説明

無水フッ酸を含んだ廃液の処理方法と処理設備

【課題】無水フッ酸を含む廃液の送液速度をコントロールすることで異常反応を防止し,安全に中和を行なう。
【解決手段】無水フッ酸を含む廃液が入れられた密閉容器10に不活性ガスを圧入することにより,廃液を密閉容器10から押し出して中和槽11に送液し,中和槽11に予め入れておいたアルカリ液によって廃液を中和処理する。中和槽11内の液温の基準範囲を定めておき,液温が該基準範囲内となるように,中和槽11への廃液の送液流量を調整する。中和槽11内の液のpHの基準範囲を定めておき,pHが該基準範囲内となるように,中和槽11へアルカリ液を投入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,無水フッ酸を含む廃液を中和し,安全に処理する方法と設備に関する。本発明は,特に,密閉容器に保存された工場からの廃酸の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
フロン生成過程では無水フッ酸を含有する廃液が発生する。かかる無水フッ酸を含有する廃液は,大気に触れると揮発してフッ酸ガスが発生するため,焼却炉に直接噴霧することは危険である。特に,タールも一緒に含有している廃液は粘度が高く,焼却炉への噴霧が困難である。また,無水フッ酸を含有する廃液は,大気に触れるとHFガスを発生し,固化する性質がある。そのため,工場等から廃棄された無水フッ酸を含む廃液は,取り扱いを安全に行うためにトンボンベと呼ばれる堅牢な密閉容器に封入した状態で保管されている。この密閉容器内は,廃液の充填,排出時以外は負圧にされ,廃液が外部に漏れ出ないように維持される。
【0003】
かような密閉容器内に保管された廃液を中和処理する場合は,ピットに消石灰スラリーを作り,その液中に密閉容器から廃液を注入し,中和処理していた。また例えば,特許文献1にあるように,フッ化アンモニウム含有水に酸化剤を添加したのち,PH6以上となるようにアルカリ剤を添加する方法がとられている。また,効率よく安全に含ハロゲン有機化合物を分解,無害化するために,特許文献2のように,金属触媒の存在下で含ハロゲン有機化合物を水素供与物質及びアルカリ剤と反応させることにより,含ハロゲン有機化合物を脱ハロゲン水素化する装置が提示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−8971号公報
【特許文献2】特開平11―90460号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法では,中和反応を生じることは可能であるが,密閉された容器内から安全に廃液を排出することが困難であった。また,従来は内容物の送液量をコントロールできず,これはフッ酸,有機物など複数の廃棄物が混合された液を確実,安全に液量をコントロールする技術が無かった。そのため異常反応が生じて液温が急激に上がることにより,HFガス,低沸点の有機物のガスを発生する可能性があった。このため,特許文献2のように排出された液を処理するために大がかりな装置が必要であり,安全管理のコストがかかっていた。
【0006】
従って,酸ならびに酸とタールの混合液を安全かつ,簡便に処理できる方法および装置が望まれていた。本発明は,送液速度をコントロールすることで異常反応を防止し,安全に中和を行なうことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば,無水フッ酸を含む廃液が入れられた密閉容器に不活性ガスを圧入することにより,廃液を前記密閉容器から押し出して中和槽に送液し,前記中和槽に予め入れておいたアルカリ液によって廃液を中和処理することを特徴とする,廃液の処理方法が提供される。
【0008】
前記中和槽内の液温の基準範囲を定めておき,液温が該基準範囲内となるように,前記中和槽への廃液の送液流量を調整するようにしても良い。また,前記中和槽内の液のpHの基準範囲を定めておき,pHが該基準範囲内となるように,前記中和槽へアルカリ液を投入するようにしても良い。また,中和処理が終了した後,生成された中和スラリーを汚泥と混合し,焼却処理するようにしても良い。なお,廃液に,タールが含まれていても良い。不活性ガスは例えばNガスである。
【0009】
また本発明によれば,無水フッ酸を含む廃液を中和処理する廃液の処理装置であって,廃液が入れられた密閉容器と,予めアルカリ液が入れられる中和槽と,前記密閉容器に不活性ガスを圧入する不活性ガス供給源と,不活性ガスの圧入によって前記密閉容器から押し出された廃液を前記中和槽まで送液する配管と,を備えることを特徴とする,廃液の処理設備が提供される。
【0010】
この処理設備は,更に,前記中和槽で発生した排ガスを無害化させる焼却炉を備えていても良い。また,更に,中和槽内における液温を測定するための温度センサと,中和スラリーpHを測定するためのpHセンサと,中和槽内の液面高さを検出する液レベル計を備えていても良い。不活性ガスを用いることでボンベ内の無水フッ酸をガス化することが無いため安全で,かつ,液量をコントロールできるため,ボンベ内の液面水位を安定して制御できることを見出した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,中和槽への廃液の添加速度をコントロールすることができる。これにより,無水フッ酸を含む廃液とアルカリ液の異常反応による温度上昇を抑制し,HFガス,低沸点の有機物のガスの発生量を最小限に押さえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,図面を参照にして説明する。図1は,本発明の実施の形態にかかる廃液の処理装置1の説明図である。この処理装置1は,無水フッ酸を含む廃液が入れられた密閉容器10と,廃液を中和処理するための中和槽11を有している。
【0013】
密閉容器10は,例えば鋼鉄製のトンボンベである。密閉容器10内には,例えば工場などから廃棄された無水フッ酸を含む廃液が,封入した状態で保管されている。密閉容器10内に入れられた廃液は,フッ酸を含有する廃液であり,主にはフッ酸からなり,無水フッ酸も含まれる。例えば,無水フッ酸は,20〜60%程度,他に,タール20〜30%程度,他の無機酸(例えば酢酸)10〜20%程度,有機物30〜40%程度が含まれている。なお,本明細書において特に記載のない場合は,%は質量%を意味する。このように,廃液中には雑多な種類の成分が含まれており,特に無水フッ酸はその危害性から取り扱いを慎重にしなければならない。そのため,密閉容器10の内部は負圧にされ,廃液が外部に漏れ出ないように維持されている。
【0014】
密閉容器10は,質量を測定する計量機能を備えた容器台12の上に置かれており,密閉容器10の重量は常に計量可能になっている。密閉容器10の側面には2つのフランジ口15,16が設けてある。一方のフランジ口15には,不活性ガス供給源であるボンベ17に連通するガス供給配管18が,開閉弁19を介して接続されている。また,他方のフランジ口16には,中和槽11に連通する送液配管20が,開閉弁21を介して接続されている。不活性ガス供給源であるボンベ17に連通するフランジ口15のトンボンベ内の排出口を,トンボンベ上方の壁面に向けることで,廃液面を波立たせること無く排出させることができる。また,無水フッ酸の沸点が約20℃と低いため,密閉容器を冷却すると無水フッ酸がガス化せず,安全,かつ効率よく排出することができる。
【0015】
ボンベ17には,不活性ガスとしてNガス,Arガスなどが高圧状態で充填されている。なお,NガスはHFガスと分子量が近いため,トンボンベ内で発生したHFガスとの混合性もよく,HFがボンベ内の一部に偏ることが無く効率よく排出することができる。また,比較的軽いので,後述するように中和槽11内にて分散しやすく脱気しやすい点で有利である。ボンベ17内の高圧状態は,例えば1MPa以下程度である。
【0016】
このボンベ17と前述の密閉容器10とを接続しているガス供給配管18には,3つの開閉弁25,26,27および減圧弁28と,4つの圧力計30,31,32,33が装着してある。これら各弁25〜28及び前述の開閉弁19の開閉によって,ボンベ17から密閉容器10への不活性ガスの圧入が制御される。また,ボンベ17から密閉容器10への不活性ガスの圧入圧力は,4つの圧力計30〜33によって計測される。
【0017】
中和槽11には,供給ライン34を通じて予めアルカリ液が入れられている。この場合,アルカリ液は,消石灰などのカルシウム系のアルカリ液が好ましい。他のアルカリ溶液も利用できるが,廃液中のフッ素を固定化するためにはカルシウムが含まれるアルカリ液が望ましい。
【0018】
この中和槽11と前述の密閉容器10とを接続している送液配管20の先端は,中和槽11内のアルカリ液中に開口している。送液配管20には,ニードル弁などの流量調整弁35が介在してある。後述するように,密閉容器10へ不活性ガスが圧入されることにより,密閉容器10から押し出された廃液が,送液配管20を通じて中和槽11に送液され,送液配管20の先端を中和層の底部に設置し,アルカリ液中に吐出されるようにすることで大気に触れること無く処理できるようになっている。また,その際,廃液の送液流量が,流量調整弁35によって調整されるようになっている。
【0019】
中和槽11には,中和反応を促進させるために,アルカリ液と廃液を混合させる攪拌機羽根36が設けられている。攪拌機羽根36は,中和槽11内のアルカリ液中に配置されており,モータ37の稼動によって回転することにより,アルカリ液と廃液を混合させるようになっている。
【0020】
また,中和槽11内における液温Tを測定するための温度センサ40と,中和スラリーのpHを測定するためのpHセンサ41が装着してある。その他,図示はしないが,中和槽11内の液面高さを検出する液レベル計等も備えている。また,中和槽11の外壁には,中和槽11内の液温を下げるための水冷ジャケット42が装着されている。
【0021】
中和槽11の上面には,中和槽11内部の液面上方にある雰囲気を排気し,ガス洗浄塔45に送風する排気ファン46を備えた排気ライン47が接続してある。更に,ガス洗浄塔45には,排ガスを燃焼炉51へ送風する排気ライン50が接続してある。
【0022】
さて,以上のように構成された処理設備1において,中和槽11に予めアルカリ液が入れられた状態にされる。この場合,中和槽11に予め入れられるアルカリ液は,これから中和処理する廃液のフッ素濃度と量に応じた濃度,量を用意しておく。この場合,中和槽11に予め入れられるアルカリ液は,例えば消石灰スラリー12%,4mである。
【0023】
そして,ガス供給配管18に設けられた各弁25〜28と,密閉容器10のフランジ口15とガス供給配管18の間に設けられた開閉弁19をそれぞれ開き,ボンベ17に高圧状態で充填されている不活性ガスを,ガス供給配管18から密閉容器10に圧入する。この場合,先ず最初に,密閉容器10のフランジ口15とガス供給配管18の間の開閉弁19を予め開けておいた状態で,ガス供給配管18において密閉容器10側に配置された開閉弁27を開け,圧力計33によって密閉容器10内が負圧であることを確認し,密閉容器10内の廃液がガス供給配管18に逆流しないことを確認する。
【0024】
次に,ボンベ17の元栓となっている開閉弁25を開けた後,減圧弁28によって,ガス供給配管18から密閉容器10に圧入する圧力を例えば0.01MPa程度の所望の供給圧に調整する。この調整は,減圧弁28の開度に連動する圧力計30,31で圧入圧力を計測しながら行う。
【0025】
圧入圧力を所望の供給圧に調整した後,ガス供給配管18を今まで閉じていた開閉弁26を開け,密閉容器10へ不活性ガスを圧入する。このとき,圧力計32によって圧入圧力が正圧0.01MPaであることを確認し,過剰な圧力による暴発を防止する。
【0026】
その後,密閉容器10のフランジ口16と送液配管20の間に設けられた開閉弁21を開く。こうして,前述のように,密閉容器10に不活性ガスを圧入したことにより,密閉容器10内から押し出された廃液を,送液配管20を通して中和槽11に送液する。このように,不活性ガスの圧力によって密閉容器10内から廃液を押し出すことにより,特にタールなどを含有している粘度の高い廃液でも,ボンベ内の液面は安定して中和槽11に円滑に送液できる。この場合,中和槽11への廃液の送液流量は,流量調整弁35によって調整することができる。また,密閉容器10は,計量機能を備えた容器台12の上に置かれているので,密閉容器10の重量の変化から,中和槽11への廃液の送液量を確認することができる。
【0027】
こうして,中和槽11へ送液された廃液は,中和槽11内においてアルカリ液中に吐出される。このため,密閉容器10内の廃液は,送液配管20中から中和槽11までに至る間,大気と接触することなく不活性雰囲気で中和槽11内のアルカリ液中に供給されることになる。また,中和槽11には,送液配管20を通じて,廃液と共に不活性ガスが供給される。こうして,フッ酸の中和を安定して行うことによりHFガスの発生を抑制しながら,中和槽11内において,アルカリ液と廃液が混合され,中和スラリーが生成される。なお,この場合,モータ37の稼動で回転する攪拌機羽根36の攪拌により,アルカリ液と廃液の混合が促進される。
【0028】
中和槽11には,温度センサ40とpHセンサ41が装着してあるので,中和槽11内における液温TとpHが測定される。この場合,これら温度センサ40とpHセンサ41で測定される液温TとpHは,中和槽11内に存在する廃液及びアルカリ液と,それらの反応で生成された中和スラリーが混合した液体の液温TとpHである。さらには図示していないが,液面計を設置することで,有機物の突沸による液面の急上昇を感知して廃液量を調節することで,安全な中和が可能となる。
【0029】
一方,このように中和槽11内においてアルカリ液と廃液を反応させた中和スラリーを生成する中和反応に伴って,中和槽11内の液温Tが上昇する。有機物を含む廃液の場合,温度上昇により蒸発し,白煙が発生してしまう。また,中和槽11内の中和反応を安定かつ安全に行うためには,この液温Tは,予め定めた温度範囲内で行うことが重要である。そこで,液温Tの温度範囲が有機物の沸点以下である70℃以下の範囲内となるように,ボンベ17から密閉容器10に圧入する不活性ガスの圧力と,送液配管20に設けた流量調整弁35を制御することにより,中和槽11への廃液の供給流量を調整する。これにより,中和槽11内におけるフッ酸ガスの発生も更に抑制することが可能となる。
【0030】
中和槽11への廃液の供給流量の調整は,温度センサ40によって測定される液温Tの変化量の増減値,および単位時間当たりの液温Tの増減値に基いて,送液量を制御して行うことができる。例えば,温度センサ40によって測定される液温Tが上昇し過ぎた場合は,送液量を減らし,その逆の場合は,送液量を増やせば良い。この場合,中和槽11への廃液の供給流量は,例えば10kg/min以下とする。
【0031】
中和槽11への廃液の供給流量の調整は,ボンベ17から密閉容器10に圧入する不活性ガスの圧力と,送液配管20に設けた流量調整弁35の開度の両方,もしくは何れか一方を制御することによって行うことができる。この場合,ボンベ17から密閉容器10に圧入する不活性ガスの圧力を一定とし,流量調整弁35の開度のみを調整して送液量を制御すると,送液量をより精度良く制御でき,時間的なレスポンス性も良くなる。また,このような温度制御をより容易にするために,中和槽11内の液温Tを水冷ジャケット42の冷却によって下げることも有効である。この場合,図示はしないが,更に,廃液排出口近傍に設置した冷却水注入口から,冷却水を中和槽11内に供給して冷却することも有効である。
【0032】
また,中和槽11への廃液の供給量が増加することに伴い,中和槽11内の液のpHが次第に下がっていく。そこで,アルカリ性を維持するため,供給ライン34を通じて中和槽11にアルカリ液を追加補充する。この場合,pHセンサ41で測定されるpHが,例えば10以下となった場合に,供給ライン34をから中和槽11内にアルカリ液を投入し,アルカリ性を維持することが望ましい。pHが10以下では,無水フッ酸が完全に逆中和できずに蒸気となる可能性がある。
【0033】
そして,このように中和槽11内で行われる中和反応に伴って発生した排気ガスは,排気ファン46の稼動によって排気ライン47を通じてガス洗浄塔45に送風する。この場合,中和処理中において,廃液中に一緒に含まれていた低沸点の廃棄物(F等を配合した有機物)も蒸発となって,ガス洗浄塔45に送風される。こうして,ガス洗浄塔45で洗浄されてHFを除去された排気ガスは,更に,排気ライン50を通じて燃焼炉51に送風され,熱処理される。
【0034】
一方,容器台12で計量される密閉容器10の重量変化から,中和槽11への廃液の送液量が確認されるので,密閉容器10の重量変化がほとんど見られなくなったら,密閉容器10内の廃液のほぼ全部が押し出され,密閉容器10内がほぼ空になったと見なすことができる。その場合は,密閉容器10内からの廃液の排出が完了したものとして,密閉容器10への不活性ガスの圧入操作を終了する。なお,中和槽11内の液量が増え過ぎて許容量に達した場合も,同様に,密閉容器10への不活性ガスの圧入操作を一旦終了する。
【0035】
そして,中和槽11内におけるアルカリ液と廃液の中和反応が終了した後,中和槽11内に残った中和スラリーを中和槽11から排出する。この場合,中和反応の終了は,前述の温度センサ40とpHセンサ41で測定される液温TとpHによって検出することができるので,安全を確認できる。
【0036】
そして,中和槽11から排出した中和スラリーは,次の工程へ送られる。この中和スラリーを固液分離することによって,無水フッ酸のFを中和残渣中に98.5%程度まで固定することができ,中和液相中に残る無水フッ酸のFを1.5%程度まで低減できるようになる。こうして処理された中和液相は廃液に比べてHF量が非常に少ないため,焼却処理を行っても廃水処理の負担が軽減される。
【0037】
なお,固液分離された中和残渣は,その後,焼却処理されるが,残渣中に固定されたFは,焼却後においても99%以上が残渣中に残ることになる(焼却によるFの揮発は1%未満)。こうして焼却処理された中和残渣を,その後排水処理しても,CaFの形で固定されたFは排水系統に流れずに,中和残渣中に残り,排水のF濃度の上昇を抑えることができ,焼却後の中和残渣は,埋め立て処理することができる。また,こうして焼却処理された中和残渣は,CaFの形でFを固定できるので,廃水処理も省略できるようになる。
【0038】
なお,例えば中和残渣を汚泥と混合し,焼却炉にて焼却処理しても良い。汚泥と混合するのは,焼却処理の際に他の廃棄物と混合することによるガス組成の変動の抑制,偏在の抑制による操業の安定のためである。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は,大気と接触すると大量のHFガスを発生するような,例えば高濃度の無水フッ酸を含有する廃液の中和処理として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態にかかる処理設備の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 処理装置
10 密閉容器
11 中和槽
12 容器台
15,16 フランジ口
17 ボンベ
18 ガス供給配管
19 開閉弁
20 送液配管
21 開閉弁
25,26,27 開閉弁
28 減圧弁
30,31,32,33 圧力計
34 供給ライン
35 流量調整弁
36 攪拌機羽根
37 モータ
40 温度センサ
41 pHセンサ
42 水冷ジャケット
45 ガス洗浄塔
46 排気ファン
47 排気ライン
50 排気ライン
51 燃焼炉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水フッ酸を含む廃液が入れられた密閉容器に不活性ガスを圧入することにより,廃液を前記密閉容器から押し出して中和槽に送液し,前記中和槽に予め入れておいたアルカリ液によって廃液を中和処理することを特徴とする,廃液の処理方法。
【請求項2】
前記中和槽内の液温の基準範囲を定めておき,液温が該基準範囲内となるように,前記中和槽への廃液の送液流量を調整することを特徴とする,請求項1に記載の廃液の処理方法。
【請求項3】
前記中和槽内の液のpHの基準範囲を定めておき,pHが該基準範囲内となるように,前記中和槽へアルカリ液を投入することを特徴とする,請求項1または2に記載の廃液の処理方法。
【請求項4】
中和処理が終了した後,生成された中和スラリーを汚泥と混合し,焼却処理することを特徴とする,請求項1〜3のいずれかに記載の廃液の処理方法。
【請求項5】
廃液に,タールが含まれていることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の廃液の処理方法。
【請求項6】
不活性ガスがNガスであることを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の廃液の処理方法。
【請求項7】
無水フッ酸を含む廃液を中和処理する廃液の処理装置であって,
廃液が入れられた密閉容器と,
予めアルカリ液が入れられる中和槽と,
前記密閉容器に不活性ガスを圧入する不活性ガス供給源と,
不活性ガスの圧入によって前記密閉容器から押し出された廃液を前記中和槽まで送液する配管と,
を備えることを特徴とする,廃液の処理設備。
【請求項8】
更に,前記中和槽で発生した排ガスを無害化させる焼却炉を備えることを特徴とする,請求項7に記載の廃液の処理設備。
【請求項9】
更に,中和槽内における液温を測定するための温度センサと,中和スラリーpHを測定するためのpHセンサと,中和槽内の液面高さを検出する液レベル計を備えることを特徴とする,請求項7または8に記載の廃液の処理設備。

【図1】
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【公開番号】特開2007−98202(P2007−98202A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287872(P2005−287872)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000224798)DOWAホールディングス株式会社 (550)
【Fターム(参考)】