説明

炭酸ガス供給システム

【課題】 温室に炭酸ガスを効率良く供給することができる炭酸ガス供給システムを提供する。
【解決手段】 植物栽培用の温室10に炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給システム2である。空気を加熱するための暖房装置4と、電力及び熱を発生する熱電併給装置6と、暖房装置4からの排気ガスを温室10に供給するための第1排気ガス供給手段44と、熱電併給装置6からの排気ガスを温室10に供給するための第2排気ガス供給手段46と、を備えている。暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給手段44を通して及び/又は熱電併給装置6からの排気ガスが第2排気ガス供給手段46を通して温室10に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用の温室に炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や花などの植物をハウス栽培するための温室には、この温室に炭酸ガス(二酸化炭素ガス)を供給するための炭酸ガス供給システムが設けられている。この炭酸ガス供給システムを用いて炭酸ガスを温室に供給することにより、温室内の植物の光合成を促進することができる。このような炭酸ガス供給システムとして、例えば次のようなタイプのものが提案されている。第1のタイプの炭酸ガス供給システムでは、温水ボイラにて生成された温水の熱により温室を暖房するための暖房装置と、暖房装置からの排気ガスを温室に供給するための排気ガス供給手段とが設けられ、排気ガス供給手段によって暖房装置からの炭酸ガスを含む排気ガスが温室に供給される(例えば、特許文献1参照)。第2のタイプの炭酸ガス供給システムでは、電力及び熱を発生して供給する熱電併給装置と、熱電併給装置からの排気ガスを温室に供給するための排気ガス供給手段とが設けられ、排気ガス供給手段によって熱電併給装置からの炭酸ガスを含む排気ガスが温室に供給され、また熱電併給装置からの電力の一部は、温室に設けられた照明用光源や栽培用光源などに供給される(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
上述した第1及び第2のタイプの炭酸ガス供給システムでは、排気ガス供給手段によって温室に供給される排気ガスの炭酸ガス濃度は10%程度であり、温室内の空気によって炭酸ガス濃度が0.2〜0.5%程度になるまでこの排気ガスを希釈して温室内全域に拡散させることにより、温室内の炭酸ガス濃度は植物の光合成に適した500〜1500ppm程度に設定される。
【0004】
【特許文献1】特開2004−344154号公報
【特許文献2】特開平10−229763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の炭酸ガス供給システムでは、次のような問題がある。第1のタイプの炭酸ガス供給システムでは、例えば夏季などのように温室内の温度が高い(即ち、熱負荷が小さい)ときには、暖房装置の作動を停止させており、これにより温室に排気ガスが供給されず、温室内の炭酸ガス濃度が低下してしまうという問題がある。また、第2のタイプの炭酸ガス供給システムでは、例えば充分な日射量が得られる日中などのように、温室に設けられた照明用光源や栽培用光源などを点灯させる必要が無く、温室における電力の需要が小さいときには、熱電併給装置の作動を停止させており、これにより温室に排気ガスが供給されず、温室内の炭酸ガス濃度が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、温室に炭酸ガスを効率良く供給することができる炭酸ガス供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の炭酸ガス供給システムでは、植物栽培用の温室に炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給システムであって、
空気を加熱するための暖房装置と、電力及び熱を発生する熱電併給装置と、前記暖房装置からの排気ガスを前記温室に供給するための第1排気ガス供給手段と、前記熱電併給装置からの排気ガスを前記温室に供給するための第2排気ガス供給手段と、を備え、
前記暖房装置からの排気ガスが前記第1排気ガス供給手段を通して及び/又は前記熱電併給装置からの排気ガスが前記第2排気ガス供給手段を通して前記温室に供給されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の炭酸ガス供給システムでは、前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを閉状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブを閉状態に保持するとともに前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の請求項3に記載の炭酸ガス供給システムでは、前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブを閉状態に保持するとともに前記第2供給バルブを開状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項4に記載の炭酸ガス供給システムでは、前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを閉状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の請求項5に記載の炭酸ガス供給システムでは、前記暖房装置を作動制御するための作動制御手段と、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記上限濃度を超えている時間及び前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記下限濃度よりも低下している時間をそれぞれ積算するための時間積算手段と、を更に備え、
前記第1供給バルブが閉状態に保持された状態にて前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記上限濃度を超えた場合において、前記時間積算手段により積算された時間が第1設定時間を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動停止させ、また前記第2供給バルブが開状態に保持された状態にて前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記下限濃度よりも低下した場合において、前記時間積算手段により積算された時間が第2設定時間を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載の炭酸ガス供給システムでは、前記暖房装置を作動制御するための作動制御手段を更に備え、前記熱電併給装置の発電出力が設定発電出力を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動停止させ、また前記熱電併給装置の発電出力が前記設定発電出力よりも低下すると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の炭酸ガス供給システムによれば、暖房装置からの排気ガスを温室に供給するための第1排気ガス供給手段及び熱電併給装置からの排気ガスを温室に供給するための第2排気ガス供給手段を備えているので、温室の環境条件などに応じて暖房装置からの排気ガス及び/又は熱電併給装置からの排気ガスを温室に供給することができ、温室に炭酸ガスを効率良く供給することができる。例えば、充分な日射量を得られる冬季の日中などのように、熱負荷が大きく且つ温室における電力の需要が小さいときには、暖房装置からの排気ガスが第1排気ガス供給手段を通して温室に供給され、また、充分な日射量を得られない夏季の日の出から早朝あるいは夕方から日の入りまでの時間帯などのように、熱負荷が小さく且つ温室における電力の需要が大きいときには、熱電併給装置からの排気ガスが第2排気ガス供給手段を通して温室に供給され、更に、充分な日射量を得られない冬季の日の出から早朝あるいは夕方から日の入りまでの時間帯などのように、熱負荷が大きく且つ温室における電力の需要が大きいときには、暖房装置からの排気ガスが第1排気ガス供給手段を通して温室に供給されるとともに、熱電併給装置からの排気ガスが第2排気ガス供給手段を通して温室に供給される。このように温室の環境条件に応じて暖房装置及び/又は熱電併給装置が作動され、この作動により所望の炭酸ガスを温室に供給することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の炭酸ガス供給システムによれば、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、第1供給バルブ及び第2供給バルブが閉状態に保持されて温室への排気ガスの供給が遮断され、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、第1供給バルブが閉状態、第2供給バルブが開状態に保持されて熱電併給装置からの排気ガスが温室に供給されるので、熱電併給装置からの排気ガスを制御することによって、温室内の炭酸ガス濃度を上限濃度と下限濃度との間の範囲内に保持することができる。
【0015】
さらに、本発明の請求項3に記載の炭酸ガス供給システムによれば、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、第1供給バルブが閉状態、第2供給バルブが開状態に保持されて、暖房装置からの排気ガスの温室への供給が遮断され、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、第1供給バルブ及び第2供給バルブが開状態に保持されて、暖房装置からの排気ガス及び熱電併給装置からの排気ガスが温室に供給されるので、熱電併給装置からの排気ガスの供給をベースにして暖房装置からの排気ガスを制御することによって、温室内の炭酸ガス濃度を上限濃度と下限濃度との間の範囲内に保持することができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の炭酸ガス供給システムによれば、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、第1供給バルブ及び第2供給バルブが閉状態に保持されて温室への排気ガスの供給が遮断され、炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、第1供給バルブ及び第2供給バルブが開状態に保持されて、暖房装置からの排気ガス及び熱電併給装置からの排気ガスが温室に供給されるので、熱電併給装置及び暖房装置からの排気ガスを制御することによって、温室内の炭酸ガス濃度を上限濃度と下限濃度との間の範囲内に保持することができる。
【0017】
さらに、本発明の請求項5に記載の炭酸ガス供給システムによれば、第2供給バルブが開状態に保持された状態にて炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下した場合に、時間積算手段の積算時間が第2設定時間を超えると、熱電併給装置からの排気ガスの量が不足気味となり、かかる場合に作動制御手段が暖房装置を作動させることにより、熱電併給装置からの排気ガスの不足分を暖房装置からの排気ガスによって補うことができ、温室に供給する排気ガスの量を確保することができる。また、第1供給バルブが閉状態に保持された状態にて炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えた場合に、時間積算手段の積算時間が第1設定時間を超えると、熱電併給装置からの排気ガスの量が過剰気味となり、かかる場合に作動制御手段が暖房装置を作動停止させることにより、温室に供給する排気ガスの量を植物の栽培に適した量に抑えることができる。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の炭酸ガス供給システムによれば、熱電併給装置の発電出力が設定発電出力よりも低下すると、この発電出力の低下によって熱電併給装置からの排気ガスの量が不足気味となり、かかる場合に作動制御手段が暖房装置を作動させることにより、熱電併給装置からの排気ガスの不足分を暖房装置からの排気ガスによって補うことができ、温室に供給する排気ガスの量を確保することができる。また、熱電併給装置の発電出力が設定発電出力を超えると、この発電出力の超過によって熱電併給装置からの排気ガスの量が過剰気味となり、かかる場合に作動制御手段が暖房装置を作動停止させることにより、温室に供給する排気ガスの量を植物の栽培に適した量に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う炭酸ガス供給システムの各種実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、第1の実施形態の炭酸ガス供給システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による炭酸ガス供給システムを示す概略図であり、図2は、図1の炭酸ガス供給システムが設置された温室内に炭酸ガスを供給する様子を示す概略斜視図であり、図3は、図1の炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図であり、図4は、図1の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【0020】
図1〜図3を参照して、図示の炭酸ガス供給システム2は、空気を加熱するための暖房装置4と、電力及び熱を発生して供給するための熱電併給装置6と、を備えている。この炭酸ガス供給システム2は、野菜や花などの植物8をハウス栽培するための例えばビニルハウスなどの温室10に設置されている。温室10の内部には、植物8が植設されて栽培される栽培床12が複数列設置されている。
【0021】
暖房装置4は、温室10内に配設されたボックス状の暖房装置本体14を備え、この暖房装置本体14の内部には、燃焼バーナ16、排気ライン18及び熱交換器20が配設されている。燃焼バーナ16には、ガス供給源(図示せず)からのLPGなどの燃料用ガスが供給される。排気ライン18の一端部は燃焼バーナ16に接続され、その他端部は熱交換器20内を通って温室10の外部に延びている。
【0022】
暖房装置本体14の下端部には下開口部(図示せず)が設けられ、この下開口部の下方には送風機22が配設されている。送風機22は吸込口24及び吹出口26を有し、暖房装置本体14の下開口部に取り付けられた遮蔽カバー28によって覆われている。送風機22が作動されると、吸込口24から吸い込まれた温室10内の空気が所定の風量でもって吹出口26より吹き出され、下開口部を通して熱交換器20の吸気側に送り込まれる。なお、遮蔽カバー28によって、送風機22の吸込口24と吹出口26とが短絡して空気が循環されるのが防止される。また、暖房装置本体14の上端部には上開口部(図示せず)が設けられ、この上開口部には、熱交換器20の排気側より排出された空気が流れる暖房ライン30が接続されている。この暖房ライン30は、暖房装置本体14の上開口部より延びる暖房本体ライン32と、この暖房本体ライン32から分岐して延びる暖房分岐ライン34とから構成されている。
【0023】
この暖房装置4による温室10の暖房は、次のようにして行われる。燃焼バーナ16が作動されると、燃焼バーナ16から噴出される燃料用ガスに点火されて燃料用ガスが燃焼され、この燃焼によって燃焼ガスが発生される。発生した燃焼ガスは排気ライン18を通して流れ、熱交換器20において、排気ライン18を流れる燃焼ガスと吸気側に送り込まれた空気との間で熱交換が行われれる。このように熱交換が行われると、加熱された空気が熱交換器20の排気側より排出されて暖房ライン30を通して流れ、暖房本体ライン32及び暖房分岐ライン34の各噴出口36,38より温室10内に供給される。また、熱交換器20にて熱交換された燃焼ガスは、後述するように排気ライン18の他端部より排気ガスとして排出される。
【0024】
熱電併給装置6は、温室10外に配設された例えばガスエンジン発電機から構成され、ガスエンジン40と、このガスエンジン40によって駆動される発電装置(図示せず)との組み合わせから構成される。発電装置はガスエンジン40の出力軸に駆動連結されており、ガスエンジン40が駆動すると、ガスエンジン40からの回転駆動力が出力軸を介して発電装置に駆動伝達される。これにより発電装置が作動して電力が発生し、この電力の一部は、温室10内に設置された照明用光源や栽培用光源(図示せず)などに供給される。ガスエンジン40が駆動されると排気ガスが発生し、ガスエンジン40には、この排気ガスを排出するための排気ガスノズル42が設けられている。また、ガスエンジン40には冷却水循環ライン(図示せず)が設けられ、この冷却水循環ラインには熱交換器(図示せず)が配設されており、ガスエンジン40からの冷却水が熱交換器を通して冷却水循環ラインを循環される。
【0025】
この第1の実施形態の炭酸ガス供給システム2は、更に、暖房装置4からの排気ガスを温室10に供給するための第1排気ガス供給手段44と、ガスエンジン40からの排気ガスを温室10に供給するための第2排気ガス供給手段46と、を備えている。第1排気ガス供給手段44は、暖房装置4の排気ライン18と温室10とを相互に接続する第1排気ガス供給ライン48と、第1排気ガス供給ライン48に配設された第1供給バルブ50と、を有している。第1排気ガス供給ライン48の一端部は排気ライン18の他端部に接続され、またその他端部は温室10内に延びて炭酸ガス供給ライン52に接続されている。この炭酸ガス供給ライン52は、第1排気ガス供給ライン48の他端部に接続された接続ライン54と、接続ライン54から分岐された複数の噴射ライン56と、を有している(図2参照)。噴射ライン56には複数の噴射ノズル58が設けられ、複数の噴射ライン56はそれぞれ各栽培床12に対応して配設されている。また、第1排気ガス供給ライン48の第1供給バルブ50よりも上流側には、第1排気ガス排出ライン60が分岐して延びており、この第1排気ガス排出ライン60には第1排出バルブ62が配設されている。
【0026】
第2排気ガス供給手段46は、ガスエンジン40の排気ガスノズル42と温室10とを相互に接続する第2排気ガス供給ライン64と、第2排気ガス供給ライン64に配設された第2供給バルブ66と、を有している。第2排気ガス供給ライン64の一端部は排気ガスノズル42に接続され、その他端部は、第1排気ガス供給ライン48と同様に温室10内に延びて炭酸ガス供給ライン52に接続されている。また、第2排気ガス供給ライン64の第2供給バルブ66よりも上流側には、第2排気ガス排出ライン68が分岐して延びており、この第2排気ガス排出ライン68には第2排出バルブ70が配設されている。
【0027】
また、第1及び第2排気ガス供給手段44,46に関連して、炭酸ガス濃度検知センサ72、温度検知センサ74及び制御手段76が設けられている。炭酸ガス濃度検知センサ72(炭酸ガス濃度検知手段を構成する)は温室10の内部に配設され、温室10内の炭酸ガス濃度を検知する。温度検知センサ74は温室10の内部に配設され、温室10内の温度を検知する。制御手段76は、メモリ78、比較手段80、開閉制御手段82及び作動制御手段84を含んでいる。メモリ78には、目標設定濃度データ、上限濃度データ、下限濃度データ及び設定温度データが記憶されている。目標設定濃度データ、上限濃度データ及び下限濃度データは温室10内の炭酸ガス濃度に関するデータであり、上限濃度は目標設定濃度よりも300ppm高い値、下限濃度は目標設定濃度よりも300ppm低い値にそれぞれ設定される。例えば、目標設定濃度を1000ppmに設定した場合には、上限濃度及び下限濃度はそれぞれ1300ppm及び700ppmに設定される。設定温度データは温室10内の温度に関するデータであり、例えば27℃に設定される。比較手段80は、温度検知センサ74の検知温度とメモリ78に記憶された設定温度とを比較し、また、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度とメモリ78に記憶された上限濃度及び下限濃度とをそれぞれ比較する。開閉制御手段82は、比較手段80からの比較結果に基づいて、第1及び第2供給バルブ50,66並びに第1及び第2排出バルブ62,70をそれぞれ開閉制御する。作動制御手段84は、比較手段80からの比較結果に基づいて、暖房装置4の燃焼バーナ16を作動制御する。
【0028】
図4をも参照して、上述した炭酸ガス供給システム2を用いた温室10への炭酸ガスの供給は、例えば次の通りに行われる。システム2が稼働されると(ステップS1)、ガスエンジン40及び送風機22が作動され(ステップS2)、開閉制御手段82は第1供給バルブ50及び第2排出バルブ70を閉状態、第2供給バルブ66を開状態に保持する(ステップS3)。これにより、ガスエンジン40からの排気ガスは、第2排気ガス供給ライン64、接続ライン54及び複数の噴射ライン56を通して流れ、噴射ライン56を流れる排気ガスが複数の噴射ノズル58より栽培床12に植設された植物8に向けて噴射される。このように噴射されることによって、排気ガスに含まれる炭酸ガスが温室10に供給され、温室10内の炭酸ガス濃度が上昇される。また、作動制御手段84は燃焼バーナ16を作動させ(ステップS4)、開閉制御手段82は第1排出バルブ62を開状態に保持させる(ステップS5)。これにより温室10の暖房が行われ、暖房装置4からの排気ガスは、第1排気ガス排出ライン60を通して大気に排出される。
【0029】
温度検知センサ74の検知温度が設定温度(例えば、27℃)を超えると、ステップS6からステップS7に進み、作動制御手段84は燃焼バーナ16の作動を停止させ、開閉制御手段82は第1排出バルブ62を閉状態に保持させ(ステップS8)、これにより温室10の暖房が停止される。また、温度検知センサ74の検知温度が設定温度を超えないときには、ステップS6からステップS9に進み、温室10の暖房が継続して行われる。
【0030】
温室10内の炭酸ガス濃度が上昇し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度(例えば、1300ppm)を超えると、ステップS9からステップS10に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を閉状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を開状態に保持する。これにより、ガスエンジン40からの排気ガスは、第2排気ガス排出ライン68を通して大気に排出され、このように排出されることによって、温室10への排気ガスの供給が遮断され、温室10内の炭酸ガス濃度が低下される。システム2の運転を終了するときには、ステップS11からステップS12に進み、システム2の稼動が停止される。システム2の運転を継続して行うときには、ステップS11からステップS13に進み、温度検知センサ74の検知温度が設定温度よりも低いときには、ステップS13からステップS4に戻り、また温度検知センサ74の検知温度が設定温度を超えているときには、ステップS13からステップS9に戻る。
【0031】
ステップS9に戻り、温室10内の炭酸ガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度(例えば、700ppm)よりも低下すると、ステップS9からステップS14を経てステップS15に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を開状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を閉状態に保持する。これにより、ガスエンジン40からの排気ガスが温室10に供給され、温室10内の炭酸ガス濃度が上昇される。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS9からステップS14を経てステップS11に進む。
【0032】
この第1の実施形態の炭酸ガス供給システム2では、上述のような制御を行うことにより、温室10内の炭酸ガス濃度を700〜1300ppmの範囲内に保持することができる。また、暖房装置4を温室10内の温度に応じて作動又は作動停止させ、熱電併給装置6を常時作動させるので、例えば充分な日射量を得られない夏季の日の出から早朝あるいは夕方から日の入りまでの時間帯などのように、熱負荷が小さく且つ温室10における電力の需要が大きい場合であっても、ガスエンジン10からの排気ガスを温室に供給することができ、温室10に炭酸ガスを効率良く供給することができる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、図5及び図6を参照して、第2の実施形態の炭酸ガス供給システムについて説明する。図5は、本発明の第2の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図であり、図6は、図5の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。なお、以下の各実施形態において、第1の実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0034】
第2の実施形態の炭酸ガス供給システム2Aでは、作動制御手段84は、暖房装置4の燃焼バーナ16を常時作動させる。制御手段76Aは、後述するように、ガスエンジン(図示せず)からの排気ガスを常時温室(図示せず)に供給するとともに、温室内の炭酸ガス濃度に応じて暖房装置4からの排気ガスを温室に供給又は供給停止する。
【0035】
この炭酸ガス供給システム2Aを用いた温室への炭酸ガスの供給は、次の通りに行われる。システム2Aが稼働されると(ステップS21)、燃焼バーナ16、ガスエンジン及び送風機(図示せず)が作動され(ステップS22)、開閉制御手段82は第1及び第2供給バルブ50,66を開状態に保持するとともに、第1及び第2排出バルブ62,70を閉状態に保持する(ステップS23)。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給され、温室内の炭酸ガス濃度が上昇される。
【0036】
温室内の炭酸ガス濃度が上昇し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度(例えば、1300ppm)を超えると、ステップS24からステップS25に進み、開閉制御手段82は、第1供給バルブ50を閉状態に保持するとともに、第1排出バルブ62を開状態に保持する。これにより、暖房装置4からの排気ガスは第1排気ガス排出ライン(図示せず)を通して大気に排出され、温室内の炭酸ガス濃度が低下される。なお、ガスエンジンからの排気ガスは、第2排気ガス供給ラインを通して温室に継続して供給される。システム2Aの運転を終了するときには、ステップS26からステップS27に進み、システム2Aの稼動が停止される。システム2Aの運転を継続して行うときには、ステップS26からステップS24に戻る。
【0037】
ステップS24に戻り、温室内の炭酸ガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度(例えば、700ppm)よりも低下すると、ステップS24からステップS28を経てステップS29に進み、開閉制御手段82は、第1供給バルブ50を開状態に保持するとともに、第1排出バルブ62を閉状態に保持する。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給ラインを通して温室に供給されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に供給され、温室内の炭酸ガス濃度が上昇される。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS24からステップS28を経てステップS26に進む。
【0038】
従って、この第2の実施形態の炭酸ガス供給システム2Aでは、暖房装置4及び熱電併給装置を常時作動させるので、例えば充分な日射量を得られない冬季の日の出から早朝あるいは夕方から日の入りまでの時間帯などのように、熱負荷が大きく且つ温室における電力の需要が大きい場合であっても、暖房装置からの排気ガス及びガスエンジンからの排気ガスを温室に供給することができ、温室に炭酸ガスを効率良く供給することができる。
【0039】
[第3の実施形態]
次に、図7及び図8を参照して、第3の実施形態の炭酸ガス供給システムについて説明する。図7は、本発明の第3の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図であり、図8は、図7の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【0040】
第3の実施形態の炭酸ガス供給システム2Bでは、熱電併給装置の発電装置(図示せず)の発電出力を検知するための発電出力検知センサ86が設けられている。制御手段76Bのメモリ78Bには、発電装置の発電出力に関する設定発電出力データが記憶されており、設定発電出力は例えば20kWに設定される。比較手段80は、発電出力検知センサ86の検知発電出力とメモリ78Bに記憶された設定発電出力とを比較し、作動制御手段84は、比較手段80の比較結果に基づいて、暖房装置4の燃焼バーナ16を作動制御する。
【0041】
この炭酸ガス供給システム2Bを用いた温室(図示せず)への炭酸ガスの供給は、次の通りに行われる。システム2Bが稼働されると(ステップS41)、ガスエンジン(図示せず)及び送風機(図示せず)が作動され(ステップS42)、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を開状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を閉状態に保持する(ステップS43)。これによりガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給され、温室内の炭酸ガス濃度が上昇される。
【0042】
発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力(例えば、20kW)よりも低下すると、ステップS44からステップS45に進み、作動制御手段84は燃焼バーナ16を作動させ、開閉制御手段82は第1供給バルブ50を開状態に保持させるとともに、第1排出バルブ62を閉状態に保持させる(ステップS46)。これにより暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に供給され、温室内の炭酸ガス濃度が上昇される。
【0043】
温室内の炭酸ガス濃度が上昇し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度(例えば、1300ppm)を超えると、ステップS47からステップS48に進み、開閉制御手段82は、第1及び第2供給バルブ50,66を閉状態に保持するとともに、第1及び第2排出バルブ62,70を開状態に保持する。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス排出ライン(図示せず)を通して大気に排出されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス排出ライン(図示せず)を通して大気に排出される。システム2Bの運転を終了するときには、ステップS49からステップS50に進み、システム2Bの稼動が停止される。システム2Bの運転を継続して行うときには、ステップS49からステップS51に進み、発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力を超えているときには、ステップS51からステップS54に戻り、また発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力よりも低下しているときには、ステップS51からステップS47に戻る。
【0044】
ステップS47に戻り、温室内の炭酸ガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度(例えば、700ppm)よりも低下すると、ステップS47からステップS52を経てステップS53に進み、開閉制御手段82は、第1及び第2供給バルブ50,66を開状態に保持するとともに、第1及び第2排出バルブ62,70を閉状態に保持する。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給ラインを通して温室に供給されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に供給される。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS47からステップS52を経てステップS49に進む。
【0045】
ステップS44に戻り、発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力を超えると、ステップS44からステップS54に進み、作動制御手段84は燃焼バーナ16の作動を停止させ、開閉制御手段82は第1供給バルブ50及び第1排出バルブ62を閉状態に保持させる(ステップS55)。温室内の炭酸ガス濃度が上昇し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えると、ステップS56からステップS57に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を閉状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を開状態に保持する。これにより、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス排出ラインを通して大気に排出される。システム2Bの運転を終了するときには、ステップS58からステップS59に進み、システム2Bの稼動が停止される。システム2Bの運転を継続して行うときには、ステップS58からステップS60に進み、発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力よりも低下しているときには、ステップS60からステップS45に戻り、また発電出力検知センサ86の検知発電出力が設定発電出力を超えているときには、ステップS60からステップS56に戻る。
【0046】
ステップS56に戻り、温室内の炭酸ガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、ステップS56からステップS61を経てステップS62に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を開状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を閉状態に保持する。これにより、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に供給される。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS56からステップS61を経てステップS58に進む。
【0047】
この第3の実施形態の炭酸ガス供給システム2Bでは、発電装置の発電出力が設定発電出力よりも低下すると、ガスエンジンからの排気ガスの量が不足気味となり、かかる場合に上述のように暖房装置4の燃焼バーナ16を作動させることにより、ガスエンジンからの排気ガスの不足分を暖房装置4からの排気ガスによって補うことができ、温室に供給する排気ガスの量を確保することができる。また、発電装置の発電出力が設定発電出力を超えると、ガスエンジンからの排気ガスの量が過剰気味となり、かかる場合に上述のように暖房装置4の燃焼バーナ16の作動を停止させることにより、温室に供給する排気ガスの量を植物の栽培に適した量に抑えることができる。
【0048】
[第4の実施形態]
次に、図9〜図11を参照して、第4の実施形態の炭酸ガス供給システムについて説明する。図9は、本発明の第4の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図であり、図10は、図9の炭酸ガス供給システムの制御の流れの前半部分を示すフローチャートであり、図11は、図9の炭酸ガス供給システムの制御の流れの後半部分を示すフローチャートである。
【0049】
第4の実施形態の炭酸ガス供給システム2Cでは、制御手段76Cは時間積算手段88を更に含んでおり、この時間積算手段88は、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えている時間及び炭酸ガス濃度検知手段72の検知濃度が下限濃度を超えている時間をそれぞれ積算する。メモリ78Cには、第1設定時間データ(例えば、15分)及び第2設定時間データ(例えば、20分)が記憶されている。比較手段80は、時間積算手段88の積算時間とメモリ78Cに記憶された第1設定時間及び第2設定時間とを比較し、作動制御手段84は、比較手段80の比較結果に基づいて、暖房装置4の燃焼バーナ16を作動制御する。
【0050】
この炭酸ガス供給システム2Cを用いた温室(図示せず)への炭酸ガスの供給は、次の通りに行われる。システム2Cが稼働されると(ステップS71)、ガスエンジン(図示せず)及び送風機(図示せず)が作動され(ステップS72)、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を開状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を閉状態に保持する(ステップS73)。これによりガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給され、温室内の炭酸ガス濃度が上昇される。
【0051】
温室内の炭酸ガス濃度が上昇し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度(例えば、1300ppm)を超えると、ステップS74からステップS75に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を閉状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を開状態に保持する。これにより、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス排出ライン(図示せず)を通して大気に排出される。システム2Cの運転を終了するときには、ステップS76からステップS77に進み、システム2Cの稼動が停止される。システム2Cの運転を継続して行うときには、ステップS76からステップS78に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度(例えば、700ppm)よりも低下しているときには、ステップS78からステップS80に進み、また炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度を超えているときには、ステップS78からステップS76に戻る。
【0052】
ステップS74に戻り、温室内の炭酸ガス濃度が低下し、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、ステップS74からステップS79を経てステップS80に進み、開閉制御手段82は、第2供給バルブ66を開状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を閉状態に保持する。これにより、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に継続して供給される。
【0053】
このように炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、時間積算手段88による時間の積算が開始される(ステップS81)。時間積算手段88の積算時間が第2設定時間(例えば、20分)を超えないときには、ステップS82からステップS83に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度を超えているときには、ステップS83からステップS84に進み、時間積算手段88による時間の積算がリセットされる。また、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下しているときには、ステップS83からステップS82に戻る。システム2Cの運転を終了するときには、ステップS85からステップS77に進み、システム2Cの稼動が停止される。システム2Cの運転を継続して行うときには、ステップS85からステップS86に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えているときには、ステップS86からステップS75に戻り、また炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下しているときには、ステップS86からステップS87を経てステップS81に戻る。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS86からステップS87を経てステップS85に戻る。
【0054】
ステップS82に戻り、時間積算手段88の積算時間が第2設定時間を超えると、ステップS82からステップS88に進み、時間積算手段88による時間の積算がリセットされる。作動制御手段84は燃焼バーナ16を作動させ(ステップS89)、開閉制御手段82は、第1供給バルブ50を開状態に保持するとともに、第1排出バルブ62を閉状態に保持する(ステップS90)。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス供給ライン(図示せず)を通して温室に供給されるとともに、ガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に供給され、温室に供給される排気ガスの量を増大させることができ、温室内の炭酸ガス濃度を急速に上昇させることができる。システム2Cの運転を終了するときには、ステップS91からステップS77に進み、システムCの稼動が停止される。システム2Cの運転を継続して行うときには、ステップS91からステップS92に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度よりも低下しているときには、ステップS92からステップS91に戻る。また、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えているときには、ステップS92からステップS93に進み、開閉制御手段82は、第1供給バルブ50を閉状態に保持するとともに、第1排出バルブ62を開状態に保持する。これにより、暖房装置4からの排気ガスが第1排気ガス排出ライン(図示せず)を通して大気に排出され、またガスエンジンからの排気ガスが第2排気ガス供給ラインを通して温室に継続して供給される。
【0055】
このように炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えると、時間積算手段88による時間の積算が開始される(ステップS94)。時間積算手段88の積算時間が第1設定時間(例えば、15分)を超えないときには、ステップS96からステップS97に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度よりも低下しているときには、ステップS96からステップS97に進み、時間積算手段88による時間の積算がリセットされる。また、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えているときには、ステップS96からステップS95に戻る。システム2Cの運転を終了するときには、ステップS98からステップS77に進み、システム2Cの稼動が停止される。システム2Cの運転を継続して行うときには、ステップS98からステップS99に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が上限濃度を超えているときには、ステップS99からステップS94に戻り、また炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下しているときには、ステップS99からステップS100を経てステップS90に戻る。なお、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度と上限濃度との間の範囲内にあるときには、ステップS99からステップS100を経てステップS98に戻る。
【0056】
ステップS95に戻り、時間積算手段88の積算時間が第1設定時間を超えると、ステップS95からステップS101に進み、時間積算手段88による時間の積算がリセットされる。作動制御手段84は燃焼バーナ16の作動を停止させ(ステップS102)、開閉制御手段82は、第1排出バルブ62及び第2供給バルブ66を閉状態に保持するとともに、第2排出バルブ70を開状態に保持する(ステップS103)。これにより、ガスエンジンからの排気ガスの温室への供給が停止される。システム2Cの運転を終了するときには、ステップS104からステップS77に進み、システム2Cの稼動が停止される。システム2Cの運転を継続して行うときには、ステップS104からステップS105に進み、炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度よりも低下しているときには、ステップS105からステップS80に戻り、また炭酸ガス濃度検知センサ72の検知濃度が下限濃度を超えているときには、ステップS105からステップS104に戻る。
【0057】
この第4の実施形態の炭酸ガス供給システム2Cでは、時間積算手段88の積算時間が第2設定時間を超えると、ガスエンジンからの排気ガスの量が不足気味となり、かかる場合に上述のように暖房装置4の燃焼バーナ16を作動させることにより、ガスエンジンからの排気ガスの不足分を暖房装置4からの排気ガスによって補うことができ、温室に供給する排気ガスの量を確保することができる。また、時間積算手段88の積算時間が第1設定時間を超えると、ガスエンジンからの排気ガスの量が過剰気味となり、かかる場合に上述のように暖房装置4の燃焼バーナ16の作動を停止させることにより、温室に供給する排気ガスの量を植物の栽培に適した量に抑えることができる。
【0058】
本実施形態では、第1設定時間を15分に、第2設定時間を20分に設定したが、第1設定時間と第2設定時間とを同じ時間に設定するようにしてもよく、これら第1及び第2設定時間はそれぞれ適宜設定することができる。なお、温室に炭酸ガスを安定して供給するためには、第1及び第2設定時間をそれぞれ15分〜60分の範囲内で設定するのが好ましい。
【0059】
以上、本発明に従う種々の炭酸ガス供給システムの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0060】
例えば、上記各実施形態では、熱電併給装置6をガスエンジン発電機から構成したが、ガスタービン発電機から構成してもよく、かかる場合には、熱電併給装置6は、ガスタービンと、このガスタービンによって駆動される発電装置との組み合わせから構成される。
【0061】
また例えば、上記各実施形態では、上限濃度を目標設定濃度よりも300ppm高い値、下限濃度を目標設定濃度よりも300ppm低い値にそれぞれ設定したが、目標設定濃度、上限濃度及び下限濃度はそれぞれ適宜設定することができる。なお、温室10内の炭酸ガス濃度を目標設定濃度に安定して保持するためには、上限濃度を目標設定濃度よりも200ppm高い値、下限濃度を目標設定濃度よりも200ppm低い値にそれぞれ設定するのがより好ましい。
【0062】
また例えば、上記各実施形態では、第1及び第2排気ガス供給ライン48,64の各他端部を炭酸ガス供給ライン52の接続ライン54に接続するように構成したが、第1及び第2排気ガス供給ライン48,64の各他端部を送風機22の吸込口24の近傍に配設するように構成してもよい。かく構成した場合には、暖房装置4からの排気ガス及びガスエンジン40からの排気ガスはそれぞれ第1及び第2排気ガス供給ライン48,64を通して流れて、温室10内の空気とともに送風機22の吸込口24に吸い込まれる。その後、送風機22の吹出口26より吹き出された排気ガスは、暖房装置本体14の内部を流れた後に暖房ライン30を通して流れ、暖房本体ライン32及び暖房分岐ライン34の各噴出口36,38より温室内に供給される。
【0063】
また例えば、暖房装置4からの排気ガスを第1排気ガス供給ライン48を通して温室10に供給するとともに、ガスエンジン40からの排気ガスを第2排気ガス排出ライン68を通して大気に排出するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1の実施形態による炭酸ガス供給システムを示す概略図である。
【図2】図1の炭酸ガス供給システムが設置された温室内に炭酸ガスを供給する様子を示す概略斜視図である。
【図3】図1の炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図である。
【図4】図1の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図である。
【図6】図5の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図である。
【図8】図7の炭酸ガス供給システムの制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施形態による炭酸ガス供給システムの制御系を示すブロック図である。
【図10】図9の炭酸ガス供給システムの制御の流れの前半部分を示すフローチャートである。
【図11】図9の炭酸ガス供給システムの制御の流れの後半部分を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
2,2A 炭酸ガス供給システム
4 暖房装置
6 熱電併給装置
8 植物
10 温室
44 第1排気ガス供給手段
46 第2排気ガス供給手段
48 第1排気ガス供給ライン
50 第1供給バルブ
64 第2排気ガス供給ライン
66 第2供給バルブ
72 炭酸ガス濃度検知センサ
82 開閉制御手段
84 作動制御手段
88 時間積算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用の温室に炭酸ガスを供給するための炭酸ガス供給システムであって、
空気を加熱するための暖房装置と、電力及び熱を発生する熱電併給装置と、前記暖房装置からの排気ガスを前記温室に供給するための第1排気ガス供給手段と、前記熱電併給装置からの排気ガスを前記温室に供給するための第2排気ガス供給手段と、を備え、
前記暖房装置からの排気ガスが前記第1排気ガス供給手段を通して及び/又は前記熱電併給装置からの排気ガスが前記第2排気ガス供給手段を通して前記温室に供給されることを特徴とする炭酸ガス供給システム。
【請求項2】
前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを閉状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブを閉状態に保持するとともに前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス供給システム。
【請求項3】
前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブを閉状態に保持するとともに前記第2供給バルブを開状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス供給システム。
【請求項4】
前記第1排気ガス供給手段は、前記暖房装置と前記温室とを相互に接続する第1排気ガス供給ラインと、前記第1排気ガス供給ラインに配設された第1供給バルブと、を有し、前記第2排気ガス供給手段は、前記熱電併給装置と前記温室とを相互に接続する第2排気ガス供給ラインと、前記第2排気ガス供給ラインに配設された第2供給バルブと、を有し、また、前記第1及び第2供給バルブに関連して、これらを開閉制御するための開閉制御手段及び前記温室内の炭酸ガス濃度を検知するための炭酸ガス濃度検知手段が設けられ、
前記開閉制御手段は、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が上限濃度を超えると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを閉状態に保持し、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が下限濃度よりも低下すると、前記第1供給バルブ及び前記第2供給バルブを開状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の炭酸ガス供給システム。
【請求項5】
前記暖房装置を作動制御するための作動制御手段と、前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記上限濃度を超えている時間及び前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記下限濃度よりも低下している時間をそれぞれ積算するための時間積算手段と、を更に備え、
前記第1供給バルブが閉状態に保持された状態にて前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記上限濃度を超えた場合において、前記時間積算手段により積算された時間が第1設定時間を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動停止させ、また前記第2供給バルブが開状態に保持された状態にて前記炭酸ガス濃度検知手段の検知濃度が前記下限濃度よりも低下した場合において、前記時間積算手段により積算された時間が第2設定時間を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動させることを特徴とする請求項3又は4に記載の炭酸ガス供給システム。
【請求項6】
前記暖房装置を作動制御するための作動制御手段を更に備え、前記熱電併給装置の発電出力が設定発電出力を超えると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動停止させ、また前記熱電併給装置の発電出力が前記設定発電出力よりも低下すると、前記作動制御手段は前記暖房装置を作動させることを特徴とする請求項3又は4に記載の炭酸ガス供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−213414(P2009−213414A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61326(P2008−61326)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】