説明

無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラム

【課題】測距測位を高精度に行うことができる無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラムを提供すること。
【解決手段】インパルスを受信する受信機が、インパルス受信時に自装置の受信限界強度と、インパルスの電波強度との差である検知余裕を算出し、予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、インパルスを検知した検知時刻を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局から移動端末までの距離や、移動端末が所在する位置を測定する測距測位技術が知られている。測距測位技術の一例として、基地局と移動端末との間で送受される連続波の電波強度に基づいて、基地局と移動端末との距離を測定する手法がある。かかる手法は、長い距離を伝播するほど電波の強度が減衰するという特性を用いているが、マルチパス干渉によって連続波の電波強度が変化するため、測距測位の精度が低い。
【0003】
また、測距測位技術の他の例として、インパルスを用いる手法がある。かかる手法では、例えば、移動端末によって送信されたインパルスを基地局が検知し、基地局によってインパルスが検知された時刻に基づいて測距測位を行う。インパルスは、連続波と比較して、マルチパス干渉が発生しにくい。このため、インパルスを用いた手法は、連続波を用いた手法よりも測距測位の精度が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−352810号公報
【特許文献2】国際公開第2004/091161号
【特許文献3】特開2005−265461号公報
【特許文献4】特開2005−274363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したインパルスを用いた従来技術であっても、測距測位の精度が低いという問題があった。具体的には、インパルスの電波強度が変動すると、基地局によってインパルスが検知される時刻に誤差が生じるため、測距測位処理の結果も変動していた。
【0006】
図22および図23を用いて具体的に説明する。図22および図23は、インパルス波形の一例を示す図である。ここでは、基地局が、同一の時刻に、図22および図23に示したインパルスを受信したものとする。また、ここでは、基地局の受信感度レベルは、「TH1」であるものとする。すなわち、基地局は、電波強度が「TH1」に達したインパルスを検知する。
【0007】
このような条件の下、基地局は、図22に例示したインパルスを受信した場合、例えば、時刻t1にインパルスを検知する。これは、図22に示したインパルスの強度が時刻t1に受信感度レベルTH1に達したからである。一方、基地局は、図23に例示したインパルスを受信した場合、例えば、時刻t2にインパルスを検知する。これは、図23に示したインパルスの強度が時刻t2に受信感度レベルTH1に達したからである。
【0008】
すなわち、基地局と移動端末との距離が同一であっても、基地局は、電波強度によって異なる時刻でインパルスを検知する。このことは、インパルスの電波強度によって測距測位の結果が変動するという問題を招く。
【0009】
なお、近年では、受信したインパルスを複数のコンパレータに出力し、各コンパレータの検知時刻に基づいてインパルス波形の形状を判断する受信機も知られている。しかし、このような受信機は、インパルスを分岐させるために、電波強度が弱いインパルスを処理できないという問題や、回路が複雑になるという問題があった。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、測距測位を高精度に行うことができる無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する無線測距測位システムは、一つの態様において、送信機によってインパルスが送信された時刻と、受信機によって前記インパルスが受信された時刻とに基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、前記受信機は、前記送信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、前記インパルスの電波強度と、前記受信機の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出部と、予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出部によって検出された検知時刻を補正する補正部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する無線測距測位システムの一つの態様によれば、測距測位を高精度に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1に係る無線測距測位システムの基本構成要素例を示す図である。
【図2】図2は、実施例2に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。
【図3】図3は、実施例2における移動局の構成例を示す図である。
【図4】図4は、実施例2における移動局によって送信されるフレームの一例を示す図である。
【図5】図5は、実施例2における基地局の構成例を示す図である。
【図6】図6は、図5に示した初期検出部および検知余裕検出部による処理の一例を示す図である。
【図7】図7は、検知余裕と検知誤差時間との関係の一例を示す図である。
【図8】図8は、検知余裕と検知誤差時間との関係の算出処理例を示す図である。
【図9】図9は、実施例2における基地局による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、基地局によって減衰されるフレームの一例を示す図である。
【図11】図11は、実施例3における移動局によって送信されるフレームの一例を示す図である。
【図12】図12は、実施例3における移動局の構成例を示す図である。
【図13】図13は、実施例4に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。
【図14】図14は、実施例4における基地局による補正処理の一例を示す図である。
【図15】図15は、実施例4に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。
【図16】図16は、実施例4における移動局の構成例を示す図である。
【図17】図17は、検知余裕と検知誤差時間との関係の算出処理例を示す図である。
【図18】図18は、実施例5における移動局の構成例を示す図である。
【図19】図19は、実施例5における移動局による処理手順を示すフローチャートである。
【図20】図20は、二分探索を用いて検知余裕を検出する処理の一例を示す図である。
【図21】図21は、測距測位プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図22】図22は、インパルス波形の一例を示す図である。
【図23】図23は、インパルス波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願の開示する無線測距測位システム、測距測位装置、測距測位方法および測距測位プログラムが限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
[実施例1に係る無線測距測位システムの構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係る無線測距測位システムの構成について説明する。図1は、実施例1に係る無線測距測位システムの基本構成要素例を示す図である。図1に示すように、実施例1に係る無線測距測位システムSY1は、測距測位装置である送信機10および受信機100を有する。送信機10は、受信機100に対してインパルスを送信する。また、受信機100は、送信機10によって送信されたインパルスを受信する。
【0016】
図1に示した例において、無線測距測位システムSY1は、送信機10によってインパルスが送信された時刻と、受信機100によってインパルスが検知された時刻とに基づいて、送信機10と受信機100との距離を測定する。
【0017】
特に、実施例1における受信機100は、インパルスを検知した時刻(以下、「インパルス検知時刻」と言う)を補正する。具体的には、図1に示すように、受信機100は、初期検出部101と、検知余裕検出部102と、補正部103とを有し、各処理部による各種処理によってインパルス検知時刻を補正する。
【0018】
より具体的に説明すると、初期検出部101は、送信機10によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用のインパルスを検知した時刻であるインパルス検知時刻を記録する。
【0019】
検知余裕検出部102は、送信機10から受信したインパルスの電波強度と、受信機100が受信可能なインパルスの電波強度の限界である受信限界強度との差を検出する。なお、以下では、送信機10から受信したインパルスの電波強度と受信機100の受信限界強度との差を「検知余裕」と表記することとする。
【0020】
補正部103は、予め求められた検知余裕とインパルスを検知する時刻の誤差(以下、「検知誤差時間」と言う)との関係に基づいて、検知余裕検出部102によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定する。そして、補正部103は、特定した検知誤差時間を用いて、初期検出部101によって検出されたインパルス検知時刻を補正する。
【0021】
上述した「検知余裕と検知誤差時間との関係」について補足説明する。「検知余裕と検知誤差時間との関係」とは、インパルス受信時における検知余裕と、受信機によってインパルスが検知された時刻の変動量との関係を示す情報である。具体的には、図22および図23を用いて説明したように、インパルス検知時刻は、インパルスの電波強度に応じて変動する。「検知余裕と検知誤差時間との関係」は、このようなインパルス検知時刻の変動量を、検知余裕に対応付けて表した情報である。
【0022】
ここで、受信機の受信限界強度には個体差があるが、検知余裕が一定であれば、検知誤差時間はほぼ同一になる。例えば、受信機100Aの受信限界強度が1[dBm]であり、受信機100Bの受信限界強度が2[dBm]であるものとする。また、受信機100Aが、電波強度6[dBm]のインパルスを受信した場合、受信機100Aによる検知誤差時間が1[ns(ナノ秒)]であったものとする。かかる場合、受信機100Aの検知余裕は、6[dBm]−1[dBm]=5[dBm]である。
【0023】
このとき、受信機100Bが、電波強度が7[dBm]であるインパルスを受信した場合、検知誤差時間は約1[ns(ナノ秒)]になる。これは、受信機100Bの検知余裕が、7[dBm]−2[dBm]=5[dBm]であり、上記例における受信機100Aの検知余裕と同一であるからである。
【0024】
このようなことから、受信機100は、検知余裕を検出することにより、検知誤差時間を特定できる。そこで、実施例1における受信機100は、製造工程において、検知余裕を変動させながら検知誤差時間が測定され、測定された「検知余裕と検知誤差時間との関係」を示す情報が記憶される。そして、受信機100は、図1を用いて説明したように、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、インパルス検知時刻を補正する。これにより、受信機100は、インパルスの電波強度に応じて変動する検知誤差時間を補正することができる。
【0025】
[実施例1の効果]
このように、実施例1に係る無線測距測位システムSY1では、受信機100が、インパルス受信時に、インパルス検知時刻を記憶しておき、受信したインパルスの電波強度と自装置の受信限界強度との差である検知余裕を算出する。そして、受信機100は、予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、インパルス検知時刻を補正する。すなわち、無線測距測位システムSY1は、インパルスの電波強度に応じて変動するインパルス検知時刻を補正する。この基本構成要素を用いて測位測距システムを構築することで測距測位を高精度に行うことができる。
【実施例2】
【0026】
次に、上記実施例1において説明した無線測距測位システムについて具体例を用いて説明する。実施例2では、実施例1において説明した無線測距測位システムを、TDOA(Time Difference Of Arrival)測位方式を採用する無線測距測位システムに適用する例について説明する。なお、実施例2では、図1に示した送信機10として移動局を用い、受信機100として基地局を用いる例について説明する。
【0027】
[実施例2に係る無線測距測位システムの構成]
まず、図2を用いて、実施例2に係る無線測距測位システムの構成について説明する。
これは移動端末の位置を測位サーバ側で計算するシステムを想定している。図2は、実施例2に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。図2に示した無線測距測位システムSY2は、TDOA測位方式を採用しているものとする。
【0028】
図2に示すように、無線測距測位システムSY2は、移動局20と、基地局200a〜200cと、測位サーバ1とを有する。なお、以下の説明では、基地局200a〜200cについて、いずれかを特定しない場合には、これらを総称して基地局200と表記することがある。
【0029】
移動局20は、基地局200a〜200cに対してインパルスを送信する。基地局200a〜200cは、移動局20によって送信されたインパルスを受信する。このとき、基地局200a〜200cは、上記実施例1において説明した受信機100と同様に、インパルス検知時刻を補正する。
【0030】
測位サーバ1は、基地局200a〜200cによって補正されたインパルス検知時刻を取得し、取得したインパルス検知時刻に基づいて移動局20の位置座標を測位する。具体的には、測位サーバ1は、基地局200a〜200cにおけるインパルス検知時刻から、2個の基地局間の伝搬時間差を求め、この時間差から双曲線を得る。そして、測位サーバ1は、複数の双曲線の交点に対応する位置を移動局20の位置座標として算出する。
【0031】
このように、基地局200a〜200cは、インパルスの電波強度に応じて変動するインパルス検知時刻を補正する。そして、測位サーバ1は、補正されたインパルス検知時刻に基づいて、基地局200a〜200cから移動局20までの距離を測距し、移動局20の位置座標を測位する。これにより、実施例2に係る無線測距測位システムSY2は、測距測位を高精度に行うことができる。
【0032】
[実施例2における移動局の構成]
次に、図3を用いて、図2に示した移動局20の構成について説明する。図3は、実施例2における移動局20の構成例を示す図である。図3に示すように、実施例2における移動局20は、アンテナ21と、送信部23と、制御部25とを有する。
【0033】
アンテナ21は、外部装置へ電波を送信する。例えば、アンテナ21は、基地局200a〜200cへ電波を送信する。
【0034】
送信部23は、外部装置に送信するためのデータを生成し、生成したデータを電波として外部装置へ送信する。特に、実施例2における移動局20の送信部23は、インパルス発生器23aと、PA(Power Amplifier)23bとを有する。
【0035】
インパルス発生器23aは、後述する制御部25によって制御されることにより、インパルスを発生させる。PA23bは、インパルス発生器23aによって発生されたインパルスを増幅する。このようにして、送信部23は、制御部25からの命令にしたがって、インパルスを送信する。なお、送信部23は、所定のフレーム単位でインパルスを送信する。
【0036】
ここで、図4を用いて、送信部23によって送信されるフレームの構成について説明する。図4は、実施例2における移動局20によって送信されるフレームの一例を示す図である。図4に示した例では、送信部23によって送信されるフレームは、プリアンブル部と、測距測位部と、データボディ部とを含む。プリアンブル部は、同期用のインパルスである。測距測位部は、測距測位用のインパルスである。データボディ部は、ユーザデータ等を示すインパルスである。なお、プリアンブル部および測距測位部が用いられる処理については、後述する。
【0037】
図3の説明に戻って、制御部25は、移動局20の送信に関する制御をする。例えば、制御部25は、インパルス発生器23aを制御することにより、所定のタイミングでインパルスを送信させる。
【0038】
[実施例2における基地局の構成]
次に、図5を用いて、図2に示した基地局200の構成について説明する。図5は、実施例2における基地局200の構成例を示す図である。図5に示すように、実施例2における基地局200は、アンテナ210と、スイッチ220と、送信部230と、受信部240と、制御部250とを有する。
【0039】
アンテナ210は、外部装置から送信される電波を受信したり、外部装置へ電波を送信したりする。例えば、アンテナ210は、移動局20や外部装置との間で電波を送受する。スイッチ220は、基地局200が送信処理または受信処理のいずれを行うかによって、接続を切り替える。図5の例では、基地局200が受信処理を行う状態を示しているので、スイッチ220は、アンテナ210と受信部240とを接続している。
【0040】
送信部230は、アンテナ210を介して、外部装置へデータを送信する。具体的には、送信部230は、インパルス発生器231と、PA232とを有する。インパルス発生器231は、後述する制御部250によって制御されることにより、インパルスを発生させる。PA232は、インパルス発生器231によって発生されたインパルスを増幅する。
【0041】
受信部240は、外部装置から電波を受信し、各種処理を行う。特に、実施例2における基地局200の受信部240は、LNA(Low Noise Amplifier)241と、可変ATT(Attenuator)242と、インパルス検知部243と、相関器244とを有する。
【0042】
LNA241は、アンテナ210によって受信された電波を増幅する。例えば、LNA241は、移動局20によって送信されたインパルスを増幅し、増幅後のインパルスを可変ATT242へ出力する。
【0043】
可変ATT242は、LNA241によって増幅されたインパルスの電波強度を減衰させる。具体的には、可変ATT242は、ATT値(減衰値)が設定され、かかるATT値が大きいほどインパルスの電波強度を減衰する。なお、可変ATT242に設定されるATT値は、後述する検知余裕検出部252によって制御される。
【0044】
インパルス検知部243は、可変ATT242を通過したインパルスを検知する。具体的には、インパルス検知部243は、可変ATT242から入力されたインパルスの電波強度が所定の受信感度レベルに達した場合に検知する。そして、インパルス検知部243は、インパルスを検知した場合に、パルスを出力し、インパルスを検知しなかった場合に、パルスを出力しない。
【0045】
例えば、インパルス検知部243の受信感度レベルが「−12dBm」であるものとする。そして、可変ATT242を通過する前のインパルスの電波強度が「−10dBm」であるものとする。このような状況において、可変ATT242のATT値が「0dBm」である場合、インパルス検知部243には、「−10dBm」のインパルスが入力されるので、インパルス検知部243は、インパルスを検知してパルスを出力する。一方、可変ATT242のATT値が「3dBm」である場合、インパルス検知部243には、「−13dBm」のインパルスが入力されるので、インパルス検知部243は、インパルスを検知せず、パルスを出力しない。
【0046】
相関器244は、フレームのプリアンブル部を用いて、受信タイミングの同期処理を行う。
【0047】
制御部250は、基地局200を全体制御する。例えば、制御部250は、基地局200が送信処理または受信処理のいずれを行うかを判定し、スイッチ220の接続を切替制御する。また、例えば、制御部250は、インパルス発生器231を制御することにより、所定のタイミングでインパルスを送信させる。
【0048】
また、実施例2における基地局200の制御部250は、インパルス検知時刻を補正する。具体的には、制御部250は、初期検出部251と、検知余裕検出部252と、補正部253とを有する。
【0049】
初期検出部251は、移動局20によって送信されたインパルスのうち、インパルス検知部243によって最初に検知された測距測位部のインパルスの時刻を検知し、検知したインパルス検知時刻を記憶しておく。
【0050】
検知余裕検出部252は、移動局20から受信したインパルスの電波強度と、基地局200の受信限界強度との差である検知余裕を検出する。具体的には、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値を徐々に大きくして、移動局20によって送信されたインパルスを徐々に減衰させる。そして、検知余裕検出部252は、減衰されたインパルスをインパルス検知部243が検知できるか否かを判定する。そして、検知余裕検出部252は、インパルス検知部243によってインパルスが検知されなくなった場合に、インパルス検知部243によってインパルスが検知された可変ATT242のATT値の最大値を検知余裕として検出する。
【0051】
ここで、図6を用いて、初期検出部251および検知余裕検出部252による処理の例について説明する。図6は、図5に示した初期検出部251および検知余裕検出部252による処理の一例を示す図である。なお、図6の上段は、インパルス検知部243に入力されるインパルスの例を示している。また、図6の中段は、インパルス検知部243から出力されるパルスの例を示している。また、図6の下段は、可変ATT242に設定されるATT値の例を示している。また、図6に示した例において、インパルス検知部243の受信感度レベルは、「TH2」であるものとする。
【0052】
まず、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値を「0」に初期化する。そして、図6に示した例のように、インパルス検知部243には、測距測位部のインパルスとして、インパルスIn11が入力される。インパルスIn11の強度が受信感度レベルTH2に達しているので、インパルス検知部243は、インパルスIn11を検知する。このとき、初期検出部251は、インパルスIn11を検知し、その時刻(インパルス検知時刻)を記憶する。
【0053】
続いて、検知余裕検出部252は、図6の下段に示すように、可変ATT242のATT値に所定の値を設定する。ATT値を設定された可変ATT242は、LNA241から入力されたインパルスの電波強度を減衰し、減衰したインパルスIn12をインパルス検知部243へ出力する。そして、検知余裕検出部252は、インパルス検知部243によってインパルスIn12が検知されるか否かを判定する。図6に示した例では、インパルス検知部243は、電波強度が受信感度レベルTH2に達しているインパルスIn12を検知する。
【0054】
インパルス検知部243によってインパルスIn12が検知されたので、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、前回設定した値よりも大きい値を設定する。ATT値を設定された可変ATT242は、インパルスIn13をインパルス検知部243へ出力する。図6に示した例では、インパルス検知部243は、電波強度が受信感度レベルTH2に達しているインパルスIn13を検知する。
【0055】
続いて、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、前回設定した値よりも大きい値を設定する。ATT値を設定された可変ATT242は、インパルスIn14をインパルス検知部243へ出力する。図6に示した例では、インパルス検知部243は、インパルスIn14の電波強度が受信感度レベルTH2に達していないので、インパルスIn14を検知しない。
【0056】
インパルス検知部243によってインパルスIn14が検知されなかったので、検知余裕検出部252は、可変ATT242によってインパルスIn13が検知された際のATT値を検知余裕として検出する。これは、測距測位に用いられるインパルス検知時刻が、インパルスIn11を受信した時刻であり、受信限界強度がインパルスIn13の電波強度であるからである。すなわち、インパルスIn11の電波強度と、インパルスIn13の電波強度との差が「検知余裕」に該当し、かかる検知余裕は、可変ATT242によってインパルスIn13が検知された際のATT値に該当する。
【0057】
例えば、インパルスIn11の電波強度が「−10dBm」であるものとする。また、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、前回設定した値よりも「1dBm」だけ大きい値を設定するものとする。かかる場合、インパルスIn12の電波強度は「−11dBm」であり、インパルスIn13の電波強度は「−12dBm」であり、インパルスIn14の電波強度は「−13dBm」である。
【0058】
このような条件の下、図6に示した例では、インパルス検知部243によってインパルスIn14が検知されなかったので、基地局200の受信限界強度は、インパルスIn13の電波強度「−12dBm」である。すなわち、検知余裕は、インパルスIn11の電波強度「−10dBm」と、受信限界強度「−12dBm」との差である「2dBm」に該当する。これは、可変ATT242によってインパルスIn13が検知された際のATT値「2dBm」に該当する。
【0059】
補正部253は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、インパルス検知時刻を補正する。
【0060】
ここで、図7を用いて、検知余裕と検知誤差時間との関係について説明する。図7は、検知余裕と検知誤差時間との関係の一例を示す図である。図7に示した例では、検知余裕が12[dB]である場合を基準としている。具体的には、図7に示した例では、検知余裕が12[dB]である場合、検知誤差時間を「0」としている。なお、基地局200は、検知余裕が12[dB]である場合に、検知誤差時間が発生しないように製造時に調整される。
【0061】
ここで、検知余裕が12[dB]よりも小さい場合、基地局200は、検知余裕が12[dB]である場合よりも遅い時刻にインパルスを検知する。したがって、図7に示すように、検知余裕が12[dB]よりも小さい場合、検知誤差時間は正の値になる。また、検知余裕が12[dB]よりも大きい場合、基地局200は、検知余裕が12[dB]である場合よりも早い時刻にインパルスを検知する。したがって、図7に示すように、検知余裕が12[dB]よりも小さい場合、検知誤差時間は負の値になる。
【0062】
上述したように、基地局200は、検知余裕が12[dB]である場合に検知誤差時間が発生しないように調整される。したがって、インパルス受信時における検知余裕が12[dB]でない場合、インパルス検知時刻には検知誤差時間が発生する。そこで、補正部253は、図7に示したような検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、インパルス検知時刻を補正する。
【0063】
例えば、補正部253が、図7に示したような検知余裕と検知誤差時間との関係を示す情報を保持しているものとする。このとき、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕が6[dB]である場合、補正部253は、図7に示した例のように、検知誤差時間f(6)を算出する。そして、補正部253は、初期検出部251によって検出されたインパルス検知時刻から検知誤差時間f(6)の絶対値分を減算する。また、例えば、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕が14[dB]である場合、補正部253は、図7に示した例のように、検知誤差時間f(14)を算出し、インパルス検知時刻に検知誤差時間f(14)の絶対値分を加算する。
【0064】
[検知余裕と検知誤差時間との関係の算出例]
次に、図8を用いて、図7に示した検知余裕と検知誤差時間との関係の算出処理について説明する。図8は、検知余裕と検知誤差時間との関係の算出処理例を示す図である。上述したように、検知余裕と検知誤差時間との関係を示す情報は、基地局200の製造工程において算出される。
【0065】
具体的には、検知余裕と検知誤差時間との関係を算出する場合、図8に示した例のように、2個の基地局200−1と基地局200−2とが、可変ATT2を介して有線接続される。また、基地局200−1および200−2には、タイムインターバルアナライザ3が接続される。なお、検知余裕と検知誤差時間との関係を算出する場合、基地局200−1の可変ATT242−1のATT値、および、基地局200−2の可変ATT242−2のATT値には、「0」が設定される。
【0066】
タイムインターバルアナライザ3は、基地局200−2によってインパルスが検知された時刻taと、基地局200−1によってインパルスが送信された時刻tbとの差「ta−tb」を計測する。
【0067】
このような構成の下、基地局200−1は、基地局200−2に対して、インパルスを連続的に送信する。なお、基地局200−1によってインパルスが送信される間隔は、測定を容易にするために、基地局200−1の送信したインパルスが基地局200−2によってインパルスが検知されるのにかかる時間よりも長いことが好ましい。
【0068】
そして、可変ATT2のATT値を変動させて、基地局200−2が受信限界に達した際のATT値を検出する。そして、検出したATT値から12[dB]を減算し、減算した値を可変ATT2のATT値に設定して、「ta−tb」を計測する。そして、計測した「ta−tb」の値を基準とするために、基地局200は、ここで計測された「ta−tb」が「0」になるように調整される。そして、可変ATT2のATT値を変動させながら、「ta−tb」を計測することにより、図7に示したような検知余裕と検知誤差時間との関係を算出する。
【0069】
なお、上記では、検知余裕が12[dB]である場合を基準としたが、検知余裕が12[dB]である場合を基準にしなくてもよい。例えば、検知限界が基準であってもよいし、検知余裕が6[dB]である場合を基準にしてもよい。
【0070】
このようにして、算出された検知余裕と検知誤差時間との関係を示す情報は、各基地局200に記憶される。なお、上述したように、限界強度と検知余裕との差が一定であれば、検知誤差時間はほぼ同一になるので、基地局ごとに検知余裕と検知誤差時間との関係を算出しなくてよい。
【0071】
[実施例2における基地局による処理手順]
次に、図9を用いて、実施例2における基地局200による処理の手順について説明する。図9は、実施例2における基地局200による処理手順を示すフローチャートである。
【0072】
図9に示すように、基地局200の検知余裕検出部252は、まず、変数n1を「0」に初期化する(ステップS101)。そして、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、n1を設定する。すなわち、ここでは、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に「0」を設定する。
【0073】
続いて、基地局200の受信部240は、移動局20によって送信されたインパルスを受信した場合に(ステップS102肯定)、プリアンブル部のインパルスを用いて同期処理を行う(ステップS103)。そして、インパルス検知部243は、測距測位部のインパルスを検知する。
【0074】
同期処理が完了した場合(ステップS104肯定)、初期検出部251は、インパルス検知部243によってインパルスが検知された時刻を検出して、検出したインパルス検知時刻t1を記憶しておく(ステップS105)。
【0075】
インパルスを検出できた場合(ステップS106肯定)、検知余裕検出部252は、変数n1に定数値dn1を加算する(ステップS107)。そして、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、変数n1を設定する(ステップS108)。すなわち、ここでは、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に「0+dn1」を設定する。
【0076】
インパルス検知部243は、可変ATT242によって減衰された測距測位部のインパルスを検知する(ステップS109)。インパルス検知部243によってインパルスが検知された場合(ステップS110肯定)、検知余裕検出部252は、変数n1に定数値dn1を加算し、加算した値が所定の閾値N1よりも小さいか否かを判定する(ステップS111)。
【0077】
「n1+dn1<N1」でない場合(ステップS111否定)、基地局200は、処理を終了する。一方、「n1+dn1<N1」である場合(ステップS111肯定)、検知余裕検出部252は、可変ATT242のATT値に、変数n1を設定する(ステップS108)。
【0078】
基地局200は、インパルス検知部243によってインパルスが検知されている場合(ステップS110肯定)、ステップS107〜S111における処理手順を繰り返し行う。
【0079】
一方、インパルス検知部243によってインパルスが検知されなかった場合(ステップS110否定)、検知余裕検出部252は、検知余裕を検出する(ステップS112)。具体的には、検知余裕検出部252は、インパルス検知部243によってインパルスが検知されなかった場合における可変ATT242のATT値「n1」から「dn1」を減算した値「n1−dn1」を、検知余裕として検出する。
【0080】
続いて、補正部253は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定する(ステップS113)。そして、補正部253は、ステップS113において特定した検知誤差時間を用いて、インパルス検知時刻t1を補正する(ステップS114)。
【0081】
その後、基地局200は、測距測位部の2発目以降のインパルスを受信し、データボディ部のインパルスを受信する。なお、基地局200は、検知余裕を検出した後であっても、測距測位部のインパルスを徐々に減衰させて受信してもよいし、測距測位部のインパルスを破棄してもよい。
【0082】
[実施例2の効果]
上述してきたように、実施例2に係る無線測距測位システムSY2では、基地局200が、インパルス受信時に受信したインパルスの電波強度と受信限界強度との差である検知余裕を検出する。そして、基地局200は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、インパルス検知時刻を補正する。そして、測位サーバ1は、各基地局によって補正されたインパルス検知時刻を用いて、測距測位を行う。これにより、実施例2に係る無線測距測位システムSY2は、TDOA測位方式を採用する場合に、測距測位を高精度に行うことができる。
【0083】
なお、上記実施例2では、1個のフレームに含まれる測距測位部のインパルスを減衰させる例を示した。しかし、移動局20が複数のフレームを基地局200へ送信し、基地局200がフレームごとにインパルスを減衰させることにより、検知余裕を検出してもよい。
【0084】
図10を用いて具体的に説明する。図10は、基地局200によって減衰されるフレームの一例を示す図である。図10に示した例において、基地局200は、移動局20から複数のフレームを受信し、フレームごとにインパルスを減衰している。具体的には、基地局200は、移動局20から最初に受信したフレームF11については減衰させていない。そして、基地局200は、移動局20から次に受信したフレームF12を減衰させ、さらに、フレームF13をフレームF12よりも減衰させている。このようにして、基地局200は、フレームごとにインパルスを減衰させ、減衰後のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、検知余裕を検出することができる。このように、フレームごとにインパルスを減衰させることは、例えば、1個のフレーム内でインパルスごとに減衰処理を行うことが困難である場合に有効である。
【実施例3】
【0085】
上記実施例2では、基地局200が、受信したインパルスを徐々に減衰させることにより、限界強度を検出する例を示した。しかし、移動局が徐々に減衰させたインパルスを送信することにより、基地局200が限界強度を検出してもよい。そこで、実施例3では、移動局が徐々に減衰させたインパルスを送信する例について説明する。
【0086】
[実施例3の概要]
まず、図11を用いて、実施例3に係る無線測距測位システムの概要について説明する。図11は、実施例3における移動局30によって送信されるフレームの一例を示す図である。図11に示した例のように、実施例3における移動局30は、電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを基地局200へ送信する。具体的には、移動局30は、測距測位部のインパルスの電波強度を徐々に減衰させる。かかるフレームを受信した基地局200は、測距測位部のインパルスを減衰させることなく、検知余裕を検出することができる。
【0087】
[実施例3における移動局の構成]
次に、図12を用いて、実施例3における移動局30の構成について説明する。図12は、実施例3における移動局30の構成例を示す図である。図3に示すように、実施例2における移動局30は、アンテナ21と、制御部25と、送信部33とを有する。以下では、既に示した構成部位と同様の機能を有する部位には同一符号を付すこととして、その詳細な説明を省略する。
【0088】
送信部33は、インパルス発生器23aと、PA23bと、可変ATT33cとを有する。可変ATT33cは、PA23bから出力されたインパルスを減衰させる。例えば、可変ATT33cは、図11に示した例のように、測距測位部のインパルスを徐々に減衰させる。なお、可変ATT33cに設定されるATT値は、制御部25によって決定される。
【0089】
なお、実施例3における基地局は、図5に示した基地局200と同様の構成であってもよいし、図5に示した基地局200から可変ATT242を除いた構成であってもよい。ただし、実施例3における基地局は、可変ATT242を有する場合であっても、受信したインパルスを減衰させないので、可変ATT242のATT値を常に「0」に設定する。
【0090】
[実施例3の効果]
上述してきたように、実施例3における移動局30は、電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを基地局200へ送信する。これにより、基地局200は、測距測位部のインパルスを減衰させることなく、検知余裕を検出することができる。
【0091】
なお、実施例3における移動局30は、徐々に減衰させたインパルスと、かかるインパルスの電波強度を示すデータとを送信してもよい。これにより、基地局200は、各インパルスの電波強度を検出する処理を行わずに、検知余裕を検出することができる。
【0092】
なお、実施例3における移動局30は、1個のフレーム内のインパルスを徐々に減衰させずに、例えば、図10に示した例のように、フレームごとにインパルスの電波強度を徐々に減衰させてもよい。これにより、移動局30は、1個のフレーム内でインパルスごとに減衰処理を行うことが困難である場合であっても、基地局に対して、電波強度を徐々に減衰させたインパルスを送信することができる。
【実施例4】
【0093】
上記実施例2および3では、実施例1において説明した無線測距測位システムを、TDOA測位方式を採用する無線測距測位システムに適用する例について説明した。しかし、実施例1において説明した無線測距測位システムは、TWR(Two Way Ranging)測距方式や、TWR測距方式を複数組み合わせたTOA(Time Of Arrival)測位方式にも適用することができる。そこで、実施例4では、実施例1において説明した無線測距測位システムを、TWR測距方式やTOA測位方式に適用する例について説明する。
【0094】
[実施例4に係る無線測距測位システムの構成]
まず、図13を用いて、実施例4に係る無線測距測位システムの構成について説明する。図13は、実施例4に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。ここでは移動端末が各基地局の位置情報を持っており、移動端末側で測位計算を行うことを想定した例である。図13に示した無線測距測位システムSY3は、TWR測距方式を採用しているものとする。
【0095】
図13に示すように、無線測距測位システムSY3は、移動局40と、基地局400とを有する。移動局40は、基地局400に対してインパルスを送信する。基地局400は、移動局40から送信されたインパルスに応答して、移動局40に対してインパルスを送信する。無線測距測位システムSY3では、移動局40と基地局400との間で送受されるインパルスの往復時間に基づいて、移動局40と基地局400との距離を測距する。
【0096】
図13に示した例では、移動局40は、時刻ta1にインパルスを送信している。また、基地局400は、時刻tb1に移動局40から送信されたインパルスを検知している。そして、基地局400は、時刻tb1から予め決められている時間が経過した場合に、インパルスを送信する。図13に示した例では、基地局400は、時刻tb2にインパルスを送信している。そして、移動局40は、時刻ta2に基地局400から送信されたインパルスを検知している。図13に示した例において、移動局40は、時刻ta2と時刻ta1との差に基づいて測距を行う。
【0097】
なお、前述した「予め決められている時間」とは、測距処理に誤差が生じないように決められている時間であり、例えば、基地局400によるインパルス受信処理および送信処理にかかる時間にマージンが加算された時間である。
【0098】
ここで、基地局400がインパルスを検知する時刻tb1は、移動局40から送信されるインパルスの電波強度によって変動する。さらに、移動局40がインパルスを検知する時刻ta2は、基地局400から送信されるインパルスの電波強度によって変動する。そこで、TWR測距方式を採用する無線測距測位システムSY3では、移動局40と、基地局400との双方が、インパルス検知時刻を補正する。
【0099】
具体的には、基地局400は、移動局40からインパルスを受信した場合に、検知したインパルスの電波強度と自装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する。そして、基地局400は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検出した検知余裕に対応する検知誤差時間を特定する。そして、基地局400は、特定した検知誤差時間を用いて、移動局40へインパルスを送信する時刻を補正する。
【0100】
ここで、図14を用いて、基地局400による補正処理について説明する。図14は、実施例4における基地局400による補正処理の一例を示す図である。なお、ここでは、基地局400は、図7に例示した検知余裕と検知誤差時間との関係を示す情報を保持しているものとする。すなわち、基地局400は、検知余裕が12[dB]である場合に、検知誤差時間が発生しないように設定、製造されているものとする。
【0101】
図14に示した例において、基地局400は、時刻tb1に、移動局40から送信されたインパルスを検知している。ここで、基地局400は、検知余裕が12[dB]である場合、図14に示した時刻tb0にインパルスを検知するものとする。すなわち、図14に示した例では、基地局400は、検知余裕が12[dB]である場合よりも遅い時刻tb1にインパルスを検知したことになる。したがって、基地局400は、図7に示した例のように、正の値である検知誤差時間を特定する。
【0102】
かかる場合、基地局400は、時刻tb0にインパルスを検知したものとして、インパルスの送信処理を行う。具体的には、基地局400は、時刻tb0から、予め決められている時間tbが経過した場合に、移動局40に対してインパルスを送信する。言い換えれば、基地局400は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて特定した検知誤差時間を用いて、予め決められている時間tbを時刻tb´に補正し、時刻tb1から時間tb´が経過した場合に、移動局40に対してインパルスを送信する。
【0103】
移動局40は、基地局400からインパルスを受信した場合に、検知したインパルスの電波強度と自装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する。そして、移動局40は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検出した検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、インパルス時刻ta2を補正する。
【0104】
なお、図13に示した無線測距測位システムSY3を複数組み合わせることにより、TOA測位方式を採用する無線測距測位システムになる。図15を用いて具体的に説明する。図15は、実施例4に係る無線測距測位システムの構成例を示す図である。図15に示した無線測距測位システムSY4は、TOA測位方式を採用しており、移動局40と、基地局400a〜400cを有する。
【0105】
移動局40は、基地局400a〜400cに対してインパルスを送信する。また、移動局40は、基地局400a〜400cから送信されたインパルスを受信した場合に、インパルス検知時刻を補正する。
【0106】
基地局400a〜400cは、移動局40から送信されたインパルスを受信した場合に、図14を用いて説明した処理と同様に、移動局40へインパルスを送信する時刻を補正する。
【0107】
このように、実施例4に係る無線測距測位システムでは、基地局400が、移動局40へインパルスを送信する時刻を補正し、移動局40が、基地局400によって送信されたインパルスを検知したインパルス検知時刻を補正する。これにより、実施例4に係る無線測距測位システムは、測距測位を高精度に行うことができる。
【0108】
[実施例4における移動局の構成]
次に、図16を用いて、実施例4における移動局40の構成について説明する。図16は、実施例4における移動局40の構成例を示す図である。図16に示すように、実施例4における移動局40は、アンテナ21と、スイッチ22と、送信部23と、受信部44と、制御部45とを有する。
【0109】
受信部44は、LNA44aと、可変ATT44bと、インパルス検知部44cと、相関器44dとを有する。LNA44a、可変ATT44b、インパルス検知部44c、相関器44dは、それぞれ図5に示したLNA241、可変ATT242、インパルス検知部243、相関器244とほぼ同様の処理を行う。
【0110】
具体的には、LNA44aは、基地局400から受信したインパルスを増幅する。可変ATT44bは、インパルスの電波強度を減衰する。インパルス検知部44cは、インパルスを検知する。相関器44dは、プリアンブル部のインパルスに基づいて同期処理を行う。
【0111】
制御部45は、初期検出部45aと、検知余裕検出部45bと、補正部45cとを有する。初期検出部45a、検知余裕検出部45b、補正部45cは、それぞれ図5に示した初期検出部251、検知余裕検出部252、補正部253とほぼ同様の処理を行う。
【0112】
具体的には、初期検出部45aは、基地局400によって送信されたインパルスのうち、インパルス検知部44cによって検知されたインパルス検知時刻を検出する。
【0113】
検知余裕検出部45bは、初期検出部45aによってインパルス検知時刻が検出されたインパルスの電波強度と、移動局40の受信限界強度との差である検知余裕を検出する。なお、検知余裕検出部45bは、図5に示した検知余裕検出部252と同様に、可変ATT44bのATT値を徐々に大きくすることにより、検知余裕を検出する。
【0114】
補正部45cは、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕検出部45bによって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、初期検出部45aによって検出されたインパルス検知時刻を補正する。
【0115】
[実施例4における基地局の構成]
次に、実施例4における基地局400の構成について説明する。実施例4における基地局400は、図5に示した基地局200の構成と同様である。ただし、基地局400は、図5に示した基地局200と比較して、補正部253の処理が異なる。ここでは、基地局200と基地局400とを区別するために、基地局400の補正部を、補正部453とする。
【0116】
補正部453は、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、検知余裕検出部252によって算出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定する。そして、補正部453は、特定した検知誤差時間を用いて、移動局40へインパルスを送信する時刻を補正する。
【0117】
図14に示した例を用いて説明する。例えば、補正部453は、特定した検知誤差時間を用いて、予め決められている時間tbを時間tb´に補正する。制御部250は、初期検出部251によって検出されたインパルス検知時刻から、補正部453によって補正された時間tb´が経過した場合に、移動局40に対してインパルスを送信するように、送信部230を制御する。
【0118】
[実施例4の効果]
上述してきたように、実施例4に係る無線測距測位システムでは、基地局400が、移動局40へインパルスを送信する時刻を補正し、移動局40が、基地局400によって送信されたインパルスを検知したインパルス検知時刻を補正する。これにより、実施例4に係る無線測距測位システムは、TWR測距方式や、TOA測位方式を採用する場合に、測距測位を高精度に行うことができる。
【0119】
なお、上記実施例4では、移動局40および基地局400が、受信したインパルスを徐々に減衰させることにより、検知余裕を検出する例を示した。しかし、移動局40が図11に示した例のように、徐々に減衰させたインパルスを送信することにより、基地局400が検知余裕を検出してもよい。また、基地局400が図11に示した例のように、徐々に減衰させたインパルスを送信することにより、移動局40が検知余裕を検出してもよい。これは、移動局40および基地局400の送信部に可変ATTを設けることにより実現できる。
【0120】
また、上記実施例4では、基地局400が移動局40へインパルスを送信する時刻を補正する例を示した。しかし、基地局400が送信時刻を補正せずに、補正すべき検知誤差時間を移動局40へ送信してもよい。そして、移動局40は、基地局400から受信した検知誤差時間を用いて、インパルスの往復時間を補正してもよい。
【0121】
また、上記実施例4のように、TWR測距方式やTOA測位方式を用いる場合、検知余裕と検知誤差時間との関係は、TWR測距方式を用いて算出してもよい。図17を用いて具体的に説明する。図17は、検知余裕と検知誤差時間との関係の算出処理例を示す図である。
【0122】
図17に示した例では、検知余裕と検知誤差時間との関係を算出する場合に、2個の端末40Aと端末40Bとが、可変ATT4を介して有線接続される。なお、端末40Aは、移動局40であってもよいし、基地局400であってもよい。また、端末40Bは、移動局40であってもよいし、基地局400であってもよい。ただし、ここでは、端末40Aと端末40Bとは、送信出力および受信感度が同一であるものとする。
【0123】
このような構成の下、端末40Aは、端末40Bまでの距離を測定する。そして、可変ATT4のATT値を変動させて、端末40Aおよび40Bが受信限界に達した際のATT値を検出する。続いて、算出したATT値から12[dB]を減算し、減算した値を可変ATT4のATT値に設定して、端末40Aによって測定された端末40Bまでの距離を取得する。そして、端末40Aによる測距処理の結果を、光速cの2倍で除算することにより、時間を取得する。そして、取得した時間を基準とするために、移動局40や基地局400は、ここで取得された時間が「0」になるように製造時に調整される。そして、可変ATT4のATT値を変動させながら、端末40Aによる測距処理の結果を光速cの2倍で除算した時間を計測することにより、図7に示したような検知余裕と検知誤差時間との関係を算出する。
【実施例5】
【0124】
上記実施例4では、1個のフレームに含まれる測距測位部のインパルスを減衰させる例を示した。しかし、移動局が複数のフレームを基地局へ送信し、基地局がフレームごとにインパルスを減衰させることにより検知余裕を検出してもよい。また、基地局が複数のフレームを移動局へ送信し、移動局がフレームごとにインパルスを減衰させることにより検知余裕を検出してもよい。そして、移動局が、自装置の検知余裕と、基地局の検知余裕とを取得して、インパルスの往復時間を補正して測距を行うようにしてもよい。そこで、実施例5では、移動局および基地局が複数のフレームを送信し、基地局が、自装置の検知余裕と、基地局の検知余裕を取得する例について説明する。
【0125】
[実施例5の概要]
まず、実施例5に係る無線測距測位システムSY5の概要について説明する。実施例5における移動局50や基地局500が複数のフレームを送信する場合、インパルスの電波強度を減衰させる態様として、以下に示す(1)〜(4)が考えられる。
【0126】
(1)移動局50 :電波強度が同一であるインパルスを送信する。
基地局500:受信したインパルスをフレームごとに徐々に減衰させる。
(2)移動局50 :フレームごとに電波強度を減衰させたインパルスを送信する。
基地局500:受信したインパルスを減衰させない。
(3)基地局500:電波強度が同一であるインパルスを送信する。
移動局50 :受信したインパルスをフレームごとに徐々に減衰させる。
(4)基地局500:フレームごとに電波強度を減衰させたインパルスを送信する。
移動局50 :受信したインパルスを減衰させない。
【0127】
上記(1)の態様の場合、基地局500は、移動局50から送信されるフレームを受信し、フレームごとにインパルスの電波強度を減衰させて、減衰後のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、検知余裕を検出する。そして、基地局500は、検出した検知余裕を移動局50へ送信する。
【0128】
上記(2)の態様の場合、基地局500は、移動局50から送信されるフレームを受信し、フレームごとに電波強度の異なるインパルスを検知できるか否かを判定することにより、検知余裕を検出する。そして、移動局50は、基地局500からインパルスが送信されるか否かを判定することにより、基地局500の検知余裕を検出することができる。または、基地局500が、自装置の検知余裕を検出し、検出した検知余裕を移動局50へ送信してもよい。これにより、移動局50は、基地局500の検知余裕を取得することができる。
【0129】
上記(3)の態様の場合、移動局50は、基地局500から送信されるフレームを受信し、フレームごとにインパルスの電波強度を減衰させて、減衰後のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、検知余裕を検出する。
【0130】
上記(4)の態様の場合、移動局50は、基地局500から送信されるフレームを受信し、フレームごとに電波強度の異なるインパルスを検知できるか否かを判定することにより、検知余裕を検出する。
【0131】
以下に、上記(2)と(3)とを用いた例について説明する。すなわち、移動局50は、フレームごとに電波強度を減衰させたインパルスを送信することにより、基地局500の検知余裕を検出する。また、移動局50は、基地局500から受信したインパルスを徐々に減衰させることにより、自装置の検知余裕を検出する。なお、実施例5における移動局50の処理については、図19を用いて詳述する。
【0132】
[実施例5における移動局50の構成]
図18を用いて、実施例5における移動局50の構成について説明する。図18は、実施例5における移動局50の構成例を示す図である。図18に示すように、実施例5における移動局50は、アンテナ21と、スイッチ22と、制御部45と、送信部53と、受信部54とを有する。
【0133】
送信部53は、インパルス発生器23aと、PA23bと、送信側可変ATT53cとを有する。送信側可変ATT53cは、PA23bから出力されたインパルスを減衰させる。例えば、送信側可変ATT53cは、フレームごとに、インパルスを徐々に減衰させる。なお、可変ATT53cに設定されるATT値は、制御部45によって決定される。
【0134】
受信部54は、LNA44aと、受信側可変ATT54bと、インパルス検知部44cと、相関器44dとを有する。受信側可変ATT54bは、図16に示した可変ATT44bと同様に、基地局500から受信したインパルスの電波強度を減衰する。
【0135】
[実施例5における移動局の処理手順]
次に、図19を用いて、実施例5における移動局50による処理の手順について説明する。図19は、実施例5における移動局50による処理手順を示すフローチャートである。
【0136】
図19に示すように、移動局50の検知余裕検出部45bは、まず、変数n1およびn2を「0」に初期化する(ステップS201)。続いて、検知余裕検出部45bは、送信側可変ATT53cのATT値Txに、変数n1を設定する(ステップS202)。また、検知余裕検出部45bは、受信側可変ATT54bのATT値Rxに、変数n2を設定する(ステップS203)。すなわち、この時点において、送信側可変ATT53cのATT値Txと、受信側可変ATT54bのATT値Rxとは、「0」に設定される。
【0137】
続いて、移動局50の送信部53は、基地局500に対して、インパルスを送信する(ステップS204)。このとき、移動局50の制御部45は、インパルスを送信した時刻ta1を記憶しておく。
【0138】
基地局500からのインパルスを受信しない場合(ステップS205否定)、移動局50は、ステップS202に戻って処理を行う。一方、ステップS204において送信したインパルスに応答して、基地局500からインパルスが送信された場合(ステップS205肯定)、検知余裕検出部45bは、変数n1に定数値dn1を加算する。そして、検知余裕検出部45bは、送信側可変ATT53cのATT値Txに、変数n1を設定する(ステップS206)。このとき、移動局50の初期検出部45aは、インパルス検知部44cによってインパルスが検知されたインパルス検知時刻ta2を記憶しておく。
【0139】
続いて、送信部53は、基地局500に対して、インパルスを送信する(ステップS207)。すなわち、送信部53は、送信側可変ATT53cによって減衰されたインパルスを基地局500へ送信する。
【0140】
ステップS207において送信したインパルスに応答して、基地局500からインパルスが送信された場合(ステップS208肯定)、検知余裕検出部45bは、変数n1に定数値dn1を加算し、送信側可変ATT53cのATT値Txに、変数n1を設定する(ステップS206)。
【0141】
移動局50は、ステップS207において送信したインパルスに応答して、基地局500からインパルスが送信されている場合(ステップS208肯定)、ステップS206およびS207における処理手順を繰り返し行う。すなわち、移動局50は、送信側可変ATT53cのATT値Txを徐々に増加させることにより、徐々に減衰されたインパルスを基地局500へ送信する。
【0142】
一方、基地局500がステップS207において送信したインパルスに応答せずに、インパルスを送信しない場合(ステップS208否定)、検知余裕検出部45bは、「n1−dn1」を基地局500の検知余裕として検出する(ステップS209)。そして、検知余裕検出部45bは、送信側可変ATT53cのATT値Txを「0」に初期化する(ステップS210)。
【0143】
続いて、検知余裕検出部45bは、変数n2に定数値dn2を加算し、受信側可変ATT54bのATT値Rxに、変数n2を設定する(ステップS211)。続いて、送信部53は、基地局500に対して、インパルスを送信する(ステップS212)。
【0144】
ステップS212において送信したインパルスに応答して、基地局500から送信されたインパルスを受信した場合(ステップS213肯定)、検知余裕検出部45bは、変数n2に定数値dn2を加算し、受信側可変ATT54bのATT値Rxに、変数n2を設定する(ステップS211)。
【0145】
移動局50は、ステップS212において送信したインパルスに応答して、基地局500から送信されたインパルスを受信している場合(ステップS213肯定)、ステップS211およびS212における処理手順を繰り返し行う。すなわち、移動局50は、受信側可変ATT54bのATT値Rxを徐々に増加させることにより、徐々に減衰されたインパルスを受信する。
【0146】
一方、基地局500から送信されたインパルスを受信しない場合(ステップS213否定)、検知余裕検出部45bは、「n2−dn2」を移動局50の検知余裕として検出する(ステップS214)。
【0147】
続いて、補正部45cは、検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、ステップS209において算出された検知余裕に対応する検知誤差時間taxを特定するとともに、ステップS214において算出された検知余裕に対応する検知誤差時間tayを特定する。そして、補正部45cは、検知誤差時間taxおよびtayを用いて、移動局50と基地局500との間で送受されたインパルスの往復時間「ta2−ta1」を補正する(ステップS215)。そして、移動局50は、補正した往復時間に基づいて、基地局500までの距離を測距する。
【0148】
なお、図19では、図9に示したステップS104や、S106、S111等における処理手順を省略したが、実際には、移動局50は、ステップS104や、S106、S111等における処理手順を行う。
【0149】
[実施例5の効果]
上述してきたように、実施例5に係る無線測距測位システムSY5では、移動局50が、移動局50および基地局500の検知余裕を検出して、インパルスの往復時間を補正する。このため、実施例5に係る無線測距測位システムSY5は、測距測位を高精度に行うことができる。
【実施例6】
【0150】
ところで、本願の開示する無線測距測位システム等は、上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、実施例6では、本願の開示する無線測距測位システム等の他の実施例について説明する。
【0151】
[検知余裕検出処理]
上記実施例1〜5では、インパルスの電波強度を徐々に減衰させることにより、移動局や基地局の検知余裕を検出する例を説明した。しかし、移動局や基地局は、二分探索を用いて検知余裕を検出してもよい。図20を用いて具体的に説明する。図20は、二分探索を用いて検知余裕を検出する処理の一例を示す図である。
【0152】
ここでは、実施例2に係る基地局200による処理を例に挙げて説明する。例えば、図20に示した例において、基地局200が、移動局20から電波強度32[dBm]のインパルスを受信したものとする。かかる場合に、基地局200は、次に、移動局20から受信したインパルスの電波強度16[dBm]に減衰させる。そして、電波強度を16[dBm]に減衰させたインパルスを検知できた場合、基地局200は、次に受信したインパルスの電波強度8[dBm]に減衰させる。一方、電波強度16[dBm]のインパルスを検知できなかった場合、基地局200は、次に受信したインパルスの電波強度を24[dBm]に減衰させる。このようにして、基地局200は、二分探索を用いることにより、効率よく検知余裕を検出することができる。
【0153】
[プログラム]
また、上記実施例1〜5で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図21を用いて、上記の実施例1〜5における移動局や基地局と同様の機能を有する測距測位プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
【0154】
図21は、測距測位プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図21に示すように、コンピュータ1000は、RAM(Random Access Memory)1010、キャッシュ1020、HDD1030、ROM(Read Only Memory)1040、およびCPU1050が、バス1060によって接続されている。
【0155】
ROM1040には、上述した制御部250や制御部45と同様の機能を発揮する測距測位プログラムが予め記憶されている。具体的には、ROM1040には、初期検出プログラム1041と、検知余裕検出プログラム1042と、補正プログラム1043とが記憶されている。
【0156】
そして、CPU1050は、これらの初期検出プログラム1041と、検知余裕検出プログラム1042と、補正プログラム1043とを読み出して実行する。これにより、図21に示すように、初期検出プログラム1041は、初期検出プロセス1051になる。また、検知余裕検出プログラム1042は、検知余裕検出プロセス1052になる。また、補正プログラム1043は、補正プロセス1053になる。
【0157】
また、HDD1030には、図21に示すように、測距測位用データ1031が設けられる。なお、測距測位用データ1031は、例えば、図7に示したような検知余裕と検知誤差時間との関係を示す情報などが記憶される。
【0158】
なお、上記した各プログラム1041〜1043については、必ずしもROM1040に記憶させなくてもよい。例えば、コンピュータ1000に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラム1041等を記憶させてもよい。または、コンピュータ1000の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」にプログラム1041等を記憶させてもよい。または、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ1000に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」にプログラム1041等を記憶させてもよい。そして、コンピュータ1000は、上述したフレキシブルディスク等から各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0159】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0160】
(付記1)送信機によってインパルスが送信された時刻と、受信機によって前記インパルスが受信された時刻とに基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、
前記受信機は、
前記送信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記受信機の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出部によって検出された検知時刻を補正する補正部と
を備えたことを特徴とする無線測距測位システム。
【0161】
(付記2)前記予め決められた測距測位用インパルスは測距測位部の先頭インパルスであることを特徴とする付記1に記載の無線測距測位システム。
【0162】
(付記3)前記関係は、前記送信機と、前記受信機と、前記送信機と前記受信機の間に接続されるケーブル及び減衰器とを用いて求めることを特徴とする付記1に記載の無線測距測位システム。
【0163】
(付記4)前記送信機は、
複数の同強度のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記受信機は、
前記送信部によって送信されたフレームに含まれる各インパルスが異なる電波強度になるように、前記各インパルスの電波強度を減衰させる減衰部をさらに備え、
前記検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記各インパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【0164】
(付記5)前記送信機は、
電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記検知余裕検出部は、前記送信部によって送信された前記電波強度の異なる複数のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【0165】
(付記6)前記送信機は、
複数の同強度のインパルスを含む複数のフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記受信機は、
前記送信部によって送信された前記フレームに含まれるインパルスを、フレームごとに異なる電波強度になるように減衰させる減衰部をさらに備え、
前記検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記フレームに含まれるインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【0166】
(付記7)前記送信機は、
フレームごとに電波強度の異なるインパルスを含む複数のフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記検知余裕検出部は、前記送信部によって送信された前記フレームに含まれるインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【0167】
(付記8)複数の受信機の補正部によって補正された検知時刻に基づいて、前記受信機と前記送信機との距離、および、前記送信機の位置を測定する測距測位部をさらに備えたことを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【0168】
(付記9)送信機と受信機との間で送受されるインパルスの往復時間に基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、
前記受信機は、
前記送信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する第一の初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記受信機の受信限界強度との差である検知余裕を検出する第一の検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記第一の検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いてインパルスを送信する時刻を補正する第一の補正部とを備え、
前記送信機は、
前記受信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する第二の初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記送信機の受信限界強度との差である検知余裕を算出する第二の検知余裕検出部と、
前記検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記第二の検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記第二の初期検出部によって検出された検知時刻を補正する第二の補正部と
を備えたことを特徴とする無線測距測位システム。
【0169】
(付記10)前記受信機は、
前記第一の補正部によって特定された検知誤差時間を、前記送信機へ送信する第一の送信部をさらに備え、
前記第二の補正部は、前記第一の送信部によって送信された検知誤差時間を用いて、前記往復時間を補正することを特徴とする付記9に記載の無線測距測位システム。
【0170】
(付記11)前記受信機は、
前記第一の補正部によって補正された時刻に、複数の同強度のインパルスを含むフレームを前記送信機へ送信する第一の送信部をさらに備え、
前記送信機は、
前記第一の送信部によって送信されたフレームに含まれる各インパルスが異なる電波強度になるように、各インパルスの電波強度を減衰させる減衰部をさらに備え、
前記第二の検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記各インパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記9に記載の無線測距測位システム。
【0171】
(付記12)前記受信機は、
前記第一の補正部によって補正された時刻に、電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを前記送信機へ送信する第一の送信部をさらに備え、
前記第二の検知余裕検出部は、前記第一の送信部によって送信された電波強度の異なる複数のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記9に記載の無線測距測位システム。
【0172】
(付記13)前記送信機は、
複数の同強度のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する第二の送信部をさらに備え、
前記受信機は、
前記第二の送信部によって送信されたフレームに含まれる各インパルスが異なる電波強度になるように、各インパルスの強度を減衰させる減衰部をさらに備え、
前記第一の検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記各インパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記9に記載の無線測距測位システム。
【0173】
(付記14)前記送信機は、
電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する第二の送信部をさらに備え、
前記第一の検知余裕検出部は、前記第二の送信部によって送信された電波強度の異なる複数のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする付記9に記載の無線測距測位システム。
【0174】
(付記15)送信機と受信機との間で送受されるインパルスの往復時間に基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、
前記送信機は、
フレームごとに電波強度の異なるインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する送信部と、
前記受信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、
前記受信機によって送信されたインパルスの電波強度と前記送信機の受信限界強度との差である前記送信機の検知余裕を検出するとともに、前記送信部によって送信されたインパルスに応答して前記受信機からインパルスが送信されるか否かを判定することにより前記受信機の検知余裕を検出する検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された前記送信機の検知余裕に対応する検知誤差時間を特定するとともに、前記検知余裕検出部によって検出された前記受信機の検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて、前記初期検出部によってインパルスが検知された検知時刻と、前記送信部によって最初にフレームが送信された時刻との差である往復時間を補正する補正部と
を備えたことを特徴とする無線測距測位システム。
【0175】
(付記16)他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置であって、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出部によって検出された検知時刻を補正する補正部と
を備えたことを特徴とする測距測位装置。
【0176】
(付記17)他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置による測距測位方法であって、
前記測距測位装置が、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出ステップと、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出ステップと、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出ステップによって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出ステップによって検出された検知時刻を補正する補正ステップと
を含んだことを特徴とする測距測位方法。
【0177】
(付記18)他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置に実行させる測距測位プログラムであって、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出手順と、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出手順と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出手順によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出手順によって検出された検知時刻を補正する補正手順と
を含んだことを特徴とする測距測位プログラム。
【符号の説明】
【0178】
SY1〜SY5 無線測距測位システム
1 測位サーバ
2、4 可変ATT
3 タイムインターバルアナライザ
10 送信機
20、30、40、50 移動局
21、210 アンテナ
22、220 スイッチ
23、33、53、230 送信部
23a、231 インパルス発生器
23b、232 PA
24、44、54、240 受信部
25、45、250 制御部
33c、44b、242 可変ATT
44a、241 LNA
44c、243 インパルス検知部
44d、244 相関器
45a、101、251 初期検出部
45b、102、252 検知余裕検出部
45c、103、253、453 補正部
53c 送信側可変ATT
54b 受信側可変ATT
100 受信機
200、200a〜200c、400、400a〜400c、500 基地局
1000 コンピュータ
1020 キャッシュ
1030 HDD
1031 測距測位用データ
1040 ROM
1041 初期検出プログラム
1042 検知余裕検出プログラム
1043 補正プログラム
1050 CPU
1051 初期検出プロセス
1052 検知余裕検出プロセス
1053 補正プロセス
1060 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機によってインパルスが送信された時刻と、受信機によって前記インパルスが受信された時刻とに基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、
前記受信機は、
前記送信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記受信機の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出部によって検出された検知時刻を補正する補正部と
を備えたことを特徴とする無線測距測位システム。
【請求項2】
前記予め決められた測距測位用インパルスは測距測位部の先頭インパルスであることを特徴とする請求項1に記載の無線測距測位システム。
【請求項3】
前記関係は、前記送信機と、前記受信機と、前記送信機と前記受信機の間に接続されるケーブル及び減衰器とを用いて求めることを特徴とする請求項1に記載の無線測距測位システム。
【請求項4】
前記送信機は、
複数の同強度のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記受信機は、
前記送信部によって送信されたフレームに含まれる各インパルスが異なる電波強度になるように、前記各インパルスの電波強度を減衰させる減衰部をさらに備え、
前記検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記各インパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【請求項5】
前記送信機は、
電波強度の異なる複数のインパルスを含むフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記検知余裕検出部は、前記送信部によって送信された前記電波強度の異なる複数のインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【請求項6】
前記送信機は、
複数の同強度のインパルスを含む複数のフレームを前記受信機へ送信する送信部を備え、
前記受信機は、
前記送信部によって送信された前記フレームに含まれるインパルスを、フレームごとに異なる電波強度になるように減衰させる減衰部をさらに備え、
前記検知余裕検出部は、前記減衰部によって減衰された前記フレームに含まれるインパルスを検知できるか否かを判定することにより、前記検知余裕を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線測距測位システム。
【請求項7】
送信機と受信機との間で送受されるインパルスの往復時間に基づいて、前記送信機と前記受信機との距離および前記送信機の位置を測定する無線測距測位システムであって、
前記受信機は、
前記送信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する第一の初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記受信機の受信限界強度との差である検知余裕を検出する第一の検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記第一の検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いてインパルスを送信する時刻を補正する第一の補正部とを備え、
前記送信機は、
前記受信機によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する第二の初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記送信機の受信限界強度との差である検知余裕を算出する第二の検知余裕検出部と、
前記検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記第二の検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記第二の初期検出部によって検出された検知時刻を補正する第二の補正部と
を備えたことを特徴とする無線測距測位システム。
【請求項8】
他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置であって、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出部と、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出部と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出部によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出部によって検出された検知時刻を補正する補正部と
を備えたことを特徴とする測距測位装置。
【請求項9】
他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置による測距測位方法であって、
前記測距測位装置が、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出ステップと、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出ステップと、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出ステップによって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出ステップによって検出された検知時刻を補正する補正ステップと
を含んだことを特徴とする測距測位方法。
【請求項10】
他の測距測位装置との間でインパルスを送受する測距測位装置に実行させる測距測位プログラムであって、
前記他の測距測位装置によって送信されたインパルスのうち、予め決められた測距測位用インパルスの検知時刻を記録する初期検出手順と、
前記インパルスの電波強度と、前記測距測位装置の受信限界強度との差である検知余裕を検出する検知余裕検出手順と、
予め求められた検知余裕と検知誤差時間との関係に基づいて、前記検知余裕検出手順によって検出された検知余裕に対応する検知誤差時間を特定し、特定した検知誤差時間を用いて前記初期検出手順によって検出された検知時刻を補正する補正手順と
を含んだことを特徴とする測距測位プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−281798(P2010−281798A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137631(P2009−137631)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト、ロボット搬送システム(サービスロボット分野)、環境情報の構造化を利用した搬送ロボットシステムの開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】