説明

点灯装置

【課題】1つのインバータ回路を用いて、複数の放電管のうち選択された放電管、または、1つの放電管のさまざまな領域を適宜点灯させることができる。
【解決手段】点灯装置1は、放電管2と放電管2の両端部及びその途中部に配置された4つの電極3a〜3dとからなる外部電極放電ランプ4と、交流電圧を発生するインバータ回路5と、インバータ回路5から4つの電極3a〜3dへの交流電圧の印加状態を切り替える切替回路6と、切替回路6を制御する制御回路7とを有している。切替回路6は、4つの電極3a〜3dとインバータ回路5の間に配置された6つのリードスイッチSW1〜SW6と、6つのリードスイッチSW1〜SW6に近接配置された6つのソレノイドコイルC1〜C6と、6つのソレノイドコイルC1〜C6にそれぞれ電流を流すための6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電極放電ランプを点灯させる点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両端部及び途中部に複数の電極が形成された放電管が並列に複数配置された外部電極放電ランプについて開示されている。この外部電極放電ランプの放電管の両端部及び中央部の電極は、接地側電極となっており、両端部の電極と中央部の電極に挟まれた電極は高圧側電極となっている。そして、高圧側電極と接地側電極の間にインバータ回路から発生する高周波高電圧を印加することで、全ての放電管を点灯させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−162593号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような特許文献1に記載の外部電極放電ランプでは、全ての放電管を点灯させることはできたとしても、1つのインバータ回路を用いて、選択された放電管だけを点灯させたり、1つの放電管の一部領域だけを点灯させるなど、目的に応じたさまざまな領域を適宜点灯させることはできなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、1つのインバータ回路を用いて、複数の放電管のうち選択された放電管、または、1つの放電管のさまざまな領域を適宜点灯させることができる点灯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の点灯装置は、内部に放電ガスが封入され、外周面上に2つの外部電極がそれぞれ配置された2以上の第1放電管、または、内部に放電ガスが封入され、外周面上に3以上の外部電極が配置された第2放電管のいずれかの放電管からなる外部電極放電ランプと、前記外部電極放電ランプの前記外部電極に接続され、交流電圧である前記外部電極放電ランプの駆動電圧を発生するインバータ回路と、前記外部電極のうち少なくともいずれか2つの外部電極間に前記インバータ回路から交流電圧を印加する切替回路と、を備えている。前記切替回路は、前記外部電極と前記インバータ回路の間に接続された複数のリードスイッチと、各リードスイッチの周囲に磁界を発生させ、各リードスイッチをON/OFF駆動する複数の磁界発生手段と、を有している。
【0007】
本発明の点灯装置によると、リードスイッチは静電容量が非常に小さく、OFF時においてインバータ回路から交流電圧を印加されても十分大きなリアクタンスを維持することができる。そのため、リードスイッチをOFFすることで、このリードスイッチが間に接続された外部電極とインバータ回路との接続を確実に遮断することができる。したがって、外部電極のうち少なくともいずれか2つの外部電極間にインバータ回路から交流電圧を印加することが可能になる。これにより、1つのインバータ回路を用いて、複数の放電管のうち選択された放電管、または、1つの放電管のさまざまな領域を適宜点灯させることができる。
【0008】
また、前記リードスイッチのOFF時の静電容量は、1pF以下であることが好ましい。これによると、一般的に外部電極放電ランプには、例えば20kHz〜100kHz程度の高周波高電圧が印加されるが、リードスイッチの静電容量が1pF以下であると、リードスイッチのリアクタンスは1.5MΩ以上となり、OFF時においてインバータ回路から高周波高電圧を印加されても、このリードスイッチが間に接続された外部電極とインバータ回路との接続を確実に遮断可能な十分大きなリアクタンスを維持することができる。
【0009】
さらに、前記複数の磁界発生手段を駆動制御する制御手段をさらに備えていることが好ましい。これによると、複数の磁界発生手段を一元的に駆動制御することができる。
【0010】
加えて、前記外部電極放電ランプは、両端部及び少なくとも1箇所の途中部における外周面上に前記3以上の外部電極が配置された前記第2放電管からなることが好ましい。これによると、1つのインバータ回路を用いて、1つの放電管の全域や部分領域などさまざまな領域を適宜点灯させることができる。
【0011】
また、前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記放電管の一方端部の前記外部電極と途中部の外部電極との間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加し、その後、一方端部の前記外部電極と他方端部の外部電極との間に高周波高電圧を印加することが好ましい。これによると、まず放電管の短い領域を点灯させてから全域を点灯させることができる。したがって、点灯開始時において、放電管の全域を一度に点灯させる場合に比べて、放電開始電圧を低くすることができ、インバータ回路の駆動能力としてもその最大出力電圧を低減してインバータ回路にかかる負荷を軽くすることができる。
【0012】
また、前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、選択された2つの外部電極間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加してもよい。これによると、選択された2つの外部電極間の放電管の領域を点灯させることができる。
【0013】
また、前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記放電管の一方端部の前記外部電極と、選択された前記外部電極との間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加してもよい。これによると、放電管の一方端部から選択された外部電極までの間の放電管の領域を点灯させることができる。
【0014】
このとき、前記3以上の外部電極のうち前記放電管の両端部の前記外部電極の幅が最も広く、残りの前記外部電極の幅は、前記放電管の一方端部の前記外部電極の幅に比べて、前記放電管の一方端部に近いほど狭くなっていることが好ましい。これによると、放電管の一方端部から点灯させる長さが変わったときの輝度の変化を抑制することができる。
【0015】
また、前記外部電極放電ランプは、両端部における外周面上に配置された2つの第1外部電極、及び、軸方向に沿って延在し、対向して配置された2つの第2外部電極を有する前記第2放電管からなり、前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記インバータ回路から前記2つの第2外部電極間に高周波高電圧を印加した後、前記2つの第1外部電極間に高周波高電圧を印加してもよい。これによると、まず対向する距離の短い2つの第2外部電極の間に低い電圧を印加して、放電管の中央部近傍を点灯させた後、放電管の両端部の2つの第1外部電極の間に交流電圧を印加して、放電管の全域を点灯させる。したがって、点灯開始時において、放電管の全域を一度に点灯させる場合に比べて、放電開始電圧を低くすることができ、インバータ回路の駆動能力としてもその最大出力電圧を低減してインバータ回路にかかる負荷を軽くすることができる。
【0016】
また、前記外部電極放電ランプは、両端部における外周面上に2つの外部電極がそれぞれ配置された前記2以上の第1放電管からなり、前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、選択された少なくとも1以上の前記第1放電管にそれぞれ配置された前記2つの外部電極間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加してもよい。これによると、選択された第1放電管だけを点灯させることができる。
【発明の効果】
【0017】
リードスイッチは一般的に静電容量が非常に小さく、OFF時においてインバータ回路から交流電圧を印加されても十分大きなリアクタンスを維持することができる。そのため、リードスイッチをOFFすることで、このリードスイッチが間に接続された外部電極とインバータ回路との接続を確実に遮断することができる。したがって、全ての外部電極のうち少なくともいずれか2つの外部電極間にインバータ回路から交流電圧を印加することが可能になる。これにより、1つのインバータ回路を用いて、複数の放電管のうち選択された放電管、または、1つの放電管のさまざまな領域を適宜点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る点灯装置の概略平面図及び複数のリードスイッチの駆動状態に対する放電管の点灯状態を示す表である。
【図2】使用例3における点灯装置の概略平面図である。
【図3】放電管の点灯状態に関するタイムチャート図である。
【図4】使用例4における点灯装置の概略平面図である。
【図5】使用例5における点灯装置の概略平面図である。
【図6】第2実施形態における点灯装置の概略平面図である。
【図7】リードスイッチとロータリーの位置関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、点灯装置1は、外部電極放電ランプ4と、高周波高電圧の交流電圧を発生するインバータ回路5と、インバータ回路5から4つの電極3a〜3dへの交流電圧の印加状態を切り替える切替回路6と、切替回路6を制御する制御回路7とを有している。
【0020】
外部電極放電ランプ4は、一方向に長尺な放電管2と、放電管2の両端部及びその途中部に配置された4つの電極3a〜3dとを有している。放電管2は、円筒状のガラス管であり、その両端が封止されることで内部が密閉空間となっている。密閉空間には、例えば、水銀(Hg)ガス及びアルゴン(Ar)とネオン(Ne)からなる不活性ガスが充填され、内壁には蛍光体層が塗付されている。
【0021】
4つの電極3a〜3dは、例えば、導電ペーストを固化させたものであり、放電管2の全周にわたって形成されている。4つの電極3a〜3dのうち2つの電極3a、3dは、放電管2の両端部の外周面に形成されている。残りの2つの電極3b、3cは、放電管2の筒軸方向に関する2つの電極3a、3dの間において間隔をあけて形成されている。そして、放電管2は、これらの4つの電極3a〜3dの配置に応じて、筒軸方向に沿ったいずれか2つの電極3に挟まれた3つの領域A、B、Cに区分されている。
【0022】
インバータ回路5は、AC100Vの商用電源が供給されることで、外部電極放電ランプ4の駆動電圧に適した高周波高電圧の交流電圧を発生する。なお、本実施形態においては、約70kHzで約1500V(実効値)の交流電圧を発生している。
【0023】
切替回路6は、4つの電極3a〜3dとインバータ回路5の間に配置された6つのリードスイッチSW1〜SW6と、6つのリードスイッチSW1〜SW6に近接配置された6つのソレノイドコイルC1〜C6と、6つのソレノイドコイルC1〜C6にそれぞれ電流を流すための6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6とを有している。
【0024】
6つのリードスイッチSW1〜SW6は、2本の強磁性体からなる細板のリード片がスイッチ接点として、微小な隙間をあけて対向しながら、ガラス管の中に封入された磁気反応型スイッチである。この6つのリードスイッチSW1〜SW6は、接点部がガラス封止されているため、優れた耐塵粉性、防爆性、耐食性を有し、金属疲労などによる劣化も極めて少なく、超寿命の素子である。そして、ソレノイドコイルや永久磁石によりその周囲に磁界が発生し、リード片にN極とS極が誘導されたときに、磁気吸引力により2つのリード片は接触し、導通(ON)する。また、磁界が除かれると、2本のリード片は弾性により離れ、OFFする。リードスイッチSWの構成及び動作は上述のようであり、2本の強磁性体からなるリード片は細板である必要から、OFF時の静電容量(対向接点容量)は3pFを超えることはない。
【0025】
なお、本実施形態において、磁気吸引力により2つのリード片は接触(ON)し、磁界が除かれると2本のリード片は弾性により離間(OFF)する、いわゆるノーマルOFFタイプのリードスイッチを使用したが、使用状況により、磁気吸引力により2つのリード片が離間(OFF)し、磁界が除かれると2本のリード片は弾性により接触(ON)するノーマルONタイプのものであってもよい。
【0026】
本実施形態で使用した6つのリードスイッチSW1〜SW6は、OFF時のリード対向接点容量Cが約1pF以下である。つまり、本実施形態において、インバータ回路5から印加される高周波高電圧と同様の70kHzレベルの高周波が印加されたとしても、以下の式から2MΩ以上の大きなリアクタンスXを有していることがわかる。このようなリードスイッチSWを用いることで、接続された2つの配線間の導通を確実に遮断することができる。
【0027】
【数1】

【0028】
リードスイッチSW1は、インバータ回路5の一方の出力端子5aと電極3aの間に接続されている。リードスイッチSW2は、インバータ回路5の他方の出力端子5bと電極3dの間に接続されている。リードスイッチSW3は、インバータ回路5の他方の出力端子5bと電極3bの間に接続されている。リードスイッチSW4は、インバータ回路5の一方の出力端子5aと電極3cの間に接続されている。リードスイッチSW5は、インバータ回路5の一方の出力端子5aと電極3bの間に接続されている。リードスイッチSW6は、インバータ回路5の他方の出力端子5bと電極3cの間に接続されている。
【0029】
6つのソレノイドコイルC1〜C6は、6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6のコレクタにそれぞれ接続されている。そして、制御回路7の図示しない発光素子から光が発光され、6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6のうちいずれかのフォトトランジスタTr、例えばフォトトランジスタTr1が発光素子から発光された光を受光し(ONする)、フォトトランジスタTr1のコレクタに接続されたソレノイドコイルC1に電流が流れることとなり、ソレノイドコイルC1は磁界を発生し、ソレノイドコイルC1に近接するリードスイッチSW1はONする。また、残りの5つのフォトトランジスタTr2〜Tr6は光を受光していない(OFFしている)ため、電流が流れることがなく、5つのソレノイドコイルC2〜C6は磁界を発生しておらず、5つのリードスイッチSW2〜SW6はOFFのままである。
【0030】
制御回路7が、2つのフォトトランジスタTr1、Tr2をONし、残りの4つのフォトトランジスタTr3〜Tr6をOFFすると、コイルC1、C2にそれぞれ電流が流れ、磁界が発生するため、2つのリードスイッチSW1、SW2がONし、残りの4つのリードスイッチSW3〜SW6はOFFのままである。すると、インバータ回路5の一方の出力端子5aはリードスイッチSW1を介して電極3aと導通し、他方の出力端子5bはリードスイッチSW2を介して電極3dと導通する。そして、これら2つの電極3a、3d間にインバータ回路5で発生した高周波高電圧が印加され、これら2つの電極3a、3d間の放電管2内で放電が発生して放電ガスが発光し、2つの電極3a、3dの間の放電管2全域が点灯する。
【0031】
また、制御回路7が、2つのフォトトランジスタTr1、Tr3をONし、残りの4つのフォトトランジスタTr2、Tr4〜Tr6をOFFすると、ソレノイドコイルC1、C3にそれぞれ電流が流れ、磁界が発生するため、2つのリードスイッチSW1、SW3がONし、残りの4つのリードスイッチSW2、SW4〜SW6はOFFのままである。すると、インバータ回路5の一方の出力端子5aはリードスイッチSW1を介して電極3aと導通し、他方の出力端子5bはリードスイッチSW3を介して電極3bと導通する。そして、これら2つの電極3a、3b間にインバータ回路5で発生した高周波高電圧が印加され、これら2つの電極3a、3b間の放電管2内で放電が発生して放電ガスが発光し、2つの電極3a、3b間の放電管2の領域Aが点灯する。
【0032】
なお、図1の表に示すように、制御回路7により6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6を一元的に駆動制御して、6つのリードスイッチSW1〜SW6のうちいずれか2つのリードスイッチSWをONすることで、これら2つのリードスイッチSWによりインバータ回路5の2つの出力端子5a、5bと導通した2つの電極3間の放電管2の領域が点灯し、放電管2の3つの領域A、B、Cのいずれかを点灯させたり、全領域を点灯させたり、隣接する2つの領域にまたがって点灯させたりすることができる。
【0033】
このように、高周波高電圧が印加されてもOFF時に大きなインピーダンスを有し、導通することのない静電容量の非常に小さなリードスイッチを用いることで、4つの電極3a〜3dのうち選択された2つの電極3間だけにインバータ回路5から高周波高電圧を印加することが可能になり、この2つの電極3間における放電管2の一部領域だけを点灯させることができるなど、1つのインバータ回路5を用いて、放電管2のさまざまな領域を適宜点灯させることができる。なお、本実施形態における6つのソレノイドコイルC1〜C6及び6つのフォトトランジスタTr1〜Tr6が本発明における磁界発生手段に相当する。
【0034】
そして、このような放電管2のさまざまな領域を適宜点灯させることが可能な点灯装置1は以下のようなさまざまな使用例が考えられる。
【0035】
(使用例1)放電管2の3つの領域A、B、Cの外周面にそれぞれ異なる色を塗布する、または異なる色の透過フィルムで覆い、例えば、領域Aを赤、領域Bを緑、領域Cを青にする。これにより、領域Aを赤色点灯させたり、領域Bを緑色点灯させたり、適宜選択された色の放電管2の領域を点灯させることができる。これは、一例として、イルミネーションとして使用することができる。
【0036】
(使用例2)まず、放電管2の領域Aを点灯させた後、領域Aを消灯するとともに領域Bを点灯させ、次に領域Bを消灯するとともに領域Cを点灯させるという動作を繰り返すことで、領域Aから領域Cに向かう方向への行き先を表示するアプローチ灯や光指示器として使用することができる。
【0037】
(使用例3)放電管2の領域Aだけを点灯させたり、2つの領域A、Bを点灯させたり、全領域(3つの領域A、B、C)を点灯させたりするなど、放電管2の一方端部からの点灯長さを変えることができる。
【0038】
このとき、放電管2の一方端部の電極3は、常にインバータ回路5の一方の出力端子5aに接続させたままで、他方の出力端子5bに接続される電極3を可変させるだけなので、図2に示すような切替回路6を簡素化した構成が考えられる。図2に示すように、外部電極放電ランプ4の構成は同じで、インバータ回路5の一方の出力端子5aは、放電管2の一方端部の電極3aに直接接続し、他方の出力端子5bは、3つのリードスイッチSW11〜SW13を介して3つの電極3b〜3dに接続する。そして、リードスイッチSWのON/OFF駆動としては、制御回路7によりフォトトランジスタTrからコイルCに電流を流して磁界を発生させる構成の他に、各リードスイッチSWの近傍に、永久磁石Mgが配置されていてもよい。
【0039】
そして、永久磁石Mgが制御回路7により制御される図示しないシリンダなどにより、リードスイッチSWに接近することで、リードスイッチSWはONし、永久磁石Mgが離反することで、リードスイッチSWがOFFする。このとき、例えば、図3に示すように、周期TごとにリードスイッチSWをON/OFF駆動して、インバータ回路5の他方の出力端子5bと導通する電極3を切り替えることで、放電管2の領域Dだけを点灯させた後、2つの領域Eを点灯させ、全領域Fを点灯させて、全領域を消灯するという動作を周期Tごとに繰り返すことも可能である。これにより、リードスイッチSWの数を少なくして、切替回路6の構成を簡素化し、コストを低減するとともに、制御を簡単にすることができる。
【0040】
ここで、上述したように、外部電極放電ランプ4を等価回路として見ると、外部電極放電ランプ4のインピーダンスZは、放電管2内の放電時の抵抗をR、電極3部分の電気容量をCとしたときに、数式2となる。
【0041】
【数2】

【0042】
すると、抵抗Rは、放電している放電管2の領域の長さが短くなるほど小さくなり、電気容量Cは、電極3の幅が短くなるほど小さくなる。また、放電管2の点灯時の輝度は、このインピーダンスZの放電管2に流れる電流が大きくなるほど明るくなる。つまり、仮に、放電管2の4つの電極3a〜3dの幅が全て同じであると、放電管2の全域を点灯させたときのインピーダンスZは、放電管2の一部領域を点灯させたときのインピーダンスZよりも大きくなるため、放電管2の点灯している領域が短いほど輝度が明るくなってしまう。
【0043】
そこで、放電管2の両端部の2つの電極3a、3dは同じ幅とし、残りの2つの電極3b、3cは電極3aに近いほど幅を狭くする。これにより、放電管2の点灯させる長さが短くなって、抵抗Rが小さくなっても、電極3の幅が狭くなり、電気容量C2が小さくなるため、インピーダンスZは変わらない。したがって、放電管2の流れる電流は一定となり、放電管2の長さによらず輝度を一定にすることができる。
【0044】
(使用例4)放電管の筒軸方向の途中部に配置された電極を補助電極として、全領域の点灯開始時に使用する。なお、ここでは簡単のため、図4に示すように、放電管2の両端部に2つの電極23a、23bが配置されており、放電管の筒軸方向の途中部に電極23cが配置されているものを例に挙げて説明する。
【0045】
仮に、電極23cが配置されておらず、放電管2の両端部の2つの電極23a、23b間に高周波高電圧を印加して放電管2を点灯させようとすると、点灯開始時には通常点灯時に比べて高い電圧を印加する必要があり、インバータ回路5に大きな負荷がかかってしまう。そこで、まず、放電管2の一方端部の電極23aと途中部の電極23cとの間に高周波電圧を印加して放電管2の途中までの領域Gだけ点灯させた後、放電管2の両端部の2つの電極23a、23b間に高周波電圧を印加することで、放電管2の全領域Hを点灯させる。これにより、点灯開始時において、放電管2の全域を一度に点灯させる場合に比べて、放電開始電圧を低くすることができ、インバータ回路5の駆動能力としてもその最大出力電圧を低減してインバータ回路にかかる負荷を軽くすることができる。
【0046】
なお、放電管がさらに長い場合、放電管の筒方向の途中に2以上の補助電極すなわち複数の途中部の外部電極23cを設け、前記放電管の一方端部の前記外部電極23aと、この外部電極23aに近い外部電極23cから順にインバータ回路5から高周波高電圧を印加するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した使用例4では、放電管の筒軸方向の途中部に配置された電極を補助電極として、全領域の点灯開始時に使用して、点灯開始時において、インバータ回路5から印加する電圧を低くしていたが、以下の使用例5のような構成により同じ効果を得ることができる。
【0048】
(使用例5)図5に示すように、放電管44は、両端部の外周面に形成された2つの電極43a、43bが配置されており、中央部近傍の外周面に筒軸方向に沿って延在し、対向する2つの電極43c、43dが配置されている。そして、まず、リードスイッチを切り替えて、放電管44の2つの電極43c、43dの間に高周波高電圧を印加する。すると、2つの電極43c、43dの間の距離は非常に狭いため、低い電圧を印加するだけで、放電管44の中央部近傍を点灯させることができる。そして、放電管44の両端部の2つの電極43a、43bの間に高周波電圧を印加することで、放電管44の全領域を点灯させる。これにより、点灯開始時において、放電管44の全域を一度に点灯させる場合に比べて、インバータ回路5から印加する電圧を低くすることができるとともに、インバータ回路5にかかる負荷を低減することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して説明する。第1実施形態においては、1つの放電管2に3以上の電極3が配置されており、リードスイッチSWによりインバータ回路5から高周波高電圧が印加される2つの電極3を切り替えて、1つの放電管2の点灯箇所を切り替えていたが、本実施形態においては、リードスイッチを用いて、複数の放電管の点灯状態を切り替えるものである。
【0050】
図6に示すように、点灯装置50は、両端部に2つの電極53a、53bがそれぞれ配置され、並設された5つの放電管54a〜54eと、複数の電極53とインバータ回路5との接続状態をそれぞれ切り替える複数のリードスイッチSW51〜SW60とを有している。なお、リードスイッチSWは、第1実施形態で記載したような構成でON/OFF駆動する。また、インバータ回路5は、本実施形態において、最大90mAの電流を流すことが可能であり、1つの放電管54に流れる電流は14mAであるため、最大5つの放電管54を並列接続することが可能である。
【0051】
そして、2つのリードスイッチSW51、52をONして、残りのリードスイッチSW53〜SW60をOFFすると、放電管54aだけを点灯させることができる。また、4つのリードスイッチSW51〜SW54をONして、残りのリードスイッチSW55〜SW60をOFFすると、2つの放電管54a、54bを点灯させることができる。
【0052】
このように、リードスイッチSWを駆動して、点灯させたい放電管54の両端部の電極53をインバータ回路5と導通させ、他の放電管54の両端部の電極53については、インバータ回路5との接続状態を遮断することで、1つのインバータ回路5を用いて、点灯させたい放電管54だけを点灯させることができる。また、点灯させる放電管54の数が可変しても、各放電管54に印加される電圧は同じであるので、流れる電流は各放電管54において同じであり、点灯している全ての放電管54について輝度を同じにすることができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、5つの放電管54a〜54eの一方端部の電極53aとインバータ回路5との間にリードスイッチSWを設けていたが、このリードスイッチSWは設けなくてもよい。つまり、インバータ回路5の一方は直接電極53aに接続されていてもよい。ただし、この場合、インバータ回路5が両側の端子に対して逆位相の高電圧を印加しているのであれば、5つの放電管54a〜54eの他方端部の電極53bに接続されたリードスイッチSWを駆動して、電圧の印加状態を切り替えたときに、電極53aには電圧が若干残ったままとなり、消灯したはずの放電管54の電極53a近傍はぼんやり点灯した状態が続く。そこで、インバータ回路5の一方が直接電極53aに接続されている場合には、この接続している配線をGNDに接続する必要がある。これにより、リードスイッチSWをOFFにして消灯しようとしたタイミングで対応する放電管54を消灯させることができる。
【0054】
以上の実施形態において、約70kHzの交流電圧を印加する場合で、OFF時の静電容量が約1pF以下のリードスイッチSWを接続し、2MΩ以上の遮断能力を得るものについて説明したが、一般に、外部電極放電ランプ4に印加される交流電圧は、20kHz〜100kHzの範囲で適宜選択される。リードスイッチSWの静電容量が3pF以下の場合、周波数20kHz〜100kHzの範囲でリアクタンスXとして最低でも0.5MΩ以上が確保可能であり、十分実用に供し得る。もちろん、交流電圧の周波数が低ければ、同じOFF時の静電容量のリードスイッチSWで、より高リアクタンスXが達成できるのは言うまでもない。また特に、OFF時の静電容量が1pF以下では最大周波数100kHzにおいてもリアクタンスXは約1.5MkΩ以上に高くなり好ましい。なお、さらにリードスイッチSWの遮断能力が要求される場合は、リードスイッチSWを複数並列接続して合成リアクタンスXを高めるようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、本実施形態においては、ソレノイドコイルCに電流を流すか否かで磁界を発生させて、リードスイッチSWを駆動したり、リードスイッチSWの近接する永久磁石Mgを接近または離反させてリードスイッチSWを駆動したりしていたが、図7に示すように、環状のロータリー60の一部領域(図7のハッチング領域)が着磁しており、その上面において周方向に沿って所定間隔でリードスイッチSWが配置されていてもよい。ロータリー60が回転して、着磁した領域とリードスイッチSWが対向すると、リードスイッチSWの周りに磁界が発生することになり、リードスイッチSWはONする。このロータリー60の着磁した位置を適宜調整することで、複数のリードスイッチSWのうち選択された2つのリードスイッチSWのみを着磁した領域と対向させ、ONすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 点灯装置
2 放電管
3a〜3d 電極
4 外部電極放電ランプ
5 インバータ回路
6 切替回路
7 制御回路
C1〜C6 ソレノイドコイル
SW1〜SW6 リードスイッチ
Tr1〜Tr6 フォトトランジスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に放電ガスが封入され、外周面上に2つの外部電極がそれぞれ配置された2以上の第1放電管、または、内部に放電ガスが封入され、外周面上に3以上の外部電極が配置された第2放電管のいずれかの放電管からなる外部電極放電ランプと、
前記外部電極放電ランプの前記外部電極に接続され、交流電圧である前記外部電極放電ランプの駆動電圧を発生するインバータ回路と、
前記外部電極のうち少なくともいずれか2つの外部電極間に前記インバータ回路から交流電圧を印加する切替回路と、を備えており、
前記切替回路は、
前記外部電極と前記インバータ回路の間に接続された複数のリードスイッチと、
各リードスイッチの周囲に磁界を発生させ、各リードスイッチをON/OFF駆動する複数の磁界発生手段と、を有していることを特徴とする点灯装置。
【請求項2】
前記リードスイッチのOFF時の静電容量は、1pF以下であることを特徴とする請求項1に記載の点灯装置。
【請求項3】
前記複数の磁界発生手段を駆動制御する制御手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の点灯装置。
【請求項4】
前記外部電極放電ランプは、両端部及び少なくとも1箇所の途中部における外周面上に前記3以上の外部電極が配置された前記第2放電管からなることを特徴とする請求項3に記載の点灯装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記放電管の一方端部の前記外部電極と途中部の外部電極との間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加し、その後、一方端部の前記外部電極と他方端部の外部電極との間に高周波高電圧を印加することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、選択された2つの外部電極間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記放電管の一方端部の前記外部電極と、選択された前記外部電極との間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加することを特徴とする請求項4に記載の点灯装置。
【請求項8】
前記3以上の外部電極のうち前記放電管の両端部の前記外部電極の幅が最も広く、残りの前記外部電極の幅は、前記放電管の一方端部の前記外部電極の幅に比べて、前記放電管の一方端部に近いほど狭くなっていることを特徴とする請求項7に記載の点灯装置。
【請求項9】
前記外部電極放電ランプは、両端部における外周面上に配置された2つの第1外部電極、及び、軸方向に沿って延在し、対向して配置された2つの第2外部電極を有する前記第2放電管からなり、
前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、前記インバータ回路から前記2つの第2外部電極間に高周波高電圧を印加した後、前記2つの第1外部電極間に高周波高電圧を印加することを特徴とする請求項3に記載の点灯装置。
【請求項10】
前記外部電極放電ランプは、両端部における外周面上に2つの外部電極がそれぞれ配置された前記2以上の第1放電管からなり、
前記制御手段は、前記磁界発生手段を制御して、選択された少なくとも1以上の前記第1放電管にそれぞれ配置された前記2つの外部電極間に前記インバータ回路から高周波高電圧を印加することを特徴とする請求項3に記載の点灯装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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