説明

無線受信装置

【課題】ブロックの開始位置及びサイズを適切に判定できる。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る無線受信装置は、計算部、第1判定部及び第2判定部を含む。計算部は、第1既知信号で用いられる可能性のある1以上の系列に対応する1以上の参照信号と、受信信号との1以上の第1相関値を計算する。第1判定部は、第1相関値をモードに応じて合成した相関値系列に含まれる第1閾値以上となる第2相関値から、第1既知信号の基準位置を判定する。第2判定部は、インタリーバブロックの終端部に位置する第2既知信号で用いられる系列に対応するそれぞれの参照信号と受信信号との相関値であって、基準位置に応じて第2既知信号となる可能性のあるタイミングで抽出した第3相関値を合成した第2相関値系列のうち、第1期間中に第2相関値系列の最大値が第2閾値以上となるかどうかによりインタリーバブロックの長さ及びインタリーバ開始位置を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線受信装置では、フレーム先頭のプリアンブル信号を受信し、プリアンブル信号に含まれる制御信号を復調することで、プリアンブル部に続くデータ部に適用されているインタリーバサイズなどのパラメータ諸元を把握し、データ信号を適切に復調することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6781446号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線受信装置によっては、常にフレームの先頭から受信できるとは限らず、プリアンブル信号を欠落して受信する場合もある。この場合、インタリーバブロック開始位置またはインタリーバブロックサイズが把握できないと適切な復調処理は困難となる。たとえば、プリアンブル信号を欠落して受信する場合に、フレームのモード構成を同定する手法があるが、インタリーバブロック開始位置またはインタリーバブロックサイズまでは判定できない。よって、フレームに含まれるデータ信号の復調までは適切に行えない。
【0005】
本発明の一観点は、プリアンブル信号を欠落して受信した場合でも、受信信号のインタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズとを適切に判定することができる無線受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る無線受信装置は、計算部、第1判定部及び第2判定部を含む。計算部は、受信信号のフレームに挿入された既知信号で用いられる可能性のある、1以上の第1系列に対応する1以上の参照信号と、該受信信号との1以上の第1相関値を計算する。第1判定部は、少なくとも1つの前記第1相関値を前記受信信号のデータレートに基づくモードに応じて合成した第1相関値系列に含まれる第1閾値以上となる第2相関値から、第1既知信号の前記フレーム中の基準位置を判定する。第2判定部は、前記フレームのインタリーバ処理単位となるインタリーバブロックの終端部に位置する第2既知信号で用いられる複数の第2系列に対応するそれぞれの参照信号と該受信信号との第3相関値であって、前記基準位置に応じて該第2既知信号となる可能性のあるタイミングで抽出した第3相関値を合成した第2相関値系列のうち、第1期間中に、該第2相関値系列の最大値が第2閾値以上となるかどうかにより、前記インタリーバブロックの長さを判定し、該最大値となる点からインタリーバ開始位置を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る無線受信装置を示すブロック図。
【図2】MIL規格におけるフレーム構成を示す図。
【図3】MIL規格におけるデータフレーム中の既知信号の配置を示す図。
【図4】MIL規格におけるデータレート及びインタリーバ長と系列との関係を示すテーブル。
【図5】本実施形態に係る相関値計算部のブロック図。
【図6】本実施形態に係るインタリーバ情報判定部のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本開示の一実施形態に係る無線受信装置について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
なお、本実施形態では、MIL−STD−188−110b規格(以下、MIL規格と呼ぶ)に従って説明する。但し、MIL規格のフレームの受信に限定されず、STANAG(Standardization Agreement)によって規定される通信規格(以下、STANG規格)、または、MIL規格もしくはSTANAG規格を改変して策定された規格など他の無線通信規格のフレームを受信対象としてもよい。
【0009】
本実施形態に係る無線受信装置100のブロック図について図1を参照して説明する。
【0010】
無線受信装置100は、相関値計算部101及びインタリーバ情報判定部102を含む。
相関値計算部101は、アンテナなどを含む外部の通信部(図示せず)から受信信号を受け取り、1以上の系列に対応した1以上の参照信号と受信信号との相関値をそれぞれ計算する。系列は、本実施形態では符号長が32であるWalsh−Hadamard系列を用いる。
インタリーバ情報判定部102は、相関値計算部101から複数の相関値を、外部から受信信号のモード情報をそれぞれ受け取り、インタリーバブロックの開始位置とインタリーバブロックサイズとを算出する。モード情報は、受信信号のデータレートによって定められる、規格におけるデータフレームの種類である。本実施形態では、受信信号のモードが、モードlow、モードmidまたはモードhighのどの種類であるかを示す情報である。なお、モードの種類に応じて既知信号間隔及び既知信号周期が決定するので、モードの種類がわかれば既知信号間隔及び既知信号周期は自明となる。既知信号間隔は、フレーム中での隣接する既知信号間の間隔を示す。既知信号周期は、フレーム中で、同一の既知信号が出現するまでの周期を示す。既知信号間隔及び既知信号周期については、図3を参照して後述する。
【0011】
インタリーバブロックは、インタリーバ長により決まるサイズのブロックを示す。
【0012】
次に、本実施形態で用いるMIL規格のフレーム構成について図2を参照して説明する。図2は、無線受信装置100が受信対象とするMIL規格のフレーム構成の全パターン(a)から(f)までを示す。
MIL規格では、8種類のデータレート、具体的には75bps(bit per second)、150bps、300bps、600bps、1200bps、2400bps(音声用)、2400bps(データ用)及び4800bpsがサポートされている。また、2種類のインタリーバ長(Short及びLong)もサポートされており、データレートまたはインタリーバ長によってフレーム構成が異なる。以下便宜上、インタリーバ長がshortであるインタリーバをショートインタリーバ、インタリーバ長がlongであるインタリーバをロングインタリーバと呼ぶ。
【0013】
フレーム構成は、最初にプリアンブル信号部分201があり、プリアンブル信号部分201の後にデータ信号部分202が続く。データ信号部分202は、少なくともデータブロック203を含み、データレートに応じて、トレーニングブロック(既知信号ともいう)204、制御信号D1 205及び制御信号D2 206を含む。
【0014】
フレームの先頭に位置するプリアンブル信号部分201は、適用されるインタリーバ長によって長さが異なり、ショートインタリーバの場合は1440シンボル(0.6秒分)、ロングインタリーバの場合は11520シンボル(4.8秒分)の長さとなる。
データ信号部分202は、ブロックサイズ単位で信号が生成され、ブロックサイズは適用されるインタリーバ長によって決まる。ショートインタリーバの場合は1440シンボル(0.6秒分)のブロックサイズであり、ロングインタリーバの場合は11520シンボル(4.8秒分)のブロックサイズである。
図2に示すように、データ信号部分202のインタリーバブロックの構成は、データレート及びインタリーバ長により異なる。
【0015】
データレートが75bpsの場合を(a)及び(b)に示す。(a)はショートインタリーバの場合を示し、(b)はロングインタリーバの場合を示す。(a)及び(b)に示すフレームは、データブロック203のみで構成され、トレーニングブロック204は存在しない。データブロック203は、32シンボルごとに、4種類の系列のうちの1つの系列が割り当てられる。従って、インタリーバブロック中のデータブロック203は、ショートインタリーバ(a)の場合は45個存在し、ロングインタリーバ(b)の場合は360個存在する。
【0016】
一方、データレートが150bpsから1200bpsの場合を(c)及び(d)に示す。(c)はショートインタリーバの場合を示し、(d)はロングインタリーバの場合を示す。(c)及び(d)に示すフレームは、20シンボルのデータブロック203と20シンボルのトレーニングブロック204とが交互に存在する。また、インタリーバブロック中の最後2つのトレーニングブロック204については、制御信号D1 205及び制御信号D2 206で構成される。従って、ショートインタリーバ(c)の場合、インタリーバブロック中のデータブロック203及びトレーニングブロック204は、それぞれ36個存在し、35番目と36番目とのそれぞれのトレーニングブロック204が、制御信号D1 205及び制御信号D2 206となる。ロングインタリーバ(d)の場合、インタリーバブロック中のデータブロック203及びトレーニングブロック204は、それぞれ288個存在し、287番目と288番目とのトレーニングブロックが、制御信号D1 205及び制御信号D2 206となる。
【0017】
データレートが2400bpsから4800bpsの場合を(e)及び(f)に示す。(e)はショートインタリーバの場合を示し、(f)はロングインタリーバの場合を示す。(e)及び(f)に示すフレームは、32シンボルのデータブロック203と16シンボルのトレーニングブロック204とが交互に送信される。また、インタリーバブロック中の最後2つのトレーニングブロックについては、制御信号D1 205及び制御信号D2 206で構成される。従って、ショートインタリーバ(e)の場合、インタリーバブロック中のデータブロック203及びトレーニングブロック204は、それぞれ30個存在し、29番目と30番目とのそれぞれのトレーニングブロック204が、制御信号D1 205及び制御信号D2 206となる。ロングインタリーバ(f)の場合、インタリーバブロック中のデータブロック203及びトレーニングブロック204は、それぞれ240個存在し、239番目と240番目とのそれぞれのトレーニングブロック204が、制御信号D1 205と制御信号D2 206とになる。
【0018】
なお、データ信号部分202は、インタリーバブロックにおけるデータブロック203とトレーニングブロック204と組み合わせの観点から、75bpsの場合、150bpsから1200bpsの場合、及び2400bpsから4800bpsの場合の3種類のモードに大別することができる。以後、便宜上、75bpsのフレームをモードlow、150から1200bpsのフレームをモードmid、2400から4800bpsのフレームをモードhighと呼ぶ。
【0019】
次に、各モードにおけるデータ信号部分のインタリーバブロック内の既知信号について図3を参照して説明する。
【0020】
モードlowの場合、データ信号部分のインタリーバブロックは、データブロックのみを含むが、各ブロックではあらかじめ用意された系列のうちのいずれか1つの系列で構成されるので、実質的には既知信号であるといえる。よって、図3中のデータブロックK1では、符号長32シンボルである4種類の系列(系列1から系列4)のうちの1つの系列で構成され、データブロックK2では、符号長32シンボルである4種類の系列(系列5から系列8)のうちの1つの系列で構成される。同様に、データブロックK3では、系列9から系列12のうちの1系列で構成され、データブロックK4では、系列13から系列16のうちの1つの系列で構成され、データブロックK5では、系列17から系列20のうちの1つの系列で構成される。
なお、インタリーバブロックの最後のブロックとなるデータブロックK5’では、データブロックK5とは異なる符号長32シンボルである4つの系列(系列21から系列24)のうちの1つの系列で構成される。各データブロックを構成する系列は、データビット2ビットごとに、4種類の系列の中から1つの系列が選択されたものである。
以上から、モードlowでは、既知信号の総数は、24種類(4種類×5ブロック(K1からK5)+4種類×1ブロック(K5’))、既知信号長は32シンボルであり、既知信号間隔は32シンボル、既知信号周期(但し、制御信号は除く)は160シンボルである。図3の例では、モードlowにおいて、既知信号間隔301は、データブロックK1からデータブロックK2までの間隔である。既知信号周期302は、データブロックK1が出現してから次のデータブロックK1が出現するまでの周期である。
【0021】
モードmidの場合、図3中のトレーニングブロックK1は、符号長20シンボルの系列1で構成され、トレーニングブロックK2は、符号長20シンボルの系列2で構成される。同様に、トレーニングブロックK3は、系列3で構成され、トレーニングブロックK4は、系列4で構成される。インタリーバブロック中の制御信号D1は、符号長20シンボルである4種類の系列(系列D1_4から系列D1_7)のうちの1つの系列で構成される。制御信号D2は、符号長20シンボルである4種類の系列(系列D2_4から系列D2_7)のうちの1つの系列で構成される。
以上から、モードmidでは、既知信号の総数は12種類(1種類×4ブロック(K1からK4)+4種類×2ブロック(D1及びD2))、既知信号長は20シンボル、既知信号間隔は40シンボル、既知信号周期(但し制御信号は除く)は160シンボルである。
【0022】
モードhighの場合、図3中のトレーニングブロックK1は、符号長16シンボルの系列1で構成され、トレーニングブロックK2は、符号長16シンボルの系列2で構成される。以下同様に、トレーニングブロックK3は系列3で、トレーニングブロックK4は系列4で、トレーニングブロックK5は系列5で、トレーニングブロックK6は系列6で、トレーニングブロックK7は系列7で、トレーニングブロックK8は系列8で、トレーニングブロックK9は系列9で、トレーニングブロックK10は系列10で構成される。インタリーバブロック中の制御信号D1は、符号長16シンボルである4種類の系列(系列D1_4から系列D1_7)のうちの1つの系列で構成される。制御信号D2は、符号長16シンボルである4種類の系列(系列D2_4から系列D2_7)のうちの1つの系列で構成される。
以上から、モードhighでは、既知信号の総数は18種類(1種類×10ブロック(K1からK10)+4種類×2ブロック(D1及びD2))、既知信号長は16シンボルであり、既知信号間隔は48シンボル、既知信号周期(但し制御信号は除く)は480シンボルである。
【0023】
次に、制御信号に適用される系列とデータレート及びインタリーバ長との関係を図4のテーブルを参照して説明する。
制御信号D1及び制御信号D2を構成する系列は、フレームに適用されているデータレート及びインタリーバ長により決定される。図4に示すように、例えばモードmidの場合、すなわちデータレートが1200bpsの場合で、インタリーバ長がLongの場合、制御信号D1は系列D1_4が適用され、制御信号D2は系列D2_5が適用される。同様に、モードhighの場合、すなわちデータレートが2400bpsの場合で、インタリーバ長がShortの場合、制御信号D1は系列D1_6で構成され、制御信号D2は系列D2_4で構成される。
なお、MIL規格では、制御信号D1に用いられる系列長20シンボルの4種類の系列(系列D1_4から系列D1_7)において、モードMidでは、20シンボルのうちの前半16シンボルが異なる値となり、後半4シンボルは共通の値となる。また、制御信号D2に用いられる系列長20シンボルの4種類の系列(系列D2_4から系列D2_7)についても同様である。
【0024】
本実施形態に係る相関値計算部101について図5のブロック図を参照して説明する。
【0025】
相関値計算部101は、第1相関値計算部501、第2相関値計算部502及び第3相関値計算部503を含む。第1相関値計算部501は、受信信号に対してモードlow用のデータレートに合わせて相関値を計算する。例えば、モードlow用に系列ごとに相関器(図示せず)を用意して、それぞれの系列の既知信号を基にした参照信号と受信信号との相関処理を行い、相関値を計算する。
第2相関値計算部502は、モードmid用のデータレートに合わせて相関値を計算する。
第3相関値計算部503は、モードhigh用のデータレートに合わせて相関値を計算する。なお、図5では、フレームの各モードに合わせて受信信号を各系列の相関器に送り、並行して相関値を計算する例を示すが、これに限らず、1つの相関器で、系列ごとに対応する参照信号を順次変更し、全ての系列の相関値を計算するようにしてもよい。
【0026】
次に、相関値計算部101の相関処理について説明する。
本実施形態では、既知信号を参照信号とする相互相関によって相関値を計算する手法を用いて説明するが、これに限らず、相関値を計算できる方法であればよい。なお、自己相関によって相関値を計算してもよいが、モードlowの場合は、データに応じて既知信号が決まるため、既知信号の周期性は保証されないことに留意すべきである。例えば、最初のデータブロックK1に系列1が用いられた場合、次のデータブロックK1では系列1が用いられるとは限らないからである。
【0027】
モードU(∈{low,mid,high})において、系列Xの既知信号を基準とする参照信号をrU,Xと表す。例えば、モードlowにおける系列21を基とする参照信号はrlow,21と表す。また、モードhighにおける系列D2_6を基とする参照信号はrhigh,D2_6と表す。
第1相関値計算部501は、参照信号rlow,1からrlow,24を有する相関器を含み、第2相関値計算部502は、参照信号rmid,1からrmid,4、rmid,D1_4からrmid,D1_7、及びrmid,D2_4からrmid,D2_7を有する相関器を含み、第3相関値計算部503は、参照信号rhigh,1からrhigh,10、rhigh,D1_4からrhigh,D1_7、及びrhigh,D2_4からrhigh,D2_7を有する相関器を含む。
【0028】
ここで、t番目のシンボルの受信信号y(t)を式(1)で表す。
【数1】

【0029】
ただし、sは送信信号、hは第l(lは正の整数)パスのチャネル、τは第lパスの遅延時間、Lはパス数、ηは雑音を表す。この受信信号に対して、第1相関値計算部501、第2相関値計算部502及び第3相関値計算部503において参照信号との相関値計算を行なう。モードUにおける参照信号rU,Xを用いた相関器の相関値Z’ U,X(t)は、式(2)で表される。
【数2】

【0030】
ただし、TはモードUの参照信号長(既知信号長)を表す。また、上付きアスタリスク*は、複素共役を表し、例えば式(2)のrU,Xは、rU,Xの複素共役を示す。式(2)の分母は、相関値を0から1のスケールにするための正規化項であるが、考慮しなくてもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係るインタリーバ情報判定部102について図6のブロック図を参照して説明する。
インタリーバ情報判定部102は、パス判定部601及びブロック位置判定部602を含む。
パス判定部601は、外部からモード情報を、相関値計算部101から相関値をそれぞれ受け取り、相関値を既知信号周期及び既知信号間隔に基づいて合成して相関値系列を得る。パス判定部601は、相関値系列の中で最大値を取る点を基準に、想定する遅延時間に相当するサンプル数だけ前後のサンプル位置の相関値を閾値と比較し、閾値以上となる相関値の点をパス位置と判定する。その後、パス位置と判定された点のうち、信号の受信を開始した位置(受信開始位置ともいう)に最も近い受信信号のパス位置に対応するサンプル位置を基準位置として判定する。
本実施形態では、トレーニングブロックK1の時間軸で相関値の合成処理を行っているため、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の基準位置を判定することとなる。
【0032】
ブロック位置判定部602は、パス判定部601から基準位置と判定された相関値系列とモード情報とを受け取る。ブロック位置判定部602は、モード情報(モードの種類)に基づいて、基準ブロックの位置からインタリーバブロックの終端のブロックの先頭位置を仮定する。その後、ブロック位置判定部602は、終端のブロックに相当する系列の相関値の最大値を抽出して一定期間ごとに合成し、合成した相関値が閾値以上であれば、インタリーバ長がショートインタリーバであると判定し、終端となるブロックの先頭位置を判定する。合成した相関値が閾値未満であれば、インタリーバ長がロングインタリーバであると判定し、インタリーバブロックの終端となるブロックの先頭位置を判定する。
【0033】
なお、必ずしもトレーニングブロックK1の参照信号により得られる相関値系列の時間軸を基準として処理する必要はなく、どのブロックの参照信号を基準としてもよい。例えば、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK3の先頭位置を判定したい場合は、トレーニングブロックK3の参照信号により得られる相関値系列の時間軸を基準として同様の処理を行えばよい。
【0034】
以下、インタリーバ情報判定部102の判定処理について説明する。
まず、パス判定部601の動作について具体的に説明する。パス判定部601は、上述の方法で算出した各モードU’の相関値系列ZU’,m(t)を用いて、基準位置として、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置PU’を判定する。
【0035】
ここで、受信信号のモードがモードlowで送信される場合、第1相関値計算部501で計算された相関値Z’ low,1からZ’ low,24に関して説明する。データブロックK1は、系列1から系列4のいずれかを用いて構成されるため、データブロックK1について処理するタイミングでは、参照信号rlow,1からrlow,4を有する4つの相関器のうちの1つで高い相関値が示されると想定される。同様に、データブロックK4について処理するタイミングでは、参照信号rlow,13からrlow,16を有する4つの相関器のうちの1つで、高い相関値が示されると想定される。このように、グループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を、所望のデータブロックを処理するタイミングとして捉えることができる。
【0036】
従って、グループ化した相関器群から選択的に相関値を出力すると、モードlowの場合、相関値系列数Mlowは5個となり、m番目(m=1,2,・・・,5)の相関値系列をZlow、mと表すと、Zlow、mは式(3)で表される。
【数3】

【0037】
なお、5番目の相関値系列Zlow、5に関しては、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’も考慮して、参照信号rlow,17からrlow,24を持つ8つの相関器をグループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を選択するようにしてもよい。この場合、m番目(m=1から5)の相関値系列Zlow、mは、式(4)で表される。
【数4】

【0038】
一方、受信信号がモードmidで送信される場合、トレーニングブロック1つあたりに用いられる既知信号は1つであるため、第2相関値計算部502で計算された相関値Z’mid,1からZ’mid,4をそのまま相関値系列として用いればよい。従って、モードmidの場合、相関値系列数Mmidは4個であり、m番目の相関値系列をZmid、mと表すと、Zmid、mは、式(5)で表される。
【数5】

【0039】
なお、3番目の相関値系列にZmid,3に関して、制御信号ブロックD1も考慮して、参照信号rmid,3及びrmid,D1_4からrmid,D1_7を有する5つの相関器をグループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を選択するようにしてもよい。また、4番目の相関値系列にZmid、4に関して、制御信号ブロックD2も考慮して、参照信号rmid,4及びrmid,D2_4からrmid,D2_7を有する5つの相関器をグループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を選択するようにしてもよい。この場合、m番目(m=1から4)の相関値系列Zmid、mは、式(6)で表される。
【数6】

【0040】
一方、受信信号がモードhighで送信される場合、トレーニングブロック1つあたりに用いられる既知信号は1つであるため、第3相関値計算部503で計算された相関値Z’high,1からZ’high,10をそのまま相関値系列として用いればよい。従って、モードhighの場合、相関値系列数Mhighは10個であり、m番目の相関値系列をZhigh、mと表すと、Zhigh、mは、式(7)で表される。
【数7】

【0041】
9番目の相関値系列にZhigh、9に関して、制御信号ブロックD1も考慮して、参照信号rhigh,9及びrhigh,D1_4からrhigh,D1_7を有する5つの相関器をグループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を選択するようにしてもよい。また、10番目の相関値系列Zhigh、10に関しても同様に、制御信号ブロックD2も考慮して、参照信号rhigh,10及びrhigh,D2_4からrhigh,D2_7を有する5つの相関器をグループ化した相関器群の中から、時間シンボルtのそれぞれにおいて最大となる相関値を選択するようにしてもよい。この場合、m番目(m=1から10)の相関値系列Zhigh、mは、式(8)で表される。
【数8】

【0042】
なお、上述した相関器群のグループ化はパス判定部601が行なう例を示しているが、相関値計算部101が相関器群のグループ化を行ってもよい。例えば、選択部(図示せず)が、モードlowの場合のデータブロックや、モードmid及びモードhighの場合の制御信号ブロックで用いる系列に対応する相関器をグループ化する。その後、選択部がそのグループした相関器群の中で、最大値となる相関値を出力する相関器を選択して、インタリーバ情報判定部102に相関値を出力するようにしてもよい。
【0043】
次に、雑音やフェージングに対してロバストに行うために、既知信号間隔または既知信号周期の特徴を利用して相関値系列の合成処理を行う。
【0044】
既知信号間隔に合わせて、モードU’の1番目からMU’番目の相関値系列間で合成を行う。モードU’における相関値系列間の合成処理後の相関値をC’u’とすると、C’u’は式(9)で表される。
【数9】

【0045】
ただし、τu’RIはモードU’における参照信号間隔(Reference Interval:RI)である。
【0046】
次に、相関値系列間の合成処理後の相関値C’u’は、参照信号周期を単位として、対象区間長Nシンボルの期間だけ時間方向の合成を行う。対象区間長Nは、式(10)のように設定するのが望ましい。
【数10】

【0047】
ただし、τu’RCはモードU’における参照信号周期(Reference Cycle:RC)である。モードU’において、時間方向の合成処理後の相関値をCu’とすると、Cu’は式(11)で表すことができる。
【数11】

【0048】
ただし、pは合成処理後のサンプルインデックスである。
【0049】
以上のようにして、相関値系列方向と時間方向との合成を行った後の相関値Cu’(p)のうちの最大値を取る点を、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の仮先頭位置P’U’とする。仮先頭位置P’U’は、式(12)のように表される。
【数12】

【0050】
上述のように、パス判定部601は仮先頭位置P’U’を算出するが、伝搬路環境によってパスは、AWGN(Additive White Gaussian Noise)チャネルのように直接波1波だけの場合もあれば、マルチパスチャネルのように先行波と複数の遅延波とからなる場合もある。マルチパスチャネルの場合、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置から第lパスの遅延時間τに相当する分だけずれた位置を、仮先頭位置P’U’として判定してしまう可能性がある。
そこで、仮先頭位置P’U’をもとにチャネルの先行波位置の判定処理を行う。この判定処理で判定された先行波位置を、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置PU’として決定する。
【0051】
先行波位置の判定処理では、相関値C’u’(t)を式(11)のように対象区間長N内で時間方向に合成した相関値Cu’(p)に対して判定を行うのではなく、対象区間長Nを探索区間長TSCHずつ分割し、探索区間長TSCH内で参照信号周期τu’RCを単位として時間方向に合成した相関値Cu’(p)に対して判定を行う。
【0052】
探索区間長TSCHごとに相関値を求める理由は、対象区間長N全てを使って相関値C’u’(t)を合成すると、ディープフェージングを含んだ場合に合成後の相関値が低くなってしまい、先行波位置が適切に検出できなくなってしまうからである。
【0053】
探索区間長TSCHは、式(13)及び式(14)を満足するように設定すればよい。
【数13】

【0054】
【数14】

【0055】
ただし、K’u’は1以上の整数であり、モードU’において、探索区間長TSCH内で参照信号周期τu’RCを単位として時間方向に合成する際の合成数である。また、Gは1以上の整数であり、対象区間長Nを探索区間長TSCHで分割した場合の分割数である。
対象区間長Nのうちg番目に分割された探索区間内での合成後の相関値Cu’(p)は式(15)で表される。
【数15】

【0056】
ただし、pは合成処理後のサンプルインデックスである。
このg番目の探索区間の相関値Cu’(p)に対し、仮先頭位置P’U’を基準に、時間的に前後に最大遅延時間τmaxの幅だけ、先行波判定閾値wu’を越える相関値が存在するかどうかを探索する。最大遅延時間τmaxは、システムで定められた値に設定するなど適切な値を用いればよい。先行波判定閾値wu’は、例えば仮先頭位置P’u’が決定された際の相関値Cu’(P’u’)を基準として式(16)のように設定すればよい。
【数16】

【0057】
ただし、λu’は、0<λu’≦1の条件を満たすモードU’における先行波位置判定用係数である。また、仮先頭位置P’U’を基準に、前後τmax分だけ先行波判定閾値wu’を越える相関値が存在するかどうかの判定を式(17)を用いて行なう。
【数17】

【0058】
式(17)に示す判定を、探索区間の1番目からG番目まで行い、想定するパス数がL’波であれば、式(17)を満たす相関値のうち大きい方から最大L’個選択し、その相関値が示す位置をパス位置pと決定する。ただし、G個の探索区間において重複したパス位置は選択しないようにして最大L’個を選択する。このとき、最も小さい番号のパス位置をフレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置PU’(基準位置)と決定する。なお、チャネルにおけるマルチパスの遅延時間τについては、判定された先頭位置PU’と式(17)から得られたパス位置pとから相対差により換算できる。このように、受信信号から参照信号を用いて相関値を計算し、トレーニングブロックK1の参照信号により得られる相関値系列の時間軸を基準として処理することで、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置を判定できる。
【0059】
次に、ブロック位置判定部602の動作について具体的に説明する。
ブロック位置判定部602は、上述の計算で算出した先頭位置PU’を用いて、インタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズとの判定処理を行なう。この判定処理において、モードlowの場合はインタリーバブロック最後のデータブロックで他のデータブロックとは異なる既知信号が送信されることを利用する。モードmid及びモードhighの場合は、インタリーバブロック最後2つのトレーニングブロックで制御信号が送信されることを利用する。
なお、インタリーバブロックサイズの判定を行う前段階では、受信フレームに適用されているインタリーバブロックサイズがショートかまたはロングかを判定することはできない。従って、ロングインタリーバの場合のインタリーバブロックサイズを想定して相関値を観測することが望ましい。よって、インタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズとを判定するために、処理を行う対象区間長Nは式(18)の条件を満たすことが望ましい。
【数18】

【0060】
ただし、Tblk(L)はロングの場合のインタリーバブロックサイズであり11520シンボル、βは1以上の整数である。なお、ロングインタリーバの場合のインタリーバブロックサイズよりも短い期間を対象区間長Nとして処理を行ってもよい。
【0061】
以下、モードごとに、インタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズとの算出方法について説明する。
【0062】
<モードlowの場合>
モードlowの場合、データブロックK5では系列17から系列20のうちのいずれか1つの系列を含むが、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’では系列21から系列24のうちのいずれか1つの系列が含まれる。従って、参照信号rlow,21からrlow,24を有する相関器から出力される相関値Z’low,21からZ’low,24のうち、各時間サンプルで最大の相関値に注目すればよい。最大の相関値Zlow,Bは、式(19)を用いて算出でき、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置のタイミングで高い相関値が得られることになる。
【数19】

【0063】
ここで、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置Pu’を利用し、対象区間長Nのうち、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置となる可能性のあるタイミングの相関値C’low,B(q)だけに注目すればよい。対象区間長Nのうち、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置となり得るタイミングの相関値C’low,B(q)は式(20)で表される。
【数20】

【0064】
ただし、Qlowは、対象区間長N中のインタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置の候補数であり、qはその候補点のインデックスである。Qlowは、式(18)を用いて、Qlow=N/τlowRC=Tblk(L)×β/τlowRC=72×βと表される。なお、上述のパス判定部601における先頭位置Pu’の判定処理において、チャネルのパス数L’とパス遅延時間τとが決定されているため、式(20)で示した相関値C’low,B(q)はパス間の合成処理後の値を表す。
【0065】
インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置の判定は、インタリーバブロックサイズがショートであることを仮定して処理を行う。この場合、ショートインタリーバのインタリーバブロックサイズをTblk(S)とすると、インタリーバブロック最後のデータブロックは、対象区間長Nの中にK(=N/Tblk(S))個存在することになる。また、ショートインタリーバのインタリーバサイズTblk(S)(=1440シンボル)の中のインタリーバブロック最後のデータブロックの候補数(インタリーバサイズTblk(S)内に存在するデータブロックK5とK5’との数)は9個であり、9個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後のデータブロックK5’である。
従って、QlowはQlow=K×9で表され、式(20)に示すQlow個のインタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置候補点の相関値C’low,Bは、式(21)のように9個まで合成処理した相関値Clow,B(S)にすることで、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置の判定精度を向上させることができる。
【数21】

【0066】
9個の相関値Clow,B(S)に対し、式(22)に示すように最大値が閾値vlow以上である場合に、ブロック位置判定部602は、ショートインタリーバが適用されたフレームを受信していると判定する。さらに、相関値Clow,B(S)の最大値を取る点j’を、インタリーバブロック最後のデータブロックインデックスとして決定する。
【数22】

【0067】
これにより、ブロック位置判定部602は、次のインタリーバブロック開始位置を、例えば式(23)から算出することができ、以降のインタリーバブロック開始位置も同様に決定することができる。
【数23】

【0068】
なお、本実施形態では、相関値の合成処理として相加平均を用いたが、これに限らず、相関値が閾値以上となる個数を加算したり、インタリーバブロック最後のデータブロックの候補点となる相関値をそれぞれ乗算するなど、インタリーバブロック最後のデータブロックを受信したことを判定できる方法であれば何でもよい。
【0069】
一方、9個の相関値Clow,B(S)に対し、最大値が閾値vlow未満である場合、インタリーバブロックサイズがロングインタリーバであるとして処理を行う。この場合、インタリーバブロック最後のデータブロックは、対象区間長Nの中にK(=N/Tblk(L))個存在することになる。また、ロングインタリーバのインタリーバサイズTblk(L)(=11520シンボル)の中のインタリーバブロック最後のデータブロックの候補数(インタリーバサイズTblk(L)内に存在するデータブロックK5とK5’との数)は72個であり、72個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後のデータブロックK5’である。従って、QlowはQlow=K×72で表され、式(20)で説明したQlow個のインタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置候補点の相関値C’low,Bは、式(24)のように72個まで合成処理した相関値Clow,B(L)にすることで、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置の判定精度が向上できると考えられる。
【数24】

【0070】
72個の相関値Clow,B(L)に対し、式(25)のようにして最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後のデータブロックインデックスとして得る。
【数25】

【0071】
ここでロングインタリーバの場合、対象区間長Nにおいてインタリーバブロック最後となるデータブロックK5’が存在する個数は、ショートインタリーバの場合と比べて8分の1となる。従って、雑音やフェージングに対する耐性が異なるため、ロングインタリーバの場合は判定精度が劣ることが考えられる。
【0072】
そこで、参照信号rlow,17からrlow,20を有する相関器からの相関値Z’low,17からZ’low,20を式(19)、式(20)及び式(24)と同様の処理をして得られる相関値Clow,A(L)に用いるようにする。
仮にj’番目がインタリーバブロック最後のデータブロックインデックスとすると、相関値Clow,B(L)のj’番目は高い値を示し、相関値Clow,A(L)のj’番目は低い値を示すと想定される。また、相関値Clow,B(L)のj’番目以外は低い値を示し、相関値Clow,A(L)のj’番目以外は高い値を示すと想定される。よって、例えば式(26)のように相関値Clow,B(L)と相関値Clow,A(L)との比Dlow(L)を各サンプルjで算出すれば、Dlow(L)のj’番目のサンプルだけが高い値となり、j’番目以外のサンプルは低い値となる。このようにすることで、受信信号中に最後尾のブロックが多数存在するように、ロングインタリーバのサイズ長の数倍のデータをバッファする必要なく、ロングインタリーバの最後のデータブロックを精度よく判定でき、バッファサイズも低減することができる。
【数26】

【0073】
そこで式(27)のように、Dlow(L)の最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後のデータブロックのインデックスと判定する。
【数27】

【0074】
これにより、ロングインタリーバの場合のインタリーバブロック開始位置も、ショートインタリーバの場合と同様に例えば式(28)のように求めることができる。
【数28】

【0075】
<モードmidの場合>
モードmidの場合、インタリーバブロック最後2つのトレーニングブロックでは、制御信号ブロックD1と制御信号ブロックD2とが送信される。従って、参照信号rmid,D1_4からrmid,D1_7を有する相関器からのそれぞれの出力Zmid,D1_4からZmid,D1_7、及び、参照信号rmid,D2_4からrmid,D2_7を有する相関器からのそれぞれの出力Zmid,D2_4からZmid,D2_7に着目すると、制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2を処理するタイミングで高い相関値が得られる。
【0076】
以下、相関器からのそれぞれの出力Zmid,D1_4からZmid,D1_7と、Zmid,D2_4からZmid,D2_7とを用いて、インタリーバブロックサイズを判定し、インタリーバブロック中の制御信号ブロックD1の先頭位置を判定してから、インタリーバブロック開始位置を判定する方法を説明する。
【0077】
モードlowの場合のように、式(19)のように相関器群の出力から各時間サンプルで最大の相関値にのみ観測し、対象区間長N内で観測する相関値の合成を行ってインタリーバブロック開始位置などの判定を行なってもよい。ただし、モードmidの場合、制御信号ブロックD1及びD2について相関器群のうちのどれか特定の相関器からしか高い相関値は出力されないので、先に対象区間長Nで相関器毎に相関値の合成を行なうことが望ましい。その後、制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2のそれぞれで、候補となる相関器間で最大値を観測するようにし、それぞれで出力された相関値を合成してからインタリーバブロック開始位置の判定を行なってもよい。
【0078】
フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置Pu’を利用すれば、対象区間長Nの内、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置となり得るタイミングの相関値Z’’mid,D1_f(q)及びZ’’mid,D2_f(q)だけに注目することができる。対象区間長Nの内、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置となり得るタイミングの相関値Z’’mid,D1_f(q)及びZ’’mid,D2_f(q)は、式(29)及び式(30)で表される。
【数29】

【0079】
【数30】

【0080】
ただし、Qmidは、対象区間長N内で制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2を含む可能性のあるトレーニングブロック候補の数であり、qはその候補点のインデックスである。Qmidは、Qmid=N/τmidRC=Tblk(L)×β/τmidRC=72×βと表される。なお、上述の先頭位置Pu’の判定処理で、チャネルのパス数L’とパス遅延時間τは判定できているため、式(29)及び式(30)で示した相関値Z’’mid,D1_f(q)及びZ’’mid,D2_f(q)は、パス間の合成処理後の値を表している。
【0081】
インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1の先頭位置の判定は、モードlowの場合と同様に、インタリーバブロックサイズがショートであること仮定して処理する。
【0082】
ショートインタリーバのインタリーバブロックサイズをTblk(S)とすると、対象区間長Nの中のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2は、K(=N/Tblk(S))個存在することになる。また、ショートインタリーバのインタリーバサイズTblk(S)(=1440シンボル)中のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1もしくは制御信号ブロックD2の候補数は9個である。すなわち、インタリーバサイズTblk(S)内に存在する制御信号ブロックD1とトレーニングブロックK3との数、インタリーバサイズTblk(S)内に存在する制御信号ブロックD2の数とトレーニングブロックK4との数は9個である。
よって、9個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2である。従って、QmidはQmid=K×9で表され、式(29)及び式(30)で説明したQmid個のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の先頭位置候補点の相関値Z’’mid,D1_f及び相関値Z’’mid,D2_fは式(31)及び式(32)のように、9個まで合成処理した相関値Zmid,D1_f(S)及び相関値Zmid,D2_f(S)にする。こうすることで、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の先頭位置の判定精度が向上できる。
【数31】

【0083】
【数32】

【0084】
次に制御信号ブロックD1及びD2それぞれで候補となる相関器間で、最大値C’mid,D1(S)及びC’mid,D2(S)を式(33)及び式(34)から得る。
【数33】

【0085】
【数34】

【0086】
式(33)において、Zmid,D1_6(S)とZmid,D1_7(S)とだけしか候補にしない理由は、図4を参照すると、モードmidではショートインタリーバである場合に、D1の値は6または7しか取らないことが明らかだからである。このように、モードmidの場合に、インタリーバサイズを仮定して処理を行うことで扱う相関値の数を絞ることができ、誤判定を軽減することができる。
【0087】
次に、相関値C’mid,D1(S)及び相関値C’mid,D2(S)を、式(35)に示すように合成して相関値Cmid,D(S)を得る。
【数35】

【0088】
9個の相関値Cmid,D(S)のうち、式(36)に示すように最大値が閾値vmid以上である相関値が存在する場合に、ブロック位置判定部602が、ショートインタリーバが適用されたフレームを受信していると判定する。相関値Cmid,D(S)の最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1のインデックスとして得る。
【数36】

【0089】
これにより、インタリーバブロック開始位置は、例えば式(37)のように求めることができる。
【数37】

【0090】
一方、9個の相関値Cmid,D(S)のうちの最大値が閾値vmid未満である場合、受信しているフレームがロングインタリーバであると判定する。この場合、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2は、対象区間長Nの中にK(=N/Tblk(L))個存在することになる。また、ロングインタリーバのインタリーバサイズTblk(L)(=11520シンボル)の中に存在する、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の候補数(インタリーバサイズTblk(L)内に存在する、制御信号ブロックD1とトレーニングブロックK3との数、及び制御信号ブロックD2とトレーニングブロックK4との数)は72個である。よって、72個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2となる。
【0091】
従って、QmidはQmid=K×72で表される。よって、式(29)及び式(30)で説明したQmid個のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置候補点の相関値Z’’mid,D1_f及び相関値Z’’mid,D2_fは、式(38)及び式(39)のように72個まで合成処理した相関値Zmid,D1_f(L)及び相関値Zmid,D2_f(L)にすることで、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の先頭位置の判定精度を向上できる。
【数38】

【0092】
【数39】

【0093】
次に制御信号ブロックD1及びD2それぞれで候補となる相関器間で、最大値C’mid,D1(L)及びC’mid,D2(L)を式(40)及び式(41)のようにして得る。
【数40】

【0094】
【数41】

【0095】
式(40)において、Zmid,D1_4(L)とZmid,D1_5(L)とだけしか候補にしない理由は、図4を参照すると、モードmidでロングインタリーバである場合に、D1の値は4か5しか取らないことが明らかだからである。
【0096】
次に、相関値C’mid,D1(L)及び相関値C’mid,D2(L)を式(42)のように合成して相関値Cmid,D(L)を得る。
【数42】

【0097】
72個の相関値Cmid,D(L)に対し、式(43)に示すように最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1インデックスとして得る。
【数43】

【0098】
ここでロングインタリーバの場合、対象区間長Nに対してインタリーバブロック最後となる制御信号ブロックD1またはD2が存在する個数は、ショートインタリーバの場合と比べて8分の1である。従って、モードlowの場合と同様の処理を行なう。すなわち、参照信号rmid,3を持つ相関器からの相関値Zmid,3及び参照信号rmid,4を持つ相関器からの相関値Zmid,4を、式(37)及び式(38)、式(39)及び式(40)、式(41)と同様の処理をして得られる相関値Cmid,3_4(L)に用いるようにする。
j’番目がインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1インデックスとすると、相関値Cmid,D(L)のj’番目は高い値を示し、相関値Cmid,3_4(L)のj’番目は低い値を示す。また、相関値Cmid,D(L)のj’番目以外は低い値を示し、相関値Cmid,3_4(L)のj’番目以外は高い値を示す。よって、式(44)のように相関値Cmid,D(L)と相関値Cmid,3_4(L)との比Dmid(L)を各サンプルjで取ることで、Dmid(L)のj’番目のサンプルだけが高い値となり、j’番目以外のサンプルは低い値として検出できる。
【数44】

【0099】
そこで式(45)のように、Dmid(L)の最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1インデックスと判定する。
【数45】

【0100】
これにより、インタリーバブロック開始位置は例えば式(46)のように求めることができる。
【数46】

【0101】
<モードhighの場合>
モードhighの場合もモードmidの場合と同様に、インタリーバブロック最後2つのトレーニングブロックでは制御信号ブロックD1と制御信号ブロックD2とが送信される。従って、参照信号rhigh,D1_4からrhigh,D1_7を有する相関器からのそれぞれ出力Zhigh,D1_4からZhigh,D1_7、及び、参照信号rhigh,D2_4からrhigh,D2_7を有する相関器からの出力Zhigh,D2_4からZhigh,D2_7に着目すると、制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2を処理するタイミングで高い相関値が得られる。
【0102】
インタリーバブロック開始位置及びインタリーバブロックサイズを算出する方法は、モードmidの場合と同様である。
具体的には、フレームの受信開始位置から最初に出現するトレーニングブロックK1の先頭位置Pu’を利用すれば、対象区間長Nの内、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置となり得るタイミングの相関値Z’’ high,D1_f(q)及びZ’’ high,D2_f(q)だけに注目することができる。対象区間長Nの内、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置となり得るタイミングの相関値Z’’ high,D1_f(q)及びZ’’ high,D2_f(q)は、式(47)及び式(48)で表される。
【数47】

【0103】
【数48】

【0104】
ただし、Qhighは、対象区間長N内で制御信号ブロックD1及びD2を含む可能性のあるトレーニングブロック候補の数であり、qはその候補点のインデックスである。Qhighは、Qhigh=N/τhighRC=Tblk(L)×β/τhighRC=24×βとも表される。なお、前述の先頭位置Pu’の判定プロセスでチャネルのパス数L’とパス遅延時間τとは判定されているため、式(47)及び式(48)で示した相関値Z’’high,D1_f(q)及びZ’’high,D2_f(q)は、パス間の合成処理後の値を表している。
【0105】
インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1の先頭位置の判定は、インタリーバブロックサイズがショートであることを仮定して処理する。この場合、ショートインタリーバのインタリーバブロックサイズをTblk(S)とすると、対象区間長Nの中のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2は、K(=N/Tblk(S))個存在することになる。また、ショートインタリーバのインタリーバサイズTblk(S)(=1440シンボル)の中のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1もしくはD2の候補数(インタリーバサイズTblk(S)内に存在する制御信号ブロックD1とトレーニングブロックK9の数もしくはインタリーバサイズTblk(S)内に存在する制御信号ブロックD2とトレーニングブロックK10の数)は3個であり、3個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1もしくは制御信号ブロックD2である。従って、Qhighは、Qhigh=K×3で表され、式(29)及び式(30)で上述したQmid個のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置候補点の相関値Z’’mid,D1_f及び相関値Z’’mid,D2_fは、式(49)及び式(50)のように3個まで合成処理した相関値Zhigh,D1_f(S)及び相関値Zhigh,D2_f(S)と応用できる。従って、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の先頭位置の判定精度が向上させることができる。
【数49】

【0106】
【数50】

【0107】
次に制御信号ブロックD1及びD2それぞれで候補となる相関器間で、最大値C’high,D1(S)及びC’high,D2(S)を式(51)及び式(52)のようにして得る。
【数51】

【0108】
【数52】

【0109】
式(51)において、Zhigh,D1_6(S)とZhigh,D1_7(S)とだけしか候補にしない理由は、図4よりモードhighでインタリーバサイズがショートの場合のD1の値は、6または7しか取らないことが明らかだからである。また、式(52)において、Zhigh,D2_4(S)、Zhigh,D2_6(S)及びZhigh,D2_7(S)だけしか候補にしないのは、図4よりモードhighでショートインタリーバである場合のD2の値は、4、6または7のいずれかであることが明らかだからである。このように、モードhighの場合にもインタリーバサイズを仮定して処理を行うことで扱う相関値の数を絞ることができ、誤判定を軽減することができる。
【0110】
次に、相関値C’high,D1(S)及び相関値C’high,D2(S)を式(53)に示すように合成して相関値Chigh,D(S)を得る。
【数53】

【0111】
3個の相関値Chigh,D(S)に対し、式(54)に示すように最大値が閾値vhigh以上である相関値が存在する場合に、ブロック位置判定部602が、ショートインタリーバが適用されたフレームを受信していると判定する。相関値Chigh,D(S)の最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1のインデックスとして得る。
【数54】

【0112】
これにより、インタリーバブロック開始位置は、例えば式(55)のように求めることができる。
【数55】

【0113】
一方、3個の相関値Chigh,D(S)のうちの最大値が閾値vhigh未満である場合、受信しているフレームがロングインタリーバであると判定する。この場合、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2は、対象区間長Nの中にK(=N/Tblk(L))個存在することになる。また、ロングインタリーバのインタリーバサイズTblk(L)(=11520シンボル)の中に存在する、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の候補数(インタリーバサイズTblk(L)内に存在する制御信号ブロックD1とトレーニングブロックK9の数、またはインタリーバサイズTblk(L)内に存在する制御信号ブロックD2とトレーニングブロックK10の数)は24個である。よって、24個の中のいずれか1つが必ずインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1または制御信号ブロックD2となる。
【0114】
従って、QhighはQhigh=K×24で表され、式(47)及び式(48)で説明したQhigh個のインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及びD2の先頭位置候補点の相関値Z’’high,D1_f及び相関値Z’’high,D2_fは、式(56)及び式(57)のように24個まで合成処理した相関値Zhigh,D1_f(L)及び相関値Zhigh,D2_f(L)にすることで、インタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1及び制御信号ブロックD2の先頭位置の判定精度を向上できる。
【数56】

【0115】
【数57】

【0116】
次に制御信号ブロックD1及びD2それぞれで候補となる相関器間で、最大値C’high,D1(L)及びC’high,D2(L)を式(58)及び式(59)のようにして得る。
【数58】

【0117】
【数59】

【0118】
式(58)において、Zhigh,D1_4(L)だけしか候補にしない理由は、図4よりモードhighでロングインタリーバの場合に、D1の値は4しか取らないためである。また、式(59)において、Zhigh,D2_4(L)だけしか候補にしないのは、図4よりモードhighでロングインタリーバである場合に、D2の値は4しか取らないためである。このように、インタリーバサイズを仮定して処理を行うことで扱う相関値の数を絞ることができ、誤判定を軽減することができる。
【0119】
次に相関値C’high,D1(L)及び相関値C’high,D2(L)を式(60)のように合成して相関値Chigh,D(L)を得る。
【数60】

【0120】
24個の相関値Chigh,D(L)に対し、式(61)に示すように最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1インデックスとして得る。
【数61】

【0121】
ここでロングインタリーバの場合、対象区間長Nに対してインタリーバブロック最後となる制御信号ブロックD1またはD2の存在個数は、ショートインタリーバの場合と比べて8分の1となる。参照信号rhigh,9を有する相関器からの相関値Zhigh,9及び参照信号rhigh,10を有する相関器からの相関値Zhigh,10を、式(47)及び式(48)、式(49)及び式(50)、式(59)と同様の処理をして得られる相関値Chigh,9_10(L)に用いるようにする。よって、例えば式(62)のように相関値Chigh,D(L)と相関値Chigh,9_10(L)の比Dhigh(L)を各サンプルjで取れば、Dhigh(L)のj’番目のサンプルだけが高い値となり、j’番目以外のサンプルは低い値として検出できる。
【数62】

【0122】
そこで式(63)のように、Dhigh(L)の最大値を取る点j’をインタリーバブロック最後の制御信号ブロックD1インデックスと判定する。
【数63】

【0123】
これにより、インタリーバブロック開始位置は例えば式(64)のように求めることができる。
【数64】

【0124】
以上のように、各モードにおいて、それぞれの既知信号間隔及び既知信号周期を参照することでインタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズとを判定することができ、後段のステップであるデータ信号の復調処理が適切なタイミングで行えるようになる。
【0125】
なお、上述した各モードにおいて、インタリーバブロック最後のブロック(モードlowはデータブロックK5’、モードmid及びモードhighは制御信号ブロック)の先頭位置の判定処理において、はじめはインタリーバブロックサイズをショートインタリーバとして仮定し、その判定結果に応じてロングインタリーバと判定するが、はじめにロングインタリーバを仮定してもよい。
インタリーバブロックサイズをロングインタリーバと仮定する場合は、具体的にモードlowについて説明すると、インタリーバブロック最後のデータブロックK5’の先頭位置候補点の相関値を合成処理した相関値おいて、閾値以上となる相関値の数が1つである場合は、ロングインタリーバであると判定する。その後、その相関値の点からロングインタリーバにおけるインタリーバ開始位置を判定することができる。一方、閾値以上となる相関値が複数存在する場合は、ショートインタリーバであると判定し、相関値の点からインタリーバ開始位置を判定することができる。
【0126】
以上に示した本実施形態に係る無線受信装置によれば、マルチパス環境においても、所定の探索区間で遅延時間を考慮することにより、所望の既知信号の先頭位置を判定することができ、雑音やフェージングに対して耐性を高めることができる。また、受信信号に対して相関値を算出し、算出された相関値から基準となる既知信号の先頭位置の判定を行ってから、インタリーバブロック最後に挿入されるデータブロック位置ないしは制御信号ブロック位置の判定を行うことで、フレームのプリアンブル信号を欠落して受信した場合でも、インタリーバブロック開始位置とインタリーバブロックサイズに関する情報を適切に判定できる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
100・・・無線受信装置、101・・・相関値計算部、102・・・インタリーバ情報判定部、201・・・プリアンブル信号部分、202・・・データ信号部分、203・・・データブロック、204・・・トレーニングブロック、205・・・制御信号ブロックD1、206・・・制御信号ブロックD2、301・・・既知信号間隔、302・・・既知信号周期、501・・・第1相関値計算部、502・・・第2相関値計算部、503・・・第3相関値計算部、601・・・パス判定部、602・・・ブロック位置判定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号のフレームに挿入された既知信号で用いられる可能性のある、1以上の第1系列に対応する1以上の参照信号と、該受信信号との1以上の第1相関値を計算する計算部と、
少なくとも1つの前記第1相関値を前記受信信号のデータレートに基づくモードに応じて合成した第1相関値系列に含まれる第1閾値以上となる第2相関値から、第1既知信号の前記フレーム中の基準位置を判定する第1判定部と、
前記フレームのインタリーバ処理単位となるインタリーバブロックの終端部に位置する第2既知信号で用いられる複数の第2系列に対応するそれぞれの参照信号と該受信信号との第3相関値であって、前記基準位置に応じて該第2既知信号となる可能性のあるタイミングで抽出した第3相関値を合成した第2相関値系列のうち、第1期間中に、該第2相関値系列の最大値が第2閾値以上となるかどうかにより、前記インタリーバブロックの長さを判定し、該最大値となる点からインタリーバ開始位置を判定する第2判定部と、を具備することを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記第2判定部は、前記最大値が第2閾値以上である場合に、前記インタリーバブロックの長さが第1インタリーバ長であると判定し、前記最大値となる点から該第1インタリーバ長におけるインタリーバ開始位置を判定し、該最大値が第2閾値未満である場合に、該インタリーバブロックの長さが、前記第1インタリーバ長よりもインタリーバ長が長い第2インタリーバ長であると判定し、該最大値となる点から該第2インタリーバ長におけるインタリーバ開始位置を判定することを特徴とする請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記第2判定部は、前記インタリーバブロックの長さが前記第2インタリーバ長である場合、前記最大値と、前記第2既知信号以外でかつ該第2既知信号となる可能性のあるタイミングでの既知信号の第1相関値との比から、前記第2既知信号の前記フレーム中での位置を判定することを特徴とする請求項2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記第2判定部は、前記基準位置から、前記モードに応じた前記既知信号周期と既知信号間隔とに基づいて、前記第2既知信号のとなる可能性のあるタイミングの相関値サンプルに絞って処理を行う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記第2判定部は、前記第3相関値のうち、前記モードと、前記インタリーバブロックの長さが前記第1インタリーバ長であるかまたは前記第2インタリーバ長であるかとに応じて、定められる系列に対応する第4相関値のみを合成することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記第1判定部は、
前記モードに応じた、前記既知信号周期と既知信号間隔とに基づいて第1相関値を合成して前記第1相関値系列を生成し、
前記第2相関値が複数存在する場合、前記受信信号を受信し始めた受信開始位置に最も近い第2相関値の位置を、前記基準位置として判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項7】
前記計算部は、前記受信信号が第1モードである場合は、前記第2既知信号として前記インタリーバブロック内で他に同一の第1系列を有さないデータブロックを選択し、前記受信信号が前記第1モードよりもデータレートが高い第2モードである場合は、前記第2既知信号として2つの制御信号ブロックを選択することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項8】
受信信号のフレームに挿入された既知信号で用いられる可能性のある、1以上の第1系列に対応する1以上の参照信号と、該受信信号との1以上の第1相関値を計算する計算部と、
少なくとも1つの前記第1相関値を前記受信信号のデータレートに基づくモードに応じて合成した第1相関値系列に含まれる第1閾値以上となる第2相関値から、第1既知信号の前記フレーム中の基準位置を判定する第1判定部と、
前記フレームのインタリーバ処理単位となるインタリーバブロックの終端部に位置する第2既知信号で用いられる複数の第2系列に対応するそれぞれの参照信号と該受信信号との第3相関値であって、前記基準位置に応じて該第2既知信号となる可能性のあるタイミングで抽出した第3相関値を合成した第2相関値系列において、第1期間中に、第2閾値以上となる相関値が1つである場合に、前記インタリーバブロックの長さが第1インタリーバ長であると判定し、該相関値の点から該第1インタリーバ長におけるインタリーバ開始位置を判定し、該第2閾値以上となる該相関値が複数存在する場合に、該インタリーバブロックの長さが、前記第1インタリーバ長よりもインタリーバ長が短い第2インタリーバ長であると判定し、該相関値の点から該第2インタリーバ長におけるインタリーバ開始位置を判定する第2判定部と、を具備することを特徴とする無線受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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