説明

無線タグ通信装置

【課題】近年のニーズに対応し、接地面が金属であっても共振周波数がずれることなく通信性能の劣化を防止することができる無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】無線タグ通信装置1は、機器外郭を構成し、底面3Aを所定の設置面に接して定置される筐体2と、情報を記憶するIC回路部150と情報の送受信を行うタグアンテナ151とを備えた無線タグに対し、無線通信により情報送受信を行うためのアンテナ13と、無線タグと情報の送受信を行う高周波回路131とを有する。無線タグ通信装置1の底面には共振周波数調整部材3Bが設けられている。この共振周波数調整部材3Bは、その底面3Aを金属からなる設置面Fに接して定置したときのアンテナの共振周波数と、底面3Aを非金属からなる設置面Fに接して定置したときのアンテナの共振周波数とを調整するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部と通信可能な無線タグと、無線通信により情報送受信可能な無線タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信では、その通信に用いられるアンテナの周波数特性に最も適する周波数(=共振周波数)を用いることで、信頼性を向上できることが知られている。これは特に、通信距離が長い場合に有効である。無線タグとの通信を行う無線タグ通信装置において、上記のような共振周波数に配慮したものとして、様々な従来技術が存在している。
【0003】
近年、無線タグの利用の拡大によってその用途は多種多様となっており、それらの用途に応じて無線タグとの通信を行う無線タグ通信装置の使用態様も多様になっている。例えばオフィスや家庭などで、スチールデスク、パソコンラック、メタルラック・棚などの金属製の接地面に無線タグ通信装置を設置して使用したいというニーズが生じつつある。
【0004】
上記のような金属接地面に無線タグ通信装置を設けた場合には、装置アンテナの共振周波数が金属接地面との間の相互作用により変動し、通信性能が劣化する。逆に、非金属接地面に無線タグ通信装置を設けた場合には、そのような相互作用の影響を受けないため共振周波数が金属接地面との間の相互作用により変動せず、通信性能が劣化しない。従って従来の無線タグ通信装置においては、設置された場所が金属接地面であるか非金属接地面であるかに応じて同一の無線タグ通信装置であっても通信性能が異なってしまう場合があった。
【0005】
そこで従来の無線通信装置においては、上記装置アンテナ、この装置アンテナの背後に配置された所定の比透磁率及び導電率とした第1領域及び第2領域の周囲を囲むよう形成されたケースを備える構成としている(特許文献1参照)。このような構成とすると、ケース内の第2領域の存在により、設置場所の壁面、天井面、床面やその中に鉄筋、鉄板、信号ケーブルなどの強磁性を有する部材が存在しても、この装置アンテナ開口側への放射パターンがほぼ変化せず、設置場所の制約を受けずに調整された最適性能を発揮することができる。
【特許文献1】特許3085507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の無線通信装置においては、上述のような調整を行う第2領域がケース内に存在しているため、上述した装置アンテナと第2領域との距離が短く、実際には装置アンテナがこの第2領域の存在により通信性能に影響が生じてしまうおそれがあった。従って従来の無線通信装置においては、必ずしも設置場所の制約を受けずに調整された最適性能を発揮することができるとは云えなかった。
【0007】
本発明の目的は、接地面が金属であっても共振周波数がずれることなく通信性能の劣化を防止することができる無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1発明は、機器外郭を構成し、底面を所定の設置面に接して定置される筐体と、情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた無線タグに対し、無線通信により情報送受信を行うためのアンテナと、前記無線タグと情報の送受信を行う高周波回路とを有する無線タグ通信装置であって、前記底面に、前記底面を金属からなる前記設置面に接して定置したときの前記アンテナの共振周波数と、前記底面を非金属からなる前記設置面に接して定置したときの前記アンテナの共振周波数とを調整するための共振周波数調整手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
これにより、設置面が金属である場合でも、共振周波数調整手段の存在により、無線タグ通信装置のアンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。また、共振周波数調整手段が機器外郭の底面に設けられていることから、共振周波数調整手段が機器外郭の内部に設けられている場合に比べて、アンテナから共振周波数調整手段までの距離を稼ぐことができ、共振周波数調整手段自体がアンテナに与える影響を極力小さくすることができる。このように設置面が金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置を構成することができる。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記共振周波数調整手段は、金属板または金属シートであることを特徴とする。
【0011】
これにより、金属板または金属シートで構成された共振周波数調整手段の存在により、設置面が金属であっても金属でなくても無線タグ通信装置のアンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。このように設置面が金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置を構成することができる。
【0012】
第3発明は、上記第1発明において、前記共振周波数調整手段を前記底面に着脱可能に支持する取り付け手段を有することを特徴とする。
【0013】
これにより、設置面が非金属であり、その設置面がアンテナの共振周波数に与える影響が少ない場合には共振周波数調整手段を取り外しておくことで、アンテナの性能を十分に発揮させることができる。
【0014】
第4発明は、上記第3発明において、前記取り付け手段は、互いに材質の異なる複数の前記共振周波数調整手段をそれぞれ着脱可能に構成したことを特徴とする。
【0015】
これにより、無線タグ通信装置を製造後においても、適宜の材質の共振周波数調整手段を取り付けることで、上記アンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0016】
第5発明は、上記第3発明において、前記取り付け手段は、互いに面積の異なる複数の前記共振周波数調整手段をそれぞれ着脱可能に構成したことを特徴とする。
【0017】
これにより、無線タグ通信装置を製造後においても、適宜の面積の共振周波数調整手段を取り付けることで、上記アンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0018】
第6発明は、上記第1発明において、前記共振周波数調整手段は、前記底面に粘着するための粘着剤層を備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、設置面の材質に応じて共振周波数調整手段を上記底面に粘着させれば、上記アンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0020】
第7発明は、上記第1発明において、前記共振周波数調整手段は、前記底面に固定されていることを特徴とする。
【0021】
これにより、設置面が金属である場合でも、共振周波数調整手段の存在により、無線タグ通信装置のアンテナとその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。このため設置面が金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置を構成することができる。
【0022】
第8発明は、上記第1発明において、前記共振周波数調整手段は、静電気の放電を防止する電気絶縁被覆層を備えることを特徴とする。
【0023】
これにより、静電気の放電を防止して無線タグ通信装置の誤動作を防いで動作を安定させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、接地面が金属であっても共振周波数がずれることなく通信性能の劣化を防止することができる無線タグ通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1に、本実施形態の無線タグ通信装置であるリーダ1の外観構造を示す。また図2に、リーダ1の蓋4を取り外した状態を示し(煩雑防止のため図2ではケーブル6の図示を省略している)、図3にさらに図2中のIII−III断面を示す。これら図1、図2、及び図3に示すように、リーダ1は、機器外郭を構成する小型の筐体2を備え、使用者が適宜の設置面に設置(定置)して使用可能に構成されている(設置面に載置した状態で筐体2を手で把持して使用することも可能)。筺体2の前部(図1、図2中上側)には、電源用・信号送受用のケーブル6を筺体2内に引き込むための開口部5が設けられている。
【0027】
筐体2は、機器外郭を構成し、底面を所定の接地面に接して定置される。筐体2は、前端側が幅方向に開口した長方形の浅い皿状の下ケース3と、この下ケース3上に取り付けられる長方形の平板状の蓋4とを備えている。下ケース3は、リーダ1を上記設置面に載置する際に設置面に接触する底面3A(筐体の底面)を備えており、この例では蓋4に対し後端側が上昇する向きに傾斜している。蓋4の前部には、下方向に湾曲して下ケース3の前端の上記開口を塞ぐ鍔部4aが形成されている。
【0028】
ケーブル6を筐体2内に引き込む上記開口部5は、鍔部4aの下部の幅方向右側(図1参照)に設けられている。下ケース3の前端の開口内側の幅方向中央には、蓋4の鍔部4aを挿通したクリップ7を装着するための取付部4bが設けられている。クリップ7は、鍔部4aに倣った湾曲形状を備えており、蓋4の上面部に延びるように取付部4bに装着される。なお、クリップ7は、上下を反転して取り付けることにより、下ケース3の下面側に位置させることができる(図示省略)。
【0029】
下ケース3の底部には、下ケース3の前部左側隅部を除く隅部、すなわち前部右側隅部、後部右側隅部、後部左側隅部に、蓋4をねじ止めするための円柱状の第1ボス部8a、第2ボス部8b、第3ボス部8cがそれぞれ設けられている。蓋4を下ケース3に被せ、下ケース3のボス部8a〜8cに対応する蓋4のボス部を重ね合わせ、下ケース3のボス部8a〜8cに設けられた貫通孔9に下ケース3の下面から図示しないねじを挿入して、ねじを蓋4のボス部に設けられたねじ孔に螺合することにより、蓋4が下ケース3に取り付けられる。
【0030】
また、筐体2内には、制御基板12と、制御基板12に電気的に接続されたアンテナ13とが設けられている。制御基板12は、無線タグの無線タグ回路素子と情報の送受信を行う高周波回路131(後述の図4参照)等の電子回路を実装した四角形状の電子回路基板である。この制御基板12は、下ケース3の上記取付部4bに接触する位置から下ケース3の中央部近くにわたり、下ケース3の底部寄りの位置に蓋4の上面部と平行に設置されている。また、制御基板12は、この例では、その右側(図1、図2中右側)の前端近くを下ケース3の上記第1ボス部8aの側面に接触させて、下ケース3の左側(図1、図2中右側)の左壁部3b側に寄せて配置されている。この結果、制御基板12と下ケース3の右壁部3aとの間には、上記ケーブル6を敷設する空間14が形成されている。
【0031】
アンテナ13は、アンテナ導体13aが矩形状のループコイルをなすように設けられた長方形状の板体で、制御基板12よりも上方の高さ位置に制御基板12と平行に設置されている(図3参照)。この結果、アンテナ13は、下ケース3の底面3Aに対し(この例ではやや傾きながら)沿うような位置関係となり、底面3Aまでの距離が所定の範囲となる。また、このアンテナ13は、制御基板12の中央部上方から、下ケース3の後壁部3c近くの第2ボス部8b、第3ボス部8cに接触する位置にわたって、配置されている。
【0032】
下ケース3の前端の右側部には、蓋4の鍔部4aの下部右側の上記開口部5に位置する1対のガイド突起16が設けられている(図2参照)。パソコン等の外部の電気機器130(後述の図4参照)に連結された上記ケーブル6は、ガイド突起16の間を通って筐体2内に引き込まれている。そしてケーブル6は、下ケース3の底部を制御基板12の右辺部及び後辺部に沿って這うように敷設され、ケーブル6の先端に設けられたコネクタ15(後述の図4参照)及び制御基板12の後辺部左側の位置に設けられた基板側コネクタ135(後述の図4参照)を介して、制御基板12に接続されている。
【0033】
筐体2の外側における底面3Aには、底面3Aに沿った平面状の共振周波数調整部材3Bが設けられている。共振周波数調整部材3Bは、底面3Aを、金属からなる設置面に接して定置したときのアンテナ13の共振周波数と、底面3Aを非金属からなる設置面に接して定置したときのアンテナ13の共振周波数とを調整するための部材である。共振周波数調整部材3Bの詳細については後述する。
【0034】
図4に、上記リーダ1の機能的構成を示す。リーダ1は、筺体2内に、上記制御基板12と、通信対象である無線タグ回路素子To(例えば無線タグラベルや無線タグカード等からなる無線タグ(図示省略)に備えられている)との間で無線通信により情報の送受を行う上記アンテナ13とを備えている。無線タグ回路素子Toは、情報を記憶するIC回路部150と情報の送受信を行うタグアンテナ151とを備えている。制御基板12には、上記アンテナ13により、上記無線タグ回路素子Toのタグアンテナ151を介しIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路131と、高周波回路131を含むリーダ1全体の制御を行う制御回路133と、情報が記憶されるメモリ134と、上記基板側コネクタ135とを有している。高周波回路131には、無線タグ回路素子Toへの電力供給を行うための周波数fcの搬送波を生成する搬送波発生部132が備えられている。なお、ケーブル6の他端はこの例ではパソコン130に接続され、リーダ1はケーブル6を介しパソコン130から電源供給される。
【0035】
図5に、リーダ1の使用時の状態を示す。リーダ1は、図5に示すように、主として、筐体2の下ケース3の底面3Aを設置面F上に接触させつつ設置面Fに定置して使用される。本実施形態のリーダ1では、このように定置して使用する際、筐体2の底面が接する設置面Fが金属製であるか、非金属製であるかにかかわらず、無線タグ回路素子Toとの無線通信に一定の通信効率を確保できるようにしている。
【0036】
以上のように無線タグ通信装置1が下ケース3の底面3Aに共振周波数調整部材3Bが設けられていると、設置面Fが金属である場合でも、共振周波数調整部材3Bの存在により、無線タグ通信装置1のアンテナ13とその設置面Fとの相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。また、共振周波数調整部材3Bが機器外郭の底面3Aに設けられていることから、共振周波数調整部材3Bが機器外郭の内部に設けられている場合に比べて、アンテナ13から共振周波数調整部材3Bまでの距離を稼ぐことができ、共振周波数調整部材3B自体がアンテナ13に与える影響を極力小さくすることができる。このように設置面Fが金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置1を構成することができる。
【0037】
ここで共振周波数調整部材3Bは、例えば金属板または金属シートで構成することができる。これにより、金属板または金属シートで構成された共振周波数調整部材3Bが元々存在しているため、設置面Fが金属でも非金属でも無線タグ通信装置1のアンテナ13とその設置面Fとの相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。このように設置面Fが金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置1を構成することができる。
【0038】
図6に、図5に示す下ケース3の底面3Aを拡大した構成を示す。下ケース3の底面3Aには、共振周波数調整部材3Bを着脱可能に取り付けるための取り付け部3C(取り付け手段)が形成されている。取り付け部3Cは、例えば溝が形成されており、共振周波数調整部材3Bの縁がその溝に嵌り込んで固定される構成となっている。
【0039】
このような構成とすると、設置面Fが非金属であり、その設置面Fがアンテナ13の共振周波数に与える影響が少ない場合には共振周波数調整部材3Bを取り外しておくことで、アンテナ13の性能を十分に発揮させることができる。
【0040】
図7に、下ケース3の底面3Aに装着可能な共振周波数調整部材3Bの変形例を示す。
【0041】
共振周波数調整部材3Bは複数用意されており、互いに材質が異なっているようにしても良い。取り付け部3Cは、このような複数の共振周波数調整部材3Bをそれぞれ着脱可能に構成されている。
【0042】
このような構成とすると、無線タグ通信装置1を製造後においても、適宜の材質の共振周波数調整部材3Bを単独で或いは組み合わせて取り付けることで、上記アンテナ13とその設置面との相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0043】
共振周波数調整部材3Bは同様に複数用意されているものの、互いに面積が異なっていても良い。この場合、各共振周波数調整部材3Bは同一の材質であっても良いし、互いに異なる材質であっても良い。このような共振周波数調整部材3Bは、単独で或いは適宜複数組み合わせて取り付け部3Cに装着することにより、様々な接地面Fの状態に対応させることができる。
【0044】
このような構成とすると、無線タグ通信装置1を製造後においても、適宜の面積の共振周波数調整部材3Bを取り付けることで、上記アンテナ13とその設置面Fとの相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0045】
図8に、別の実施形態における共振周波数調整部材3Bが下ケース3の底面3Aに粘着剤層3Dを介して装着されている様子を示す。
【0046】
上述した実施形態においては、下ケース3の底面3Aに、共振周波数調整部材3Bを着脱可能に取り付けるための取り付け部3Cが設けられていることを挙げたが、そのような構成の代わりに、例えば図8に示すように、その底面3Aが平坦であり、共振周波数調整部材3Bがその底面3Aに粘着するための粘着剤層3Dを備えている構成であっても良い。
【0047】
このような構成とすると、設置面Fの材質に応じて共振周波数調整部材3Bを、粘着剤層3Dを介して上記底面3Aに粘着させれば、上記アンテナ13とその設置面Fとの相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。
【0048】
上述した実施形態においては、共振周波数調整部材3Bが下ケース3の底面3Aにおいて着脱可能であったが、共振周波数調整部材3Bは、その底面3Aに固定されていても良い。
【0049】
このような構成とすると、設置面Fが金属である場合でも、共振周波数調整部材3Bの存在により、無線タグ通信装置1のアンテナ13とその設置面Fとの相互作用により共振周波数がずれにくくなり、通信性能が劣化しないようになる。このため設置面Fが金属である場合及び非金属である場合の両方に対応した無線タグ通信装置1を構成することができる。
【0050】
図9に、別の実施形態における共振周波数調整部材3Bを示す。
当該別の実施形態では、共振周波数調整部材3Bが、例えばその表面の少なくとも一部に電気絶縁被覆層3Eを備えている。当該別の実施形態では、共振周波数調整部材3Bが例えば全ての表面を覆うようにコーティングされている。電気絶縁被覆層3Eは静電気の放電を防止する機能を有する。なお図9においては、電気絶縁被覆層3Eを備える共振周波数調整部材3Bが、取り付け部3Cによって底面3Aに取り付けられているが、これに限られず、所定の粘着層を介して金属シールとして貼り付けられていても良いし、固定されていても良い。
【0051】
このような構成とすると、静電気の放電を防止して無線タグ通信装置1の誤動作を防いで動作を安定させることができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明した。その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るリーダを示す平面図である。
【図2】リーダの蓋を取り外した状態の平面図である。
【図3】図2中のIII−III断面によるリーダの縦断面図である。
【図4】リーダの機能的構成を示すブロック図である。
【図5】リーダの使用を示す縦断面図である。
【図6】図5に示す下ケースの底面を拡大した構成を示す図である。
【図7】下ケースの底面に装着可能な共振周波数調整部材の変形例を示す図である。
【図8】別の実施形態における共振周波数調整部材が下ケースの底面に粘着剤層を介して装着されている様子を示す図である。
【図9】別の実施形態における共振周波数調整部材の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 リーダ(無線タグ通信装置)
2 筐体
3 下ケース
3A 底面
3B 共振周波数調整部材(共振周波数調整手段)
3C 取り付け部(取り付け手段)
3D 粘着剤層
3E 電気絶縁被覆層
6 ケーブル
3A 底面
12 制御基板
13 アンテナ
131 高周波回路
132 搬送波発生部
150 IC回路部
151 タグアンテナ
F 設置面
To 無線タグ回路素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器外郭を構成し、底面を所定の設置面に接して定置される筐体と、
情報を記憶するIC回路部と情報の送受信を行うタグアンテナとを備えた無線タグに対し、無線通信により情報送受信を行うためのアンテナと、
前記無線タグと情報の送受信を行う高周波回路と
を有する無線タグ通信装置であって、
前記底面に、
前記底面を金属からなる前記設置面に接して定置したときの前記アンテナの共振周波数と、前記底面を非金属からなる前記設置面に接して定置したときの前記アンテナの共振周波数とを調整するための共振周波数調整手段を設けた
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記共振周波数調整手段は、金属板または金属シートである
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項3】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記共振周波数調整手段を前記底面に着脱可能に支持する取り付け手段を有する
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項4】
請求項3記載の無線タグ通信装置において、
前記取り付け手段は、
互いに材質の異なる複数の前記共振周波数調整手段をそれぞれ着脱可能に構成した
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項5】
請求項3記載の無線タグ通信装置において、
前記取り付け手段は、
互いに面積の異なる複数の前記共振周波数調整手段をそれぞれ着脱可能に構成した
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項6】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記共振周波数調整手段は、前記底面に粘着するための粘着剤層を備える
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項7】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記共振周波数調整手段は、前記底面に固定されている
ことを特徴とする無線タグ通信装置。
【請求項8】
請求項1記載の無線タグ通信装置において、
前記共振周波数調整手段は、静電気の放電を防止する電気絶縁被覆層を備える
ことを特徴とする無線タグ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−56815(P2010−56815A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218961(P2008−218961)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】