説明

点灯装置、および照明器具

【課題】調光時の発光効率の向上が図れる点灯装置、および照明器具を提供することにある。
【解決手段】照明器具は、有機エレクトロルミネッセンス素子からなる光源部1と、光源部1を点灯させる点灯装置2と、光源部1および点灯装置2を収納するケースとを備え、点灯装置2は、交流電源ACの交流出力を全波整流するダイオードブリッジなどからなる整流回路部3と、整流回路部3によって全波整流された交流出力を直流出力に変換するPFC回路部4と、PFC回路部4の直流出力を元にして光源部1に駆動電流を出力する電流出力部5と、電流出力部5が出力する駆動電流の大きさを制御する電流制御部6とを備え、電流制御部6は、駆動電流をその最小値が0超過の値となるように振幅させることで光源部1の調光を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を点灯させる点灯装置および照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子として、有機エレクトロルミネッセンス(organicelectroluminescence、有機ELともいう)素子が注目を集めている。有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略す)は、通電から発光までの時間が非常に短く、電流を変化させれば瞬時に輝度が変化する、つまり応答性に優れ、しかも応答性が温度によって殆ど変化しないという特性があり、加えて視野角が180度に近いという特性がある。そのため、有機EL素子は面発光に適しており、近年では、例えば液晶ディスプレイ(液晶表示装置)のバックライトなどの照明器具に利用されている。
【0003】
この種の照明器具は、図8に示すように、有機EL素子からなる光源部1と、光源部1を点灯させる点灯装置2とを備えている。
【0004】
ここで、点灯装置2としては、有機EL素子の輝度(明るさ)を調整できる調光機能付きの点灯装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
この種の点灯装置2は、図8に示すように、有機EL素子からなる光源部1に所定の大きさの定電流を供給するものであって、商用電源などの交流電源ACの交流出力を全波整流するダイオードブリッジなどからなる整流回路部3と、整流回路部3によって全波整流された交流出力を直流出力に変換するPFC(力率改善)回路部4と、PFC回路部4の直流出力を元にして光源部1に駆動電流を出力する電流出力部5と、電流出力部5が出力する駆動電流の大きさを制御する電流制御部6と、光源部1の調光制御を行う調光回路部7とを備えている。
【0006】
PFC回路部4は、整流回路部3の高電位側の出力端に一端が接続されたコイル(チョークコイル)L1を有している。コイルL1の他端と整流回路部3の低電位側の出力端との間には、nチャンネル型のMOSFETからなるスイッチング素子Q1と抵抗R1との直列回路が挿入され、コイルL1とスイッチング素子Q1との接続点には、逆流阻止用のダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードと、整流回路部3の低電位側の出力端との間には、電解コンデンサなどからなる平滑用コンデンサC1が接続されている。
【0007】
このようなPFC回路部4において、スイッチング素子Q1を導通させる(オンする)と、整流回路部3の高電位側の出力端からコイルL1とスイッチング素子Q1を介して電流が流れることにより、コイルL1にはエネルギが蓄えられる。この後に、スイッチング素子Q1を遮断する(オフする)と、コイルL1に蓄えられたエネルギはダイオードD1を介して平滑用コンデンサC1へと供給される。したがって、スイッチング素子Q1のオン・オフを繰り返すことによりコンデンサC1への電流供給と遮断を繰り返し、このスイッチングを高周波で行うことによりコンデンサC1の両端電圧を所望の値に設定することができる。
【0008】
スイッチング素子Q1は、PFC制御部4aによりオン・オフ制御される。PFC制御部4aは、コイルL2によってコイルL1に流れる電流の有無を検出するとともに、スイッチング素子Q1のソース電圧を検出し、これら検出した電流値に基づいて、スイッチング素子Q1のオン・オフ制御を行うことで、コンデンサC1の両端電圧を一定に維持する。また、PFC制御部4aは、交流電源ACから得られる電流の高調波歪を改善する力率改善機能を備えており、例えば、交流電源ACの入力力率を改善するようにスイッチング素子Q1のオン期間を設定する。
【0009】
電流出力部5は、PFC回路部4の直流出力の電圧を降圧する降圧チョッパ回路からなり、PFC回路部4の平滑用コンデンサC1の高電位側にドレインが接続されたnチャンネル型のMOSFETからなるスイッチング素子Q2と、スイッチング素子Q2のソースに一端が接続されたコイルL3と、スイッチング素子Q2のソースにカソードが接続され、アノードが平滑用コンデンサC1の低電位側に接続された還流用のダイオードD2と、コイルL3の他端に接続された電解コンデンサなどからなる平滑用のコンデンサC2と、コンデンサC2の低電位側とダイオードD2のアノードとの間に挿入された抵抗R2とで構成されている。このような電流出力部5では、スイッチング素子Q2のオン・オフのスイッチングによりコンデンサC2の両端電圧、つまり光源部1の両端に印加する電圧を所望の値に設定することができる。
【0010】
電流制御部6は、抵抗R2の両端電圧に基づいてスイッチング素子Q2のオン・オフ制御を行い、平滑用コンデンサC2の両端電圧を一定にすることで、電流出力部5が出力する駆動電流の大きさ一定の大きさにしている。
【0011】
つまり、図8に示す点灯装置では、電流出力部5と電流制御部6とによって光源部1に定電流を出力する定電流源を構成している。
【0012】
調光回路部7は、電流出力部5のコンデンサC2の高電位側にドレインが接続されたnチャンネル型のMOSFETからなるスイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q3のオン・オフ制御を行う調光制御部7aとで構成されている。調光制御部7aは、与えられたデューティ比に基づいて、図9(a)に示すようにスイッチング素子Q3のゲートに電圧を印加し、スイッチング素子Q3を高周波でオン・オフ制御することで、図9(b)に示すように光源部1に間欠的に電流を出力することで光源部1の調光を行う。
【特許文献1】2004−210848号公報
【特許文献2】2004−245904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、光源部1である有機EL素子の等化回路は、ダイオードとコンデンサとの並列回路で表される。つまり、有機EL素子は容量成分を有する容量性負荷である。
【0014】
そのため、従来例の点灯装置2では、スイッチング素子Q3をオンして光源部1への給電が開始された際には、光源部1を充電するために光源部1にサージ電流が流れ、光源部1にストレスを与えてしまう(図9(b)においてP1で示すハッチングの部位)。また、光源部1が充電されるまでは発光しないから、光源部1の光束の立ち上がりが遅延してしまう。一方、スイッチング素子Q3がオフになって光源部1への給電が停止した際には、光源部1に蓄えられた電荷が放電される(図9(b)においてP2で示すハッチングの部位)ため、この後にスイッチング素子Q3がオンになった際には、再び光源部1を充電するためにサージ電流が流れてしまう。
【0015】
このように従来例の点灯装置2では、スイッチング素子Q3がオン・オフされる度に、光源部1の充放電が行われるから、光源部1に供給する電力が無駄に消費され、発光効率が悪くなるという問題があった。このような問題は、スイッチング素子Q3が高周波でオン・オフ制御する調光制御時に特に顕著であった。
【0016】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、発光効率の向上が図れる点灯装置、および照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、有機エレクトロルミネッセンス素子からなる光源部を点灯させる点灯装置であって、光源部に駆動電流を出力する電流出力部と、当該電流出力部が出力する駆動電流の大きさを制御する電流制御部とを備え、電流制御部は、駆動電流をその最小値が0超過の値となるように振幅させることで光源部の調光を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流の最大値と最小値とのいずれか一方を固定し、他方を変更することを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明では、請求項1または2の発明において、上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流の振幅の一周期において上記駆動電流が最大値となる期間と、上記駆動電流が最小値となる期間との少なくとも一方の長さを変更することを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明では、請求項1〜3のうちいずれか1項の発明において、上記電流制御部は、上記駆動電流の波形が矩形波となるように上記電流出力部を制御することを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明では、請求項1または2の発明において、上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流が最大値から最小値に移行する期間と、上記駆動電流が最小値から最大値に移行する期間との少なくとも一方の長さを変更することを特徴とする。
【0022】
請求項6の発明では、請求項1または2または5の発明において、上記電流制御部は、上記駆動電流の波形が三角波となるように上記電流出力部を制御することを特徴とする。
【0023】
請求項7の発明では、請求項1〜6のうちいずれか1項記載の点灯装置と、当該点灯装置により点灯される光源部と、点灯装置および光源部を収納するケースとを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、光源部の調光時においても光源部には常に駆動電流が流れているので、従来例のようにPWM制御により光源部の調光を行う場合とは異なり、光源部への給電が停止されることがないから、調光時に光源部において充放電が繰り返されることがなくなり、発光効率の向上が図れるという効果を奏する。また、調光時に光源部が完全に消灯することがないから、ちらつきを低減することができるという効果を奏する。また、調光時にサージ電流が繰り返し流れることがないから、従来例に比べれば、サージ電流によるストレスを光源部に与えなくて済み、光源部の長寿命化が図れ、しかも光源部の光束の立ち上がりを早めることができるという効果を奏する。また、駆動電流の振幅させることで光源部の調光を行うので、電流出力部と光源部との給電路を開閉するスイッチや当該スイッチを制御する制御部などのPWM制御用の回路が必要なくなるから、回路構成の簡素化が図れるとともに低コスト化が図れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施形態1)
本実施形態の照明器具は、図4(a),(b)に示すように、光源部1と、光源部1を点灯する点灯装置2と、光源部1および点灯装置2を収納するケース8とを備えている。
【0026】
光源部1は、例えば、支持基板10と、支持基板10の一表面側(図4(b)における下面側)に形成された透明電極11と、透明電極11における支持基板10とは反対側に形成された発光層12と、発光層12における透明電極11とは反対側に形成された金属製の反射電極13と、支持基板10の上記一表面側に透明電極11、発光層12および反射電極13を覆う形で取り付けられる封止部14とを備えている。
【0027】
支持基板10は、発光層12を支持するための平板状の部材であり、発光層12が放射する光に対して透光性を有する材料により形成されている。例えば、支持基板10としては、ガラス基板などの透明基板が利用される。透明電極11は、発光層12が放射する光に対して透光性を有する材料からなる導電性の薄膜である。このような透明電極11の材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電性材料が用いられる。発光層12は、例えば、蛍光物質の有機材料または蛍光物質を含む有機材料からなり、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および電子注入層などが備えられる。反射電極13は、発光層12が放射する光を反射する材料からなる導電性の薄膜である。このような反射電極13の材料としては、例えば、アルミニウムや、アルミ・リチウム合金、マグネシウム・銀合金などを用いることができる。
【0028】
ところで、透明電極11および反射電極13それぞれには給電用の端子部(図示せず)が設けられ、封止部14は、透明電極11および反射電極13それぞれの端子部を露出する形で、支持基板10の上記一表面側に接着剤などにより気密に取り付けられる。このような封止部14は、例えば絶縁性を有する材料(例えば、ガラスなど)により一面が開口した箱状に形成されており、有機材料からなる発光層12が酸素や湿気の影響により徐々に劣化することを抑制するために用いられる。
【0029】
上述した光源部1は、支持基板10上に、透明電極11、発光層12、および反射電極13を順次積層してなる矩形板状の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略す)からなり、このような光源部1では、上記給電用の端子部により透明電極11および反射電極13それぞれに所定の電位を与えることにより、発光層12から光が放射される。
【0030】
このとき発光層12から透明電極11側に放射された光は、透明電極11を透過した後に、支持基板10に入射し、支持基板10内を通過し、支持基板10の他表面側(図4(b)における上面側)から支持基板10外に出射される。一方、発光層12から反射電極13側に放射された光は、反射電極13により透明電極11側に反射された後に、支持基板10内を通過し、支持基板10の上記他表面側から支持基板10外に出射される。
【0031】
つまり、光源部1は、厚み方向一面側(支持基板の上記他表面側)に発光面が形成されるとともに、厚み方向他面側(封止部における支持基板とは反対面側)に非発光面が形成された所謂片面発光型(特に基板側に光を放射するボトムエミッション型)の有機EL素子である。
【0032】
本実施形態における点灯装置2は、プリント基板20に光源部1を点灯する点灯回路を構成する電子部品21を実装してなり、例えば、図1に示すような回路構成を有している。以下、図1を参照して点灯装置2の回路構成について説明する。
【0033】
本実施形態における点灯装置2は、整流回路部3と、PFC回路部4と、電流出力部5と、電流制御部6とを有している。つまり、本実施形態における点灯装置2は、上記従来例(図8に示す従来例)とは異なり、調光回路部7を備えておらず、電流出力部5から光源部1に直接的に電流が流れるようになっている。
【0034】
また、本実施形態における点灯装置2は、電流制御部6の構成が上記従来例と異なっている。なお、整流回路部3、PFC回路部4、および電流出力部5の構成については上記従来例と同様であるから説明を省略する。
【0035】
本実施形態における電流制御部6は、図2に示すように、スイッチング素子Q2のオン・オフ制御を行うドライブ回路(ドライブIC)60と、ドライブ回路60に駆動信号を出力してドライブ回路60を制御する演算処理部61と、コンデンサC2の両端電圧を検出するための抵抗R3,R4の直列回路からなる分圧回路62とで構成されている。
【0036】
ドライブ回路60は、スイッチング素子Q2をPWM制御して、コンデンサC2の両端電圧、つまり電流出力部5が出力する駆動電流の大きさを変化させる。スイッチング素子Q2のデューティ比は、演算処理部61が出力する駆動信号の大きさ(信号電圧)によって決定される。なお、スイッチング素子Q2のスイッチング周波数は数十kHzとしている。
【0037】
演算処理部61は、電流出力部5の駆動電流が流れる抵抗R2の両端電圧(つまりは駆動電流)を監視しており、抵抗R2の両端電圧が所定の値となるようにドライブ回路60に駆動信号を出力する。
【0038】
ところで、演算処理部61は、駆動電流をその最小値が0超過の値となるように振幅させることで光源部1の調光を行う調光機能を有している。具体的には、演算処理部61は、図3(c)に示すように、スイッチング素子Q2のデューティ比がw1となる期間t1と、w2となる期間t2とが交互に出現するようにドライブ回路60に駆動信号を出力する。ここで、期間t1では、図3(b)に示すように、抵抗R2の両端電圧がV1となり、期間t2では、抵抗R2の両端電圧がV2となる。そして、駆動電流の最大値I1は、抵抗R2の抵抗値とV1とで決まり、光源部1にストレスを与えない(寿命に悪影響を及ぼさない)程度の大きさ、一例としては0.3A程度である。駆動電流の最小値I2(当然ながらI1より小さい)は、抵抗R2の抵抗値とV2とで決まり、光源部1の最低点灯維持電流以上の大きさ、一例としては50mA程度(好ましくは100mA以上)である。なお、上記0.3Aおよび50mAという数値は、光源部1の特性(有機EL素子の特性)によってばらつきが生じる数値であるから、あくまでも一例に過ぎず、最大値I1および最小値I2をこのような値に限定する趣旨ではない。
【0039】
つまり、電流制御部6は、電流出力部5から出力される駆動電流の波形が、図3(a)に示すように、駆動電流が最大値I1となる期間t1と、駆動電流が最小値I2となる期間t2とが交互に出現する形の矩形波となるように電流出力部5を制御する。ここで、駆動電流の周期は、t1+t2で与えられ、その周波数(1/(t1+t2))は、数百Hz(好ましくは200Hz)とすることが好ましい。
【0040】
そして、演算処理部61は、リモコンや設定器などの外部装置(図示しない)から入力された調光信号に応じて、駆動電流の周波数が変化しないように(t1+t2=constを満たすように)、期間t1,t2を調整することによって、光源部1の調光を行う。例えば、演算処理部61は、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力されると、期間t1を相対的に長くし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力されると、期間t1を相対的に短くする。
【0041】
ケース8は、図4(b)に示すように、一面(図4(b)における下面)が開口した箱状のボディ80と、ボディ80の一面開口を閉塞する形でボディ80に取り付けられるカバー81とで構成されている。このようなボディ80やカバー81は例えばアルミニウムなどにより形成されている。ボディ80には、光源部1がその発光面をボディ80の底壁部側(図4(b)における上壁部側)に向けた状態で収納される。ここで、ボディ80の底壁部(図4(b)における上壁部)には、光源部1が放射する光をケース8外に出射するための窓孔80aが形成されており、窓孔80aは光源部1が放射する光に対して透光性を有する材料(例えばガラス)からなる透光カバー80bにより閉塞されている。したがって、透光カバー80bの外面がケース8の発光面となっている。カバー81には、点灯装置2のプリント基板20が取り付けられ、カバー81は、ボディ80との間に点灯装置2を配置する形で、ボディ80に取り付けられる。なお、点灯装置2と光源部1とは、ワイヤボンドなどにより電気的に接続される。
【0042】
次に本実施形態における点灯装置2の動作について説明する。点灯装置2の動作が開始されると、電流制御部6は、駆動電流の最大値I1、最小値I2、期間t1,t2それぞれが所定の値となるように電流出力部5を制御し、光源部1は、電流出力部5が出力する駆動電流の平均値に応じた明るさで点灯する。そして、電流制御部6は、外部装置により光源部1を明るくする旨の調光信号が入力されると、期間t1を相対的に長くすることで駆動電流の平均値を大きくして光源部1を明るくし、外部装置により光源部1を暗くする旨の調光信号が入力されると、期間t1を相対的に短くすることで駆動電流の平均値を小さくして、光源部1を暗くする。
【0043】
このように本実施形態における点灯装置2によれば、光源部1の調光時においても光源部1には常に駆動電流が流れているので、従来例のようにPWM制御により光源部1の調光を行う場合とは異なり、光源部1への給電が停止されることがないから、図3(a)に示すように、調光時に光源部1の充放電が繰り返されることがなくなり、発光効率の向上が図れ、しかも調光時に光源部1が完全に消灯することがないから、ちらつきを低減することができる。
【0044】
また、調光時にサージ電流が繰り返し流れることがないから、従来例に比べれば、サージ電流によるストレスを光源部1に与えなくて済み、光源部1の長寿命化が図れ、しかも光源部1の光束の立ち上がりを早めることができる。また、駆動電流を振幅させることで光源部1の調光を行うので、電流出力部5と光源部1との給電路を開閉するスイッチや当該スイッチを制御する制御部などのPWM制御用の回路(例えば図8に示す調光回路部7)が必要なくなるから、回路構成の簡素化が図れるとともに、低コスト化が図れる。
【0045】
そして、本実施形態の照明器具は、このような効果を奏する点灯装置2を備えるので、同様の効果を奏する。
【0046】
ところで、本実施形態における演算処理部61は、駆動電流の周波数が変化しないように(t1+t2=constを満たすように)、期間t1,t2を調整するとしたが、必ずしも駆動電流の周波数を一定にする必要はなく、例えば、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、t1+t2=constという条件を考慮せずに、期間t1を長く、あるいは期間t2を短く、もしくは期間t1を長くするとともに期間t2を短くし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、期間t1を短く、あるいは期間t2を長く、もしくは期間t1を短くするとともに期間t2を長くするようにしてもよい。
【0047】
つまり、電流制御部6は、光源部1を調光するにあたっては、駆動電流の振幅の一周期において駆動電流が最大値I1となる期間t1と、駆動電流が最小値I2となる期間t2との少なくとも一方の長さを変更するものであればよい。
【0048】
ところで、期間t1,t2を変化させる代わりに、駆動電流の最大値I1と最小値I2とを変化させることで、光源部1の調光を行うようにしてもよい。例えば、演算処理部61は、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1および最小値I2を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1および最小値I2を小さくするものであればよい。
【0049】
また、必ずしも最大値I1と最小値I2の両方を変化させる必要はなく、最大値I1と最小値I2の少なくとも一方を変化させればよい。例えば、演算処理部61は、最大値I1を固定値とし、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最小値I2を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最小値I2を小さくするものであってもよく、あるいは最大値I2を固定値とし、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1を小さくするものであってもよい。
【0050】
つまり、電流制御部6は、光源部1を調光するにあたっては、駆動電流の最大値I1と最小値I2とのいずれか一方を固定し、他方を変更するものであればよい。
【0051】
また、期間t1と、最大値I1との両方を変化させるようにしてもよく、要するに、電流制御部61は、t1、t2、I1、I2の少なくとも1つのパラメータを調整することによって、光源部1の調光を行うものであればよい。
【0052】
なお、本実施形態における電流出力部5は、降圧チョッパ回路により構成しているが、電流出力部5は、必ずしも降圧チョッパ回路に限定されるものではなく、電流制御部6からの指示によって、光源部1に所定の大きさの電流を流すことができるような直流電源であっても良い。また、本実施形態の照明器具は、あくまで本発明の一実施形態であって、本発明をこの実施形態に限定する趣旨のものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない程度の変形は可能である。この点は後述する実施形態2においても同様である。
【0053】
(実施形態2)
本実施形態の照明器具は、図5に示すように、点灯装置2、特に電流出力部5および電流制御部6の構成が実施形態1と異なっており、その他の構成は実施形態1と同様であるから、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態における電流出力部5は、平滑用コンデンサC2を備えていない点で実施形態1と異なっている。
【0055】
本実施形態における電流制御部6も実施形態1と同様に、駆動電流をその最小値が0超過の値となるように振幅させることで光源部1の調光を行うが、その制御方法が実施形態1と異なっている。
【0056】
本実施形態における電流制御部6は、スイッチング素子Q2のオン・オフ制御を行う制御回路部63と、演算処理部61とで構成されており、制御回路部63は、図6に示すように、一対のコンパレータCOMP1,COMP2からなる比較部63aと、一対のNORゲートからなるSR型のフリップフロップ回路からなる論理回路部63bと、論理回路部63bの出力に応じてスイッチング素子Q2をオン・オフするドライブ回路63cとで構成されている。
【0057】
比較部63aの第1のコンパレータCOMP1の非反転入力端子は抵抗R2と光源部1と間に接続されており、当該非反転入力端子には抵抗R2の両端電圧が入力される。第1のコンパレータCOMP1の反転入力端子は演算処理部61に接続されており、当該反転入力端子には演算処理部61より抵抗R2の両端電圧の上限となる電圧V1が入力される。したがって、第1のコンパレータCOMP1は、抵抗R2の両端電圧が電圧V1を上回った際に、ハイレベルの信号を出力する。一方、比較部63aの第2のコンパレータCOMP2の反転入力端子は抵抗R2と光源部1と間に接続されており、当該反転入力端子には抵抗R2の両端電圧が入力される。第2のコンパレータCOMP2の非反転入力端子は演算処理部61に接続され、演算処理部61より抵抗R2の両端電圧の下限となる電圧V2(>0)が入力される。したがって、第2のコンパレータCOMP1は、抵抗R2の両端電圧が電圧V2を下回った際に、ハイレベルの信号を出力する。
【0058】
論理回路部63bは上述したようにSR型のフリップフロップ回路であって、表1に示す真理値表を有している。
【0059】
【表1】

【0060】
この論理回路部63bのセット端子(S端子)には、比較部63aの第2のコンパレータCOMP2の出力端子が接続され、リセット端子(R端子)には、比較部63aの第1のコンパレータCOMP1の出力端子が接続され、出力端子(Q端子)はドライブ回路63cに接続されている。
【0061】
ドライブ回路63cは、出力端子の真理値が”1”であれば、スイッチング素子Q2のゲートにハイレベルの信号を出力して、スイッチング素子Q2をオンにし、出力端子の真理値が”0”であれば、スイッチング素子Q2のゲートにロウレベルの信号を出力して、スイッチング素子Q2をオフにする。
【0062】
次に制御回路部63の動作について図7を参照して説明する。なお、図7(a)は駆動電流を示し、図7(b)は抵抗R2の両端電圧を示し、図7(c)は第1のコンパレータCOMP1の出力を示し、図7(d)は第2のコンパレータCOMP2の出力を示し、図7(e)はスイッチング素子Q2のゲートの電位を示している。
【0063】
まず、初期状態において抵抗R2の両端電圧がV2より大きくV1より小さい値であって、スイッチング素子Q2がオフであるとする。
【0064】
スイッチング素子Q2がオフである場合には、光源部1には駆動電流が流れず、図7(b)に示すように、抵抗R2の両端電圧は減少する。やがて、抵抗R2の両端電圧がV2を下回ると、図7(d)に示すように、第2のコンパレータCOMP2の出力はハイレベルとなり、論理回路部63bのセット端子には”1”が入力される。このとき、図7(c)に示すように、第1のコンパレータCOMP1の出力はロウレベルであるから、論理回路部63bの出力端子の出力は”1”となり、ドライブ回路63cは、図7(e)に示すようにスイッチング素子Q2のゲートにハイレベルの信号を出力して、スイッチング素子Q2をオンにする。これにより図7(a)に示すように、光源部1に駆動電流が増加し、抵抗R2の両端電圧が上昇する。このとき、電流出力部5はコイルL3を備えているため、スイッチング素子Q2がオンになっても駆動電流は急激には増加せず、徐々に増加する。なお、抵抗R2の両端電圧がV2を上回ると、第2のコンパレータCOMP2の出力はロウレベルとなるが、表1に示すように論理回路部63bの出力端子の出力は”1”のままである。
【0065】
抵抗R2の両端電圧が上昇して、V1を上回ると、図7(c)に示すように、第1のコンパレータCOMP1の出力はハイレベルとなり、論理回路部63bのリセット端子には”1”が入力される。このとき、図7(d)に示すように、第2のコンパレータCOMP2の出力はロウレベルであるから、論理回路部63bの出力端子の出力は”0”となり、ドライブ回路63cは、図7(e)に示すようにスイッチング素子Q2のゲートにロウレベルの信号を出力して、スイッチング素子Q2をオフにする。これにより図7(a)に示すように、光源部1の駆動電流が減少し、抵抗R2の両端電圧が下降する。このとき、電流出力部5はコイルL3を備えているため、スイッチング素子Q2がオフになっても駆動電流は急激には減少せず、徐々に減少する。なお、抵抗R2の両端電圧がV1を下回ると、第1のコンパレータCOMP1の出力はロウレベルとなるが、表1に示すように論理回路部63bの出力端子の出力は”0”のままである。
【0066】
以後、抵抗R2の両端電圧がV2を下回ればスイッチング素子Q2がオンになり、抵抗R2の両端電圧がV1を上回ればスイッチング素子Q2がオフになるという動作を繰り返し、抵抗R2の両端電圧の波形は、図7(b)に示すように、最大値V1と最大値V2とが交互に出現する三角波となる。
【0067】
そのため、光源部1に流れる駆動電流の波形は、図7(a)に示すように、抵抗R2の両端電圧がV1であるときの値I1と、抵抗R2の両端電圧がV2であるときの値I2とが交互に出現する三角波となる。ここで、I1は、抵抗R2の抵抗値と電圧V1とで決まる駆動電流の最大値であり、光源部1にストレスを与えない(寿命に悪影響を及ぼさない)程度の大きさ、一例としては0.3A程度である。一方、I2は、抵抗R2の抵抗値とV2とで決まる駆動電流の最小値(当然ながらI1より小さい)であり、光源部1の最低点灯維持電流異常の大きさ、一例としては50mA程度(好ましくは100mA以上)である。なお、上記0.3Aおよび50mAという数値は、光源部1の特性(有機EL素子の特性)によってばらつきが生じる数値であるから、あくまでも一例に過ぎず、最大値I1および最小値I2をこのような値に限定する趣旨ではない。
【0068】
ところで、駆動電流が最大値I1から最小値I2に移行する期間をt3と、駆動電流が最小値I1から最大値I2に移行する期間をt4とすれば、駆動電流の周期は、t3+t4で与えられ、その周波数(1/(t3+t4))は、数百Hz(好ましくは200Hz)とすることが好ましい。
【0069】
演算処理部61は、リモコンや設定器などの外部装置(図示しない)から入力された調光信号に応じて、V1,V2の大きさを調整することによって、光源部1の調光を行う。例えば、演算処理部61は、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力されると、V1,V2の両方を相対的に高くして、I1,I2の両方を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力されると、V1,V2の両方を相対的に低くして、I1,I2の両方を小さくする。
【0070】
次に本実施形態の点灯装置2の動作について説明する。点灯装置2の動作が開始されると、電流制御部6は、駆動電流の最大値I1および最小値I2それぞれが所定の値となるように電流出力部5を制御し、光源部1は、電流出力部5が出力する駆動電流の平均値に応じた明るさで点灯する。そして、電流制御部6は、外部装置により光源部1を明るくする旨の調光信号を電流制御部6に入力されると、I1,I2の両方を相対的に大きくすることで駆動電流の平均値を大きくして光源部1を明るくし、外部装置により光源部1を暗くする旨の調光信号を電流制御部6に入力されると、I1,I2の両方を相対的に小さくすることで駆動電流の平均値を小さくして、光源部1を暗くする。
【0071】
このように本実施形態における点灯装置2、および当該点灯装置2を備えた照明器具によれば、光源部1の調光時においても光源部1には常に駆動電流が流れているので、上記実施形態1と同様の効果を奏する。
【0072】
ところで、本実施形態における演算処理部61は、駆動電流の最大値I1と最小値I2とを変化させることで、光源部1の調光を行うようにしているが、必ずしも最大値I1と最小値I2の両方を変化させる必要はなく、最大値I1と最小値I2の少なくとも一方を変化させればよい。例えば、演算処理部61は、最大値I1を固定値とし、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最小値I2を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最小値I2を小さくするものであってもよく、あるいは最大値I2を固定値とし、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1を大きくし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、駆動電流の最大値I1を小さくするものであってもよい。
【0073】
つまり、電流制御部6は、光源部1を調光するにあたっては、駆動電流の最大値I1と最小値I2とのいずれか一方を固定し、他方を変更するものであればよい。
【0074】
また、駆動電流の大きさを変化させる代わりに、駆動電流が最大値I1から最小値I2に移行する期間T3と、駆動電流が最小値I2から最大値I1に移行する期間T4とを変化させることで、光源部1の調光を行うようにしてもよく、例えば、電流制御部6は、光源部1を明るくする旨の調光信号が入力された際には、期間t3,t4の少なくとも一方を短くすることで、駆動電流の周期(t3+t4)を相対的に短くし、光源部1を暗くする旨の調光信号が入力された際には、期間t3,t4の少なくとも一方を長くすることで、駆動電流の周期(t3+t4)を相対的に長くするようにしてもよい。
【0075】
つまり、電流制御部6は、光源部1を調光するにあたっては、駆動電流が最大値I1から最小値I2に移行する期間T3と、駆動電流が最小値I2から最大値I1に移行する期間T4との少なくとも一方の長さを変更するものであればよい。
【0076】
また、期間t3と、最大値I1との両方を変化させるようにしてもよく、要するに、電流制御部61は、t3、t4、I1、I2の少なくとも1つのパラメータを調整することによって、光源部1の調光を行うものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】実施形態1の照明器具における点灯装置の回路説明図である。
【図2】同上における点灯装置の要部の回路説明図である。
【図3】同上における点灯装置のタイミングチャートである。
【図4】同上の照明器具を示し、(a)は斜視図、(b)は一部を省略した断面図である。
【図5】実施形態2の照明器具における点灯装置の回路説明図である。
【図6】同上における点灯装置の要部の回路説明図である。
【図7】同上における点灯装置のタイミングチャートである。
【図8】従来例の照明器具における点灯装置の回路説明図である。
【図9】同上における点灯装置のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 光源部
2 点灯装置
3 整流回路部
4 PFC回路部
5 電流出力部
6 電流制御部
8 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機エレクトロルミネッセンス素子からなる光源部を点灯させる点灯装置であって、
光源部に駆動電流を出力する電流出力部と、当該電流出力部が出力する駆動電流の大きさを制御する電流制御部とを備え、
電流制御部は、駆動電流をその最小値が0超過の値となるように振幅させることで光源部の調光を行うことを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流の最大値と最小値とのいずれか一方を固定し、他方を変更することを特徴とする請求項1記載の点灯装置。
【請求項3】
上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流の振幅の一周期において上記駆動電流が最大値となる期間と、上記駆動電流が最小値となる期間との少なくとも一方の長さを変更することを特徴とする請求項1または2記載の点灯装置。
【請求項4】
上記電流制御部は、上記駆動電流の波形が矩形波となるように上記電流出力部を制御することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の点灯装置。
【請求項5】
上記電流制御部は、上記光源部を調光するにあたっては、上記駆動電流が最大値から最小値に移行する期間と、上記駆動電流が最小値から最大値に移行する期間との少なくとも一方の長さを変更することを特徴とする請求項1または2記載の点灯装置。
【請求項6】
上記電流制御部は、上記駆動電流の波形が三角波となるように上記電流出力部を制御することを特徴とする請求項1または2または5項記載の点灯装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項記載の点灯装置と、当該点灯装置により点灯される光源部と、点灯装置および光源部を収納するケースとを備えていることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−80983(P2009−80983A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248105(P2007−248105)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】