説明

無線端末

【課題】複数の無線回路の選択制御及びアンテナの動作周波数制御を同期可能な無線端末を提供する。
【解決手段】無線端末は、アンテナ素子311と、アンテナ素子の動作周波数を周波数制御信号に従って制御する周波数切り替え回路300とを含むアンテナ310と、無線信号処理を行う複数の無線回路10,20と、アンテナと複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチ30と、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、周波数制御信号及び接続制御信号を生成する生成部110とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リコンフィギュアブルアンテナと複数の無線回路とを備える無線端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GSM(Global System for Mobile Communications)、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)などの様々な無線通信システムが確立されている。また、これら無線通信システムの多様化に伴い、複数の無線通信システムをサポートする無線端末(携帯電話機、PCなど)への技術的要請が高まりつつある。
【0003】
複数の無線通信システムをサポートするためには、広帯域なアンテナが要求される。一方、無線端末に搭載されるアンテナは、小型であることも要求される。一般に、アンテナの小型化とアンテナの広帯域化との間にはトレードオフが生じる。これら2つの要求の解として、いわゆるリコンフィギュアブルアンテナが知られている。リコンフィギュアブルアンテナは、限られた動作帯域を動的に切り替えることにより、実質的に広帯域をカバーできる。
【0004】
リコンフィギュアブルアンテナ技術の一例として、特許文献1を紹介する。特許文献1記載の携帯電話装置は、使用する無線通信システムの帯域に基づいて、グラウンド長を動的に変更している。特許文献1記載の携帯電話装置によれば、使用する無線通信システムに関して、アンテナ特性(各周波数の放射パターン)を最適化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−332938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線端末は、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えを実現するために、複数の無線回路を備えるように設計されることもある。通常、複数の無線回路を備える無線端末は、アンテナと複数の無線回路との間を選択的に接続するアンテナスイッチも備えている。そして、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに基づいて、無線モジュールがアンテナスイッチを制御して、複数の無線回路のうちいずれか1つがアンテナに接続される。
【0007】
複数の無線回路を備える無線端末において、アンテナに特許文献1またはその他のリコンフィギュアブルアンテナ技術を適用することを仮定する。ここで、複数の無線回路の選択制御(即ち、アンテナスイッチの制御)及びリコンフィギュアブルアンテナの動作周波数制御は、別個の技術である。しかしながら、両者を組み合わせて実行する以上、両者を同期(連動)させることが望ましい。尚、両者の同期を実現するための構成について、特許文献1を含む従来技術において開示も示唆もされていない。
【0008】
従って、本発明は、複数の無線回路の選択制御及びアンテナの動作周波数制御を同期可能な無線端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る無線端末は、アンテナ素子と、前記アンテナ素子の動作周波数を周波数制御信号に従って制御する周波数切り替え回路とを含むアンテナと、無線信号処理を行う複数の無線回路と、前記アンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記周波数制御信号及び前記接続制御信号を生成する生成部とを具備する。
【0010】
本発明の他の態様に係る無線端末は、アンテナ素子と、前記アンテナ素子の動作周波数を周波数制御信号に従って制御する周波数切り替え回路とを含むアンテナと、無線信号処理を行う複数の無線回路と、前記アンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記接続制御信号を生成する生成部と、前記接続制御信号を前記周波数制御信号に変換する変換回路とを具備する。
【0011】
本発明の他の態様に係る無線端末は、無線信号処理を行う複数の無線回路と、周波数制御信号によって動作周波数を制御可能なアンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記周波数制御信号及び前記接続制御信号を生成する生成部とを具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の無線回路の選択制御及びアンテナの動作周波数制御を同期可能な無線端末が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図3】第2の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図5】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図6】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図7】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図8】第1の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図9】第2の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図10】第2の実施形態に係る無線端末の一例を示すブロック図。
【図11A】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図11B】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図11C】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図12A】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図12B】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図12C】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図12D】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図13A】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【図13B】周波数切り替え回路の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る無線端末は、第1のRF回路10、第2のRF回路20、アンテナスイッチ30、無線モジュール100及びアンテナ310を有する。図1の無線端末は、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、第1のRF回路10及び第2のRF回路20を切り替えて利用する。また、アンテナ310は、いわゆるリコンフィギュアブルアンテナ(周波数チューナブルアンテナ)である。
【0015】
第1のRF回路10は、第1の無線信号処理を行う。第2のRF回路20は、第2の無線信号処理を行う。第1の無線信号処理及び第2の無線信号処理は、相補的である。例えば、第1の無線信号処理は送信のための処理であり、第2の無線信号処理は受信のための処理である。また、例えば、第1の無線信号処理は図1の無線端末がサポートする複数の無線通信システムのうち一部のための処理であり、第2の無線信号処理は残部のための処理である。即ち、第1のRF回路10及び第2のRF回路20は、図1の無線端末に必要な無線信号処理を分担している。尚、図1の無線端末は、3つ以上のRF回路を備えてもよい。
【0016】
送信に関して、第1のRF回路10及び第2のRF回路20は、無線モジュール100からのベースバンド信号を無線周波数帯にアップコンバートしてアンテナスイッチ30を介してアンテナ310に入力する。受信に関して、第1のRF回路10及び第2のRF回路20は、アンテナスイッチ30からの無線信号をベースバンドにダウンコンバートして無線モジュール100に入力する。
【0017】
アンテナスイッチ30は、後述する接続制御信号に従って、第1のRF回路10及び第2のRF回路20のいずれか1つとアンテナ310とを接続する
アンテナ310は、周波数切り替え回路300及びアンテナ素子311を含む。受信に関して、アンテナ310は空間から無線信号を受信し、アンテナスイッチ30を介して第1のRF回路10または第2のRF回路20に供給する。送信に関して、アンテナ310はアンテナスイッチ30からの無線信号を空間に放射する。
【0018】
周波数切り替え回路300には、後述する周波数制御信号が入力される。周波数切り替え回路300は、この周波数制御信号に従ってアンテナ素子311の動作周波数を切り替える。例えば、周波数切り替え回路300は、例えば周波数制御信号によって接続を切り替えるスイッチ(MESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、PIN(p-intrinsic-n)ダイオードなど)または周波数制御信号によって容量値が変化する可変容量素子(MEMS、バリキャップダイオードなど)と、チップ部品(インダクタ、コンデンサ、抵抗などの集中定数素子)との組み合わせである。尚、周波数切り替え回路300として、その他の任意の既存回路が適用されてよい。
【0019】
アンテナ素子311は、いわゆる折り返しモノポールアンテナである。アンテナ素子310の復路部(接地点側)には周波数切り替え回路300が挿入される。尚、折り返しモノポールアンテナをその他のアンテナ素子に置き換えても本実施形態に係る無線端末は実装可能である。具体的には、例えばアンテナ素子311は、逆Lアンテナ、逆Fアンテナ、折り返しアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナなどであってもよい。図2は、逆Lアンテナをアンテナ素子321として含むアンテナ320を採用した場合における、本実施形態に係る無線端末を示している。
【0020】
無線モジュール100は、ベースバンド信号処理、プロトコル処理などを含む種々の処理を行う。無線モジュール100は、制御信号生成部110を含む。制御信号生成部110は、接続制御信号及び周波数制御信号を生成する。
【0021】
従来、接続制御信号を生成するために、無線通信システムの種別または送受信の状態を接続制御信号の値に対応付ける変換テーブルが利用されている。制御信号生成部110は、この既存の変換テーブルを修正して利用する。即ち、制御信号生成部110は、無線通信システムの種別または送受信の状態を接続制御信号の値及び周波数制御信号の値に対応付ける変換テーブルを利用して、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じた接続制御信号及び周波数制御信号を生成する。周波数制御信号の出力端子として、無線モジュール100の空きポートが利用可能である。
【0022】
このように、共通の変換テーブルを利用して接続制御信号及び周波数制御信号を生成することにより、複数の無線回路(第1のRF回路10及び第2のRF回路20)の選択制御とアンテナ310の動作周波数制御との間の同期が保証される。尚、第1のRF回路10及び第2のRF回路20の安定動作の観点からすると、周波数切り替え回路300の切り替えタイミングは、アンテナスイッチ30の切り替えタイミングに比べて早いことが望ましい。このような両者のタイミング関係を確保するために、無線モジュール100または制御信号生成部110のパラメータを制御したり、遅延素子を利用したりしてもよい。
【0023】
以下、図4を用いて本実施形態に係る無線端末についてより具体的に説明する。図4の無線端末は、図1の無線端末においてアンテナ310をアンテナ340に置き換えた構成に相当する。
【0024】
アンテナ340は、2つのアンテナ素子341,342を含む。アンテナ素子341は、折り返しモノポールアンテナである。アンテナ素子341の往路部の一点と復路部の一点との間はスタブ343によって短絡されている。アンテナ素子342は、アンテナ素子341の往路部から分岐した逆Lアンテナである。周波数切り替え回路300は、アンテナ素子341の復路部に挿入される。
【0025】
ここで、アンテナ素子341の始点から往路部とスタブ343と復路部とを経由してアンテナ素子341の終点に至るまでの電気長は、アンテナ素子342の共振周波数に対応する波長の略1/2倍であることが望ましい。スタブ343をこのように設計することにより、アンテナ素子342の共振周波数への周波数切り替え回路300による影響を低減できる。即ち、アンテナ素子341の共振周波数が切り替えられたとしても、アンテナ素子342の共振周波数は変化しにくくなる。このように、アンテナ340によれば周波数切り替え回路300の影響を受けにくい共振モードを追加できる。一般に、アンテナを小型化するほど動作周波数を低く設計することが困難となる。故に、動作周波数を切り替え可能なアンテナ素子341を周波数の低い無線通信システムに割り当て、動作周波数の変化しにくいアンテナ素子342を周波数の高い無線通信システムに割り当てることにより、多数の無線通信システムをサポートすることが可能となる。例えば、アンテナ素子342の動作帯域を1.7GHz−2.1GHz帯に設定すれば、GSM1800、GSM1900、WCDMAI(2GHz帯)、WCDMAII(1.9GHz帯)などのサポートが可能となる。一方、周波数切り替え回路300を利用してアンテナ素子341の動作帯域を800MHz−900MHz帯に設定すれば、GSM850、WCDMAVI(850MHz帯)、GSM900(900MHz帯)などのサポートが可能となる。
【0026】
図1、図2及び図4の無線端末において1つの周波数切り替え回路300が設けられているが、本実施形態に係る無線端末は複数の周波数切り替え回路300を備えてもよい。複数の周波数切り替え回路300を設けることにより、アンテナの動作周波数のより細かな制御が可能となる。周波数切り替え回路300の配置は、3カ所に類型化できる。具体的には、(1)アンテナ素子の(給電点側での短絡点を含む)、(2)アンテナ素子の先端(折り返しアンテナに関しては折り返し点)側及び(3)アンテナ素子の短絡点(接地点)側である。但し、アンテナ素子に短絡点が存在しない場合には、当然ながらアンテナ素子の短絡点側に周波数切り替え回路300を設けることは不可能である。周波数切り替え回路300の詳細な配置は、周波数切り替え回路300に含まれるアクティブ素子による損失などを考慮して設計的に定められる。
【0027】
以下、折り返しモノポールアンテナに2つの周波数切り替え回路300−1,300−2を設ける場合における本実施形態に係る無線端末の構成例を説明する。
図5及び図6の無線端末において、(1)アンテナ素子351の給電点側及び(3)アンテナ素子351の短絡点側に周波数切り替え回路300−1,300−2が夫々設けられている。図5の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は共通の周波数制御信号によって制御されている。一方、図6の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は個別の周波数制御信号によって制御されている。図5の無線端末のように、共通の周波数制御信号によって複数の周波数切り替え回路300を制御すれば、制御信号生成部110を簡素な構成(即ち、周波数切り替え回路300が1つである場合と同様の構成)で実現できる。一方、図6の無線端末のように、個別の周波数制御信号によって複数の周波数切り替え回路300を制御すれば、個々の周波数切り替え回路300を独立に制御できるので、アンテナの動作周波数をより細かく制御できる。但し、個別の周波数制御信号を生成する場合には、複数の周波数制御信号のための複数の出力端子(無線モジュール100の空きポート)が必要となる。
【0028】
図7は、(1)アンテナ素子361の給電点側及び(2)アンテナ素子361の折り返し点側に周波数切り替え回路300−1,300−2を設けた場合における本実施形態に係る無線端末を示している。尚、図7の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は個別の周波数制御信号によって制御されてもよい。図8は、(2)アンテナ素子371の折り返し点側及び(3)アンテナ素子371の短絡点側に周波数切り替え回路300−1,300−2を設けた場合における本実施形態に係る無線端末を示している。尚、図8の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は個別の周波数制御信号によって制御されてもよい。
【0029】
以下、周波数切り替え回路300の具体例を紹介する。
図11A、図11B及び図11Cに示すように、周波数切り替え回路300は、例えば2選択のスイッチと2つのチップ部品とで構成されてもよい。図12A及び図12Cに示すように、周波数切り替え回路300は、例えば3選択のスイッチと3つのチップ部品とで構成されてもよい。図12B及び図12Dに示すように、周波数切り替え回路300は、例えば3選択のスイッチと2つのチップ部品とで構成されてよい。その他、4選択以上のスイッチが周波数切り替え回路300に組み込まれてもよい。但し、一般に、スイッチの選択数が増えるほどアンテナの動作周波数を細かく制御できるようになるが、周波数制御信号の情報量(ビット長)は増大する。また、図13A及び図13Bに示すように、周波数切り替え回路300は例えばバリキャップダイオードのみで簡易に構成されてもよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る無線端末は、共通の変換テーブルを用いて、複数の無線回路の選択制御のための接続制御信号とリコンフィギュアブルアンテナの動作周波数制御のための周波数制御信号とを生成している。従って、本実施形態に係る無線端末によれば、複数の無線回路の選択制御とリコンフィギュアブルアンテナの動作周波数制御との間の同期を実現できる。
【0031】
(第2の実施形態)
図3に示すように、本発明の第2の実施形態に係る無線端末は、第1のRF回路10、第2のRF回路20、アンテナスイッチ30、無線モジュール200、信号変換回路220及びアンテナ310を有する。図1の無線端末は、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、第1のRF回路10及び第2のRF回路20を切り替えて利用する。以下の説明では、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して示し、異なる部分を中心に述べる。
【0032】
無線モジュール200は、制御信号生成部210を含む。尚、無線モジュール200における制御信号生成部210以外の構成要素と、無線モジュール100における制御信号生成部110以外の構成要素とは同一でよい。
【0033】
制御信号生成部210は、接続制御信号を生成する。具体的には、制御信号生成部210は、無線通信システムの種別または送受信の状態を接続制御信号の値に対応付ける既存の変換テーブルを利用して、無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じた接続制御信号を生成する。制御信号生成部210は、接続制御信号をアンテナスイッチ30及び信号変換回路220に入力する。
【0034】
信号変換回路220は、制御信号生成部210からの接続制御信号を周波数制御信号に変換し、周波数切り替え回路300に入力する。例えば、信号変換回路220は、接続制御信号の値を対応する周波数制御信号の値に変換するための論理演算を行う論理回路である。このように、信号変換回路220が周波数制御信号を生成すれば、制御信号生成部210が利用する既存の変換テーブルへの修正は不要となり、無線モジュール200において周波数制御信号のための追加の出力端子も不要となる。
【0035】
図3の無線端末において1つの周波数切り替え回路300が設けられているが、本実施形態に係る無線端末は複数の周波数切り替え回路300を備えてもよい。複数の周波数切り替え回路300を設けることにより、アンテナの動作周波数のより細かな制御が可能となる。周波数切り替え回路300の配置は、3カ所に類型化できる。具体的には、(1)アンテナ素子の給電点側、(2)アンテナ素子の先端(折り返しアンテナに関しては折り返し点)側及び(3)アンテナ素子の短絡点(接地点)側である。但し、アンテナ素子に短絡点が存在しない場合には、当然ながらアンテナ素子の短絡点側に周波数切り替え回路300を設けることは不可能である。周波数切り替え回路300の詳細な配置は、周波数切り替え回路300に含まれるアクティブ素子による損失などを考慮して設計的に定められる。
【0036】
以下、折り返しモノポールアンテナに2つの周波数切り替え回路300−1,300−2を設ける場合における本実施形態に係る無線端末の構成例を説明する。
図9及び図10に示す無線端末において、(1)アンテナ素子351の給電点側及び(3)アンテナ素子351の短絡点側に周波数切り替え回路300−1,300−2が夫々設けられている。尚、周波数切り替え回路300−1,300−2は、(1)アンテナ素子の給電点側及び(2)アンテナ素子の折り返し点側に夫々設けられてもよいし、(2)アンテナ素子の折り返し点側及び(3)アンテナ素子の短絡点側に夫々設けられてもよい。図9の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は信号変換回路220からの共通の周波数制御信号によって制御されている。一方、図10の無線端末において、周波数切り替え回路300−1,300−2は信号変換回路220−1,220−2からの個別の周波数制御信号によって制御されている。図9の無線端末のように、共通の周波数制御信号によって複数の周波数切り替え回路300を制御すれば、信号変換回路220を簡素な構成(即ち、周波数切り替え回路300が1つである場合と同様の構成)で実現できる。一方、図10の無線端末のように、個別の周波数制御信号によって複数の周波数切り替え回路300を制御すれば、個々の周波数切り替え回路300を独立に制御できるので、アンテナの動作周波数をより細かく制御できる。但し、個別の周波数制御信号を生成する場合には、複数の周波数制御信号を生成するための複数の信号変換回路が必要となる。即ち、無線端末の回路規模及び消費電力が増加する。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る無線端末は、信号変換回路によって、複数の無線回路の選択制御のための接続制御信号をリコンフィギュアブルアンテナの動作周波数制御のための周波数制御信号に変換している。従って、本実施形態に係る無線端末によれば、既存の無線モジュールに変更を加えることなく、複数の無線回路の選択制御とリコンフィギュアブルアンテナの動作周波数制御との間の同期を実現できる。
【0038】
尚、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10,20・・・RF回路
30・・・アンテナスイッチ
100・・・無線モジュール
110・・・制御信号生成部
200・・・無線モジュール
210・・・制御信号生成部
220・・・信号変換回路
300・・・周波数切り替え回路
310,320,340,350,360,370・・・アンテナ
311,321,341,342,351,361,371・・・アンテナ素子
343・・・スタブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子と、前記アンテナ素子の動作周波数を周波数制御信号に従って制御する周波数切り替え回路とを含むアンテナと、
無線信号処理を行う複数の無線回路と、
前記アンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、
無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記周波数制御信号及び前記接続制御信号を生成する生成部と
を具備する無線端末。
【請求項2】
前記生成部は、前記無線通信システムの種別または前記送受信の状態を前記周波数制御信号の値及び前記接続制御信号の値に対応付けるテーブルを利用する請求項1記載の無線端末。
【請求項3】
アンテナ素子と、前記アンテナ素子の動作周波数を周波数制御信号に従って制御する周波数切り替え回路とを含むアンテナと、
無線信号処理を行う複数の無線回路と、
前記アンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、
無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記接続制御信号を生成する生成部と、
前記接続制御信号を前記周波数制御信号に変換する変換回路と
を具備する無線端末。
【請求項4】
前記変換回路は、前記接続制御信号に論理演算を行って前記周波数制御信号に変換する請求項3記載の無線端末。
【請求項5】
無線信号処理を行う複数の無線回路と、
周波数制御信号によって動作周波数を制御可能なアンテナと前記複数の無線回路のいずれか1つとを接続制御信号に従って接続するアンテナスイッチと、
無線通信システムの切り替えまたは送受信の切り替えに応じて、前記周波数制御信号及び前記接続制御信号を生成する生成部と
を具備する無線端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2011−71597(P2011−71597A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218701(P2009−218701)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】