説明

炭酸リチウムを含む経口投与用医薬組成物

本発明は、炭酸リチウムと、任意的な薬理学的に許容される賦形剤と、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、カルシウムステアレート、およびマグネシウムステアレートを含む滑沢剤と、場合によりグリシンと、ナトリウムカルボキシメチルセルロースと、を含む、炭酸リチウムの制御放出固形投与製剤に関する。錠剤製剤は、種々の圧力で圧縮される。ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび場合によりグリシンは、炭酸リチウム製剤で、とくに、長期間にわたり熱および湿度のさまざまな条件で貯蔵されるそれらの製剤で、溶解速度プロファイルを向上させる。炭酸リチウムを賦形剤と混合する工程と、ナトリウムカルボキシメチルセルロースとグリシンとよりなる溶液を流動床グラニュレーターでリチウム混合物上にトップスプレーする工程と、粉砕する工程と、得られた配合物をプレスして錠剤にする工程と、を含む、そのような組成物の製剤化方法についても記載されている。本発明に係る製剤は、双極性障害(躁鬱病性障害)の治療方法に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年5月29日出願の仮出願第60/474,096号の優先権を主張する。該仮出願の開示内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0002】
技術分野
本発明は、医薬製剤;とくに、炭酸リチウムを含む医薬組成物の固形製剤、およびそのような配合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
National Institute of Mental Healthによれば、双極性障害は、所与の年度のいずれにおいても200万人を超える米国の成人すなわち18歳以上の成人人口の約1パーセントに影響を及ぼす慢性、周期性、およびしばしば衰弱性の精神病である。双極性障害は、典型的には、青年期後期または成人期初期に発症するが、より低年齢およびより高年齢における初回発症が確認されている。双極性障害は、医学的疾病として認識されないことが多く、罹患者は、その症状が適切に診断され治療されるまで何年にもわたり苦悩する可能性がある。双極性障害は、ときには、過度に「昂揚した状態」および/または苛立った状態から悲哀な状態および絶望的な状態になった後で元の状態に戻るという著しい気分変動を引き起こし、しばしば、それらの状態間に通常の気分の時期を有する。躁病の徴候および症状(躁病エピソードと呼ばれることもある)としては、エネルギー、活動、および不隠の増大;過度の上機嫌多幸気分;極度の苛立ち;観念競合および早口発話心迫;注意散漫;睡眠困難および睡眠欲求減少;ならびにお金の使いすぎ、薬物乱用、出しゃばり行動もしくは攻撃的行動、または他の有害もしくは危険な活動として現われる可能性のある判断力欠如が挙げられる。双極性障害に関係する鬱病の徴候および症状(鬱病エピソードと呼ばれることもある)としては、悲哀、不安、もしくは空虚な気分の持続;絶望感、罪悪感、無価値感、もしくは無力感;通常は楽しいはずの活動に対する興味の喪失;集中困難もしくは記憶消失困難;不隠もしくは苛立ち;および睡眠過多もしくは睡眠不能が挙げられる。双極性障害者は、鬱病エピソードにおいて、自殺思考または自殺企図を起こしやすい。
【0004】
治療を行わなければ、双極性障害の自然経過は、悪化する傾向があり、患者は、より重篤な極限状態の気分動揺を経験するだけでなく、より頻発する(より短い周期で生じる)気分変動を経験する。双生児の片方が双極性障害であると診断された一卵性双生児の場合と同じように、双極性の親の子供はその疾患を発症する危険性が高いので、この障害には少なくともなんらかの家族性素因が存在するように思われる。遺伝学的研究の結果、複数の遺伝子が双極性障害に寄与することが示唆される。
【0005】
躁病を治療すべくU.S. Food and Drug Administration(FDA)により米国で承認された最初の気分安定化医薬であるリチウムは、躁病の抑制および躁病エピソードと鬱病エピソードの両方の再発防止に非常に効果的であることが多い。他の薬剤、とくに、バルプロエート(Depakote(登録商標))もしくはカルバマゼピン(Tegretol(登録商標))のような抗痙攣剤;クロナゼパム(Klonopin(登録商標))のようなベンゾジアゼピン類;クロザピン(Clozaril(登録商標))のような抗精神病剤;または電気痙攣(ECT)療法が、双極性障害に対して使用中または研究中であるが、リチウムは、依然として第一選択の治療剤である。したがって、当技術分野では、副作用を最小限に抑えて双極性障害の患者に薬理学的有効用量を送達するさらに改良された方法が探求されてきた。
【0006】
リチウムは、150年間を超えて種々の製剤で医療目的に使用されてきたが、有効な躁病治療剤としてのおよび双極性(躁鬱病性)障害に対する予防療法剤としてのリチウムの現代的使用は、1950年代初期に遡る。
【0007】
リチウムは、いくつかのアルカリ性鉱泉水に豊富に含まれ、動物組織中に痕跡量で存在するが、生理学的役割については不明である。その最初期の使用以来、リチウムは、その治療指数が相対的に低く2または3の範囲内であることならびに部分的ではあるが人体への溶解および取込みの調整を行うのが困難であることの両方が理由で、毒性作用を有する可能性があると考えられてきた。炭酸リチウムおよびクエン酸リチウムはいずれも、現在、米国で治療に使用されている。
【0008】
リチウムは、アルカリ金属族(周期表の第Ia族であり、ナトリウムやカリウムも含まれる)の物理化学的特性の多くを共有し、その中で最も軽いメンバーである。それは一価カチオンであり、第Ia族の中で最大の電場密度および最大の水和エネルギーを有し、しかも二価カチオンのマグネシウムやカルシウムのイオン半径と類似したイオン半径を有する。リチウムは、ナトリウムやカリウムとは異なり、生体膜を横切って比較的小さい分布勾配を有する。
【0009】
治療濃度のリチウムイオン(Li+)は、正常者では識別可能な向精神作用をほとんど有していない。それは、正常者に対しては鎮静剤でも抑制剤でも多幸化剤でもなく、特徴的作用のこの欠如により他の向精神剤と区別される。
【0010】
Li+は、胃腸管から容易にかつほとんど完全に吸収されるが、吸収速度は、投与される製剤のタイプにかなり影響される。完全吸収は、約8時間で行われるが、血漿中ピーク濃度は、経口投与の2〜4時間後に現れる。しかしながら、特定の製剤では、吸収はかなり迅速に行われうる。たとえば、European Journal of Clinical Pharmacology, 16, 271-77 (1979)に記載されている「ヒトにおけるリチウムの薬物動態の分析(Analysis of the Pharmacokinetics of Lithium in Man)」という標題のNielsen-KudskおよびAmdisenによる論文では、薬物動態学的研究においてボランティアに投与された1回用量の液状の塩化リチウムは、わずか0.15時間(9分間)の平均吸収半減期を有することが示された。
【0011】
炭酸リチウムの徐放性製剤を用いれば、吸収速度が遅くなるので、Li+イオンの血漿中濃度の初期ピークは最小限に抑えられる。たとえば、Lithium (1992) 3, 221-23に記載されている「2種の制御放出炭酸リチウム錠剤のin vivo評価(In vivo Evaluation of Two Controlled Release Lithium Carbonate Tablets)」という標題の論文において、Gaiらは、炭酸リチウムとAvicel(登録商標)とラクトースとEudragit(登録商標)(水性メタクリル系ポリマー)と滑沢剤(マグネシウムステアレート)とよりなる製剤が、従来の製剤対照と比較して、より遅いリチウム放出を示すことを報告した。市販の炭酸リチウム製剤は、GlaxoSmithKlineから入手可能であり、Eskalith CR 450(登録商標)として販売されている。Eskalith CR 450(登録商標)製剤は、以下の成分を含む:
炭酸リチウム 450mg
酸化鉄 1mg
ゼラチン-200ブルーム 40mg
ナトリウムデンプングリコレート 0.75mg
アルギン酸 1mg
マグネシウムステアレート 5.25mg
合計 498mg
【0012】
一定の間隔で単回投与を何回か行うことに比べて、長期間にわたり制御下で活性成分を放出する医薬の単回投与を行う便利さが、製薬技術分野において長い間認識され望まれてきた。長期間にわたり医薬の血中レベルを一貫して均一にすることが患者や臨床医にとって利点であることも、同様に認識されている。最も重要な利点としては、(1)薬剤の接触時間の増加により、胃、腸、または他の活性部位において局所的活性が得られること;(2)特異的吸収部位を有する薬剤の吸収が増大し、より効率的になること;(3)単位期間あたりの投与回数を減少させうること;(4)全体としてより少ない薬剤が利用されること;(5)局所的および/または全身的副作用が最小限に抑えられるかまたは回避されること;(6)長期間投与に関連付けられる薬剤蓄積が最小限に抑えられること;(7)治療の効率および安全性が改善されること;(8)薬剤レベルの変動が減少すること;ならびに(9)全体的疾患管理に対する患者のコンプライアンスが向上すること;が挙げられる。
【0013】
徐放性製剤の投与には、問題がないわけではない。これらの問題は、リチウム製剤の場合、とくに重要である。徐放性調剤は、投与後の期間が長くなるにつれて全吸収パーセントが高くなる傾向があり、その期間中、医薬は、さらに胃腸管を通過するので、下部腸管に吸収されるリチウムの割合が高くなる可能性がある。これにより、悪心、嘔吐、腹痛、および下痢のような症状を引き起こす可能性がある。Li+は、治療される全患者の1/3程度で、耐容性が不十分である。したがって、当技術分野では、吸収の中期間で、すなわち、投与から約3時間以内で、リチウム製剤の溶解速度を最大化するための手段が必要とされてきた。
【0014】
Li+は、最初に、細胞外液中に分布し、次に、種々のヒト組織中に徐々に蓄積する。血液脳関門の通過は緩速であり、定常状態に達したとき、脳脊髄液中のLi+の最終濃度は、血漿中濃度の約半分以下である。International Journal of Clinical Pharmacology, Therapy and Toxicology, Vol. 24, 5:240-45 (1986)に記載されている「従来製剤および制御放出製剤の投与後における炭酸リチウムの吸収および処理の速度論(Absorption and disposition kinetics of lithium carbonate following administration of conventional and controlled release formulations)」という標題の論文中の即時放出製剤および制御放出製剤の両者に関する研究において、Arancibiaらは、リチウムの単回経口投与が生体に対して見掛け一次吸収を有する開放2コンパートメントモデルの薬物動態学的特性を与えることを見いだした。リチウムの分布容積は、全生体水の体積に近く、中央のコンパートメントの体積は、細胞外の水の体積に対応することが見いだされた。
【0015】
Li+の1回用量の95パーセントは、尿中に排出され、短期間用量の1/2〜2/3の初期排泄物が、6〜12時間で排泄される。この初期段階に続いて、次の10〜14日間にわたり緩速排泄が起こる。少量のLi+が、汗や糞便中に排泄される。排出半減期は、平均で20〜24時間であるが、Na+枯渇を引き起こす因子はいずれも、Li+保持を促進する傾向があるので、Li+の半減期を長くする。精神錯乱、反射亢進、大きな振戦、構音障害、発作、脳神経的および局所神経的徴候、ならびに心不整脈として発症する可能性のあるLi+過量投与に対する特異的治療法は存在しない。これらの症状は、昏睡や死亡に発展する可能性がある。治療は、適切なNa+レベルおよび水分補給を維持する対症的なものである。透析は、生体からLi+を除去する最も効果的な手段であり、リチウム中毒が重篤な場合に使用される。
【0016】
したがって、製薬技術分野で長い間探求されてきたのは、現在入手可能な製剤と比較して中期間で改善された溶解速度を呈するリチウム製剤化手段である。あまりにも急速に溶解される製剤は、血清中レベルの急速なスパイクを生成する傾向があり、毒性の危険性の増大を伴う。一方、あまりにも緩速に溶解される製剤は、下部胃腸管に吸収されるリチウムの割合を高める傾向があり、不快な症状を招いたり患者のコンプライアンスを妨害する可能性を生じたりする。このほか、実用的処方要件として、市販の製剤は、多種多様な貯蔵条件下で長期間にわたり許容しうる安定性レベルを有することが要求される。
【0017】
本発明の目的は、溶解速度の制御不良に関連付けられる製剤および製造方法を、実施がそれほど複雑でなく、より再現性が高く、原材料密度およびタブレットプレスパラメーターへの製剤および溶解速度の依存性が回避される製剤および方法で置き換えることである。表1に示される現用の炭酸リチウム(Eskalith CR 450(登録商標))製剤規格の例では、1時間で40%以下、3時間で45〜75%、7時間で70%以上の溶解速度が必要とされる。
【表1】

【0018】
この目的のために、種々の賦形剤と組み合わせてさまざまな製造技術により製剤化された炭酸リチウム製剤について調べる一連の実験を行った。炭酸リチウム用の持続放出剤として以下の材料を検査したが、それらはすべて失敗に終わった:
アルギン酸
アルギン酸ナトリウム
グアーガム
Carbopol 971
Carbopol 974
ヒドロキシプロピルメチルセルロースE4M
ヒドロキシプロピルメチルセルロースE50
PVP K30
PVP K90
ヒドロキシプロピルセルロース(溶媒系)
ゼラチン 125ブルーム
ゼラチン 150ブルーム
Aquacoat(水性エチルセルロース)
Starch NF
Starch 1500(部分アルファ化デンプン)
Starch 1551(完全アルファ化デンプン)
ゼラチン 200ブルーム
マルトデキストランM150
PEG4000
【0019】
さらなる研究を行うに値した唯一の持続放出剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースであった。
【発明の開示】
【0020】
発明の概要
薬剤は、純粋な形態で処方されることはめったになく、その代わりに、一般的には、製造の容易化、分散特性および溶解特性の改善、安定性の向上、ならびに美味性の増大のために、賦形剤とみなされるさまざまな非活性剤と混合される。ナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)は、安定性および粘性の増強剤であることが知られている。それは、粘性増強特性を有するので、エマルジョンを安定化させるためにならびに本発明の場合のように錠剤の結合剤および崩壊剤として、経口医薬調剤および局所医薬調剤で広く使用されている。化学的には、NaCMCは、セルロースのポリカルボキシメチルエーテルのナトリウム塩であり、典型的には、90,000〜700,000の範囲内の分子量を有する。NaCMCは、アセトン、エタノール、エーテル、およびトルエンのような有機溶媒には難溶性であるが;いずれの温度においても水には容易に分散される。それは、広範な投与量レベルで安全である非毒性かつ非刺激性の材料として一般に考えられている。NaCMCは、World Health Organizationにより設定された一日許容摂取量レベルを有しておらず、European Council Directive No. 95/2/ECにはすべての食品に添加しうる物質として記載されており、FDA Inactive Ingredients Guideに含まれている。1日4グラムを超える用量では、NaCMCは、その吸湿性および糞便が腸を通過する際の水との結合能に基づいて膨脹性緩下作用を有する可能性がある。
【0021】
1986年というかなり前に、NaCMCは、30パーセントの濃度で、リチウムの血清中濃度に見られる実験的上昇を遅らせることがArancibiaらにより示された。1回用量のNaCMC-炭酸リチウム製剤は、1回用量の即時放出調剤と比較して、血清中ピークレベルの出現を2時間未満〜約4時間遅らせた。Drug Development and Industrial Pharmacy, 18(3): 375-83 (1992)に記載されている「錠剤のロラゼパムの崩壊、溶解、および生物学的利用能に及ぼすナトリウムカルボキシメチルセルロースの影響(Effect of Sodium Carboxymethylcellulose on the Disintegration, Dissolution, and Bioavailability of Lorazepam from Tablets)」という標題の論文中で、NaCMCを添加するとロラゼパムの溶解が速くなることがSinghにより実証されたので、溶解速度を変化させるNaCMC製剤の作用は、リチウムに特異的であるとは思われない。Pharm. Acta Helv. 50(4): 99-102 (1975)に記載されている「錠剤が崩壊するときのさまざまな粘度グレードのナトリウムカルボキシメチルセルロースの評価(Evaluation of different viscosity grades of sodium carboxymethylcellulose as tablet disintegrates)」という標題の論文に見られるように、使用されるNaCMCの粘度グレードが、製剤粒子を錠剤の形態に保持一体化する力と水中で粒子の分離を促進する力との間の力のバランスに影響を及ぼしうることを示唆する証拠が存在する。
【0022】
本発明では、比較的少量(先行技術と比較して)のナトリウムカルボキシメチルセルロースを炭酸リチウムの製剤に添加すると製剤の溶解プロファイルが向上することを見いだした。このほか、二次的放出剤(グリシン)を利用すると溶解速度が向上することを見いだした。さらに、初期顆粒化を行ってから活性成分の炭酸リチウムの一部分を使わずに残しておいて後で賦形剤と共に添加するように製造法に変更を加えると溶解が促進されることを見いだした。したがって、
a.炭酸リチウムと、
b.任意的な薬理学的賦形剤と、
c.少なくとも1種の溶解速度安定化剤と、
d.少なくとも1種の二次的放出剤と、
を含む経口投与用医薬組成物を開示する。
【0023】
本発明に係る医薬組成物はまた、着色剤として酸化鉄を含有しうる。好ましくは、酸化鉄は、約1mg/錠のレベルを超えない。本発明に係る医薬組成物はまた、滑沢剤であってもよい任意的な薬理学的賦形剤を含有しうる。滑沢剤は、重量基準で組成物の約0.1パーセント〜約1パーセントの濃度のステアリン酸、重量基準で組成物の約0.1〜約1.0パーセントの濃度のナトリウムステロールフメレート(sodium sterol fumerate)、重量基準で組成物の約0.1〜1.0パーセントの濃度のカルシウムステアレート、および重量基準で組成物の約0.1〜1.0パーセントの濃度のマグネシウムステアレートよりなる群から選択可能である。
【0024】
本発明に係る組成物は、好ましくは、従来の製薬用打錠機により約7kPa〜20kPaの錠剤硬度で圧縮される。
【0025】
最も好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、最も好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロースである少なくとも1種の溶解速度安定化剤を含有する。ナトリウムカルボキシメチルセルロースは、通常、重量基準で組成物の約5〜約15パーセントで存在する。より好ましくは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースは、重量基準で組成物の約5パーセント以下を占める。
【0026】
さらにより好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、少なくとも1種の二次的放出剤を追加的に含み、最も好ましくは、この二次的放出剤はグリシンである。典型的には、グリシンが存在し、約0.5〜約40mg/錠を占める。
【0027】
したがって、
a.炭酸リチウムと、
b.酸化鉄と、
c.ステアリン酸と、
d.ナトリウムカルボキシメチルセルロースと、
e.グリシンと、
f.場合により製薬上許容される賦形剤と、
を含む経口投与用医薬組成物をさらに開示する。
【0028】
炭酸リチウムの制御放出固形製剤の調製方法をさらに開示する。この方法は、
a.炭酸リチウムと酸化鉄とを混合してブレンドにする工程と、
b.水とナトリウムカルボキシメチルセルロースと少なくとも1種の二次的放出剤とよりなる水溶液を可溶化させる工程と、
c.炭酸リチウムと酸化鉄とのブレンドを流動床グラニュレーターの床内に配置する工程と、
d.流動床グラニュレーターの床内のブレンド中に溶液をトップスプレーすることによりトップスプレーブレンドを作製する工程と、
e.流動床グラニュレーターでトップスプレーブレンドを顆粒化させて顆粒にする工程と、
f.顆粒を少なくとも1種の賦形剤と共に粉砕することにより組成物を形成する工程と、
g.タブレットプレスで顆粒を少なくとも1種の賦形剤組成物と共にプレスして錠剤にする工程と、
を含む。
【0029】
本発明はまた、治療上有効な量の本発明に係る組成物を患者に経口投与することよりなる双極性障害の治療方法に関する。本発明の他の態様は、かなり低レベルのカルボキシメチルセルロースが炭酸リチウム製剤の調製に有効であるという発見に単純に関連付けられる。したがって、
a.炭酸リチウムと、
b.任意的な薬理学的賦形剤と、
c.少なくとも1種の溶解速度安定化剤と、
を含む経口投与用医薬組成物を開示する。
【0030】
先に述べたように、酸化鉄および滑沢剤が組成物中に存在していてもよい。グリシンを必要としない本発明のこの態様では、好ましい溶解速度安定化剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロースである。典型的には、このナトリウムカルボキシメチルセルロースは、重量基準で組成物の約5〜約15パーセントの濃度で存在する。通常、炭酸リチウムは、重量基準で組成物の約85〜95パーセントの濃度で存在する。
【0031】
医薬組成物の製造方法は、グリシンが省略されること以外は先に記載したとおりである。
【0032】
本発明のさらに他の態様は、ボウル仕込物を分割すると本発明に係る製剤の安定性および溶解速度が劇的な影響を受けるという発見に関連付けられる。したがって、
a.炭酸リチウムと、
b.任意的な薬理学的賦形剤と、
c.少なくとも1種の溶解速度安定化剤と、
の工程を含む経口投与用医薬組成物の製造方法を開示する。
【0033】
好ましい実施形態では、本発明に係る医薬組成物は、次のような溶解プロファイルを有する:1時間で40パーセント以下;3時間で45〜75パーセント;および7時間で70パーセント以上。より好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、次のような溶解プロファイルを有する:1時間で40パーセント以下;3時間で50〜65パーセント;および7時間で70パーセント以上。
【0034】
発明の詳細な説明
NaCMCおよび薬剤溶解速度を変化させる性質を備えた医薬製造で公知の他の賦形剤を使用する有用性の歴史を考慮して、炭酸リチウムおよびNaCMCを用いて実験を試みた。これらの実験の目的は、プロセスを単純化すること、能力を増大させること、バッチ変動を減少させること、バッチ欠陥率を減少させること、原材料密度への製剤の依存性を回避すること、放出速度制御因子としてのタブレットプレスパラメーターへの依存性を回避すること、および許容しうるもの安定性を達成することであった。
【0035】
すべての実験で、着色剤として添加された1mg/錠の酸化鉄と共に16〜18キログラムの炭酸リチウムを45リットル顆粒インサート流動床グラニュレーター(GPCG)に仕込んだ。種々の放出制御剤を含有する放出持続剤の溶液または懸濁液を20〜40kgの量で流動化炭酸リチウム上にトップスプレーし、次に、乾燥させた。1.0mm丸孔コーンを備えたGS 180ミルで顆粒を粉砕した。粉砕された顆粒を滑沢剤などの種々の顆粒外成分とPK 8-quart V blenderでブレンドした。深さ1.1cmカップ丸パンチを有するManesty 30ステーション高速商用タブレットプレスを用いて、各ブレンドを圧縮した。
【0036】
完成錠剤の溶解プロファイルを調べることにより、圧縮率の調整と共に放出持続剤および滑沢剤のタイプ、量、および比の変更の影響を評価した。製剤のロバスト性を調べる目的で、異なるロットの炭酸リチウムを利用して、賦形剤を一定に保持したままいくつかの試験を反復した。最も有望な製剤をガラスおよびプラスチックのパッケージに入れて安定性を調べた。
【実施例1】
【0037】
炭酸リチウム-NaCMC製剤
NaCMCを有する炭酸リチウムの溶解速度およびこれらの速度の安定性を試験するために;表2に示されるように、さまざまな量の追加のNaCMCと共に製剤化された炭酸リチウムを用いて、効力、溶解、および安定性の試験を行った。乾燥減量(LOD)にいくらかの変動が見られた。表2に示されるように、約10%(すなわち51.07mg)の追加のNaCMCを添加したところ、3時間での溶解が改善され、さらなるNaCMCを添加しても、この溶解速度はそれほど改善されなかった。したがって、約10%の追加のNaCMCのレベルをさらなる実験に用いるべく選択した。このほか、炭酸リチウム/酸化鉄製剤中のステアリン酸滑沢剤のレベルの変化が溶解に及ぼす影響を調べたところ、表3および4に示されるように、溶解にほとんど影響を及ぼさないことが判明した。しかしながら、製造上の観点からみて、約1%(すなわち5.07mg/錠)のステアリン酸レベルで錠剤の外観および堅さに関して最適結果が得られることが判明したので、このレベルをさらなる実験に用いるべく選択した。さまざまな濃度で他の滑沢剤の種々の組合せを行ったところ、表4〜7に示されるように、滑沢剤としてのステアリン酸の使用と比較した場合、溶解パラメーターの改善は見られなかった。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0038】
製剤中でNaCMCを使用することがきわめて有望であることが示された。なぜなら、これらの製剤は望ましい溶解特性を呈したからである(3時間の時間点で約50%〜55%が放出された)。表2および3に示されるように、NaCMCとステアリン酸の相対百分率組成のような複数のパラメーターを変化させたときでさえも、溶解速度の変化がほとんどまたはまったく起こらず、これらの製剤が溶解に関して最もロバストであることも示された。表4〜7に示されるように、滑沢剤のさまざまな変更および錠剤硬度の改変を行っても、溶解速度はほとんど変化しなかった。
【0039】
要約すると、単一の放出持続剤としてNaCMCを使用したとき、表4〜7に提示される材料から以下の観測がなされた:
1. 5.3%を超えてNaCMCのレベルを増大させたところ、溶解速度は影響を受けなかった。
2. 同一ロットの顆粒からいくつかのブレンドを調製し圧縮したところ(単一ロットの炭酸リチウムを使用)、溶解速度は変化しなかった。
3. 複数のロットの炭酸リチウムを使用したところ(顆粒用として)、溶解速度は変化しなかった。
4.複数の硬度レベル(7、10、または約20kPa)で錠剤の圧縮率を設定したところ、溶解速度は変化しなかった。
5. 滑沢剤のレベル(0.05〜1.0%)またはタイプを改変したところ、放出速度の有意な変化は見られなかった。
【0040】
しかしながら、ガラスボトル中および現用の商用パッケージ中の両方で行われた安定性試験では、表8に示されるように、炭酸リチウム-NaCMC製剤の溶解速度は、経時により減少を示した。より高い温度、より高い相対湿度、およびより長い貯蔵期間で、炭酸リチウム-NaCMC製剤は、表1に示される3時間の溶解時間での現用の製品規格(3時間以内で45%〜75%の溶解速度が要求される)の近傍まで低下するかまたはそれを外れる傾向があった。
【0041】
溶解のこの減少は、表8および9に示されるように、現用の商用パッケージ中およびガラスボトル中で試験したときのいずれにおいても見られた。初期溶解速度を適度に改善すれば(おそらく約50%台後半〜60%台前半の範囲)、経時により観測される溶解速度の低下が許容範囲内になり、新しい製剤が製造時および貯蔵後のいずれにおいても許容しうる溶解速度を示すようになるであろうと推測した。
【0042】
経時による溶解安定性のこの低下を克服する目的で、3時間で約60%〜約65%の範囲内になるように放出速度を増大させることを目標として、より長い貯蔵期間で観測される溶解安定性の低下が許容範囲内になるようにすべく、複数の実験に着手した(表8および9に示されるように、NaCMC製剤は、6ヶ月間、より高い温度、およびより高い相対湿度の条件で規格から外れた)。
【表8】

【表9】

【実施例2】
【0043】
追加の賦形剤を有する炭酸リチウム-NaCMC
他の顆粒外賦形剤と組み合わせて放出持続剤として水性NaCMCを用いて、3時間溶解速度の改善を試みた。NaCMCを水に溶解させて、炭酸リチウム/酸化鉄ブレンドを顆粒化させるために使用した。1mm丸孔コーンを備えたコーンミルで顆粒を粉砕した。滑沢化前に、複数レベルのAerosil 200(登録商標)(コロイドシリカ)、Avicel PH102(登録商標)(微結晶性セルロース)、Starch 1500(部分糊化デンプン)、および/またはラクトースを含む追加の賦形剤と顆粒をブレンドした。次に、ブレンドを滑沢化し、複数の硬度レベル(7および10kPa)で圧縮した。実験変数には、異なるロットの炭酸リチウムを用いたバッチの製造、単一ロットの炭酸リチウムからの複数バッチの製造、単一バッチの顆粒からの複数バッチの錠剤の製造、異なるレベルのNaCMCを有するバッチの製造、異なるレベルのAerosil 200(登録商標)を有するバッチの製造、異なるレベルのStarch 1500を有するバッチの製造、異なるレベルのAvicel PH102(登録商標)を有するバッチの製造、異なるレベルのラクトースを有するバッチの製造、およびステアリン酸またはマグネシウムステアレートのいずれかを利用し異なるレベルの滑沢剤を用いたバッチの製造が含まれていた。
【0044】
これらの材料を炭酸リチウム/酸化鉄/NaCMC製剤に顆粒外添加したところ、表10〜13に示されるように、溶解速度は、3時間の時間点で下側境界以下(45%)に減少した。
【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【0045】
NaCMC、Avicel(登録商標)、Starch 1500、およびAerosil 200(登録商標)を含有する代表的製剤を用いて、ステアリン酸滑沢剤濃度の変化について試験した。錠剤圧縮の実験から、7kPaまたは10kPaのいずれの圧力に錠剤を圧縮しても溶解速度は変化しないことが明らかにされた。
【表14】

【0046】
表10〜14に提示された結果から以下の観測がなされた:
1. Aerosil(登録商標)のレベルを改変したところ、溶解速度は変化しなかった。
2. デンプンのレベルを改変したところ、溶解速度は変化しなかった。
3. Avicel(登録商標)のレベルを増加させたところ、溶解速度はわずかに低下した。
4. Avicel(登録商標)をラクトースで置き換えたところ、溶解速度は変化しなかった。
5. ラクトースのレベルを改変したところ、溶解速度は変化しなかった。
6. 同一ロットの顆粒からいくつかのブレンドを調製し圧縮したところ(単一ロットの炭酸リチウムを使用)、溶解速度は変化しなかった。
7. 異なるバッチの顆粒に複数ロットの炭酸リチウムを使用したところ、溶解速度は変化しなかった。
8. 滑沢剤のレベルを50%低下させたところ、溶解はわずかに増加した。
9. 滑沢剤のレベルを50%増加させたところ、溶解速度に及ぼす速度低下の影響は見られなかった。
【実施例3】
【0047】
他の結合剤によるNaCMCの置換
炭酸リチウムの溶解特性を改善するうえでの他の結合剤の効力を試験するために、NaCMCを、デンプン、ゼラチン、水性ポリビニルピロリドン(PVP)、およびヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を含む種々の他の放出持続剤と置き換えた。NaCMCの代わりに、Starch NF、Starch 1500(部分アルファ化デンプン)、またはStarch 1551(完全アルファ化デンプン)を水中に懸濁させて使用し、炭酸リチウム/酸化鉄ブレンドを顆粒化した。1mm丸孔コーンを備えたコーンミルで顆粒を粉砕した。滑沢化前に、複数レベルのAerosil 200(登録商標)(コロイドシリカ)、Avicel pH102(登録商標)(微結晶性セルロース)、および/またはStarch 1500(部分アルファ化デンプン)を含む追加の賦形剤と顆粒をブレンドした。次に、ブレンドを滑沢化し、7または10kPaのいずれかの硬度レベルで圧縮した。追加の顆粒外賦形剤と併用してまたは併用せずに、放出持続剤としてデンプンを使用したところ、溶解速度がかなり不安定であることが判明したので、これらの製剤については実験をすべて中止した。
【0048】
第2の系列の実験では、ゼラチン(ゼラチンA(125および200ブルーム)またはゼラチンB(200ブルーム))を水に懸濁/溶解させて、炭酸リチウム/酸化鉄ブレンドを顆粒化するために使用した。1mm丸孔コーンを備えたコーンミルで顆粒を粉砕した。ゼラチンを用いたサブ系列の実験では、滑沢化前に、複数レベルのAerosil 200(登録商標)(コロイドシリカ)、Avicel PH102(登録商標)(微結晶性セルロース)、Starch 1500(部分糊化デンプン)、Explotab(ナトリウムデンプングリコレート)、および/またはAc-Di-Sol(クロスカルメロースナトリウム)を含む追加の賦形剤と顆粒をブレンドした。次に、ブレンドを滑沢化し、7または10kPaのいずれかの硬度レベルで圧縮した。異なるロットの炭酸リチウムを用いた変形、単一ロットの炭酸リチウムからの複数バッチの製造、単一バッチの顆粒ならびに異なるレベルのステアリン酸およびマグネシウムステアレートの両滑沢剤からの複数のバッチまたは錠剤の製造についてすべて試験した。追加の顆粒外賦形剤と併用してまたは併用せずに、放出剤としてゼラチンを使用したところ、溶解速度が非常に不安定であったので、これらの製剤についてはすべての実験を中止した。
【0049】
第3の系列の実験では、ポリビニルピロリドン(PVP)(K30、K90、およびK30+K90(分子量が異なる))を水に溶解させて、炭酸リチウム/酸化鉄ブレンドを顆粒化するために使用した。1mm丸孔コーンを備えたコーンミルで顆粒を粉砕した。ポリビニルピロリドンを用いたサブ系列の実験では、滑沢化前に、複数レベルのAerosil 200(登録商標)(コロイドシリカ)、Avicel PH102(登録商標)(微結晶性セルロース)、および/またはStarch 1500(部分糊化デンプン)を含む追加の賦形剤と顆粒をブレンドした。次に、ブレンドを滑沢化し、7または10kPaのいずれかの硬度レベルで圧縮した。単一ロットの炭酸リチウムからの複数バッチの製造、単一顆粒バッチからの複数バッチの錠剤の製造、異なるレベルおよびタイプのPVPを有するバッチの製造、ならびに異なるレベルのステアリン酸およびマグネシウムステアレートの両滑沢剤を用いるバッチの製造を含む変形について試験した。顆粒外賦形剤と併用してまたは併用せずに、放出持続剤としてPVPを使用したところ、溶解速度がかなり不安定であったので、これらの製剤についてはすべての実験を中止した。
【0050】
第4の系列の実験では、製剤化プロセスで水の使用を回避する目的で、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を有機溶媒(イソプロピルアルコール)に溶解させて、炭酸リチウム/酸化鉄ブレンドを顆粒化するために使用した。1mm丸孔コーンを備えたコーンミルを用いて顆粒を粉砕した。HPCを用いたサブ系列の実験では、滑沢化前に、複数レベルのAerosil 200(登録商標)(コロイドシリカ)、Avicel PH102(登録商標)(微結晶性セルロース)、および/またはStarch1500(部分糊化デンプン)を含む追加の賦形剤と顆粒をブレンドした。次に、ブレンドを滑沢化し、7または10kPaのいずれかの硬度レベルになるように圧縮した。種々のレベルのステアリン酸滑沢剤を試験した。追加の顆粒外賦形剤と併用してまたは併用せずに、放出持続剤としてのHPCを使用したところ、溶解速度が非常に速かったので、これらの製剤についてはすべての実験を中止した。
【実施例4】
【0051】
二次的放出剤(グリシン)を有する炭酸リチウム-NaCMC
放出持続剤としてNaCMCを用いて得られる溶解プロファイルを他の放出持続剤で改善しようとしたが失敗に終わったので、NaCMCを含む製剤に加えて二次的放出持続剤(グリシン)を利用する実験に着手した。複数レベルのグリシンを炭酸リチウム/酸化鉄と併用した。NaCMC製剤および放出速度は、表15に示されるように、追加のグリシンを用いないときの約50%の3時間溶解速度から、40mg/錠の追加のグリシンを用いたときの約100%の3時間溶解速度まで、制御可能に改変されることが判明した。実験プロトコルの目標は、単一の放出持続剤としてNaCMCを用いて単にベースライン溶解速度の適度の増加を達成することであったので(たとえば、表8および9に記載のNa-CMCの3時間溶解速度を参照されたい)、表15に示されているように3時間溶解速度を63%まで増加させた8mg/錠のレベルの追加のグリシンをさらなる探索研究用として選択した。
【表15】

【0052】
処方 錠剤重量(mg)
0106033 477.9
0106977 479.4
0106976 482.4
0106975 485.45
0107229 487.9
0107232 490.9
0107230 493.9
0106774 497.5
0106772 517.6
【0053】
好ましい実施形態では、グリシンは、組成物の重量を基準にして、0.1、1、2、または3パーセントの下限から、6、8、9、または10パーセントの上限までの範囲内である。
【0054】
この併用放出制御製剤を用いて、いくつかの他の実験を行った。表16に示されるように、炭酸リチウムの密度は放出プロファイルに影響を及ぼさないことが判明した。また、表17に示されるように、ステアリン酸またはナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)のいずれかを利用しても、滑沢剤レベルの増加により、放出速度は低下することが判明した。これらの実験中、錠剤は、0.5%のステアリン酸レベルで溶解問題を示さなかったが、錠剤ツールは、錠剤滑沢剤の相対的不足を示したので、ステアリン酸のレベルを0.5%から1.0%まで増大させた。ステアリン酸のレベルを0.5%から1.0%まで増大させても、溶解プロファイルは影響を受けなかったが、1%を超えるレベルでは、表16および17に示されるように、溶解はいくらか遅くなった。
【表16】

【表17】

【0055】
異なるレベルの湿分を利用して実験を行ったところ、顆粒の乾燥時、0.5%〜1.0%よりもかなり少ない湿分レベルに乾燥させるのは非常に困難であることが示された。4.25%の湿分レベルの顆粒を用いて、1回の圧縮を試みた。圧縮により4.0kPaの硬度レベルが達成できるにすぎなかった。しかしながら、これでも、3時間の時点で60%というまともな溶解速度が得られた。
【0056】
表18および19に示されるように、炭酸リチウム-NaCMC-グリシン製剤を利用して、低密度および高密度のリチウムの両方について、溶解安定性の研究に着手した。これらは、表8に報告した現用の商用パッケージ中の炭酸リチウム-NaCMC製剤で見られた溶解安定性と比較して改善された溶解速度を示した。
【表18】

【表19】

【実施例5】
【0057】
炭酸リチウム-NaCMC-ボウル仕込物の改変
NaCMC顆粒の追加の系列の実験で、前述の実施例の製造方法に対して改変を行った。450mg炭酸リチウム/錠で40,000錠の錠剤のボウル仕込物に相当する標準的商用試験調剤を利用した。5、10、または15mg/錠のいずれかに等しいの量で、異なる量の炭酸リチウムを流動床ボウルから取り出した。次に、流動床ボウルから取り出した量を、所望の量のNaCMCを含有する水に溶解させ、顆粒化溶液スプレーの一部分として最終製剤に戻した。製剤溶解速度に及ぼすボウル仕込物改変の影響により、溶解速度は、3時間で約50%溶解のベースライン(顆粒化ボウルから取り出されてNaCMCと共に顆粒混合物上にスプレーされ戻されるリチウムはゼロである)から、表20に示されるように増加し、15mgボウル改変では3時間で75%程度まで増加した(15mg/錠に等しい量のリチウムをボウル仕込物から取り出して、NaCMCを含有する水に溶解させ、次に、顆粒混合物上にスプレーし戻した)。3時間溶解速度の適度の増加を達成するという実験目標に合わせて、10mg/錠のボウル改変を、表21に示されるようなさまざまなリチウム密度を有するさらなる実験用として選択した。
【表20】

【表21】

【0058】
炭酸リチウム-NaCMC-10mg/錠ボウル仕込物改変製剤を利用して、低密度および高密度のリチウムの両方について、表22〜24に示されるように、溶解安定性の研究に着手した。表22〜24に示されるこれらの研究の結果は、表8の炭酸リチウム-NaCMC製剤で見られた溶解安定性と比較して、ほとんどの期間および貯蔵条件で改善された溶解速度を示した。しかしながら、最高実験温度および最大相対湿度では溶解速度は低下した。この影響は、高密度炭酸リチウムの2つの異なる顆粒ロット(表23に報告した2002年製造のロット0200755および2001年製造のロット0106978)でわずかな変動を示した。
【表22】

【表23】

【表24】

【実施例6】
【0059】
改変された商用パッケージを用いた溶解プロファイル
製剤パッケージングの影響は、種々の炭酸リチウム製剤を用いたときに経時により見られた溶解プロファイルの変化の一因になっていると推測された。第1の実験では、Eskalith CR(登録商標)の現用の商用パッケージの中からいくつかのロットのEskalith CR 450(登録商標)を対照として選んで安定性を調べた。サンプルはすべて、高レベルの熱および湿度における6ヶ月間の試験の後、規格から外れた。代表的な研究を表25に示す。
【表25】

【0060】
付随する実験では、とくに、より長い貯蔵期間で、より高い熱レベルおよび湿度レベルで、表25に報告されている代表的ベースラインに見られるよりも改善された溶解プロファイルを得る目的で、現在入手可能なゼラチン化形態の炭酸リチウム(Eskalith CR 450(登録商標))の現用の商用パッケージを改変する影響について研究した。このフォローアップ研究では、誘導加熱シールおよびボトル内に配置された2つのツーインワン乾燥剤キャニスターを追加することにより、Eskalith CR 450(登録商標)の現在販売されているパッケージ(33mm白色ポリプロピレンプラスチックキャップ、乾燥剤、および綿充填材を有する100cc高密度ポリエチレン(HDPE)白色ボトルよりなる)を改変した。表26〜28に示されるように、3つの個別実験で行われた現用の商用パッケージのこの改変では、研究された現在販売されているゼラチン化形態の炭酸リチウム(Eskalith CR 450(登録商標))の3時間溶解プロファイルがかなり改善された。そのベースライン値は表25に示される。試験では、高温多湿で6ヶ月間貯蔵した後、改変パッケージングにおける平均は、規格内に入った。
【表26】

【表27】

【表28】

【産業上の利用可能性】
【0061】
多くの薬剤は、従来の遅延放出技術または持続放出技術を用いて都合よく投与されるが、きわめて変化しやすい溶解速度および狭範囲の血漿中臨床治療濃度を有するリチウム化合物のような医薬は、難題を呈する。本発明者らは、広範にわたる研究を通じて、賦形剤ナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)とグリシンとを含む炭酸リチウムの製剤が、グリシンを含有しない製剤と比較して、向上した3時間溶解プロファイルを有すること、およびグリシンを含む製剤が、さまざまな条件下における長期間貯蔵の後、より安定な3時間溶解プロファイルを有することを明らかにした。このほか、約10mg/錠のリチウム-NaCMC顆粒を流動床から取り出して可溶化させてから残留する顆粒上にトップスプレーするようにプロセス改変を行うことによっても、向上した3時間溶解プロファイルを呈するようになり、この方法により製造された製剤は、さまざまな条件下における長期間貯蔵の後、より安定な3時間溶解プロファイルを有するようになる。改変パッケージング中における現在販売されている炭酸リチウム製剤の溶解安定性の試験から、炭酸リチウム-NaCMC、炭酸リチウム-NaCMC-グリシン、およびボウル仕込物改変プロセスで製剤化された炭酸リチウム-NaCMCの改善された溶解安定性プロファイルはすべて、炭酸リチウム製剤の現用の商用パッケージの改変によりさらに改善されることが示される。
【0062】
本発明に係る組成物は、種々の投与計画に従って、すなわち、1日1回もしくは1日複数回の頻度(たとえば2回)で、または種々の間隔(たとえば12時間ごと)で、投与可能である。製剤(たとえば錠剤)あたり利用される炭酸リチウムの量は、可変であり、限定されるものではないが、300mgおよび450mgでありうる。組成物は、種々の製剤で利用可能である。こうした製剤としては、錠剤、ピル剤、粉末剤、エリキシル剤、サスペンジョン剤、エマルジョン剤、溶液剤、シロップ剤、カプセル剤(たとえば、軟および硬ゼラチンカプセル剤など)、坐剤、滅菌注射溶液剤、および滅菌パッケージ化粉末剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲で規定されかつ明細書で説明された本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更または修正を行いうることは、当業者には自明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.炭酸リチウムと、
b.任意的な薬理学的賦形剤と、
c.少なくとも1種の溶解速度安定化剤と、
d.少なくとも1種の二次的放出剤と、
を含む、経口投与用医薬組成物。
【請求項2】
前記炭酸リチウムが、約450mg/錠を上回る用量ではない、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
着色剤として酸化鉄を追加的に含み、該酸化鉄が約1mg/錠のレベルを超えない、請求項1に記載の薬理学的組成物。
【請求項4】
前記任意的な薬理学的賦形剤が、重量基準で前記組成物の約0.1%〜約1.0%の濃度で少なくとも1種の滑沢剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記滑沢剤が、ステアリン酸、カルシウムステアレート、マグネシウムステアレート、およびナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)から選択され、前記滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.1%〜約1.0%の濃度である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約7kPa〜約20kPaの圧力で圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記組成物が、約7kPa以下の圧力で圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の溶解速度安定化剤が、ナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、重量基準で前記組成物の約5%〜約15%を占める、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、重量基準で前記組成物の約5%以下を占める、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種の二次的放出剤がグリシンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記グリシンが約0.5〜約40mg/錠含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記グリシンが、約20mg/錠以下のレベルで含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記グリシンが、約14mg/錠以下のレベルで含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記グリシンが、約11mg/錠以下のレベルで含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記グリシンが、約2mg/錠以下のレベルで含まれる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項17】
a.炭酸リチウムと、
b.酸化鉄と、
c.ステアリン酸と、
d.ナトリウムカルボキシメチルセルロースと、
e.グリシンと、
f.任意的な製薬上許容される賦形剤と、
を含む、経口投与用医薬組成物。
【請求項18】
a.重量基準で約85%〜約90%の炭酸リチウムと、
b.約10%〜約15%のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、
c.約0.5%のグリシンと、
d.任意的な製薬上許容される賦形剤と、
を含有する、炭酸リチウムの制御放出固形製剤。
【請求項19】
請求項1に記載の炭酸リチウムの制御放出固形製剤を調製する方法であって、
a.炭酸リチウムと酸化鉄とを混合してブレンドにする工程と;
b.水とナトリウムカルボキシメチルセルロースと少なくとも1種の二次的放出剤よりなる溶液を可溶化させる工程と;
c.炭酸リチウムと酸化鉄との該ブレンドを流動床グラニュレーターの床内に配置する工程と;
d.該流動床グラニュレーターの床内の該ブレンド上に該溶液をスプレーすることによりトップスプレーブレンドを作製する工程と;
e.該流動床グラニュレーターで該トップスプレーブレンドを顆粒化させて顆粒にする工程と;
f.該顆粒を少なくとも1種の賦形剤と共に粉砕することにより組成物を形成する工程と;
g.タブレットプレスで該顆粒を少なくとも1種の賦形剤と共にプレスして錠剤にする工程と;
を含む、上記方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種の賦形剤が少なくとも1種の滑沢剤を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、カルシウムステアレート、およびマグネシウムステアレートよりなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記二次的放出剤がグリシンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項22に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項24】
治療上有効な量の請求項1に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害の治療方法。
【請求項25】
治療上有効な量の請求項23に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、躁鬱病性障害の治療方法。
【請求項26】
治療上有効な量の請求項8に記載の炭酸リチウムの制御放出固形製剤を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害の治療方法。
【請求項27】
a.炭酸リチウムと酸化鉄とを混合して第1のブレンドにする工程と、
b.水とナトリウムカルボキシメチルセルロースとよりなる第1の溶液を可溶化させる工程と、
c.第2のブレンドを作製するのに見合った量の該第1のブレンドを使わずに残しておく工程と、
d.炭酸リチウムの該第1のブレンドを流動床グラニュレーターの床内に配置する工程と、
e.水とナトリウムカルボキシメチルセルロースとよりなる該第1の溶液に該第2のブレンドを溶解させて第2の溶液を形成する工程と、
f.該流動床グラニュレーターの床内の該第1のブレンド上に該第2の溶液をトップスプレーすることによりトップスプレーブレンドを作製する工程と、
g.該流動床グラニュレーターで該トップスプレーブレンドを顆粒化させて顆粒にする工程と、
h.該顆粒を少なくとも1種の賦形剤と共に粉砕する工程と、
i.タブレットプレスで該顆粒を少なくとも1種の賦形剤組成物と共にプレスして錠剤にする工程と、
を含む、経口投与用医薬組成物の製造方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の賦形剤が少なくとも1種の滑沢剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、カルシウムステアレート、およびマグネシウムステアレートよりなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項27に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項31】
請求項28に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項32】
請求項29に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項33】
治療上有効な量の請求項30に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害の治療方法。
【請求項34】
治療上有効な量の請求項31に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、躁鬱病性障害の治療方法。
【請求項35】
治療上有効な量の請求項32に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害の治療方法。
【請求項36】
a.炭酸リチウムと、
b.任意的な薬理学的賦形剤と、
c.少なくとも1種の溶解速度安定化剤と、
を含む、経口投与用医薬組成物。
【請求項37】
前記炭酸リチウムが、約450mg/錠を上回る用量ではない、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
着色剤として酸化鉄を追加的に含み、該酸化鉄が約1mg/錠のレベルを超えない、請求項36に記載の薬理学的組成物。
【請求項39】
前記任意的な薬理学的賦形剤が少なくとも1種の滑沢剤をさらに含む、請求項36に記載の薬理学的組成物。
【請求項40】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の0.1%〜約5.0%のステアリン酸をさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.5%以下よりなるレベルのステアリン酸をさらに含む、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)をさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.1%〜約1.0%のレベルのナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)をさらに含む、請求項42に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.5%以下よりなるレベルのナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)をさらに含む、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.1%〜約1.0%のレベルのカルシウムステアレートをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記少なくとも1種の滑沢剤が、重量基準で前記組成物の約0.1%〜約1.0%のレベルのマグネシウムステアレートをさらに含む、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記組成物が、約7kPa〜約20kPaの硬度で圧縮される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記組成物が、約7以下kPaの圧力で圧縮される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記少なくとも1種の溶解速度安定化剤が、ナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む、請求項36に記載の薬理学的組成物。
【請求項50】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、重量基準で前記組成物の約5%〜約15%を占める、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、重量基準で前記組成物の約10%以下を占める、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記ナトリウムカルボキシメチルセルロースが、重量基準で前記組成物の約5%以下を占める、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項53】
a.重量基準で約85%〜約90%の炭酸リチウムと、
b.約10%〜約15%のナトリウムカルボキシメチルセルロースと、
c.酸化鉄と、
d.ステアリン酸と、
e.任意的な製薬上許容される賦形剤と、
を含む、経口投与用医薬組成物。
【請求項54】
請求項53に記載の経口投与用医薬組成物を製造する方法であって、
a.炭酸リチウムと酸化鉄とを混合してブレンドにする工程と、
b.水とナトリウムカルボキシメチルセルロースとよりなる溶液を可溶化させる工程と、
c.炭酸リチウムと酸化鉄との該ブレンドを流動床グラニュレーターの床内に配置する工程と、
d.該流動床グラニュレーターの床内の該ブレンド上に該溶液をトップスプレーすることにより顆粒を作製する工程と、
e.該顆粒を少なくとも1種の賦形剤と共に粉砕することにより組成物の形成する工程と、
f.タブレットプレスで該顆粒を少なくとも1種の賦形剤組成物と共にプレスして錠剤にする工程と、
を含む、上記方法。
【請求項55】
前記少なくとも1種の賦形剤が少なくとも1種の滑沢剤を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種の賦形剤が、ステアリン酸、ナトリウムステアリルフメレート(sodium stearyl fumerate)、カルシウムステアレート、およびマグネシウムステアレートよりなる群から選択される滑沢剤である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
請求項54に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項58】
請求項55に従って調製される経口投与用医薬組成物。
【請求項59】
治療上有効な量の請求項36に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害(躁鬱病性障害)の治療方法。
【請求項60】
治療上有効な量の請求項53に記載の組成物を患者に経口投与することより本質的になる、双極性障害(躁鬱病性障害)の治療方法。

【公表番号】特表2007−500225(P2007−500225A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533321(P2006−533321)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016135
【国際公開番号】WO2004/105691
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】