説明

点火プラグ及び分析装置

【課題】一般的な点火プラグの設置スペースに設置可能な程度の寸法内で、放電のための電気的構成とマイクロ波の導入及び放射のための電気的構成とを両立させ、かつ、マイクロ波を燃焼室内に効率よく導入し放射させることができる点火プラグを提供する。
【解決手段】スパーク放電のための中心電極102及び接地電極と、同軸状のマイクロ波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、中心線112と電気的に一体をなすマイクロ波放射アンテナ112Aとを備え、マイクロ波放射アンテナ112Aは、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に内燃機関に用いる点火プラグに関し、特に、火花放電とマイクロ波放射とを行うことができる点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
熱機関の燃焼器においては、特許文献1、特許文献2及び特許文献3に記載されているように、着火時にマイクロ波等の高周波を利用するものがある。しかし、これら特許文献に記載の燃焼器においては、マイクロ波放射アンテナが一般的なスパークプラグと形状・寸法が異なるため、通常のスパークプラグの設置スペースにこれを設置することはできない。すなわち、マイクロ波放射アンテナを用いるには、燃焼器自体を専用のものにしなければならず、普及が困難であった。
【0003】
そこで、マイクロ波を燃焼室に導入してマイクロ波によって直接的に着火を行うものにおいて、形状・寸法上の制約に対処する試みがなされている。
【0004】
特許文献4に記載された装置は、内部に同軸的な導波管構造を備えている。同軸的な導波管構造の内側導体の一端は、燃焼室側に突出し、他端が高周波の入力端となっている。この入力端には、電気的なエネルギの供給線路の結合箇所が設けられている。この結合箇所で電気的なエネルギの供給線路と中心導体とを同軸的に誘導式及び/又は容量式に結合可能にすることにより、電気的な整合性をとりつつ電気的なエネルギを導波管構造体内に供給可能にしている。
【0005】
また、補助的な電極を設けたものにおいて、形状・寸法上の制約に対処する試みがなされている。
【0006】
本発明者らは、空気等からプラズマを形成すると、プラズマ内にOHラジカル、オゾンなど、酸化力の高い活性種、または、化学種が生成されることに着目した点火プラグの開発に成功している。この点火プラグは、火花点火型の内燃機関等の燃焼室内において酸化剤と燃料とを混合してなる混合気からプラズマを形成することにより、混合気への着火及び着火後の火炎の伝播を促進し、もって混合気の燃焼を改善する。
【0007】
そして、本発明者らは、特許文献5に記載されているように、火花点火に用いる点火プラグとプラズマの形成に用いるマイクロ波放射アンテナとを碍子を介して一体化することにより、プラズマによる燃焼を改善する点火装置の機構を小型化することにも成功した。
【0008】
【特許文献1】特開2000−274249号公報
【特許文献2】特開2002−295264号公報
【特許文献3】特開2002−295259号公報
【特許文献4】特開2004−087498号公報
【特許文献5】特開2007−113570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献4に記載された技術においては、スパーク放電及びマイクロ波放射の両立を図ることはできない。この装置とスパークプラグとを組合せようとしても、入力端側に形成された複雑な機構の結合部のため、スパークプラグの寸法内で前述した両立が極めて困難である。
【0010】
また、マイクロ波の入力端から燃焼室側の放射端までのマイクロ波の伝送経路において電気的整合がとれず、効率的なマイクロ波の導入に関して解決はなされない。
【0011】
特許文献5に記載された技術においては、寸法上の制約などに対処すること、火花放電のための電気的構成とマイクロ波放射のための電気的構成を両立させること、及び、マイクロ波を燃焼室内に効率よく導入し放射させることが必要である。
【0012】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、一般的な点火プラグの設置スペースに設置可能な程度の寸法内で、放電のための電気的構成とマイクロ波の導入及び放射のための電気的構成とを両立させ、かつ、マイクロ波を燃焼室内に効率よく導入し放射させることができる点火プラグ及び分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決し、前記目的を達成するため、本発明に係る点火プラグは、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0014】
〔構成1〕
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、中心線と電気的に一体をなす電磁波放射アンテナとを備え、電磁波放射アンテナは、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされていることを特徴とするものである。
【0015】
〔構成2〕
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、外側導体と電気的に一体をなす電磁波放射アンテナとを備え、電磁波放射アンテナは、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされていることを特徴とするものである。
【0016】
〔構成3〕
構成1、または、構成2を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナを覆う誘電体部材を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
〔構成4〕
構成1、または、構成2を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナの基部及び外側導線の放電ギャップ側の端部が、誘電体部材内に埋没していることを特徴とするものである。
【0018】
〔構成5〕
構成4を有する点火プラグにおいて、誘電体部材の放電ギャップ側端部には、放電ギャップ側に突出する突出部分が設けられ、電磁波放射アンテナは、誘電体部材の突出部分の表面に沿うよう屈曲されていることを特徴とするものである。
【0019】
〔構成6〕
構成1、または、構成2を有する点火プラグにおいて、外側導体は、接地電極に電気的に一体をなし、主体金具を形成していることを特徴とするものである。
【0020】
〔構成7〕
構成1、または、構成2を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナと中心電極との絶縁距離は、中心電極と接地電極との絶縁距離より大きく、かつ、電磁波放射アンテナが占める空間内の任意の点と電磁波放射アンテナとの距離は、この点火プラグの栓体の表面上の任意の点と中心電極との最短距離以下となっていることを特徴とするものである。
【0021】
〔構成8〕
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、中心線に容量結合された電磁波放射アンテナとを備え、接地電極と外側導体とは、電気的に一体をなし、電磁波放射アンテナは、外側導体により接地され、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされていることを特徴とするものである。
【0022】
〔構成9〕
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、中心線に容量結合された電磁波放射アンテナとを備え、接地電極と外側導体とは、電気的に一体をなし、電磁波放射アンテナは、接地電極により接地され、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされていることを特徴とするものである。
【0023】
〔構成10〕
構成9を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナと一体化された接地電極は、リングアンテナとなっていることを特徴とするものである。
【0024】
〔構成11〕
構成9を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナと一体化された接地電極は、コイルアンテナとなっていることを特徴とするものである。
【0025】
〔構成12〕
構成8、または、構成9を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナの基部に、スタブが設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
〔構成13〕
構成1乃至構成12のいずれか一を有する点火プラグにおいて、接地導体のアンテナ側に一方の端部が接合され、他方の端部がアンテナに向けて突出するベインを有することを特徴とするものである。
【0027】
〔構成14〕
構成1乃至構成13のいずれか一を有する点火プラグにおいて、電磁波放射アンテナは、少なくとも1箇所において分岐していることを特徴とするものである。
【0028】
〔構成15〕
構成1乃至構成14のいずれか一を有する点火プラグにおいて、誘電体部材は、誘電率が互いに他と異なる複数の部材からなることを特徴とするものである。
【0029】
〔構成16〕
構成1乃至構成14のいずれか一を有する点火プラグと、概ね両端開口筒状で一方の開口が窄められ他方の開口付近の内面が全周に亘り点火プラグの主体金具に当接または螺合する導電体からなるキャップとを備え、キャップと点火プラグの中心電極との絶縁距離は、窄められた開口の付近で最短となり、かつ、スパークプラグ及びキャップにより規定された空間の容積は、この空間にプラズマが発生した際のこの空間の圧力上昇によりこの空間と孔を介してこの空間に連通する空間との間に所定値以上の圧力差が生じるように選ばれていることを特徴とするものである。
【0030】
〔構成17〕
構成16を有するプラズマ発生装置において、キャップは、窄められた開口付近において、この開口に近づくに従い肉薄になっていることを特徴とするものである。
【0031】
〔構成18〕
試料をプラズマに曝露させてこの試料を励起させ、その結果を検出する分析装置であって、構成16、または、構成17を有するプラズマ発生装置の窄められた孔から所定距離内の空間に試料を設置し、プラズマ発生装置を用いてプラズマを発生させることを特徴とするものである。
【0032】
〔構成19〕
試料をプラズマに曝露させてこの試料を励起させ、その結果を検出する分析装置であって、構成1乃至構成14のいずれか一を有する点火プラグを用いてプラズマを発生させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る点火プラグにおいては、スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、中心線と電気的に一体をなす電磁波放射アンテナとを備えており、電磁波放射アンテナは、中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされているため、一般的な点火プラグの設置スペースに設置可能な程度の寸法内で、放電のための電気的構成と電磁波の導入及び放射のための電気的構成とを両立させ、かつ、電磁波を燃焼室内に効率よく導入し放射させることができる。
【0034】
すなわち、本発明は、一般的な点火プラグの設置スペースに設置可能な程度の寸法内で、放電のための電気的構成と電磁波の導入及び放射のための電気的構成とを両立させ、かつ、電磁波を燃焼室内に効率よく導入し放射させることができる点火プラグ及び分析装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0036】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明に係る点火プラグの第1の実施形態における構成を示す斜視図である。
【0037】
本実施形態に係る点火プラグ100は、図1に示すように、一般のスパークプラグと同様の構成、すなわち、接地電極を備えた主体金具106、中心電極102、碍子104及び高電圧端子108に加え、スパークプラグの主体金具を貫通する誘電体管110と、誘電体管内に配置された電線112とを備えて構成されている。
【0038】
電線112の放電ギャップ側は、所定の長さ突出した突出部112Aとなっている。突出部112Aは、放電ギャップを囲むように、かつ放電ギャップ側から見てネジ部より内側になるよう(馬蹄形に)屈曲している。この形態においては、電線112はタングステン製である。
【0039】
主体金具106は、接地電極と、マイクロ波伝送路の外側線路を兼ねている。電線112は、マイクロ波伝送路の内側線路とアンテナとを兼ねている。すなわち、電線112、誘電体管110及び主体金具106が、同軸状のマイクロ波伝送路となる。高電圧端子108側から入力されたマイクロ波は、このマイクロ波伝送路を介してそのまま放電ギャップ側に伝送される。電線112の突出部112Aは、マイクロ波放射アンテナとなる。マイクロ波伝送路を介して伝送されたマイクロ波は、この部分より放射される。
【0040】
この点火プラグにおいては、電気的な構成要素数が少なくてすむ。したがって、小型化が容易で、マイクロ波の伝送効率及び放射効率の向上が容易になる。また、スパークプラグの設置スペース内で、放電と高効率のマイクロ波放射との両方を実現できる。アンテナによるマイクロ波放射は、電極より広い効果範囲を実現できる。よって、広範囲に亘りマイクロ波を用いたエネルギ供給が可能になる。加えて、タングステン製の電線を使用しているため、高い耐熱性を得ることができる。
【0041】
前述した特許文献5に記載の技術のように、放電とマイクロ波とを用いたプラズマによる着火・火炎伝播の促進を行う場合、放電自体は大規模なものでなくてもよい。混合気がプラズマ化(ブレイクダウン)しさえすればよい。通常であれば、火炎核に成長することのない極小規模のプラズマであっても、マイクロ波によるエネルギ供給で、プラズマを拡大することができる。プラズマの広がり速度は、一般に火炎伝播速度より速い。広がったプラズマより生じる活性の高い化学種(OHラジカル、オゾン)と燃料との反応速度は、酸素分子と燃料との反応である一般的な燃焼反応速度より速い。広がったプラズマより生じる活性の高い化学種と燃料とが反応することにより、火炎核は、生成段階から火花の規模に比して巨大なものとなる。
【0042】
一般的なスパークプラグでは、放電ギャップ、すなわち、中心電極102と接地電極との間の距離を広く取り、高電圧をこれらの電極に印加することで着火性を向上させるものがある。しかし、この点火プラグを用いてプラズマ着火を行えば、放電ギャップを広く取らなくても、電極にむやみに高電圧を印加しなくても確実な着火を行うことが可能になる。
【0043】
〔第2の実施形態〕
図2は、本発明に係る点火プラグの第2の実施形態における構成を示す斜視図である。
【0044】
この実施形態における点火プラグは、放電ギャップ側に誘電体部材を備えたものである。図2に示すように、本実施形態に係る点火プラグ120の主体金具122は、放電ギャップ側に窪みが設けられている。その窪みを充填するように、誘電体部材124が配置されている。この点火プラグ120においては、中心電極102、碍子104及び電線112は、主体金具106及び誘電体部材124を貫通している。
【0045】
誘電体部材124は、電線112の突出部112Aの基部を支持するとともに、突出部112Aの実効的な電気長を長くする効果がある。
【0046】
この点火プラグにおいては、窪み、誘電体部材124により、突出部112A部分の実効的な電気長を長くとることができる。そのため、アンテナの利得を高めることができる。また、マイクロ波放射をより効率化できる。また、窪みの深さ、幅、誘電体部材124の材質を適切に選択することにより、インピーダンスの整合をとることができる。これもまた、マイクロ波伝送の効率化に資する。
【0047】
〔第2の実施形態の変形例1〕
図3に示すように、この変形例1に係る点火プラグ140においては、誘電体管110の放電ギャップ側の先端部、誘電体部材124内に埋没している。点火プラグ140の主体金具142は、誘電体部材124内に、碍子104の側面を囲むようにパイプ状に突出する部分142Aと、誘電体管110の側面を囲むように、誘電体部材124内にパイプ状に突出する突出部142Bとを有している。
【0048】
この点火プラグにおいては、突出部142Bは、マイクロ波を反射することにより、中心電極102へのマイクロ波のエネルギの流入を阻止する。突出部142Bは、電線112、誘電体管110とともに同軸状のマイクロ波伝送路を形成する。
【0049】
突出部142Bにより、エネルギロスが低減する。また、中心電極を介してマイクロ波のエネルギが点火信号源側へ逆流するのを防止できる。これによりノイズが低減し、安全性が向上する。また、突出部142Bの長さを適切に選択することにより、インピーダンスの整合及びアンテナの実行長の最適化が可能になる。これはマイクロ波伝送の効率化に資する。
【0050】
〔第2の実施形態の変形例2〕
本変形例2に係る点火プラグは、図4に示すように、誘電体部材124の放電ギャップ側端部には、碍子104の周囲を取り巻くように放電ギャップ側に突出する凸部124Aが設けられる。アンテナエレメントを兼ねる電線112の放電ギャップ側の突出部112Aは、凸部124Aの表面を沿うよう屈曲する。
【0051】
凸部124Aは、アンテナの曲げ加工の際には、型として機能する。曲げ加工の後には、凸部124がアンテナエレメント112Aを側面から支持する。
【0052】
この点火プラグにおいては、凸部124の形状を適宜選択することにより、アンテナエレメント112Aの形状を所望の形状にしやすくなる。またその形状を保ちやすくなる。
【0053】
この点火プラグにおいては、アンテナエレメント112Aを所望の形状に安定させることにより、マイクロ波の望ましい放射特性を得ることが可能になる。
【0054】
〔第2の実施形態の変形例3〕
本変形例に係る点火プラグは、図5に示すように、アンテナエレメント112Aが誘電体部材124に半分埋没するようになっている。
【0055】
この点火プラグにおいては、アンテナエレメント112Aが誘電体部材124により支持されるため、機械的強度が向上する。
【0056】
〔第2の実施形態の変形例4〕
本変形例に係る点火プラグは、図6に示すように、アンテナエレメント112Aが誘電体部材124に完全に埋没するようになっている。
【0057】
この点火プラグにおいては、アンテナエレメント112Aが誘電体部材124により支持されるため、機械的強度が向上する。
【0058】
〔第2の実施形態の変形例5〕
本変形例に係る点火プラグ120は、図7に示すように、アンテナエレメント112Aが誘電体部材124に完全に埋没するようになっている。これをプラズマ着火に用いるならば、中心電極102の放電ギャップ側の先端が、誘電体部材124の放電ギャップ側端面より、高電圧端子108側にあってもよい。
【0059】
この点火プラグにおいては、機械的強度が向上させつつ、マイクロ波によるギャップに生じる放電火花への作用をより効果的に行うことができる。
【0060】
なお、アンテナエレメント112Aの一部は、外界に露出していてもよい。
【0061】
〔第2の実施形態の変形例6〕
また、点火プラグ120は、図8に示すように、主体金具122と誘電体部材124との間に空隙を設けてもよい。この空隙により、アンテナエレメント112Aと主体金具122との絶縁距離を調節することができる。
【0062】
〔第3の実施形態〕
この実施形態における点火プラグは、アンテナがプラグ端面より内部の深い位置に内蔵されたものである。この点火プラグ200においては、図9に示すように、主体金具202に、碍子104を囲むように誘電体部材124を貫通する管状のマイクロ波シールド202Aが設けられている。電線204の放電ギャップ側の端部は、誘電体部材124に埋没しており、その部分にパイプアンテナと所定の距離を保ちつつ取り囲む環状の結合リング204Aが設けられている。
【0063】
この点火プラグにおいては、電線204のアンテナエレメント204Aから放射されたマイクロ波は、マイクロ波シールド202Aと主体金具202が構成する共振空洞と容量式に結合する。
【0064】
マイクロ波シールド202Aは、主体金具202本体より突出している。そのため、マイクロ波シールド202Aを含め誘電体部材124を取り囲む部分が共振空間となる。共振空間で共振したマイクロ波は、放電ギャップ側に放射される。その結果、スパークギャップ側の電場強度が、マイクロ波により高くなる。
【0065】
この点火プラグにおいては、インピーダンス整合がもっとも必要となるアンテナ・伝送路の結合部分で容量式の結合を行うことにより、プラグ内のマイクロ波の伝送効率を確保しつつ、インピーダンス整合を取ることができる。これにより、マイクロ波の放射効率が向上する。また、マイクロ波の伝送路部分は、単純な構造であり、伝送効率を確保するのに十分な空間を確保できる。
【0066】
〔第3の実施形態の変形例〕
この変形例における点火プラグ200は、図10に示すように、マイクロ波シールド202Aが接地電極を兼ねている。この場合には、碍子104の表面に沿って放電がなされる。この構成においては、マイクロ波シールド202Aが誘電体部材124より所定の長さだけ突出しているとよい。
【0067】
〔第4の実施形態4〕
この実施形態における点火プラグにおいては、電線がアンテナと接地電極とを兼ねている。この点火プラグ220は、図11に示すように、中心電極102、碍子104、高電圧端子108、誘電体部材124、誘電体管110と、主体金具222と、誘電体管110及び誘電体部材124を貫通する電線224とを備えている。
【0068】
電線224の高電圧端子108とは反対側に、中心電極102及び碍子104の露出部分を囲むように露出するリング部224Aが設けられている。点火プラグ220を使用する際には、電線224は、マイクロ波信号の印加を受けるとともに、所定の電気長を有するスタブを介して接地される。
【0069】
電線224は、スタブを介して接地されると、直流に対しては接地された導電体として機能し、マイクロ波に対しては、非接地の導電体として機能する。点火プラグ220においては、主体金具222は、接地電極の機能を有さない。高電圧電線224が、接地電極の機能を備える。すなわち、電線224は、マイクロ波伝送路の中心線路、マイクロ波の放射アンテナ及び接地電極を兼ねる。
【0070】
中心電極102に高電圧の点火信号が印加されると、中心電極102とリング部224Aとの間で放電が起こる。この際の電流は、中心電極102、電線224及びスタブを解して接地点へと伝わる。なお、この電流が、そのままマイクロ波信号源に逆流することはない。
【0071】
電線224にマイクロ波信号が印加されると、マイクロ波は、主体金具222、誘電体管110及び電線224からなるマイクロ波伝送路を介してリング部224Aに伝送される。そしてリング部224Aよりマイクロ波が放射される。
【0072】
この点火プラグ220においては、鍵型の接地電極への誘導損失が発生しない。そのため、マイクロ波の放射を効率化することができる。また、構造上、スパーク部分にマイクロ波のエネルギを集中させやすい。
【0073】
〔第4の実施形態の変形例1〕
この点火プラグは、図12に示すように、誘電体部124と碍子104及び誘電体管110との境界の一部を、形態2の実施形態の変形例1のように主体金具106によって被覆するようにしてもよい。これにより、第2の実施形態の変形例1の作用及び効果を第4の実施形態の点火プラグにおいて奏することができる。
【0074】
〔第4の実施形態の変形例2〕
また、この点火プラグは、図13に示すように、電線224の誘電体部材124に埋没する部分において、コイルを形成するようにしてもよい。電線224の先端にコイルアンテナのようにインダクタンスを得ることができる。コイルの部分の形状を選択することにより、インピーダンスの整合をとることができる。
【0075】
〔第4の実施形態の変形例3〕
図14は、本変形例の点火プラグを示し、図15は、この点火プラグにおける電線及びアンテナの形状を示す。
【0076】
この点火プラグは、図14及び図15に示すように、電線224の誘電体部材124に埋没する部分にスタブを設けてもよい。スタブ部分の長さを選択することにより、インピーダンスの整合をとることができ、マイクロ波の放射効率を向上させることができる。
【0077】
〔その他の変形例〕
本発明に係る点火プラグ100においては、図16に示すように、主体金具のアンテナ放射端に対向する面を曲面にしてもよい。例えば、放射端を焦点とする放物面とすれば、一方向への指向性が高くなる。面を楕円面とし、放射端がその楕円面の一方の焦点になるようにすれば、この面での反射波は、もう一方の焦点に集中する。
【0078】
このように、主体金具による反射を利用することにより、所望の指向性を得ることが可能になる。
【0079】
前述した各実施形態のうち、接地電極106Aが突出するものである場合、接地電極の部分を曲面構造にすることによってもまた、指向性を得ることができる。
【0080】
アンテナエレメントとなる部分自体の形状として、マイクロ波放射特性に指向性が生じるような形状を選択してもよい。このようにして、マイクロ波の放射特性に指向性を持たせることにより、所望の領域、または、方向にマイクロ波のエネルギが集中するようにすることができる。
【0081】
なお、前述した各実施形態においては、主体金具は一体の部材であるとして説明したが、複数の部材によって形成されるものであってもよい。また、碍子と誘電体部材とは、一体の部材により形成されていてもよい。
【0082】
アンテナの材質は、タングステンには限定されない。アンテナが露出するものにおいては、インコネル、ニッケル合金であってもよい。アンテナが露出するものであれば、耐食性を高めるために、イリジウム、金、プラチナ、銀などでコーティングするようにしてもよい。
【0083】
接地電極は、一般的なスパークプラグと同様のものでなくともよい。例えば、いわゆる多極プラグのように、接地電極を複数備えていてもよい。または、レース用のスパークプラグや沿面放電タイプのスパークプラグのように、主体金具の栓体(ネジ部)が接地電極となっているものであってもよい。
【0084】
〔ベインを付加した変形例〕
上述の各実施形態に係る点火プラグにおいてさらに、主体金具からベインを突出させるようにしてもよい。図17に、ベインを備えたプラグの一例を示す。
【0085】
図17に示す点火プラグ200は、図4に示す点火プラグと同様の内部構造を備える。この点火プラグ200は、さらに、導電体からなり主体金具106の先端(すなわちアンテナが配置されている側)からアンテナに向けて突出するベイン201を備える。ベインの長さは、寸法上の制約により許容される範囲内において、アンテナ112Aより放射される電磁波の波長の1/4倍に近い長さであることが望ましいが、必ずしも1/4倍に限定されるものではない。
【0086】
ベイン201は、先端においてアンテナ112Aと近接する。中心電極102と接地電極106Aとの間で放電を生起し、アンテナ112Aより電磁波を放射すると、電磁波のエネルギのうち一部は、放電により生起したプラズマの拡大に用いられ、別の一部は、アンテナ112Aとベイン201との間に強電場を形成する。拡大したプラズマに由来する荷電粒子(電子、イオン等)がこの強電場の領域に到達すると、強電場の領域において荷電粒子がエネルギを受け、この領域にプラズマを発生させる。その結果、中心電極102付近だけでなく、ベイン201の付近においてもプラズマを生起できる。すなわち、プラズマを複数箇所において一括して生成できる。
【0087】
なお、この変形例においては図4に示す点火プラグにベインを付加したものを例示したが、上述の各実施形態に係るいずれの点火プラグにベインを付加してもよい。また、ベイン201とアンテナ112とによっていわゆるエスパアンテナを構成してもよい。
【0088】
〔点火プラグのその他変形例等〕
上述の実施形態では、点火プラグとしてスパークプラグに類する形状のものを例示したが、本発明に係る点火プラグはこのようなものには限定されない。例えば、グロープラグに放電電極、マイクロ波の伝送路及びアンテナを設置した形状のものであってもよい。このような点火プラグにおいては、さらに、フィラメント、または、セラミックヒータ等の加熱手段を備えていてもよい。放電電極をなす導電体対のうち一方は、グロープラグのフィラメント、または、グロープラグのフィラメントに接続された導電体であってもよい。
【0089】
本発明においては、放電のためのエネルギは、交流であってもよく、その周波数は高周波であってもよい。また、直流電流と交流または高周波を重畳してなる電気信号であってもよい。中心電極に印加されるエネルギのうち交流または高周波の成分は、放電を生起させるばかりでなく、中心電極より電磁波として放射されてもよい。さらに、電磁波放射アンテナから放射される電磁波と、中心電極から放射される電磁波との重ね合わせにより強電場の領域を形成するようにしてもよい。
【0090】
本発明に係る点火プラグにおいては、電磁波放射アンテナの太さは、一様であってもよく、また部位ごとに太さを変化させてもよい。太さを調節することによりアンテナのインピーダンスを調整することができ、電磁波の放射効率を高めることが可能になる。
【0091】
電磁波放射アンテナは単一の材質からなるものであってもよく、複数の材質の部材を組合せてなるものであってもよい。複数の材質の部材を組合せる際には、電磁波放射アンテナとプラズマの形成位置とに鑑みて部材選択を行うことが好ましい。プラズマに曝露される部分については、熱またはプラズマの曝露による損耗の少ない材質を選択してもよい。電磁波の伝送を受け持つ部分については、導電性が高い材質を選択してもよい。
【0092】
また、碍子や誘電体と接合する部分については、熱膨張率が碍子や誘電体に近い材質を選択すると、熱によるひずみ、破損を低減できる。
【0093】
本発明に係る点火プラグにおいては、電磁波放射アンテナは、必ずしも単一エレメント型のアンテナであることを要しない。エレメントが分岐したいわゆる多素子アンテナとなっていてもよい。分岐したエレメントにより、カウンターポイズが形成されていてもよく、また、所定方向にまたは放射状にエレメントが延伸していてもよい。
【0094】
分岐したエレメントの各々から放射される電磁波に位相差を生じさせ、所定の位置または方向に向けて電磁波の放射方向を指向させてもよい。分岐したエレメント同士は必ずしも常に電気的に一体化していることを要しない。例えば、エレメントの熱膨張を利用し、所定の温度条件が充足された場合にのみエレメント同士が接触されるようにしてもよい。これにより温度条件に応じて電磁波発生に用いるエレメント構成を選択することができる。
【0095】
本発明に係る点火プラグにおいては、複数の素材からなる部材を組合せて誘電体からなる部材を構成してもよい。例えば、レンズ効果を得て、電磁波のエネルギの集中を促すようにすることもできる。また、異なる誘電率の部材を複数組み合わせ、界面において電磁波を反射することにより、電磁波の漏洩を低減することもできる。
【0096】
その他、所望の組合せ方により所望の電場及びその分布を得られるよう、各部材を組合せることができる。また、誘電体からなる部材の一部において、電磁波による誘導加熱による温度変化の応答性が高い材質を選択するようにしてもよい。このようにすれば、この点火プラグが電磁波を放射することによって、誘電体の部分の温度を調節することができる。
【0097】
誘電体の誘電率は、温度に応じて変化することがある。温度を調節または制御することにより、所望の誘電率を得るようにし、電磁波の伝送効率、放射効率を調整することも可能になる。
【0098】
〔第5の実施形態〕
図18に、上述の実施形態に係る点火プラグを用いたプラズマ発生装置300の構成を示す。
【0099】
このプラズマ発生装置300は、図1に示す第1の実施形態に係る点火プラグ100と同様の内部構造を備える点火プラグ301と、点火プラグ301の先端側を囲うように点火プラグ301の主体金具106Aの栓体部分に螺合される導電体製のキャップ302とを備える。なお、この点火プラグ301においては、第1の実施形態に係る点火プラグ100の接地電極106Aをカットオフしたものである。
【0100】
キャップ302は、螺合部分と反対側が窄められた筒状の形状をなしており、窄められた側の開口303を介して、キャップ内外の空間が連通する。キャップ302は、点火プラグ301の中心電極と開口303付近で絶縁距離が最短となる。キャップ302の開口302付近の部材は、開口302に近づくに従いに肉薄になるよう成型される。
【0101】
点火プラグ100が点火信号を受けると、キャップ302内の開口303付近で放電が生じる。その状態で点火プラグ100が電磁波の給電を受けると、アンテナ112Aより電磁波が放射され、同じく開口303付近で強電場が形成される。その結果、キャップ302内の開口303付近の領域に放電によって発生したプラズマが拡大する。このプラズマによって空間キャップ302内のガスが加熱され、キャップ302内の圧力が高くなる。これにより、キャップ302内と外界との間に圧力差が生じる。開口303付近に生じたプラズマはこの圧力差によって外界へと押し出される。その結果、プラズマが開口303の部分から噴き出す。
【0102】
プラズマ装置300は、圧力差を利用してプラズマを噴き出す構造であるため、点火プラグ301及びキャップ302により規定される空間の容積は、プラズマによる加熱に伴う圧力上昇によってプラズマを噴き出すのに十分な圧力差が得られるよう選ばれる。プラズマを噴き出すのに十分な圧力差は、発生させるプラズマの粘性等の物理的性状と、点火プラグ301への投入エネルギにより定められる。したがって、投入エネルギ、及びプラズマの原料ガスに応じて、適宜この空間の容積を定めればよい。
【0103】
本実施形態によれば、点火プラグ301にキャップ302を被せる単純な構成で、プラズマの噴き出しを実現できる。また、点火プラグ301とキャップ302とを螺合する構造を選択することにより、プラズマが発生する空間の容積の調整が容易になる。また、キャップ302の開口303付近を肉薄に成型することにより、開口303付近の部材とアンテナ112Aとの結合性が高まり、開口付近303付近で強電場を得ることが容易になる。
【0104】
本実施形態においては、キャップ302は導電体からなるものであったが、キャップ302全体が導電体により構成されていることを要しない。少なくとも開口303の付近から主体金具106との当接部分まで繋がる導電体部分があれば、キャップ302のその他の部分は誘電体により構成されていてもよい。例えば、陶磁器製のキャップの内面に金属層で被覆するようにしてもよい。ただし、電磁波の漏れを防止し、キャップ302内の電場強度を高めるためには、少なくともキャップ302の内面全体が導電体面であることがより好ましい。
【0105】
本実施形態においては、点火プラグ300は図1に示す点火プラグ100と類似の構造のものであったが、その他の実施形態及び変形例に係る点火プラグと類似の構造のものであってもよい。
【0106】
また、キャップ302の開口303付近を水冷、空冷等の方式で強制冷却するようにしてもよい。これにより開口303付近の熱による損耗を低減できる。また、ガス温度を低下させることができる。これは噴き出すプラズマの非熱平衡化に資する。
【0107】
〔第6の実施形態〕
第5の実施形態に係る点火プラグ300により、小型かつ簡素な構造でプラズマを噴き出すことが可能になる。このプラズマは、内燃機関等の点火に用いてもよいし、成分分析用のプラズマ源として用いてもよい。本実施形態では、プラズマ源としての適用の一例として、プラズマを用いた分析装置を示す。
【0108】
図19は、本実施形態に係る分析装置の概略構成を示す図である。
【0109】
図19に示す分析装置400は、第5の実施形態に係る点火プラグ300と、点火プラグ300に放電のための直流パルス電圧を印加する点火信号源401と、点火プラグ300に電磁波を給電する電磁波発振器402と、点火プラグ300から噴き出すプラズマの存在する領域に試料を導入または配置するための試料導入器410と、点火プラグ300からのプラズマに試料を曝露させた結果の分析を行う分析器411と、分析器411により分析された結果を所定形式の信号に変換して出力する検出器412と、検出器412からの信号に対し処理を行い、検出及び分析の結果をユーザに提示する信号処理器413とを備える。
【0110】
試料導入器410は、点火プラグ300が噴き出すプラズマに試料が曝露するよう試料を配置できるものであればよい。例えば試料が固体であれば、試料と点火プラグ300との相対位置の可能な支持具であってもよい。試料が流体であれば、その流体の流路管、貯留容器、または、噴射器であってもよい。また、試料が流体であれば、試料導入器410のさらに上流にクロマトグラフ用のカラム等を設置してもよい。
【0111】
分析器411は、想定される試料に応じて適宜選択すればよい。例えば、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型、タンデム型等、励起した試料を電場または磁場により分離分析するものであってもよい。または、受光器及び分光器と受光器−分光器間の光路を確保する光学系とからなる光学的な分析器であってもよい。
【0112】
検出器412は、分析器411の分析方式に応じたものを適宜選択すればよい。例えば電子増倍管、マイクロチャネルプレート等により励起した試料により輸送される電子を増感して検出するものであってもよい。ファラデーカップ等を用いて励起した試料を計数するものであってもよい。霧箱及び撮像装置からなる検出器であってもよい。分析器411が光学的な分析器であれば、検出器412は、光電子増倍管、相補性金属酸化膜半導体素子、または、電荷結合素子等を用いた光センサ、または、イメージセンサであってもよい。
【0113】
信号処理器413は、具体的にはコンピュータ(すなわちコンピュータハードウェア、そのコンピュータハードウェア上で動作するプログラム及びそのコンピュータに与えられるデータ)により実現される。信号処理方法及び結果のユーザへの提示方法については、分析対象とする分析器411及び検出器412の種類または型式等に応じて適宜周知の一般的な手法を行えばよい。コンピュータ自体の動作については、周知であり、ここでは説明を繰返さない。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施形態の変形例1に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の変形例2に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の変形例3に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の変形例4に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の変形例5に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態の変形例6に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施形態の変形例に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施形態の変形例1に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施形態の変形例2に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施形態の変形例2に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態の変形例に係る点火プラグのアンテナの斜視図である。
【図16】局面状の反射面をもつ本発明に係る点火プラグの一部断面斜視図である。
【図17】ベインを備えたプラグの一例を示す図である。
【図18】上述の実施形態に係る点火プラグを用いたプラズマ発生装置の構成を示す図である。
【図19】本実施形態に係る分析装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
106 主体金具
102 中心電極
104 碍子
108 高電圧端子
110 誘電体管
112 電線
112A 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、
同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、
前記中心線と電気的に一体をなす電磁波放射アンテナと
を備え、
前記電磁波放射アンテナは、前記中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされている
ことを特徴とする点火プラグ。
【請求項2】
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、
同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、
前記外側導体と電気的に一体をなす電磁波放射アンテナと
を備え、
前記電磁波放射アンテナは、前記中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされている
ことを特徴とする点火プラグ。
【請求項3】
前記電磁波放射アンテナを覆う誘電体部材を備えている
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の点火プラグ。
【請求項4】
前記電磁波放射アンテナの基部及び外側導線の放電ギャップ側の端部が、誘電体部材内に埋没している
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の点火プラグ。
【請求項5】
前記誘電体部材の放電ギャップ側端部には、放電ギャップ側に突出する突出部分が設けられ、
前記電磁波放射アンテナは、前記電体部材の突出部分の表面に沿うよう屈曲されている
ことを特徴とする請求項4記載の点火プラグ。
【請求項6】
前記外側導体は、前記接地電極に電気的に一体をなし、主体金具を形成している
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の点火プラグ。
【請求項7】
前記電磁波放射アンテナと中心電極との絶縁距離は、前記中心電極と前記接地電極との絶縁距離より大きく、かつ、前記電磁波放射アンテナが占める空間内の任意の点と電磁波放射アンテナとの距離は、この点火プラグの栓体の表面上の任意の点と中心電極との最短距離以下となっている
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の点火プラグ。
【請求項8】
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、
同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、
中心線に容量結合された電磁波放射アンテナとを備え、
前記接地電極と前記外側導体とは、電気的に一体をなし、
前記電磁波放射アンテナは、前記外側導体により接地され、前記中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされている
ことを特徴とする点火プラグ。
【請求項9】
スパーク放電のための中心電極及び接地電極と、
同軸状の電磁波伝送線路を形成する中心線及び外側導体と、
中心線に容量結合された電磁波放射アンテナとを備え、
前記接地電極と前記外側導体とは、電気的に一体をなし、
前記電磁波放射アンテナは、前記接地電極により接地され、前記中心電極から略々等距離の複数の箇所を含む円弧、または、球の一部をなす形状となされている
ことを特徴とする点火プラグ。
【請求項10】
前記電磁波放射アンテナと一体化された接地電極は、リングアンテナとなっている
ことを特徴とする請求項9記載の点火プラグ。
【請求項11】
前記電磁波放射アンテナと一体化された接地電極は、コイルアンテナとなっている
ことを特徴とする請求項9記載の点火プラグ。
【請求項12】
前記電磁波放射アンテナの基部に、スタブが設けられている
ことを特徴とする請求項8、または、請求項9記載の点火プラグ。
【請求項13】
前記接地導体のアンテナ側に一方の端部が接合され、他方の端部がアンテナに向けて突出するベインを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか一に記載の点火プラグ。
【請求項14】
前記電磁波放射アンテナは、少なくとも1箇所において分岐している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか一に記載の点火プラグ。
【請求項15】
前記誘電体部材は、誘電率が互いに他と異なる複数の部材からなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の点火プラグ。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の点火プラグと、
概ね両端開口筒状で一方の開口が窄められ他方の開口付近の内面が全周に亘り前記点火プラグの主体金具に当接または螺合する導電体からなるキャップと
を備え、
前記キャップと前記点火プラグの中心電極との絶縁距離は、窄められた開口の付近で最短となり、かつ、前記スパークプラグ及びキャップにより規定された空間の容積は、この空間にプラズマが発生した際のこの空間の圧力上昇によりこの空間と前記孔を介してこの空間に連通する空間との間に所定値以上の圧力差が生じるように選ばれている
ことを特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項17】
前記キャップは、前記窄められた開口付近において、この開口に近づくに従い肉薄になっている
ことを特徴とする請求項16記載のプラズマ発生装置。
【請求項18】
試料をプラズマに曝露させてこの試料を励起させ、その結果を検出する分析装置であって、
請求項16、または、請求項17記載のプラズマ発生装置の前記窄められた孔から所定距離内の空間に試料を設置し、前記プラズマ発生装置を用いてプラズマを発生させる
ことを特徴とする分析装置。
【請求項19】
試料をプラズマに曝露させてこの試料を励起させ、その結果を検出する分析装置であって、
請求項1乃至請求項14のいずれか一に記載の点火プラグを用いてプラズマを発生させる
ことを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−38026(P2009−38026A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182108(P2008−182108)
【出願日】平成20年7月12日(2008.7.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発(マイクロ波プラズマ燃焼エンジンの研究開発(ノック回避、エミッション低減、燃費改善、高効率エンジンの開発))」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504293528)イマジニアリング株式会社 (51)
【Fターム(参考)】