説明

無線周波数点火システムに最適化された構造を有する高電圧共振増幅装置

本発明は、内燃機関に使用可能な無線周波数点火装置用の高電圧共振増幅器に関する。前記共振増幅器は、少なくとも2つの電極(11、12)と、縦軸(Z)に沿って電極と整列するように配置されたコイル(2)と、コイル(2)と電極(11、12)とを互いに固定の位置に保持する手段(3)とを含む。本発明によれば、コイル(2)は、縦軸(z)の周囲を囲む閉じた曲面(K)の周囲に巻かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、プラズマ発生技術に関する。
【0002】
具体的には、本発明は、内燃機関に使用可能な無線周波数点火システム用の高電圧共振増幅装置に関し、この共振増幅装置は、少なくとも2つの電極と、縦軸上で電極の前方に同電極と整列するように配置されたコイルと、コイル及び電極を互いに固定の位置に保持する連結手段とを有する。
【背景技術】
【0003】
一般に「スパークプラグコイル」と呼ばれるこの種の共振増幅器は、特許分権により当業者に特に既知である。
【0004】
スパークプラグコイルはエンジンのシリンダヘッド内に設けられている限り、スパークプラグコイルの構造は、このシリンダヘッドの構造の影響を強く受ける。
【0005】
したがって、シリンダヘッドの形状並びにその中で使用可能な自由空間は、これらスパークプラグコイルの設計において考慮しなければならない重要なパラメータである。
【0006】
さて、近年のシリンダヘッドは、点火スパークプラグ用の接近孔を持つか否かによって2種類に分類されているばかりで無く、第2の種類のシリンダヘッドの接近孔の直径が減少する傾向にある。
【0007】
したがって、特許文献1に記載され図示された管状のスパークプラグの使用のこれらの新条件に順応することは、ますます困難になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景において、本発明の目的は、開発の要求に答える構造を有する高電圧共振増幅器又は「スパークプラグコイル」を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明の共振増幅器は、なによりも冒頭に記載された一般的定義により、縦軸を囲む閉じた曲面の周囲にコイルが巻かれることを基本的な特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】仏国特許第2859869号
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、完全に非限定的に示される以下の説明から明瞭になるであろう。
【0012】
【図1】図1は、管状コイルを持つ共振増幅器の既知の実施例を示す模式的断面図である。
【図2】図2は、本発明に可能な第1の実施形態による共振増幅器の模式的断面図である。
【図3】図3は、本発明に可能な第2の実施形態による共振増幅器の模式的断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の実施に使用可能な第1の種類のコイルを模式的上面図である。
【図4B】図4Bは、本発明を実施するために最適化された図4Aに示すコイルの改良型の模式的上面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の実施に使用可能な第2の種類のコイルの模式的上面図である。
【図5B】図5Bは、を実施するために最適化された図5Aに示すコイルの改良型の模式的上面図である。
【図6A】図6Aは、本発明の実施に使用可能な第3の種類のコイルの模式的上面図である。
【図6B】図6Bは、本発明を実施するために最適化された図6Aに示すコイルの改良型の模式的上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述のように、本発明は、内燃機関用の無線周波数点火システムに適用される高電圧共振増幅器に関する。
【0014】
既知の共振増幅器を図1に示す。この増幅器は、2個の電極11、12と、縦軸z上で2つの電極の前方で同電極と整列するように配置されたコイル2と、コイル2及び電極11、12を互いに固定の位置に保持する機能を有する連結手段3を有する。
【0015】
中心電極11を囲む接地電極12は、エンジンのシリンダヘッドQにねじ込むことができるネジを有する。
【0016】
図1に示すように、既知の共振増幅器は、シリンダヘッドQがそれらの増幅器を収容する接近孔Pを有しているエンジンに適合された構造を示す。
【0017】
あらゆる形状のシリンダヘッドに適用できる本発明の共振増幅器において、コイル2は、縦軸zを囲む閉じた曲面Kの周囲に巻かれている(図2及び図3)。
【0018】
シリンダヘッドQが接近孔を全く有さない場合、連結手段は、図2に示すように、このように最小の構造に限定される。
【0019】
シリンダヘッドQが接近孔Pを有する場合(図3)、連結手段は、縦軸z方向に延びる本体3を有する。
【0020】
この場合、本体3の下端部31は電極11、12の機能端部を支持しており、コイル2はこの本体3の上端部32によって支持されている。
【0021】
図4A〜図6Bに示されるように、コイル2は、このコイル2を電気エネルギー源(図示していない)と接続させるための2本の導電性の接続リードワイヤ201、202と、接続リード線201と202の間に直列に設けられた21A〜24Bといった一連の巻き線とを有する。
【0022】
図4B、図5B、及び図6Bに図示され、以下に説明される最も有益な実施形態において、コイル2の一連の巻き線は、コイルの巻き線の最大で3分の2を占める21A及び22Aといった第1の巻き線のサブセットと、このコイルの巻き線の少なくとも3分の1を占める22B、23B、24Bといった巻き線の第2のサブセットから形成されている。
【0023】
望ましくは、コイル2の巻き線の総数が偶数であれば、2つのサブセットは同じ数の巻き線を有し、コイル2の巻き線の合計数が奇数であれば、2つのサブセットは、ユニット内で同じ数の巻き線を有する。
【0024】
それぞれの巻き線は閉じた曲面Kの一部に巻かれ、第1の巻き線のサブセット、即ち21A及び22Aと、第2のサブセットの巻き線、即ち22B、23B、及び24Bとは、この曲面Kに沿って、且つこの曲面の周囲に、同時に反対方向に巻き取られる。
【0025】
したがって、巻き線21A及び22Aが曲面Kの横方向S1に巻かれると、巻き線22B、23B及び24Bは、曲面Kの巻き方向が逆の横方向S2に巻き取られ、逆もまた同様である。
【0026】
同様に、巻き線21A及び22Aが、曲面Kの周囲に、巻き線の左旋方向に巻き取られると、巻き線22B、23B及び24Bは、曲面Kの周囲を巻き線の右旋方向に巻き取られ、逆もまた同様である。
【0027】
このようなレイアウトは、同じ方向に巻き取ることはないが、コイル2の磁場の形成に同様に貢献する種々の巻き線を可能にし、リード線201と202との間を空け、リード線201と202との間の電位差を2又は約2で割ることを可能にする。
【0028】
第1のサブセットの21A及び22Aの巻き線は、例えば、連続させることができ、即ち、閉じた曲面K上に互いに連続して配置することができる。したがって、第2のサブセットの巻き線22B、23B及び24Bも、互いに連続して曲線K上に配置される。
【0029】
実際、第1サブセットの巻き線21A及び22Aは、閉じた曲面K上において、同面を横断する同じ方向に、互いに連続して配置されることが好ましい。したがって、有利には、これらの巻き線21A及び22Aの各々がS1の方向に巻かれている場合、それら巻き線は互いにS1の方向に連続し、これらの巻き線21A及び22Aの各々がS2の方向に巻かれている場合、それら巻き線は互いにS2の方向に連続する。
【0030】
同様に、第2のサブセットの巻き線22B、23B及び24Bは、閉じた曲面K上において、同面を横断する同じ方向に、互いに連続して配置されることが好ましい。したがって、有利には、巻き線22B、23B及び24Bの各々がS1の方向に巻かれている場合、それら巻き線は互いにS1の方向に連続し、巻き線22B、23B及び24Bの各々がS2の方向に巻かれている場合、それら巻き線は互いにS2の方向に連続する。
【0031】
最後に、特にコイル2の巻き線の総数が少ない場合、閉じた曲面Kに沿って閉じ、これら巻き線の各々が巻きつけられた強磁性材料からなる磁心を有するコイルを装着することが賢明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に使用可能な無線周波数点火システム用の高電圧共振増幅器であって、少なくとも2つの電極(11、12)と、縦軸(Z)に沿って電極の前方に同電極と整列するように配置されたコイル(2)と、コイル(2)及び電極(11、12)を互いに固定の位置保持する連結手段(13)とを備えており、コイル(2)が、縦軸を囲む閉じた曲面(K)の周囲に巻かれていることを特徴とする高電圧共振増幅器。
【請求項2】
連結手段(3)が、縦軸(Z)に沿って延びる本体であって、第1端部(31)で電極(11、12)の機能部を支持する本体(3)を備えていること、並びに、本体(3)の第1端部(31)の反対側の第2端部(32)にコイル(2)が支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の共振増幅器。
【請求項3】
コイル(2)が、このコイル(2)を電気エネルギー源に接続する第1及び第2の導電ワイヤの接続リード線(201、202)と、第1の接続リード線(201)と第2の接続リード線(202)との間に直列に設けられた少なくとも2つの巻き線(21A、22A)のセットとを備えていること、前記巻き線のセットの最大3分の2を含む巻き線の第1のサブセットの各巻き線(21A、22A)が、閉じた曲面(K)上の一部に、左旋方向及び右旋方向から選択された第1の方向に巻かれることによって、時計回りの方向及び反時計回りの方向から選択された第1の横断方向に巻き取られていること、並びに、前記巻き線のセットの少なくとも3分の1を含む巻き線の第2サブセットの各巻き線(22B、23B、24B)が、閉じた曲面(K)の一部上に、第1の方向とは反対の方向に巻かれることによって、第1の横断方向(S1)とは反対の横断方向(S2)に巻かれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の共振増幅器。
【請求項4】
各サブセットの巻き線(21A、22A;22B、23B、24B)が、閉じた曲面(K)上に互いに連続して配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の共振増幅器。
【請求項5】
第1サブセットの巻き線(21A、22A)が、閉じた曲面上において、第1の横断方向(S1)に互いに連続して配置されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の共振増幅器。
【請求項6】
第2サブセットの巻き線(23B、24B)が、閉じた曲面上において、第1の横断方向(S1)とは反対の第2の横断方向(S2)に互いに連続して配置されていることを特徴とする、請求項3ないし5のいずれか1項に記載の共振増幅器。
【請求項7】
巻き線(21A、22A;22B、23B、24B)のセットが偶数の巻き線を有すること、並びに第1(21A、22A)サブセット及び第2(22B、23B、24B)サブセットの各々が、各セットの巻き線の半分を含むことを特徴とする、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の共振増幅器。
【請求項8】
巻き線のセット(21A、22A;22B、23B、24B)が奇数の巻き線を有すること、並びに第1サブセット及び第2サブセット(21A、22A;22B、23B、24B)が、ユニット内で同じ数の巻き線を有することを特徴とする、請求項3ないし6のいずれか1項に記載の共振増幅器。
【請求項9】
コイル(2)が、前記閉じた曲面(K)に沿ってそれ自体が閉じており、且つその上に巻き線が巻かれている強磁性材料からなる磁心を有することを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の共振増幅回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2012−523673(P2012−523673A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505198(P2012−505198)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050246
【国際公開番号】WO2010/119197
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(507308902)ルノー・エス・アー・エス (281)
【Fターム(参考)】