説明

無線通信を行う通信装置、無線通信システム、無線通信を行う方法、および、コンピュータプログラム

【課題】省電力モードに設定されうる通信装置の利便性を向上することができる技術を提供すること。
【解決手段】無線通信を行う通信装置は、無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、通信装置の動作モードを、データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくともデータ送信部の消費電力が第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、を備える。そして、モード切換部は、通信装置が第2モードである状態で、データ受信部が特定のデータを受信したと判断部が判断した場合に、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行う通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の通信装置の間で、無線通信を行う無線通信システムが知られている。このような無線通信システムは、例えば、通信装置としてアクセスポイントおよび端末装置を用いて、アクセスポイントと端末装置との間で無線通信を行う(特許文献1参照)。このような無線通信システムにおいて、通信装置は、消費電力を抑制するモード(省電力モード)に設定される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−109850公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、省電力モードに設定されうる通信装置は、利便性が十分ではないおそれがあった。例えば、省電力モードに設定されているアクセスポイントと、端末装置を用いて無線通信を行おうとするユーザは、アクセスポイントを直接操作して、省電力モードを解除するなどの作業を行う必要があり、ユーザの負担が増える可能性があった。
【0005】
本発明は、上記の実状を鑑み、省電力モードに設定されうる通信装置の利便性を向上することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
無線通信を行う通信装置であって、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、
無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、
前記通信装置の動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、
前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、
を備え、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
通信装置。
【0008】
上記構成の通信装置によれば、モード切換部は、通信装置が消費電力が抑制された第2モードである状態で、データ受信部が特定のデータを受信したと判断部が判断した場合には、動作モードを第2モードからデータ送信部に電力が供給される第1モードに切り換える。従って、通信装置の動作モードが、消費電力が抑制された第2モードであるとき、通信装置に対して特定のデータを無線通信により送信するという簡易な処理を行うだけで、通信装置の動作モードを第2のモードから第1のモードに切り換えることができる。その結果、消費電力が抑制されたモードに設定されうる通信装置の利便性を向上することができる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の通信装置であって、
前記データ受信部は、
前記第1モードにおいて動作し、前記第2モードにおいて動作しない第1データ受信部と、前記第1データ受信部よりも消費電力が小さく前記第2モードにおいて動作する第2データ受信部と、を含み、
前記判断部は、前記第2データ受信部が前記特定のデータを受信したか否かを判断し、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記第2データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
通信装置。
【0010】
上記構成の通信装置によれば、通信装置が第2モードである状態では、第1データ受信部は動作せず、第1データ受信部よりも消費電力が小さい第2データ受信部が動作する。従って、通信装置が第2モードである状態において、通信装置における消費電力を低減することができる。そして、判断部は、第2データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する。従って、通信装置が第2モードである状態では、第1データ受信部が動作していなくても、判断部は、特定のデータが受信されたか否かを判断することができる。その結果、モード切換部は、通信装置が第2モードである場合に、判断部の判断に基づいて、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えることが可能となる。
【0011】
なお、第1データ受信部が「第2モードにおいて動作しない」とは、第1データ受信部がデータの受信を実現することができない状態をいい、第1データ受信部の一部の機能が動作している状態を含む。
【0012】
[適用例3]
適用例1または適用例2に記載の通信装置であって、
前記通信装置は、無線通信端末と他の通信装置との通信を中継する中継装置であり、
前記データ受信部は、前記無線通信端末から無線通信により前記データを受信し、
前記データ送信部は、前記無線通信端末に対して無線通信により前記データを送信する、
通信装置。
【0013】
上記構成の通信装置によれば、ユーザは、無線通信端末を用いて、通信装置に特定のデータを送信することができる。その結果、通信装置が第2モードである場合に、ユーザは、通信装置を直接操作することなく通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えることができる。
【0014】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の通信装置は、さらに、
前記通信装置を識別するための識別データが格納される識別データ記憶部を備え、
前記特定のデータは、前記識別データ記憶部に格納される前記識別データと一致する識別データである、
通信装置。
【0015】
上記構成の通信装置によれば、特定のデータが、識別データ記憶部に格納される識別データと一致する識別データである。すなわち、モード切換部は、データ受信部が識別データ記憶部に格納される識別データと一致する識別データを受信したと判断部が判断した場合に、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。従って、上記構成の通信装置は、識別データ記憶部に格納された識別データと一致するデータを利用可能な他の無線通信装置からの要求に応じて、適切に動作モードを切り換えることができる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の通信装置は、さらに、
認証データが格納される認証データ記憶部を備え、
前記特定のデータは、前記認証データ記憶部に格納される前記認証データと比較した場合に、正当とみなされる認証データである、
通信装置。
【0017】
上記構成の通信装置によれば、特定のデータが、認証データ記憶部に格納される認証データと比較した場合に、正当とみなされるデータである。すなわち、モード切換部は、データ受信部が正当とみなされる認証データを受信したと判断部が判断した場合に、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。従って、上記構成の通信装置は、認証データ記憶部に格納された認証データに基づいて正当とみなされるデータを利用可能な他の無線通信装置からの要求に応じて、適切に動作モードを切り換えることができる。
【0018】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれかに記載の通信装置であって、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信していないと前記判断部が判断している場合に、前記通信装置の動作モードの切り換えを行わない、
通信装置。
【0019】
上記構成の通信装置によれば、モード切換部は、通信装置が第2モードである状態で、データ受信部が特定のデータを受信していないと判断部が判断している場合に、前記通信装置の動作モードの切り換えを行わない。従って、上記構成の通信装置は、特定のデータを利用できない他の無線通信装置による意図しないモード切り換えを抑制することができる。
【0020】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれかに記載の通信装置であって、
前記データ受信部は、暗号化されたデータを受信し、
前記通信装置は、さらに、前記暗号化されたデータを、暗号化される前のデータである原データに復号処理により変換する復号部を備え、
前記判断部は、
前記原データが前記特定のデータである場合に、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと判断する、
通信装置。
【0021】
上記構成の通信装置によれば、判断部は、復号処理により得られたデータが特定のデータである場合に、データ受信部が特定のデータを受信したと判断する。すなわち、モード切換部は、データ受信部が復号部で復号可能な特定のデータを受信した場合に、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。従って、上記構成の通信装置は、復号部で復号可能な暗号方式を利用可能な他の無線通信装置からの要求に応じて、適切にモードを切り換えることができる。すなわち、上記構成の通信装置は、復号部で復号可能な暗号方式を利用できない他の無線通信装置によって、動作モードの切り換えが行われることを抑制することができる。
【0022】
[適用例8]
適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の通信装置であって、
前記特定のデータは、プローブ要求に含まれている、通信装置。
【0023】
上記構成の通信装置によれば、プローブ要求を受信するというIEEE802.11に準拠した無線通信の開始時において通常行われている処理を利用して、通信装置の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えることができる。従って、通信装置は、動作モードを第2モードから第1モードに切り換えるためだけの特別な通信を行う必要がない。その結果、通信装置は、無駄な通信を行うことなく、動作モードを切り換えることが可能となる。
【0024】
[適用例9]
無線通信システムであって、
第1の通信装置と、
前記第1の通信装置と無線通信を行う第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信する特定データ送信部を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、
前記第1の通信装置に対して無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、
前記通信装置の動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、
前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、
を備え、
前記第2の通信装置の前記モード切換部は、前記第2の通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記第2の通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
無線通信システム。
【0025】
上記構成の無線通信システムによれば、第1の通信装置は、第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信する。そして、第2の通信装置において、モード切換部は、第2の通信装置が消費電力が抑制された第2モードである状態で、特定のデータが受信されたと判断部が判断した場合には、動作モードを第2モードからデータ送信部に電力が供給される第1モードに切り換える。従って、第2の通信装置が消費電力が抑制された第2モードであるとき、第1の通信装置は、第2の通信装置に対して特定のデータを無線通信により送信するという簡易な処理を行うだけで、第2の通信装置の動作モードを第2のモードから第1のモードに切り換えることができる。その結果、消費電力が抑制されたモードに設定されうる通信装置を含む無線通信システムの利便性を向上することができる。
【0026】
[適用例10]
無線通信を行う通信装置であって、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、を備え、前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換え可能な特定通信装置と無線通信可能であり、
前記通信装置は、前記特定のデータを前記特定通信装置に対して送信することによって、前記特定通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替え可能な特定データ送信部を備える、
通信装置。
【0027】
上記構成の通信装置によれば、通信装置は、特定通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信する。これにより、消費電力が抑制された第2モードである特定通信装置の動作モードを、第2モードからデータ送信部に電力が供給される第1モードに切り換えることができる。すなわち、特定通信装置が第2モードであるとき、通信装置は、特定のデータを無線通信により送信するという簡易な処理を行うだけで、特定通信装置の動作モードを第2のモードから第1のモードに切り換えることができるので、通信装置が、消費電力が抑制されたモードに設定されうる特定通信装置と無線通信を行う際の利便性を向上することができる。
【0028】
[適用例11]
第1の通信装置と、第2の通信装置との間で無線通信を行う方法であって、
第2の通信装置は、無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部とを備え、動作モードとして、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとを取ることが可能であり、
前記方法は、
前記第1の通信装置が、前記第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信し、
前記第2の通信装置が、前記特定のデータを前記データ受信部により受信し、
前記第2の通信装置が、前記特定のデータを前記データ受信部により受信したときに、前記第2モードで動作していた場合には、前記動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、方法。
【0029】
上記方法によれば、第1の通信装置は、第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信する。そして、特定のデータを受信した第2の通信装置部は、消費電力が抑制された第2モードで動作していた場合には、動作モードを第2モードからデータ送信部に電力が供給される第1モードに切り換える。従って、第2の通信装置が消費電力が抑制された第2モードであるとき、第1の通信装置は、第2の通信装置に対して特定のデータを無線通信により送信するという簡易な処理を行うだけで、第2の通信装置の動作モードを第2のモードから第1のモードに切り換えることができる。その結果、第1の通信装置が、消費電力が抑制されたモードに設定されうる第2の通信装置と無線通信を行う際の利便性を向上することができる。
【0030】
[適用例12]
無線通信を行う通信装置で用いられるコンピュータプログラムあって、
前記通信装置は、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切り換え可能なモード切換部と、前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、を備え、前記モード切換部は、前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換え可能な特定通信装置と無線通信可能であり、
前記コンピュータプログラムは、
前記特定通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替えるために前記特定のデータを前記特定通信装置に対して送信する機能を
コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【0031】
上記コンピュータプログラムによれば、通信装置に、特定通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信させる。これにより、消費電力が抑制された第2モードである特定通信装置の動作モードを、第2モードからデータ送信部に電力が供給される第1モードに切り換えることができる。すなわち、特定通信装置が第2モードであるとき、通信装置は、特定のデータを無線通信により送信するという簡易な処理を行うだけで、特定通信装置の動作モードを第2のモードから第1のモードに切り換えることができるので、通信装置が、消費電力が抑制されたモードに設定されうる特定通信装置と無線通信を行う際の利便性を向上することができる。
【0032】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、上記コンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することが可能である。また、上記通信装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム等の形態で実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例としてのネットワークシステム1000を示す説明図である。
【図2】中継装置100の構成を示すブロック図である。
【図3】MACフレーム10を示す図である。
【図4】中継装置100が行うウェイクアップ処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施例のネットワークシステムにおける中継装置100Aの構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施例において中継装置100Aが行うウェイクアップ処理を示すフローチャートである。
【図7】第3実施例のネットワークシステムにおける中継装置100Bの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、この発明の実施の形態を実施例と変形例とに基づいて説明する。
【0035】
A.第1実施例:
A1.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としてのネットワークシステム1000を示す説明図である。このネットワークシステム1000は、中継装置100と、中継装置100と有線で接続されたネットワーク800と、中継装置100と無線通信で接続される無線通信端末900a、900bと、を有している。ネットワーク800は、いわゆるLAN(Local Area Network)であり、図示しないルーターを介して、インターネットと接続されている。中継装置100と無線通信端末900a、900bとのそれぞれは、IEEE802.11n規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)通信機器である。
【0036】
本実施例の無線通信端末900a、900bは、同様の構成から成るパーソナルコンピュータである。なお、無線通信端末900a、900bとしては、パーソナルコンピュータに限られず、無線通信が可能な任意の通信装置を採用可能であり、例えば、無線通信機能を備えた家電(テレビジョンやビデオカメラやビデオレコーダー等)や、携帯電話や、PDAなどを採用可能である。
【0037】
無線通信端末900aは、無線インタフェース910と、制御部920とを備えている。
制御部920は、CPU(図示省略)とメモリ(図示省略)を有するコンピュータであり、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって種々の機能を実現することができる。例えば、制御部920は、無線インタフェース910を制御する。
【0038】
無線インタフェース910は、3本のアンテナ(図示省略)を介して、IEEE802.11nに準拠する無線ネットワーク700を用いた通信を行う。なお、無線ネットワーク700の規格としては、IEEE802.11a、b、gのいずれでもよい。また、IEEE802.11以外の規格を採用してもよい。
【0039】
無線インタフェース910は、特定データ送信部912と、特定データ受信部914とを備えている。無線インタフェース910(特定データ送信部912および特定データ受信部914を含む)は、専用のハードウェア回路によって実現される。特定データ送信部912は、無線ネットワーク700を介して、後述するプローブ要求(Probe Request)などの種々のデータを送信する。特定データ受信部914は、無線ネットワーク700を介して、後述するプローブ応答(Probe Response)などの種々のデータを受信する。
【0040】
中継装置100は、IEEE802.11規格に準拠した無線ネットワーク700を利用して、無線通信端末900a、900bと無線通信を行うアクセスポイントである。
【0041】
また、中継装置100は、通信装置(例えば、無線通信端末900aなど)と、ネットワーク800との通信を中継する。これにより、無線通信端末900aは、ネットワーク800を介して種々の通信装置(例えば、図示しないWebサーバ、メールサーバ、または、他のパーソナルコンピュータなど)と通信を行うことができる。
【0042】
図2は、中継装置100の構成を示すブロック図である。中継装置100は、アンテナ200と、無線通信を行うための無線インタフェース300と、中継装置100を制御する制御部400と、有線通信を行うための有線インタフェース500と、種々のデータを格納する不揮発性メモリ600と、を有している。中継装置100は、特定の電源(図示省略)と接続されている。すなわち、中継装置100の各処理部は、特定の電源からの電力の供給を受けて、動作を行う。
【0043】
不揮発性メモリ600は、書き込み可能なメモリであり、セキュリティコード610、プログラム620などを格納する。セキュリティコード610は、後述のウェイクアップ処理で無線通信端末900aの認証を行う際に用いられる。プログラム620は、中継装置100の基本的な制御を司るプログラムであり、制御部400によって実行される。不揮発性メモリ600としては、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリなどが採用される。
【0044】
無線インタフェース300は、上述した無線通信端末900a、900bと無線通信を行うためのインタフェースである。無線インタフェース300は、アンテナ200を介して、IEEE802.11nに準拠する無線ネットワーク700を用いた通信を行う。本実施例において、アンテナ200の数は、3本である(ただし、アンテナ数は、1でもよく、2でもよく、4以上であってもよい)。
【0045】
無線インタフェース300は、第1通信モジュール310と、第2通信モジュール320と、信号処理部330とを備えている。
【0046】
第1通信モジュール310は、高周波増幅回路をそれぞれ含むハードウエアで構成された送信部312および受信部314を備えている。第2通信モジュール320は、高周波増幅回路を含むハードウエアで構成された受信部322を備えている。一方で、第2通信モジュール320は、第1通信モジュール310とは異なり、送信部を備えていない。
【0047】
送信部312は、信号処理部330からデジタルデータを受け取り、受け取ったデジタルデータに応じて変調された特定の周波数の電気信号を生成する。送信部312は、生成した電気信号をアンテナ200から特定周波数の電波として放射する。受信部314、322は、アンテナ200が受信した電波を、電気信号として受け取り、受け取った電気信号に含まれる特定の周波数成分を増幅する。受信部314、322は、増幅された特定の周波数成分の電気信号を復調してデジタルデータを抽出し、信号処理部330に、抽出したデジタルデータを送る。
【0048】
第2通信モジュール320の受信部322は、第1通信モジュール310の受信部314より消費電力が小さく構成されている。具体的には、第2通信モジュール320の受信部322は、電気信号の増幅能力が、第1通信モジュール310の受信部314より小さくなるように、構成される。この結果、第2通信モジュール320の受信部322が対応できる通信速度は、第1通信モジュール310の受信部314が対応できる通信速度より低くなる。後述するプローブ要求は、第2通信モジュール320の受信部322が対応できる通信速度で送信される。
【0049】
信号処理部330は、CPU334と、メモリ332(例えばEEPROM)とを有するコンピュータである。信号処理部330は、いわゆるレイヤー2の処理(例えば、マックヘッダの付加等)およびレイヤー1の処理のうちの一部の処理(例えば、物理ヘッダの付加など)を行う。レイヤー2は、いわゆるOSI(Open systems Interconnection)参照モデルの第2層(データリンク層)に相当し、レイヤー1は、OSI参照モデルの物理層に相当する。具体的には、信号処理部330は、受信部314または受信部322からデジタルデータを受け取ると、当該デジタルデータが表すマックフレームのうちのフレームボディのデータを制御部400に送る。また、信号処理部330は、制御部400から送信対象のデジタルデータを受け取ると、受け取ったデジタルデータにマックヘッダおよび物理ヘッダ等を付加してIEEE802.11に規定されたフレームフォーマットに従ったデジタルデータを作成して送信部312に送る。なお、信号処理部330は、受信部314または受信部322から受け取ったデジタルデータが表すマックフレームのうち、マックヘッダのデータを制御部400に送ってもよい。
【0050】
メモリ332は、BSSID(Basic Service Set Identifier)332dを格納する。このBSSID332dは、中継装置100の無線インタフェース300を識別するための識別データである。本実施例では、BSSID332dは、無線インタフェース300のMAC(Media Access Control)アドレスと等しい。
【0051】
中継装置100は、動作モードとして、第1モードと、第2モードとを有している。これらの動作モードについては、後述する。
【0052】
第1通信モジュール310(送信部312および受信部314)は、中継装置100の動作モードが、第1モードである場合には、電力が供給されて動作し、第2モードである場合には、電力が供給されず動作しない。また、第2通信モジュール320(受信部322)は、中継装置100の動作モードが、第1モードである場合には、電力が供給されないために動作せず、第2モードである場合には、電力が供給されて動作する。
【0053】
従って、第2モードは、無線インタフェース300において、第1通信モジュール310が動作せず、消費電力が第1通信モジュール310よりも小さい第2通信モジュール320が動作するモードであり、第1モードよりも電力の消費が抑制される省電力モードであるといえる。一方、第1モードは、無線インタフェース300において、送信部312を備えた第1通信モジュール310が動作するモードであり、データの送受信が頻繁に行われる通常動作モードであるといえる。
【0054】
有線インタフェース500は、IEEE802.3に準拠する通信回線との接続のためのインタフェースである。本実施例では、中継装置100とネットワーク800との接続に用いられている。また、有線インタフェース500が準拠する規格としては、IEEE802.3以外の任意の規格を採用してもよい。例えば、電力線搬送通信(Power Line Communication:PLC)を採用してもよい。また、有線通信を行うインタフェースの代わりに、無線通信を行うインタフェースを採用してもよい。
【0055】
制御部400は、CPU410とメモリ420(例えばDRAM)を有するコンピューターであり、中継装置100の各部を制御する。CPU410は、不揮発性メモリ600に格納されたプログラム620を実行することによって、中継実行部412と、無線ネットワーク制御部414と、モード切換部416と、判断部417とを含む種々の処理部の機能を実現する。
【0056】
無線ネットワーク制御部414は、無線インタフェース300を制御することによって、無線通信を用いた無線ネットワーク700を形成する。例えば、無線ネットワーク制御部414は、ESSID(Extended Service Set Identifier)が同じ値に設定されている通信装置と通信を行う。
【0057】
中継実行部412は、通信のためのインタフェース(無線インタフェース300と有線インタフェース500)に接続された通信機器(例えば、無線通信端末900a、900bや、図示しない他の通信装置)間の通信の中継を行う、いわゆるリピーター(ハブ)としての機能を実現する。
【0058】
判断部417は、後述のウェイクアップ処理において、第2通信モジュール320の受信部322が特定のデータを受信したか否かを判断する。この特定のデータについての詳細は、後述する。
【0059】
モード切換部416は、中継装置100の動作モードを、第1モード(通常動作モード)および第2モード(省電力モード)のいずれか一方に設定する。具体的には、モード切換部416は、中継装置100の動作モードを第1モードに設定する場合には、第1通信モジュール310に上記特定の電源からの電力を供給して送信部312および受信部314を動作させる。また、モード切換部416は、第2通信モジュール320には電力を供給せず、受信部322を動作させない。
【0060】
一方、モード切換部416は、中継装置100の動作モードを、第2モードに設定する場合には、第2通信モジュール320に電力を供給して受信部322を動作させる。また、モード切換部416は、第1通信モジュール310に電力を供給せず、送信部312および受信部314を動作させない。
【0061】
本実施例において、モード切換部416は、第1モードと第2モードとの間で動作モードの切り換えを行う場合がある。例えば、モード切換部416は、ユーザによって予め決められた第1切換日時となった場合に、第1モードから第2モードへの切り換えを行う。また、モード切換部416は、ユーザによって予め決められた第2切換日時となった場合に、第2モードから第1モードへの切り換えを行う。
【0062】
ユーザは、第1切換日時および第2切換日時を設定する場合には以下のようにしてもよい。例えば、ユーザは、無線通信端末900a、900bを用いて、中継装置100に接続して、第1切換日時および第2切換日時を設定してもよい。また、ユーザは、中継装置100のユーザインタフェース(図示省略)を直接操作して、第1切換日時および第2切換日時を設定してもよい。なお、第1切換日時は、ユーザが無線通信端末900a、900bを使う時間が終了する時間を目安に設定されてもよい。第2切換日時は、ユーザが無線通信端末900a、900bを使い始める時間を目安に設定されてもよい。
【0063】
また、モード切換部416は、第1モードと第2モードとの間で動作モードの切り換えを行う場合、例えば、予め決められたスケジュールに従って、動作モードの切り換えを行うようにしてもよい。この場合、モード切換部416は、スケジュールを、ユーザの指示に従って決定してよい。スケジュールの形式は、曜日や、時間や、年月日等の任意の形式であってよい。
【0064】
モード切換部416は、後述のウェイクアップ処理において、特定のデータが受信されたと判断部417が判断した場合に、第2モードから第1モードへの切り換えを行う。
【0065】
A2.プローブ要求の構成:
中継装置100は、動作モードが第2モード(省電力モード)である場合には、第1通信モジュール310が動作していないので、無線通信端末900a、900bと双方向通信を行うことができない。そこで、本実施例の中継装置100および無線通信端末900a、900bには、IEEE802.11に準拠した無線通信の通信開始時に用いられるプローブ要求を利用して、中継装置100の動作モードを切り換え可能な仕組みが採用されている。プローブ要求は、IEEE802.11に規定されたMACフレームのタイプの1つであるマネージメントフレームの一種である。プローブ要求は、無線通信を行おうとする通信装置(本実施例では、無線通信端末900a、900b)が、通信相手となるアクセスポイント(本実施例では、中継装置100)が存在するか否かを問い合わせるために用いられるマネージメントフレームである。
【0066】
本実施例では、無線通信端末900a、900bが中継装置100と無線通信を開始する際、IEEE802.11に規定されているように、無線通信端末900a、900bの特定データ送信部912は、中継装置100に対して、プローブ要求10を送信する。以下では、無線通信端末900aと中継装置100との無線通信を例として説明する。
【0067】
まず、本実施例で用いられるプローブ要求10の構成について説明する。図3は、本実施例で用いられるプローブ要求10の構成を示す図である。プローブ要求10は、マックヘッダと、フレームボディと、エラー訂正情報であるFCS(Frame Check Sequence)が格納される複数のフィールドとから構成される。
【0068】
マネージメントフレームにおいて、マックヘッダは、図3に示すように、宛先MACアドレス、送信元MACアドレス、および、BSSIDをそれぞれ格納するためのフィールドを含む複数のフィールドから構成される。プローブ要求10では、宛先MACアドレスおよびBSSIDが格納されるフィールドに、ブロードキャストアドレス(具体的には、ブロードキャストMACアドレス(FF:FF:FF:FF:FF:FF))が格納される。マックヘッダは、他にフレーム制御フィールドやシーケンス制御フィールドなどを含んでいるが、詳細な説明は省略する。
【0069】
プローブ要求10のフレームボディは、IEEE802.11に準拠した情報を格納する複数のフィールド(例えば、ESSIDを記述するフィールド)から構成されている。これらのフィールドの詳細な説明は省略するが、これらの複数のフィールドの1つとしてベンダーが独自に定めるコンテンツを格納するためのベンダースペシフィックフィールドがプローブ要求10のフレームボディの最後に配置されている。ベンダースペシフィックフィールドは、図3に示すように、エレメントIDと、データ長と、エンタープライズIDと、コンテンツとをそれぞれ格納するフィールドから構成される。エレメントIDは、後に続くフィールドに記述されるデータの種類を示すIDである。ベンダースペシフィックフィールドのエレメントIDは、16進数で「DD」である。データ長は、データ長が記述されたフィールドの直後からベンダースペシフィックフィールドの最後までのデータ長を表す値である。エンタープライズIDは、ベンダーを識別する識別子である。
【0070】
本実施例のプローブ要求10には、ベンダースペシフィックフィールドのコンテンツとして、以下の5つのデータが格納されている。
(1) バージョン情報。
(2) 第2モードから第1モードへの切り換えを指示する切換コマンド。
(3) コンテンツとして含むデータの長さを表す実データ長。
(4) 中継装置100を識別するためのBSSID。
(5) 中継装置100による認証のためのセキュリティコード。
【0071】
なお、特定データ送信部912は、ユーザの指示に従って、BSSIDとセキュリティコードを決定する。そして、特定データ送信部912は、ユーザの指示に従って、上記データ(1)〜(5)が格納されるプローブ要求10を送信する。
【0072】
A3.ウェイクアップ処理:
図4は、中継装置100が行うウェイクアップ処理を示すフローチャートである。このウェイクアップ処理は、中継装置100の動作モードが第2モードである状態で中継装置100の第2通信モジュール320の受信部322がプローブ要求を受信した場合に中継装置100によって実行される。
【0073】
ウェイクアップ処理が開始されると、中継装置100の判断部417は、信号処理部330のメモリ332からBSSID332dを読み出す。そして、判断部417は、読み出したBSSID332dと、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるBSSIDとが一致するか否かを判断する(ステップS20)。
【0074】
判断部417は、読み出したBSSID332dと、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるBSSIDとが一致すると判断した場合には(ステップS20:YES)、プローブ要求に含まれるセキュリティコードが正当であるか否かを判断する(ステップS30)。具体的には、判断部417は、不揮発性メモリ600からセキュリティコード610を読み出す。そして、判断部417は、読み出したセキュリティコード610と、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるセキュリティコードとを比較し、プローブ要求に含まれるセキュリティコードが正当であるか否かを判断する(ステップS30)。例えば、判断部417は、不揮発性メモリ600から読み出されたセキュリティコード610と、プローブ要求に含まれるセキュリティコードとが完全一致した場合に、プローブ要求に含まれるセキュリティコードは正当であると判断し、完全一致しない場合に、プローブ要求に含まれるセキュリティコードは正当でないと判断する。
【0075】
判断部417は、プローブ要求に含まれるセキュリティコードが正当であると判断した場合(ステップS30:YES)には、受信部322が受信したプローブ要求が正当な無線通信端末からのプローブ要求であると判断する。そして、判断部417は、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるコマンドが切換コマンドか否かを確認する(ステップS40)。
【0076】
モード切換部416は、判断部417がプローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるコマンドが切換コマンドであると判断した場合には(ステップS40:YES)、中継装置100の動作モードを第2モードから第1モードへ切り換える(ステップS50)。
【0077】
そして、無線ネットワーク制御部414は、送信部312からプローブ応答を送信する(ステップS60)。その後、中継装置100は、このウェイクアップ処理を終了する。図3を参照して説明した正当なプローブ要求10を中継装置100が受信した場合には、本ウェイクアップ処理において、ステップS60まで処理が進み、中継装置100の動作モードが第2モードから第1モードへ切り換えられ、プローブ応答が中継装置100から送信される。その後、IEEE802.11に準拠した認証処理等の所定の通信手続が中継装置100と無線通信端末900aとの間で行われ、中継装置100と無線通信端末900aとの間の無線通信が実現される。
【0078】
一方、判断部417は、読み出したBSSID332dと、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるBSSIDとが一致しないと判断した場合には(ステップS20:NO)、プローブ要求を破棄する(ステップS70)。また、判断部417は、プローブ要求にBSSIDが含まれていない場合も同様に、プローブ要求を破棄する。中継装置100は、プローブ要求を破棄後、このウェイクアップ処理を終了する。
【0079】
また、判断部417は、上述したステップS30において、プローブ要求に含まれるセキュリティコードが正当でないと判断した場合には(ステップS30:NO)、プローブ要求を破棄する(ステップS70)。また、判断部417は、プローブ要求にセキュリティコードが含まれていない場合も同様に、プローブ要求を破棄する。中継装置100は、プローブ要求を破棄後、このウェイクアップ処理を終了する。
【0080】
判断部417は、上述したステップS40において、プローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに含まれるコマンドが切換コマンド以外のコマンドであると判断した場合、および、プローブ要求にコマンドが含まれていない場合には(ステップS40:NO)、このウェイクアップ処理を終了する。プローブ要求に切換コマンド以外のコマンドが含まれていた場合には、その後、中継装置100は、そのコマンドに基づいた特定の処理を行う。
【0081】
上記ネットワークシステム1000によれば、中継装置100は、第2モードである状態でプローブ要求を受信すると、ウェイクアップ処理(図4)を実行して、受信されたプローブ要求が図3に示すような特定のデータを含む正当なプローブ要求10である場合には、動作モードを、第1通信モジュール310が動作しない第2モードから第1通信モジュール310が動作する第1モードに切り換える。従って、中継装置100が第2モードであっても、例えば、ユーザが中継装置100を直接操作することなく中継装置100との無線通信を実現することができる。その結果、消費電力が抑制された第2モードに設定されうる中継装置100の利便性を向上することができる。例えば、中継装置100は、直接操作しにくい場所(例えば、天井などの高所)に設置される場合がある。このような場合、ユーザが、中継装置100の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えるために、中継装置100を直接操作する作業を行う必要があるとすれば、不便であるが、本実施例の中継装置100では、そのような不都合を抑制することができる。
【0082】
なお、本実施例における特定のデータは、メモリ332に格納されるBSSID332dと一致するBSSIDと、不揮発性メモリ600に格納されるセキュリティコード610と比較した場合に正当とみなされるセキュリティコードと、切換コマンドとの、全体である。特定のデータは、BSSID、セキュリティコード、切換コマンドの全てである必要はなく、これら3つのうちの任意の2つであっても、任意の1つであっても良い。
【0083】
さらに、本実施例では、上述した特定のデータがプローブ要求10に含まれて送信される。この結果、無線通信端末900aから中継装置100へプローブ要求を送信するという、IEEE802.11に準拠した無線通信の開始時において通常行われている処理によって、第2モードで動作している中継装置100を第1モードに切り換えることができる。従って、中継装置100の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えるためだけの特別な通信を行う必要がない。その結果、中継装置100および無線通信端末900aとの間で、無駄な通信を行うことなく、中継装置100の動作モードを切り換えることが可能となる。
【0084】
また、本実施例では、中継装置100が第2モードである状態では、第1通信モジュール310の受信部314および送信部312は動作せず(電力の供給が停止されている)、受信部314よりも消費電力が小さい第2通信モジュール320の受信部322が動作する(電力が供給されている)。従って、中継装置100が第2モードである状態において、中継装置100における消費電力を低減することができる。そして、判断部417は、ウェイクアップ処理(図4)において、受信部322が特定のデータ(上記BSSID、上記セキュリティコード、および、上記切換コマンド)を受信したか否かを判断する。従って、中継装置100が第2モードである状態では、受信部314が動作していなくても、判断部417は、特定のデータが受信されたか否かを判断することができる。その結果、モード切換部416は、ウェイクアップ処理において、判断部417の判断に基づいて、中継装置100の動作モードを第2モードから第1モードに切り換えることが可能となる。
【0085】
また、本実施例では、中継装置100の制御部400は、ウェイクアップ処理(図4)において、メモリ332に格納されるBSSID332dと一致するBSSIDの受信があったことを必要条件として(図4:ステップS20参照)、第2モードから第1モードへ切り換える。従って、中継装置100は、ウェイクアップ処理において、メモリ332に格納されるBSSID332dと一致するBSSIDを利用することができる無線通信端末(例えば、無線通信端末900a)からの要求に応じて、適切に動作モードの切り換えを行うことができる。
【0086】
また、本実施例では、中継装置100の制御部400は、ウェイクアップ処理(図4)において不揮発性メモリ600に格納されるセキュリティコード610と比較した場合に、正当とみなされるセキュリティコードの受信があったことを必要条件として(図4:ステップS30参照)、第2モードから第1モードへ切り換える。従って、中継装置100は、ウェイクアップ処理において、不揮発性メモリ600に格納されるセキュリティコード610と比較した場合に、正当とみなされるセキュリティコードを利用することができる無線通信端末(例えば、無線通信端末900a)からの要求に応じて、適切に動作モードの切り換えを行うことができる。
【0087】
また、本実施例では、中継装置100の制御部400は、ウェイクアップ処理(図4)において、特定のデータ(上記BSSID、上記セキュリティコード、および、上記切換コマンド)の受信が無いと判断している場合には、中継装置100の動作モードの切り換えを行わない。従って、中継装置100は、ウェイクアップ処理において、特定のデータを利用できない無線通信端末による意図しないモード切り換えを抑制することができる。すなわち、特定のデータ(上記BSSID、セキュリティコード、および、切換コマンド)を利用できない無線通信端末が、悪戯などで中継装置100の動作モードを切り換えることを抑制することができる。
【0088】
本実施例において、送信部312は、特許請求の範囲におけるデータ送信部に対応する。受信部314は、特許請求の範囲におけるデータ受信部または第1データ受信部に対応する。受信部322は、特許請求の範囲におけるデータ受信部または第2データ受信部に対応する。メモリ332は、特許請求の範囲における識別データ記憶部に対応する。不揮発性メモリ600は、特許請求の範囲における認証データ記憶部に対応する。
【0089】
B.第2実施例:
B1.システム構成:
図5は、第2実施例のネットワークシステムにおける中継装置100Aの構成を示すブロック図である。第2実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100Aは、制御部400のCPU410が復号部418の機能を有する点で、第1実施例の中継装置100と異なる。中継装置100Aにおいて、復号部418を除く構成は、第1実施例の中継装置100と同様である。また、第2実施例のネットワークシステムにおいて、無線通信端末900a(図1)の制御部920は、データを特定の暗号方式で暗号化する暗号部(図示省略)としての機能を備えている。第2実施例のネットワークシステムの上記の相違を除く構成は、第1実施例のネットワークシステム1000の構成と同一である。第2実施例のネットワークシステムにおいて、第1実施例のネットワークシステム1000の構成と同一の構成には、ネットワークシステム1000と同一の符号を付すと共に、その構成の説明を省略する。そして、中継装置100Aは、第1実施例のウェイクアップ処理(図4)とは異なるウェイクアップ処理を行う。復号部418は、第2実施例のウェイクアップ処理において、復号処理を行う。
【0090】
中継装置100Aは、第1実施例の中継装置100と同様に、動作モードが第2モード(省電力モード)である場合には、第1通信モジュール310が動作していないので、無線通信端末900aと双方向通信を行うことができない。そこで、第1実施例と同様に、実施例の中継装置100Aおよび無線通信端末900aには、IEEE802.11に準拠した無線通信の通信開始時に用いられるプローブ要求を利用して、中継装置100の動作モードを切り換え可能な仕組みが採用されている。第2実施例では、第1実施例と同様に、無線通信端末900aが中継装置100と無線通信を開始する際、無線通信端末900aの特定データ送信部912は、中継装置100Aとの通信を行うために、プローブ要求を中継装置100Aに送信する。この場合、無線通信端末900aの暗号部は、第1実施例のプローブ要求10(図3参照)において、ベンダースペシフィックフィールドのコンテンツを、特定の暗号方式で暗号化する。そして、特定データ送信部912は、暗号化したコンテンツを含むプローブ要求を、中継装置100Aに送信する。なお、特定の暗号方式としては、ARCFOUR(Alleged Rivest Cipher Four)などを適用することができる。暗号化に鍵(暗号鍵)が利用される場合には、無線通信端末900aの暗号部は、予め決められた暗号鍵を利用してよい。また、暗号部は、ユーザによって決められた暗号鍵を利用してもよい。
【0091】
B2.ウェイクアップ処理:
図6は、第2実施例において中継装置100Aが行うウェイクアップ処理を示すフローチャートである。このウェイクアップ処理は、中継装置100Aの動作モードが第2モードである状態で中継装置100Aの受信部322がプローブ要求を受信した場合に中継装置100Aによって実行される。このウェイクアップ処理において、第1実施例のウェイクアップ処理(図4)と同一の処理は、第1実施例のウェイクアップ処理と同一のステップ番号を付す。
【0092】
第2実施例のウェイクアップ処理が開始されると、中継装置100Aの復号部418は、受信部322が受信したプローブ要求の復号処理を行う(ステップS10)。具体的には、復号部418は、そのプローブ要求のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツに対応するデータを復号処理により、暗号化される前のデータである原データに変換する。なお、復号に鍵(復号鍵)が利用される場合には、復号部418は、予め決められた復号鍵を利用してよい。また、復号部418は、ユーザによって決められた復号鍵を利用してもよい。以下では、復号処理により変換されたデータを、コンテンツ原データとも呼ぶ。
【0093】
判断部417は、上記ステップS10の処理で、復号部418よる復号が正常に行われたか否かを判断する(ステップS15)。例えば、判断部417は、復号部418による復号が、エラー無く終了した場合には、復号が正常に行われたと判断する。復号でエラーが生じた場合には、判断部417は、復号が正常に行われなかったと判断する。通常は、暗号鍵が、復号部418によって利用される復号鍵に基づいて有効な鍵である場合には、復号部418による復号は、エラー無く終了する。
【0094】
判断部417は、復号部418よる復号が正常に行われたと判断した場合(ステップS15:YES)には、信号処理部330のメモリ332からBSSID332dを読み出す。そして、判断部417は、読み出したBSSID332dと、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに含まれるBSSIDとが一致するか否かを判断する(ステップS20)。
【0095】
判断部417は、読み出したBSSID332dと、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに含まれるBSSIDとが一致すると判断した場合には(ステップS20:YES)、コンテンツ原データに含まれるセキュリティコードが正当であるか否かを判断する(ステップS30)。具体的には、判断部417は、不揮発性メモリ600からセキュリティコード610を読み出す。そして、判断部417は、読み出したセキュリティコード610と、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに含まれるセキュリティコードとを比較し、コンテンツ原データに含まれるセキュリティコードが正当であるか否かを判断する(ステップS30)。
【0096】
判断部417は、コンテンツ原データに含まれるセキュリティコードが正当であると判断した場合(ステップS30:YES)には、受信部322が受信したプローブ要求が正当な無線通信端末からのプローブ要求であると判断する。そして、判断部417は、コンテンツ原データに含まれるコマンドが切換コマンドか否かを確認する(ステップS40)。
【0097】
モード切換部416は、判断部417がコンテンツ原データに含まれるコマンドが切換コマンドであると判断した場合には(ステップS40:YES)、中継装置100Aの動作モードを第2モードから第1モードへ切り換える(ステップS50)。
【0098】
一方、判断部417は、復号部418よる復号が正常に行われなかったと判断した場合(ステップS15:NO)には、プローブ要求を破棄する(ステップS70)。また、判断部417は、読み出したBSSID332dと、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに含まれるBSSIDとが一致しないと判断した場合も(ステップS20:NO)、プローブ要求を破棄する(ステップS70)。さらに、判断部417は、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに、BSSIDが含まれていない場合も、プローブ要求を破棄する。中継装置100Aは、プローブ要求を破棄後、このウェイクアップ処理を終了する。
【0099】
また、判断部417は、読み出したセキュリティコード610と、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに含まれるセキュリティコードとを比較し、コンテンツ原データに含まれるセキュリティコードが正当でない判断した場合には(ステップS30:NO)、プローブ要求を破棄する(ステップS70)。また、判断部417は、復号部418による復号処理で変換されたコンテンツ原データに、セキュリティコードが含まれていない場合も同様に、プローブ要求を破棄する。中継装置100Aは、プローブ要求を破棄後、このウェイクアップ処理を終了する。
【0100】
判断部417は、コンテンツ原データに含まれるコマンドが切換コマンド以外のコマンドであると判断した場合(ステップS40:NO)、および、プローブ要求にコマンドが含まれていない場合には、このウェイクアップ処理を終了する。プローブ要求に切換コマンド以外のコマンドが含まれていた場合には、その後、中継装置100Aは、そのコマンドに基づいた特定の処理を行う。
【0101】
第2実施例のネットワークシステムによれば、第1実施例と同様の作用・効果に加えて、少なくとも以下のような作用・効果を奏する。中継装置100Aのモード切換部416は、ウェイクアップ処理(図6)において、復号部418が復号処理により変換したコンテンツ原データに基づいて、中継装置100Aの動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。言い換えれば、モード切換部416は、復号部418で復号可能なデータ(コンテンツ)が受信部322によって受信されたことを必要条件として、中継装置100Aの動作モードを第2モードから第1モードに切り換える。従って、中継装置100Aは、復号部418で復号可能な暗号方式を利用可能な無線通信端末からの要求に応じて、適切に動作モードを切り換えることができる。すなわち、中継装置100Aは、復号部418で復号可能な暗号方式を利用できない無線通信端末によって、動作モードの切り換えが行われることを抑制することができる。その結果、復号部418で復号可能な暗号方式を利用できない無線通信端末が、中継装置100Aの動作モードを切り換えることを抑制することができる。
【0102】
C.第3実施例:
C1.システム構成:
図7は、第3実施例のネットワークシステムにおける中継装置100Bの構成を示すブロック図である。第3実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100Bは、モード切換部416の機能が第1実施例のモード切換部416とは若干異なる点、および、無線インタフェース300が第2通信モジュール320を有していない点で、第1実施例の中継装置100と異なる。第3実施例の中継装置100Bにおいて、上記相違点を除く構成は、第1実施例の中継装置100と同様である。第3実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100Bを除く構成は、第1実施例のネットワークシステム1000の構成と同一である。以下では、第1実施例と異なる点について説明し、同一の点については説明を省略する。
【0103】
本実施例のモード切換部416は、中継装置100Bの動作モードとして、第1モード(通常動作モード)を実行する場合には、送信部312および受信部314に上記特定の電源からの電力を供給して送信部312および受信部314を動作させる。また、モード切換部416は、中継装置100Bの動作モードとして、第2モード(省電力モード)を実行する場合には、受信部314には電力を供給して動作させるが、送信部312には電力を供給せず、送信部312を動作させない。
【0104】
本実施例の中継装置100Bは、動作モードが第2モードである状態で、受信部314がプローブ要求を受信した場合に、第1実施例のウェイクアップ処理(図4)と同様のウェイクアップ処理を行う。
【0105】
第3実施例のネットワークシステムによれば、第1実施例と同様に、消費電力を抑制するモードを備える中継装置100の利便性を向上できることに加えて少なくとも以下のような作用・効果を奏する。本実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100Bは、第2通信モジュール320を有していない。従って、中継装置100Bは、部品点数を減少させることができる。また、中継装置100Bは、無線インタフェース300をコンパクトにすることができ、その結果、小型化することができる。
【0106】
D.変形例:
なお、本発明では、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。
【0107】
D1.変形例1:
上記実施例のネットワークシステムにおいて、上記中継装置は、複数のネットワーク間の中継を行う装置であればよく、例えば、以下の形態を適用してもよい。すなわち、上記中継装置は、無線LANルータやスイッチングハブであってもよい。例えば、中継装置が、無線LANルータである場合には、中継実行部412は、いわゆるルーティング機能(レイヤー3レベルの中継機能)を実現することによって、通信を中継する。ルーティング機能に必要な情報(例えば、経路情報(ルーティングテーブルとも呼ばれる。))は、不揮発性メモリ600に格納される。なお、中継実行部412は、ルーティング機能の代わりに、通信を中継する他の機能(例えば、いわゆるブリッジング機能(レイヤー2レベルの中継機能))を実現してもよい。レイヤー3は、OSI参照モデルの第3層(ネットワーク層)に相当する。
【0108】
D2.変形例2:
上記実施例における中継装置が有するウェイクアップ処理を行う機能(以下では、ウェイクアップ機能とも呼ぶ。)は、中継装置に限らず、他の装置に適用可能である。例えば、携帯電話、PHS、PDA、または、通信機能を有するゲーム機などの通信装置が、ウェイクアップ機能を備えてもよい。通信機能を有するゲーム機がウェイクアップ機能を備える場合には、このゲーム機は、例えば、動作モードが第2モードである状態で、他のゲーム機から送信される特定のデータの受信が有った場合に、第2モードから第1モードへ切り換える。この特定のデータとしては、例えば、ゲーム機を識別する識別情報(ID)やセキュリティコードなどが用いられ得る。
【0109】
D3.変形例3:
上記第1実施例または第2実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100、100Aは、動作モードが第1モードである場合に、第2通信モジュール320に電力を供給しないようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。中継装置100、100Aは、動作モードが第1モードである場合に、第2通信モジュール320に電力を供給するようにしてもよい。この構成によれば、中継装置100、100Aは、動作モードを第2モードから第1モードに切り換える処理に応じて、第2通信モジュール320に電力の供給を停止させる処理を行わなくて良い。従って、中継装置100、100Aを、電力の供給を停止させるための構成を省略できるなど、簡易な構成に設計することができる。
【0110】
D4.変形例4:
上記第1実施例または第2実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100、100Aは、動作モードが第2モードである場合に、第1通信モジュール310に電力を供給しないようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。中継装置100、100Aは、動作モードが第2モードである場合に、第1通信モジュール310に電力を供給するようにしてもよい。この場合、中継装置100、100Aが供給する電力は、第1モード時よりも小さい微少な電力である。この構成によれば、中継装置100、100Aは、動作モードが第2モードであっても、送信部312や受信部314の一部の機能を動作させることができる。
【0111】
D5.変形例5:
上記第1実施例および第3実施例のネットワークシステムの中継装置100、100Bにおいて、ウェイクアップ処理を実行するモード切換部416および判断部417は、制御部400に設けられているが、本発明は、これに限られるものではない。ウェイクアップ処理を実行するモード切換部416および判断部417は、例えば、信号処理部330に設けられていてもよい。この構成によれば、中継装置100、100Bは、動作モードが第2モードである場合に制御部400の少なくとも一部の機能を停止させ、制御部400における消費電力を抑制することができる。従って、中継装置100、100Bは、動作モードが第2モードである場合において、消費電力をより抑制することができる。なお、この場合、例えば、信号処理部330に設けられるモード切換部416および判断部417は、ウェイクアップ処理において、切換コマンドに基づいて、中継装置100、100Bの動作モードを第2モードから第1モードへ切り換える場合に、制御部400における停止中の機能を動作させるように制御部400に指示する。
【0112】
D6.変形例6:
上記第2実施例のネットワークシステムの中継装置100Aにおいて、ウェイクアップ処理を実行するモード切換部416、判断部417、および、復号部418は、制御部400に設けられているが、本発明は、これに限られるものではない。ウェイクアップ処理を実行するモード切換部416、判断部417、および、復号部418は、例えば、信号処理部330に設けられていてもよい。この構成によれば、中継装置100Aは、動作モードが第2モードである場合に制御部400の少なくとも一部の機能を停止させ、制御部400における消費電力を抑制することができる。従って、中継装置100Aは、動作モードが第2モードである場合において、消費電力をより抑制することができる。なお、この場合、例えば、信号処理部330に設けられるモード切換部416、判断部417、および、復号部418は、ウェイクアップ処理において、切換コマンドに基づいて、中継装置100Aの動作モードを第2モードから第1モードへ切り換える場合に、制御部400における停止中の機能を動作させるように制御部400に指示する。
【0113】
D7.変形例7:
上記各実施例のネットワークシステムにおいて、中継装置100、100A、100Bは、ウェイクアップ処理で、正当なBSSID、正当なセキュリティコード、および、切換コマンドの受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、中継装置は、以下の態様を適用可能である。
【0114】
態様1:
中継装置は、ウェイクアップ処理で、正当なBSSIDの受信があったか否かを考慮せず、正当なセキュリティコードおよび切換コマンドの受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。
【0115】
態様2:
中継装置は、ウェイクアップ処理で、正当なBSSIDおよび切換コマンドの受信があった場合には、正当なセキュリティコードの受信があったか否かを考慮せずに、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。
【0116】
態様3:
中継装置は、ウェイクアップ処理で、正当なBSSIDおよび正当なセキュリティコードの受信があったか否かを考慮せずに、切換コマンドの受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。
【0117】
態様4:
中継装置は、通常、メモリ(例えば、上記各実施例における不揮発性メモリ600)に、ESSID(Extended Service Set Identifier)を記憶している。このため、中継装置は、ウェイクアップ処理で、メモリに格納されるESSIDと、プローブ要求のESSIDフィールドに記述されたESSIDとが一致する場合には、正当なESSIDの受信があったと判断してもよい。そして、中継装置は、ウェイクアップ処理で、正当なBSSIDの受信があったか否かを考慮せずに、正当なESSIDの受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。このような中継装置が複数設置され、各中継装置に設定されるESSIDが同一の場合には、無線通信端末は、プローブ要求を送信することによって、複数の中継装置のうち、無線通信端末と無線通信可能な位置に配置された中継装置の動作モードを選択的に第2モードから第1モードへ切り換えることができる。
【0118】
態様5:
中継装置は、ウェイクアップ処理において、正当なBSSID、正当なセキュリティコード、および、切換コマンドの受信があったか否かを考慮せずに、プローブ要求の受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。この構成によれば、中継装置100は、ウェイクアップ処理において、簡易な処理で、動作モードの切り換えを行うことができる。この場合には、プローブ要求自身が、動作モードの切り換えのための特定のデータということができる。
【0119】
態様6:
中継装置は、ウェイクアップ処理において、正当なBSSID、正当なセキュリティコード、および、切換コマンドの受信があったか否かを考慮せずに、ウェイクアップ処理の実行を指示する専用コマンドの受信があった場合に、動作モードを第2モードから第1モードへ切り換えるようにしてもよい。この構成によれば、中継装置100は、ウェイクアップ処理において、簡易な処理で、動作モードの切り換えを行うことができる。この場合には、この専用コマンドが、動作モードの切り換えのための特定のデータということができる。
【0120】
D8.変形例8:
上記第2実施例のネットワークシステムにおいて、無線通信端末900aは、プローブ要求10のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツを暗号化して送信するようにしているが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、無線通信端末900aは、プローブ要求10のベンダースペシフィックフィールドのコンテンツのうち、特定のデータであるBSSID、セキュリティコード、および、切換コマンドのうち、少なくとも一つを暗号化して送信してもよい。この場合、中継装置100Bは、ウェイクアップ処理(図6)で、送信されてくるプローブ要求における暗号化されたデータを復号処理により原データに変換する。そして、中継装置100Bは、変換した原データに基づいて、動作モードを切り換えるか否かを判断してもよい。
【0121】
D9.変形例9:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2のモード切換部416の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。また、図1の特定データ送信部912および特定データ受信部914の機能を、プログラムを実行するコンピュータによって実現してもよい。
【0122】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータープログラム)は、コンピューター読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピューター内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピューターに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0123】
10...プローブ要求
100,100A,100B...中継装置
200...アンテナ
300...無線インタフェース
310...第1通信モジュール
312...送信部
314...受信部
320...第2通信モジュール
322...受信部
330...信号処理部
332...メモリ
332d...BSSID
334...制御部
400...制御部
410...CPU
412...中継実行部
414...無線ネットワーク制御部
416...モード切換部
417...判断部
418...復号部
420...メモリ
500...通信インタフェース
600...不揮発性メモリ
610...セキュリティコード
620...プログラム
700...無線ネットワーク
800...ネットワーク
900a...無線通信端末
900b...無線通信端末
910...無線インタフェース
912...特定データ送信部
914...特定データ受信部
920...制御部
1000...ネットワークシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う通信装置であって、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、
無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、
前記通信装置の動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、
前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、
を備え、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記データ受信部は、
前記第1モードにおいて動作し、前記第2モードにおいて動作しない第1データ受信部と、前記第1データ受信部よりも消費電力が小さく前記第2モードにおいて動作する第2データ受信部と、を含み、
前記判断部は、前記第2データ受信部が前記特定のデータを受信したか否かを判断し、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記第2データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
通信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の通信装置であって、
前記通信装置は、無線通信端末と他の通信装置との通信を中継する中継装置であり、
前記データ受信部は、前記無線通信端末から無線通信により前記データを受信し、
前記データ送信部は、前記無線通信端末に対して無線通信により前記データを送信する、
通信装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の通信装置は、さらに、
前記通信装置を識別するための識別データが格納される識別データ記憶部を備え、
前記特定のデータは、前記識別データ記憶部に格納される前記識別データと一致する識別データである、
通信装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の通信装置は、さらに、
認証データが格納される認証データ記憶部を備え、
前記特定のデータは、前記認証データ記憶部に格納される前記認証データと比較した場合に、正当とみなされる認証データである、
通信装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の通信装置であって、
前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信していないと前記判断部が判断している場合に、前記通信装置の動作モードの切り換えを行わない、
通信装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の通信装置であって、
前記データ受信部は、暗号化されたデータを受信し、
前記通信装置は、さらに、前記暗号化されたデータを、暗号化される前のデータである原データに復号処理により変換する復号部を備え、
前記判断部は、
前記原データが前記特定のデータである場合に、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと判断する、
通信装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の通信装置であって、
前記特定のデータは、プローブ要求に含まれている、通信装置。
【請求項9】
無線通信システムであって、
第1の通信装置と、
前記第1の通信装置と無線通信を行う第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は、前記第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信する特定データ送信部を備え、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置から無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、
前記第1の通信装置に対して無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、
前記通信装置の動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、
前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、
を備え、
前記第2の通信装置の前記モード切換部は、前記第2の通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、前記第2の通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、
無線通信システム。
【請求項10】
無線通信を行う通信装置であって、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切換可能なモード切換部と、前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、を備え、前記モード切換部は、前記通信装置が前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換え可能な特定通信装置と無線通信可能であり、
前記通信装置は、前記特定のデータを前記特定通信装置に対して送信することによって、前記特定通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替え可能な特定データ送信部を備える、
通信装置。
【請求項11】
第1の通信装置と、第2の通信装置との間で無線通信を行う方法であって、
第2の通信装置は、無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部とを備え、動作モードとして、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとを取ることが可能であり、
前記方法は、
前記第1の通信装置が、前記第2の通信装置に対して無線通信により特定のデータを送信し、
前記第2の通信装置が、前記特定のデータを前記データ受信部により受信し、
前記第2の通信装置が、前記特定のデータを前記データ受信部により受信したときに、前記第2モードで動作していた場合には、前記動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換える、方法。
【請求項12】
無線通信を行う通信装置で用いられるコンピュータプログラムあって、
前記通信装置は、
無線通信によりデータを受信するデータ受信部と、無線通信によりデータを送信するデータ送信部と、動作モードを、前記データ送信部に電力が供給される第1モードと、少なくとも前記データ送信部の消費電力が前記第1モードより抑制される第2モードとの間で切り換え可能なモード切換部と、前記データ受信部が特定のデータを受信したか否かを判断する判断部と、を備え、前記モード切換部は、前記第2モードである状態で、前記データ受信部が前記特定のデータを受信したと前記判断部が判断した場合に、動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り換え可能な特定通信装置と無線通信可能であり、
前記コンピュータプログラムは、
前記特定通信装置の動作モードを前記第2モードから前記第1モードに切り替えるために前記特定のデータを前記特定通信装置に対して送信する機能を
コンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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