説明

点字ラベル

【課題】検査装置によって行う点字検査に適した点字ラベルを提供する。
【解決手段】点字ラベル1は点字部2とラベル部3とからなる。点字部2はラベル部3の表面に、紫外線硬化インク20とブラックライト発光成分21とが混合されたインクが印刷されることで盛り上げて形成されている。ブラックライトを照射すると、ブラックライト発光成分21を有する点字部2が蛍光を発する。この蛍光による点字画像を解析することで、点字部2に印刷ミスがないか、正しい点字ラベル1が貼付されているかどうかが判別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点字ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
各種製品を手にとった視覚障害者にその製品情報等を点字で読み取ってもらう目的で、点字ラベルを貼付する手法が知られている。この手法では、製品やその容器の表面に直接点字を形成するのではなく、製品情報などを示す点字ラベルを既製品あるいは既製の容器の表面に貼付する。この手法ならば一般の顧客用に製造された製品やその容器に後から点字ラベルを添付するのみでよいので、簡易さや低コスト化の利点がある。
【0003】
例えば下記特許文献1では、点字ラベルを検出する際に、点字ラベルに損傷を与えることなく確実に検出することのできる点字ラベル検出機構が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−305457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点字ラベルを作成する場合に例えば、点字の個々の点を、印刷後に硬化すると盛り上がるインクを印刷することによって形成する場合がある。この場合、印刷作業におけるミスによって一部の点が形成されない場合が起き得る。また誤った点字ラベルが製品に貼付されるミスが生じる可能性もある。
【0006】
このようなミスが生じた場合に、検査員が点字を調べてミスを発見する検査システムを採用すると、検査員が正確な点字の知識を習得していなければならない。しかし現状では、健常者のなかで点字の知識を習得している人の割合は低いと言わざるを得ない。
【0007】
したがって人間による検査ではなく検査装置によって点字ラベルを検査するシステムが望まれる。さらに、そうした検査方法に適した点字ラベルを開発する必要がある。しかし従来の点字ラベルではこうした問題点は考慮されていない。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、検査装置によって行う点字検査に適した点字ラベルを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る点字ラベルは、ラベル部と、そのラベル部の表面に盛り上げて形成された点字部とからなる点字ラベルであって、前記点字部は所定波長光のもとで蛍光作用を有することを特徴とする。
【0010】
これにより本発明に係る点字ラベルでは、点字部が所定波長光のもとで蛍光作用を有するので、所定波長光を照射することで点字画像を読み取って点字にミスがあるかないかを検査することができる。したがって検査者に点字の知識を要求するような人間による検査を必要とせずに、装置によって精度よく点字の検査ができる。つまり点字のミスを装置によって検出することに適した点字ラベルが実現できる。
【0011】
また前記点字部は、前記点字部を盛り上げて形成するための成分と前記所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分とが混合されて印刷されることで形成されたとしてもよい。
【0012】
これにより、点字部を盛り上げて形成するための成分と所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分とを混合して印刷するという簡易な方法によって、所定波長光のもとでは蛍光作用を有する点字が形成できる。よって点字のミスを装置によって検出できる性能を有する点字ラベルが実現できる。さらに点字を形成するための成分と所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分とを混合して、印刷によって点字を形成するので、例えば点字の形成後に所定波長光で発光する機能を持たせるのとは異なり、点字の形成と点字に所定波長光で発光する機能を持たせることをひとつの印刷作業で行えるとの効果も奏する。
【0013】
また前記所定波長光はブラックライトであり、前記所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分は前記ブラックライトを照射すると蛍光を発する成分であるとしてもよい。
【0014】
これにより所定波長光はブラックライトとし、所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分はブラックライトを照射すると蛍光を発する成分とするので、従来から広く用いられているブラックライトを用いて点字の検査が簡易に実現できる。またブラックライトを照射すると蛍光を発する成分も従来から広く用いられているので容易に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明の点字ラベル1の実施形態を示す図である。
【0016】
点字ラベル1は点字部2とラベル部3とからなる。点字部2はラベル部3の表面に点字の個々の点が盛り上げて形成されている。点字の個々の点は紫外線硬化インク20にブラックライト発光成分21が混合されたインクが印刷(スクリーン印刷)されることで形成される。点字部2とラベル部3とは可視光のもとではともに透明である。ラベル部3は例えば透明な樹脂で作成すればよい。
【0017】
点字ラベル1は物品40の表面に貼付される。物品40は、例えば製品あるいは製品を収納する包装容器とすればよい。物品40上には製品名、製品情報などを示す文字部41が印刷されているとする。点字ラベル1の点字の意味内容は、例えば物品40の製品情報とすればよい。上述のとおり点字ラベル1は点字部2とラベル部3とがともに透明なので、点字ラベル1を物品40のどこに貼付しても、点字ラベル1の下の文字部41を健常者が読むことの妨げとならない。文字部41は文字のみでなく画像などを含んでもよい。
【0018】
紫外線硬化インク20は印刷後紫外線を照射させると急速に硬化するインクであり、紙面から盛り上がる文字や画像を印刷するのに適している。したがって紫外線硬化インク20は点字を印刷にて形成する際に広く用いられている。図1において紫外線硬化インク20のみが印刷された場合は硬化後無色透明である。
【0019】
またブラックライト発光成分21は、ブラックライトと呼ばれる光が照射された際に蛍光を発する(あるいは発光する、発色する)性質を有する成分を指す。一般にブラックライトとは主波長が365ナノメートルの紫外線を指す。ブラックライト発光成分21としては、例えばブラックライト塗料、ブラックライト顔料と一般に呼ばれている材料を用いればよい。ブラックライト塗料、ブラックライト顔料は広く用いられており、容易に入手可能である。
【0020】
ブラックライト発光成分21のインク全体(紫外線硬化インク20とブラックライト発光成分21とを合わせた全体)に対する配分率は、5%未満ならば後述の検査で十分なほど発光しないとの知見が得られている。したがって、ブラックライト発光成分21のインク全体に対する配分率は5%以上とするのが好適である。またブラックライト発光成分21のインク全体に対する配分率を10%より高くすると点字部2の透明性が損なわれるとの知見が得られている。よって、ブラックライト発光成分21のインク全体に対する配分率は10%以下とするのが好適である。
【0021】
図2には、点字ラベル1に印刷された点字が正しいかどうかを検査する検査装置10、及びそれを用いた検査方法が示されている。検査装置10は、載置台11、ブラックライト照射部12、13、撮影部14、解析部15を備える。撮影部14は例えばCCDカメラとすればよい。
【0022】
また解析部15はコンピュータの構造を有するとし、情報処理をするCPU16、各種情報を記憶するメモリ17、表示機能を有する表示部18を備えるとする。メモリ17には正規の点字画像50(正規点字画像)が記憶されているとする。
【0023】
図2のとおり、載置台11の上に物品40を載置すればよい。そしてブラックライト照射部12、13によって物品40に貼付された点字ラベル1にブラックライト30を照射する。上述のとおり、これによりブラックライト発光成分21が含まれた点字部2から蛍光31が発光される。この蛍光31によって形成された点字画像を撮影部14によって撮影する。撮影部14によって撮影された点字画像が解析部15に送られて、解析部15で正規点字画像50と一致するか否かが照合される。
【0024】
点字部2の印刷の際のミスで点字部2の一部が欠けている場合や、貼付作業の際のミスで間違った点字ラベル1が貼付されている場合には、撮影部14によって撮影された画像と正規点字画像50とは一致しない。したがって正規点字画像50と一致するか否かによって、欠けている点字部2がないかどうか、間違った点字ラベル1が貼付されていないかが判別される。判別結果は表示部18に表示される。これによって使用者は判別結果を知ることができるので、点字の印刷ミスや点字ラベルの貼付ミスに対処することができる。
【0025】
上記実施例で、紫外線硬化インク20が、点字部を盛り上げて形成するための成分である。またブラックライト発光成分21が、所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分、及びブラックライトを照射すると蛍光を発する成分である。
【0026】
なお上記実施例では点字ラベル1において点字部2、ラベル部3をともに可視光のもとでは透明としたが、本発明はこれに限らず、点字部2、ラベル部3を不透明としてもよい。これは、点字ラベル1が透明である必要がない状況、例えば物品40の点字ラベル1を貼付する部位に読むべき文字などがない場合に好適であり、点字部2、ラベル部3を透明にするための手間を省くことができる。
【0027】
ラベル部3が不透明でもよい場合、ラベル部3を例えば不透明な樹脂によって作成してもよく、材料選択の自由度が広がる。また点字部2が不透明でもよい場合、ブラックライト発光成分21のインク全体に対する配分率を(上記10%以上に)高めることができる。これによりブラックライトを照射したときの点字部2の発光の度合いを高めることができる。したがって点字検査の精度を高めることができ、欠けている点字部2がある場合や、間違った点字ラベル1が貼付されている場合などが的確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の点字ラベルの実施形態を示す図。
【図2】点字ラベルの検査方法を示す図。
【符号の説明】
【0029】
1 点字ラベル
2 点字部
3 ラベル部
10 検査装置
12、13 ブラックライト照射部
14 撮影部
15 解析部
20 紫外線硬化インク
21 ブラックライト発光成分
30 ブラックライト
31 蛍光
40 物品
50 正規点字画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル部と、そのラベル部の表面に盛り上げて形成された点字部とからなる点字ラベルであって、
前記点字部は所定波長光のもとで蛍光作用を有することを特徴とする点字ラベル。
【請求項2】
前記点字部は、前記点字部を盛り上げて形成するための成分と前記所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分とが混合されて印刷されることで形成された請求項1に記載の点字ラベル。
【請求項3】
前記所定波長光はブラックライトであり、
前記所定波長光のもとで蛍光作用を有する成分は前記ブラックライトを照射すると蛍光を発する成分である請求項2に記載の点字ラベル。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−282271(P2009−282271A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133979(P2008−133979)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】