説明

無線タグラベルと無線タグ、無線タグの書籍への貼着方法、無線タグラベルの製造方法

【課題】 書籍の背に接近した紙間に外観からは見えないように貼着するのに適した無線タグが複数そなえられたラベルを提供する。
【解決手段】 本発明の無線タグラベル10は、書籍の背に接近したのど部分の紙間に貼着する無線タグが複数連接したラベルであって、無線タグインレット1の縦方向長さと同等または幅広である裏面側剥離紙14には、切り取り用ミシン目線14mが、1単位の無線タグインレット1の横幅を超える一定間隔pで、前記剥離紙14の長さ方向に略直交して横断するように形成されており、さらに該各切り取り用ミシン目線14mに沿って、表面側剥離紙11と粘着剤層12と共に一体に打ち抜きされた無線タグインレット1が、粘着剤層を介して接着していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線タグラベルと無線タグ、無線タグの書籍への貼着方法等に関する。詳しくは、書籍ののど部分に目立たないように貼着する無線タグであって、その連続体や書籍への貼着方法等に関する内容である。
従って、本発明の技術分野は、無線タグの製造や書籍の製造や販売の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から店頭での書籍の盗難防止や販売管理を適切に行うことが研究されている。この目的を達するために、非接触ICタグ(無線タグ)ラベルを利用することが検討されている。しかし、カードサイズ程度の無線タグは一般的にかなりの面積を有することから、書籍によっては貼着する部分を確保できない問題がある。また、このようなラベルでは、人目に付かないように貼着するのは一般的に困難である。一見して無線タグの存在が判ると悪意による剥離、破壊行為がされるケースも認められた。
【0003】
この目的のため、従来から磁気テープを利用した感知マーカーが使用されている。例えば、スリーエム(3M)社が販売する「タトルテープ」(商標)である。当該テープは、薄い細長の形状に形成されていて、書籍の背に接近したのど部分紙間に差し込みして粘着剤により貼着するようにされている。極めて細長い形状であるため、書籍の背に近く貼着した場合は、テープの存在を意識させない利点がある。
【0004】
上記テープが特に使用上の問題があるわけではないが、無線タグも同様な使い易い形態にできれば用途の拡大を期待できる。また、集積回路からなるICチップを実装でき、情報の記載量を大幅に拡大できるので、盗難防止以外に、在庫管理、棚卸し、貸出・返却管理といった多用なアプリケーションに対応することが可能になると考えられる。
本発明は、このような観点によりなされたものである。
本願に特に関連する先行文献は検出できないが、特許文献1は、「物品在庫追跡管理システム」に関するものである。また、「ICメモリ入りプラスチックシートの作成装置」に関して特許文献2がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−333651号公報
【特許文献2】特開2005− 35124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
書籍の背に接近したのど部分等の狭い面積の紙間に貼り付け易い形態を考慮した無線タグラベルとその書籍への貼着方法、無線タグラベルの製造方法等を研究して完成した発明である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨の1は、書籍の背に接近したのど部分の紙間に貼着する無線タグが複数連接したラベルであって、無線タグインレットの縦方向長さと同等または幅広である裏面側剥離紙には、切り取り用ミシン目線が、1単位の無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で、前記剥離紙の長さ方向に略直交して横断するように形成されており、さらに該各切り取り用ミシン目線に沿って、表面側剥離紙と粘着剤層と共に一体に打ち抜きされた無線タグインレットが、粘着剤層を介して接着していることを特徴とする無線タグラベル、にある。
【0008】
上記要旨の1の無線タグラベルにおいて、無線タグインレットが、ダイポールアンテナを有するUHF帯用のものである、ようにすることができ、前記一定間隔が、15mmから40mmの範囲である、ようにすることもできる。その場合には無線タグインレットのない剥離紙の余白部分を把持して、書籍の背に接近したのど部分の紙間に差し込みすることが容易になる。また、切り取り用ミシン目線が、1単位の無線タグインレットの長辺に沿う部分では直線状に形成されており、長辺を超える域では、無線タグインレットの短辺側に屈曲するように形成されている、ようにすることもできる。その場合には、先端側が狭くなるので、差し込みが容易になる。
【0009】
本発明の要旨の2は、請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグインレットが接着している裏面側剥離紙の切り取り用ミシン目線から切り取りしたことを特徴とする無線タグ、にある。
【0010】
本発明の要旨の3は、請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグラベルから、単位の無線タグを切り取りした後、表面側剥離紙を剥離除去して、書籍の表紙または裏表紙の背に接近したのど部分紙間に無線タグインレットが先端になるようにして差し込みし、次に表面側に書籍の表紙または裏表紙を被せて表側粘着剤に貼着し、さらに表紙または裏表紙を開いた状態で、裏面側剥離紙を剥離除去してから表紙または裏表紙の内側の用紙に裏側粘着剤により無線タグを貼着することを特徴とする無線タグの書籍への貼着方法、にある。
【0011】
本発明の要旨の4は、請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグラベルから、単位の無線タグを切り取りした後、表面側剥離紙を剥離除去して、書籍のいずれかの用紙間の背に接近したのど部分紙間に無線タグインレットが先端になるようにして差し込みし、次に表面側に書籍の1の用紙を被せて表側粘着剤に貼着し、さらに当該1の用紙を開いた状態で、裏面側剥離紙を剥離除去してから前記1の用紙に対面する内側の用紙に裏側粘着剤により無線タグを貼着することを特徴とする無線タグの書籍への貼着方法、にある。
【0012】
本発明の要旨の5は、次の(1)から(8)の工程、(1)インレット用ベースフィルムに間隔を置いて、細長形状の無線タグ用アンテナを該インレット用ベースフィルムの長さ方向に直交するように形成する工程、(2)上記無線タグ用アンテナに非接触ICチップを装着して、無線タグインレットの連続体を完成する工程、(3)上記無線タグインレットのアンテナ面に、両面粘着テープをアンテナ面側に全面に接着する工程、(4)無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で、切り取り用ミシン目線を剥離紙の長さ方向に略直交して横断するように形成して裏面側剥離紙を準備する工程、(5)無線タグインレットを1単位の横幅を超える幅に切断しながら前記両面粘着テープにより、(4)の工程で準備した裏面側剥離紙に位置合わせして接着する工程、(6)無線タグインレットのインレット用ベースフィルム面に、表面側剥離紙付き両面粘着テープを全面に接着する工程、(7)裏面側剥離紙に形成された切り取り用ミシン目線に、1単位の無線タグインレットの一方側長辺が一致するようにして、表面側剥離紙面から無線タグインレットの形状を打ち抜きする工程、(8)前記無線タグインレットの形状の外部であって、無線タグインレットを構成しない表面側剥離紙と粘着剤層、およびインレット用ベースフィルムを除去する工程、を有することを特徴とする無線タグラベルの製造方法、にある。
【0013】
上記製造方法において、前記工程(4)で、裏面側剥離紙に形成する切り取り用ミシン目線を、単位の無線タグインレットの長辺に沿う部分では直線状に形成し、長辺を超える域では、無線タグインレットの短辺側に屈曲するように形成する、ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無線タグラベルは、裏面側剥離紙に、切り取り用ミシン目線が、1単位の無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で形成されていて、この切り取り用ミシン目線に沿って、表面側剥離紙と粘着剤層と共に一体に打ち抜きされた無線タグインレットが剥離可能に接着した状態で有するので、無線タグインレットを切り取り線により単位のタグに切断した後、裏面側剥離紙の余白部分(無線タグインレットでない部分)に指を添えて、書籍の背に近い部分に差し込みすることが容易になり、差し込みした状態で表裏剥離紙を除去して書籍への貼着が簡単にできる。
切り取りした単位の無線タグ(請求項5)も、同様に、使用できる効果を有する。
【0015】
本発明の無線タグの書籍への貼着方法によれば、切り取りした単位の無線タグを、表面側剥離紙を剥離除去して、書籍の表紙または裏表紙の背に接近したのど部分紙間に無線タグインレットが先端になるようにして差し込みし、次に表面側に書籍の表紙または裏表紙を被せて貼着し、さらに表紙または裏表紙を開いた状態で、裏面側剥離紙を剥離除去してから表紙または裏表紙の内側の用紙に裏側粘着剤により貼着するような簡単な方法で、書籍へ貼着することができる。
書籍の表紙または裏表紙に限らず、書籍の任意の紙間であっても同様に貼着できる。
【0016】
本発明の無線タグラベルの製造方法によれば、複雑な構造を有する無線タグラベルをラミネータまたはICタグ加工機を用いて、高い精度で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、上記効果を有する無線タグラベルと無線タグ、無線タグの書籍への貼着方法、無線タグラベルの製造方法に関するが、以下、図面を参照して説明する。
図1は、無線タグラベルを示す平面図、図2は、切り取りした単位の無線タグの断面を拡大して示す図、図3、図4は、無線タグラベルの他の例を示す平面図、図5は、1単位の無線タグインレットを示す平面図、図6は、無線タグの使用方法を説明する図、図7は、無線タグラベルを製造する工程1を示す図、図8は、同工程2を示す図、図9は、同工程3を示す図、図10は、同工程4を示す図、図11は、同工程5を示す図、である。
【0018】
無線タグラベル10は、図1の平面図のように、連続した一定幅Wの裏面側剥離紙14に無線タグインレット1が一定間隔pの等間隔で接着して保持されている。ただし、シート状ラベルの場合、シートの両端の無線タグインレット1と裏面側剥離紙14の縁辺までの間隔はpであることに限定されない。特に、左側部分14eの裏面側剥離紙14は無くてもよく、右側部分14fの幅は一定間隔pを超えるものであってもよい。
図1の場合、6本の無線タグ(101〜106)が1のシート面に並んでいるが、この数は特に限定されない。帯状にさらに連続する形態であってもよい。
一定幅Wは、無線タグインレット1の縦方向長さLと同等かもしくはより幅広にされている。また、一定間隔pは、15mmから40mm程度の範囲にされる。無線タグインレット1の横幅に、10mmないし20mmを加えた間隔pでもよい。無線タグインレット1の横幅よりも広くするのは、無線タグを使用する際に指先で裏面側剥離紙14面を押さえて紙間に差し込み易くするためであり、不必要に間隔pを大きくする必要はないからである。裏面側剥離紙14には、その長さ方向に略直交し、かつ横断するように切り取り用ミシン目線14mが形成されている。ミシン目線14mは無線タグインレット1の、一方側長辺に略一致するように形成されている。
【0019】
図2は、切り取りした単位の無線タグ101の断面を拡大して示す図である。図2のように、各無線タグインレット1の左側辺は、剥離紙11、粘着剤層12、インレット用ベースフィルム1bを含め、剥離紙14のミシン目線14mと略一致するようにほぼ同一線上で切断されている。略一致するとは、剥離紙14の縁辺と1〜2mm程度のずれは許容されることを意味する。一方、右側辺は裏面側剥離紙14のみが無線タグインレット1よりも拡張した面積を有している。無線タグインレット1のベースフィルム1b面は無線タグインレット1と同等サイズの表面側剥離紙11で保護されている。
なお、無線タグインレット1とは、インレット用ベースフィルム1bにアンテナ2を形成して非接触ICチップ3を実装した状態のものをいい、無線タグとは無線タグインレット1に粘着剤層12,13や剥離紙が11,14が備えられている状態のものをいうこととする。無線タグインレット1の状態で非接触通信機能を有するので、無線タグインレット1を無線タグとしても良いが、後加工された状態と区別するため便宜的に用語を使い分けるものである。
【0020】
図3、図4は、無線タグラベルの他の例を示す平面図である。図3の場合は、切り取り用ミシン目線14mが、単位の無線タグインレット1の長辺1aに沿う部分では直線状に形成されており、無線タグインレット1の長辺を超える域では、短辺1b,1c側に屈曲するように形成されている特徴がある。このようにする場合は、長辺1a側を先端として書籍の紙間に差し込みする際に、無線タグの両端部が折れ曲がったり変形することがなく、使用し易い形態になる。請求項1で「略直交して」とするのは、このように屈曲する場合があるからである。もっとも、無線タグインレット1の長辺長さと裏面側剥離紙14の幅が一致する(同等の)場合は、このような屈曲域を設けることはできない。
図4の場合は、同様に、無線タグインレット1の長辺を超える域では、裏面側剥離紙14を部分的に打ち抜き14dした形態である。この場合も同様の効果を有する。
【0021】
図5は、1単位の無線タグインレットを示す平面図である。本発明のラベルでは、UHF帯の無線タグインレット1を使用する。従って、左右の1/4波長ダイポールアンテナ2R,2Lからなる半波長ダイポールアンテナ2が使用される。ただし、アンテナ形状は各種のものがあり、図示のものには限定されない。給電部にはUHF帯用の非接触ICチップ3が実装されている。わが国のUHF帯では、952〜955MHzであるが、米国では902〜928MHz、ヨーロッパでは865〜868MHzとされ、それぞれ異なる波長域が使用されている。
【0022】
次に、図6にを参照して無線タグの使用方法を説明する。書籍5の表紙51と見返し52の間に貼着する状態で説明しているが、裏表紙の場合も同様であり、書籍のいずれかの紙間に貼着する場合も同様である。
まず、図6(A)のように、1単位に切り離しした無線タグから表面側剥離紙11を剥がして除去する。書籍5の表紙51を持ち上げ、無線タグのインレット1を先端にして、表紙51と見返し52間の背53に接近したのど部分に差し込みする。その際、裏面側剥離紙14のインレット1の無い余白部分を指先で押さえて差し込みするようにする。
【0023】
次いで、図6(B)のように、露出した粘着剤層12に表紙51を被せて圧着すると、粘着剤層12に表紙裏側が貼着する。次に、図6(C)のように再度、表紙51を持ち上げた状態で裏面側剥離紙14を剥がして除去する。その後、図6(D)のように、露出した粘着剤層13を見返し52面に圧着すると、無線タグは、表紙51裏側と見返し52間に完全に貼着された状態になる。
以上は、表紙51と見返し52の間に貼着する場合を例として説明したが、書籍5の任意の紙間に適用できることは明らかなことである。請求項6では、表紙または裏表紙の背に接近したのど部分の紙間に接着する場合を要件とし、請求項7では、任意の紙間に接着する場合を要件としている。
【0024】
次に、無線タグラベルの製造方法について、図7〜図11を参照して説明する。
(1)インレット用ベースフィルムに間隔を置いて、細長形状の無線タグ用アンテナを該インレット用ベースフィルムの長さ方向に直交するように形成する工程を行う。
これには、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等の帯状基材に、アルミ箔や銅箔をラミネートしたインレット用ベースフィルム1bを使用し、アンテナ用レジストパターンをレジスト印刷やフォトレジストを使用して形成する。その後、エッチングしてアンテナ2を形成する。この際のアンテナ間のピッチqは最終製品(無線タグラベル10)のピッチpと同一である必要はなく、より短いピッチ間隔のものでもよい。この後の工程で、無線タグインレット1の長辺に平行に縦断裁して裏面側剥離紙14に接着させる加工を行うからである(図7参照)。
単位の無線タグインレット1の横幅は1mmから10mm程度であって、縦方向長さが2cmから20cm程度となるから、細長形状の無線タグ用アンテナ2は、その中に納まる程度の形状になる。
【0025】
(2)上記無線タグ用アンテナに非接触ICチップを装着して、無線タグインレットの連続体を完成する工程を行う。アンテナ2にUHF帯用非接触ICチップ3を実装して、ICタグインレットの帯状連続体を完成する(図7参照)。なお、図7(A)は帯状連続状態の一部分を示す平面図であり、図7(B)は、図7(A)のa1−a1間の1単位の無線タグインレット1だけを拡大して示す断面図である。
【0026】
(3)上記無線タグインレットのアンテナ面に、両面粘着テープをアンテナ面側に全面に接着する工程を行う。
図8(A)のように、両面粘着テープ13tを無線タグインレット1のアンテナ2面側に接着する。両面粘着テープ13tは後に粘着剤層13となるものであり、当初は両面が保護紙で被覆されている状態であるが、アンテナ2面に接する側の保護紙を除去して接着させる。図示してないが、両面粘着テープ13tのアンテナ2面とは反対側の保護紙は残しておいてもよい。図8(B)は、図8(A)のa2−a2間の断面図である。
【0027】
(4)無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で、切り取り用ミシン目線を剥離紙の長さ方向に略直交して横断するように形成して裏面側剥離紙を準備する工程を行う。
この工程は、上記した無線タグインレット1の準備工程とは別の工程であり、裏面側剥離紙の準備工程を意味する。従って、(1)〜(3)の工程との順序は特に問わない。
無線タグインレットのインレット用ベースフィルムと同等かまたは広幅の裏面側剥離紙14に、切り取り用ミシン目線14mを無線タグラベル10の完成時の状態と同一の一定間隔pで形成する。ミシン目線14mは抜き刃を用いて形成できる。ミシン目線14mは剥離紙14の長さ方向に略直交して形成するのは前記のとおりである。
【0028】
(5)無線タグインレットを単位の横幅を超える幅に切断しながら前記両面粘着テープにより、(4)の工程で準備した裏面側剥離紙に位置合わせして接着する工程を行う。
準備した無線タグインレットは、完成時のピッチpとは無関係のピッチqで形成され、サイズも最終製品のものとは異なっているので、所定ピッチpと所定サイズにするための準備を行う。これには、図9(A)のように、完成時の無線タグインレット1の1単位の横幅を超える適宜な幅にインレット用ベースフィルム1bを切断して、無線タグインレット1の長辺の一方が、裏面側剥離紙14に形成したミシン目線14mを超える(またぐ)ようにして、ただしインレット1の切断予定線が略一致するように位置合わせしながら接着させる。ミシン目線14mは剥離紙11で覆われているので、実際には見えないものである。このような工程は、ICタグ加工機を用いて行うことができる。
図9(B)は、図9(A)のa3−a3間の断面図である。
【0029】
(6)無線タグインレットのインレット用ベースフィルム面に、表面側剥離紙付き両面粘着テープを全面に接着する工程を行う。
この工程は、表面側剥離紙11と共に無線タグインレット1を打ち抜いて形成するための準備工程である。両面粘着テープは、完成時には粘着剤層12となるものである。表面側剥離紙付き両面粘着テープの幅は、インレット用ベースフィルム1bと同一幅かやや広幅であることが好ましい。両面粘着テープを接着した状態では、図10のように、その下面のものは隠蔽されて見えない。ミシン目線14mも実際には見えないものである。
図10(B)は、図10(A)のa4−a4間の断面図である。
【0030】
(7)裏面側剥離紙に形成された切り取り用ミシン目線に、1単位の無線タグインレットの一方側長辺が一致するようにして、表面側剥離紙面から無線タグインレットの形状を打ち抜きする工程を行う。
この工程は、無線タグインレット1の外形形状を打ち抜き形成する工程である。予め準備した抜き刃を用いて、シート毎に一括して打ち抜く加工を行う。もっとも、連続状の帯状ラベルの場合は、回転するダイカットローラを用いて打ち抜きすることもできる。
裏面側剥離紙14に形成した切り取り用ミシン目線10aと、無線タグインレット1の一方側の長辺が一致した線を形成することが好ましいが、1mm〜2mm程度の位置ずれが生じても実用的には問題がない。抜き刃は、表面側剥離紙11と粘着剤層12、インレット用ベースフィルム1b、粘着剤層13を打ち抜きして、裏面側剥離紙14には達しないように調整する(図11参照)。
【0031】
(8)無線タグインレットの形状の外部であって、無線タグインレットを構成しない表面側剥離紙と粘着剤層、およびインレット用ベースフィルムを除去する工程を行う。
この工程は最終行程であり、図11のように、無線タグインレット1のみを裏面側剥離紙14面に残し、その他の不要部分を剥離して除去する加工を行う。これにより、無線タグラベル10が完成する。図11(B)は、図11(A)のa5−a5間の断面図であり、不要部分を剥離した除去後の状態を示している。
【0032】
<材質に関する実施形態>
(1)インレット用ベースフィルム
プラスチックフィルムを幅広く各種のものを使用でき、以下に挙げる単独フィルムあるいは複合フィルムを使用できる。厚みは、20μmから300μm程度が好ましい。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、等である。
【0033】
(2)剥離紙
プラスチックフィルムや紙基材を幅広く各種のものを使用できる。プラスチックフィルムとしては、上記ベースフィルムに挙げたものを使用でき、紙基材としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、等を使用できる。裏面側剥離紙14は、やや厚みがあるものを使用して、指先で押さえて差し込みしても変形しない程度のこしがあるものが必要となる。
【0034】
(3)粘着剤
また、本明細書で粘着剤という場合は、徐々に粘度が顕著に上昇することなく、いつまでも中間的なタック状態を保つものをいうものとする。
粘着剤の樹脂組成物としては、天然ゴム系、ニトリルゴム系、エポキシ樹脂系、酢酸ビニルエマルジョン系、アクリル系、アクリル酸エステル共重合体系、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系、等の各種材料を使用できる。
【0035】
以上のように、本発明の実施形態を説明したが、本発明は図示した実施例等には限定されず、各種の実施形態が可能なものである。例えば、帯状の連続ラベルであっても良く、微少な形態であれば、一方側粘着剤層を省略する形態も可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】無線タグラベルを示す平面図である。
【図2】切り取りした単位の無線タグの断面を拡大して示す図である。
【図3】無線タグラベルの他の例を示す平面図である。
【図4】無線タグラベルの他の例を示す平面図である。
【図5】1単位の無線タグインレットを示す平面図である。
【図6】無線タグの使用方法を説明する図である。
【図7】無線タグラベルを製造する工程1を示す図である。
【図8】同工程2を示す図である。
【図9】同工程3を示す図である。
【図10】同工程4を示す図である。
【図11】同工程5を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 無線タグインレット
1b インレット用ベースフィルム
2 アンテナ
3 ICチップ
10 無線タグラベル
10 ラベル表紙
11 表面側剥離紙
12,13 粘着剤層
14 裏面側剥離紙
14m ミシン目線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書籍の背に接近したのど部分の紙間に貼着する無線タグが複数連接したラベルであって、無線タグインレットの縦方向長さと同等または幅広である裏面側剥離紙には、切り取り用ミシン目線が、1単位の無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で、前記剥離紙の長さ方向に略直交して横断するように形成されており、さらに該各切り取り用ミシン目線に沿って、表面側剥離紙と粘着剤層と共に一体に打ち抜きされた無線タグインレットが、粘着剤層を介して接着していることを特徴とする無線タグラベル。
【請求項2】
無線タグインレットが、ダイポールアンテナを有するUHF帯用のものであることを特徴とする請求項1記載の無線タグラベル。
【請求項3】
前記一定間隔が、15mmから40mmの範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の無線タグラベル。
【請求項4】
前記切り取り用ミシン目線が、1単位の無線タグインレットの長辺に沿う部分では直線状に形成されており、長辺を超える域では、無線タグインレットの短辺側に屈曲するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項記載の無線タグラベル。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグラベルを、無線タグインレットが接着している裏面側剥離紙の切り取り用ミシン目線から切り取りしたことを特徴とする無線タグ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグラベルから、単位の無線タグを切り取りした後、表面側剥離紙を剥離除去して、書籍の表紙または裏表紙の背に接近したのど部分紙間に無線タグインレットが先端になるようにして差し込みし、次に表面側に書籍の表紙または裏表紙を被せて表側粘着剤に貼着し、さらに表紙または裏表紙を開いた状態で、裏面側剥離紙を剥離除去してから表紙または裏表紙の内側の用紙に裏側粘着剤により無線タグを貼着することを特徴とする無線タグの書籍への貼着方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載の無線タグラベルから、単位の無線タグを切り取りした後、表面側剥離紙を剥離除去して、書籍のいずれかの用紙間の背に接近したのど部分紙間に無線タグインレットが先端になるようにして差し込みし、次に表面側に書籍の1の用紙を被せて表側粘着剤に貼着し、さらに当該1の用紙を開いた状態で、裏面側剥離紙を剥離除去してから前記1の用紙に対面する内側の用紙に裏側粘着剤により無線タグを貼着することを特徴とする無線タグの書籍への貼着方法。
【請求項8】
次の(1)から(8)の工程、
(1)インレット用ベースフィルムに間隔を置いて、細長形状の無線タグ用アンテナを該インレット用ベースフィルムの長さ方向に直交するように形成する工程、
(2)上記無線タグ用アンテナに非接触ICチップを装着して、無線タグインレットの連続体を完成する工程、
(3)上記無線タグインレットのアンテナ面に、両面粘着テープをアンテナ面側に全面に接着する工程、
(4)無線タグインレットの横幅を超える一定間隔で、切り取り用ミシン目線を剥離紙の長さ方向に略直交して横断するように形成して裏面側剥離紙を準備する工程、
(5)無線タグインレットを1単位の横幅を超える幅に切断しながら前記両面粘着テープにより、(4)の工程で準備した裏面側剥離紙に位置合わせして接着する工程、
(6)無線タグインレットのインレット用ベースフィルム面に、表面側剥離紙付き両面粘着テープを全面に接着する工程、
(7)裏面側剥離紙に形成された切り取り用ミシン目線に、1単位の無線タグインレットの一方側長辺が一致するようにして、表面側剥離紙面から無線タグインレットの形状を打ち抜きする工程、
(8)前記無線タグインレットの形状の外部であって、無線タグインレットを構成しない表面側剥離紙と粘着剤層、およびインレット用ベースフィルムを除去する工程、を有することを特徴とする無線タグラベルの製造方法。
【請求項9】
前記工程(4)で、裏面側剥離紙に形成する切り取り用ミシン目線を、単位の無線タグインレットの長辺に沿う部分では直線状に形成し、長辺を超える域では、無線タグインレットの短辺側に屈曲するように形成することを特徴とする請求項8記載の無線タグラベルの製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−245238(P2009−245238A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92051(P2008−92051)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】