Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2010-255354 [meishou] => 無塗装・無溶接の鋼製土台胴縁 ) [prev] => Array ( [id] => A,2010-255352 [meishou] => 鋼製胴縁の無塗装・無溶接取付け構造 ) ) 無塗装・無溶接の鋼製胴縁構造

無塗装・無溶接の鋼製胴縁構造

【課題】工場や現場での防食ための工程を排除することができると共に、接合を無溶接で容易に行うことができる鋼製胴縁構造を提供する。
【解決手段】閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材2の側面部に、同じ方向に向けられた第2鋼製胴縁構成材3が沿わされ、両鋼製胴縁構成材2,3が接合一体化された鋼製胴縁構造において、第2鋼製胴縁構成材3が閉鎖断面材からなり、両鋼製胴縁構成材2,3は、ともに、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなって、向き合う周壁部同士がワンサイドボルト5によりボルト接合されて接合一体化され、第2鋼製胴縁構成材3にワンサイドボルトの挿入と締込みを行うための作業孔3bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無塗装・無溶接の鋼製胴縁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、倉庫、店舗等の鉄骨造建物において、外装材等の取付けの下地となる鋼製胴縁のなかに、入隅部等に用いられる鋼製の縦胴縁があり、そのような隅部用縦胴縁として、閉鎖断面である角パイプ状の第1鋼製胴縁構成材の側面部に、該第1鋼製胴縁構成材と同じ方向に向けられた第2鋼製胴縁構成材が沿わされ、該第1鋼製胴縁構成材と第2鋼製胴縁構成材とが溶接で接合一体化された構造の鋼製縦胴縁がある。
【0003】
例えばこの鋼製縦胴縁は、工場において、上記のように両鋼製胴縁構成材を溶接で一体化した後、防食のために塗装し、しかる後、建築現場に搬送し、現場で、柱梁などの鉄骨躯体構造部にボルト接合で取り付けられたり、他の鋼製胴縁がボルト接合で取り付けられ、その後、現場での仕上げの塗装もなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−219883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、両鋼製胴縁構成材を溶接で接合一体化した構造では、溶接後に、上記のように防食のための塗装が必要で、手間を要するという問題がある。また、溶接のための技能者が必要で、厄介であるという問題もある。
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材の側面部に、該第1鋼製胴縁構成材と同じ方向に向けられた第2鋼製胴縁構成材が沿わされ、該第1鋼製胴縁構成材と第2鋼製胴縁構成材とが接合一体化された構造の鋼製胴縁を対象とし、工場や現場での防食ための工程を排除することができると共に、接合を無溶接で容易に行うことができる鋼製胴縁構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材の側面部に、該第1鋼製胴縁構成材と同じ方向に向けられた第2鋼製胴縁構成材が沿わされ、該第1鋼製胴縁構成材と第2鋼製胴縁構成材とが接合一体化された鋼製胴縁構造において、
前記第2鋼製胴縁構成材が閉鎖断面材からなり、
前記第1,第2の鋼製胴縁構成材は、ともに、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなって、向き合う周壁部同士がワンサイドボルトによりボルト接合されて接合一体化されており、
前記ワンサイドボルトの頭部の側が内部に存在する一方の鋼製胴縁構成材において、前記ワンサイドボルト用のボルト通孔とは反対側の周壁部に、ワンサイドボルトの挿入と締込みを行うための作業孔が設けられていることを特徴とする無塗装・無溶接の鋼製胴縁構造によって解決される(第1発明)。
【0008】
この鋼製胴縁構造では、第1,第2の鋼製胴縁構成材が、ともに、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、第1,第2の鋼製胴縁構成材はワンサイドボルトによりボルト接合されて接合一体化されたものであるから、鋼製胴縁構成材を製作する過程で行われる切断や、ボルト接合のためのボルト通孔や作業孔の孔明けを行っても、めっき層による犠牲腐食作用が強く働き、それらの部分が原因で後に腐食を生じてしまうというようなことはなく、そのため、接合一体化された鋼製胴縁に対して、塗装や後めっきをする必要がなく、工場や現場での防食のための工程をなくすことができる。
【0009】
また、このように、第1,第2の鋼製胴縁構成材をボルト接合で接合一体化した構造であるから、それらの接合のための溶接技能者を用意する必要もなくすことができる。
【0010】
そして、閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材と接合一体化する第2鋼製胴縁構成材として、閉鎖断面材が用いられているので、高耐力の鋼製胴縁を実現することができ、それでいて、溶接の場合のような歪を生じることもなく、
しかも、第1鋼製胴縁構成材と第2鋼製胴縁構成材とは、いずれも閉鎖断面材からなるものでありながら、向き合う周壁部同士がボルト接合されて接合一体化されているので、安定の良いしっかりとした接合状態を形成することができ、
加えて、そのようなボルト接合を、ワンサイドボルトと作業孔との組み合わせによって、簡素な構造で実現することができる。
【0011】
更に、上記の第1,第2の鋼製胴縁構成材は、接合一体化されて鋼製胴縁を構成するものであるから、第1,第2の鋼製胴縁構成材同士のワンサイドボルトを用いた接合は、これを予め工場で行っておくことができる。そのため、ワンサイドボルトは、ボルト・ナットを用いたボルト接合と異なり、一旦締め込んだ後は、緩めて締め直すということのできない性質をもつものであるがゆえ、現場での部材同士の接合にワンサイドボルトを用いることは、高い取付け精度の確保が困難であったことから、ほとんど行われることはなかったのであるが、工場でならば、第1,第2の鋼製胴縁構成材同士の接合のための相対的位置関係の正確な設定は容易に行うことができて、位置関係の正確な設定を行った後にワンサイドボルトによるボルト接合を行うことができ、位置関係に関する精度の高い接合をワンサイドボルトで実現することができる。それによりまた、これまで使用の限られていたワンサイドボルトの促進的な普及も実現可能になる。
【0012】
特に、第1発明において、鋼製胴縁構造における胴縁が建物の入隅部に設けられる縦胴縁からなり、第1,第2の各鋼製胴縁構成材が方形の角パイプ状のものからなって、第1鋼製胴縁構成材の4つの側面部のうちの隣り合う2つの側面部のそれぞれに前記第2鋼製胴縁構成材が沿わされて、各第2鋼製胴縁構成材が第1鋼製胴縁構成材と上記のようにワンサイドボルトで接合一体化され、各第2鋼製胴縁構成材を、前記入隅部を挟む両側の各ボード状外装材を取り付ける下地とするものからなっているとよい。なお、建物の入隅部用に限られるものではないし、第2鋼製胴縁構成材は、第1鋼製胴縁構成材の4つの側面部のうちのいずれか2つ以上の側面部のそれぞれに接合一体化されたものであればよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鋼製胴縁構造は、以上のとおりのものであるから、工場や現場での防食ための工程を排除することができると共に、接合を無溶接で容易に行うことができる。しかも、歪のない高耐力の鋼製胴縁構造を実現することができると共に、安定の良いしっかりとした接合状態を簡素な構造で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の鋼製胴縁構造を示すもので、図(イ)は平面図、図(ロ)は接合前の断面平面図、図(ハ)は一部断面分解斜視図である。
【図2】図(イ)は同断面平面図、図(ロ)及び図(ハ)はワンサイドボルトの全体斜視図と分解一部断面正面図、図(ニ)〜図(ヘ)は同ワンサイドボルトの使用方法を示す一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2に示す実施形態の鋼製胴縁1は、建物の入隅部に用いられる鋼製の縦胴縁であり、閉鎖断面である方形角パイプ状の1本の第1鋼製胴縁構成材2と、該第1鋼製胴縁構成材2と同じ方向に向けられ、該第1鋼製胴縁構成材2の隣り合う2つの側面部のそれぞれに沿わされる2本の第2鋼製胴縁構成材3,3とを備えており、各第2鋼製胴縁構成材3は、方形角パイプ状の断面閉鎖材からなって、第1鋼製胴縁構成材2の側面部に沿わされる辺の寸法が第1鋼製胴縁構成材2の辺の寸法と同じに設定され、各第2鋼製胴縁構成材3,3を、入隅部を挟む両側の各ボード状外装材を取り付ける下地としている。これら第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3が、それぞれ、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなっている。この高耐食鋼板には、例えば、ZAM(登録商標)として知られる高耐食溶融Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板などが用いられる。
【0017】
そして、第1鋼製胴縁構成材2と各第2鋼製胴縁構成材3との接合のため、第1鋼製胴縁構成材2と第2鋼製胴縁構成材3の向き合う周壁部にはそれぞれ、ボルト通孔2a,3aが設けられると共に、第2鋼製胴縁構成材3において、ボルト通孔3aとは反対側の周壁部には作業孔3bが設けられ、第1鋼製胴縁構成材2と第2鋼製胴縁構成材3とは、第2鋼製胴縁構成材3の側から、作業孔3bを通じて、ワンサイドボルト5をボルト通孔2a,3aに挿入し、作業孔3bを通じて工具でワンサイドボルト5の頭部8cを回して締め込むというようにしてボルト接合で接合一体化されている。
【0018】
ワンサイドボルト5は、図2(ハ)(ロ)に示すように、ボルト体8とスリーブ9とで構成されている。ボルト体8は、外周部を雄ネジ部8aとした軸部8bの基端部に頭部8cを備え、該頭部8cの頂面部中心位置に回転操作用の内周異形、例えば内周六角の穴8dを備えたものからなっており、スリーブ9は、基端部に外フランジ部9aを備え、該外フランジ部9aは、ボルト体8の頭部8cよりも平面サイズが大きく、かつ、外周は異形、例えば六角形状をしている。そして、スリーブ9の先端側の半部9bの内周部には、ボルト体8の雄ネジ部8aと螺合する雌ネジ部9cが設けられ、基端側の半部9dは、その内径がボルト体8の軸部8bの外径よりも大きく、かつ、肉厚寸法が先端側半部9bよりも小さく形成されている。
【0019】
ボルト体8の先端部をスリーブ9にその基端側の開口を通じて挿入し、ボルト体8の雄ネジ部8aとスリーブ9の雌ネジ部9cとを螺合させることでワンサイドボルト5が構成され、
該ワンサイドボルト5は、図2(ニ)〜(ヘ)に示すように、重ね合わせ状態にした第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3の周壁部のボルト通孔2a,3aに、第2鋼製胴縁構成材3の側から挿入し、スリーブ9の外フランジ部9aを第2鋼製胴縁構成材3のボルト通孔3aの周囲面に当接させた状態にし、工具で、外フランジ部9aの回転を阻止しながらボルト体8の頭部8cを螺進回転させていけば、スリーブ9の基端側半部9dが塑性変形をして半径線方向外方に膨らんでいき、第1鋼製胴縁構成材2のボルト通孔2aの出口部にバルジ部9eが形成されて、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3の周壁部が、このバルジ部9eと、ボルト体8の頭部8cないしはスリーブ9の外フランジ部9aとで挟み込まれて接合状態が形成されるようになされている。
【0020】
作業孔3bは、ボルト通孔2a,3aへのワンサイドボルト5の挿入、挿入したワンサイドボルト5に対する工具などを用いた締付けのための回転操作を行うことができるサイズの孔に形成されており、例えば直径36mmの丸孔などからなる。
【0021】
なお、第1鋼製胴縁構成材2におけるボルト通孔2a、及び、第2鋼製胴縁構成材3におけるボルト通孔3aと作業孔3bは、上下方向に間隔をおいて複数設けられ、上下方向の複数箇所がワンサイドボルト5でボルト接合されて鋼製縦胴縁1を構成している。
【0022】
また、第2鋼製胴縁構成材3には、他の鋼製胴縁をボルト接合で取り付けるための取付け金物が取り付けられ、該取付け金物は、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、ワンサイドボルトで第2鋼製胴縁構成材3に取り付けられる。
【0023】
上記の鋼製胴縁構造では、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3が、ともに、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3はワンサイドボルト5によりボルト接合されて接合一体化されたものであるから、鋼製胴縁構成材2,3を製作する過程で行われる切断や、ボルト接合のためのボルト通孔2a,3aや作業孔3bの孔明けを行っても、めっき層による犠牲腐食作用が強く働き、それらの部分が原因で後に腐食を生じてしまうというようなことはなく、そのため、接合一体化された鋼製胴縁1に対して、塗装や後めっきをする必要がなく、工場や現場での防食のための工程をなくすことができる。また、このように、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3をボルト接合で接合一体化した構造であるから、それらの接合のための溶接技能者を用意する必要もない。
【0024】
そして、角パイプ状閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材2と接合一体化する第2鋼製胴縁構成材3として、角パイプ状閉鎖断面材が用いられているので、高耐力の鋼製胴縁1を実現することができ、それでいて、溶接で接合する場合のような歪を生じることもない。しかも、第1鋼製胴縁構成材2と第2鋼製胴縁構成材3とは、いずれも角パイプ状の閉鎖断面材からなるものでありながら、向き合う周壁部同士がボルト接合されて接合一体化されているので、安定の良いしっかりとした接合状態を形成することができ、加えて、そのようなボルト接合を、ワンサイドボルト5と作業孔3bとの組み合わせによって、簡素な構造で実現することができる。
【0025】
また、上記の第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3は、接合一体化されて鋼製胴縁1を構成するものであるから、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3同士のワンサイドボルト5を用いた接合は、これを予め工場で行っておくことができ、そのため、第1,第2の鋼製胴縁構成材2,3同士の接合のための相対的位置関係の正確な設定を容易に行うことができて、位置関係の正確な設定を行った後にワンサイドボルト5によるボルト接合を行うことができ、位置関係に関する精度の高い接合をワンサイドボルト5で実現することができる。
【符号の説明】
【0026】
1…鋼製胴縁
2…第1鋼製胴縁構成材
2a…ボルト通孔
3…第2鋼製胴縁構成材
3a…ボルト通孔
3b…作業孔
5…ワンサイドボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖断面の第1鋼製胴縁構成材の側面部に、該第1鋼製胴縁構成材と同じ方向に向けられた第2鋼製胴縁構成材が沿わされ、該第1鋼製胴縁構成材と第2鋼製胴縁構成材とが接合一体化された鋼製胴縁構造において、
前記第2鋼製胴縁構成材が閉鎖断面材からなり、
前記第1,第2の鋼製胴縁構成材は、ともに、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなって、向き合う周壁部同士がワンサイドボルトによりボルト接合されて接合一体化されており、
前記ワンサイドボルトの頭部の側が内部に存在する一方の鋼製胴縁構成材において、前記ワンサイドボルト用のボルト通孔とは反対側の周壁部に、ワンサイドボルトの挿入と締込みを行うための作業孔が設けられていることを特徴とする無塗装・無溶接の鋼製胴縁構造。

【図1】
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【図2】
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