説明

無線ネットワークにおけるラジオ・リンク制御のためのデータ破棄

【課題】無線通信のラジオ・リンク制御(RLC)レイヤにおける無効なサービス・データ・ユニット(SDU)の帯域内通知を容易にする。
【解決手段】プロトコル・データ・ユニット(PDU)再送信中にSDUが無効になった場合、受信機による受信および解釈のために、帯域内通知が再送信PDU内にパックされる。帯域内通知は、前に部分的に受信されたSDUの破棄を示す専用長さインジケータであり、PDUの送信機は、無効なSDUを再送信しないことによってペイロードを節約する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は"APPARATUS AND METHOD FOR DATA DISCARD IN LONG TERM EVOLUTION RADIO LINK CONTROL"と題され2007年11月21日に出願された米国仮出願60/989,529号の利益を主張する。上記出願の全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
以下の記載は、一般に、無線通信に関し、さらに詳しくは、無線通信ネットワークにおけるラジオ・リンク・レイヤにおいてデータを破棄することに関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信システムは、例えば、音声、データ等のようなさまざまなタイプの通信コンテンツを提供するために広く開発された。一般的な無線通信システムは、(例えば、帯域幅、送信電力等のような)利用可能なシステム・リソースを共有することにより、複数のユーザとの通信をサポートすることができる多元接続システムでありうる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、および直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム等を含む。さらに、これらシステムは、例えば第3世代パートナシップ計画(3GPP)、3GPPロング・ターム・イボリューション(LTE)、ウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)等のような仕様に準拠しうる。
【0004】
一般に、無線多元接続通信システムは、複数のモバイル・デバイスのための通信を同時にサポートすることができる。モバイル・デバイスはおのおのの、順方向リンクおよび逆方向リンクによる送信を介して1または複数の基地局と通信することができる。順方向リンク(すなわちダウンリンク)は、基地局からモバイル・デバイスへの通信リンクを称し、逆方向リンク(すなわちアップリンク)は、モバイル・デバイスから基地局への通信リンクを称する。さらに、モバイル・デバイスと基地局との間の通信は、単一入力単一出力(SISO)システム、複数入力単一出力(MISO)システム、複数入力複数出力(MIMO)システム等によって確立されうる。さらに、モバイル・デバイスは、ピア・ツー・ピア無線ネットワーク構成で、他のモバイル・デバイスと(および/または基地局が他の基地局と)通信することができる。
【0005】
MIMOシステムはデータ送信のために一般に、複数(N個)の送信アンテナと複数(N個)の受信アンテナとを適用する。アンテナは、基地局とモバイル・デバイスとの両方に関連しており、一例では、無線ネットワークにおけるデバイス間の双方向通信を可能とする。それに加えて、モバイル・デバイスおよび基地局は、アンテナによる送信のためにデータをパッケージするために、ラジオ・リンク制御(RLC)レイヤを利用しうる。特に、モバイル・デバイスおよび基地局は、送信するデータの論理部分を表すサービス・データ・ユニット(SDU)を定義しうる。これは、RLCレイヤにおいて、アンテナを介した送信のために、1または複数の固定長または可変長のサイズのプロトコル・データ・ユニット(PDU)に関連付けられうる。
【0006】
それに加えて、モバイル・デバイスおよび基地局は、オーバ・ザ・エア通信における誤りを補償できるほど正しく受信されなかった場合には、PDUが再送信される自動反復要求(ARQ)通信スキームを適用しうる。さらに、可変長のPDUを用いて、ARQラウンドは、前のラウンドよりも多いまたは少ないSDUデータを含むPDUの再セグメンテーションとなる。したがって、再送信は、オリジナルの送信とは異なって現われうる。しかしながら、無線通信データは、技術のリアル・タイム特性により、期限切れにより無効になるので、価値を著しく失う。したがって、再送信中のある時点において、受信機に対して、これら無効になったデータを破棄することを通知することは有用でありうる。そして、SDUは、そのような無効になったとのステータスを示すタイマに関連付けられうる。その他の技術は、データをデバイス間で通信するために、個別の通信媒体またはチャネルを生成するシステムを提案する。
【発明の概要】
【0007】
以下は、1または複数の実施形態の基本的な理解を提供するために、これら実施形態の簡単な概要を示す。この概要は、考えられるすべての実施形態の広範な概観ではなく、すべての実施形態の重要要素または決定的要素を特定することでもなく、任意またはすべての実施形態の範囲を線引きすることも意図されていない。その唯一の目的は、1または複数の実施形態のいくつかの概念を、後に示されるより詳細な記載に対する前置きとして、より簡単な形式で表すことである。
【0008】
1または複数の実施形態および対応する開示によれば、さまざまな態様が、無線ネットワークにおけるデータ破棄を帯域内シグナリング・リソースを用いて容易にすることに関連して記載される。これは、破棄命令を送信するために個別の通信媒体またはチャネルを生成する必要性を緩和する。一例において、SDUの終了位置を示すために、別のデバイスへ送信された1または複数の関連するプロトコル・データ・ユニット(PDU)内に、サービス・データ・ユニット(SDU)長さインジケータが提供されうる。それに加えて、この長さインジケータは、送信されたSDUが破棄された時を明示するように修正されうる。この点に関し、受信デバイスは、SDUを破棄し、次のSDUの処理に移る。
【0009】
関連する態様によれば、無線通信ネットワークにおいて、無効になったSDUを破棄する方法が提供される。この方法は、第1のPDUで第1のSDUの一部が送信された後に、第1のSDUが無効であることを示す無効ステータスを受信することを備える。この方法はさらに、第1のSDUの一部のサブセットを、再送信PDU内にパックすることと、再送信PDUを、1または複数のデバイスへ送信することとを含みうる。
【0010】
別の態様は、無線通信装置に関する。この無線通信装置は、ラジオ・リンク制御(RLC)レイヤにおいて受信されたSDUが無効であることを示す無効ステータスを判定する少なくとも1つのプロセッサを含みうる。少なくとも1つのプロセッサはさらに、無効になったとのステータスに少なくとも部分的に基づいて、SDUの一部、および/または、長さインジケータを備える再送信PDUを生成し、再送信PDUを1または複数のデバイスへ送信するように構成される。この無線通信装置はさらに、少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリをも含みうる。
【0011】
また別の態様は、無線通信ネットワークにおけるRLCレイヤにおいて、無効になったデータを破棄する無線通信装置に関する。この無線通信装置は、SDUが無効であることを示す無効ステータスを受信する手段を備えうる。この無線通信装置はさらに、SDUの無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、帯域内無効データ・インジケータとともに再送信PDUをパッケージする手段と、再送信PDUを1または複数のデバイスへ送信する手段とを含みうる。
【0012】
さらに別の態様は、コンピュータ・プログラム製品に関する。これは、少なくとも1つのコンピュータに対して、SDUが無効であることを示す無効ステータスを受信させるためのコードを含むコンピュータ読取可能媒体を有しうる。このコンピュータ読取可能媒体はさらに、少なくとも1つのコンピュータに対して、SDUの無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、長さインジケータとともに再送信PDUをパッケージさせるためのコードを備えうる。さらに、このコンピュータ読取可能媒体は、少なくとも1つのコンピュータに対して、再送信PDUを1または複数のデバイスへ送信させるためのコードを備えうる。
【0013】
さらなる態様によれば、無線通信ネットワーク内のRLCレイヤにおいてデータを破棄する方法が示される。この方法は、1または複数の送信機から再送信PDUを受信することを含みうる。この方法はさらに、前に部分的に受信したSDUの破棄を示すPDU内の専用長さインジケータを識別することと、前に部分的に受信したSDUを破棄することとを含みうる。
【0014】
別の態様は、無線通信装置に関する。この無線通信装置は、1または複数の送信機から再送信PDUを受信し、前に部分的に受信したSDUに関連するPDU内の専用長さインジケータを判定するように構成された少なくとも1つのプロセッサを含みうる。この少なくとも1つのプロセッサはさらに、専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて、前に部分的に受信したSDUを破棄するように構成されうる。この無線通信装置はさらに、少なくとも1つのプロセッサに結合されたメモリをも含みうる。
【0015】
また、別の態様は、無線通信ネットワークにおいてSDUを破棄する無線通信装置に関連する。この無線通信装置は、再送信されたPDUを受信する手段と、再送信されたPDU内の専用長さインジケータを検出する手段とを備えうる。この無線通信装置はさらに、専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて、前に受信したSDUの一部を破棄する手段を含みうる。
【0016】
さらに別の態様は、コンピュータ・プログラム製品に関する。これは、少なくとも1つのコンピュータに対して、1または複数の送信機から再送信PDUを受信させるためのコードを含むコンピュータ読取可能媒体を有しうる。コンピュータ読取可能媒体はさらに、少なくとも1つのコンピュータに対して、前に部分的に受信されたSDUの破棄を示すPDU内の専用長さインジケータを識別させるためのコードを備えうる。さらに、このコンピュータ読取可能媒体は、少なくとも1つのコンピュータに対して、前に部分的に受信したSDUを破棄させるためのコードを備えうる。
【0017】
前述した目的および関連する目的を達成するために、1または複数の実施形態は、以下に十分説明され、特に特許請求の範囲で指摘される特徴を備える。以下の記載および関連する図面は、1または複数の実施形態のある例示的な態様を詳細に述べる。これらの態様は、さまざまな実施形態の原理が適用されるさまざまな方法のうちのほんのいくつかを示すのみであり、記載された実施形態は、そのようなすべての態様およびそれらの均等物を含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本明細書に記載されたさまざまな態様にしたがう無線通信システムの実例である。
【図2】図2は、無線通信環境において適用される通信装置の実例である。
【図3】図3は、無効になったサービス・データ・ユニット(SDU)を示す帯域内インジケーションを有効にする無線通信システムの実例である。
【図4】図4は、プロトコル・データ・ユニット(PDU)の送信および再送達のための構成の実例である。
【図5】図5は、無効SDUインジケータを備えるPDUを再送信することを容易にする方法の実例である。
【図6】図6は、1または複数の無効になったSDUを破棄することを容易にする方法の実例である。
【図7】図7は、無効になったSDUを示す帯域内インジケーションを容易にするモバイル・デバイスの実例である。
【図8】図8は、PDUにおける通知を受信すると、無効になったSDUを破棄することを容易にするシステムの実例である。
【図9】図9は、本明細書に記載されたさまざまなシステムおよび方法とともに適用可能な無線ネットワーク環境の実例である。
【図10】図10は、帯域内で無効SDUインジケータを送信するシステムの実例である。
【図11】図11は、帯域内の無効SDUインジケータにしたがって、無効になったSDUを破棄するシステムの実例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
さまざまな実施形態が、全体を通じて同一要素を示すために同一の参照番号が使用される図面を参照して説明される。以下の記載では、説明の目的のために、1または複数の実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が述べられる。しかしながら、そのような実施形態は、これら具体的な詳細無しで実現されうることが明からである。他の事例では、1または複数の実施形態の記載を容易にするために、周知の構成およびデバイスがブロック図形式で示される。
【0020】
本願で使用されるように、用語「構成要素」、「モジュール」、「システム」等は、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのようなコンピュータ関連エンティティを称することが意図される。例えば、構成要素は、限定される訳ではないが、プロセッサ上で実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行形式、実行スレッド、プログラム、および/またはコンピュータでありうる。例示によれば、コンピュータ・デバイス上で実行中のアプリケーションと、コンピュータ・デバイスとの両方が構成要素になりえる。1または複数の構成要素は、プロセスおよび/または実行スレッド内に存在し、構成要素は、1つのコンピュータに局在化されるか、および/または、2つ以上のコンピュータに分散されうる。さらに、これらの構成要素は、さまざまなデータ構造を格納したさまざまなコンピュータ読取可能媒体から実行可能である。これら構成要素は、(例えば、信号によってローカル・システムや分散システム内の他の構成要素とインタラクトする1つの構成要素からのデータ、および/または、他のシステムを備えた例えばインターネットのようなネットワークを介して他の構成要素とインタラクトする1つの構成要素からのデータのような)1または複数のデータのパケットを有する信号にしたがって、ローカル処理および/またはリモート処理によって通信することができる。
【0021】
さらに、本明細書では、さまざまな実施形態が、モバイル・デバイスに関連して記載される。モバイル・デバイスはまた、システム、加入者ユニット、加入者局、モバイル局、モバイル、遠隔局、遠隔端末、アクセス端末、ユーザ端末、端末、無線通信デバイス、ユーザ・エージェント、ユーザ・デバイス、あるいはユーザ機器(UE)とも称されうる。モバイル・デバイスは、セルラ電話、コードレス電話、セッション初期化プロトコル(SIP)電話、無線ローカル・ループ(WLL)局、携帯情報端末(PDA)、無線接続機能を有する携帯型デバイス、コンピュータ・デバイス、あるいは無線モデムに接続されたその他の処理デバイスでありうる。さらに、本明細書では、さまざまな実施形態が、基地局に関連して記載される。基地局は、モバイル・デバイスと通信するために利用され、アクセス・ポイント、ノードB、イボルブド・ノードB(eノードBまたはeNB)、基地トランシーバ局(BTS)、あるいはその他いくつかの専門用語で称されうる。
【0022】
さらに、本明細書に記載のさまざまな態様または特徴は、標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を用いた方法、装置、または製造物品として実現されうる。本明細書で使用される用語「製造物品」は、任意のコンピュータ読取可能デバイス、キャリア、または媒体からアクセスすることが可能なコンピュータ・プログラムを含むことが意図される。例えば、コンピュータ読取可能媒体は、限定される訳ではないが、磁気記憶装置(例えば、ハード・ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ等)、光ディスク(例えば、コンパクト・ディスク(CD)、DVD等)、スマート・カード、およびフラッシュ・メモリ・デバイス(例えば、EPROM、カード、スティック、キー・ドライブ等)を含みうる。さらに、本明細書に記載されたさまざまな記憶媒体は、情報を格納するための1または複数のデバイス、および/または、その他の機械読取可能媒体を表すことができる。用語「機械読取可能媒体」は、限定されることなく、無線チャネル、および、命令群および/またはデータを格納、包含、および/または搬送することができるその他任意の媒体を含みうる。
【0023】
本明細書に記載された技術は、例えば符号分割多元接続(CDMA)システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、シングル・キャリアFDMA(SC−FDMA)システム、およびその他のシステムのようなさまざまな無線通信システムのために使用されうる。「システム」、「ネットワーク」という用語はしばしば置換可能に使用される。CDMAシステムは、例えばユニバーサル地上ラジオ・アクセス(UTRA)、CDMA2000等のようなラジオ技術を実現することができる。UTRAは、広帯域CDMA(W−CDMA)およびCDMAのその他の変形を含んでいる。CDMA2000は、IS−2000規格、IS−95規格、およびIS−856規格をカバーする。TDMAシステムは、例えばグローバル移動体通信システム(GSM(登録商標))のような無線技術を実現することができる。OFDMAシステムは、例えばイボルブドUTRA(E−UTRA)、ウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、フラッシュ−OFDM(登録商標)等のような無線技術を実現することができる。UTRAおよびE−UTRAは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーション・システム(UMTS)の一部である。3GPPロング・ターム・イボリューション(LTE)は、ダウンリンクではOFDMAを適用し、アップリンクではSC−FDMAを適用するE−UTRAを用いるUMTSの最新のリリースである。UTRA、E−UTRA、UMTS、LTE、およびGSMは、「第3世代パートナシップ計画プロジェクト」(3GPP)と命名された組織からドキュメントに記述されている。CDMA2000およびUMBは、「第3世代パートナシップ計画プロジェクト」(3GPP2)と命名された組織からドキュメントに記述されている。
【0024】
図1に示すように、本明細書に記載されたさまざまな実施形態にしたがった無線通信システム100が例示されている。システム100は、複数のアンテナ・グループを含むことができる基地局102を含む。例えば、1つのアンテナ・グループは、アンテナ104およびアンテナ106を含むことができ、別のグループはアンテナ108およびアンテナ110を備えることができ、さらに別のグループはアンテナ112およびアンテナ114を含むことができる。2本のアンテナが各アンテナ・グループのために例示されているが、2本より多いアンテナ、または2本より少ないアンテナも、各グループのために利用されうる。基地局102はさらに、送信機チェーンおよび受信機チェーンを含みうる。それらおのおのは、当業者によって理解されるように、信号の送信および受信に関連する複数の構成要素(例えば、プロセッサ、変調器、マルチプレクサ、復調器、デマルチプレクサ、アンテナ等)を備えうる。
【0025】
基地局102は、例えばアクセス端末116およびアクセス端末122のような1または複数のアクセス端末と通信することができる。しかしながら、基地局102は、アクセス端末116およびアクセス端末122に類似した実質的に任意の数のアクセス端末と通信しうることが理解されるべきである。モバイル・デバイス116、122は例えば、セルラ電話、スマート・フォン、ラップトップ、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルド・コンピュータ・デバイス、衛星ラジオ、全地球測位システム、PDA、および/または、無線通信システム100を介して通信するのに適切なその他任意のデバイスでありうる。図示するように、モバイル・デバイス116は、アンテナ112およびアンテナ114と通信している。ここで、アンテナ112およびアンテナ114は、順方向リンク118によってアクセス端末116へ情報を送信し、逆方向リンク120によってアクセス端末116から情報を受信する。さらに、モバイル・デバイス122はアンテナ104およびアンテナ106と通信している。ここで、アンテナ104およびアンテナ106は、順方向リンク124でアクセス端末122へ情報を送信し、逆方向リンク126でアクセス端末122から情報を受信する。周波数分割デュプレクス(FDD)システムでは、例えば、順方向リンク118は、逆方向リンク120によって使用されるものとは異なる周波数帯域を使用し、順方向リンク124は、逆方向リンク126によって使用されるものとは異なる周波数帯域を使用することができる。さらに、時分割デュプレクス(TDD)システムでは、順方向リンク118および逆方向リンク120は、共通の周波数帯域を使用し、順方向リンク124および逆方向リンク126は、共通の周波数帯域を使用することができる。
【0026】
通信するように指定された領域および/またはアンテナのおのおののグループは、基地局102のセクタと称されうる。例えば、基地局102によってカバーされる領域のセクタ内のアクセス端末に通信するように、複数のアンテナが設計されうる。順方向リンク118および順方向リンク124による通信では、基地局102の送信アンテナは、アクセス端末116およびアクセス端末122のための順方向リンク118および順方向リンク124の信号対雑音比を改善するためにビームフォーミングを適用することができる。さらに、また、基地局102が、関連付けられた有効通信範囲にランダムに散在したモバイル・デバイス116、122に送信するためにビームフォーミングを利用している間、近隣セル内のモバイル・デバイスは、すべてのモバイル・デバイスに対して単一のアンテナによって送信している基地局に比べて、少ない干渉しか被らない。さらに、モバイル・デバイス116、122は、図示するように、ピア・トゥ・ピアまたはアド・ホック技術を用いて互いにダイレクトに通信しうる。
【0027】
例によれば、システム100は、複数入力複数出力(MIMO)通信システムでありうる。さらに、システム100は、通信チャネル(例えば、順方向リンク、逆方向リンク)を分割するために、例えばFDD、TDD等のような実質的に任意のタイプのデュプレクス技術を適用しうる。さらに、基地局102およびモバイル・デバイス116、122は、物理レイヤ上の多くの論理通信レイヤで通信しうる。これらレイヤは、1または複数のサービス・データ・ユニット(SDU)を、プロトコル・レベルで送信された1または複数のプロトコル・データ・ユニット(PDU)に変換するラジオ・リンク制御(RLC)レイヤを含みうる。例えば、1または複数のSDUが連結され、単一のPDUで送信されるように、SDUサイズは、PDUサイズとは異なりうる。同様に、SDUの部分がセグメント化され、複数のPDUで送信されうる。さらに、PDUは、SDUセグメントによって連結された多くの完全なSDUを備えうる。さらに、所与のSDUおよび/またはPDUの長さは、実質的に任意の点において変動し、PDU内のおのおののSDUの長さおよび終了位置を示すインジケータが望まれる。これは、例えば、PDUのヘッダ内に存在するか、および/または、おのおののSDUを終了させる。
【0028】
一例において、そのような長さインジケータは、PDUにおいて提供され、PDUの受信機は、受信すると、SDUをコヒーレントに分離しうる。したがって、一例では、モバイル・デバイス116および/またはモバイル・デバイス122は、RLCレイヤ・データを基地局102に送信しうる。RLCレイヤ・データは、SDUがどこで終了するかあるいは開始するかを示す長さインジケータとともに、1または複数のSDUのうちの1または複数の部分を示す可変長PDUを備える。それに加えて、基地局102およびモバイル・デバイス116および/またはモバイル・デバイス122は、正確に受信されなかったPDUを考慮するために、自動反復要求(ARQ)スキームを用いて通信しうる。この目的のために、受信機は、おのおののPDUに関連するフィードバック・データを、送信機へ送り返し、アクノレッジメント(ACK)または否定的アクノレッジメント(NAK)を示す。NAKが受信された場合、送信機は、PDUを再送信しうる。しかしながら、可変長のPDUを用いて、PDUは、利用可能な帯域幅に依存して、ARQ再送信中に再セグメント化されうる。したがって、長さインジケータは、おのおのの再送信において送信されたデータの判定に役立つ。
【0029】
しかしながら、説明するように、データは、リアル・タイム特性により、基地局102とモバイル・デバイス116および/またはモバイル・デバイス122との間の通信において、期限切れになり無効になる。したがって、長さインジケータは、受信機が破棄しうる無効になったデータを示す帯域内インジケーションを提供するために拡張または修正されうる。さらに、SDUデータは、データが無効になったときを示すために、タイマに関連付けられうる。例えば、モバイル・デバイス116は、SDUとその後の部分的なSDUとを備えるPDUを基地局102へ送信しうる。基地局102は、PDUを誤って受信し、NAKをモバイル・デバイス116へ送信しうる。その後、第1のSDUの無効タイマが動作し、モバイル・デバイス116は、専用長さインジケータを含めるようにPDUを再パックしうる。これは、第1のSDUを、次に続く残りのSDUまたはその一部とともに破棄し、再送信されるPDUのペイロードを低減することを示す。別の例において、PDUは、次に続く部分的なSDUの一部と、第1のSDUが破棄されてから適合するその他のデータ(例えば、次に続く部分的なSDUのさらなる部分、あるいは、1または複数のその他のSDU)を用いて再パックされうる。モバイル・デバイス116は、PDUを、基地局102へ送信する。そして、基地局102は、このとき、PDUを適切に受信したと仮定すると、専用長さインジケータを評価することによって、第1のSDUが、破棄されたものと判定し、その後のSDUの処理を続ける。それに加えて、あるいは、その代わりに、基地局102からモバイル・デバイス116および/またはモバイル・デバイス122への通信において、そのような帯域内無効SDU破棄通知が利用されうることが認識されるべきである。したがって、SDUを破棄することを示す帯域内インジケーションは、破棄を示す個別のチャネルまたは媒体を求める必要なく提供される。
【0030】
図2に移って、無線通信環境において適用される通信装置200が例示される。この通信装置200は、基地局またはその一部、モバイル・デバイスまたはその一部、あるいは、無線通信環境で送信されるデータを受信する実質的に任意の通信装置でありうる。通信装置200は、例えば、SDUデータが無効になったときを示しうるSDU無効データ・タイマ202、PDUのための1または複数のSDUの長さインジケータを示しうる長さインジケータ生成器204、および、1または複数の長さインジケータとともに、1または複数のSDUあるいはその一部を備える1または複数のPDUを生成するPDU生成器206のように、SDUが無効になったかを判定するためのモジュールを含みうる。また、無効判定は、例えば、ドロップ・ヘッド・キューで発見されるようなキュー・サイズに基づきうるか、または、その他の基準に基づきうる。
【0031】
一例において、通信装置200は、追加のレイヤとともに、RLCレイヤを用いて、1または複数のデバイスや基地局等へデータを送信しうる。送信されたデータは、サービス・データを示すSDUを含み、プロトコル・レイヤによる送信のために、1または複数のPDUに変換されうる。SDU無効データ・タイマ202は、データが無効になったと考えられる時間にSDUを関連付けうる。これは、例えば、リアル・タイム・アプリケーションの古いパケットが送信されないことを保証するために役立ち、新たなパケットのために利用可能なオーバ・ザ・エアによる通信リソースを残す。例えば、SDUは、1または複数のARQラウンドで送信されることに失敗した場合、送信された次のデータに依存して無関係になる。この点において、このSDUの送信が通信プロトコルによって中断されたことを示すインジケーションが望まれうる。例えば、ラジオ・リンク・プロトコルでは、長さインジケータ生成器204は、可変長のPDU内のSDUの境界を示すために、各SDUについて長さインジケータを生成する。この点において、PDU生成器206は、示された長さインジケータとともに、1または複数のSDU、あるいは1または複数のSDUの一部を含むPDUを生成しうる。したがって、PDUを受信するデバイスは、(例えば、説明するように、SDUが1または複数のPDUにおよぶ場合、)PDUまたは複数のPDU内のSDUの開始場所および終了場所を判定しうる。
【0032】
通信装置200は、一例において、説明するように生成されたPDUを、1または複数のデバイスへ送信し、正しくプロトコルが受信されたか、および/または、PUDが復号されたか否かをそれぞれ示すACKまたはNAKを受信しうる。NAKが受信されると、利用可能なPDUサイズが変更された場合にPDUが再セグメント化され、再送信されうる。しかしながら、SDU無効データ・タイマ202またはその他の無効検出が、前のPDUで部分的に送信されたSDUが、再送信前に無効になったことを示すのであれば、長さインジケータ生成器204は、最後のPDUで受信されたSDUデータが破棄されるべきであることを示す専用長さインジケータを示しうる。したがって、PDU生成器は、再送信されたPDU内に専用長さインジケータを含めることと、無効ではないSDUデータのみを含め、送信または再送信を必要とするゼロまたはゼロより多い無効なSDUを除外するようにPDUを再パックすることと、再パックされたPDUをARQラウンドで送信することとを行いうる。再送信されるべきPDUが、新たなSDUで始まる場合、受信機は、前の送信において部分的なSDUを受信してないだろうから、専用長さインジケータは必要とされない。したがって、無効のSDUは、受信機に対して破棄を示す必要なく除去されうる。さらに、この目的のために、複数の隣接したSDUが、再送信前に無効になる場合、前のPDUにおいて最初のSDUしか部分的に正しく送信されず、その後のSDUが最初に受信されなかった場合、1つの専用長さインジケータのみが必要とされる。一例において、最初のPDUと、再パックされたPDUとは、同じRLCシーケンス番号を有しうる。さらに、最初のRLC PDUと再パックされたRLC PDUとのサイズは異なりうることが認識されるべきである。
【0033】
通信装置200から再送信されたPDUを受信すると、(図示しない)デバイスは、再送信PDUで送信された専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて、前に部分的に受信したSDUを破棄しうる。デバイスは、その後、再パックされた再送信PDUで送信されたSDUを判定し続けうる。したがって、デバイスは、破棄情報を送信するために、個別のデータ・チャネルまたは媒体を必要とすることなく、無効なSDUを帯域内インジケータにしたがって破棄しうる。
【0034】
図3を参照して、無効なSDUを破棄するために、帯域内インジケーションを通信する無線通信システム300が例示される。このシステム300は、互いに(および/または、(図示しない)任意の数の別の無線デバイスと)通信する無線デバイス302、304を含む。無線デバイス302、304はおのおの、基地局、モバイル・デバイス、あるいはそれらの一部でありうる。一例において、無線デバイス302は、順方向リンクすなわちダウンリンク・チャネルで情報を無線デバイス304へ送信し、さらに、無線デバイス302は、逆方向リンクすなわちアップリンク・チャネルで情報を無線デバイス304から受信しうる。さらに、システム300は、MIMOシステムでありうる。また、無線デバイス302、304は、プロトコル・レイヤによる送信のために、サービス・データをプロトコル・データに変換するRLCレイヤで通信しうる。また、無線デバイス302において図示および後述する構成要素および機能は、一例において、その逆に、無線デバイス304においても存在することができ、図示する構成は、説明を簡単にするために、これら構成要素を除外している。
【0035】
無線デバイス302は、例えば、(例えば、無線通信システム300のリアル・タイム通信による)SDU無効データ・タイマ306、1または複数のSDUのための長さインジケータを提供する長さインジケータ生成器308、およびSDUデータおよびそれぞれの長さインジケータとともにPDUをパックまたは再パックしうるPUD生成器310のように、SDUが無効であるかを判定するモジュールを含んでいる。1または複数のSDUまたはそれらの一部は、PDU内にパックされうることが認識されるべきである。一例において、SDUの長さインジケータは、PDU内の、SDUを終了させるSDUの終了点を示しうる。これによって、SDUの最後の部分が送信された場合、次のPDUで送信されるSDU部分しか備えないPDUは、長さインジケータをもたない。別の例において、長さインジケータは、PDU内のSDUの境界に位置する特別な「エスケープ・シーケンス」でありうる。
【0036】
無線デバイス304は、次の復号のために、PDU内の1または複数のSDU(またはその一部)の位置を判定するPDU分析部312と、帯域内インジケータによって示されると、無効SDUデータを破棄するSDU破棄部314とを含みうる。無線デバイス302、304はさらに、例えばARQのように、通信における信頼性を高めることを容易にするために冗長性を提供する自動再送信スキームを用いて通信しうる。一例において、無線デバイス302は、1または複数の完全あるいは部分的なSDUのみならず、もしも適用可能であれば、所与のSDUを終了させる長さインジケータをも備える可変長のPDUを無線デバイス304へ送信しうる。
【0037】
一例において、無線デバイス302は、無線デバイス304に送信するサービス・データに関連するSDUを生成しうる。SDU無効データ・タイマ306はさらに、説明するように、SDUが無効になったときを示すために、SDUについてタイマを設定しうる。無効判定はまた、一例において、例えばドロップ・ヘッド・キューで見られるようなキュー・サイズに基づきうるか、あるいは、追加/代替基準に基づきうる。長さインジケータ生成器308は、SDUを終了させる長さインジケータを生成し、PDU生成器310は、PDU内でSDUが終了する長さインジケータとともに、1または複数のSDUまたはその一部を備える可変長のPDUを生成しうる。その後、無線デバイス302は、無線デバイス304へPDUを送信しうる。PDU分析部312は、ターミネータに少なくとも部分的に基づいてSDU位置を判定するためにPDUを評価し、例えば、最後のSDUが終了していない場合、その後のPDUを待つ。長さインジケータは、それとは別に、SDU長さを示すために、PDUのヘッダに存在しうることが認識されるべきである。
【0038】
例によれば、無線デバイス304は、部分的(例えば、終了していない)SDUで終了する第1のPDUを受信しうる。そして、正しい受信を示すために、無線デバイス304は、応答として、ACKを無線デバイス302へ送信しうる。その後、長さインジケータ生成器308から得られ、部分的なSDUの終了位置を示す長さインジケータとともに、前の、終了していないSDUの残りを備えるその後のPDUを、PDU生成器310が生成しうる。SDU無効データ・タイマ306は、部分的なSDUの第1の部分を有する、前のPDUの送信時に、あるいは、このプロトコルまたはこのデバイスにおけるSDUの最初の受信時等に、起動されうることが認識されるべきである。無線デバイス302は、例えば、次のPDUを無線デバイス304へ送信し、無線デバイス304は、このPDUを誤って受信すると、例えば、NAKを無線デバイス302に送信することによってそれを示す。したがって、無線デバイスは、ARQスキームにしたがって、再送信のためのPDUを準備しうる。
【0039】
一例において、SDU無効データ・タイマ306は、再送信前にSDUが無効であることを示し、PDU生成器310は、割り当てられたPUDサイズ内に適合する部分的なSDUおよび/またはその後のSDUとともに、部分的なSDUデータの破棄を示す専用長さインジケータ(および、適用可能であれば、関連する長さインジケータ)とともにPDUを再パックしうる。PDUは、無線デバイス304へ送信されうる。無線デバイス304は、このPDUを正しく受信すると、PDU分析部312を用いて評価しうる。PDU分析部312は、PDU内の専用長さインジケータを受信し、これをSDU破棄部314へ伝送する。SDU破棄部314は、前のPDUで部分的に受信されたSDUを破棄し、PDU分析部312は、PDUで送信された次のSDUまたはその一部を判定および評価しうる。
【0040】
上述したように、送信されたPDUが、1を超える終了したSDUを備え、この1を超えるSDUのSDUタイマが無効データを示し、PDUが、再送信を要求する場合、長さインジケータ生成器308によって1つの専用長さインジケータのみが生成され、PDU生成器310によってPDU内に配置されることが認識されるべきである。無線デバイス304が、最初に正しく受信された送信において、部分的なSDU以上を受信しないので、次に送信されたSDUが誤って受信され、結果として無効になることに気付かない。しかしながら、いくつかのアプリケーションによって、受信プロトコルは、どれくらい多くのSDUが破棄されたかを知ることができうる。例えば、破棄されたSDUの数に等しい、専用長さのインジケータの数が含まれうる。別のオプションは、専用長さインジケータ内で破棄されたSDUの数をリストすることでありうる。
【0041】
別の例において、SDUデータが、送信前に無効になった場合、無線デバイス302、304によって、高次の通信レイヤが、破棄を取り扱うことができるようになる。例えば、データが既に無効になった場合に再送信がなされると、PUD生成器310は、SDUの残りのバイトのうちのいくつかまたはすべてを、切り詰める。すなわち、切り詰められたSDUの終了を示す、長さインジケータ生成器308からの通常の長さインジケータを伴う、再送信PDU内の1または複数のランダムなバイトと交換することによって切り詰める。この方法で、受信プロトコルは、切り詰められたSDUを、破棄されたSDUとして必ずしも識別する必要はなく、さらなる処理のために上部レイヤに渡しうる。この方法は、切り詰められたSDUを、例えばTCP/IPチェックサム等のような他の手段に基づいて破棄するために、上部レイヤに依存する。PDU生成器310は、PDUの残りを、その後のSDUまたはその一部で満たし、このPDUを無線デバイス304へ送信しうる。このPDUを受信すると、PUD分析部312は、長さインジケータに基づいてSDUを判定し、高次レベルのアプリケーションがその後SDUを利用しうる。(図示しない)このアプリケーションは、SDUを判定し、一例において、PDU生成器310によって実施された切り詰めに基づいて破棄する。同様に、再送信前に時間切れになった無効タイマを有する複数のSDUが切り詰められ、送信されることにより、より高次のレベルのアプリケーションへ破棄を任せる。
【0042】
図4に移って、1または複数のPDUとしてSDUを送信する試行400および再送信する試行402の例が示される。RLCレイヤ418によって1または複数のPDU410、412/420、414、416にパックされる複数のSDU404、406、408が提供される。送信400では、N番目のSDU404が、M番目のPDU410に部分的にパックされうる。M番目のPDU410は、デバイスへ送信されうる。このデバイスは、M番目のPDU410の受信が成功したことを示すACKを返送する。その後、N番目のSDU404の残りとN+1番目のSDU406の一部とともにパックされたM+1番目のPDU412のみならず、SDU406の一部およびSDU408を含むPDU414とが、デバイスへ送信されうる。しかしながら、M+1番目のPDU412とM+2番目のPDU414とを送信すると、デバイスは、M+1番目のPDU412を受信した場合には、失敗を示すNAKを返送し、M+2番目のPDU414を受信した場合には、成功を示すACKを返送する。ARQを用いて、M+1番目のPDU412は、402に示すように、再パックされ、再送信される。
【0043】
既に述べたように、(例えば、リアル・タイム構成における古いデータのように)価値の無いデータを送信するのに時間が費やされないことを保証するために、SDUは、無効データに関連付けられうる。再送信402では、N番目のSDU404のSDU無効タイマが終了したことは、N番目のSDU404が最初の送信の後に無効になったことを示す。したがって、M+1番目のPDU412を再送信する前に、専用長さインジケータが、M+1番目のPDU412内に配置され、N番目のSDU404である既に発行されたSDUを破棄するように指示する。M+1番目のPDU412は、部分的に残ったN番目のSDU202データがもしもヘッダ内に無いのであれば、専用長さインジケータを除いて、部分420内にデータ無しで再パックされうる。これは、再送信のペイロードを縮小し、無効ではないデータの配信を促進する。別の例において、N+1番目のSDU406の一部が、部分420にパックされ、追加のデータまたはSDUが、PDU412の残りの空間を埋める。その後、PDU412/420がデバイスへ送信され、このデバイスは、専用長さインジケータを読み取り、図示するように、N番目のSDU404を伝送するM番目のPDU410部分を破棄する。それに加えて、デバイスは、再送信されたM+1番目のPDU412/420における追加のSDU位置を決定しうる。
【0044】
図5および図6を参照して、例えばラジオ・リンク・プロトコルのようなARQプロトコル・レイヤにおいてデータを破棄することに関連する方法が例示される。説明を単純にする目的で、これら方法は、一連の動作として示され説明されているが、これら方法は、1または複数の実施形態にしたがって、幾つかの動作が本明細書で示され記載されたものとは異なる順序で、あるいは他の動作と同時に生じうるので、動作の順序によって限定されないことが理解され認識されるべきである。例えば、当業者であれば、これら方法はその代わりに、例えば状態図におけるように、一連の相互関連する状態またはイベントとして表されうることを理解し認識するだろう。さらに、1または複数の実施形態にしたがって方法を実現するために、必ずしも例示された全ての動作が必要とされる訳ではない。
【0045】
図5に移って、無効のSDUを示す帯域内インジケーションを容易にする方法500が示される。502において、再送信のために、NAK PDUが準備されうる。一例において、部分的なSDUを備えるPDUが送信される。ここで、SDUのその他の部分は、送信され、正しく受信されている。例えば、PDUが誤って受信され、NAKが受信されている。ARQスキームでは、NAKデータ・ユニットが再送信されうる。504では、PDU内のSDUについて、無効データ・インジケーションが受信される。例えば、これは、本明細書で説明するように、SDUおよび/またはその他の無効データ・インジケータを受信すると初期化されるタイマから受信されうる。説明するように、無線ネットワークにおけるデータは、通信のリアル・タイム特性により、および/または、アプリケーションの意味により無効になる。
【0046】
506では、破棄を示す、SDUの無効データ・インジケータが、1または複数のその他のSDUとともに、再送信PDUへパックされうる。一例では、無効データ・インジケータは、SDU破棄を示す専用長さインジケータでありうる。この点において、SDUデータは再送信される必要は無く、再送信PDUのペイロードを低減する。別の例において、無効データ・インジケータは、PDU内でSDUを切り詰めることを含みうる。これによって、高次レイヤのアプリケーションが、通常の長さのインジケータを用いて破棄を取り扱うことが出来るようになる。さらに、一例では、NAK PDUが、まだ無効になっていない追加のSDUデータを送信することを試みる。このデータも同様に、無効データ・インジケータとともに再送信PDU内にパックされうる。508では、PDUが、破棄されたSDUデータ無しで再送信されうる。PDUの受信機は、その後、既に送信したSDU部分を破棄しうる。
【0047】
図6に移って、再送信されたPDUで受信した帯域内通知にしたがって、前に受信した1または複数のSDUを破棄することを容易にする方法600が例示される。602では、再送信されたPDUが受信される。例えば、これは、前のPDUのNAKに応答して、ARQのラウンドで受信されうる。前のNAK PDUは、SDUの残りの部分のみならず、1または複数の追加のSDUまたはその一部を備えうる。604では、無効SDUデータが、専用長さインジケータによってPDU内で識別されうる。それに加えて、PDUは、1または複数のSDUが無効ではない限り、前に送信された1または複数の追加のSDUを備えうる。606では、前に受信されたSDUの一部が破棄されうる。これは、既に述べたように、NAK PUDで送信された残りの部分に関連する最初の部分でありうる。608では、再送信されたPDUにおける残りのSDUデータが処理されうる。これは、例えば、まだ無効になっておらず、前に追加で送信された1または複数のSDUを含みうる。
【0048】
本明細書に記載された1または複数の態様にしたがって、説明するように、SDUデータの無効状態を判定することに関する推論がなされることが認識されるだろう。本明細書で使用されるように、「推論する」または「推論」という用語は一般に、イベントおよび/またはデータによって取得されるような観察のセットから、システム、環境、および/または、ユーザの状態を推理または推論するプロセスを称する。推論は、特定のコンテキストまたは動作を特定するために適用されるか、あるいは、例えば状態にわたる確率分布を生成しうる。推論は、確率論的、すなわち、データおよびイベントの考慮に基づいて、興味のある状態にわたる確率分布を計算することでありうる。推論はまた、イベントおよび/またはデータのセットから、より高いレベルのイベントを構築するために適用される技術を称することができる。そのような推論によって、イベントが時間的に近接していようといまいと、これらイベントおよびデータが1または幾つかのイベント・ソースおよびデータ・ソースに由来していようと、観察されたイベントおよび/または格納されたイベント・データのセットから、新たなイベントまたは動作を構築することができる。
【0049】
図7は、帯域内無効データ・インジケータを備えるPDUを送信することを容易にするモバイル・デバイス700の例示である。モバイル・デバイス700は、例えば(図示しない)受信アンテナから信号を受信し、受信した信号について一般的な動作(例えば、フィルタ、増幅、ダウンコンバート等)を実行し、これら調整された信号をデジタル化してサンプルを得る受信機702を備えうる。受信機702は、受信したシンボルを復調し、それらをチャネル推定のためにプロセッサ706へ提供する復調器704を備えうる。プロセッサ706は、受信機702によって受信された情報を分析すること、および/または、送信機716による送信のための情報を生成することに特化されたプロセッサ、モバイル・デバイス700の1または複数の構成要素を制御するプロセッサ、および/または、受信機702によって受信された情報を分析することと、送信機716による送信のための情報を生成することと、モバイル・デバイス700のうちの1または複数の構成要素を制御することとのすべて行うプロセッサでありうる。
【0050】
モバイル・デバイス700はさらにメモリ708を備えうる。このメモリ708は、プロセッサ706に動作可能に接続され、送信されるデータ、受信されたデータ、利用可能なチャネルに関連する情報、分析された信号および/または干渉強度に関連付けられたデータ、割り当てられたチャネルや電力やレート等に関連する情報、および、チャネルの推定やチャネルを介した通信のために適切なその他任意の情報を格納しうる。メモリ708はさらに、(例えば、パフォーマンス・ベース、キャパシティ・ベース等での)チャネルの推定および/または利用に関連付けられたアルゴリズムおよび/またはプロトコルを格納しうる。
【0051】
本明細書に記載されたデータ・ストア(例えば、メモリ708)は、揮発性メモリであるか、あるいは不揮発性メモリである。あるいは、揮発性メモリと不揮発性メモリとの両方を含みうることが認識されるだろう。限定ではなく例示によって、不揮発性メモリは、読取専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電子的プログラマブルROM(EPROM)、電子的消去可能PROM(EEPROM)、あるいはフラッシュ・メモリを含みうる。揮発性メモリは、外部キャッシュ・メモリとして動作するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含みうる。限定ではなく例示によって、RAMは、例えばシンクロナスRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、およびダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM(登録商標))のような多くの形態で利用可能である。主題となるシステムおよび方法のメモリ708は、限定される訳ではないが、これらおよびその他任意の適切なタイプのメモリを備えることが意図される。
【0052】
プロセッサ706および/または受信機702はさらに、(例えば、アプリケーションから受信した)1または複数のSDUの無効状態を判定しうる無効データ・インジケータ710と、別のデバイスへ送信するPDUを生成しうるPDU生成器712とに動作可能に結合されうる。一例では、無効データ・インジケータ710は、SDUを受信すると、SDUが無効になるときを判定するために、タイマを初期化しうる。無効になると、(例えば、前のNAK送信によって)SDUがまだ正しく受信されねばならないのであれば、無効データ・インジケータ710は、無効なデータの帯域内通知を生成し、再送信PDUのペイロードを減少させるために、このデータを送信しない。PDU生成器712は、帯域内通知のみならず、まだ無効ではなく、前に送信されたNAK SDUを備える再送信PDUを生成しうる。一例では、帯域内通知は、破棄を示すSDUの専用長さインジケータでありうる。デバイスは、受信すると、前に受信していたSDUの一部を破棄しうる。別の例では、帯域内通知は、再送信されたPDU内のSDUデータを切り詰めることと、切り詰められたデータの末尾に通常の長さインジケータを含めることとを含みうる。これによって、SDUは、受信機において、より高次のアプリケーションへ伝送されうる。この受信機は、切り詰められたデータが、データが破棄されたことを示していると判定しうる。モバイル・デバイス700はさらに、信号を変調する変調器714と、この信号を例えば基地局、別のモバイル・デバイス等へ送信する送信機716とを備える。プロセッサ706と別に示されているが、無効データ・インジケータ710、PUD生成器712、復調器704、および/または、変調器714は、プロセッサ706または複数のプロセッサ(図示せず)のうちの一部でありうることが認識されるべきである。
【0053】
図8は、1または複数の前に部分的に受信したSDUを破棄するために、帯域内インジケーションを受信することを容易にするシステム800の例示である。このシステム800は、複数の受信アンテナ806によって1または複数のモバイル・デバイス804から信号を受信する受信機810と、送信アンテナ808によって1または複数のモバイル・デバイス804へ信号を送信する送信機824とを備える、基地局802(例えば、アクセス・ポイント)を備える。受信機810は、受信アンテナ806から情報を受信する。さらに、受信した情報を復調する復調器812と動作可能に関連付けられている。復調されたシンボルは、図7に関連して上述されたプロセッサと類似のプロセッサ814によって分析される。プロセッサ814は、信号(例えばパイロット)強度および/または干渉強度を推定することに関連する情報、モバイル・デバイス804(または(図示しない)別の基地局)へ/から送信される/受信されたデータ、および/または、本明細書に記載されたさまざまな動作および機能を実行することに関連するその他任意の適切な情報を格納するメモリ816に結合されている。プロセッサ814はさらに、1または複数のPDU内のSDU位置を判定するPDU分析部818と、無効なSDUを破棄するSDU破棄部820とに結合されうる。
【0054】
例によれば、PDU分析部818は、PDUを受信し、評価して、SDU位置および/またはコンテンツを判定する。それに加えて、PDU分析部818は、PDU内の帯域内破棄通知を検出しうる。一例において、SDUの破棄通知は、SDUの専用長さインジケータでありうる。別の例において、破棄通知は、説明するように、高次レイヤのアプリケーション向けであることが意図されうる。専用長さインジケータが受信された場合、破棄されたSDUのうちの前に受信された部分を破棄するために、SDU破棄部820が利用されうる。PDU分析部818は、残りのSDUデータの評価を続けうる。さらに、プロセッサ814とは別に示されているが、PDU分析部818、SDU破棄部820、復調器812、および/または、変調器822は、プロセッサ814あるいは複数のプロセッサ(図示せず)の一部でありうることが認識されるべきである。
【0055】
図9は、無線通信システム900の例を示す。無線通信システム900は、簡潔さの目的で、1つの基地局910と1つのモバイル・デバイス950とを示している。しかしながら、システム900は、1より多い基地局、および/または、1より多いモバイル・デバイスを含むことができ、これら追加の基地局および/またはモバイル・デバイスは、以下に説明する基地局910およびモバイル・デバイス950の例と実質的に同じでも、別のものでもありうることが認識されるべきである。それに加えて、基地局910および/またはモバイル・デバイス950は、その間の無線通信を容易にするために、本明細書に記載されたシステム(図1乃至図3、図7および図8)、構成(図4)、および/または、方法(図5および図6)を適用しうることが認識されるべきである。
【0056】
基地局910では、多くのデータ・ストリームのためのトラフィック・データが、データ・ソース912から送信(TX)データ・プロセッサ914へ提供される。一例によれば、おのおののデータ・ストリームは、それぞれのアンテナを介して送信される。TXデータ・プロセッサ914は、トラフィック・データ・ストリームをフォーマットし、このデータ・ストリームのために選択された特定の符合化スキームに基づいて符号化し、インタリーブして、符合化されたデータを提供する。
【0057】
おのおののデータ・ストリームの符合化されたデータは、直交周波数分割多重化(OFDM)技術を用いてパイロット・データと多重化されうる。さらに、あるいは、その代わりに、パイロット・シンボルは、周波数分割多重化(FDM)、時分割多重化(TDM)、あるいは符号分割多重化(CDM)されうる。パイロット・データは一般に、既知の方法で処理される既知のデータ・パターンであり、チャネル応答を推定するためにモバイル・デバイス950において使用されうる。おのおののデータ・ストリームについて多重化されたパイロットおよび符合化されたデータは、データ・ストリームのために選択された特定の変調スキーム(例えば、バイナリ・フェーズ・シフト・キーイング(BPSK)、直交フェーズ・シフト・キーイング(QPSK)、Mフェーズ・シフト・キーイング(M−PSK)、M直交振幅変調(M−QAM)等)に基づいて変調(例えば、シンボル・マップ)され、変調シンボルが提供される。おのおののデータ・ストリームのデータ・レート、符号化、および変調は、プロセッサ930によって実行または提供される命令によって決定されうる。
【0058】
データ・ストリームの変調シンボルは、(例えば、OFDMのために)変調シンボルを処理するTX MIMOプロセッサ920に提供される。TX MIMOプロセッサ920はその後、N個の変調シンボル・ストリームを、N個の送信機(TMTR)922a乃至922tへ提供する。さまざまな実施形態において、TX MIMOプロセッサ920は、データ・ストリームのシンボル、および、そのシンボルが送信されるアンテナへ、ビームフォーミング重みを適用する。
【0059】
おのおのの送信機922は、1または複数のアナログ信号を提供するために、それぞれのシンボル・ストリームを受信して処理し、さらには、MIMOチャネルを介した送信に適切な変調信号を提供するために、このアナログ信号を調整(例えば、増幅、フィルタ、およびアップコンバート)する。さらに、送信機922a乃至922tからのN個の変調信号は、N個のアンテナ924a乃至924tそれぞれから送信される。
【0060】
モバイル・デバイス950では、送信された変調信号が、N個のアンテナ952a乃至952rによって受信され、おのおののアンテナ952から受信した信号が、それぞれの受信機(RCVR)954a乃至954rへ提供される。おのおのの受信機954は、それぞれの信号を調整(例えば、フィルタ、増幅、およびダウンコンバート)し、この調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、さらにこのサンプルを処理して、対応する「受信された」シンボル・ストリームを提供する。
【0061】
RXデータ・プロセッサ960は、N個の受信機954からN個のシンボル・ストリームを受信し、受信されたこれらシンボル・ストリームを、特定の受信機処理技術に基づいて処理して、N個の「検出された」シンボル・ストリームを提供する。RXデータ・プロセッサ960は、検出されたおのおののシンボル・ストリームを復調し、デインタリーブし、復号して、そのデータ・ストリームのためのトラフィック・データを復元する。RXデータ・プロセッサ960による処理は、基地局910におけるTX MIMOプロセッサ920およびTXデータ・プロセッサ914によって実行されるものと相補的である。
【0062】
プロセッサ970は、上述したように、どの事前符合化行列を使用するのかを定期的に決定する。さらに、プロセッサ970は、行列インデクス部およびランク値部を備えた逆方向リンク・メッセージを規定することができる。
【0063】
逆方向リンク・メッセージは、通信リンクおよび/または受信されたデータ・ストリームに関するさまざまなタイプの情報を備えうる。逆方向リンク・メッセージは、多くのデータ・ストリームに関するトラフィック・データをデータ・ソース936から受け取るTXデータ・プロセッサ938によって処理され、変調器980によって変調され、送信機954a乃至954rによって調整され、基地局910へ送り戻される。
【0064】
基地局910では、モバイル・デバイス950からの変調信号が、アンテナ924によって受信され、受信機922によって調整され、復調器940によって復調され、RXデータ・プロセッサ942によって処理されて、モバイル・デバイス950によって送信された逆方向リンク・メッセージを抽出する。さらに、プロセッサ930は、ビームフォーミング重みを決定するためにどの事前符合化行列を使用するかを決定するために、この抽出されたメッセージを処理する。
【0065】
プロセッサ930およびプロセッサ970は、基地局910およびモバイル・デバイス950それぞれにおける動作を指示(例えば、制御、調整、管理等)する。プロセッサ930およびプロセッサ970はそれぞれ、プログラム・コードおよびデータを格納するメモリ932およびメモリ972に関連付けられうる。プロセッサ930およびプロセッサ970はまた、アップリンクおよびダウンリンクそれぞれのための周波数およびインパルス応答推定値を導出する計算をも実行する。
【0066】
本明細書に記載された実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、あるいはこれらの任意の組み合わせで実現されうることが理解されるべきである。ハードウェアで実現する場合、処理ユニットは、1または複数の特定用途向けIC(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラム可能論理回路(PLD)、フィールドプログラム可能ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロ・コントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載の機能を実行するために設計されたその他の電子ユニット、あるいはこれらの組み合わせ内に実装されうる。
【0067】
これら実施形態が、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアあるいはマイクロコード、プログラム・コードあるいはコード・セグメントで実現される場合、これらは、例えば記憶素子のような機械読取可能媒体に格納されうる。コード・セグメントは、手順、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェア・パッケージ、クラス、または、命令、データ構造、あるいはプログラム文からなる任意の組み合わせを表すことができる。コード・セグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、あるいは記憶内容の引渡および/または受信を行うことによって、他のコード・セグメントまたはハードウェア回路に接続されうる。情報、引数、パラメータ、データ等は、メモリ共有、メッセージ引渡し、トークン引渡、ネットワーク送信等を含む任意の適切な手段を用いて引渡、転送、あるいは送信されうる。
【0068】
ソフトウェアで実現する場合、本明細書に記載のこれら技術は、本明細書に記載の機能を実行するモジュール(例えば、手続き、機能等)を用いて実現されうる。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニット内に格納され、プロセッサによって実行されうる。メモリ・ユニットは、プロセッサ内部またはプロセッサ外部に実装されうる。プロセッサ外部に実装される場合、メモリ・ユニットは、当該技術分野で周知のさまざまな手段によってプロセッサと通信可能に接続されうる。
【0069】
図10に示すように、帯域内SDU破棄インジケータを備えるPDUを再送信するシステム1000が例示される。例えば、システム1000は、基地局、モバイル・デバイス等の中に少なくとも部分的に存在しうる。システム1000は、プロセッサ、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせ(例えば、ファームウェア)によって実現される機能を表す機能ブロックでありうる機能ブロックを含むものとして示されることが認識されるべきである。システム1000は、連携して動作しうる電子構成要素の論理グループ1002を含む。例えば、論理グループ1002は、SDUが無効になったとのステータスを受信するための電子構成要素1004を含みうる。例えば、この無効データ・ステータスは、SDUが受信されると初期化されるタイマから受信される。さらに、論理グループ1002は、SDUの無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、帯域内無効データ・インジケータとともに再送信PDUをパックするための電子構成要素1006を備えうる。例えば、説明するように、前の送信を試みた後に、PDUのNAKが受信されうる。しかしながら、前の送信と再送信との間で、1または複数のSDUが無効になりうる。
【0070】
帯域内インジケータは、SDUの破棄を示す専用長さインジケータになりえる。この長さインジケータは、一般に、SDUの長さを示すために利用される。この点において、SDUは、無効になった場合、再送信される必要はなく、再送信されたPDUのペイロードおよび関連する帯域幅の浪費を低減することができる。別の例によれば、説明するように、無効なデータおよび関連する帯域幅を再送信することは、再送信されたSDUを送信機プロトコルが切り詰めることによって回避され、SDUの終了を示すために通常の長さインジケータを用い、データの破棄を判定するために、高次レイヤのアプリケーションに依存する等をしうる。さらに、論理グループ1002は、再送信されたPDUを1または複数のデバイスへ送信するための電子構成要素1008を備えうる。一例において、受信デバイスは、前に部分的に受信した1または複数のSDUを破棄するために、無効データ・インジケータを利用しうる。さらに、システム1000は、電子構成要素1004、1006、1008に関連付けられた機能を実行するための命令群を保持するメモリ1010を含みうる。メモリ1010の外側にあると示されているが、電子構成要素1004、1006、1008のうちの1または複数は、メモリ1010内に存在しうることが理解されるべきである。
【0071】
図11に移って、無線通信ネットワークにおいて受信された帯域内インジケータにしたがってSDUを破棄するシステム1000が例示される。システム1100は、例えば、基地局、モバイル・デバイス等に存在しうる。図示するように、システム1100は、プロセッサ、ソフトウェア、または(例えば、ファームウェアのような)これらの組み合わせによって実現される機能を表しうる。システム1100は、無効となったSDUを破棄することを容易にする論理グループ1102を含む。論理グループ1102は、再送信されたPDUを受信するための電子構成要素1104を含みうる。説明するように、PDUは、PDUを送信するための前の試みに関連して受信したNAKに基づいて再送信されうる。PDUは、再送信される前に再パックされうる。さらに、論理グループ1102は、再送信されたPDUにおける専用長さインジケータを検出するための電子構成要素1106を含みうる。専用長さインジケータは、前に部分的に送信されたSDUが無効になると、それを破棄することを示しうる。さらに、論理グループ1102は、専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて、前に受信したSDUの一部を破棄するための電子構成要素1108を含みうる。したがって、無効となったSDUは、帯域内通知を用いて破棄されうる。さらに、システム1100は、電子構成要素1104、1106、1108に関連付けられた機能を実行するための命令群を保持するメモリ1110を含みうる。メモリ1110の外部にあるとして示されているが、電子構成要素1104、1106、1108は、メモリ1110の内部に存在しうることが理解されるべきである。
【0072】
上述したものは、1または複数の実施形態の一例を含んでいる。もちろん、上述した実施形態を説明する目的で、構成要素または方法の考えられる全ての組み合わせを記述することは可能ではないが、当業者であれば、さまざまな実施形態のさらに多くの組み合わせおよび置き換えが可能であることを認識することができる。したがって、記載された実施形態は、特許請求の範囲の精神およびスコープ内にあるそのような全ての変更、修正、および変形を含むことが意図される。さらにまた、用語「含む」が、詳細説明あるいは特許請求の範囲のうちの何れかで使用されている限り、その用語は、用語「備える」が、請求項における遷移語として適用される場合に解釈される用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワークにおいて、無効になったサービス・データ・ユニット(SDU)を破棄する方法であって、
第1のプロトコル・データ・ユニット(PDU)で第1のSDUの一部が送信された後に、前記第1のSDUが無効であることを示す無効ステータスを受信することと、
前記第1のSDUの一部のサブセットを、再送信PDU内にパックすることと、
前記再送信PDUを、1または複数のデバイスへ送信することと
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のSDUの一部のサブセットは、前記第1のSDUの一部のサブセットに関連付する、前記再送信PDU内の長さインジケータに関連付けられた請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記長さインジケータは、前記第1のSDUの無効ステータスを示す専用長さインジケータである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のSDUの別の部分を、前のPDUで送信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のSDUの一部を、第2のSDUの一部とともに、前記第1のPDUで送信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のPDUの受信時に、誤りを示すインジケーションを受信することをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のPDUの受信時に、誤りを示すインジケーションを受信することに応答して、前記再送信PDUがパックされる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のPDUおよび前記再送信PDUは、実質的に同じプロトコル・シーケンス番号を有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
無線通信装置であって、
ラジオ・リンク制御(RLC)レイヤにおいて受信されたサービス・データ・ユニット(SDU)が無効であることを示す無効ステータスを判定し、
前記無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、前記SDUの一部、および/または、長さインジケータを備える再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)を生成し、
前記再送信PDUを1または複数のデバイスへ送信する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに連結されたメモリと
を備える無線通信装置。
【請求項10】
前記SDUの無効ステータスは、前記SDUが古くて役に立たないことを示し、前記SDUの長さインジケータは、前記SDUが破棄されたことを示す請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記再送信PDUよりも前記SDUを多く備える、前のPDUについての否定的なアクノレッジメントを受信するように構成された請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記否定的なアクノレッジメントに応答して、前記再送信PDUが生成される請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項13】
前記再送信PDUはさらに、当該前のPDUで送信された次のSDUの一部を備える請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項14】
当該前のPDUおよび再送信PDUは、実質的に同じプロトコル・シーケンス番号を有する請求項11に記載の無線通信装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、送信するためのSDUを受信すると、無効SDUタイマを起動するように構成された請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項16】
無線通信ネットワークにおけるラジオ・リンク制御(RLC)レイヤにおいて、無効になったデータを破棄する無線通信装置であって、
サービス・データ・ユニット(SDU)が無効であることを示す無効ステータスを受信する手段と、
前記SDUの無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、帯域内無効データ・インジケータとともに再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)をパッケージする手段と、
前記再送信PDUを1または複数のデバイスへ送信する手段と
を備える無線通信装置。
【請求項17】
前記無効データ・インジケータは、前記SDUの破棄を示す専用長さインジケータである請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記無効データ・インジケータは、より高次レイヤのアプリケーションによって破棄されデータが切り詰められたSDUを含む請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記SDUの一部、および、第2のSDUの一部を備える、前のPDUを送信する手段をさらに備える請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項20】
当該前のPDUについての、否定的なアクノレッジメントを受信する手段をさらに備え、
前記再送信PDUは、前記否定的なアクノレッジメントに少なくとも部分的に基づいてパッケージされる請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記SDUの一部が、前記再送信PDUから外れると、前記PDUは、当該前のPDUよりも小さなペイロードを有する請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項22】
前記第2のSDUの一部が、前記再送信PDU内に、前記専用長さインジケータとともにパッケージされる請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項23】
当該前のPDUと再送信PDUとは、実質的に同じプロトコル・シーケンス番号を有する請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項24】
コンピュータ読取可能媒体を備えたコンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ読取可能媒体は、
少なくとも1つのコンピュータに対して、サービス・データ・ユニット(SDU)が無効であることを示す無効ステータスを受信させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前記SDUの無効ステータスに少なくとも部分的に基づいて、再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)を長さインジケータとともにパッケージさせるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前記再送信PUDを1または複数のデバイスへ送信させるためのコードと
を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項25】
前記SDUの無効ステータスは、古くて役に立たないことを示し、前記長さインジケータは、前記SDUの破棄を示す専用長さインジケータである請求項24に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項26】
無線通信ネットワークにおけるラジオ・リンク制御(RLC)レイヤにおいてデータを破棄する方法であって、
1または複数の送信機から再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)を受信することと、
前に部分的に受信したサービス・データ・ユニット(SDU)の破棄を示す、前記再送信PDU内の専用長さインジケータを識別することと、
当該前に部分的に受信したSDUを破棄することと
を備える方法。
【請求項27】
前記再送信PDUに残っている1または複数のSDUを処理することをさらに備える請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記専用長さインジケータにしたがって、前記SDUおよび/または追加のSDUの破棄を、上部レイヤに示すことをさらに備える請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前のPDUを誤って受信することをさらに備え、
当該前のPUDは、前に部分的に受信したSDUのうちの残りの部分を備える請求項26に記載の方法。
【請求項30】
当該前のPDUを誤って受信したことに少なくとも部分的に基づいて、否定的なアクノレッジメント・インジケータを送信することをさらに備える請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記再送信PDUは、前記否定的なアクノレッジメント・インジケータを送信することに少なくとも部分的に基づいて受信される請求項30に記載の方法。
【請求項32】
無線通信装置であって、
1または複数の送信機から再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)を受信し、
前に部分的に受信したサービス・データ・ユニット(SDU)に関連する、前記再送信PDU内の専用長さインジケータを判定し、
前の部分的に受信したSDUを、前記専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて破棄する
ように構成された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに連結されたメモリと
を備える無線通信装置。
【請求項33】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記再送信PDUに残っている1または複数のSDUを処理するように構成された請求項32に記載の無線通信装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記専用長さインジケータにしたがって、前に部分的に受信したSDUおよび/または追加のSDUの破棄を、上部レイヤへ示すように構成された請求項32に記載の無線通信装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前のPDUを誤って受信するように構成され、
当該前のPDUは、前に部分的に受信したSDUの残りの部分を備える請求項32に記載の無線通信装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、当該前のPDUを誤って受信したことに少なくとも部分的に基づいて、否定的なアクノレッジメント・インジケータを送信するように構成された請求項35に記載の無線通信装置。
【請求項37】
前記再送信PDUは、前記否定的なアクノレッジメントに少なくとも部分的に基づいて受信される請求項36に記載の無線通信装置。
【請求項38】
無線通信ネットワークにおいてサービス・データ・ユニット(SDU)を破棄する無線通信装置であって、
再送信されたプロトコル・データ・ユニット(PDU)を受信する手段と、
前記再送信されたPDUにおける専用長さインジケータを検出する手段と、
前に受信したSDUの一部を、前記専用長さインジケータに少なくとも部分的に基づいて破棄する手段と
を備える無線通信装置。
【請求項39】
前記PDUにおける1または複数の別のSDUを判定する手段をさらに備える請求項38に記載の無線通信装置。
【請求項40】
前に受信したSDUの一部、および、前記1または複数の別のSDUの一部を備える、前のPDUを受信する手段をさらに備える請求項39に記載の無線通信装置。
【請求項41】
当該前のPDUに関連する否定的なアクノレッジメントを送信する手段をさらに備え、
前記再送信されたPDUは、前記否定的なアクノレッジメントに応答して受信される請求項40に記載の無線通信装置。
【請求項42】
前記専用長さインジケータにしたがって、前に部分的に受信したSDUおよび/または追加のSDUの破棄を、上部レイヤへ示す手段をさらに備える請求項38に記載の無線通信装置。
【請求項43】
前に受信され破棄されたSDUの一部を、前のPDUで受信する手段をさらに備える請求項38に記載の無線通信装置。
【請求項44】
コンピュータ読取可能媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ読取可能媒体は、
少なくとも1つのコンピュータに対して、1または複数の送信機から、再送信プロトコル・データ・ユニット(PDU)を受信させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前に部分的に受信したサービス・データ・ユニット(SDU)の破棄を示す、前記再送信PDU内の専用長さインジケータを識別させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前に部分的に受信したSDUを破棄させるためのコードと
を備えるコンピュータ・プログラム製品。
【請求項45】
前記コンピュータ読取可能媒体はさらに、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前記再送信PDUに残っている1または複数のSDUを処理させるためのコードをさらに備える請求項44に記載のコンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−48432(P2013−48432A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−206415(P2012−206415)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2010−534988(P2010−534988)の分割
【原出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】