からなる外装体で包装し、該外装体内を炭酸ガス雰囲気にすると共に外装体内に炭酸ガスインジケーターを配置する方法を例示することができる。
【００４１】
より具体的には、上記（１）の場合、炭酸ガスインジケーターを配置する方法としては、例えば紙、合成紙、不織紙、合成樹脂フィルム、または前記材料の少なくとも２種を組み合わせた積層体からなる支持体に印刷した炭酸ガスインジケーターを単に容器内に入れる方法、容器内面に炭酸ガスインジケーターを接着する方法、または容器を構成する材料を支持体とすることによって容器内面に上述のインキ組成物を直接印刷する方法がある。
【００４２】
一方、上記（２）の場合、前述の炭酸ガスインジケーターの配置は、容器の外面、容器と外装体の間の空間部、及び外装体の内面とすることができる。容器の外面または外装体の内面に炭酸ガスインジケーターを配置する方法としては、該インジケーターをこれらの面に接着する方法、あるいは本発明に用いられるインキ組成物を直接これらの面に印刷する方法がある。
【００４３】
なお、上記（１）におけるガスバリアー性材料からなる容器の内面、上記（２）におけるガス透過性容器の外面又はガスバリアー性材料からなる外装体の内面にインキ組成物を直接印刷する場合は、フィルムにインキ組成物を印刷後、印刷面をガス透過性フィルムで被うことも可能であり、被覆した場合は内容物又は容器との接触がなく、衛生的であり且つ指示部の摩耗も防ぐことができるので好適である。
【００４４】
本発明の炭酸ガスインジケーターが適用され得る食品、飲料、及び薬品としては、酸素と接触して変質するおそれのあるもの、あるいは炭酸ガスの放出によって、品質の劣化や薬効が失われるおそれのものなどがある。
【００４５】
食品、飲料としては、例えばお茶、コーヒー、チーズ、ハム、味噌、及び生肉などをあげることができる。
【００４６】
薬品の例としては、例えば重炭酸塩含有薬液、アミノ酸輸液剤、脂肪乳剤、抗生物質製剤等をあげることができる。
【００４７】
本発明に用いられる炭酸ガスインジケーターは、外観不良が生じないように、吸水性が調整された指示部を有しているので、本発明の包装体には、外装体内の相対湿度が５０％ないし１００％となるような内容物を封入することが出来る。
【００４８】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【００４９】
図１は、本発明の炭酸ガスインジケーターの多層指示部の断面図である。
【００５０】
図示するように、この炭酸ガスインジケーターの指示部は、例えばメタクレゾールパープル、炭酸ナトリウム、ポリビニルアセタール樹脂、微結晶セルロース、及び水からなる炭酸ガス検知用インキ組成物を円形状のパターンで支持体５上にスクリーン印刷により塗布して得られた炭酸ガス検知層１、及び炭酸ガス検知層２を積層した多層指示部４で構成される。
【００５１】
図２は第１の例を表す正面図、図３はその断面図である。
【００５２】
図示するように、このインジケーター１０は、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持体５の両面に、指示部４を有し、その周囲を炭酸ガス透過性を有する例えば多孔性のフィルム７で包囲した構成を有する。このインジケーターの指示部は、通常の空気中では、紫色を呈している。なお、図２及び図３では、支持体１の両面に指示部４を設けたが、片面のみに指示部を設けた構成も適用し得る。また、このインジケーターは、通気性フィルム７で包囲されているが、通気性フィルム７を用いないで、そのまま使用することができる。
【００５３】
図４は、本発明の炭酸ガスインジケーターの第２の例の構成を表す断面図を示す。
【００５４】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター７０は、片面のみに指示部を設けた例であって、支持体として例えばポリエステル樹脂にシリカを蒸着したフィルムからなる炭酸ガス不透過性を有する層７１と、この炭酸ガス不透過性を有する層７１上に指示部４と、炭酸ガス不透過性を有する層７１上に設けられた指示部４を封止するように形成された、例えばポリエチレンフィルムからなる炭酸ガス透過性を有する層７３とから構成される。
【００５５】
ここで、炭酸ガス不透過性とは、約２３℃、約４０％ＲＨで、５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下の炭酸ガス透過率を有することをいう。
【００５６】
また、炭酸ガス透過性とは、約２３℃、約４０％ＲＨで、５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上の炭酸ガス透過率を有することをいう。
【００５７】
この炭酸ガスインジケーター７０は、炭酸ガス透過性を有する層７３側からのみ炭酸ガスを透過して検知し、支持体側からは炭酸ガスを透過しない構成を有する。例えば支持体として包装体の外装体等を使用し、炭酸ガス不透過性を有する層７１を外側に、炭酸ガス透過性を有する層７３が内側になるように包装体を作成し、この炭酸ガスインジケーター７０が包装体内部で機能するように、包装体を構成することができる。このようにして得られた包装体は、雰囲気の変化に対する応答性に優れ、かつ炭酸ガスの保持性が良好であるため内容物の保存性に優れる。
【００５８】
炭酸ガスを透過すべき層の炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）より低いと、炭酸ガス雰囲気変化へ対する応答が遅くなり、判定を誤るおそれがある。
【００５９】
また、例えば包装体を構成する場合、炭酸ガスを不透過にすべき層の炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）より高いと、包装体内の炭酸ガス雰囲気を保持することができない。
【００６０】
本発明に使用可能な炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下の樹脂フィルムとしては、ポリエステル（ＰＥＴ）フィルムやナイロン（Ｎｙ）フィルム等の合成樹脂からなる基材フィルム上にシリカやアルミナ等を蒸着した透明蒸着フィルム、及びポリ塩化ビニリデン（ＰＶＤＣ）フィルム、ポリビニルアルコール（ＰＶＡ）フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＯＨ）フィルム等があげられる。
【００６１】
これらのフィルムは単独であるいは積層して使用することができる。また、使用目的に応じた強度や耐熱性等を得るために他の樹脂フィルムを積層することができる。例えば、突き刺し強度を得るために、ナイロンフィルム等を積層することができる。
【００６２】
本発明に用いる炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上であるフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン類があげられる。なお、低密度ポリエチレンや未延伸ポリプロピレンはヒートシール性を有しており、包装袋内層として最適である。
【００６３】
指示部が印刷された支持体と、炭酸ガス透過率が５０（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以下のフィルムと、炭酸ガス透過率が５００（ｍｌ／ｍ２・２４時間）以上のフィルム、及びその他のフィルムを貼り合わせる方法としては、公知の方式が利用可能であり、例えば接着剤を用いたドライラミネーションが利用可能である。
【００６４】
図５は、本発明の炭酸ガスインジケーターの第３の例の構成を表す断面図を示す。図示するように、この炭酸ガスインジケーター５０は、例えばアルミナ蒸着層（図示せず）を有するナイロンフィルム５５と、これに接着剤層５６を介して積層された、アルミナ蒸着層（図示せず）を有するポリエステルフィルム５７とからなる支持体１と、支持体１上に形成されたアンカーコート層５１と、アンカーコート層５１上に前記指示部４と指示部４が印刷されたアンカーコート層５１上に、この指示部４を封止するように形成されたオーバーコート層５２とから構成される。このインジケーターの指示部４は、通常の空気中では、紫色を呈している。
【００６５】
指示部４中のｐＨ指示薬は、溶媒例えば水やアルコール化合物などの親水性溶媒を介して反応する。このため指示部４は、このような溶媒を含み得る。このため、指示部４は、水がたまりやすく、外観不良を起こしやすい。また、指示部４は、外的衝撃に弱く、この指示部４及びその周辺で剥離、破断し易い。この炭酸ガスインジケーター５０のように、指示部４をアンカーコート層５１とオーバーコート層５２で挟み込むことにより、指示部４を構成する炭酸ガス検知用インキ組成物を保護し、外観不良、剥離、及び破断を防止することができる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性が良好となる。
【００６６】
このアンカーコート層５１としては、非水溶性であり、支持体５とその上に形成される指示部４との密着性が良好な材料を、また、オーバーコート層５２としては、炭酸ガス透過性、指示部４との密着性、及び任意に指示部４上にさらに設けられ得る例えば接着剤層または他の樹脂層との密着性が良好な材料を好ましく使用することができる。
【００６７】
このような材料として、例えばウレタン系樹脂及びポリビニルアセタール樹脂等を単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【００６８】
なお、ここでは、支持体４の片面のみに指示部を設けたが、支持体５の両面に指示部４を設けた構成も適用し得る。また、支持体５の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【００６９】
また、図６は、炭酸ガスインジケーターの第４の例の構成を表す断面図である。
【００７０】
図示するように、この炭酸ガスインジケーター６０は、上述の炭酸ガスインジケーター５０の改良例であって、アンカーコート層５１の代わりに、支持体１上に第１のアンカーコート層５３と第２のアンカーコート層５４の積層構造が使用されていること以外は、図５に示す炭酸ガスインジケーターと同様の構造を有する。好ましくは第１のアンカーコート層５３の周縁部とオーバーコート層５２とが密着されることにより指示部４及び第２のアンカーコート層５４が２つの層５２，５３内に封入されている。第１のアンカーコート層としては、支持体５と密着性の良い非水溶性材料例えばウレタン系樹脂等が好ましく使用される。また、第２のアンカーコート層としては、第１のアンカーコート層及び指示部４との密着性が良好であり、さらに好ましくは親水基を有し、水を含む指示部５に対し保水効果を有する材料例えばブチラール系樹脂等が好ましく使用される。
【００７１】
オーバーコート層としては例えばウレタン系樹脂等を用いることができる。アンカーコート層及びオーバーコート層の塗布方法としては、印刷法例えばスクリーン印刷法、凹版印刷法、及びグラビア印刷法等や、コーティング法例えばロールコーティング、スプレーコーティング、及びディップコーティング等が好適に使用される。この炭酸ガスインジケーター６０では、アンカーコート層を２層に分けて形成しているので、第１のアンカーコート層５３により、支持体５と指示部４との密着性を強固にする作用、第２のアンカーコート層５４により、少なくとも指示部４中のｐＨ指示薬が機能するために十分な量の水分を確保する作用が得られる。従って、炭酸ガスインジケーター６０は、図５に示す炭酸ガスインジケーター５０のように、アンカーコート層を１層だけ形成するよりも、より強固な密着性と、指示部に対するより効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーターの長期安定性がさらに良好となる。
【００７２】
なお、ここでは、支持体５の片面のみに指示部を設けたが、支持体５の両面に指示部４を設けた構成も適用し得る。また、支持体５の片面のみに指示部を設ける場合には、必要に応じて、支持体として前述の炭酸ガス不透過性を有する層を、また、オーバーコート層上に炭酸ガス透過性を有する層を各々適用することができる。
【００７３】
図７に、本発明にかかるガス置換包装体の第１の例を表す図を示す。図示するように、このガス置換包装体２０は、例えば薬液、飲料等の内容物を収納したポリエチレン製の容器１１と、炭酸ガスインジケーター１０とを、置換ガスとして窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２に封入した構成を有する。
【００７４】
この包装体中のインジケーターの指示部４は、封入時には黄色を呈している。しかしながら、包装体にピンホールあるいはシール不良等が発生し、置換ガスが漏れ出して代わりに周囲の大気が混入すると、包装体内の炭酸ガス濃度が低下する。このため、インジケーター１０周囲のガス雰囲気が変化して、指示部４の色調が黄色からうす茶色、さらには紫色へとｐＨに応じて変化する。この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含む雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。
【００７５】
なお、炭酸ガスインジケーター１０の代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００７６】
図８には、本発明にかかるガス置換包装体の第２の例を示す。
【００７７】
図示するように、包装体３０は、例えばブロック生肉等の内容物を真空包装したポリエチレンフィルム製の容器１４の表面に、容器１４の外装部を支持体とし、本発明のインキ組成物を用いてスクリーン印刷により形成された指示部４と、この指示部４上に被覆された通気性材料からなる被覆層８とを有する炭酸ガスインジケーター１８を設け、置換ガスとして窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を用いて、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２で封入した構成を有する。また、被覆層８を設けない以外は、図８の包装体３０と同様の構成を有する包装体とすることもできる。
【００７８】
この包装体３０でも、図７に示す包装体と同様に、この色調の変化を視認することにより、包装体内の炭酸ガスを含むガス雰囲気が保持されているかどうかを容易に確認することができる。
【００７９】
なお、炭酸ガスインジケーター１８の代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第２の例、第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００８０】
図９には、本発明にかかるガス置換包装体の第３の例を示す。
【００８１】
図７、図８に示した包装体以外に、図９に示すように指示部４を外装体１２上に印刷、又は指示部４を設けた支持体５からなるインジケーター１０を外装体１２に接着する等の方法で、包装体と一体化して使用しても良い。
【００８２】
この包装体４０は、ガスバリアー性の積層フィルムからなる外装体１２と、外装体１２内面に、外装体１２を支持体として本発明のインキ組成物を用いて例えばスクリーン印刷により設けられた指示部４とを有する炭酸ガスインジケーターとから構成される。この包装体４０は、例えば２枚の積層フィルムを指示部４を内側にして配し、その間に内容物１６を配置した後、窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３で置換しながら、外装体１２周辺をヒートシールにより気密に封止することにより形成され得る。
【００８３】
図１０には、本発明にかかるガス置換包装体の第３の例に使用し得る炭酸ガスインジケーターの構造の一例を表す図を示す。
【００８４】
外装体１２を支持体として、本発明のインキ組成物を用いて指示部４を印刷したインジケーターの場合、図１０に示すように、外装体１２を構成するガスバリアー層を含む積層体３１のガスバリアー層３２の内面に指示部４を設け、指示部４の内面側を炭酸ガス透過性の保護フィルム３３で覆うことも可能である。
【００８５】
このように指示部４が露出しない構成とすることにより、指示部４が直接、容器又は内容物と接触することがなく、また製造工程中や輸送中に指示部４が摩耗することを防ぐことができる。
【００８６】
なお、炭酸ガスインジケーターの代わりに、上述の炭酸ガスインジケーターの第２の例、第３の例及び第４の例を適用することができる。
【００８７】
図１１には、本発明に係る炭酸ガスインジケーターの第４の例を包装体の外装体に適用した例を表す断面図を示す。
【００８８】
図示するように、支持体となる外装体として、例えばアルミナ蒸着層（図示せず）を有するナイロンフィルム８１とアルミナ蒸着層（図示せず）を有するポリエステルフィルム８３とを接着剤層８２を介して積層して得られた積層フィルムを使用する。この積層フィルムと、その上に図６に示す炭酸ガスインジケーターの第４の例と同様に、第１のアンカーコート層５３と第２のアンカーコート層５４の積層構造、指示部４、及びオーバーコート層５２を順に設けることにより、炭酸ガスインジケーターが構成されている。また、この外装体上のその他の領域には、任意に、例えば商品名等の文字、あるいは画像等のパターンを有するインキ層１７を炭酸ガスインジケーター、８０の作製と平行して設けることができる。さらに、このオーバーコート層５２及びインキ層１７上には、例えば接着層７４を介して低密度ポリエチレンからなるシーラント層７５が設けられている。
【００８９】
このような炭酸ガスインジケーターが設けられた外装体を使用して例えば窒素５０容量％、二酸化炭素５０容量％混合ガス１３を置換ガスとして内容物を封止することにより炭酸ガスインジケーター付き包装体が得られる。得られた包装体では、指示部の強固な密着性と、指示部に対する効果的な保水性とが実現できる。さらに、耐水性、耐光性、耐熱性を含めた炭酸ガスインジケーター付き包装体の長期安定性が良好となる。
【００９０】
実施例
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【００９１】
実施例１
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【００９２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン４重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
ウレタン樹脂４重量部、イソプロピルアルコール５重量部、酢酸エチル１０重量部、メチルエチルケトン５重量部、トルエン１０重量部
１２μｍ厚のポリエズテルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ１μｍ、炭酸ガス検知層ｂ１μｍ、オーバーコート層１μｍをグラビア印刷法により順次積層させ、その上に例えばポリエチレンフィルムからなる炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。得られた炭酸ガスインジケーターの炭酸ガス検知層ｂは、炭酸ガス検知層ａよりもグリセリンすなわち多価アルコールの含有量が少ない。
【００９３】
得られた炭酸ガスインジケーターをガスバリアー性基材からなる透明な外装体に入れて、内部を炭酸ガス５０％窒素５０％に置換し、重曹溶液入りの内容物を封入し内部の湿度が７０％の包装体を得た。
【００９４】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【００９５】
得られた結果を下記表２に示す。
【００９６】
なお、表中、外観は、外観に全く問題がない場合を◎、外観に多少の劣化が見られた場合を○、外観不良が生じた場合を×と評価した。
【００９７】
また発色は、発色の視認性が良好な場合を○、不十分な場合を×と評価した。
【００９８】
実施例２
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【００９９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【０１００】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０１】
実施例３
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして、包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色の劣化は見られなかった。
【０１０３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０４】
実施例４
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にした包装体を得た。得られた炭酸ガスインジケーターの炭酸ガス検知層ｂは、炭酸ガス検知層ａよりもグリセリンすなわち多価アルコールの含有量が多い。
【０１０６】
上記各インキ組成物を使用し、得られた実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１０７】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１０８】
実施例５
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１０９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１１０】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１１】
実施例６
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１１２】
酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、実施例１と同様にして包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、外観及び発色は確認されなかった。
【０１１３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１４】
実施例７
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１１５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを１層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを２層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１１６】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１１７】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察した。外観及び発色は確認されなかった。
【０１１８】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１１９】
比較例１
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２０】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１２１】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２２】
比較例２
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２３】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ−プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。炭酸ガス置換時にインジケーター部の変色が起こらなかった。２４時間放置後変色が起こった。
【０１２４】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２５】
比較例３
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２６】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１２７】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１２８】
比較例４
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１２９】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン１重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１３０】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３１】
比較例５
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１３２】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン５重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
実施例１と同様にし包装体を得た。得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、インジケーター部に水がたまり、発色が悪くなった。
【０１３３】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３４】
比較例６
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１３５】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを１層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを３層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１３６】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１３７】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、指示部に水が溜まり、発色が悪くなった。
【０１３８】
得られた結果を下記表２に示す。
【０１３９】
比較例７
下記組成を有するインキ組成物を、各々調製した。
【０１４０】
炭酸ガス検知層ａ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン７重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
炭酸ガス検知層ｂ組成：
メタクレゾールパープル１重量部、水酸化ナトリウム４重量部、バインダ樹脂７重量部、グリセリン２重量部、ｎ-プロパノール８４重量部、水２８重量部
アンカーコート層、オーバーコート層組成：
実施例１と同様
上記各インキ組成物を使用し、１２μｍのポリエステルフィルムの片側にアンカーコート層０．５μｍ、炭酸ガス検知層ａ １μｍを３層、炭酸ガス検知層ｂ １μｍを１層、オーバーコート層１μｍを１層、グラビア印刷により順次積層した。その上に、炭酸ガス透過性層を形成して、図５と同様の構成を有する炭酸ガスインジケーターを得た。
【０１４１】
得られた炭酸ガスインジケーターを用いて、実施例１と同様に包装体を得た。
【０１４２】
得られた包装体を６０℃７５％Ｒｈの高温高湿条件下に２週間放置後、外観、発色を観察したところ、指示部に水が溜まり、発色が悪くなった。
【表２】
【０１４３】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【０１４４】
食品、飲料、及び薬品等を長期保存するためのガス置換包装体中の置換されたガス置換雰囲気が保持されていることを検出するために適用できる。
【図面の簡単な説明】
【０１４５】
【図１】本発明の炭酸ガスインジケーターの指示部の断面図
【図２】本発明の炭酸ガスインジケーターの第１の例を示す正面図
【図３】図２の断面図
【図４】本発明の炭酸ガスインジケーターの第２の例の構成を表す断面図
【図５】本発明の炭酸ガスインジケーターの第３の例の構成を表す断面図
【図６】炭酸ガスインジケーターの第４の例の構成を表す断面図
【図７】本発明にかかるガス置換包装体の第１の例を表す図
【図８】本発明にかかるガス置換包装体の第２の例を表す図
【図９】本発明にかかるガス置換包装体の第３の例を表す図
【図１０】本発明にかかるガス置換包装体の第３の例に使用し得る炭酸ガスインジケーターの構造の一例を表す図
【図１１】本発明にかかる炭酸ガスインジケーターの第４の例を包装体の外装体に適用した例を表す断面図
【符号の説明】
【０１４６】
１、２…炭酸ガス検知層、４…指示部５…支持体、７、７３…炭酸ガス透過性フィルム、８…被覆層、１０、１８、５０、６０、７０、８０…炭酸ガスインジケーター、１１，１４，１６…容器、１２…外装体、１３…炭酸ガス含有ガス、１７…インキ層、２０、３０、４０…包装体、３１…積層体、３２…ガスバリアー層、３３…保護フィルム、５１…アンカーコート層、５２…オーバーコート層、５３…第１のアンカーコート層、５４・・・第２のアンカーコート層、５５、８１…ナイロンフィルム、５６、７４、８２…接着剤層、５７、８３…アルミナ蒸着ポリエステルフィルム、７１…炭酸ガス不透過性フィルム、７５…シーラント層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を具備し、
該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする炭酸ガスインジケーター。
【請求項２】
前記第１の濃度よりも第２の濃度の方が低いことを特徴とする請求項１に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項３】
請求項１または２に記載の炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したことを特徴とする包装体。
【請求項４】
前記外装体内の相対湿度が５０％以上となる内容物を封入したことを特徴とする請求項３に記載の包装体。
【請求項１】
支持体、及び該支持体上に形成され、２層以上の炭酸ガス検知層が積層された多層指示部を具備し、
該多層指示部は、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度の多価アルコールを含有する第１の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該支持体上に印刷された第１の炭酸ガス検知層と、ｐＨ指示薬、結合剤、及び第１の濃度とは異なる第２の濃度の多価アルコールを含有する第２の炭酸ガス検知用インキ組成物を用いて該第１の炭酸ガス検知層上に印刷された第２の炭酸ガス検知層とを有することを特徴とする炭酸ガスインジケーター。
【請求項２】
前記第１の濃度よりも第２の濃度の方が低いことを特徴とする請求項１に記載の炭酸ガスインジケーター。
【請求項３】
請求項１または２に記載の炭酸ガスインジケーターを、炭酸ガスを含む置換ガスを封入した外装体内に配置したことを特徴とする包装体。
【請求項４】
前記外装体内の相対湿度が５０％以上となる内容物を封入したことを特徴とする請求項３に記載の包装体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−２７１０１５（Ｐ２００９−２７１０１５Ａ）
【公開日】平成２１年１１月１９日（２００９．１１．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１２３９５６（Ｐ２００８−１２３９５６）
【出願日】平成２０年５月９日（２００８．５．９）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】（０００１４９４３５）株式会社大塚製薬工場 (154)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１１月１９日（２００９．１１．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年５月９日（２００８．５．９）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】（０００１４９４３５）株式会社大塚製薬工場 (154)
【Ｆターム（参考）】
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