説明

無溶媒反応プロセス

【課題】有効な転相インク要素または固体インク要素を調製するためのアモロファス材料となる有機酸エステルの環境に優しい改良合成プロセスの提供。
【解決手段】少なくとも1つの有機酸(クエン酸または酒石酸)と、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、3-フェニルプロパノール、フェノキシエタノール、3,5,5-トリメチル-1-ヘキサノール、メントール(光学活性体、およびラセミ体)、4-t-ブチルシクロヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノールおよびこれらの混合物からなる群から選択されるアルコールとを、任意要素の触媒存在下、溶媒を実質的に含まない反応混合物中で加熱反応させ、場合により、反応生成物を単離することとを含む、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェットデバイスは、当該技術分野で既知であるため、このデバイスを本明細書でさらに記載する必要はない。米国特許第6,547,380号に記載されるように、インクジェット印刷システムには、一般的に、連続流式とドロップオンデマンド式の2種類がある。連続流式インクジェットシステムでは、インクは、少なくとも1個のオリフィスまたはノズルを通り、加圧された連続流の状態で放出される。この連続流に摂動を加えると、オリフィスから所定の距離で液滴へと分解される。この分解点で、液滴は、再循環するためのガターに向けるため、または、記録媒体の特定の位置に向けるために、デジタルデータ信号にしたがって帯電し、それぞれの液体の軌跡を調節する静電場を通る。ドロップオンデマンドシステムでは、液滴は、デジタルデータ信号にしたがって、オリフィスから記録媒体上の位置へと直接排出される。記録媒体の上に配置される予定がない場合には、液滴は作られないか、排出されない。
【0002】
ドロップオンデマンド式インクジェットシステムには、少なくとも3種類のシステムがある。ドロップオンデマンドシステムのひとつは、主な要素として、末端にノズルを備え、他端の近くに圧電式トランスデューサを備える、インクが充填されたチャネルまたは経路を含み、圧力パルスを作り出す圧電式デバイスである。別の種類のドロップオンデマンドシステムは、音響インク印刷として知られており、音波ビームが物体に衝突すると、物体に対して放射圧が生じる。したがって、音波ビームが、液溜まりの液体/空気界面のような自由表面に下から衝突すると、液溜まりの表面に対して生じる放射圧は、打ち消す力である表面張力があるものの、液溜まりから個々の液滴を放出させるのに十分な高レベルで到達するだろう。液溜まりの表面または表面付近でビームを集光させると、所与の入力電力で生じる放射圧が大きくなる。それ以外の種類のドロップオンデマンドシステムは、サーマルインクジェットまたはバブルジェットとして知られており、高速の液滴を生成する。この種類のドロップオンデマンドシステムの主な要素は、一端にノズルを備え、ノズル付近に熱を発生するレジスタを備える、インクが充填されたチャネルである。デジタル情報をあらわす印刷信号は、オリフィスまたはノズルの付近にある各インク経路の中の抵抗層を通る電流パルスから生じ、すぐ近くにあるインク媒剤(通常は水)をほぼ瞬時に蒸発させ、泡を生じる。オリフィスに存在するインクは、この泡が大きくなるにつれて、加速した液滴として外に出される。
【0003】
基材または中間転写体に直接印刷する転相インクまたは固体インクを利用する圧電式インクジェットデバイスの典型的な設計では(例えば、米国特許第5,372,852号に記載されるもの)、インク吐出ヘッドに対して基材(画像を受け入れる部材または中間転写体)が4〜18回転する(段階的に移動する)間、着色したインクを適切に吐出することによって、画像が塗布される。すなわち、各回転の間、印刷ヘッドを基材に対して少し移動させる。このアプローチは、印刷ヘッドの設計を単純化し、移動を小さくすることによって、液滴の位置決めを良好に行う。吐出部を操作する温度で、液体インクの液滴が印刷デバイスから放出され、インク滴が、直接、または加熱した中間転写ベルトまたは中間転写ドラムを介して記録基材表面に接触すると、インク滴はすばやく固化し、固化したインク滴から所定の模様が作られる。
【0004】
上述のように、インクジェット印刷プロセスは、室温で固体であり、高温では液体であるインクを使用してもよい。このようなインクは、ホットメルトインクまたは転相インクと呼ばれることがある。例えば、米国特許第4,490,731号は、紙のような基材に印刷するために固体インクを分配する装置を開示している。ホットメルトインクを使用するサーマルインクジェット印刷プロセスでは、印刷装置内のヒーターで固体インクを溶融させ、従来のサーマルインクジェット印刷と同様の様式で、液体として利用する(すなわち、吐出する)。印刷基材と接触したら、溶融インクはすばやく固化し、着色剤は、毛細管作用によって基材(例えば、紙)内部に入り込むのではなく、基材の表面にかなりの量が留まり、一般的に液体インクを用いて得られるものよりも印刷密度を高くすることができる。したがって、インクジェット印刷に転相インクを用いる利点は、取り扱い中にインクがこぼれる可能性がないこと、広範囲の印刷密度および印刷品質を与えること、紙のしわまたは歪みが最低限になること、ノズルに蓋をしなくても、ノズルが目詰まりする危険性がなく、無期限に印刷しない期間が可能になることである。
【0005】
圧電式インクジェット印刷の固体インクは、インクが中間転写ドラムに吐出される転写固定モードでうまく印刷されるように設計されている。転写固定印刷プロセスでは、インクは、吐出温度(広範囲には、約75℃〜約180℃以下、典型的には、約110℃〜約140℃)からドラム温度(典型的には、約50℃〜約60℃)まで冷却され、その後、実質的に固相として、インクが紙基材に圧着される。このようなプロセスは、鮮明な画像、吐出部を使用する際の経済性、多孔性を含む紙基材の自由度といった多くの利点を与える。しかし、このようなインクの設計は、コーティングされた紙に塗布する場合には問題となることがある。一般的に、このインクおよび印刷プロセスは、引っかき、折り曲げ、摩擦応力のような紙を取り扱うときの応力に応答して、十分な画像耐久性を与えることができない場合がある。
【0006】
現時点で入手可能な転相インクまたは固体インクによる印刷プロセスは、これらの意図する目的に適している。しかし、印刷したインクに、粘着性および堅牢性のような特定の特性を与えるアモルファス材料が依然として必要とされている。アモルファス材料を調製する現行のプロセスは、大量の溶媒を用い、反応時間が長く、ある場合には、45時間を超える時間が必要である。費用対効果が高く、環境に優しく、有効な転相インク要素または固体インク要素を調製するための改良プロセスがさらに必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
以下の式を有する少なくとも1つの有機酸
【化1】

〔式中、R’は、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基、(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基、(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基である〕
と、以下の式を有する少なくとも1個の化合物とを反応させることと、
【化2】

〔式中、Rは、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される〕
と、任意要素の触媒とを、実質的に溶媒を含まない反応混合物中で反応させ、反応生成物を得ることと;場合により、この反応混合物を加熱することと;場合により、この反応生成物を単離することとを含み、ここで、この反応生成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化3】

〔式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される〕、
または、反応生成物は、以下の式を有する酒石酸エステルであり、
【化4】

式中、酒石酸骨格は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、DL−酒石酸、メソ酒石酸、およびこれらの混合物から選択され、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される、プロセスが記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、比較例の反応と、本プロセスにしたがう無溶媒反応とについて、時間(hour、x軸)に対する転化率%(y軸)を示すグラフである。
【図2】図2は、比較例の反応と、本プロセスにしたがう無溶媒反応とについて、反応プロセス1グラムあたりの溶媒のミリリットル数を示す棒グラフである。
【図3】図3は、比較例の反応と、本プロセスにしたがう無溶媒反応とについて、反応器の処理量(グラム/リットル)を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
少なくとも1つの有機酸と、以下の式
【化5】

を有する少なくとも1つの化合物とを反応させることと、
〔式中、Rは、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約1〜約40個、または約1〜約20個、または約1〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキル基;
(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約3〜約40個、または約6〜約20個、または約6〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリール基;
(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリールアルキル基;または
(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキルアリール基である〕
と、任意要素の触媒とを、実質的に溶媒を含まない反応混合物中で反応させ、反応生成物を得ることと;場合により、反応混合物を加熱することと;場合により、反応生成物を単離することとを含む、プロセスが記載されている。
【0010】
一実施形態では、本明細書の反応生成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化6】

式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される。
【0011】
別の実施形態では、本明細書の反応生成物は、以下の式を有する酒石酸エステルであり、
【化7】

式中、酒石酸骨格は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、DL−酒石酸、メソ酒石酸、およびこれらの混合物から選択され、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される。
【0012】
本明細書のプロセスで使用する有機酸は、任意の適切な有機酸または任意の望ましい有機酸であってもよい。いくつかの実施形態では、1個、2個、または3個のカルボン酸基を含む少なくとも1つの有機酸が使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの有機酸は、以下の式を有するカルボン酸を含み、
【化8】

式中、R’は、
(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約1〜約40個、または約1〜約20個、または約1〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキル基、
(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約3〜約40個、または約6〜約20個、または約6〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリール基;
(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリールアルキル基、または
(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキルアリール基である。
【0013】
特定の実施形態では、少なくとも1つの有機酸は、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、クエン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、酒石酸、およびこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
特定の実施形態では、少なくとも1つの有機酸は、クエン酸である。別の実施形態では、少なくとも1つの有機酸は、酒石酸である。
【0015】
いくつかの実施形態では、この反応は、1つ以上のR−OH化合物(例えば、式R−OH、R−OH、R−OHを有する化合物、またはこれらの混合物)を反応させることを含み、ここで、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、上述のR−OHのRの定義から選択され、いくつかの実施形態では、R、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素原子が約1〜約40個のアルキル基;炭素原子が約3〜約40個のアリール基;炭素原子が約4〜約40個のアルキルアリール基;炭素原子が約4〜約40個のアリールアルキル基から選択される。
【0016】
特定の実施形態では、R−OHは、
【化9】

およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0017】
有機酸およびアルコールは、任意の望ましい量または有効な量で与えられてもよい。一実施形態では、カルボン酸およびアルコールは、有機酸対アルコールが1:1の比率になるように与えられるが、比率は、この範囲からはずれてもよい。
【0018】
本プロセスを、任意の適切な温度または望ましい温度で行ってもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物を加熱することは、約40〜約250℃、または約90〜約205℃、または約130〜約180℃の温度まで加熱することを含むが、温度はこれらの範囲に限定されない。特定の実施形態では、この反応は、約170℃の温度で行われてもよい。いくつかの実施形態では、反応温度プロフィールは、反応速度を上げるように選択されてもよい。
【0019】
この反応は、任意の適切な時間または望ましい時間加熱してもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物を加熱することは、約1〜約48時間、または約4〜約30時間、または約6〜約10時間加熱することを含んでいてもよいが、時間は、これらの範囲に限定されない。
【0020】
特定の実施形態では、反応混合物を加熱することは、約40〜約250℃の温度で約1〜約48時間加熱することを含む。別の特定の実施形態では、反応混合物を加熱することは、約165〜約175℃の温度まで約25〜約30時間かけて加熱することを含む。さらに別の特定の実施形態では、反応混合物を加熱することは、170℃の温度まで約27時間かけて加熱することを含む。
【0021】
本反応のプロセスで、任意の適切な触媒または望ましい触媒を用いてもよい。適切な触媒の例としては、限定されないが、硫酸、リン酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム、ジブチルスズラウレート、ブチルスズ酸、およびこれらの混合物および組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。特定の実施形態では、触媒は、Arkema,Inc.,から入手可能なFascat(登録商標)シリーズの触媒から選択されてもよい(例えば、Fascat(登録商標)4100)。触媒は、任意の有効な量で選択されてもよい。例えば、触媒は、反応混合物の約0.01〜約1重量%の量で存在していてもよいが、これらの範囲に限定されない。
【0022】
このプロセスは、さらなる処理工程を含んでいてもよい。このプロセスは、生成物を冷却し、単離する工程をさらに含んでいてもよく、これらの工程は、当業者の技術知識にしたがって行うことができる。これらの処理工程のための種々の技術は、化学技術分野で既知である。
【0023】
いくつかの実施形態では、このプロセスは、反応混合物を室温まで冷却することと、反応混合物を溶媒で処理することとを含む。本反応のプロセスが無溶媒反応プロセスを含む場合、その下流にある処理で溶媒を用いてもよい。例えば、最終的な樹脂生成物を反応容器から取り出し、洗浄溶液との混合を促進し、物質を容器間などで移動しやすくするために、最低限の量の溶媒を用いてもよい。いくつかの実施形態では、このプロセスは、反応混合物を室温まで冷却することと、反応混合物を、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレンからなる群から選択される有機溶媒で処理することとを含む。洗浄溶媒の量は、最低限である。いくつかの実施形態では、洗浄溶媒の量は、反応生成物1グラムあたり、洗浄溶媒が約0〜約2ミリリットル、または約0.5〜約1.5ミリリットル、または約0.75〜約1ミリリットルである。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書のプロセスは、反応混合物を溶媒で処理することを含み、使用する溶媒の合計量は、反応生成物1グラムあたり、約1.5ミリリットル未満であるか、または、使用する溶媒の合計量は、反応生成物1グラムあたりの溶媒が、約1ミリリットル未満である。さらなる実施形態では、本明細書のプロセスは、反応混合物を室温まで冷却することと、反応混合物を溶媒で処理することとを含み、使用する溶媒の合計量は、反応生成物1グラムあたりの溶媒が、約1.5ミリリットル未満であるか、または約1ミリリットル未満である。
【0025】
このプロセスは、例えば、エバポレーションまたは蒸留による水の除去を含んでいてもよい。このプロセスは、当業者の技術知識にしたがって、さらなる化学合成工程をさらに含んでいてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、反応生成物を、任意の適切な方法または望ましい方法によって、例えば、反応生成物を濾過することによって単離してもよい。このプロセスは、反応生成物を乾燥することをさらに含んでいてもよい。乾燥は、任意の適切な温度または望ましい温度で、任意の適切な方法または望ましい方法によって行ってもよい。いくつかの実施形態では、減圧下で乾燥させてもよい。任意の適切な温度または望ましい温度、例えば、約20〜約250℃、または約30〜約200℃、または約80〜約120℃で、任意の適切な時間または望ましい時間、例えば、約0.1〜約48時間、または約1〜約24時間、または約6〜約8時間乾燥させてもよい。
【0027】
一実施形態では、本明細書の反応生成物は、以下の式を有する化合物であってもよく、
【化10】

式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約1〜約40個、または約1〜約20個、または約1〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキル基;(ii)ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約3〜約40個、または約6〜約20個、または約6〜約10個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、炭素原子が約4〜約40個、または約7〜約20個、または約7〜約12個の(炭素原子の数は、これらの範囲からはずれていてもよい)アルキルアリール基から選択される。
【0028】
別の実施形態では、本明細書の反応生成物は、以下の式を有する酒石酸エステルであってもよく、
【化11】

式中、酒石酸骨格は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、DL−酒石酸、メソ酒石酸、およびこれらの混合物から選択され、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ独立して、上述のRおよびRから選択される。
【0029】
特定の実施形態では、反応生成物は、以下の式を有する化合物である。
【化12】

【0030】
本プロセスによって、アモルファス樹脂を調製することができ、反応工程は無溶媒であり、適切な触媒を使用して反応を促進する。本発明の反応プロセスは、以前の溶媒系反応プロセスよりも高速で進行し、処理量は、以前の溶媒系反応プロセスよりも多い。さらに、本プロセスは、全体的な溶媒使用量を減らしたため、環境に優しい。
【0031】
本明細書のいくつかの実施形態では、反応の転化率%は、約30時間未満で約88%である。本明細書のさらなる実施形態では、反応の転化率%は、約26時間未満で約88%である。
【0032】
さらなる実施形態では、反応の処理量は、反応器の空間1リットルあたり、生成物が約350グラムである。
【実施例】
【0033】
(比較例1)
以下の反応スキームにしたがって比較例の溶媒系反応を行い、クエン酸エステルを製造した。
【化13】

【0034】
2リットルのステンレス製Buchi反応器にディーンスタークトラップを取り付け、これに98.5グラム(0.5mol)のクエン酸と、240.4グラム(1.5mol)のDL−メントールと、1,230ミリリットルのキシレンを加え、懸濁物を得た。1.95グラム(0.01mol)のp−トルエンスルホン酸一水和物を加え、混合物を45時間環流させ、共沸によって水を除去した。ディーンスタークトラップを介して除去された水の容積によって、反応の転化率を監視した。反応混合物を室温まで冷却し、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し(1回)、塩水で洗浄し(2回)、次いで、MgSOで乾燥させた。濾過し、減圧蒸留によって溶媒を除去した後、120℃で減圧状態にして残渣を乾燥させ、250.5グラム(収率:80%)のアモルファス固体生成物を得た。
【0035】
(実施例2)
本開示にしたがって、無溶媒反応を以下のように行った。2リットルのステンレス製Buchi反応器にディーンスタークトラップを取り付け、これに287.4グラム(1.5mol)のクエン酸と、701.3グラム(4.5mol)、0.9グラムのFascat(登録商標)4100触媒(Arkema,Inc.から入手可能)を加えた。混合物を170℃まで加熱し、ディーンスタークトラップを介して水を除去しつつ、27時間維持した。反応混合物を室温まで冷却し、下流の処理のために750ミリリットルのキシレンに加えた。この溶液を10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し(1回)、塩水で洗浄し(2回)、次いで、MgSOで乾燥させた。濾過し、減圧蒸留によって溶媒を除去した後、120℃で減圧状態にして残渣を8時間乾燥させ、699.3グラム(収率:77%)のアモルファス固体生成物を得た。
【0036】
実施例2には、下流のプロセスのために最低限の溶媒を使用する、無溶媒反応プロセスを示した。いくつかの実施形態では、この無溶媒反応プロセスの最終的な樹脂生成物を反応器から取り出し、洗浄溶液との混合を促進し、物質を容器間で移動しやすくするために、最低限の溶媒に入れた。本明細書のプロセスは、洗浄溶媒の容積を最低限にすることのみを含むか、または、それに加えて溶媒の使用を最低限にするか、または溶媒を使用しない代替的な精製方法と組み合わせてもよい。
【0037】
図1は、実施例2の本発明の無溶媒反応プロセスおよび比較例1の溶媒系反応の反応速度を示す。図1のグラフは、比較例1の溶媒系反応と、実施例2の無溶媒反応とについて、時間(hour、x軸)に対する転化率(%、y軸)をまとめている。図1からわかるように、反応中に溶媒が存在しない本発明の無溶媒反応プロセスの方が、反応速度が速い。
【0038】
図2は、比較例1の比較例の反応と、本プロセスにしたがう実施例2の無溶媒反応について、反応プロセス1グラムあたりの溶媒のミリリットル数を示す。図2に示されているように、無溶媒反応プロセスによって、溶媒の使用量が減るか、使用しなくてもよくなり、溶媒の使用量は、可能な限り、下流の洗浄操作に限定される。
【0039】
図3は、比較例1の比較例の反応と、本プロセスにしたがう実施例2の無溶媒反応について、反応器の処理量(グラム/リットル)を示す。本発明の無溶媒反応と、溶媒系反応について、反応器の処理量(反応器の空間1リットルあたり、生成物のグラム数)を比較し、本発明の無溶媒反応プロセスが、いくつかの実施形態で、所与の反応器容積で、どのようにして処理量を約3倍にするのかを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する少なくとも1つの有機酸
【化14】

〔式中、R’は、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基、(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基、(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基である〕
と、以下の式を有する少なくとも1個の化合物
【化15】

〔式中、Rは、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される〕
と、任意要素の触媒とを、実質的に溶媒を含まない反応混合物中で反応させ、反応生成物を得ることと;
場合により、前記反応混合物を加熱することと;
場合により、前記反応生成物を単離することとを含み、
ここで、この反応生成物は、以下の式を有する化合物であり、
【化16】

〔式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される〕;または
反応生成物は、以下の式を有する酒石酸エステルであり、
【化17】

式中、酒石酸骨格は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、DL−酒石酸、メソ酒石酸、およびこれらの混合物から選択され、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される、プロセス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの有機酸が、クエン酸または酒石酸である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
R−OHは、
【化18】

およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記反応混合物を室温まで冷却し、この反応混合物を溶媒で処理することをさらに含み、
使用する溶媒の合計量は、反応生成物1グラムあたり、溶媒が約1.5ミリリットル未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記反応混合物を溶媒で処理することをさらに含み、使用する溶媒の合計量が、反応生成物1グラムあたり、溶媒が約1.5ミリリットル未満であるか、または、使用する溶媒の合計量が、反応生成物1グラムあたり、溶媒が約1ミリリットル未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記反応生成物が、以下の式を有する化合物であり、
【化19】

式中、R、RおよびRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、R、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基;または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記反応生成物が、以下の式を有する酒石酸エステルであり、
【化20】

式中、酒石酸骨格は、L−(+)−酒石酸、D−(−)−酒石酸、DL−酒石酸、メソ酒石酸、およびこれらの混合物から選択され、RとRは、同じであってもよく、異なっていてもよく、RおよびRは、それぞれ独立して、(i)直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキル基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキル基;(ii)置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリール基に存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリール基;(iii)置換または非置換であってもよく、アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アリールアルキル基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アリールアルキル基、または、(iv)置換または非置換であってもよく、アルキルアリール基のアルキル部分が、直鎖または分岐、飽和または不飽和、環状または非環状、置換または非置換であってもよく、ヘテロ原子が、アルキルアリール基のアリール部分またはアルキル部分のいずれかに存在していてもよく、存在していなくてもよい、アルキルアリール基から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記反応生成物が、以下の式を有する化合物である、請求項1に記載のプロセス。
【化21】

【請求項9】
前記反応の転化率%は、約30時間未満で約88%の変換率である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応器の処理量が、反応器の空間1Lあたり、生成物が約350gである、請求項1に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−232974(P2012−232974A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87720(P2012−87720)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】