説明

無効電力において使用可能なデュアルブリッジ型インバータ

【課題】無効電力において使用することのできる、直流電圧を交流電圧に変換するインバータの効率を改善すること。
【解決手段】インバータ1000は、2個の直流入力端子を含んでおり、これらの直流入力端子の間に第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200が並列に接続されており、第1のブリッジ回路が第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子に提供し、第2のブリッジ回路が逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子に提供する。第1の半波は、第1のブリッジ回路から第1および第2の誘導性素子1301、1302を介して一対の交流出力端子に供給され、第2の半波は、第2のブリッジ回路から第3および第4の誘導性素子1303、1304を介して一対の交流出力端子に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーエレクトロニクススイッチング回路に関し、詳細には、直流入力電圧を交流出力電圧に変換する高効率のインバータに関する。このようなインバータは、例えば、直流電源を公共電力網に接続する場合、または独立した交流電気製品に(すなわち公共電力網に接続せずに)直流電力を使用して給電する場合に必要である。直流電源の例は、太陽光発電システム、燃料電池システム、バッテリである。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスの分野では、効率がますます重要になっている。多くの用途(例えば太陽光発電システムのインバータモジュール)では、効率を最適化することが、設計上の大きな目標となっている。太陽光パネルは、一般には、太陽電池によって生成される直流電力を、公共電力網に供給できる交流電力に、PWM(パルス幅変調)インバータを使用して変換する。これらのインバータの一般的なさらなる用途としては、無停電電源(UPS)、燃料電池、風力タービンでの使用が挙げられる。さらには、PWMインバータは、無効負荷を補正したり、供給網の高調波を打ち消す、あるいは誘導電動機の可変速駆動装置として使用することができる。最も一般的に使用されるインバータは、1レベル(相)および3レベル(相)のトランスレス・インバータである。
【0003】
インバータの設計において使用される最も一般的なスイッチング素子は、電界効果トランジスタ(FET)(例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET))、バイポーラトランジスタ(例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT))、およびゲートターンオフサイリスタ(GTO)である。従来、低直流電圧または低電力のインバータの設計にはMOSFETが使用されてきた。中〜高電力または中〜高電圧のインバータの設計にはIGBTが使用されてきた。極めて高電力のインバータ設計にはGTOが使用されてきた。
【0004】
効率的なインバータのためには、導通損失またはスイッチング損失が最適化されるトランジスタを使用することが望ましい。トランジスタの導通損失は、主として内部オン抵抗によって決まり、したがって、トランジスタのデューティサイクルに依存する。スイッチング損失は、例えば、ゲート充電損失、ボディダイオードの導通損失(すなわちゼロゲート電圧におけるスイッチング転移の直後および直前の導通期間)、ボディダイオードの逆回復損失(すなわち遅いボディダイオードの逆回復に起因する損失)、および他の多くの要因によって影響される。
【0005】
トランジスタの導通損失とスイッチング損失とが相互に依存するため、通常では、効率的なパワーエレクトロニクススイッチング回路を実現するためには、トランジスタが不利な条件下で動作することが回避されるように、有利な特性(例:導通損失)を有する特定のトランジスタを決定し、周囲の回路(例:フリーホイーリング電流を伝える回路)を適合させる必要がある。
【0006】
特許文献1には、効率的なパワーエレクトロニクススイッチング回路(すなわち直流電圧と交流電圧との間で変換するインバータ)が記載されている。提案されているインバータ(図8にも示してある)は、DC+入力端子1とDC−入力端子2との間に接続されているブリッジ回路を含んでいる。このブリッジ回路は、第1のスイッチング素子Aおよび第2のスイッチング素子Bを有する第1のブランチ(枝路)と、第3のスイッチング素子Cおよび第4のスイッチング素子Dを有する第2のブランチとを含んでいる。第1のブランチにおいては、第1の中間ノード5が第1の誘導性素子Lを介して第1の交流出力端子3に接続されており、第2のブランチにおいては、第2の中間ノード6が第2の誘導性素子Lを介して第2の交流出力端子4に接続されている。
【0007】
4個のスイッチング素子A,B,C,Dによって、交流出力端子3,4への電圧出力の極性を逆にすることができる。例えば、第1のスイッチング素子Aをオンすることによって、DC+入力端子1を介して提供される電圧が第1のスイッチング素子Aを介して第1の中間ノード5に供給され、さらに第1の誘導性素子Lを介して第1の交流出力端子に供給される。これに同期して(すなわち第1のスイッチング素子Aと一緒に)第4のスイッチング素子Dをオンすることによって、DC−入力端子2を介して提供される電圧が第2の交流出力端子4に供給される(すなわち第4のスイッチング素子Dを介して第2の中間ノード6に供給され、さらに第2の誘導性素子Lを介して第2の交流出力端子4に供給される)。結果として、第1の極性の電圧が2個の交流出力端子に供給される。
【0008】
同様に、第2のスイッチング素子Bをオンすることによって、DC−入力端子2を介して提供される電圧が第2のスイッチング素子Bを介して第1の中間ノード5に供給され、さらに第1の誘導性素子Lを介して第1の交流出力端子3に供給される。これに同期して(すなわち第2のスイッチング素子Bと一緒に)第3のスイッチング素子Cをオンすることによって、DC+入力端子1を介して提供される電圧が第2の交流出力端子4に供給される(すなわち第3のスイッチング素子Cを介して第2の中間ノード6に供給され、さらに第2の誘導性素子Lを介して第2の交流出力端子4に供給される)。結果として、逆の(第1の極性に対して反転された)極性の電圧が2個の交流出力端子に供給される。
【0009】
したがって、第1および第4のスイッチング素子A,Dと、第2および第3のスイッチング素子B,Cとを交互にスイッチングすることによって、2個の交流出力端子に交流電圧が供給される。
【0010】
第1の極性の中間電圧レベルを交流出力端子に提供するためには、第1および第4のスイッチング素子A,Dを、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)、同期してスイッチングすることができ、この場合、第2および第3のスイッチング素子B,Cはオフ状態に維持される。第1の誘導性素子Lおよび第2の誘導性素子Lによって、第1の極性の十分に滑らかな正弦波形状の第1の半波(すなわち正の半波)を交流出力端子に供給することができる。
【0011】
逆の(第1の極性に対して反転された)極性の中間電圧レベルを交流出力端子に提供するためには、第2および第3のスイッチング素子B,Cを、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)、同期してスイッチングすることができ、この場合、第1および第4のスイッチング素子A,Dはオフ状態に維持される。第1の誘導性素子Lおよび第2の誘導性素子Lによって、同様に、逆の極性の十分に滑らかな正弦波形状の第2の半波(すなわち負の半波)を交流出力端子に供給することができる。
【0012】
スイッチングパターン(例:その周波数)は、公共電力網または独立した(すなわち公共電力網に接続されない)交流電気製品における要件に準拠するように適合させることができる。
【0013】
交流出力端子に第1の半波が提供されるようにインバータが制御されるとき、前述したように、第1および第4のスイッチング素子A,Dが同期してオンされ、第2および第3のスイッチング素子B,Cがオフ状態に維持される。次に、第1および第4のスイッチング素子A,Dをオフ状態に切り替える(かつ第2および第3のスイッチング素子B,Cもオフ状態にある)と、第1および第2の誘導性素子L,Lは、蓄えられている磁場エネルギを使用して自身の電圧を形成することによって、突然の電流減少に抵抗して(di/dtが大きく、したがってVも大きい)、フリーホイーリング電流をインバータ内に発生させる。同じことは、交流出力端子に第2の半波が提供されるようにインバータが制御されるときにもあてはまる(ただしフリーホイーリング電流の方向が逆)。
【0014】
フリーホイーリング電圧が直流入力端子の方に帰還することを防止するため、このインバータは、第1の中間ノード5と第2の中間ノード6との間に(すなわち、第1の誘導性素子Lと、交流出力端子3,4と、第2の誘導性素子Lの直列回路に並列に)、第1および第2のスイッチング可能経路9,10を含んでいる。第1および第2の誘導性素子L,Lによってインバータ内にフリーホイーリング電流が誘導されるとき、第1のスイッチング可能経路9または第2のスイッチング可能経路10がフリーホイーリング電流を伝えることができ、フリーホイーリング電流が直流入力端子の方に帰還することが防止される。
【0015】
詳細には、第1のスイッチング可能経路9は、第5のスイッチング素子Eと、ダイオードDE(交流出力端子に第1の半波を提供するときに誘導されるフリーホイーリング電流を伝えるようにバイアスされる)とを含んでおり、第2のスイッチング可能経路10は、第6のスイッチング素子Fと、ダイオードDF(交流出力端子に第2の半波を提供するときに誘導されるフリーホイーリング電流を伝えるようにバイアスされる)とを含んでいる。
【0016】
第1および第2のスイッチング可能経路にダイオードが設けられていることにより、第5のスイッチング素子Eおよび第6のスイッチング素子Fを、交流出力電圧の周波数によってスイッチングすることができる。言い換えれば、交流出力端子に第1の半波を提供するようにインバータが制御されている期間中は、第5のスイッチング素子Eがオン状態に切り替えられ(その後にオフ)、交流出力端子に第2の半波を提供するようにインバータが制御されている期間中は、第6のスイッチング素子Fがオン状態に切り替えられる(その後にオフ)。
【0017】
このインバータでは、フリーホイーリング電流が直流入力端子の方に流れることが防止されるため、効率が改善される。この利点について以下に説明する。
【0018】
一般的には、第1のスイッチング素子、第2のスイッチング素子、第3のスイッチング素子、および第4のスイッチング素子それぞれの中に、ボディダイオードが形成されている(図8にはダイオードDA,DB,DC,DDとして示してある)。ボディダイオードは、対応するスイッチング素子それぞれとは逆方向にバイアスされる。したがって、ボディダイオードは、フリーホイーリング電流を直流入力端子1,2の方に伝えることができる。しかしながら、そのようなフリーホイーリング電流は、入力キャパシタCにおける損失の原因となる。さらに、直流入力端子1,2の方に流れるフリーホイーリング電流は、ボディダイオードDA,DB,DC,DDにおける逆回復損失の原因にもなる。したがって、フリーホイーリング電流が直流入力端子の方に流れることが、第1および第2のスイッチング可能経路9,10によって防止されることにより、インバータの全体的な効率が高まる。
【0019】
しかしながら、このインバータが効率的であるのは、有効電力において(すなわち、実負荷として作用する公共電力網、または対応する独立した交流電気製品において)のみである。無効電力の場合、各サイクルにおいて電力の一部がインバータに戻り、インバータの効率にマイナスに影響する。
【0020】
正の半波時における無効電力を考えると、電流は、交流出力端子3,4から、出力端子に供給される電圧とは逆方向にインバータに帰還する。詳細には、正の半波時、無効電力を伝える電流は、交流出力端子3から第1の誘導性素子Lを介して中間ノード5の方向に流れる。特に、ダイオードDEは、無効電力が第1のスイッチング可能経路9を介して交流出力端子4に流れることを阻止する。したがって、無効電力を伝える電流は、中間ノード5からダイオードDAを介して直流入力端子1,2の方に流れ、さらにダイオードDDおよび第2の誘導性素子Lを介して交流出力端子4に戻る。
【0021】
同様に、負の半波時における無効電力を考えると、無効電力を伝える電流は、時計回りの方向に流れ、ダイオードDBおよびダイオードDCによって伝えられる。
【0022】
したがって、無効電力においては、無効電力を伝える電流は、直流入力における損失の原因となり、さらに、対応するスイッチング素子における逆回復損失の原因となる。したがって、今後のインバータにおいては、効率のさらなる改善と、無効電力を扱う能力とが必要である。
【0023】
さらには、関連する効率的なパワーエレクトロニクススイッチング回路として、直流電圧と交流電圧との間で変換するインバータが挙げられる。例示的なインバータは、MOS1、SiC1、MOS4、およびSiC4の第1の位相レグと、MOS2、SiC2、MOS3、およびSiC3の第2の位相レグとを含んでおり、これらの位相レグは、2個の直流入力端子DC+とDC−との間に並列に接続されている。このような例示的なインバータは、擬似Hブリッジ回路と称することができる。
【0024】
第1の位相レグは、第1の極性の第1の半波を、一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。第2の位相レグは、第1の極性とは逆の極性の第2の半波を、一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。例えば、第1の位相レグが正の半波を提供し、第2の位相レグが負の半波を提供する、またはこの逆である。したがって、第1の位相レグと第2の位相レグは非対称である。
【0025】
第1の半波を提供する場合、スイッチング素子MOS4は、交流出力端子における変調出力の第1の半波に対応する期間にわたりオン状態であるように制御される。有効電力時、スイッチング素子MOS1は、第1の半波を提供するため、交流出力端子においてsin(ωt)に従って出力が変調されるように、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)制御される。したがって、出力電圧は、ユニポーラ変調によるsin(ωt)である(すなわち、スイッチング素子MOS1のみが出力信号を変調する)。
【0026】
さらには、この例示的なインバータでは、無効電力時に第1の半波を提供することができる。特に、無効電力時、第1の半波を提供する期間は、有効電力期間(電流の極性と電圧の極性とが同じである)と、無効電力期間(電流の極性と電圧の極性とが逆である)とに分けられる。
【0027】
有効電力期間においては、スイッチング素子MOS4はオン状態であるように制御され、スイッチング素子MOS1は、出力電圧がsin(ωt)として変調されるように制御される。このユニポーラ変調パターンは、有効電力時の変調に相当する。
【0028】
無効電力期間においては、この例示的なインバータに適用される変調パターンは、バイポーラ変調に変わる(すなわち、スイッチング素子MOS1およびスイッチング素子MOS4の両方が出力信号を変調する)。具体的には、MOS4、SiC4ブランチとMOS1、SiC1ブランチとにおいて2つの異なるパターンが使用される。
【0029】
=sin(Φ)に達する(すなわちsin(ωt)=K)とき無効電力に位相角(Φ)が要求されると想定すると、スイッチング素子MOS4は、関数1−1/2・(K−sin(ωt))において出力電圧を切り替えるように制御される。同時に、スイッチング素子MOS1は、有効電力期間の正弦波出力電圧を提供し続けるように制御される(ただし半分の振幅1/2・(K+sin(ωt)))。位相出力の差は、1/2・(K+sin(ωt))−1/2・(K−sin(ωt))=sin(ωt)であり、これは線間電圧に等しい。
【0030】
第2の半波を提供する場合、スイッチング素子MOS3は、交流出力端子における変調出力の第2の半波に対応する時間期間にわたりオン状態であるように制御される。有効電力時、スイッチング素子MOS2は、第2の半波を提供するため、交流出力端子においてsin(ωt)に従って出力が変調されるように、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)制御される。したがって、出力電圧は、ユニポーラ変調によるsin(ωt)である(すなわちスイッチング素子MOS2のみが出力信号を変調する)。
【0031】
さらには、この例示的なインバータでは、無効電力時に第2の半波も提供することができる。無効電力時の有効電力期間においては、スイッチング素子MOS3はオン状態であるように制御され、スイッチング素子MOS2は、出力電圧がsin(ωt)として変調されるように制御される。このユニポーラ変調パターンは、有効電力時の変調に相当する。無効電力時の有効電力期間においては、MOS3、SiC3ブランチとMOS2、SiC2ブランチとにおいて、2つの異なるパターンが使用される。
【0032】
=sin(Φ)に達する(すなわちsin(ωt)=K)とき無効電力に位相角(Φ)が要求されると想定すると、スイッチング素子MOS3は、関数1−1/2・(K−sin(ωt))において出力電圧を切り替えるように制御される。同時に、スイッチング素子MOS2は、有効電力期間の正弦波出力電圧を提供し続けるように制御される(ただし半分の振幅1/2・(K+sin(ωt)))。位相出力の差は、1/2・(K+sin(ωt))−1/2・(K−sin(ωt))=sin(ωt)であり、これは線間電圧に等しい。
【0033】
ユニポーラ変調およびバイポーラ変調の上記の定義の場合、バイポーラ変調は、−Φ<ωt<ΦかつPI()−Φ<ωt<PI()+Φの場合に使用され、ユニポーラ変調は、Φ<ωt<PI()−ΦかつPI()+Φ<ωt<2・PI()−Φの場合に使用される。
【0034】
スイッチング損失を(ユニポーラ変調の場合のように)低く維持するため、位相角(Φ)を動的に調整することができ、したがって、無効電力が要求されない(Φ=0)場合、変調パターンを純粋なユニポーラ変調とすることができる。無効電力が要求される(Φ>0)場合、ユニポーラ変調およびバイポーラ変調の混合が使用される。
【0035】
上記の説明から理解できるように、この例示的なインバータの利点として、スイッチング損失が小さい、コモンモードノイズが小さい、任意の力率(−1<cos(Φ)<1)においてMOSFETによって高いスイッチング周波数で動作する。
【0036】
上記の例示的なインバータでは、任意の電圧における第1の極性の電流用に2つのブランチが提供され(例:1−2象限、I>0、−DC<U<+DC)、第1の極性とは逆の極性の電流が別の2つのブランチによってカバーされ(例:残りの3−4象限、I<0、−DC<U<+DC)、これは有利である。この実施形態においては、スイッチング素子MOS1およびダイオードSiC1を含んだブランチと、スイッチング素子MOS4およびダイオードSiC4を含んだブランチは、第1の極性用として使用され、スイッチング素子MOS2およびダイオードSiC2を含んだブランチと、スイッチング素子MOS3およびダイオードSiC3を含んだブランチは、逆の極性用として使用される。
【0037】
異なる極性の電流は、個別のインダクタによって、または巻線間の漏れインダクタンスによって分離される。4個の誘導性素子L1,L2,L3,L4が設けられており、ブランチの電流極性が漂遊インダクタンスによって分離される。
【0038】
しかしながら、この例示的なインバータでは、共通電圧(common voltage)の問題(すなわち第3の中間電圧レベル(例:V=0)が提供される)が解決されない、または完全に対称的な変調が可能ではない。具体的には、例示的なインバータでは、高周波でスイッチングされるときに誘導性素子L1,L2,L3,L4によってインバータ中に流れ込むフリーホイーリング電流が考慮されていない。したがって、今後のインバータにおいては、効率のさらなる改善と、フリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることを防止する能力とが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】独国特許第10221592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0040】
上記の欠点に鑑み、本発明の目的は、無効電力において使用することのできる、直流電圧を交流電圧に変換するインバータの効率を改善することである。
【0041】
本発明の別の目的は、共通電圧の問題を解決することと、擬似Hブリッジの完全に対称的な変調を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0042】
これらの目的の少なくとも1つは、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0043】
本発明の例示的な一実施例によると、インバータであって、2個の直流入力端子(DC+,DC−)を含み、これら2個の直流入力端子の間に第1のブリッジ回路および第2のブリッジ回路が並列に接続されているインバータ、が提供される。第1のブリッジ回路は、第1の極性の第1の半波を、一対の交流出力端子(AC1,AC2)に提供し、第2のブリッジ回路は、逆の極性の第2の半波を、一対の交流出力端子に提供する。第1のブリッジ回路および第2のブリッジ回路のそれぞれが、少なくとも、スイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードとをそれぞれ備えている、第1のブランチおよび第2のブランチと、第1のブランチの第1の中間ノードを第2のブランチの第2の中間ノードにスイッチング可能な状態で相互接続している第3のブランチと、を含んでいる。これによって、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に提供される第1の半波が、第1の誘導性素子および第2の誘導性素子を介して一対の交流出力端子に供給され、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードと第2の中間ノードとの間に提供される第2の半波が、第3の誘導性素子および第4の誘導性素子を介して一対の交流出力端子に供給される。第1の誘導性素子、第2の誘導性素子、第3の誘導性素子、または第4の誘導性素子のうちの少なくとも1つが、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードを第2のブリッジ回路の第1の中間ノードに接続し、第1の誘導性素子、第2の誘導性素子、第3の誘導性素子、または第4の誘導性素子のうちの別の少なくとも1つが、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードを第2のブリッジ回路の第2の中間ノードに接続している。
【0044】
以降に説明する本発明のさまざまな実施例から容易に理解できるように、第1〜第4の誘導性素子は、(例えば図1に示したように)4本の同じ巻線を有する1つのコアとして実施する、または、(例えば図6に示したように)同じ数の巻線を有する個別の同じインダクタとして実施する、またはこれらの間の任意の中間的な組合せ(例:2つの個別のコモンモードチョーク素子であって、一方が第1のブリッジ回路用、他方が第2のブリッジ回路用)として実施することができる。特に、4つの誘導性素子は、次の2つの規則に従って実施することができる。規則1として、インバータのスイッチングから発生する共通電圧を打ち消すため、第1のブリッジ回路(例:正の電流ブリッジ)と一対の交流出力端子との間の接続と、第2のブリッジ回路(例:負の電流ブリッジ)と一対の交流出力端子との間の接続は、同じインダクタンス値を有する誘導性素子によって実施しなければならない。規則2として、フリーホイーリング電流がMOSFETのボディダイオードを通過しないようにするため、第1のブリッジ回路のブランチと第2のブリッジ回路のブランチとの間の相互接続は、誘導性素子を介して実施しなければならない。
【0045】
例示的な一実施例においては、第1のブリッジ回路の第3のブランチは、ダイオードおよびスイッチング素子の直列回路であって、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードを第1の中間ノードに接続するように構成されている、直列回路を含み、第2のブリッジ回路の第3のブランチは、ダイオードおよびスイッチング素子の直列回路であって、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードを第2の中間ノードに接続するように構成されている直列回路を含んでいる。
【0046】
別の例示的な実施例においては、第1のブリッジ回路の第3のブランチと第2のブリッジ回路の第3のブランチは1つのスイッチング素子を使用し、この1つのスイッチング素子は、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードと第2の中間ノードとを相互接続し、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードと第2の中間ノードとを相互接続している。
【0047】
さらに詳細な実施例においては、1つのスイッチング素子は、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードから第1のブリッジ回路の第1の中間ノードに、または、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードから第2のブリッジ回路の第2の中間ノードに、電流を供給するように接続され、第1のダイオードおよび第2のダイオードは、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードと第2のブリッジ回路の第1の中間ノードとの間を電流が流れることを阻止し、第3のダイオードおよび第4のダイオードは、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードと第2のブリッジ回路の第2の中間ノードとの間を電流が流れることを阻止する。
【0048】
さらなる例示的な実施例においては、第1のブリッジ回路の第1のブランチは、スイッチング素子および逆方向にバイアスされるダイオードを含み、これらは、2個の直流入力端子の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第1のブリッジ回路の第1の中間ノードにスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子の第2の入力端子の方に伝わることを阻止する。第1のブリッジ回路の第2のブランチは、スイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードと、逆方向にバイアスされるさらなるダイオードと、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第1のブリッジ回路の第2の中間ノードにスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子の第1の入力端子の方に伝わることを阻止する。第1のブリッジ回路の第3のブランチは第3のスイッチング素子を含み、この第3のスイッチング素子は、第1のブリッジ回路の第2のブランチのさらなるダイオードと協働して、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードから第1の中間ノードにフリーホイーリング電流を流すようにする。第2のブリッジ回路の第1のブランチは、スイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードと、逆方向にバイアスされるさらなるダイオードと、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第2のブリッジ回路の第1の中間ノードにスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子の第1の入力端子の方に伝わることを阻止する。第2のブリッジ回路の第2のブランチは、スイッチング素子および逆方向にバイアスされるダイオード、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第2のブリッジ回路の第2の中間ノードにスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子の第2の入力端子の方に伝わることを阻止する。第2のブリッジ回路の第3のブランチは第3のスイッチング素子を含み、この第3のスイッチング素子は、第2のブリッジ回路の第1のブランチのさらなるダイオードと協働して、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードから第2の中間ノードにフリーホイーリング電流を流すようにする。
【0049】
さらに別の例示的な実施例においては、第1のブリッジ回路の第1のブランチは、スイッチング素子と、さらなるスイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードと、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第1のブリッジ回路の第1の中間ノードにスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子(DC+,DC−)の第2の入力端子の方に伝わることを阻止する。第1のブリッジ回路の第2のブランチは、スイッチング素子および逆方向にバイアスされるダイオード、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第1のブリッジ回路の第2の中間ノードにスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子の第1の入力端子の方に伝わることを阻止する。第1のブリッジ回路の第3のブランチはダイオードを含み、このダイオードは、第1のブリッジ回路の第1のブランチのさらなるスイッチング素子と協働して、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードから第1の中間ノードにフリーホイーリング電流を流すようにする。第2のブリッジ回路の第1のブランチは、スイッチング素子および逆方向にバイアスされるダイオードを含み、これらは、2個の直流入力端子の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第2のブリッジ回路の第1の中間ノードにスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子の第1の入力端子の方に伝わることを阻止する。第2のブリッジ回路の第2のブランチは、スイッチング素子と、さらなるスイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードと、を含み、これらは、2個の直流入力端子の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第2のブリッジ回路の第2の中間ノードにスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子の第2の入力端子の方に伝わることを阻止する。第2のブリッジ回路の第3のブランチはダイオードを含み、このダイオードは、第2のブリッジ回路の第2のブランチのさらなるスイッチング素子と協働して、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードから第2の中間ノードにフリーホイーリング電流を流すようにする。
【0050】
別のさらに詳細な実施例においては、第1の誘導性素子が第1のチョーク素子であり、第2の誘導性素子が第2のチョーク素子であり、第3の誘導性素子が第3のチョーク素子であり、および第4の誘導性素子が第4のチョーク素子である。
【0051】
さらなる詳細な実施例においては、第1の誘導性素子および第2の誘導性素子は、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードおよび第2の中間ノードから一対の交流出力端子に差動電流を通すコモンモードチョーク素子として構成されている。第3の誘導性素子および第4の誘導性素子は、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードおよび第2の中間ノードから一対の交流出力端子に差動電流を通すさらなるコモンモードチョーク素子として構成されている。
【0052】
さらに別のより詳細な実施例においては、第1の極性の第1の半波と逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子に交互に提供するときに、コモンモードチョーク素子およびさらなるコモンモードチョーク素子において誘導される磁場が逆向きとなるように、コモンモードチョーク素子およびさらなるコモンモードチョーク素子が同じフェライトコアによって構成されている。
【0053】
より詳細な代替実施例においては、第1の誘導性素子は、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードと、一対の交流出力端子の第1の出力端子とに接続され、第2の誘導性素子は、第1のブリッジ回路の第2の中間ノードと、第2のブリッジ回路の第2の中間ノードとに接続され、第3の誘導性素子は、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードと、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードとに接続され、第4の誘導性素子は、第2のブリッジ回路の第2の中間ノードと、一対の交流出力端子の第2の出力端子とに接続されている。
【0054】
さらに詳細な実施例においては、第1の誘導性素子が双方向フィルタであり、第4の誘導性素子が双方向フィルタであり、第2の誘導性素子がデカップリングインダクタであり、第3の誘導性素子がデカップリングインダクタである。
【0055】
例示的な実施例においては、インバータのスイッチング素子は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
【0056】
別の例示的な実施例においては、第1および第2のブリッジ回路の第1のブランチおよび第2のブランチに含まれているスイッチング素子は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、第1および第2のブリッジ回路の第3のブランチに含まれているスイッチング素子は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。
【0057】
さらなる例示的な実施例においては、インバータの第1のブリッジ回路の第1および第2のブランチの逆方向にバイアスされるダイオードと、インバータの第2のブリッジ回路の第1および第2のブランチの逆方向にバイアスされるダイオードとは、第1および第2のブリッジ回路の第1および第2のブランチに含まれているスイッチング素子に含まれているボディダイオードの逆回復効果を低減する超高速ダイオードである。
【0058】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成しており、本発明のいくつかの実施形態を図解している。これらの図面は、明細書と合わせて、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0059】
図面は、本発明を作製および使用するためのさまざまな好ましい代替例を示すことを目的にしているにすぎず、本発明は、図解および説明されている実施形態のみに制限されないものと解釈されたい。さらには、実施形態のいくつかの態様は、(個々に、またはさまざまな組合せとして)本発明による解決策を形成することができる。さらなる特徴および利点は、添付の図面に図解されている本発明のさまざまな実施形態の、以下の具体的な説明から明らかになるであろう。図面において、類似する参照数字・記号は類似する要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の例示的な実施形態によるインバータ回路を概略的に示している。
【図2】本発明の別の例示的な実施形態による別のインバータ回路を概略的に示している。
【図3】本発明のさらなる例示的な実施形態によるさらなるインバータ回路を概略的に示している。
【図4】本発明のさらに別の例示的な実施形態によるさらに別のインバータ回路を概略的に示している。
【図5】本発明のさらなる例示的な実施形態によるさらなるインバータ回路を概略的に示している。
【図6】本発明の別の例示的な実施形態による別のインバータ回路を概略的に示している。
【図7】本発明のさらなる例示的な実施形態によるさらなるインバータ回路を概略的に示している。
【図8】関連するインバータ回路を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1を参照すると、本発明の例示的な実施形態によるインバータの概略図が示してある。この実施形態のインバータは、無効負荷に対処する能力を有し、3レベルの擬似Hブリッジインバータと称することができる。
【0062】
この実施形態のインバータは、太陽光パネル、無停電電源(UPS)、燃料電池、風力タービンと組み合わせて使用する、または一般的な直流−交流電力変換において、あるいはスイッチモード電源(SMPS)において使用することができる。
【0063】
図1に示した実施形態のインバータ1000は、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を含んでいる。第1のブリッジ回路1100は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。第2のブリッジ回路1200は、第1の極性とは逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。例えば、第1のブリッジ回路1100が正の半波を提供し、第2のブリッジ回路1200が負の半波を提供する、またはこの逆である。
【0064】
詳細には、インバータ1000の第1のブリッジ回路1100は、第1のブランチおよび第2のブランチを含んでいる。第1のブランチは、スイッチング素子1111およびダイオード1112の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路1100の第1のブランチのスイッチング素子1111とダイオード1112とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101である。第2のブランチは、ダイオード1121およびスイッチング素子1122の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路1100の第2のブランチのダイオード1121とスイッチング素子1122とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路1100の第2の中間ノードN1102である。第1の中間ノードN1101と第2の中間ノードN1102とは、第3のブランチを介して、スイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0065】
この実施形態のインバータ1000においては、第1のブリッジ回路1100の第3のブランチは、スイッチング素子1131およびダイオード1132の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131およびダイオード1132により、第2の中間ノードN1102から第1の中間ノードN1101に電流が流れることができるように、第1の中間ノードN1101と第2の中間ノードN1102とを相互接続することができる。第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのダイオード1132は、第1の中間ノードN1101から第2の中間ノードN1102に電流が流れることを阻止するように構成されている。
【0066】
さらには、インバータ1000の第2のブリッジ回路1200も、第1のブランチおよび第2のブランチを含んでいる。第2のブリッジ回路1200の第1のブランチは、ダイオード1211およびスイッチング素子1212の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路1200の第1のブランチのダイオード1211とスイッチング素子1212とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201である。第2のブランチは、スイッチング素子1221およびダイオード1222の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路1200の第2のブランチのスイッチング素子1221とダイオード1222とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路1200の第2の中間ノードN1202である。第1の中間ノードN1201と第2の中間ノードN1202は、第3のブランチを介して、スイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0067】
この実施形態のインバータ1000においては、第2のブリッジ回路1200の第3のブランチは、ダイオード1231およびスイッチング素子1232の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのダイオード1231およびスイッチング素子1232により、第1の中間ノードN1201から第2の中間ノードN1202に電流が流れることができるように、第1の中間ノードN1201と第2の中間ノードN1202とを相互接続することができる。第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのダイオード1231は、第2の中間ノードN1202から第1の中間ノードN1201に電流が流れることを阻止するように構成されている。
【0068】
さらには、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102は、それぞれ、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。同様に、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202は、それぞれ、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。
【0069】
したがって、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101と第2の中間ノードN1102との間に、第1のブリッジ回路1100によって提供される第1の半波を、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201と第2の中間ノードN1202との間に、第2のブリッジ回路1200によって提供される第2の半波は、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。
【0070】
図1に示したこの実施形態のインバータ1000の例示的な実施においては、第1の誘導性素子1301および第4の誘導性素子1304は、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101から、および第2のブリッジ回路1200の第2の中間ノードN1202から一対の交流出力端子AC1,AC2に差動電流を通すコモンモードチョーク素子として構成されている。
【0071】
特に、コモンモードチョーク素子の第1の誘導性素子1301の巻線は、同じコモンモードチョーク素子の第4の誘導性素子1304の巻線とは逆方向に設けられている。言い換えれば、第1の半波を供給するときに第1の誘導性素子1301によって誘導される磁場と、第2の半波を供給するときに第4の誘導性素子1304によって誘導される磁場とが、同じ方向を向いている。
【0072】
同様に、第2の誘導性素子1302および第3の誘導性素子1303は、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201から、および第1のブリッジ回路1100の第2の中間ノードN1102から一対の交流出力端子AC1,AC2に差動電流を通す別のコモンモードチョーク素子として構成されている。
【0073】
特に、後者の別のコモンモードチョーク素子の第2の誘導性素子1302の巻線は、同じコモンモードチョーク素子の第3の誘導性素子1303の巻線とは逆方向に設けられている。言い換えれば、第1の半波を供給するときに第2の誘導性素子1302によって誘導される磁場と、第2の半波を供給するときに第3の誘導性素子1303によって誘導される磁場とが、同じ方向を向いている。
【0074】
第1および第4の誘導性素子1301,1304を含んでいるコモンモードチョーク素子と、第2および第3の誘導性素子1302,1303を含んでいる他方のコモンモードチョーク素子とは、同じフェライトコアを共有している。特に、コモンモードチョーク素子および他方のコモンモードチョーク素子は、第1の半波の供給時にフェライトコアに誘導される磁場と、第2の半波の供給時にフェライトコアに誘導される磁場とがつねに同じ方向に向くように組み合わされている。
【0075】
したがって、誘導性素子がコモンモードチョーク素子として実施されていることにより、この実施形態によるインバータでは、所定の高周波スイッチングパターンにおいて(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)スイッチング素子を切り替えるときに共通電圧が発生することが防止される。
【0076】
この実施形態の代替の例示的な実施においては、第1および第2の誘導性素子が、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードおよび第2の中間ノードから一対の交流出力端子に差動電流を通すコモンモードチョーク素子として構成されている。
【0077】
特に、コモンモードチョーク素子の第1の誘導性素子の巻線は、同じコモンモードチョーク素子の第2の誘導性素子の巻線とは逆方向に設けられている。言い換えれば、第1の半波を供給するときに第1の誘導性素子によって誘導される磁場と第2の誘導性素子によって誘導される磁場とが、同じ方向を向いている。
【0078】
同様に、第3および第4の誘導性素子が、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードおよび第2の中間ノードから一対の交流出力端子に差動電流を通す別のコモンモードチョーク素子として構成されている。
【0079】
特に、この別のコモンモードチョーク素子の第3の誘導性素子の巻線は、同じコモンモードチョーク素子の第4の誘導性素子の巻線とは逆方向に設けられている。言い換えれば、第2の半波を供給するときに第3の誘導性素子によって誘導される磁場と第4の誘導性素子によって誘導される磁場とが、同じ方向を向いている。
【0080】
第1および第2の誘導性素子を含んでいるコモンモードチョーク素子と、第3および第4の誘導性素子を含んでいる他方のコモンモードチョーク素子とは、同じフェライトコアを共有している。特に、コモンモードチョーク素子および他方のコモンモードチョーク素子は、第1の半波の供給時にフェライトコアに誘導される磁場と、第2の半波の供給時にフェライトコアに誘導される磁場とがつねに同じ方向に向くように組み合わされている。
【0081】
この実施形態のさらなる代替の例示的な実施においては、4つの誘導性素子のうちの任意の3つが、3巻線のコモンモードチョーク素子(すなわちコモンチョーク3巻線インダクタ)として構成されており、第4の誘導性素子が個別のチョーク素子として構成されている。この場合、3巻線のコモンモードチョーク素子と個別のチョーク素子とは、同じインダクタンス値を有する(例:同じ数の巻線が設けられている)。
【0082】
第1の半波(例:正の半波)を交流出力端子に提供するときには、第1のブリッジ回路1100の第1のブランチのスイッチング素子1111と、第1のブリッジ回路1100の第2のブランチのスイッチング素子1122とが、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)同期してスイッチングされ、第2のブリッジ回路1200のスイッチング素子は、オフ状態に維持される。
【0083】
第1のブリッジ回路1100の第1のブランチのスイッチング素子1111と第2のブランチのスイッチング素子1122とがオン状態に切り替えられている期間においては、第1のDC+入力端子を介して供給される第1の電圧が、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101に伝搬し、それと同時に、第2のDC−入力端子を介して供給される第2の電圧(すなわち第1の電圧とは逆の極性)が、第1のブリッジ回路1100の第2の中間ノードN1102に伝搬する。さらに、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302によって、第1の電圧極性の十分に滑らかな正弦波形状の第1の半波(例:正の半波)を交流出力端子に供給することができる。
【0084】
言い換えれば、第1のブリッジ回路1100の第1のブランチのスイッチング素子1111と第2のブランチのスイッチング素子1122とがオフ状態に切り替えられている期間においては、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302によって、インバータ1000にフリーホイーリング電流が誘導される。特に、フリーホイーリング電流は、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302が、蓄えられている磁場エネルギを使用して自身の電圧を形成することにより、突然の電流減少に抵抗する結果として発生する。このフリーホイーリング電流は、第1のブリッジ回路1100の中間ノードN1101,N1102に提供される。
【0085】
第1のブリッジ回路1100の第3のブランチはスイッチング素子1131を含んでおり、このスイッチング素子1131は、第1の半波の期間のほぼ全体にわたりオン状態であるように切り替えられていることが有利である。したがって、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302によって、それぞれ第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102に提供されるフリーホイーリング電流は、第1のブリッジ回路1100の第2の中間ノードN1102から第1の中間ノードN1101に流れることができるように、第3のブランチ(すなわちスイッチング素子1131およびダイオード1132)を介して伝えることができる。第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131のこの制御は、有効電力の場合に有利に使用することができる。
【0086】
これに代えて、第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131を、第1のブリッジ回路1100の第1のブランチのスイッチング素子1111と第2のブランチのスイッチング素子1122の同期的なスイッチングとは逆にオン/オフすることができる。逆のスイッチングとは、本発明においては、第3のブランチのスイッチング素子1131がオン状態に切り替えられているとき、第1のブランチのスイッチング素子1111と第2のブランチのスイッチング素子1122とがオフ状態に切り替えられている、およびこの逆であることを意味する。第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131のこの制御は、無効電力の場合に有利に使用することができる。
【0087】
結果として、第1の半波においては、この実施形態のインバータ1000の第1のブリッジ回路1100の第3のブランチは、有効電力の場合にフリーホイーリング電流を伝え、フリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることを阻止する。
【0088】
インバータ1000の構造の利点として、フリーホイーリング電流(すなわち第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302から発生する)が第2のブリッジ回路1200に流れ込むことが防止される。具体的には、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302は、それぞれの交流出力端子AC1,AC2を介して、さらに第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を介して、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202に接続されている。フリーホイーリング電流の場合、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304は、フリーホイーリング電流が第2のブリッジ回路1200に流れ込むことを阻止するフィルタとして機能する。
【0089】
逆の電圧極性の第2の半波(例:負の半波)を交流出力端子に提供するときには、第2のブリッジ回路1200の第1のブランチのスイッチング素子1212と、第2のブリッジ回路1200の第2のブランチのスイッチング素子1221とが、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)同期してスイッチングされ、第1のブリッジ回路1100のスイッチング素子は、オフ状態に維持される。
【0090】
第2のブリッジ回路1200の第1のブランチのスイッチング素子1212と第2のブランチのスイッチング素子1221がオン状態に切り替えられている期間においては、第1のDC+入力端子を介して供給される第1の電圧が、第2のブリッジ回路1200の第2の中間ノードN1202に伝搬し、それと同時に、第2のDC−入力端子を介して供給される第2の電圧(すなわち第1の電圧とは逆の極性)が、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201に伝搬する。さらには、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304によって、逆の電圧極性の十分に滑らかな正弦波形状の第2の半波(例:負の半波)を交流出力端子に供給することができる。
【0091】
言い換えれば、第2のブリッジ回路1200の第1のブランチのスイッチング素子1212と第2のブランチのスイッチング素子1221とがオフ状態に切り替えられている期間においては、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304によって、インバータ1000にフリーホイーリング電流が誘導される。特に、フリーホイーリング電流は、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304が、蓄えられている磁場エネルギを使用して自身の電圧を形成することにより、突然の電流減少に抵抗する結果として発生する。このフリーホイーリング電流は、第2のブリッジ回路1200の中間ノードN1202,N1201に提供される。
【0092】
第2のブリッジ回路1200の第3のブランチはスイッチング素子1232を含んでおり、このスイッチング素子1232は、第1の半波の期間のほぼ全体にわたりオン状態であるように切り替えられていることが有利である。したがって、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304によって、それぞれ第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202に提供されるフリーホイーリング電流は、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201から第2の中間ノードN1202に流れることができるように、第3のブランチ(すなわち第2のブリッジ回路1200の第3のブランチに含まれているスイッチング素子1232およびダイオード1231)を介して伝えることができる。第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232のこの制御は、有効電力の場合に有利に使用することができる。
【0093】
これに代えて、第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232を、第2のブリッジ回路1200の第1のブランチのスイッチング素子1212と第2のブランチのスイッチング素子1221の同期的なスイッチングとは逆にオン/オフすることができる。逆のスイッチングとは、本発明においては、第3のブランチのスイッチング素子1232がオン状態に切り替えられているとき、第1のブランチのスイッチング素子1212と第2のブランチのスイッチング素子1221がオフ状態に切り替えられている、およびこの逆であることを意味する。第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232のこの制御は、無効電力の場合に有利に使用することができる。
【0094】
結果として、第2の半波においては、この実施形態のインバータ1000の第2のブリッジ回路1200の第3のブランチは、有効電力の場合にフリーホイーリング電流を伝え、フリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることを阻止する。
【0095】
インバータ1000の構造の利点として、フリーホイーリング電流(すなわち第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304から発生する)が第1のブリッジ回路1100に流れ込むことが防止される。具体的には、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304は、それぞれの交流出力端子AC1,AC2を介して、さらに第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を介して、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102に接続されている。フリーホイーリング電流の場合、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302は、フリーホイーリング電流が第1のブリッジ回路1100に流れ込むことを阻止するフィルタとして機能する。
【0096】
すでに説明したように、この実施形態のインバータ1000は、無効電力においても使用可能である。言い換えれば、この実施形態のインバータ1000の構造では、全体的な効率に悪影響を及ぼすことなく、無効電力において使用可能である。無効電力の場合、各サイクルにおいて電力の一部がインバータ1000に戻るが、この実施形態のインバータの効率にはマイナスに影響しない。
【0097】
第1の半波において無効電力を能動的に制御する目的で、第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131を、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)切り替える。第2の半波においては、第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232を、所定の高周波スイッチングパターンに従って(例:パルス幅変調(PWM)パターンに基づいて)切り替えることによって、無効電力が能動的に制御される。
【0098】
第1の半波(例:正の半波)における無効電力を考えると、一対の交流出力端子AC1,AC2から、これらの出力端子に供給される電圧とは逆の方向に、インバータ1000に電流が帰還する。詳細には、第1の半波を供給している間、交流出力端子AC2から第2の誘導性素子1302を介して第1のブリッジ回路1100の第2の中間ノードN1102への方向に電流が流れるように、第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131を切り替えることによって、無効電力を伝える電流が制御される。さらにこの電流は、第2の中間ノードN1102から、第3のブランチを介して(すなわち第3のブランチのダイオード1132およびスイッチング素子1131を介して)第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN1101に伝えられる。さらにこの電流は、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101から、第1の誘導性素子1301を介して交流出力端子AC1に伝えられる。
【0099】
インバータ1000の構造では、第1の半波の間、無効電力を伝える電流が第2のブリッジ回路に流れ込むことが防止され、これは有利である。具体的には、一対の交流出力端子を、それぞれ第2のブリッジ回路の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202に相互接続する第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を設けることによって、第1の半波の間、電流が第2のブリッジに流れ込むことが防止される。なぜなら、第3および第4の誘導性素子を流れる電流を駆動または変化させる電圧差が存在しないためである。
【0100】
さらには、第2の半波(例:負の半波)における無効電力を考えると、一対の交流出力端子AC1,AC2から、これらの出力端子に供給される電圧とは逆の方向に、インバータ1000に電流が帰還する。詳細には、第2の半波を供給している間、交流出力端子AC1から第3の誘導性素子1303を介して第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201への方向に電流が流れるように、第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232を切り替えることによって、無効電力を伝える電流が制御される。さらにこの電流は、第1の中間ノードN1201から、第3のブランチを介して(すなわち第3のブランチのダイオード1231およびスイッチング素子1232を介して)、第2のブリッジ回路の第2の中間ノードN1202に伝えられる。さらにこの電流は、第2のブリッジ回路1200の第2の中間ノードN1202から、第4の誘導性素子1304を介して交流出力端子AC2に伝えられる。
【0101】
インバータ1000の構造では、第2の半波の間についても、無効電力を伝える電流が第1のブリッジ回路に流れ込むことが防止される。具体的には、一対の交流出力端子を、それぞれ第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102に相互接続する第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を設けることによって、第2の半波の間、電流が第1のブリッジに流れ込むことが防止される。なぜなら、第1および第2の誘導性素子を流れる電流を駆動または変化させる電圧差が存在しないためである。
【0102】
したがって、この実施形態のインバータ1000の構造では、無効電力を伝える電流が直流入力端子の方に流れることが防止され、第1の半波の場合に第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131を切り替え、第2の半波の場合に第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1232を切り替えることによって、この電流が能動的に制御される。
【0103】
補足として述べておくと、第1の半波における無効電力に対するフリーホイーリング電流は、交流出力端子から第2の誘導性素子1302を介して第1のブリッジ回路の第2の中間ノードN1102に伝えられ、第1のブリッジ回路の第2のブランチのダイオード1121を介して直流入力端子DC+,DC−に伝えられ、さらに第1のブリッジ回路の第1のブランチのダイオード1112を介して第1の中間ノードN1101に伝えられ、第1の誘導性素子1301を介して交流出力端子に伝えられる。同様に、第2の半波において、無効電力に対するフリーホイーリング電流は、交流出力端子から第3の誘導性素子1303を介して第2のブリッジ回路の第1の中間ノードN1201に伝えられ、第2のブリッジ回路の第1のブランチのダイオード1211を介して直流入力端子DC+,DC−に伝えられ、さらに第2のブリッジ回路の第2のブランチのダイオード1222を介して第2のブリッジ回路の第2の中間ノードN1202に伝えられ、第4の誘導性素子1304を介して交流出力端子に伝えられる。
【0104】
したがって、無効電力に対するフリーホイーリング電流は、第1のブリッジ回路1100のダイオード1112およびダイオード1121によって、または第2のブリッジ回路1200のダイオード1211およびダイオード1222によって伝えられ、それぞれ他方のブリッジ回路1200およびブリッジ回路1100のスイッチング素子のボディダイオードを介して伝えられるのではない。これにより、逆回復損失を回避することができる。
【0105】
さらに、一般的な電気製品における無効電力の量は、有効電力の量と比較してずっと小さく、さらには、無効電力に対するフリーホイーリング電流は、無効電力のうちの小さな割合を伝えるのみであるため、この影響は、この実施形態のインバータ1000の効率に対して無視できる減損と考えることができる。
【0106】
しかしながら、無効電力において使用可能であることは、ますます重要になっている。3kWより大きいカテゴリにおけるソーラーインバータの最近の要求条件として、LVRT(Low voltage ride through)能力が含まれる。LVRT能力では、インバータは、ACライン=0V(電源電圧不足)条件およびcos(Φ)=0(完全な無効電力条件)にも耐えなければならない。
【0107】
次に図2を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ2000が示してある。この実施形態のインバータは、無効負荷に対処する能力を有し、3レベルの単一スイッチ型の中性点クランプ式インバータと称することができる。
【0108】
この実施形態のインバータ2000は、図1のインバータ1000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0109】
この実施形態のインバータ2000は、第1のブリッジ回路2100および第2のブリッジ回路2200を含んでおり、これらのブリッジ回路はインバータ1000の第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200とは異なるが、同じ機能を提供し、その一方で、必要なスイッチング素子の数が少ない。
【0110】
詳細には、第1のブリッジ回路2100と第2のブリッジ回路2200は、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。第1のブリッジ回路2100は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。第2のブリッジ回路2200は、第1の極性とは逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。例えば、第1のブリッジ回路2100が正の半波を提供し、第2のブリッジ回路2200が負の半波を提供する、またはこの逆である。
【0111】
インバータ2000の第1のブリッジ回路2100は、第1のブランチおよび第2のブランチを含んでいる。第1のブリッジ回路2100の第1のブランチは、スイッチング素子2111およびダイオード2112の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路2100の第1のブランチのスイッチング素子2111とダイオード2112とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101である。第2のブランチは、ダイオード2121およびスイッチング素子2122の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路2100の第2のブランチのダイオード2121とスイッチング素子2122とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路2100の第2の中間ノードN2102である。第1の中間ノードN2101および第2の中間ノードN2102は、第3のブランチを介してスイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0112】
さらには、インバータ2000の第2のブリッジ回路2200も、第1のブランチおよび第2のブランチを含んでいる。第2のブリッジ回路2200の第1のブランチは、ダイオード2211およびスイッチング素子2212の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路2200の第1のブランチのダイオード2211とスイッチング素子2212とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201である。第2のブランチは、スイッチング素子2221およびダイオード2222の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路2200の第2のブランチのスイッチング素子2221とダイオード2222とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路2200の第2の中間ノードN2202である。第1の中間ノードN2201および第2の中間ノードN2202は、第3のブランチを介してスイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0113】
インバータ2000においては、第1のブリッジ回路2100の第3のブランチと第2のブリッジ回路2200の第3のブランチとは、1つのスイッチング素子2401を使用するように結合されており、それぞれの第3のブランチは、第1のブリッジ回路2100の第1および第2の中間ノードN2101,N2102を相互接続しており、第2のブリッジ回路2200の第1および第2の中間ノードN2201,N2202を相互接続している。
【0114】
特に、1つのスイッチング素子2401は、第1のブリッジ回路2100の第2の中間ノードN2102から第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101に電流を供給する、または、第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201から第2のブリッジ回路2200の第2の中間ノードN2202に電流を供給するように接続されている。具体的には、第1のダイオード2402および第2のダイオード2403は、第1のブリッジ回路2100の第2の中間ノードN2102と、第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201との間で電流が流れることを阻止している。第3のダイオード2404および第4のダイオード2405は、第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101と、第2のブリッジ回路2200の第2の中間ノードN2202との間で電流が流れることを阻止している。
【0115】
言い換えれば、第1のブリッジ回路2100の第2の中間ノードN2102は、第1のダイオード2402および第2のダイオード2403の直列回路によって、第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201に相互接続されているが、電流は、第2の中間ノードN2102から第1のダイオード2402を介して第3の中間ノードN2406までと、第1の中間ノードN2201から第2のダイオード2403を介して第3の中間ノードN2406まで流れることができるのみである。第3の中間ノードN2406は、第1のダイオード2402と第2のダイオード2403を直接接続しているノードである。
【0116】
同様に、第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101は、第3のダイオード2404および第4のダイオード2405の直列回路によって、第2のブリッジ回路の第2の中間ノードN2202に相互接続されているが、電流は、第4の中間ノードN2407から第3のダイオード2404を介して第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101までと、第4の中間ノードN2407から第4のダイオードを介して第2のブリッジ回路2200の第2の中間ノードN2202まで流れることができるのみである。第4の中間ノードN2407は、第3のダイオード2404と第4のダイオード2405を直接接続しているノードである。
【0117】
さらには、第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101および第2の中間ノードN2102は、それぞれ、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。同様に、第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201および第2の中間ノードN2202は、それぞれ、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。
【0118】
したがって、第1のブリッジ回路2100の第1の中間ノードN2101と第2の中間ノードN2102の間に第1のブリッジ回路2100によって提供される第1の半波を、第1の誘導性素子1301および第2の誘導性素子1302を介して、交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。第2のブリッジ回路2200の第1の中間ノードN2201と第2の中間ノードN2202との間に第2のブリッジ回路2200によって提供される第2の半波は、第3の誘導性素子1303および第4の誘導性素子1304を介して、交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。
【0119】
第1の半波および第2の半波を提供する場合、インバータ2000の1つのスイッチング素子2401は、インバータ1000の第1のブリッジ回路1100の第3のブランチのスイッチング素子1131がオン状態に切り替えられるときと、インバータ1000の第2のブリッジ回路1200の第3のブランチのスイッチング素子1231がオン状態に切り替えられるときと同じタイミングで、オン状態に切り替えられる。これにより、インバータ2000の機能は、図1のインバータ1000の機能と同じである。
【0120】
インバータ2000には、図1に示したインバータ1000と同じ第1、第2、第3、および第4の誘導性素子1301,1302,1303,1304が設けられている。したがって、この実施形態のインバータ2000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0121】
次に図3を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ3000が示してある。この実施形態のインバータは、無効負荷に対処する能力を有し、3レベルの擬似6ダイオードブリッジインバータと称することができる。
【0122】
この実施形態のインバータ3000は、図1のインバータ1000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0123】
この実施形態のインバータ3000は、第1のブリッジ回路3100および第2のブリッジ回路3200を含んでおり、これらのブリッジ回路はインバータ1000の第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200とは異なるが、同じ機能を提供し、その一方で、フリーホイーリング電流もしくは無効電力またはその両方を第1および第2のブリッジ回路3100,3200によってスイッチングするときの導通損失が減少する。
【0124】
詳細には、第1のブリッジ回路3100と第2のブリッジ回路3200は、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。第1のブリッジ回路3100は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。第2のブリッジ回路3200は、第1の極性とは逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。例えば、第1のブリッジ回路3100が正の半波を提供し、第2のブリッジ回路3200が負の半波を提供する、またはこの逆である。
【0125】
インバータ3000の第1のブリッジ回路3100は第1のブランチおよび第2のブランチを含んでおり、これら両方のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。インバータ3000の第2のブリッジ回路3200も第1のブランチおよび第2のブランチを含んでおり、これら第1および第2のブランチも、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。
【0126】
第1のブリッジ回路3100の第1のブランチは、スイッチング素子3111およびダイオード3112の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路3100の第1のブランチのスイッチング素子3111とダイオード3112を相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路3100の第1の中間ノードN3101である。
【0127】
第1のブリッジ回路3100の第2のブランチは、ダイオード3121、さらなるダイオード3122、およびスイッチング素子3123の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路3100の第2のブランチのさらなるダイオード3122とスイッチング素子3123とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路3100の第2の中間ノードN3102である。第1の中間ノードN3101と第2の中間ノードN3102は、第3のブランチを介してスイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0128】
詳細には、第1のブリッジ回路3100の第1のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第1のブリッジ回路3100の第1の中間ノードN3101にスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0129】
同様に、第1のブリッジ回路3100の第2のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第1のブリッジ回路3100の第2の中間ノードN3102にスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0130】
さらには、第1のブリッジ回路3100の第3のブランチは、スイッチング素子3131を含んでいる。スイッチング素子3131は、フリーホイーリング電流が第1のブリッジ回路3100の第2の中間ノードN3102から第1の中間ノードN3101に流れることができるように、第1のブリッジ回路3100の第2のブランチのさらなるダイオード3122と協働する。
【0131】
第2のブリッジ回路3200の第1のブランチは、ダイオード3211、さらなるダイオード3212、およびスイッチング素子3213の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路3200の第1のブランチのさらなるダイオード3212とスイッチング素子3213とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201である。
【0132】
第2のブリッジ回路3200の第2のブランチは、スイッチング素子3221およびダイオード3222の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路3200の第2のブランチのスイッチング素子3221とダイオード3222とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路3200の第2の中間ノードN3202である。第1の中間ノードN3201と第2の中間ノードN3202は、第3のブランチを介してスイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0133】
詳細には、第2のブリッジ回路3200の第1のブランチは、2個の直流入力端子(DC+,DC−)の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201にスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0134】
同様に、第2のブリッジ回路3200の第2のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第2のブリッジ回路3200の第2の中間ノードN3202にスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0135】
さらには、第2のブリッジ回路3200の第3のブランチは、スイッチング素子3231を含んでいる。スイッチング素子3231は、フリーホイーリング電流が第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201から第2の中間ノードN3202に流れることができるように、第2のブリッジ回路3200の第1のブランチのさらなるダイオード3212と協働する。
【0136】
第1の半波および第2の半波を提供するとき、インバータ3000の第1のブリッジ回路3100のスイッチング素子は、インバータ1000の第1のブリッジ回路1100のそれぞれのスイッチング素子と同様に制御され、インバータ3000の第2のブリッジ回路3200のスイッチング素子は、インバータ1000の第2のブリッジ回路1200のそれぞれのスイッチング素子と同様に制御される。これにより、インバータ3000の機能は、図1のインバータ1000の機能と同じである。
【0137】
インバータ3000には、図1に示したインバータ1000と同じ第1、第2、第3、および第4の誘導性素子1301,1302,1303,1304が設けられている。したがって、この実施形態のインバータ3000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0138】
次に図4を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ4000が示してある。この実施形態のインバータは、無効負荷に対処する能力を有し、3レベルの擬似6MOS−FETブリッジインバータと称することができる。
【0139】
この実施形態のインバータ4000は、図1のインバータ1000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0140】
この実施形態のインバータ4000は、第1のブリッジ回路4100および第2のブリッジ回路4200を含んでおり、これらのブリッジ回路はインバータ1000の第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200とは異なるが、同じ機能を提供する。
【0141】
以下の説明から明らかになるように、インバータ4000の利点として、転流経路(例:第1のブリッジ回路4100の第1のブランチおよび第2のブリッジ回路4200の第2のブランチ)に含まれているデバイスが3つのみであり、第1の半波において、スイッチング素子4222の電圧降下を小さくすることができるように、スイッチング素子4222を連続的に導通させる(すなわちオン状態である)ように制御することができ、同様に、第2の半波において、スイッチング素子4112の電圧降下を小さくすることができるように、スイッチング素子4112を連続的に導通させる(すなわちオン状態である)ように制御することができる。
【0142】
詳細には、第1のブリッジ回路4100および第2のブリッジ回路4200は、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。第1のブリッジ回路4100は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。第2のブリッジ回路4200は、第1の極性とは逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができる。例えば、第1のブリッジ回路4100が正の半波を提供し、第2のブリッジ回路4200が負の半波を提供する、またはこの逆である。
【0143】
インバータ4000の第1のブリッジ回路4100は第1のブランチおよび第2のブランチを含んでおり、これら両方のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。インバータ4000の第2のブリッジ回路4200も第1のブランチおよび第2のブランチを含んでおり、これら第1および第2のブランチも、2個の直流入力端子DC+,DC−の間に並列に接続されている。
【0144】
第1のブリッジ回路4100の第1のブランチは、スイッチング素子4111、さらなるスイッチング素子4112、およびダイオード4113の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路4100の第1のブランチのさらなるスイッチング素子4112とダイオード4113とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路4100の第1の中間ノードN4101である。
【0145】
第1のブリッジ回路4100の第2のブランチは、ダイオード4121およびスイッチング素子4122の直列回路を含んでいる。第1のブリッジ回路4100の第2のブランチのダイオード4121とスイッチング素子4122とを相互接続しているノードは、第1のブリッジ回路4100の第2の中間ノードN4102である。第1の中間ノードN4101と第2の中間ノードN4102とは、第3のブランチを介して、スイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0146】
詳細には、第1のブリッジ回路4100の第1のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第1のブリッジ回路4100の第1の中間ノードN4101にスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0147】
同様に、第1のブリッジ回路4100の第2のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第1のブリッジ回路4100の第2の中間ノードN4102にスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0148】
さらには、第1のブリッジ回路4100の第3のブランチは、ダイオード4131を含んでいる。ダイオード4131は、フリーホイーリング電流が第1のブリッジ回路4100の第2の中間ノードN4102から第1の中間ノードN4101に流れることができるように、第1のブリッジ回路4100の第1のブランチのさらなるスイッチング素子4112と協働する。
【0149】
第2のブリッジ回路4200の第1のブランチは、ダイオード4211およびスイッチング素子4212の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路4200の第1のブランチのダイオード4211とスイッチング素子4212とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路4200の第1の中間ノードN4201である。
【0150】
第2のブリッジ回路4200の第2のブランチは、スイッチング素子4221、さらなるスイッチング素子4222、およびダイオード4223の直列回路を含んでいる。第2のブリッジ回路4200の第2のブランチのさらなるスイッチング素子4222とダイオード4223とを相互接続しているノードは、第2のブリッジ回路4200の第2の中間ノードN4202である。第1の中間ノードN4201と第2の中間ノードN4202とは、第3のブランチを介してスイッチング可能な状態で相互接続されている。
【0151】
詳細には、第2のブリッジ回路4200の第1のブランチは、2個の直流入力端子(DC+,DC−)の第2の入力端子からの逆の極性の電圧を第2のブリッジ回路4200の第1の中間ノードN4201にスイッチングする一方で、逆の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0152】
同様に、第2のブリッジ回路4200の第2のブランチは、2個の直流入力端子DC+,DC−の第1の入力端子からの第1の極性の電圧を第2のブリッジ回路4200の第2の中間ノードN4202にスイッチングする一方で、第1の極性の電圧が2個の直流入力端子DC+,DC−の第2の入力端子の方に伝わることを防止する。
【0153】
さらには、第2のブリッジ回路4200の第3のブランチは、ダイオード4231を含んでいる。ダイオード4231は、フリーホイーリング電流が第2のブリッジ回路4200の第1の中間ノードN4201から第2の中間ノードN4202に流れることができるように、第2のブリッジ回路4200の第2のブランチのさらなるスイッチング素子4222と協働する。
【0154】
第1の半波および第2の半波を提供するとき、インバータ4000の第1のブリッジ回路4100のスイッチング素子は、インバータ1000の第1のブリッジ回路1100のそれぞれのスイッチング素子と同様に制御され、インバータ4000の第2のブリッジ回路4200のスイッチング素子は、インバータ1000の第2のブリッジ回路1200のそれぞれのスイッチング素子と同様に制御される。これにより、インバータ4000の機能は、図1のインバータ1000の機能と同じである。
【0155】
インバータ4000には、図1に示したインバータ1000と同じ第1、第2、第3、および第4の誘導性素子1301,1302,1303,1304が設けられている。したがって、この実施形態のインバータ4000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0156】
次に図5を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ5000が示してある。この実施形態のインバータ5000は、図1のインバータ1000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0157】
具体的には、インバータ5000は、図1のインバータ1000と同じ第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を含んでいる。したがって、このインバータの第1のブリッジ回路は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができ、第2のブリッジ回路1200は、逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子に提供することができる。
【0158】
しかしながら、インバータ5000は、第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を交流出力端子に接続するための構造が図1のインバータ1000とは異なっており、この点について以下に説明する。
【0159】
第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102は、それぞれ、第1の誘導性素子5301および第2の誘導性素子5302を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。同様に、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202は、それぞれ、第3の誘導性素子5303および第4の誘導性素子5304を介して、2個の交流出力端子に接続されている。
【0160】
したがって、第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101と第2の中間ノードN1102との間に第1のブリッジ回路によって提供される第1の半波を、第1の誘導性素子5301および第2の誘導性素子5302を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201と第2の中間ノードN1202との間に第2のブリッジ回路1200によって提供される第2の半波を、第3の誘導性素子5303および第4の誘導性素子5304を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。
【0161】
この実施形態のインバータ5000においては、第1の誘導性素子5301および第2の誘導性素子5302は、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102から一対の交流出力端子に差動電流を通すコモンモードチョーク素子として構成されている。同様に、第3の誘導性素子5303および第4の誘導性素子5304は、第2のブリッジ回路の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202から一対の交流出力端子に差動電流を通す別のコモンモードチョーク素子として構成されている。コモンモードチョーク素子および他方のコモンモードチョーク素子は、個別に設けられている。
【0162】
特に、インバータ5000では、個別のコモンモードチョーク素子を設けることによって、素子5301,5302および素子5303,5304のコストと複雑さが減少し、インバータのモジュール性が向上する。特に、第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を、それぞれのコモンモードチョーク素子5301,5302と一体に製造することができ、これにより中間配線が減少し、したがってインバータ5000による共通電圧の抑制の精度が改善される。
【0163】
インバータ5000においては、第1、第2、第3、および第4の誘導性素子5301,5302,5303,5304の構成として、図1に示したインバータ1000の第1、第2、第3、および第4の誘導性素子1301,1302,1303,1304と比較して類似する構成が使用されている。この類似する構成を使用することで、この実施形態のインバータ5000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0164】
次に図6を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ6000が示してある。この実施形態のインバータ6000は、図1のインバータ1000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0165】
具体的には、インバータ6000は、図1のインバータ1000と同じ第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を含んでいる。したがって、インバータ6000の第1のブリッジ回路は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができ、第2のブリッジ回路は、逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子に提供することができる。
【0166】
しかしながら、インバータ6000は、第1のブリッジ回路1100および第2のブリッジ回路1200を交流出力端子に接続するための構造が図1のインバータ1000とは異なっており、この点について以下に説明する。
【0167】
第1のブリッジ回路1100の第1の中間ノードN1101および第2の中間ノードN1102は、それぞれ、第1の誘導性素子6301および第2の誘導性素子6302を介して、2個の交流出力端子AC1,AC2に接続されている。同様に、第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201および第2の中間ノードN1202は、それぞれ、第3の誘導性素子6303および第4の誘導性素子6304を介して、2個の交流出力端子に接続されている。
【0168】
したがって、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN1101と第2の中間ノードN1102の間に第1のブリッジ回路1100によって提供される第1の半波を、第1の誘導性素子6301および第2の誘導性素子6302を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。第2のブリッジ回路1200の第1の中間ノードN1201と第2の中間ノードN1202との間に第2のブリッジ回路1200によって提供される第2の半波は、第3の誘導性素子6303および第4の誘導性素子6304を介して交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。
【0169】
この実施形態のインバータ6000においては、第1の誘導性素子6301および第2の誘導性素子6302は、個別のチョーク素子として構成されている。同様に、第3の誘導性素子6303および第4の誘導性素子6304は、個別のチョーク素子として構成されている。各チョーク素子によって、高周波成分を遮断することができる一方で、より低い周波数の(例:電源周波数の)信号を通すことができる。
【0170】
インバータ6000においては、第1、第2、第3、および第4の誘導性素子6301,6302,6303,6304の構成として、図1に示したインバータ1000の第1、第2、第3、および第4の誘導性素子1301,1302,1303,1304と比較して類似する構成が使用されている。この類似する構成を使用することで、この実施形態のインバータ6000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0171】
次に図7を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態によるインバータ7000が示してある。この実施形態のインバータ7000は、図3のインバータ3000に基づいており、対応する部分には対応する参照数字および用語を使用してある。説明を簡潔にするため、対応する部分の詳しい説明は省いた。
【0172】
具体的には、インバータ7000は、図3のインバータ3000と同じ第1のブリッジ回路3100および第2のブリッジ回路3200を含んでいる。したがって、インバータ7000の第1のブリッジ回路は、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子AC1,AC2に提供することができ、第2のブリッジ回路は、逆の極性の第2の半波を一対の交流出力端子に提供することができる。
【0173】
しかしながら、インバータ7000は、第1のブリッジ回路3100および第2のブリッジ回路3200を交流出力端子に接続するための構造が図1のインバータ1000とは異なっており、この点について以下に説明する。
【0174】
第1のブリッジ回路3100の第1の中間ノードN3101は、第1の誘導性素子7301を介して第1の交流出力端子AC1に接続されている。第1のブリッジ回路3100の第2の中間ノードN3102は、第2の誘導性素子7302を介して、第2のブリッジ回路の第2の中間ノードN3202に接続されている。第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201は、第3の誘導性素子7303を介して、第1のブリッジ回路3100の第1の中間ノードN3101に接続されている。第2のブリッジ回路の第2の中間ノードN3202は、第4の誘導性素子7304を介して第2の交流出力端子AC2に接続されている。
【0175】
この点において、第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201は、第3の誘導性素子7303および第1の誘導性素子7301の直列回路を介して、第1の交流出力端子AC1に接続されている。同様に、第1のブリッジ回路3100の第2の中間ノードN3102は、第2の誘導性素子7302および第4の誘導性素子7304の直列回路を介して、第2の交流出力端子AC2に接続されている。
【0176】
したがって、第1のブリッジ回路の第1の中間ノードN3101と第2の中間ノードN3102との間に第1のブリッジ回路3100によって提供される第1の半波を、第1の誘導性素子7301と、第2の誘導性素子7302および第4の誘導性素子7304とを介して、交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。第2のブリッジ回路3200の第1の中間ノードN3201と第2の中間ノードN3202との間に第2のブリッジ回路3200によって提供される第2の半波は、第3の誘導性素子7303および第1の誘導性素子7301と、第4の誘導性素子7304とを介して、交流出力端子AC1,AC2に供給することができる。
【0177】
この実施形態の具体的な一例においては、第1の誘導性素子7301および第4の誘導性素子7304は、双方向フィルタインダクタとして構成されており、第2の誘導性素子7302および第3の誘導性素子7303は、デカップリングインダクタとして構成されている。
【0178】
インバータ7000においては、第1、第2、第3、および第4の誘導性素子7301,7302,7303,7304の構成として、図3に示したインバータ3000の第1、第2、第3、および第4の誘導性素子3301,3302,3303,3304と比較して類似する構成が使用されている。この類似する構成を使用することで、この実施形態のインバータ3000においても、有効電力の場合にフリーホイーリング電流が2個の直流入力端子DC+,DC−の方に流れることが防止されるという利点と、無効電力の場合にフリーホイーリング電流に起因して第1および第2のブリッジ回路内のスイッチング素子における逆回復損失が発生することが防止されるという利点とが提供される。
【0179】
ここまで、本発明に従って構築される物理的な実施形態に関連して、本発明について説明してきたが、当業者には明らかであるように、上記の教えに基づき、添付の請求項の範囲内で、かつ本発明の概念および範囲から逸脱することなく、本発明のさまざまな修正形態、変形形態、改良形態を創案することができる。
【0180】
さらには、この技術分野における通常の技能を有する者が精通していると考えられる技術領域については、本明細書に記載されている本発明が不必要に曖昧になることがないように、説明を省いてある。
【0181】
したがって、本発明は、図解・説明されている特定の実施形態によって限定されることはなく、添付の請求項の範囲によってのみ限定されることを理解されたい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータであって、
2個の直流入力端子(DC+,DC−)を含み、前記2個の直流入力端子の間に第1のブリッジ回路(1100)および第2のブリッジ回路(1200)が並列に接続され、前記第1のブリッジ回路が、第1の極性の第1の半波を一対の交流出力端子(AC1,AC2)に提供し、前記第2のブリッジ回路が、逆の極性の第2の半波を前記一対の交流出力端子に提供し、
前記第1のブリッジ回路(1100)および前記第2のブリッジ回路(1200)のそれぞれが、
少なくとも、スイッチング素子と、逆方向にバイアスされるダイオードとをそれぞれ備えている、第1のブランチおよび第2のブランチと、前記第1のブランチの第1の中間ノード(N1101;N1201)を、前記第2のブランチの第2の中間ノード(N1102;N1202)、スイッチング可能な状態で相互接続している第3のブランチと、
を含み、
前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1の中間ノード(N1101)と前記第2の中間ノード(N1102)との間に提供される前記第1の半波が、第1の誘導性素子(1301)および第2の誘導性素子(1302)を介して前記一対の交流出力端子に供給され、前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第1の中間ノード(N1201)と前記第2の中間ノード(N1202)との間に提供される前記第2の半波が、第3の誘導性素子(1303)および第4の誘導性素子(1304)を介して前記一対の交流出力端子に供給され、
前記第1の誘導性素子(1301)、前記第2の誘導性素子(1302)、前記第3の誘導性素子(1303)、または前記第4の誘導性素子(1304)のうちの少なくとも1つが、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1の中間ノード(N1101)を前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第1の中間ノード(N1201)に接続し、前記第1の誘導性素子(1301)、前記第2の誘導性素子(1302)、前記第3の誘導性素子(1303)、または前記第4の誘導性素子(1304)のうちの別の少なくとも1つが、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第2の中間ノード(N1102)を前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第2の中間ノード(N1202)に接続している、
インバータ。
【請求項2】
前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第3のブランチが、スイッチング素子およびダイオードの直列回路であって、前記第1のブリッジ回路の前記第2の中間ノード(N1102)を前記第1の中間ノード(N1101)に接続するように構成されている、前記直列回路を含み、前記第2のブリッジ回路の前記第3のブランチが、スイッチング素子およびダイオードの直列回路であって、前記第2のブリッジ回路の前記第1の中間ノード(N1201)を前記第2の中間ノード(N1202)に接続するように構成されている、前記直列回路を含んでいる、
請求項1に記載のインバータ。
【請求項3】
前記第1のブリッジ回路の前記第3のブランチと前記第2のブリッジ回路の前記第3のブランチが1つのスイッチング素子(2401)を使用し、前記1つのスイッチング素子(2401)が、前記第1のブリッジ回路(2100)の前記第1の中間ノード(N2101)と前記第2の中間ノード(N2102)とを相互接続し、前記第2のブリッジ回路(2200)の前記第1の中間ノード(N2201)と前記第2の中間ノード(N2202)とを相互接続している、
請求項1に記載のインバータ。
【請求項4】
前記1つのスイッチング素子(2401)が、前記第1のブリッジ回路(2100)の前記第2の中間ノード(N2102)から前記第1のブリッジ回路(2100)の前記第1の中間ノード(N2101)に、または、前記第2のブリッジ回路(2200)の前記第1の中間ノード(N2201)から前記第2のブリッジ回路(2200)の前記第2の中間ノード(N2202)に、電流を供給するように接続され、
第1のダイオード(2402)および第2のダイオード(2403)が、前記第1のブリッジ回路(2100)の前記第2の中間ノード(N2102)と前記第2のブリッジ回路(2200)の前記第1の中間ノード(N2201)との間を電流が流れることを阻止し、第3のダイオード(2404)および第4のダイオード(2405)が、前記第1のブリッジ回路(2100)の前記第1の中間ノード(N2101)と前記第2のブリッジ回路(2200)の前記第2の中間ノード(N2202)との間を電流が流れることを阻止する、
請求項3に記載のインバータ。
【請求項5】
前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第1のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の第1の入力端子からの前記第1の極性の電圧を前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第1の中間ノード(N3101)にスイッチングする一方で、前記第1の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の第2の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(3111)および逆方向にバイアスされる前記ダイオード(3112)、を含み、
前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第2のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子からの前記逆の極性の電圧を前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第2の中間ノード(N3102)にスイッチングする一方で、前記逆の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(3123)と、逆方向にバイアスされる前記ダイオード(3121)と、逆方向にバイアスされる別のダイオード(3122)と、を含み、
前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第3のブランチが第3のスイッチング素子(3131)を含み、前記第3のスイッチング素子(3131)が、前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第2のブランチの前記別のダイオード(3122)と協働して、前記第1のブリッジ回路(3100)の前記第2の中間ノード(N3102)から前記第1の中間ノード(N3101)にフリーホイーリング電流を流し、
前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第1のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子からの前記逆の極性の電圧を前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第1の中間ノード(N3201)にスイッチングする一方で、前記逆の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(3213)と、逆方向にバイアスされる前記ダイオード(3211)と、逆方向にバイアスされる別のダイオード(3212)と、を含み、
前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第2のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子からの前記第1の極性の電圧を前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第2の中間ノード(N3202)にスイッチングする一方で、前記第1の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(3221)および逆方向にバイアスされる前記ダイオード(3222)、を含み、
前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第3のブランチが第3のスイッチング素子(3231)をみ、前記第3のスイッチング素子(3231)が、前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第1のブランチの前記別のダイオード(3212)と協働して、前記第2のブリッジ回路(3200)の前記第1の中間ノード(N3201)から前記第2の中間ノード(N3202)にフリーホイーリング電流を流すようにする、
請求項1に記載のインバータ。
【請求項6】
前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第1のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子からの前記第1の極性の電圧を前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第1の中間ノード(N4101)にスイッチングする一方で、前記第1の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(4111)と、別のスイッチング素子(4112)と、逆方向にバイアスされる前記ダイオード(4113)と、を含み、
前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第2のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子からの前記逆の極性の電圧を前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第2の中間ノード(N4102)にスイッチングする一方で、前記逆の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(4122)および逆方向にバイアスされる前記ダイオード(4121)、を含み、
前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第3のブランチがダイオード(4131)を含み、前記ダイオード(4131)が、前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第1のブランチの前記別のスイッチング素子(4112)と協働して、前記第1のブリッジ回路(4100)の前記第2の中間ノード(N4102)から前記第1の中間ノード(N4101)にフリーホイーリング電流を流し、
前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第1のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子からの前記逆の極性の電圧を前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第1の中間ノード(N4201)にスイッチングする一方で、前記逆の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(4211)および逆方向にバイアスされる前記ダイオード(4212)、を含み、
前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第2のブランチが、前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第1の入力端子からの前記第1の極性の電圧を前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第2の中間ノード(N4202)にスイッチングする一方で、前記第1の極性の電圧が前記2個の直流入力端子(DC+,DC−)の前記第2の入力端子の方に伝わることを阻止する、前記スイッチング素子(4221)と、別のスイッチング素子(4222)と、逆方向にバイアスされる前記ダイオード(4223)と、を含み、
前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第3のブランチがダイオード(4231)を含み、前記ダイオード(4231)が、前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第2のブランチの前記別のスイッチング素子(4222)と協働して、前記第2のブリッジ回路(4200)の前記第1の中間ノード(N4201)から前記第2の中間ノード(N4202)にフリーホイーリング電流を流すようにする、
請求項1に記載のインバータ。
【請求項7】
前記第1の誘導性素子(1301)が第1のチョーク素子(L1)であり、前記第2の誘導性素子(1302)が第2のチョーク素子(L2)であり、前記第3の誘導性素子(1303)が第3のチョーク素子(L3)であり、および前記第4の誘導性素子(1304)が第4のチョーク素子である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインバータ。
【請求項8】
前記第1の誘導性素子(1301)および前記第2の誘導性素子(1302)が、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1の中間ノード(N1101)および前記第2の中間ノード(N1102)から前記一対の交流出力端子に差動電流を通すコモンモードチョーク素子として構成され、
前記第3の誘導性素子(1303)および前記第4の誘導性素子(1304)が、前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第1の中間ノード(N1201)および前記第2の中間ノード(N1202)から前記一対の交流出力端子に差動電流を通す別のコモンモードチョーク素子として構成されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインバータ。
【請求項9】
前記第1の極性の前記第1の半波と前記逆の極性の前記第2の半波を前記一対の交流出力端子に交互に提供するときに、前記コモンモードチョーク素子および前記別のコモンモードチョーク素子において誘導される磁場が逆向きとなるように、前記コモンモードチョーク素子および前記別のコモンモードチョーク素子が同じフェライトコアによって構成されている、
請求項8に記載のインバータ。
【請求項10】
前記第1の誘導性素子(1301)が、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1の中間ノード(N1101)と、前記一対の交流出力端子の第1の出力端子とに接続され、
前記第2の誘導性素子(1302)が、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第2の中間ノード(N1102)と、前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第2の中間ノード(N1202)とに接続され、
前記第3の誘導性素子(1303)が、前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1の中間ノード(N1101)と、前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第1の中間ノード(N1201)とに接続され、
前記第4の誘導性素子(1304)が、前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第2の中間ノード(N1202)と、前記一対の交流出力端子の第2の出力端子とに接続されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインバータ。
【請求項11】
前記第1の誘導性素子(1301)が双方向フィルタであり、前記第4の誘導性素子(1304)が双方向フィルタであり、
前記第2の誘導性素子(1302)がデカップリングインダクタであり、前記第3の誘導性素子(1303)がデカップリングインダクタである、
請求項10に記載のインバータ。
【請求項12】
前記インバータの前記スイッチング素子が、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のインバータ。
【請求項13】
前記第1および第2のブリッジ回路(1100,1200)の前記第1のブランチおよび前記第2のブランチに含まれている前記スイッチング素子が、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であり、前記第1および第2のブリッジ回路(1100,1200)の前記第3のブランチに含まれている前記スイッチング素子が、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のインバータ。
【請求項14】
前記インバータの前記第1のブリッジ回路(1100)の前記第1および第2のブランチの逆方向にバイアスされる前記ダイオードと、前記インバータの前記第2のブリッジ回路(1200)の前記第1および第2のブランチの逆方向にバイアスされる前記ダイオードとが、前記第1および第2のブリッジ回路(1100,1200)の前記第1および第2のブランチに含まれている前記スイッチング素子に含まれているボディダイオードの逆回復効果を低減する超高速ダイオードである、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のインバータ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate