説明

無線システムのリバース共通信号チャネルの伝送速度を決定する方法

【課題】無線システムのリバース共通信号チャネルの最良の伝送速度を動的に決定すること。
【解決手段】モバイル端末は、チャネルのRF条件に関連する、モバイル端末によって測定された少なくとも1つのメトリックに応じて、リバース共通信号チャネルの伝送速度を選択する。モバイル端末に、少なくとも1つの閾値レベルの形を取る情報が提供され、モバイル端末が送信すべき速度を決定するため、この閾値レベルと、測定された1つまたは複数のメトリックが比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の2G無線システムでは、適用可能なIS−95規格によれば、ネットワークに存在表示(presence indicator)を提供し、移動性を管理し、また通話がいつ行われるかをネットワークに知らせるために、基地局のカバレージ・エリア内のモバイル端末によって使用されるリバース・アクセス・チャネル(R−ACH:reverse access channel)上で、メッセージは、4800bpsの一定のデータ転送速度で送信される。IS2000規格によってサポートされる、さらに新しい3G無線システム(CDMA2000など)では、リバース拡張アクセス・チャネル(R−EACH:reverse enhanced access channel)を用いた様々な速度(9600bps、19200bpsおよび38400bps)をサポートすることができる。こうした新しいシステムに適用可能な規格によれば、基地局は、基地局のカバレージ・エリア内で動作するすべてのモバイル端末に送信されるオーバヘッド・メッセージ内で、それがサポートする速度、およびメッセージ当たりの最大許容送信時間を通知する。モバイル端末は、サポートされる速度、およびメッセージ当たりの最大送信時間に関する受信情報、ならびにそれが送信しなければならないメッセージのサイズを用いて、どの速度が可能であるかを判断し、次いでその速度を使用する。1つ以上の速度が可能である場合、モバイル端末は、モバイル端末の製造元が、そのモバイル端末に組み込んだどんなアルゴリズムをも使用して、可能な速度のうちの1つを選択する。このシナリオでは、基地局と通信するために、モバイル端末がどの速度を使用するべきかを選択する際に、基地局からモバイル端末への指導は行われず、基地局は、速度の選択に影響を及ぼすことができない。
【0003】
9600bpsでは、100msを要するメッセージが、38400bpsでは、25msしか必要とせず、チャネル上の各メッセージについて、75msの節約になり得るので、チャネルの待ち時間を最小限に抑えるため、最大のデータ転送速度を選択することが有利である。プッシュツートークなどのリアルタイム・アプリケーションなど、共通のチャネル速度が重要なアプリケーションでは、この待ち時間の低減が重要である。しかし、サポートされる最大の伝送速度を常に選択することは明白であり得るが、実際、同じパフォーマンス(すなわちフレーム誤り率(FER:Frame Error Rate))を達成するには、モバイル端末は、さらに高い電力レベルで送信する必要がある。モバイル端末の最大許容出力電力レベルは一定であるので、最大のデータ転送速度が、R−EACH上での「最良の」データ転送速度であるとは限らないことがある。さらに、速度の選択において、モバイル端末は、サービス・プロバイダが望むよりも多少強気であり得る。たとえば、モバイル端末によって送信されたメッセージが、無線システムにアクセスするために使用されるプローブであり、モバイル端末が高すぎる伝送速度を選択する場合、モバイル端末は、基地局に、アクセス要求を認識させ、それに肯定応答させようと試みるため、モバイル端末から、さらに高い電力レベルで、1つまたは複数の追加のプローブが送信される。その結果、これが、待ち時間に悪影響を及ぼし得る。したがって、モバイル端末が適切に動作するためには、モバイル端末は、伝送速度を選択において、非常に控え目でなければならず、または高すぎる速度を選択する場合は、あるプローブが認識されるまで、多分複数のプローブを送信する必要があるという待ち時間を悪化させる作用を被る。一方、より高い速度で送信されることによって達成され得る待ち時間のメリットは、控え目に動作し、またメッセージが基地局に首尾よく送信され得る速度よりも低い伝送速度を選択することによって失われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/080406号
【特許文献2】特開2001−309425号公報
【特許文献3】特開2003−522443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、無線システムのリバース共通信号チャネルの最良の伝送速度を動的に決定することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、モバイル端末は、チャネルのRF条件に関連する、モバイル端末によって測定される、少なくとも1つのメトリックに応じて、リバース共通信号チャネル(R−CSCH、IS2000 R−EACHを包含する総称)の伝送速度を選択する。本発明の一実施形態では、モバイル端末に、少なくとも1つの閾値レベルの形をとる情報が提供され、モバイル端末が送信すべき速度を決定するために、この閾値レベルと、1つまたは複数の測定されたメトリックが比較される。こうしたメトリックは、干渉によって制限され、かつ/または電力によって制限されるRFチャネルの測定値である。前者では、一般に都市ネットワークによくあるように、チャネルの容量およびデータ転送速度が、チャネル上の干渉によって制限される。後者では、チャネルの容量およびデータ転送速度が、RFリンク・バジェットによって制限され、これは一般に、セルのフットプリントが大きいルーラル・ネットワークによくあることである。都市屋内のカバー範囲は一般に、干渉と電力の両方によって制限される。
【0007】
本発明の一実施形態では、モバイル端末は、基地局によってサポートされる伝送速度のうちの適切な伝送速度を制御し選択するために、受信パイロット信号の強度との比較のために、基地局から提供される閾値レベルを使用する。RFチャネルが干渉によって制限される場合は、信号対雑音のメトリックである、パイロット信号強度メトリックが、最も有用である。3つの速度がサポートされる一実施形態では、モバイル端末によって測定されるパイロット信号強度に応じた速度の選択を制御するために、2つの閾値レベルが、モバイル端末に提供される。本発明の一実施形態では、再プローブの閾値オフセットもまた、モバイル端末に提供され、前のプローブに応答した、基地局から肯定応答の受信に失敗した後で、第2またはそれ以上のプローブが送信される場合、このオフセットを使用して、1つまたは複数のパイロット信号強度の閾値レベルを補償する。
【0008】
本発明の一実施形態では、モバイル端末によって測定された受信電力スペクトル密度と比較するため、1つまたは複数の閾値レベルがモバイル端末に提供される。RFチャネルが電力によって制限される場合は、信号および干渉を含む絶対測定である電力スペクトル密度が、最も有用である。一実施形態では、モバイル端末に、1つまたは複数のパイロット信号強度閾値レベル、および1つまたは複数の電力スペクトル密度閾値レベルを提供することができ、モバイル端末は、伝送速度として、両方の比較を満たす最大速度を選択する。
【0009】
本発明の一実施形態では、1つまたは複数のパイロット信号強度閾値レベル、再プローブ・オフセット値および/または1つまたは複数の受信電力スペクトル密度閾値レベルが、拡張アクセス・パラメータ・メッセージなどのオーバヘッド・メッセージ内に含めて送信され、このメッセージは、基地局によって、カバレージ・エリア内のモバイル端末に、連続的にブロードキャストされる。あるいは、こうした閾値レベルを、サービス・プロバイダの仕様に従ってモバイル端末のソフトウェアに組み込み、または無線ネットワークによって外部から、モバイル端末のソフトウェアに組み込むことができる。
【0010】
添付の特許請求の範囲、および本明細書に添付された図面と併せ読まれる以下の詳細な説明から、こうしたおよび他の実施形態が、当業者には明らかになろう。
本発明は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態についての以下の説明を読むことから、よりよく理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数のモバイル端末が基地局と通信し、またはそれとの通信の確立を試みる、無線通信システムを示す図である。
【図2】測定されたパイロット信号強度を、2つのパイロット信号強度の閾値と比較することによって、3つのサポート速度のうちから伝送速度を決定する例を示す図である。
【図3】受信電力スペクトル密度を、2つの電力スペクトル密度の閾値と比較することによって、3つのサポート速度のうちから伝送速度を決定する例を示す図である。
【図4】閾値オフセットで修正された、図2の例を示す図である。
【図5】伝送速度を決定する際に、モバイル端末によって使用される閾値を含むフィールドを含む、モバイル端末に送信されるEAPMメッセージの例を示す図である。
【図6】図5のEAPM内の適切なパイロット信号強度および電力スペクトル密度の閾値、ならびにオフセット閾値情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、基地局101が移動通信交換局(MSC:Mobile Switching Center)102に接続された、無線通信システム100が示されている。一部の実施形態では、基地局101とMSC102の間に、基地局制御装置(BSC:Base Station Controller)を接続することができる。他の基地局(図示せず)もまた、MSC102に接続される。MSC102は、ワイヤラインPOTS電話網103に接続される。複数のモバイル端末104は、基地局のカバレージ・エリア110内にいる間は、基地局101を介して無線ネットワーク100に、次いでワイヤラインPOTS電話網103にアクセスすることができる。モバイル端末104の1つがアクセスしようとする度に、リバース共通信号チャネル上で、アクセス・プローブの形で要求を行う。無線ネットワークがアクセス・プローブを認識すると、基地局101は、モバイル端末104に、肯定応答ダウンリンクを送信し、モバイル端末は、それ以上のアクセス・プローブの送信を停止する。モバイル端末が、基地局から、プローブに対する肯定応答を受信しない場合は、モバイル端末は一般に、さらに高い電力レベルで、別のアクセス・プローブを送信し、基地局から肯定応答が受信されるまで、または所定の最大数のアクセス・プローブが送信されるまで、電力レベルを増加して、プローブを送信し続ける。最初の一連のプローブで送信されたアクセス・プローブのいずれに対しても、基地局からの応答を受信できないと、モバイル端末は、ある時間の経過後に、別の一連のプローブを再び送信し始め、この一連のプローブは、最低の電力レベルで開始し、その連続の中で、プローブごとに増加する。肯定応答が基地局から事実上受信されるまで、あるいは通話が断念される場合である、肯定応答を受信せずに、最大連続数の送信が行われるまで、このプロセスは、継続する。
【0013】
基地局101のカバレージ・エリア110内の各モバイル端末104は、無線ネットワークに、それが通話を行いたいことを示すことに加えて、カバレージ・エリア110内にそれが存在することを知らせるため、また他の移動性管理機能のために、R−CSCHを使用する。上述のように、たとえばCDMA2000規格によってサポートされる、さらに新しい3G無線システムでは、R−EACHは、9600bps、19200bpsおよび38400bpsの速度をサポートする。
【0014】
本発明者は、モバイル端末104が基地局101に返送するために必要な信号の電力を判断するために、モバイル端末104によって使用されるRFチャネル条件に関連したメトリックを、R−CSCH上の伝送速度を選択するためにも使用できることを認識した。モバイル端末104で、こうした測定されたチャネル条件関連メトリックのうちの1つまたは複数のメトリックを、1つまたは複数の閾値レベルと比較することによって、モバイル端末は、R−CSCHの伝送速度を決定することができる。ただし、この閾値レベルは、比較的に高い伝送速度が選択されるべき「好ましい」RFチャネル条件と、比較的に低い伝送速度が選択されるべき「あまり好ましくない」RFチャネル条件を区別するように選択され、この場合、干渉と他の制限の両方が、こうしたチャネル条件を判断する際に用いられる要素である。たとえば、RFチャネルは、干渉によって制限されることがあり、換言すれば、チャネルの容量およびデータ転送速度は、チャネル上の干渉によって制限される。これは一般に、トラフィック・レベルが高い都市ネットワークに当てはまることである。あるいは、RFチャネルは、電力によって制限されることがあり、換言すれば、チャネルの容量およびデータ転送速度は、RFリンク・バジェットよって制限される。これは一般に、セルのフットプリントが大きい、ルーラル・ネットワークに当てはまることである。都市屋内のカバー範囲は一般に、干渉と電力の両方によって制限される。
【0015】
RFチャネルが干渉によって制限される場合は、モバイル端末によって、通話先の基地局を判断するために使用され、また信号対騒音のメトリックである、パイロット信号強度メトリックE/Iが、最も有用である。このパイロット信号強度の測定によって、チャネルのRF干渉の測定がもたらされ、高い測定値は、低い測定値より、RF干渉が少ないことを示す。説明する実施形態では、モバイル端末によって測定されるパイロット信号強度の測定値を用いて、干渉が低い環境で、高い速度で送信するか、それともリバース・チャネル上の他の送信側モバイル端末が、対象のモバイル端末によって送信された信号が基地局によってうまく受信されることを妨げ得る、干渉が高い環境で、低い速度で送信するべきかを判断する。
【0016】
RFチャネルが電力によって制限される場合は、信号と干渉の両方を含む絶対測定である、電力スペクトル密度メトリックIが、最も有用である。測定された受信電力スペクトル密度が低いと、モバイル端末104は、基地局101のカバレージ・エリア110の端に到達する可能性が高いことを示し、この場合、チャネルの減衰が高く、またモバイル端末によって送信される信号が、高い速度よりも低い速度で送信される場合に、首尾よく受信される可能性がより高くなる。
【0017】
本発明の一実施形態では、それぞれのモバイル端末104が、パイロット信号強度E/Iおよび/または受信電力スペクトル密度Iを計算し、測定されたこれらのメトリックの1つまたは両方を、1つまたは複数の関連する閾値レベルと比較して、R−CSCHの伝送速度を決定する。具体的には、基地局101が、たとえばCDMA2000規格に従って、3つの異なる伝送速度をサポートし、動作する場合、第1のパイロット信号強度の閾値レベルによって、最大の伝送速度が選択される、好ましいチャネル条件を表すパイロット信号強度測定の領域と、第2の最大伝送速度が選択される、あまり好ましくないチャネル条件を表すパイロット信号強度測定領域の境界が定義される。第2のパイロット信号強度の閾値レベルによって、あまり好ましくないチャネル条件を表すパイロット信号強度測定領域と、最小の伝送速度が選択される、さらに好ましくないチャネル条件を表すパイロット信号測定領域との境界が定義される。このようにして、モバイル端末によって測定されるパイロット信号強度に基づく「最良の」伝送速度が選択され得る。同様に、2つの電力スペクトル密度閾値レベルを使用して、モバイル端末によって測定される電力スペクトル密度に基づく境界を定義し、こうした境界から、測定された電力スペクトル密度に基づく「最良」伝送速度を選択することができる。これらのメトリックの1つまたは両方を使用して、基地局によってサポートされる伝送速度のうちから、R−CSCHの伝送速度を選択することができる。パイロット信号強度メトリックでは、図2に示すように、−7dBおよび−10dBの閾値レベルは、38400pbs、19200pbs、および9600pbsについてそれぞれ、パイロット信号強度領域210、202および203を定義する例である。たとえば、モバイル端末によって、E/Iが−9.5dBであると測定される場合は、19200pbsの伝送速度が選択される。E/Iが−7dBより高いと測定される場合、これは、好ましいRF条件を示しており(たとえば、トラフィック負荷が低く、またはモバイル端末が基地局の近くにある)、最大の伝送速度である、38400pbsが選択される。同様に、E/Iが−10dB未満であると測定される場合、モバイル端末104が高い干渉のエリア内にあることを示しており、最小のデータ転送速度である、9600bpsが選択される。
【0018】
上述のように、モバイル端末104によって測定される受信電力スペクトル密度Iを、独立に、または測定されたE/Iと併せて使用して、R−CSCHの伝送速度を決定することができる。独立に使用される場合、たとえば、図3に示すように、−85dBmおよび−90dBmの閾値レベルによって、3つの電力スペクトル密度領域:1)Iが−85dBmより大きいと測定される領域301、2)Iが−90dBmと−85dBmの間で測定される領域302、および3)Iが−90dBmより小さいと測定される領域303が定義される。伝送速度を選択する際の、唯一のメトリックとして使用されるときに、測定された受信電力スペクトル密度が、受信電力が最強である領域301内に入る場合は、モバイル端末104がカバレージ・エリア110内の基地局101の最も近くにいる可能性が高いことを示しており、モバイル端末は、最大の伝送速度である38400bpsを選択する。測定された受信電力スペクトル密度が、領域302内に入る場合は、モバイル端末は、伝送速度として、中間の速度である19200bpsを選択する。同様に、受信電力スペクトル密度が、受信電力が最弱である領域303内に入る場合は、この領域は、モバイル端末104がカバレージ・エリア110の端にいる可能性が高いことを示しており、モバイル端末は、最小の速度である9600bpsを選択する。
【0019】
モバイル端末によって、パイロット信号強度メトリックと受信電力スペクトル密度メトリックを併せて使用して、伝送速度を選択する場合、領域301は、3つの伝送速度のいずれもが選択され得る領域を表し、領域302は、19200bpsおよび9600bpsが選択され得る領域を表し、領域303は、9600bpsしか選択され得ない領域を表す。したがって、測定されたパイロット信号強度が、19200bpsの速度が選択されるべきことを示す図2の202に領域内に入り、また受信電力スペクトル密度が、3つの伝送速度のいずれもが選択され得ることを示す領域301に入る場合、モバイル端末104は、両方の比較を満たす最大の伝送速度である、19200bpsの速度を選択する。
【0020】
パイロット信号強度メトリックに関連する閾値を用いて、38400bps、19200bpsおよび9600bpsのうちから適切なR−CSCH伝送速度を選択することに加えて、アクセスの試みを再びプローブする際に使用するためのオフセットが、それぞれのモバイル端末104に提供される。R−CSCH上で送信された最初のプローブに応答した、基地局101からの肯定応答をモバイル端末104が受信できない場合に、このオフセットを使用して、2つのパイロット信号強度閾値レベルを修正する。したがって、たとえば、オフセットが1dBであり、図2に示すように、閾値レベルが最初に、−7dBおよび−10dBであった場合、図4に示すように、最初の再プローブの試みで、それらはそれぞれ、−6dBおよび−9dBに修正される。測定されたパイロット信号強度が、上記の図2の例と同様に、同じ−9.5dBのままである場合に、オフセットによって修正された閾値レベルと比較すると、再プローブを送信するために使用される選択伝送速度はここでは、最初のプローブを送信するために以前に使用された19200bpsではなく、9600bpsになる。
【0021】
説明した実施形態では、測定されたメトリックと比較するために、それぞれのモバイル端末104が使用する閾値、および任意選択で再プローブ・オフセットが、拡張アクセス・パラメータ・メッセージ(EAPM:Enhanced Access Parameters Message)に含めて、基地局101によって送信される。このEAPMは、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH:broadcast control channel)上で、基地局から、カバレージ・エリア110内のすべてのモバイル端末104にブロードキャストされる。CDMA2000システムでは、モバイル端末は、基地局からEAPMを受信しなければ、R−EACH上で送信することができない。図5に、メッセージ長フィールド501、メッセージIDフィールド502、電力関連のパラメータを含むフィールド503、基地局101がR−CSCH向けにサポートする速度を含むフィールド504、およびリバース・チャネルの動作関連のパラメータを含むフィールド505を含む、EAPM500の一例を示す。EAPM500は、巡回冗長チェック(CRC:cyclic-redundancy-check)フィールド506をも含む。図6に、EAPMのフィールド505内に含まれるリバース・チャネル関連のパラメータを示す。これらは、E/IおよびIの19200bps閾値レベルをそれぞれ提供するためのフィールド601および602、E/IおよびIの38400bps閾値レベルをそれぞれ提供するためのフィールド603および604、ならびに再プローブ・オフセットを提供するためのフィールド605を含む。
【0022】
有利には、サービス・プロバイダは、1つまたは複数の速度を受入れ可能であり得る場合に、カバレージ・エリア110内のモバイル端末104に、指導を行うことができる。モバイル端末104に、こうした閾値を動的に提供することによって、サービス・プロバイダは、モバイル端末によって使用される、速度選択のアルゴリズムを制御することができる。さらに、それぞれの基地局101は、カバレージ・エリア、およびそれがサポートする伝送速度に適した閾値を、それぞれ独立に選択することができる。
【0023】
閾値について、基地局101によって、モバイル端末104に提供されるものとして上記で説明したが、閾値は、サービス・プロバイダの仕様に従って、モバイル端末に組み入れることができる。こうした閾値は、モバイル端末のソフトウェア内に、ハードコードされることも、ネットワークを介して外部から、モバイル端末のソフトウェア内に組み入れることもできる。上述の実施形態では、サポートされた3つのR−CSCH伝送速度のうちから選択するために、2つの閾値を含むシステムが考慮されているが、本発明は、任意の数のサポート速度、ならびに速度を決定するために使用される各メトリックの速度間の境界を定義する適切な数の閾値を含む、システムで使用することもできる。さらに、本発明は、伝送速度が最大値と最小値の間の連続した値で調整可能なシステムで使用することができる。後者の場合、モバイル端末は、受信パイロット信号強度および/または受信電力スペクトル密度など、測定された1つまたは複数のチャネル関連メトリックの関数として、R−CSCHの適切な伝送速度を直接的に決定することができる。
【0024】
特定の発明について、例示的な実施形態を参照して説明したが、この説明は、限定的な意味で解釈されるものではない。本発明について説明したが、この説明を参照して、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される本発明の精神から逸脱せずに、例示的な諸実施形態の様々な修正および本発明の追加の実施形態が、当業者には明らかであることが理解されよう。したがって、本方法、システム、ならびに説明した方法およびシステムの一部は、無線ユニット、基地局、基地局制御装置、および/または移動通信交換局など、様々な場所で実施することができる。さらに、本開示の助けによって、当業者に理解されるように、説明したシステムを実施および使用するのに必要な処理回路は、特定用途向け集積回路、ソフトウェア主導の処理回路、ファームウェア、プログラム可能な論理装置、ハードウェア、個別部品、または上記諸要素の構成で実装することができる。本明細書に示し説明した例示的な適用例に厳密には従わず、また本発明の精神および範囲から逸脱せずに、こうしたおよび様々な他の修正、構成および方法が、本発明に対して行われ得ることが、当業者には容易に理解されよう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に含まれる、こうしたいずれの修正または実施形態をも網羅することが企図されている。
【符号の説明】
【0025】
101 基地局
103 POTSネットワーク
501 MSG長
503 電力関連
504 サポート速度
505 リバース・チャネル
605 再プローブ・オフセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル端末(104)が基地局(101)と通信する無線通信ネットワーク(100)における前記モバイル端末(104)で行われる方法であって、
少なくとも1つのチャネル関連メトリックを測定するステップであって、前記測定は、前記モバイル端末から前記基地局へリバース共通信号チャネル上でアクセス・プローブを送信することにより、前記ネットワークへアクセスしようと試みる前に発生する、ステップと、
前記測定された少なくとも1つのチャネル関連メトリックと、前記少なくとも1つのチャネル関連メトリックに関係する少なくとも1つの所定の閾値レベルとを比較するステップであって、前記少なくとも1つの所定の閾値レベルは、前記アクセス・プローブが送信される前に決定される、ステップと、
前記測定された少なくとも1つのチャネル関連メトリックと前記少なくとも1つの所定の閾値レベルとの比較に基づき、前記リバース共通信号チャネル上で使用される伝送速度を選択するステップであって、前記選択は、前記リバース共通信号チャネル上で前記基地局によりサポートされている複数の可能な伝送速度の内から行われる、ステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記チャネル関連メトリックは、前記モバイル端末によって測定されるパイロット信号強度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チャネル関連メトリックは、前記モバイル端末により測定される電力スペクトル密度であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記伝送速度は、前記モバイル端末により測定される前記パイロット信号強度および前記電力スペクトル密度の両方の前記チャネル関連メトリックに基づいて選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項5】
前記チャネル関連メトリックは、パイロット信号強度および電力スペクトル密度の両方であり、前記伝送速度を決定するために、前記パイロット信号強度および電力スペクトル密度の測定は、それぞれ、少なくとも1つの関連するパイロット信号強度閾値レベルおよび少なくとも1つの関連する電力スペクトル密度閾値レベルと比較されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
モバイル端末(104)が基地局(101)と通信する無線通信ネットワーク(100)における前記基地局(101)で行われる方法であって、
リバース共通信号チャネル上で前記基地局によりサポートされる複数の伝送速度の中から前記リバース共通信号チャネル上における伝送速度を選択する際、前記モバイル端末により後に使用されるための、少なくとも1つのチャネル関連メトリックに関係する少なくとも1つの閾値レベルを送信するステップを含み、
前記送信は、前記モバイル端末が、前記リバース共通信号チャネル上でアクセス・プローブを送信することにより前記ネットワークへのアクセスを試みる前に発生し、
前記選択は、アクセス・プローブを送信することにより前記ネットワークへアクセスしようと試みる前に、前記モバイル端末により測定される少なくとも1つのチャネル関連メトリックと、前記少なくとも1つの閾値レベルとの比較から、前記モバイル端末によって行われることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの閾値レベルは、前記基地局により連続的にブロード・キャストされるオーバーヘッド・メッセージ中で送信されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チャネル関連メトリックはパイロット信号強度であり、前記パイロット信号強度は前記モバイル端末により測定され、前記関係する少なくとも1つの閾値レベルは少なくとも1つのパイロット信号強度閾値レベルであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記チャネル関連メトリックは電力スペクトル密度であり、前記電力スペクトル密度は前記モバイル端末により測定され、前記関係する少なくとも1つの閾値レベルは少なくとも1つの電力スペクトル密度閾値レベルであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記チャネル関連メトリックは、パイロット信号強度と電力スペクトル密度の両方であり、前記パイロット信号強度と電力スペクトル密度は、前記モバイル端末により測定され、前記関係する少なくとも1つの閾値レベルは、少なくとも1つのパイロット信号強度閾値レベルおよび少なくとも1つの電力スペクトル密度閾値であることを特徴とする請求項6に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−101432(P2011−101432A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22485(P2011−22485)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【分割の表示】特願2004−215065(P2004−215065)の分割
【原出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】