説明

無線ネットワーク内における複数無線インターフェイスの使用

複数のチャネル上においてデータを伝送するシステム及び方法について記述している。本システムは、空きチャネルを判定し、そのチャネル上においてデータを伝送している。いくつかの例においては、空きチャネルの識別の前に、データをフォーマットしている。その他の例においては、空きチャネルの識別の後に、データをフォーマットしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年4月5日付けで出願された「Use of Multiple Wireless Interfases in Wireless Networks」という名称の米国特許出願第11/098,515号に関係し、この優先権を主張するものであり、この内容は、本引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
本発明は、無線通信システムに関するものである。更に詳しくは、本発明は、無線通信システムのチャネル選択に関するものである。
【背景技術】
【0003】
無線ネットワーキングプロトコルは、一般に、1つ又は複数のチャネルを具備している。無線ネットワーキング装置は、通常、その装置が同時に1つの且つ1つだけの無線チャネルを監視できるようにする単一の無線インターフェイスを具備している。その他の無線ネットワーキング装置は、チャネルの選択を許容する複数のインターフェイスを具備している。但し、1つのチャネルの設定が完了した後には、複数のインターフェイスを具備するネットワーキング装置も、セッションの残りの部分においては、そのチャネルを使用することを余儀なくされる。換言すれば、すべてのトラフィックフローは、1つの且つ1つだけのネットワークインターフェイスを通過しなければならないのである。この単一チャネルの使用は、パケットデータを送信する際、特に、動的なネットワーク状態が1つのインターフェイスを一時的に選好している際に、非効率性に結び付くことになる。現在の装置は、これらの一時的な利点を活用することができていない。
【0004】
複数のチャネルを通じて効率性を向上させるための通常の方法は、当初のチャネル取得及び関連付けを実行している。例えば、このような方法は、無線チャネルに対する端末の割り当てを最適化することによって負荷を公平にバランスさせるべく試みている。これらの方法においても、端末は、依然として、単一の無線アクセスチャネル上においてデータを送信するようになっている。その他の方法は、「データ」チャネルと並行した「シグナリング」チャネルの使用に依存している。シグナリングチャネルは、ネットワーク内のその他のノードとの間において調整することにより、データを送信するための許容可能な無線アクセスチャネルについて合意している。これらの方法は、特定のチャネルを使用する時期について決定するべく、端末間における協力を必要としている。
【0005】
チャネル割り当て方式は、チャネルの状態がミリ秒のレベルにおいて変化可能である無線ネットワーク内に存在するダイナミズムを活用することができていない。従来の方法は、依然として非効率性と帯域幅の浪費に結び付いている。シグナリングチャネル方式は、複数の無線局がチャネルの選択において協力することを必要としており、従って、無線局は、一方的に動作することができない。又、このタイプの協力は、ネットワーク性能にとって負担となるオーバーヘッドを意味している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
存在する際にネットワークチャネルの効率性を実現可能である改善された方法が必要とされている。
【0007】
本発明の態様は、前述の1つ又は複数の問題点を解決し、これにより、改善されたネットワーク性能を提供している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数のチャネルの中のどのチャネルが空いているのかを判定するステップと、
前記チャネル上において伝送するためのパケットを形成するステップと、
前記パケットを前記チャネル上において伝送するステップと、
を有する情報伝送方法が提供される。
【0009】
また、本発明の別の一態様によれば、複数のチャネルのそれぞれを介して伝送するためのパケットを形成するステップと、
前記複数のチャネルの中のどのチャネルが空いているのかを判定するステップと、
前記パケットを前記チャネル上において伝送するステップと、
を有することを特徴とする情報伝送方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用可能なチャネルを使用することにより、複数の無線アクセスチャネルを監視及び作動させてパケットをルーティング可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の態様は、一例として示されており、添付の図面に限定されるものではない。これらの添付図面においては、類似の参照符号によって類似の要素を示している。
【0012】
本発明の態様は、ネットワークの使用法に従って複数のチャネル上において監視及び伝送するシステム及び方法に関するものである。後述する方法の中の1つ又は複数のものを使用することにより、ネットワークにおけるパケットの取り扱いを改善可能である。例えば、パケットのスループット及びパケットの遅延の少なくともいずれかを改善可能である。
【0013】
以下の説明においては、要素間における様々な接続について記述していることに留意されたい。これらの接続は、一般的に、且つ、特記されていない限り、直接又は間接的なものであってよく、且つ、本明細書は、この観点に限定されることを意図したものではないことに留意されたい。
【0014】
読者の利便のために、以下の説明は、「チャネルの選択及び使用」、「アセンブル前の選択」、「選択前のアセンブル」、及び「利用可能なチャネルを使用した選択前のアセンブル」の各セクションに分割されている。
【0015】
(チャネルの選択及び使用)
本発明の態様は、伝送無線局(モバイル端末又はアクセスポイント)に機能を付与することによって必要に応じてチャネルを判定及び使用することに関するものである。伝送無線局をそのセッションについて単一のチャネルにのみ限定する代わりに、本発明の態様によれば、端末は、利用可能な無線チャネル及びインターフェイスを活用し、スループットを増大させると共にパケットの遅延を低減することにより、ネットワーク性能を改善することができる。改善は25%を超過可能であると推定される。
【0016】
従来の無線ローカルエリアネットワーク装置は、1つ又は複数の無線インターフェイスを具備しているかどうかとは無関係に、同時に1つの且つ1つだけの無線アクセスチャネルを監視するべく設計されている。即ち、これらの装置は、まず、伝送の前に、単一の無線アクセスチャネルを決定し、その関連付けをそのデータセッションの寿命にわたって維持しなければならないのである。動的なネットワーク状態は、1つの無線アクセスチャネルを別のものよりも一時的に選好可能であるため、この単一の無線アクセスチャネルに対する無線装置のマッピングは、非効率性と機会費用に結び付くことになる。具体的には、任意の所与のインターバルにおける相対的に良好な無線アクセスチャネルが、その無線装置が現在使用しているものではない可能性があろう。現在の方法は、これらの一時的な利点を完全に活用することができていないのである。
【0017】
本発明の態様は、複数の無線チャネルを監視すると共に、次の利用可能なチャネル上においてパケットを送信する端末を含んでいる。受信機が複数のチャネルを監視しておれば、伝送のための任意の所与のチャネルを選択するのに、その他の端末との間における協力が不要であり、この結果、端末は、伝送の機会を適宜に活用可能である。
【0018】
本発明のいくつかの態様においては、スループットの向上、遅延の低減、ネットワーク内における干渉の低減、帯域幅の浪費の低減、ローカルな実行可能性、及び利用可能なチャネルに跨るトラフィック負荷の均衡の中の少なくとも1つを実現可能である。具体的には、空きチャネルを待つために任意の所与のパケットが経験する時間量を低減可能である。
【0019】
次のリストは、規定された数のチャネルを使用したいくつかのパケットにおける改善された待機時間の推定値を示している。
【0020】
1)2つの802.11bチャネルにおいてパケット待機時間における30%の節約
2)2つの802.11aチャネルにおいてパケット待機時間における24%の節約
3)3つの802.11bチャネルにおいてパケット待機時間における45%の節約
4)3つの802.11aチャネルにおいてパケット待機時間における36%の節約
本発明の態様は、単一チャネルアクセスを管理しているCSMA手順に準拠している。本発明の第1の例においては、伝送無線局又は端末は、チャネルを選択し、そのチャネル上において伝送し、且つ、同一のチャネル上において受信無線局又は端末からアクノリッジを受信している。本発明の第2の例においては、伝送無線局又は端末は、第1チャネルを選択し、第1チャネル上において伝送し、且つ、第2チャネル上において受信無線局又は端末からアクノリッジを受信している。
【0021】
本発明の態様は、様々な無線技術と共に使用可能であり、この結果、端末は、802.11a、802.11b、及び802.11gネットワーク内において利用可能なチャネルを使用可能である。この結果、端末は、端末がどの特定の無線アクセス技術と関連付けられているのかとは無関係に、利用可能な無線アクセスチャネルの組の全体を完全に利用可能である。
【0022】
図1は、端末101及びアンテナ102及びアクセスポイント103及びアンテナ104を示しており、この場合には、複数のチャネルを使用することにより、それらの間においてパケットを交換している。端末101は、複数のインターフェイスを監視している。ここでは、端末101及びアクセスポイント103は、第1チャネル105上において第1パケットを交換しており、且つ、第2チャネル106上において第2パケットを交換している。
【0023】
図2は、アクセスポイント203及びアンテナ204とアクセスポイント205及びアンテナ206という2つのアクセスポイントと通信している端末201及びアンテナ202を示している。ここでは、端末は、第1チャネル207を使用することにより、第1パケットをアクセスポイント203に対して伝送しており、且つ、第2チャネル208を使用することにより、第2パケットをアクセスポイント205に伝送している。
【0024】
図3は、チャネル上において選択及び伝送するプロセスの例示用の例を示している。ここでは、端末は、いくつかの異なる無線アクセスチャネルに対するアクセスを具備しており、且つ、それらを従来のCS(Carrier Sensing)メカニズムを通じて独立的に監視する能力を有している。これがステップ301に示されている。CSプロセスは、チャネル内に存在する無線エネルギーを検出している。端末によって監視されるチャネルの数は、802.11a、802.11b、及び802.11gなどの複数の周波数帯及び無線アクセス技術を包含可能である。監視可能なチャネルの数は、端末が維持可能である同時CSメカニズムの数と、存在しているオーバーラップしていない無線アクセスチャネルの数と、によって限定されている。本発明は、この制限によって限定されるものではないが、端末が、オーバーラップしていない周波数チャネルのみを監視することによって干渉の量を低減することが望ましい。
【0025】
ステップ302において、本システムは、チャネルが空いているかどうかを判定している。「いいえ」の場合には、本システムは、ステップ303において次のチャネルを調査することになる。「はい」の場合には、本システムは、ステップ304において、そのチャネル上において伝送することになる。伝送端末は、ステップ305に示されているように、同一チャネル上においてアクノリッジを受信することも可能であり、或いは、ステップ306に示されているように、別個のチャネル上においてアクノリッジを受信することも可能である。
【0026】
チャネルが空いているかどうかの評価は、802.11のMACレイヤに基づいたものであってよい。本発明の態様との関連においては、MACレイヤを使用するその他のプロトコル又はこれを具備した将来生成されるその他のプロトコルを使用することも可能である。評価は、チャネルのトラフィックにのみ基づいたものであってよい。或いは、この代わりに、評価は、チャネル内のトラフィックと、1つ又は複数の基準と、に基づいたものであってもよい、基準の例示用の例は、受信信号パワーを包含可能である。
【0027】
更には、端末は、監視対象のチャネルのそれぞれごとに、独立したCSMA/CA(Carrier Sensing Multiple Access with Collision Avoidance) MACプロトコル状態を維持可能であってよい。このCSMA/CA MACプロトコルについては、802.11a、802.11b、及び802.11gの動作を規定している業界標準に詳述されている。これらのMAC手順は、本発明のために、CCA(Clear Channel Assessment)と呼ばれる単一パラメータ内にカプセル化可能である。CCAは、特定の無線アクセスチャネルが伝送のために空いているかどうかを通知している。CCAは、伝送のためのCSMA/CA MACプロトコル要件が満足されている場合にのみ、空きチャネルを通知する。これは、バックオフタイマ値を監視することによって実装することも可能である。
【0028】
すべての装置(モバイル装置及び端末)が複数のチャネルを監視する能力を具備していなくてもよいことを理解されたい。可能な装置が、コンタクトを具備しているその他の装置(モバイル又は端末)の追跡を所望可能である。図4は、現在の装置とコンタクトしたことがある装置を一覧表示する表の例示用の例を示している。現在の装置は、その他の装置の中のどれが複数のチャネル上において監視及び応答可能であり、且つ、その他の装置の中のどれがそうではないのかを追跡可能である。図4に示されている情報は、それぞれの装置内、アクセスポイント内、モバイル端末内、中央集中化された場所内、又はこれらの任意の組み合わせにおいて維持可能である。
【0029】
以下、本発明の態様の2つの一般的な表現について説明することとする。この最初の2つの一般的な表現の部分的な組み合わせである第3の一般的な表現についても示している。
【0030】
(アセンブル前の選択)
図5は、本発明の態様の第1の一般的な表現を示している。本明細書に記述されているプロセスは、無線装置と関連した標準的なプロセッサ及びメモリによって実現可能である。
【0031】
MACバッファ501が伝送対象の情報500を受信してパケットを伝送キュー(TxQ)502に転送し、ここで、パケットは、伝送を待つことになる。MACバッファ501は、更に高次のレイヤのアプリケーションからの1つ又は複数のパケットを保持可能である。
【0032】
次に、ステップ503において、本システムは、空きチャネルを選択している。ステップ506において、本システムは、MSDUをアセンブルしている。MSDUとは、MACサービスデータユニット(MAC Service Data Unit)である。MSDUは、伝送のために適切にフォーマットされたデータパケットである。これらは、無線アクセスチャネルと関連付けられた特定の変調方式及び伝送レートに従ってフォーマットされており、且つ、そのヘッダフィールド内に無線アクセスチャネル固有の値を含んでいる。従って、同一のデータパケットが、伝送される無線アクセスチャネルに応じて異なるMSDU表現を具備可能である。
【0033】
ステップ507において、MSDUを無線媒体508を通じて受信機(図示されてはいない)に対して伝送している。パケットが無線媒体から受信機509を通じて受信されている。受信されたパケットからの情報を使用することにより、チャネルが使用されているかどうかを空きチャネル評価インジケータ504によって評価している。CCAインジケータ504の出力は、チャネル選択ステップ503と、チャネル上における伝送のために使用するレートの判定ステップ505と、において使用されている。ステップ505からの選択されたレートは、MSDUのアセンブルステップ506に供給されている。
【0034】
伝送には、基本的な伝送方法(データ/データアクノリッジ)とRTS/CTS法という2つの変形が存在している。第1に、基本的な伝送方法においては、データを空きチャネル上において伝送している。データの伝送に応答し、アクノリッジを受信している。
【0035】
第2に、RTS/CTS動作方法は、基本伝送手順のわずかな変更である。CSMA/CA規格は、チャネル上における媒体アクセスの管理を支援するべく、「Request−to−Send」及び「Clear−to−Send」パケットの任意選択による使用を定義している。RTSパケットは、宛先無線局に対する要求を含んでいる。宛先が要求を受け入れた場合には、宛先は、パケットを伝送するべく送信側が空いていることを通知するCTSパケットによって応答することになる。RTS及びCTSパケットは、いずれも、そのデータパケット伝送によって媒体が占有されることになる予想時間を表す数値を含む「Duration(持続時間)」フィールドを含んでいる。この結果、そのチャネルを監視しているその他の無線局は、その伝送に所要する時間を知ることが可能であり、この結果、それらは、その時間における伝送を控えることができる。送信側の無線レンジ内の無線局は、RTSパケット内に含まれている持続時間フィールドを受信及び処理し、宛先の無線レンジ内の無線局は、CTSパケット内に含まれた持続時間フィールドを受信及び処理している。送信側及び宛先の両方のレンジ内の無線局は、両方の持続時間フィールドを受信及び処理している。この方法は、送信側又は宛先のいずれかの無線レンジ内のすべての端末がその懸案の伝送について認知し、この結果、干渉が低減されることを保証している。「Duration」フィールドは、懸案のデータパケットと関連付けられた適切なパラメータであるため、データパケットとRTSパケットの両方を同一の無線アクセスチャネル上において送信可能である。或いは、この代わりに、RTSパケット用のチャネルとは異なるデータパケット用の別個のチャネルを使用することも可能である。RTS及びデータの伝送のために1つのチャネルを使用する利点の1つは、使用するチャネルに関する調整能力にある。別のシステムが、例えば、RTS又はCTSパケットのいずれかを受信しておらず、且つ、そのデータチャネルを使用することを計画している場合に、オリジナルの伝送及び受信無線局がそのチャネルを使用するべく意図している際には、それは、オープンデータチャネルを観察することになる。異なるチャネルを使用する利点の1つは、データチャネル上における相対的に大きなスループットの可能性にある。第2チャネル上において送信機と受信機に調整させることにより、データチャネルを完全に使用可能である。
【0036】
以下、基本伝送方法について説明する。RTS/CTS法を使用した説明については、後述する。基本伝送方法においては、TxQ502は、端末が監視している無線アクセスチャネルのそれぞれと関連付けられたCCA504からのCCA値のすべてを監視している。TxQ502内のパケットは、空きチャネルについて通知している第1(又は、その他の)CCAと関連付けられた無線アクセスチャネル上において伝送される。複数のCCAが同時に空きチャネルを通知している場合には、端末は、可能な最高の伝送レートを有する無線アクセスチャネルを選択可能である。複数のこのような無線アクセスチャネルが同一の最大伝送レートを保有している場合には、端末は、ランダムに、或いは、(例えば、最低チャネルから始めるなどの)事前に定義された手順に従って、1つのものを選択可能である。
【0037】
無線アクセスチャネルの選択が完了したら、端末は、選択された無線アクセスチャネルと関連付けられたステップ505からの伝送レートインジケータを考慮することにより、MSDUのアセンブルプロセスをステップ506において開始する。この情報を使用することにより、データパケットを無線アクセスチャネル用の適切なフォーマットに変調すると共に、パケットヘッダの必要な「Duration」フィールドを演算している。この時点において、ステップ506におけるデータパケットからのMSDUのアセンブルが完了し、ステップ505からの伝送レートインジケータによって通知されたレートにおいて選択された無線アクセスチャネル上において送信機507によって伝送される。MSDUのアセンブルプロセスは、ナノ秒のレベルにおいて動作しており、従って、マイクロ秒のレベルにおいて動作するMACレイヤのタイミング要件を過度に妨げることはない。
【0038】
伝送されたパケットが積極的なアクノリッジ(ACK)を必要としている場合には、伝送されたパケットは、ステップ510においてACKが受信される時点まで、TxQ502内に留まることができる。そうでない場合には、伝送されたパケットは、TxQ502からドロップされ、MACバッファ501から次のパケットが入ることになる。このようにTxQ502への進入をゲーティングすることにより、パケットが誤った順序で送信側に到達する可能性を最小化又は除去している。パケットの伝送を実行した無線アクセスチャネル上において使用されている無線アクセス技術に適切な規格に定義されているACKタイムアウト期間の後に、予想されたACKが受信されない場合には、そのCCAが空きチャネルを通知している次の無線アクセスチャネル上において、そのパケットを再伝送可能である。このチャネルは、完全に異なる無線アクセス技術を利用可能であり、且つ、以前の伝送とは異なる無線周波数帯であってよい。或いは、この代わりに、同一の無線アクセス技術を使用する同一の無線周波数帯であってもよい。異なる無線アクセス技術を伴う異なる無線周波数を使用する1つの利点は、以前の伝送の適切なアクノリッジを妨げた問題点を除去するための試みにある。
【0039】
以下、RTS/CTSの場合における伝送モードについて説明する。情報500が、MACバッファ501内において受信される。パケットが、MACバッファ501からTxQ502に対して伝達される。チャネル選択プロセスがステップ503において実行され、RTSパケットの伝送のために、空きチャネルを報告する第1無線アクセスチャネルを選択可能である。選択された無線アクセスチャネルと関連付けられたパラメータにより、無線局は、ステップ506において、伝送用のRTS MSDUをアセンブル可能であり、これは、正しい「Duration」フィールド情報を含んでいる。この「Duration」情報は、その無線アクセスチャネルによって判定されているため、RTS MSDUと同一の無線アクセスチャネル上において懸案のデータMSDUを送信可能である。送信機507によってRTS MSDUを伝送したら、無線局は、次いで(そのわずかな後に、又は即座に)、選択された無線アクセスチャネルと関連付けられたチャネルパラメータを使用してデータパケットMSDUをアセンブルする。或いは、この代わりに、無線局は、CTS応答が受信される時点まで、待機することも可能である。
【0040】
ステップ510において対応するCTSを受信したら、無線局は、同一の無線アクセスチャネル上においてデータMSDUを伝送可能である。規格に定義されているCTSタイムアウト期間内にCTSを受信しない場合には、無線局は、アセンブルされたデータMSDUを破棄し、RTSパケットの再伝送のためにチャネル選択フェーズに再度入ることができる。この再伝送されるRTS MSDUは、オリジナルのRTS MSDUとは異なる無線アクセスチャネル上において送信可能であるが、すべてのデータMSDUは、その関連付けられたRTS MSDUと同一の無線アクセスチャネル上において送信される。或いは、この代わりに、MSDUは、前述のように、RTS MSDUとは異なる無線アクセスチャネル上において送信することも可能である。
【0041】
(選択前のアセンブル)
図6は、本発明の態様を実施する別のシステムを示している。図5のシステムと図6のシステムの相違点は、チャネル選択プロセスとMSDU生成の順序である。
【0042】
図5は、チャネル選択503の後にMSDUのアセンブル506を実行している本発明の一実装を示しており、図6は、チャネル選択608の前にMSDUのアセンブル602を実行している一実装を示している。図5のシステムの性能に対する影響は、CCA504が空きチャネルを通知し、且つ、パケットの伝送の準備が完了する際に、わずかなタイムラグが導入されるという点である。このタイムラグは、MSDUをアセンブルするのに所要する処理時間に対応している。これは、ナノ秒のレベルであり、且つ、伝送タイムスロットは、マイクロ秒のレベルであるため、この遅延は、全体的な性能に対して大きな影響を与えるとは考えられない。後者の場合には、チャネル選択の前にMSDUを準備しており、従って、CCA612が空きチャネルについて通知した後に、即座に送信可能である。但し、MSDUをアセンブルする時点においては、無線アクセスチャネルがまだ判明していないため、無線局は、ステップ602において、それぞれが候補無線アクセスチャネルNの中の1つに対応している複数のMSDUを生成するべく強制されることになる。この手順は、追加の処理及び保存の負荷を無線局に導入している。処理パワー及び半導体能力の向上に伴って、(図5及び図6の)いずれの方法の性能に対する影響も無視可能となる。
【0043】
図6に示されている本発明の「選択前のアセンブル」実装は、前述の説明に類似しており、主な相違点は、それぞれの候補無線インターフェイスの適切なレート及び変調パラメータにそれぞれが対応している複数のMSDUの生成にある。伝送対象の情報600がMACバッファ601において受信されている。次いで、ステップ602において、すべてのN個のチャネルについて、MSDUパケットがMACバッファ601からのデータパケットから生成されている。すべての候補無線アクセスチャネルと関連するレート情報603及び変調方式を使用することにより、MSDUパケットを生成している。
【0044】
MSDUのアセンブル602からのMSDUパケットを伝送キューTxQ604内において受信している。ここで、(Nチャネルにおける)MSDUパケット1〜N(605〜607)は、指定のチャネルのCCA601の結果を待つことになる。チャネル選択608からの無線アクセスチャネルの選択が完了したら、TxQ604は、無線媒体610上において伝送するべく、関連付けられたMSDUを送信機609に対して供給する。受信機611が、情報をCCA612に対して供給しており、次いで、CCAが、空きチャネル評価をチャネル選択608に対して供給している。
【0045】
前述のものと同様に、本システムは、ACK応答が受信される時点まで、後続の伝送を防止可能である。再送のためのアクノリッジ/要求がステップ613に示されており、別のチャネル上において新しいパケットを送信するべく又は現在のパケットに関係した別のMSDUを送信するべくTxQ604に対して命令が転送されている。
【0046】
類似のプロセスがRTS/CTS供給方法に対しても同様に適用される。この場合には、複数のRTS MSDUが、MSDUのアセンブルプロセス602内においてアセンブルされており、このそれぞれは、候補無線アクセスチャネルのそれぞれについて算出された適切な持続時間フィールドを含んでいる。チャネル選択プロセスが終了すると、選択された無線アクセスチャネル上においてRTS MSDUが伝送され、無線局は、選択された無線アクセスインターフェイスと関連するパラメータによってデータMSDUを準備する。無線局が対応するCTSを受信したら、同一の無線アクセスインターフェイス上においてデータMSDUが伝送される。規格に定義されているCTSタイムアウト期間の前にCTSが受信されず、且つ、信号がステップ613において提供されない場合には、データMSDUは、破棄され、無線局は、RTS MSDUのアセンブルフェーズに再度入ることになる。「アセンブル前の選択」のケースと同様に、すべてのデータMSDUは、その関連付けられたRTS MSDUと同一の無線アクセスチャネル上において送信される。或いは、この代わりに、データMSDUは、関連付けられたRTS MSDUを伝送するべく使用されたチャネルとは異なる無線アクセスチャネル上において送信することも可能である。
【0047】
(利用可能なチャネルを使用した選択前のアセンブル)
図7においては、本システムは、N個の可能なチャネルが利用可能であってよいが、実際には、サブセットであるMのみが任意の所与の時点において利用可能であることを理解している。例えば、図7に示されている伝送無線局は、802.11a、802.11b、及び802.11gのすべてのチャネル上において伝送する能力を有することが可能である。しかしながら、実際には、802.11a及び802.11bと関連付けられたチャネルのみが利用可能であってよい。従って、図7のシステムは、MSDUの生成を、理論的に可能なチャネルNではなく、実際に利用可能であるチャネルMに制限している。
【0048】
伝送される情報700をMACバッファ701において受信している。ステップ702において、本システムは、すべてのチャネルNの中のどのチャネルMが利用可能であるのかを判定している。ステップ702は、受信機712(並びに、恐らくは、レートモニタ704及びCCA713)からチャネル情報を受信するステップを包含可能であり、どのチャネルが利用可能であるのかを受信無線局の場所又は能力に基づいて表内において調査するステップを包含可能であり、或いは、どのチャネルが場所において又は別の無線局との間において使用されたのかに関する過去の履歴を使用するステップを包含可能である。これらの方法は、組み合わせることも可能である。
【0049】
ステップ703において、レート情報704に基づいて、チャネル1〜MのMSDUをアセンブルしている。TxQ705は、様々な利用可能なチャネルのMSDU1〜M(706〜708)を保持している。ステップ709において、CCA713に基づいてチャネルが選択されたら、選択されたチャネルに関係したMSDUを送信機710によって無線媒体711に伝送している。これに対する応答を受信機712において受信可能である。受信機713の出力は、空きチャネル評価713のために使用可能である。又、受信機713の出力を使用することにより、ステップ704において利用可能なレートを判定することも可能である。最後に、受信機712は、継続するようにTxQ705に対して通知するべく、ステップ714において使用されるACK又はCTS信号を供給している。
【0050】
CCA504、612、及び713は、単一の空きチャネルのみを提供可能であり、且つ、複数のチャネルの状態を保存するストレージを包含可能である。例えば、様々なチャネルをスキャンすることにより、それらが空いているかどうかを判定し、且つ、その情報を表内に保存可能である。表は、チャネル選択506、608、709に提供可能である。或いは、この代わりに、チャネル選択506、608、709が表に対して直接アクセスできるように、表を共有メモリ内に保存することも可能である。
【0051】
本発明の態様は、コンピュータ実装されたプログラムの形態においてコンピュータ可読媒体上に保存された前述のプロセスを含んでいる。この媒体は、静的メモリ、動的メモリ、携帯型、及び固定型を含む当技術分野において既知の様々な形態をとることが可能である。
【0052】
以上、その好適且つ模範的な実施例の観点において、本発明について説明した。本開示を参照することにより、当業者であれば、添付の請求項の範囲及び精神を逸脱することなしに、多数のその他の実施例、変更、及び変形を想起することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の態様によるアクセスポイントと通信するモバイル端末を示している。
【図2】本発明の態様による2つのアクセスポイントと通信するモバイル端末を示している。
【図3】本発明の態様によるチャネル選択のプロセスを示している。
【図4】本発明に態様による伝送装置と関連付けられたデータ構造を示している。
【図5】本発明の態様によるチャネルを選択するシステムを示している。
【図6】本発明の態様によるチャネルを選択する代替システムを示している。
【図7】本発明の態様によるチャネルを選択する別の代替システムを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャネルの中のどのチャネルが空いているのかを判定するステップと、
前記チャネル上において伝送するためのパケットを形成するステップと、
前記パケットを前記チャネル上において伝送するステップと、
を有することを特徴とする情報伝送方法。
【請求項2】
前記形成ステップは、MSDUを形成することを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項3】
前記判定ステップの前に、伝送対象のデータを伝送キュー内に保存するステップを更に有することを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項4】
無線媒体から情報を受信するステップと、
前記無線媒体内のチャネルの空きチャネル評価を実行するステップと、
を更に有しており、
前記判定ステップは、前記空きチャネル評価の出力に基づいて実行されることを特徴とする請求項1記載の情報伝送方法。
【請求項5】
利用可能なチャネルのレートを判定するステップを更に有しており、前記判定されたレートは、前記形成ステップにおいて使用されることを特徴とする請求項4記載の情報伝送方法。
【請求項6】
複数のチャネルのそれぞれを介して伝送するためのパケットを形成するステップと、
前記複数のチャネルの中のどのチャネルが空いているのかを判定するステップと、
前記パケットを前記チャネル上において伝送するステップと、
を有することを特徴とする情報伝送方法。
【請求項7】
前記形成ステップは、MSDUを形成することを特徴とする請求項6記載の情報伝送方法。
【請求項8】
前記判定ステップの前に、前記形成されたパケットを伝送キュー内に保存するステップを更に有することを特徴とする請求項6記載の情報伝送方法。
【請求項9】
無線媒体から情報を受信するステップと、
前記無線媒体内のチャネルの空きチャネル評価を実行するステップと、
を更に有しており、
前記判定ステップは、前記空きチャネル評価の出力に基づいて実行されることを特徴とする請求項6記載の情報伝送方法。
【請求項10】
利用可能なチャネルのレートを判定するステップを更に有しており、前記判定されたレートは、前記形成ステップにおいて使用されることを特徴とする請求項9記載の情報伝送方法。
【請求項11】
すべての可能なチャネルの中のどのチャネルが使用するべく利用可能であるのかを判定するステップと、
複数のチャネルのそれぞれを介して伝送するためのパケットを形成するステップと、
前記複数のチャネルの中のどのチャネルが空いているのかを判定するステップと、
前記パケットを前記チャネル上において伝送するステップと、
を有することを特徴とする情報伝送方法。
【請求項12】
前記形成ステップは、MSDUを形成することを特徴とする請求項11記載の情報伝送方法。
【請求項13】
前記判定ステップの前に、前記形成されたパケットを伝送キュー内に保存するステップを更に有することを特徴とする請求項11記載の情報伝送方法。
【請求項14】
無線媒体から情報を受信するステップと、
前記無線媒体内のチャネルの空きチャネル評価を実行するステップと、
を更に有し、
前記判定ステップは、前記空きチャネル評価の出力に基づいて実行されることを特徴とする請求項11記載の情報伝送方法。
【請求項15】
利用可能なチャネルのレートを判定するステップを更に有しており、前記判定されたレートは、前記形成ステップにおいて使用されることを特徴とする請求項14記載の情報伝送方法。
【請求項16】
チャネルを監視するステップと、
第1チャネルが空いているのかどうかを判定し、前記第1チャネルが空いているのかどうかの結果を保存するステップと、
第2チャネルが空いているのかどうかを判定し、前記第2チャネルが空いているのかどうかの結果を保存するステップと、
前記空きチャネルの中の1つを介して伝送するステップと、
を有することを特徴とする空きチャネル評価方法。
【請求項17】
前記結果を表内に保存するステップを更に有することを特徴とする請求項16記載の空きチャネル評価方法。
【請求項18】
前記表は、チャネル選択モジュールに対して送信されることを特徴とする請求項17記載の空きチャネル評価方法。
【請求項19】
前記表は、チャネル選択モジュールによってアクセス可能な共通メモリ内に保存されることを特徴とする請求項17記載の空きチャネル評価方法。
【請求項20】
第3チャネルが空いているのかどうかを判定し、前記第3チャネルが空いているのかどうかの結果を保存するステップを更に有することを特徴とする請求項16記載の空きチャネル評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−535444(P2008−535444A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505447(P2008−505447)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/012486
【国際公開番号】WO2006/107958
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(399047921)テルコーディア テクノロジーズ インコーポレイテッド (61)
【Fターム(参考)】