説明

無端ベルト及びその製造方法並びに定着装置及び画像形成装置

【課題】樹脂層と金属層とが剥離し難い無端ベルトを提供する。
【解決手段】外周面の少なくとも周方向に沿って複数の突出部20を有し、該複数の突出部のそれぞれの先端20Aが周方向の一方の側に向くように前記複数の突出部が形成されている環状の樹脂層10Aと、前記樹脂層の外周面上に形成されている金属層10Bと、を有する無端ベルト10。無端ベルトを電磁誘導加熱方式の定着装置の定着ベルトとして駆動して回転させる場合は、樹脂層の前記複数の突出部のそれぞれの先端が向いている側の周方向に回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルト及びその製造方法並びに定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、誘導加熱方式により定着部材を加熱する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
電磁誘導加熱定着方式は、発熱層を有する加熱定着用部材と加圧部材のほかに、コイル及び高周波電源を必要とする。コイルは加熱定着用部材の内部あるいは外部の加熱定着用部材に近接した位置に設置され、高周波電源と電気的に接続される。この高周波電源により高周波の交流電流をコイルに流す。コイルには電流の向きに応じてコイルが巻回された面に直交する向きに磁束が発生する。磁束は、コイルに近接して設置された加熱定着用部材の発熱層を横切ることとなり、加熱定着用部材の発熱層には、この磁束を打ち消す方向に磁界を発生する渦電流が発生する。発熱層は、その材質と厚さで決まる抵抗値を持っているため、発生した渦電流による電気エネルギーは熱エネルギーに変換される。電磁誘導加熱方式の定着装置(電磁誘導加熱定着装置)は、このようにして発生する熱を利用して記録媒体上の画像を定着させる。
【0003】
電磁誘導加熱定着装置では、本来加熱したい部材の表面が、効果的に、かつ、高熱効率で加熱されるため、加熱定着用部材として熱容量の小さい定着ベルトを用いることにより、定着開始時間が大幅に短縮される。
電磁誘導加熱定着装置の中でも、定着ベルトと加圧ロールとで構成される定着装置においては、定着ベルトは加圧ロールの回転に伴って逆方向に回転(従動)するように構成されるのが一般的である。
【0004】
一方、加圧ロールの熱膨張や、定着ベルトと加圧ロールとの間の滑り(スリップ)の影響を回避する目的で、定着ベルトの両端部にギア部材を装着し、ギア部材を駆動源に連結させて定着ベルトを直接的に駆動する技術が提案されている(特許文献3〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−352804号公報
【特許文献2】特開2000−188177号公報
【特許文献3】特開2005−249958号公報
【特許文献4】特開2006−47768号公報
【特許文献5】特開2006−227106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、樹脂層の外周面が単に粗面化されている無端ベルトに比べ、樹脂層と金属層とが剥離し難い無端ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、外周面の少なくとも周方向に沿って複数の突出部を有し、該複数の突出部のそれぞれの先端が周方向の一方の側に向くように前記複数の突出部が形成されている環状の樹脂層と、前記樹脂層の外周面上に形成されている金属層と、を有する無端ベルトである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の無端ベルトであって、前記樹脂層の前記複数の突出部のそれぞれの先端が向いている側の周方向に回転する定着ベルトと、前記定着ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる加熱手段と、前記定着ベルトの外周面の一部を加圧するとともに、前記定着ベルトが前記複数の突出部の先端が向いている側の周方向に回転することに伴って該周方向とは逆方向に回転する加圧部材と、を有する定着装置である。
請求項3の発明は、請求項1に記載の無端ベルトである定着ベルトと、前記定着ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる加熱手段と、前記定着ベルトの外周面の一部を加圧しながら回転することに伴って、前記定着ベルトを前記樹脂層の前記複数の突出部の先端が向いている側の周方向とは逆方向に回転させる加圧部材と、を有する定着装置である。
請求項4の発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体に定着させる定着手段であって、請求項2又は請求項3に記載の定着装置と、を備えた画像形成装置である。
請求項5の発明は、環状の樹脂層を準備し、前記樹脂層を周方向に回転させるとともに、該樹脂層の外周面に砥粒を当てる領域が、該砥粒を当てる方向から見て前記樹脂層を回転させる中心軸の位置と重ならないように前記樹脂層の外周面に前記砥粒を当てることにより、複数の突出部をそれぞれの先端が周方向の一方の側に向くように前記樹脂層の外周面の少なくとも周方向に沿って形成する工程と、前記樹脂層の外周面に金属層を形成する工程と、を含む無端ベルトの製造方法である。
請求項6の発明は、前記樹脂層の外周面に砥粒を当てる領域が、該砥粒を当てる方向から見て前記樹脂層を回転させる中心軸の位置よりも上流側となるように、前記樹脂層の外周面に前記砥粒を当てる請求項5に記載の無端ベルトの製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、樹脂層の外周面が単に粗面化されている無端ベルトに比べ、樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される無端ベルトが提供される。
請求項2に係る発明によれば、樹脂層の外周面が単に粗面化されている定着ベルトを備えている電磁誘導加熱方式の定着装置に比べ、定着ベルトの樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される電磁誘導加熱方式の定着装置が提供される。
請求項3に係る発明によれば、樹脂層の外周面が単に粗面化されている定着ベルトを備えている電磁誘導加熱方式の定着装置に比べ、定着ベルトの樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される電磁誘導加熱方式の定着装置が提供される。
請求項4に係る発明によれば、加圧部材を駆動して回転させる電磁誘導加熱方式の定着装置を備えた画像形成装置において、樹脂層の外周面が単に粗面化されている定着ベルトを備えている場合に比べ、定着ベルトの樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される画像形成装置が提供される。
請求項5に係る発明によれば、樹脂層の外周面が単に粗面化されている無端ベルトに比べ、樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される無端ベルトが得られる無端ベルトの製造方法が提供される。
請求項6に係る発明によれば、樹脂層の外周面が単に粗面化されている無端ベルトに比べ、樹脂層と金属層との間の剥離が抑制される無端ベルトがより確実に得られる無端ベルトの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る無端ベルトの周方向の断面を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る定着装置の構成を示す概略図である。
【図3】本実施形態に係る無端ベルトの樹脂層の周方向の断面の一部を示す概略図である。
【図4】本実施形態に係る無端ベルトの樹脂層の外周面の一部を示す概略図である。
【図5】本実施形態に係る定着ベルトを構成する樹脂層の外周面をささくれた状態に粗面化加工する方法の一例を示す概略図である。
【図6】外周面がささくれた状態に粗面化加工された樹脂層の一部を示す概略図である。
【図7】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図8】比較例1において樹脂層の外周面を粗面化加工する方法を示す概略図である。
【図9】他の実施形態に係る無端ベルトの樹脂層の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
一般的に、定着ベルトは剛性が低く、定着ベルトと定着ベルトを支持する支持部材(押圧部材)との摺動抵抗や、接触領域内での繰り返しの歪み等により、接着性の低い樹脂層と金属層との間で剥離が生じて金属層に亀裂が生じて加熱されないトラブルや、剛性低下による座屈が懸念される。
本実施形態に係る無端ベルトは、このような樹脂層と金属層との間の剥離が効果的に抑制される構成を有している。
【0011】
<無端ベルト>
図1は、本実施形態に係る無端ベルトの周方向における断面構成を概略的に示し、図2は、本実施形態に係る無端ベルトを定着ベルトとして備えた電磁誘導加熱方式の定着装置(適宜「電磁誘導加熱定着装置」、「定着装置」という。)を概略的に示している。
本実施例形態に係る無端ベルト10(適宜「定着ベルト」、「ベルト」という。)は、内周面側から外周面側に向けて、基材となる樹脂層(樹脂基材層)10A、下地金属層(金属アンカー層)10B、金属発熱層10C、金属保護層10D、弾性層10E、離型層10Fがこの順に積層されている。以下、各構成要素について説明する。
【0012】
[樹脂層]
定着ベルト10の基材となる樹脂層10Aは、隣接して設けられた金属発熱層10Cが発熱し、電磁誘導加熱定着装置100内で定着温度においてベルト10の周方向に繰り返して搬送(回転)されても物性の低下がなく、高強度を維持する樹脂層であり、主として耐熱性樹脂から構成されることが望ましい(本明細書において、「主として」、「主成分」とは、質量比で50%以上であることを意味する。)。
【0013】
耐熱性樹脂から主に構成される樹脂層10Aの場合、定着ベルト10の内周面と接触する押圧部材13との摺動性が確保され、押圧部材13の長寿命化が図られる。更に、耐熱性樹脂には断熱効果があるため、金属発熱層10Cで発生した熱を押圧部材13へ逃がすことなく効率よく使われる。
【0014】
樹脂層10Aを構成する耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱・高強度樹脂等が挙げられるが、これら以外にも、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。これらの中でも、ポリイミドが望ましい。
また、耐熱性樹脂中に断熱効果のあるフィラーを加えたり、耐熱性樹脂を発泡させることにより、断熱効果を更に向上させてもよい。
【0015】
樹脂層10Aの厚さは、定着ベルト10の長期にわたる繰り返しの搬送(回転)を実現する剛性と柔軟性とを両立させる観点から、10μm以上200μm以下の範囲が望ましい。樹脂層の厚さが10μm以上であれば剛性が比較的強く、回転中に皺が発生したり、縁部に亀裂が生じることが効果的に抑制される。一方、樹脂層の厚さが200μm以下であれば、柔軟性が確保され易く、熱容量の増大が抑制され、ウォームアップ時間の短縮化が図られる。
なお、樹脂層10Aの厚さは、渦電流式膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定される値である。
【0016】
樹脂層10Aの外周面には、図3及び図4に示すように、ささくれのような微小な突出部20が多数形成されており、各突出部20の先端20Aが周方向の一方(矢印B方向)の側に向いている。このように樹脂層10Aの外周面において、先端20Aが同じ周方向側に向くように多数の突出部20が外周面の全体にわたって形成されていることで、樹脂層10A上に形成された金属層10B,10C,10Dのうち、少なくとも下地金属層10Bに、場合によっては発熱層10Cにも、さらには保護層10Dにも突出部20が食い込むような積層構造となり、樹脂層10Aと金属層10Bとの間で高い密着力が確保される。
【0017】
なお、樹脂層10Aの外周面に形成されている各突出部20は、図3に示すように、突出部20の先端20Aを通る周方向の断面で見たときに、突出部20の先端(頂点)20Aと突出部20の先端が向いている側の根元20Bを結ぶ線の傾斜角度をθ1、突出部20の先端20Aと他方側の根元20Cを結ぶ線の傾斜角度をθ2としたときに、θ1>θ2の関係にある。例えば、θ1は70°以上150°以下の範囲であり、θ2は30°以上80°以下の範囲であり、かつ、θ1>θ2の関係を満たすことによって、樹脂層10Aと金属層10Bとの間でより高い密着力が確保される。
【0018】
このように樹脂層10Aの外周面において、先端20Aが周方向の一方の側に向くように突出部20を形成する方法は特に限定されないが、例えば、樹脂層10Aの表面の特定の領域に砥粒を当てて粗面化加工する方法が挙げられる。砥粒を当てる方法としては、乾式ブラスト及び湿式ブラストが好ましい。湿式ブラストは液体ホーニングとも呼ばれ、砥粒を、0.2MPa〜5.0MPa程度の水圧の水とともに吹き付けて粗面化する方法であり、砥粒の飛散による作業環境への影響が少ないことや、吐出ノズルの目詰まりが起きにくい等の長所がある。
砥粒としては、樹脂層10Aの材質にもよるが、例えば、粒径が10μm〜100μm程度のアルミナ、シリコンカーバイト等の砥粒が用いられる。
【0019】
例えば、円筒形の支持体の周囲に公知の塗布法によって樹脂層を形成し、樹脂層を周方向に回転させるとともに、砥粒を当てる方向から見て樹脂層10Aを回転させる中心軸の位置と重ならない領域に砥粒を当てる。より具体的には、図5に示すように、液体ホーニング装置の吐出ノズル30から砥粒32を当てる方向(矢印P方向)から見て、樹脂層10Aの外周面に砥粒32を当てる領域が、樹脂層10Aを回転させる中心軸Cの位置よりも上流側となるように樹脂層10Aの外周面に砥粒32を当てる。これにより、図6に示すように、樹脂層10Aの外周面が周方向に沿って一方向(加工時の回転方向F)にささくれた状態に粗面化される。すなわち、樹脂層10Aの外周面に形成された突出部20の先端が周方向の一方(加工時の回転方向F)の側に向くように樹脂層10Aの外周面に多数の突出部20が形成される。
【0020】
樹脂層10Aと金属層10Bとの密着力を確実に向上させる観点から、樹脂層10Aの表面粗さRaは0.2μm以上1.5μm以下の範囲が好ましく、0.3μm以上1.0μm以下の範囲がより好ましい。ここで、樹脂層10Aの外周面の表面粗さは、表面粗さ測定機(東京精密製サーフコム1500DX)により、解析規格:JIS B0601(1994)に準じて測定される算術平均粗さRa値である。
【0021】
なお、砥粒32を当てる方向から見て樹脂層10Aを回転させる中心軸Cの位置よりも下流側となる領域に砥粒を当ててもよいが、上流側の領域に当てる方が突出部(突起)20が形成され易く、有利である。
また、上記のように突出部20の向きが周方向に沿って方向性を有するように樹脂層10Aの外周面をささくれた状態に粗面化加工する方法としては、ブラストに限定されず、例えば、砥粒の自由落下によって粗面化加工する方法を採用してもよい。この場合も樹脂層10Aの外周面に砥粒を当てる領域が中心軸Cからずれるようにすれば周方向の一方の側に傾いた突出部20が形成される。
さらに、上記のような砥粒を用いて粗面化加工を行う方法に限定されず、例えば、樹脂層10Aの外周面に形成すべき突出部20のパターンとは逆の凹凸パターンを有する金型を用意し、この金型を樹脂層10Aの外周面に押し付けて突出部20を形成する方法を採用してもよい。
【0022】
[下地金属層]
下地金属層10Bは、例えば、耐熱性樹脂で構成される樹脂層10Aの外周面に金属発熱層10Cを形成するために設ける層であり、必要に応じて形成される。金属発熱層10Cの形成方法としては、コスト等の観点から電解めっき法が挙げられるが、耐熱性樹脂で構成される樹脂層10Aに直接電解めっきを行うことは困難である。そこで、金属発熱層10Cを形成するために、下地金属層10Bが必要となる。このような下地金属層10Bを形成する方法としては、化学めっき法が望ましく、特に、一般的な化学ニッケルめっきが望ましい。
下地金属層10Bの厚さは、ベルト10の柔軟性を損なわない厚さとし、例えば0.1μm以上10μm以下の範囲である。
【0023】
[金属発熱層]
金属発熱層10Cは、電磁誘導加熱定着装置100において、コイルから発生する磁界により渦電流を発生させることで発熱する機能を有する層であり、電磁誘導作用を生ずる金属で構成される。
電磁誘導作用を生ずる金属としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、金、銀、アルミニウム、クロム、錫、亜鉛などの単一金属、もしくは2種類以上の元素からなる合金(スチール等)から選択される。コスト、発熱性能、及び加工性を考慮すると、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄、クロムが適しており、特に、銅あるいは銅を主成分とする合金が望ましい。
【0024】
金属発熱層10Cの厚さは、その材質によって適切な厚さは異なるが、例えば銅を金属発熱層10Cに用いる場合には、3μm以上50μmの範囲の厚さとすればよい。金属発熱層10Cの厚さが3μm未満になると、金属発熱層10Cの抵抗値が高くなることにより、十分な渦電流が発生し難くなり発熱が不足し、ウォームアップ時間が長くなるか、或いは定着可能温度まで十分に加熱されない場合がある。また、前記金属発熱層10Cの厚さが50μmを超えると、十分な発熱は得られるものの、層自体の熱容量が大きくなってしまうことからウォームアップ時間が長くなってしまう場合がある。
【0025】
[保護層]
保護層10Dは、発熱層10Cの繰り返しの変形による割れや、長時間の繰り返し加熱による酸化劣化等を抑制し、発熱特性を維持するために、発熱層10C上に設ける層である。特に、銅を主成分とする金属発熱層10Cを用いる場合には、強度が小さく、繰り返しの変形に弱い為、割れを発生させたり、長時間の繰り返し加熱での酸化劣化等から、発熱特性が低下する場合がある。そこで、発熱層10Cの上に保護層10Dを設けることにより、割れの発生および酸化が抑制される。
【0026】
保護層10Dは、薄膜であって、耐久性及び耐酸化性が高い耐酸化金属で構成すればよい。金属保護層10Dを形成する方法としては、薄膜での加工性も考慮し、電解めっき法が挙げられ、中でも、強度が高い金属膜が得られる電解ニッケルめっきが望ましい。
保護層10Dの厚さは、その材質によって適切な厚さは異なるが、例えば保護層10Dとしてニッケルを用いる場合には、その厚さは例えば2μm以上20μm以下の範囲とする。保護層10Dの厚さが2μm以上であれば、破断強度が不足して割れが発生することが抑制される。一方、保護層10Dの厚さが20μm以下であれば、定着ベルト10の柔軟性が保たれ、保護層自体の熱容量が大きくなることが抑制されため、ウォームアップ時間の短縮化が図られる。
なお、金属発熱層10C及び金属保護層10Dの厚さは、蛍光X線膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定した値である。
【0027】
本実施形態の定着ベルト10は、樹脂層10Aの外周面上に3層の金属層(下地金属層10B、金属発熱層10C、及び金属保護層10D)を有するが、これに限定されず、金属層は単層であってもよいし、2層であってもよいし、4層以上であってもよい。例えば、下地金属層10Bを設けず、樹脂層10Aの外周面上にスパッタリング法などによって金属発熱層10Cを直接設けてもよい。
【0028】
[弾性層]
弾性層10Eは、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルト10の表面がトナー像に密着する役割を担う層である。
特に、カラー画像を形成する場合には、記録媒体上に単色黒・マゼンタ・イエロー・シアンの4色のトナーが積層した状態でトナー画像を定着させる必要があるが、弾性層10Eを有さない回転体(定着ベルト)を用いると、積層されたトナーを押しつぶしてしまう場合がある。記録媒体に近い(すなわち、積層された下層にある)トナーに対して十分な熱が与えられないために、発色性が低下してしまう場合がある。一方、弾性層10Eを設けておけば、積層されたこれら4色のトナーに熱量を与えることで4色が溶融しあって鮮明なカラー画像が得られ、記録媒体及びトナー像の加熱ムラによる発色性の低下及び光沢ムラが抑制された画像が得られ易い。
また、白黒画像を形成する場合でも、弾性層10Eを設けておけておけば、弾性層10Eが、定着ベルト10と加圧部材(加圧ロール)との接触領域内で変形し、低荷重でも十分な接触幅が得られるため、高速であってもトナーへ熱が伝達されて定着が行われる。
【0029】
弾性層10Eは、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する材料から構成される層とする。弾性層10Eを構成する材料としては、公知の弾性材料が挙げられ、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性のゴムを用いることが望ましい。具体的には、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
【0030】
[離型層]
離型層10Fは、加熱定着用ベルトとして未定着のトナー像を溶融状態として記録媒体に固着させる際に、溶融状態のトナーが加熱定着用ベルト10に固着することを防ぐ目的で形成される。離型層10Fは必要に応じて設ければよい。
離型層10Fは、フッ素系化合物を主成として形成することが好ましい。フッ素系化合物としては、例えば、フッ素ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂などが挙げられる。
【0031】
離型層10Fの厚さは、例えば10μm以上100μm以下である。離型層10Fの厚さが10μm以上であれば、記録媒体として用いる用紙の縁との繰り返し擦擦により離型層10Fが摩滅することが抑制される。一方、離型層10Fの厚さが100μm以下であればベルト10の表面の柔軟性が確保される。その結果、トナーを押しつぶす力が抑制され、定着画像の粒状性が維持され、ウォームアップ時間の短縮化が図られる。
【0032】
<定着装置>
次に、上記無端ベルト10を定着ベルトとして備えた電磁誘導方式の定着装置100について説明する。
図2に示されるように、定着ベルト10の一部を加圧するように加圧ロール(加圧部材)11が配置され、定着ベルト10と加圧ロール11との間に接触領域が形成されている。この接触領域において、定着ベルト10は、加圧ロール11の周面に沿った形に湾曲する。
【0033】
加圧ロール11は、基材11A上にシリコーンゴム等による弾性体層11Bが形成され、さらに弾性体層11B上にフッ素系化合物による離型層11Cが形成されて構成されている。
【0034】
定着ベルト10の内側には、加圧ロール11と対向する位置に押圧部材13が配置されている。押圧部材13は、金属、耐熱樹脂、耐熱ゴム等からなり、定着ベルト10の内周面に接して局所的に圧力を高めるパッド13Bと、パッド13Bを支持する支持体13Aを有している。
【0035】
定着ベルト10を中心として加圧ロール11と対向する位置には、電磁誘導コイル(励磁コイル)12aを内蔵した電磁誘導加熱装置12が設けられている。電磁誘導加熱装置12は、電磁誘導コイルに交流電流を印加することにより、発生する磁場を励磁回路で変化させ、定着ベルト10の金属発熱層10Cに渦電流を発生させる。この渦電流が金属発熱層10Cの電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、結果的に定着ベルト10の表面が発熱する。尚、電磁誘導加熱装置12の位置は図2に示す位置に限定されず、例えば、定着ベルト10の接触領域に対して回転方向Bの上流側に設置されていてもよいし、定着ベルト10の内側に設置されていてもよい。
【0036】
本実施形態に係る電磁誘導加熱方式の定着装置100は、不図示の駆動装置により定着ベルト10の両端に配置されたギアに駆動力が伝達されることで、定着ベルト10が矢印B方向に自己回転し、定着ベルト10の回転に伴って加圧ロール11は逆方向、すなわち矢印C方向にする。
未定着トナー像14が形成された記録材15は、矢印A方向に、定着装置100における定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域に通され、未定着トナー像14を溶融状態として圧力で記録材15に定着させる。
【0037】
このような構成のベルト駆動型の定着装置100において、定着ベルト10は、樹脂層10Aの表面に形成されたささくれ状の突出部20の先端20Aが向いている側の周方向(図2及び図3における矢印B方向)に回転するように搭載されている。このように樹脂層10Aの外周面に形成されている突出部20の向きと定着ベルト10の回転方向を合わせることで、定着ベルト10は、樹脂層10Aの突出部20が下地金属層10Bに楔として刺さる方向に回転するため、樹脂層10Aと金属層10Bとの剥離が効果的に抑制されることになる。
【0038】
一方、加圧ロール11が自己回転し、加圧ロール11の回転に伴って定着ベルト10を回転させる加圧ロール駆動型の定着装置としてもよい。この場合は、定着ベルト10が樹脂層10Aの外周面の突出部20の先端20Aが向いている側の周方向とは逆方向に回転するように加圧ロール11を回転させる。このように加圧ロール11を回転させれば、定着ベルト10は、下地金属層10Bが樹脂層10Aのささくれ状の突出部20に引っ掛かる方向に回転するため、樹脂層10Aと金属層10Bとの剥離が効果的に抑制されることになる。
【0039】
<画像形成装置>
図7は、本実施形態に係る画像形成装置を概略的に示している。
本実施形態に係る画像形成装置200は、感光体ドラム(像保持体)202、帯電装置(帯電手段)204、レーザースキャナ(静電潜像形成手段)206、ミラー208、現像装置(現像手段)210、中間転写体212、転写ロール(転写手段)214、クリーニング装置216、除電装置218、定着装置(定着手段)100、及び給紙装置(給紙ユニット220、給紙ローラ222、レジストローラ224、及び、記録媒体ガイド226)を備えている。
【0040】
この画像形成装置200で画像形成を行う場合、まず、感光体ドラム202に近接して設けられた非接触型の帯電装置204が、感光体ドラム202の表面を帯電させる。
【0041】
帯電装置204により帯電した感光体ドラム202の表面に各色の画像情報(信号)に応じたレーザー光が、ミラー208を介してレーザースキャナ206より照射されて静電潜像が形成される。
【0042】
現像装置210は、感光体ドラム202の表面に形成された潜像にトナーを付与することによりトナー像を形成する。現像装置210は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーをそれぞれ収容した各色の現像器(不図示)を備えており、現像装置210が矢印方向に回転することにより、感光体ドラム202の表面に形成されている潜像に各色のトナーを付与し、トナー像が形成される。
【0043】
感光体ドラム202の表面に形成された各色のトナー像は、感光体ドラム202と中間転写体212との間に印加されたバイアス電圧により、感光体ドラム202と中間転写体212との接触部において、各色のトナー像毎に画像情報と一致するように中間転写体212の外周面に重ねて転写される。
【0044】
中間転写体212は、外周面が感光体ドラム202の表面に接触し矢印E方向に回転する。
中間転写体212の周囲には、感光体ドラム202の他に、転写ロール214が設けられている。
【0045】
カラーのトナー像が転写された中間転写体212は矢印E方向に回転する。中間転写体212上のトナー像は、転写ロール214と中間転写体212との接触部において、給紙装置によって接触部に矢印A方向に搬送されてきた記録媒体15の表面に転写される。
【0046】
なお、中間転写体212と転写ロール214との接触部への給紙は、給紙ユニット220に収納された記録媒体が、給紙ユニット220に内蔵された不図示の記録媒体押し上げ手段により給紙ローラ222に接触する位置まで押し上げられ、その記録媒体15が給紙ローラ222に接触した時点で、給紙ローラ222及びレジストローラ224が回転することにより記録媒体ガイド226に沿って矢印A方向に搬送されることにより行われる。
【0047】
記録媒体15の表面に転写されたトナー像は、矢印A方向に移動し、定着ベルト10と加圧ロール11との接触領域では、トナー像14は溶融状態で記録媒体15の表面に押圧され、記録媒体15の表面に定着される。これにより、記録媒体の表面に定着した画像が形成される。
【0048】
中間転写体212の表面にトナー像を転写した後の感光体ドラム202の表面はクリーニング装置216によって清掃される。
感光体ドラム202の表面はクリーニング装置216によって清掃された後、除電装置218によって除電される。
【0049】
このような画像形成装置200において繰り返して画像形成を行う際、定着ベルト10は加圧ロール11との接触領域において異なる方向に繰り返し湾曲するが、本実施形態に係る定着装置100を備えることで、定着ベルト10の樹脂層10Aと金属層10Bとの剥離が抑制されるため、定着ベルト10の長寿命化が図られる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
−電磁誘導加熱方式の定着ベルトの作製−
実施例及び比較例では、基本的に以下の工程に従って定着ベルトを作製した。
まず、表面が離型剤(KS700:東レ社製)で処理された円筒形の金型(外径:5cm)にポリイミド前駆体溶液(U−ワニスS:宇部興産株式会社製)をフローコート装置を用いて塗布する。100℃で30分間乾燥後、380℃の炉に入れて60分間焼成し、樹脂層(厚さ70μm)を形成する。
【0052】
次に、下地金属層の下地処理として、液体ホーニング装置(LH−5:不二精機製造所社製)を用い、金型を回転させながら樹脂層の表面にWA400:昭和電工製を吹き付けて樹脂層の表面粗さがRa0.5μmとなるように粗面化処理を行なう。
粗面化した樹脂層の表面に、下地金属層として無電解ニッケル膜を厚さ0.5μmで成膜する。この下地金属層を陰極として電解めっきを行なうため、ベルト軸方向の通紙幅よりも外側かつ両端部に給電部を配置する。
【0053】
次に、発熱層として電解銅めっき膜(厚さ15μm)と、保護層として電解ニッケルめっき膜(厚さ15μm)を順次成膜する。
【0054】
その後、フローコート装置を用いて、弾性層の下地処理プライマー(DY39−067:東レダウコーニングシリコーン株式会社製)及び液状シリコーンゴム(X34−1053A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布して乾燥させる。次いで、200℃の炉に入れて加硫焼成することで、弾性層(厚さ250μm)を形成する。
【0055】
さらに、離型層の下地処理プライマー(No.101A/B:信越化学工業株式会社製)を塗布し、100℃30分で乾燥させる。
その後、離型層となるPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブ(厚さ30μm)をチューブ被覆機を用いてチュービング被覆を行ない、200℃の炉に入れて加硫焼成させて離型層を形成する。
以上の工程を経て電磁誘導加熱方式の定着ベルトを完成させる。
【0056】
(実施例1)
前記下地金属層の下地前処理である液体ホーニング装置を用いた樹脂層の粗面化処理において、図5に示すように、吐出ノズルで樹脂層を粗面化加工する領域が、砥粒を噴射する方向から見て、金型の回転中心軸の位置よりも上流側となるように設定して行った。その結果、樹脂層の表面がささくれた状態となり、ささくれ状の突出部の先端が樹脂層の回転方向側に向くように多数の突出部(突起)が形成された。
【0057】
この定着ベルトを完成させて、粗面化した樹脂層の表面のささくれ状の突出部が下地金属層に楔として刺さる方向(突出部の先端が向いている側の周方向)に定着ベルトが回転するベルト駆動型の電磁誘導加熱方式の定着ベルトとした。
【0058】
(実施例2)
実施例1と同様の手順で電磁誘導加熱方式の定着ベルトを作製した。この定着ベルトを用い、ベルト従動型であり、定着ベルトが定着ローラによって加圧されるとともに定着ローラが回転することに伴って定着ベルトの下地金属層が、樹脂層の外周面のささくれ状の突出部に引っ掛かる方向(突出部の先端が向いている側の周方向と逆方向)に定着ベルトが回転する電磁誘導加熱方式の定着ベルトとした。
【0059】
(比較例1)
前記下地金属層の下地前処理である液体ホーニング装置を用いた粗面化処理において、図8に示すように、吐出ノズルから砥粒を噴射する方向から見て、樹脂層を粗面化加工する領域の中心を、金型の回転中心軸の位置に合わせて行なった。その結果、粗面化加工された樹脂層表面は、ささくれ状の突出部がランダムで方向性の無い傾きに形成された。
この定着ベルトを完成させて、ベルト駆動用の電磁誘導加熱方式の定着ベルトとした。
【0060】
(評価)
得られた定着ベルトを、図7に示す構成を有する画像形成装置における電磁誘導加熱方式の定着装置(図2参照)に装着し、電磁誘導加熱した状態で、30枚/分の速度で80万枚の加熱通紙テストを行なった。
金属発熱層は、樹脂層と下地金属層の層間剥離が発生すると、ベルト層構成の応力バランスが崩れ、金属発熱層に亀裂(割れ)を生じさせてしまう。この亀裂の有無は、定着ベルトの電気特性である力率の変化で判定することが出来る為、10万枚の通紙定着を行うごとに、定着ベルトの金属発熱層の力率測定を行ない、亀裂の有無を判定した。力率は、励磁コイルに高周波電流を流し、定着ベルトに設けた金属発熱層に渦電流が発生した結果、励磁コイルに流れる電流及び電圧の位相差θに基づくcosθの値である。位相差θが0に近いほど力率は高くなり、より発熱しやすい状態である。
本実施例では、図2に示す定着装置において、磁場発生ユニット12をインピーダンスメーター(横河電機株式会社製WT1600FC)に変え、20KHzの高周波電流を励磁コイルに流したときの電流及び電圧の位相差θを測定し、力率(cosθ)を算出する。ここでは、通紙テスト前の力率を基準として、急激な低下を確認することにより亀裂の有無を判定した。
結果を表1に示す。
【0061】
【表1】



【0062】
以上、実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、樹脂層10Aの外周面における突出部は、図3及び図4に示したようなささくれ状の突起に限定されず、図9に示すように、ベルトの幅方向に延びる波状又はのこぎり歯状の突出部22が、先端22Aが周方向の一方(矢印B方向)の側に向くように外周面の周方向に沿って形成されていてもよい。
また、定着装置及び画像形成装置の構成もそれぞれ図2、図7に示した構成に限定されず、適宜変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 定着ベルト(無端ベルト)
10A 樹脂層
10B 下地金属層
10C 金属発熱層
10D 金属保護層
10E 弾性層
10F 離型層
11 加圧ロール(加圧部材)
11A 基材
11B 弾性体層
11C 離型層
12 電磁誘導加熱装置
13 押圧部材
13A 支持体
13B パッド
14 トナー像
15 記録媒体
20 突出部
20A 先端
22 突出部
30 吐出ノズル
32 砥粒
100 電磁誘導加熱定着装置
200 画像形成装置
202 感光体ドラム
204 帯電装置
210 現像装置
212 中間転写体
214 転写ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面の少なくとも周方向に沿って複数の突出部を有し、該複数の突出部のそれぞれの先端が周方向の一方の側に向くように前記複数の突出部が形成されている環状の樹脂層と、
前記樹脂層の外周面上に形成されている金属層と、
を有する無端ベルト。
【請求項2】
請求項1に記載の無端ベルトであって、前記樹脂層の前記複数の突出部のそれぞれの先端が向いている側の周方向に回転する定着ベルトと、
前記定着ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる加熱手段と、
前記定着ベルトの外周面の一部を加圧するとともに、前記定着ベルトが前記複数の突出部の先端が向いている側の周方向に回転することに伴って該周方向とは逆方向に回転する加圧部材と、
を有する定着装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無端ベルトである定着ベルトと、
前記定着ベルトの金属層を電磁誘導によって発熱させる加熱手段と、
前記定着ベルトの外周面の一部を加圧しながら回転することに伴って、前記定着ベルトを前記樹脂層の前記複数の突出部の先端が向いている側の周方向とは逆方向に回転させる加圧部材と、
を有する定着装置。
【請求項4】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、
前記帯電手段により帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を該記録媒体に定着させる定着手段であって、請求項2又は請求項3に記載の定着装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項5】
環状の樹脂層を準備し、前記樹脂層を周方向に回転させるとともに、該樹脂層の外周面に砥粒を当てる領域が、該砥粒を当てる方向から見て前記樹脂層を回転させる中心軸の位置と重ならないように前記樹脂層の外周面に前記砥粒を当てることにより、複数の突出部をそれぞれの先端が周方向の一方の側に向くように前記樹脂層の外周面の少なくとも周方向に沿って形成する工程と、
前記樹脂層の外周面に金属層を形成する工程と、
を含む無端ベルトの製造方法。
【請求項6】
前記樹脂層の外周面に砥粒を当てる領域が、該砥粒を当てる方向から見て前記樹脂層を回転させる中心軸の位置よりも上流側となるように、前記樹脂層の外周面に前記砥粒を当てる請求項5に記載の無端ベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−17988(P2011−17988A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163859(P2009−163859)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】