説明

無人ヘリコプターの薬液散布装置

【課題】装置内の配管を簡素化し、当該配管の清掃を容易に行うことのできる無人ヘリコプターの薬液散布装置を提供する。
【解決手段】機体の左右に配設される薬液タンク52L・52Rと、左右一対のポンプ53L・53Rと、噴霧装置(アトマイザー噴霧装置55L・55R、センターノズル55C)と、これらを接続するする配管とを備えて、前記左右一対のポンプ53L・53Rの駆動によって薬液を空中に散布する無人ヘリコプター1の薬液散布装置5において、前記左右一対の薬液タンク52L・52Rに左右の供給配管57L・57Rの一端を接続し、該左右の供給配管57L・57Rの他端を一つの合流配管58の一端と接続し、該合流配管58の他端を左右一対のポンプ53L・53Rと接続する吸水側配管59・59と接続し、前記合流配管58にラインフィルター70を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人ヘリコプターに搭載される薬液散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人ヘリコプターを利用して、薬液の空中散布を行うための薬液散布装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1においては、左右一対の薬液タンクと、これら薬液タンク同士を接続して連通する連通パイプに第1のストレーナを介して接続された第1のポンプと、前記連通パイプに第2のストレーナを介して接続された第2のポンプと、を有する無人ヘリコプターの薬液散布装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−269493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の無人ヘリコプターの薬液散布装置や図6に示す従来の無人ヘリコプターの薬液散布装置100においては、左右一対の薬液タンク111・112から延設される配管113・114が、各薬液タンク毎に設けられるストレーナ115・116を介して第1ポンプ117および第2ポンプ118(一対のポンプ)に接続されているため、左右一対の薬液タンク111・112と、一対のポンプ117・118との間の配管が長くなる。そのため、左右一対の薬液タンク111・112と、一対のポンプ117・118との間の配管が複雑になるとともに、当該配管の清掃が困難であるという問題があった。
【0005】
また、左右一対の薬液タンク111・112と、一対のポンプ117・118との間の配管が長くなるため、湾曲部の当該配管内に空気溜まりが生じ易くなる。そのため、図6に示すように、従来の無人ヘリコプターの薬液散布装置100においては、一対のポンプ117・118の吸水性を向上するために、一対のポンプ117・118の下流側に、配管内の空気を抜くためのエアー抜きコック119を設ける必要があり、装置内の配管が複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、装置内の配管を簡素化し、当該配管の清掃を容易に行うことのできる無人ヘリコプターの薬液散布装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上であり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、第1の発明は、機体の左右に配設される薬液タンクと、左右一対のポンプと、噴霧装置と、これらを接続するする配管とを備えて、前記左右一対のポンプの駆動によって薬液を空中に散布する無人ヘリコプターの薬液散布装置において、前記左右一対の薬液タンクに左右の供給配管の一端を接続し、該左右の供給配管の他端を一つの合流配管の一端と接続し、該合流配管の他端を左右一対のポンプと接続する吸水側配管と接続し、前記合流配管にフィルターを設けたものである。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記フィルターは、合流配管に対して着脱可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
第1の発明においては、左右の薬液タンクに接続される左右の供給配管を一つの合流配管に接続して、該合流配管から左右のポンプに接続するため、薬液タンクとポンプとの間を簡素化することができる。従って、配管内に空気溜まりが生じ難くなり、ポンプへの吸水性が向上し、また、エアー抜きのためのコックを設ける必要もなくなる。
さらに、前記エアー抜きコックが不要となることで、前記ポンプへの自動吸水が可能になる。
また、フィルターが一つで済むため部品点数を削減できて、コスト低減化も図れる。
【0012】
第2の発明においては、フィルターが着脱可能に構成されるため、フィルターの清掃および交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の無人ヘリコプターの薬液散布装置を搭載した無人ヘリコプターの全体的な構成を示す側面図。
【図2】本発明の無人ヘリコプターの薬液散布装置を搭載した無人ヘリコプターの全体的な構成を示す平面図。
【図3】(a)アトマイザー噴霧装置の正面断面図。(b)分散ガイド近傍の拡大正面断面図。
【図4】(a)図3(a)におけるX−X断面図。(b)図3(a)における分散ガイド近傍の拡大断面図。
【図5】本発明の無人ヘリコプターの薬液散布装置の配管系統図。
【図6】従来の無人ヘリコプターの薬液散布装置の配管系統図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係る薬液散布装置5を搭載した無人ヘリコプター1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、図1に示す矢印Aの方向を無人ヘリコプター1の前方として定義する。
【0015】
図1および図2に示すように、無人ヘリコプター1は、メインロータ3・3やテールロータ4・4やエンジンの本体と、薬液散布装置5と、から主に構成される。
【0016】
メインロータ3・3は、機体の上部に設けられて、機体に搭載された図示せぬエンジンにより回転駆動可能とされる。メインロータ3・3は、その回転駆動により機体に与えられる揚力を変化させて機体を空中に浮揚させ、機体を上昇または下降させる。メインロータ3・3は、その回転速度、およびメインロータ3・3の翼面とメインロータ3・3の回転軸3aとが成す傾きを変更することができる。メインロータ3・3は、回転軸3aを機体の前後方向または左右方向に傾けることにより、機体に前後方向または左右方向に移動するための力を付与する。
【0017】
テールロータ4・4は、機体の後部に設けられて、前記エンジンにより回転駆動可能とされる。テールロータ4・4は、メインロータ3・3の回転により機体に作用する反動トルク(機体をメインロータ3・3が回転する方向の逆方向に回転させようとする力)を打ち消す力の大きさを変化させて、機体を右旋回または左旋回させる、あるいは機首の方向を略一定の方向に保持させる。テールロータ4・4は、その回転速度、およびテールロータ4・4の翼面とテールロータ4・4の回転軸とが成す傾きを変更することができる。
【0018】
薬液散布装置5は、機体の左右両側部および下部に設けられている。薬液散布装置5は、飛行中の無人ヘリコプター1から圃場等に向けて液体状の薬液を空中に散布するための装置である。
【0019】
以下、薬液散布装置5の構成について説明する。
【0020】
図1、図2および図5に示すように、薬液散布装置5は、フレーム51と、左右一対の薬液タンク52L・52Rと、左右一対のポンプ53L・53Rと、左右一対のブーム54L・54Rと、噴霧装置55と、左右一対のオリフィス66L・66Rと、三方コック64と、から主に構成される。
【0021】
フレーム51は、薬液散布装置5を構成する他の部品を機体に固定する部材である。フレーム51は、機体の下部から機体の左側部および右側部にかけて配置され、機体に着脱可能に取り付けられる。
【0022】
左右一対の薬液タンク52L・52Rは、薬液を貯溜する容器である。左右一対の薬液タンク52L・52Rは、それぞれ機体の左側部と右側部に近接して配置され、機体にフレーム51を介して着脱可能に取り付けられる。
【0023】
左右一対のポンプ53L・53Rは、それぞれ左右一対の薬液タンク52L・52Rに貯溜されている薬液を圧送するものである。ポンプ53L・53Rは、ギヤポンプで構成され、図示せぬモータと接続され、当該モータにより駆動される。但し、ポンプ53L・53Rはギヤポンプに限定するものではなく、ベーンポンプやプランジャポンプ等で構成することも可能である。
【0024】
左右一対のブーム54L・54Rは、それぞれ機体下部のフレーム51から左右方向に略機体水平に延出されて、機体外側に張り出すように設けられる。左右一対のブーム54L・54Rは、薬液散布装置5による薬液の空中散布時には、機体左右外側に張り出した姿勢とされ、薬液の非散布時で無人ヘリコプター1が搬送される時には、機体上方向に回動して機体側面に沿った状態の収納姿勢とされる。
左右一対のブーム54L・54Rは、その長手方向中途部に回動角度調節部50L・50Rを備える。回動角度調節部50L・50Rを調節することにより、ブーム54L・54Rの先端部(機体外側端部)を、水平状態のブーム54L・54Rの基部(機体内側端部)に対して上下方向に回動することができる。
【0025】
噴霧装置55は、左右一対の薬液タンク52L・52Rから供給される薬液を噴霧する装置である。噴霧装置55は、左右一対のアトマイザー噴霧装置55L・55Rと、センターノズル55Cと、から主に構成される。
【0026】
左右一対のアトマイザー噴霧装置55L・55Rは、アトマイザー式の薬液噴霧装置であり、それぞれが左右一対のブーム54L・54Rの先端部(機体外側端部)に下方向に向けて取り付けられる。
センターノズル55Cは、ノズル式の薬液噴霧装置であり、フレーム51の中央部に下方向に向けて取り付けられる。
【0027】
図2に示すように、前記アトマイザー噴霧装置55L・55Rは、ブーム54L・54Rの外側端に配設される。アトマイザー噴霧装置55L・55Rは、左右同じ構成であるため、左側のアトマイザー噴霧装置55Lについて説明する。
【0028】
図3に示すように、前記アトマイザー噴霧装置55Lは、取付ステー71と、モータ72と、ディスク78と、カバー80と、重層円盤81と、薬液供給ノズル82と、から主に構成される。
【0029】
前記取付ステー71は、前記ブーム54Lの外側端に固設され、アトマイザー噴霧装置55Lを取り付けるための部材である。取付ステー71は、断面視略L字状に折り曲げ形成され、垂直部分がブーム54Lの先端に固設され、水平部分の上面にモータ72が固設され、水平部分の下面に散布部が取り付けられる。
【0030】
前記モータ72は、ディスク78を回転駆動するためのものである。モータ72の出力軸74は、取付ステー71の水平部分に開口された貫通孔を貫通して下方に突出される。該出力軸74には、同心延長上に駆動軸75が固設される。モータ72は、取付ステー71に固設されたカバー73により保護されている。
【0031】
前記駆動軸75の下端には、ディスク78の中心部がボルト79により固定される。また、該駆動軸75は、カバー80にベアリング76・76を介して回転自在に支持される。駆動軸75の中途部には、傘付カラー77が固設される。
【0032】
該傘付カラー77は、カバー80下方に薬液が吐出されて噴霧されるときに、薬液が上方へ舞い上がることにより、ベアリング76側へ浸入することを防止する。前記駆動軸75のディスク78における挿嵌部はスプライン状に構成されており、前記ディスク78と相対回動不可に構成される。
【0033】
ディスク78は前記モータ72により回転駆動され、ディスク78の上面に流下された薬液を、回転による遠心力により外周方向へ流して放出し散布する。該ディスク78の外周側の上面には、重層されたリング状の重層円盤81がビスにより固設される。
【0034】
また、前記重層円盤81の上方には、傘型に構成したカバー80が取付ステー71側に固設される。該カバー80には、薬液供給ノズル82が外側から貫通して挿入固定される。薬液供給ノズル82は、その軸心、つまり薬液供給ノズル82の吐出方向が前記駆動軸75を向くように配設される。そして、カバー80の内部であって、薬液供給ノズル82先端と駆動軸75との間には、分散ガイド83が配置される。
【0035】
分散ガイド83は、薬液供給ノズル82から吐出される薬液を左右に分散させるものである。図3に示すように、分散ガイド83は、カバー80の内面から下方に延設されている。本実施形態では、下方よりビスで着脱可能に固定されている。
図4に示すように、分散ガイド83は、平面断面視略三角形状の棒材で構成される。詳しくは、図4(b)に示すように、分散ガイド83は、断面視略二等辺三角形状に構成されて、一の頂点83aから両側の頂点83b・83bにいたる辺は中心側に凹む湾曲状に形成される。そして、一の頂点83aと中心83cは、薬液供給ノズル82の中心線と駆動軸75の軸心とを結ぶ線上に配置されている。
【0036】
このように分散ガイド83を構成することにより、図4(b)に示すように、薬液供給ノズル82から吐出される薬液は、分散ガイド83の一の頂点83aに当たって左右に分割され、一の頂点83aから両側の頂点83b・83bにいたる辺に沿って分散ガイド83の両側に導かれて駆動軸75の両側のディスク78上面へ飛散される。従って、従来、薬液供給ノズル82から吐出される薬液が駆動軸75に当たって分散された場合に比べて、当該薬液の広がりが大きくなり、当該薬液の分散度合いを大きくすることができる。つまり、当該薬液がディスク78の全周に広がり、重層円盤81の作用も加わって、バラツキの少ない薬液の粒子の霧を発生させることができるため、薬液を均一に広げて散布することができる。
【0037】
前記薬液供給ノズル82の他端は、オリフィス66Lを介して左右供給配管61に接続され、ポンプ53Lと接続される。つまり、ポンプ53Lからの圧送された薬液が左右供給配管61、オリフィス66Lを介して薬液供給ノズル82に供給される。前記オリフィス66L・66Rを設けることにより、アトマイザー噴霧装置55L・55Rへの薬液の供給量が調節可能となる。そして、オリフィス66L・66Rの通過孔を異なるものと交換することにより薬液の噴霧量が調節可能となる。
【0038】
図3に示すように、前記傘型のカバー80の下方周囲には、該カバー80に覆われるように重層円盤81が設けられている。該重層円盤81の重ねられた円盤の間には、薬液が拡散できるように隙間が設けられる。このため、該アトマイザー噴霧装置55L・55Rに供給された薬液は、前記薬液供給ノズル82より吐出されて分散ガイド83に当って二方向に分割され、ディスク78の外周側へ飛散し、重層円盤81に至る。そして、該ディスク78がモータ72の動力によって回転駆動されることにより、該ディスク78の円周部に設けられた重層円盤81の円盤間の隙間に導入され、薬液が更に微粒化されて、該隙間から外側へ遠心力により放出される。上記の構成により、薬液供給ノズル82より吐出された薬液は滴径が小さくなるため、該アトマイザー噴霧装置55L・55Rより放出される薬液の作物への付着性能が向上する。
【0039】
図5に示すように、三方コック64は、一つの入口64aと、二つの出口64b・64cと、図示しない弁体とを有する。三方コック64は、前記弁体を回動して切り換えることにより、二つの出口64b・64cのうちいずれか一方から薬液を吐出できるように構成される。前記弁体は、モータ65の出力軸と接続され、当該モータ65の駆動により回動されて薬液の吐出方向を切り換える。本実施形態の三方コック64は、入口64aを薬液タンク52L・52Rと接続し、一つの出口64bを左右一対のアトマイザー噴霧装置55L・55Rと接続し、他の出口64cをセンターノズル55Cと接続して、アトマイザー噴霧装置55L・55Rからの薬液の吐出と、センターノズル55Cからの薬液の吐出を選択できるようにしている。
【0040】
次に、薬液散布装置5の配管構成について説明する。
【0041】
図5に示すように、薬液散布装置5における配管は、左右一対の供給配管57L・57Rと、合流配管58と、吸水側配管59と、吐出側配管60L・60Rと、左右供給配管61と、中央供給配管62と、から主に構成される。
【0042】
供給配管57Lの一端は、薬液タンク52Lの底部に接続される。供給配管57Rの一端は、薬液タンク52Rの底部に接続される。供給配管57L・57Rの他端は合流させて、合流配管58の一端と接続される。
【0043】
また、合流配管58の適宜箇所(例えば中途部)には、ラインフィルター70が設けられる。
ラインフィルター70は、薬液中に混入したゴミや粒状物をろ過して配管の詰まりを防止するものであり、前記左右一対の供給配管57L・57Rから供給されて一箇所に合流された薬液が合流配管58を通過する時に、薬液中に混入したゴミや粒状物をろ過する。このように、左右一対の薬液タンク52L・52R(2つの薬液タンク)に対して、1つのラインフィルター70によって薬液のろ過処理を行うことで、フィルターの数が減少するとともに配管の長さが短くなるため、部品点数およびコストの削減、配管の構成および組立作業を簡素化することができるとともに、フィルターおよび配管の清掃やメンテナンスの手間が削減できる。
【0044】
また、ラインフィルター70は、合流配管58の中途部において、着脱可能に設けられる。つまり、ラインフィルター70の入口側70aおよび出口側70bの両側にはカプラ等を設けて合流配管58から容易に着脱できるようにし、ラインフィルター70の清掃やエレメントの交換が容易にできるようにしている。更に、薬液タンク52L・52Rと、ポンプ53L・53Rとの間の配管を短くできることから、空気溜まりが生じる箇所を減少でき、エアー噛みも防止できてポンプ53L・53Rの吸水性が向上する。延いては、吸水のためのエアー抜きコックを設ける必要がない。
【0045】
吸水側配管59・59は、合流配管58の他端から分岐して左右一対のポンプ53L・53Rと接続する配管である。すなわち、吸水側配管59・59の一端は、合流配管58の他端と接続され、吸水側配管59・59の他端は、左側のポンプ53Lの吸水口と右側のポンプ53Rの吸水口とにそれぞれ接続される。
【0046】
吐出側配管60L・60Rは、左右一対のポンプ53L・53Rの吐出口と吐出側合流配管67の一端と接続される配管である。吐出側配管60L・60Rの一端はポンプ53L・53Rの吐出口にそれぞれ接続される。また、吐出側配管60L・60Rの他端は一箇所に合流されて吐出側合流配管67の一端と接続される。
【0047】
吐出側合流配管67は、吐出側配管60L・60Rの合流部と三方コック64の一端(入口64a)と接続される。吐出側合流配管67の適宜箇所には、ドレン・滴下装置63が設けられている。ドレン・滴下装置63は、漏れた薬液の水分を蒸発させるものである。
【0048】
左右供給配管61は、三方コック64の出口64bとアトマイザー噴霧装置55L・55Rとを接続する配管である。左右供給配管61の一端は、三方コック64の出口64bに接続され、左右供給配管61の他端は途中で左右二方向に分岐され、一方は左側のオリフィス66Lを介して左側のアトマイザー噴霧装置55Lに接続され、他方は右側のオリフィス66Rを介して右側のアトマイザー噴霧装置55Rにそれぞれ接続される。
前記左右のオリフィス66L・66Rは、アトマイザー噴霧装置55L・55Rへの吐出圧を制限するためのものである。
【0049】
中央供給配管62は、三方コック64の出口64cとセンターノズル55Cとを接続する配管である。中央供給配管62の一端は三方コック64の出口64cに接続され、他端は、センターノズル55Cに接続される。
【0050】
このような構成において、薬液の散布作業を行う場合、まず、アトマイザー噴霧装置55L・55Rによる薬液の散布か、センターノズル55Cによる薬液の散布かを選択する。アトマイザー噴霧装置55L・55Rによる薬液の散布を無線機等の選択手段により選択した場合には、モータ65が駆動されて三方コック64が切り換えられて、入口64aと出口64bが連通される。
この状態で無人ヘリコプター1を飛行させて所望散布位置でポンプ53L・53Rを作動させることにより、アトマイザー噴霧装置55L・55Rによる薬液の散布作業を行うことができる。このとき、薬液は、ポンプ53L・53Rの駆動により、薬液タンク52L・52Rから供給配管57L・57R、合流配管58、ラインフィルター70、吸水側配管59を介してポンプ53L・53Rに吸入される。そして、薬液は、ポンプ53L・53Rの吐出口から、吐出側配管60L・60R、吐出側合流配管67、三方コック64、左右供給配管61、オリフィス66L・66Rを介してアトマイザー噴霧装置55L・55Rに送られて、アトマイザー噴霧装置55L・55Rから散布される。
【0051】
以上のように、無人ヘリコプター1の薬液散布装置5は、機体の左右に配設される薬液タンク52L・52Rと、左右一対のポンプ53L・53Rと、噴霧装置(アトマイザー噴霧装置55L・55R、センターノズル55C)と、これらを接続するする配管とを備えて、前記左右一対のポンプ53L・53Rの駆動によって薬液を空中に散布する無人ヘリコプター1の薬液散布装置5において、前記左右一対の薬液タンク52L・52Rに左右の供給配管57L・57Rの一端を接続し、該左右の供給配管57L・57Rの他端を一つの合流配管58の一端と接続し、該合流配管58の他端を左右一対のポンプ53L・53Rと接続する吸水側配管59・59と接続し、前記合流配管58にラインフィルター70を設けたものである。
【0052】
このように無人ヘリコプター1の薬液散布装置5を構成することで、従来に比べて薬液タンク52L・52Rとポンプ53L・53Rとの間の配管が短くなる。そのため、薬液タンク52L・52Rとポンプ53L・53Rとの間の配管が簡素化され、当該配管の清掃を容易に行うことができる。
また、薬液タンク52L・52Rとポンプ53L・53Rとの間の配管が短くなることで当該配管内に空気溜まりが生じ難くなる。そのため、ポンプ53L・53Rの吸水性が向上し、配管内の空気を抜くためのエアー抜きコックを設ける必要がない。したがって、装置内の配管が簡素化できる。
さらにまた、前記エアー抜きコックが不要となることで、ポンプ53L・53Rへの自動吸水が可能になる。
また、フィルターが一つで済むため部品点数を削減できて、コスト低減化も図れる。
【0053】
また、前記ラインフィルター70は、合流配管58に対して着脱可能に構成されるため、ラインフィルター70の清掃および交換を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0054】
1 無人ヘリコプター
5 薬液散布装置
52L 左側薬液タンク
52R 右側薬液タンク
53L 左側ポンプ
53R 右側ポンプ
55 噴霧装置
58 合流配管
59 吸水側配管
70 ラインフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の左右に配設される薬液タンクと、左右一対のポンプと、噴霧装置と、これらを接続するする配管とを備えて、前記左右一対のポンプの駆動によって薬液を空中に散布する無人ヘリコプターの薬液散布装置において、
前記左右一対の薬液タンクに左右の供給配管の一端を接続し、該左右の供給配管の他端を一つの合流配管の一端と接続し、該合流配管の他端を左右一対のポンプと接続する吸水側配管と接続し、
前記合流配管にフィルターを設けた、
ことを特徴とする無人ヘリコプターの薬液散布装置。
【請求項2】
前記フィルターは、合流配管に対して着脱可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の無人ヘリコプターの薬液散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153168(P2012−153168A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11362(P2011−11362)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(390029621)ニューデルタ工業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】