説明

無線通信システム、及び無線方式設定方法

【課題】無線方式の報知信号を送信するための負荷を軽減し、複数の無線方式にも柔軟に対応する。
【解決手段】信号処理装置2は、フレキシブル無線基地局3にインストールされていない無線方式を示す報知信号を、フレキシブル無線基地局3を介して無線端末局4に低頻度で報知する。信号処理装置2は、当該報知信号に対して無線端末局4から応答があると、フレキシブル無線基地局3に対して、無線端末局4からの応答に対応する無線方式のインストールを指示する。フレキシブル無線基地局3は、信号処理装置2の指示に従って、無線端末局4からの応答に対応する無線方式を、無線端末局4とのデータの送受信に用いる無線方式としてインストールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルワイヤレスシステムに係り、複数の無線方式を用いる無線通信システム及び無線方式設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11(例えば非特許文献1参照)では、無線基地局と無線端末局とで構成されるBSS(Basic Service Set)内において、無線基地局が通信に必要な様々な情報(時間同期に関する情報、周波数チャネルに関する情報、パワーマネジメントに関する情報、QoSに関する情報など)を報知するための下り報知信号(ビーコン)を周期的に送信する。無線端末局は、ビーコンを受信することで、無線基地局との同期を確立することが可能である。
【0003】
また、IEEE802.15.4(例えば非特許文献2参照)では、オプション機能として、MACフレームをスロットALOHAのように、スロット単位に分割したスーパーフレームを利用することが可能である。スーパーフレームを利用する場合、ルータ、またはコーディネータがスーパーフレームを利用するために必要な情報(時間同期に関する情報、スーパーフレームとビーコンの送信周期に関する情報、スーパーフレームのスロット構成に関する情報など)を報知するための下り報知信号(ビーコン)を周期的に送信する。無線端末局は、ビーコンを受信することで、親ノード(ルータ、またはコーディネータ)との同期を確立することが可能である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】IEEE Std 802.11-2007(p.419-421)
【非特許文献2】IEEE Std 802.15.4-2003(p.13-28)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術による無線方式では、無線端末局と無線端末局の接続先(無線基地局や、親ノードなど)との同期を確立する方法が定義されており、無線端末局は、接続先と同期を確立することで、接続先に対して上り信号を送信することができるようになる。
【0006】
複数の無線方式を収容するフレキシブルワイヤレスシステムにおいて、上述した同期の確立が必要な無線方式を収容する場合、各無線方式に対応した下り報知信号を無線端末局に送信することで、無線端末局と無線端末局の接続先との同期を確立し、無線端末局が接続先に対して上り信号を送信できるようにすることが必要である。
【0007】
しかしながら、フレキシブル無線基地局が収容する全ての無線方式に対応した下り報知信号を定期的に送信することは、フレキシブル無線基地局が報知信号を送信する負荷を増大させるという問題がある。すなわち、各基地局が報知信号を送信するためには、それぞれの無線方式をサポートしておく必要があり、当該無線方式の無線端末局が当該基地局の近辺にいないときには、当該無線方式のサポート自体が非効率的であり、基地局の負荷を増大させる。また、ある無線方式をサポートする無線端末局が近辺にいないときに、当該無線方式の報知信号を定期的に送信することも、負荷を増大させることとなる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線方式の報知信号を送信するための負荷を軽減することができるとともに、複数の無線方式にも柔軟に対応することができる無線通信システム、及び無線方式設定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の無線方式の管理と無線方式を示す報知信号の報知を行う信号処理装置と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いてデータの送受信を行う基地局と端末局とにより構成される無線通信システムであって、前記基地局は、前記複数の無線方式のいずれかを、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定手段と、前記無線方式設定手段により設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信手段とを備え、前記信号処理装置は、前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局を介して前記端末局に報知する報知手段と、前記基地局に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局を介して受信した場合に、前記基地局に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示手段とを備え、前記基地局は、前記無線方式設定手段により、前記信号処理装置の前記指示手段による指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定することを特徴とする。
【0010】
本発明は、前記報知手段は、前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局が前記無線方式設定手段により設定された無線方式を示す報知信号を前記端末局に報知する所定の時間間隔に比べて、より低頻度で前記基地局を介して前記端末局に報知することを特徴とする。
【0011】
本発明は、前記基地局は、前記無線方式設定手段により設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が所定の閾値を下回った場合、当該無線方式の設定を解除する無線方式解除手段を更に備えることを特徴とする。
【0012】
本発明は、複数の無線方式の管理と無線方式を示す報知信号の報知を行う方式管理装置と、信号処理装置と、基地局と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いて、前記基地局を介して、前記信号処理装置との間でデータの送受信を行う端末局とにより構成される無線通信システムであって、前記信号処理装置は、前記複数の無線方式のいずれかを、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定手段と、前記基地局を介して、前記無線方式設定手段により設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信手段とを備え、前記方式管理装置は、前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知する報知手段と、前記信号処理装置に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局と前記信号処理装置を介して受信した場合に、前記信号処理装置に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示手段とを備え、前記信号処理装置は、前記無線方式設定手段により、前記方式管理装置の前記指示手段による指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定することを特徴とする。
【0013】
本発明は、前記報知手段は、前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置が前記無線方式設定手段により設定された無線方式を示す報知信号を前記端末局に報知する所定の時間間隔に比べて、より低頻度で前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知することを特徴とする。
【0014】
本発明は、前記信号処理装置は、前記無線方式設定手段により設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が所定の閾値を下回った場合、当該無線方式の設定を解除する無線方式解除手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
本発明は、信号処理装置と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いてデータの送受信を行う基地局と端末局とにより構成される無線通信システムの無線方式設定方法であって、前記信号処理装置が、前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局を介して前記端末局に報知する報知ステップと、前記信号処理装置が、前記基地局に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局を介して受信した場合に、前記基地局に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示ステップと、前記基地局が、前記指示ステップでの前記信号処理装置からの指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定ステップと、前記基地局が、前記無線方式設定ステップで前記基地局に設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信ステップとを含むことを特徴とする。
【0016】
本発明は、方式管理装置と、信号処理装置と、基地局と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いて、前記基地局を介して、前記信号処理装置との間でデータの送受信を行う端末局とにより構成される無線通信システムの無線方式設定方法であって、前記方式管理装置が、前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知する報知ステップと、前記方式管理装置が、前記信号処理装置に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局と前記信号処理装置とを介して受信した場合に、前記信号処理装置に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示ステップと、前記信号処理装置が、前記指示ステップでの前記方式管理装置からの指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定ステップと、前記信号処理装置が、前記基地局を介して、前記無線方式設定ステップで前記信号処理装置に設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、信号処理装置が、配下の無線基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を低頻度でマルチキャスト送信するため、信号処理装置、及び基地局における、報知信号を送信する際の負荷を軽減することができる。また、基地局が、無線通信システムに新規参入した端末局との同期を確立することができるため、当該端末局による上り信号の送信を実現することができる。また、信号処理装置が、基地局から当該基地局に設定されていない無線方式の信号を受信した場合、当該基地局が当該無線方式を設定できるように指示することができることに加え、基地局が設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式を解除できることから、複数の無線方式に柔軟に対応することができる。
【0018】
また、この発明によれば、方式管理装置が、配下の信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を低頻度で送信するため、方式管理装置、信号処理装置、及び基地局における、報知信号を送信する際の負荷を軽減することができる。また、信号処理装置が、無線通信システムに新規参入した端末局との同期を基地局を介して確立することができるため、当該端末局による上り信号の送信を実現することができる。また、方式管理装置が、信号処理装置から当該信号処理装置に設定されていない無線方式の信号を受信した場合、当該信号処理装置が当該無線方式を設定できるように指示することができることに加え、信号処理装置が設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式を解除できることから、複数の無線方式に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態における信号処理装置2、フレキシブル無線基地局3、及び無線端末局4の構成を示すブロック図である。
【図3】本第1実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステム全体の動作を説明する図である。
【図4】本第1実施形態における信号処理装置2、フレキシブル無線基地局3、無線端末局4の各々の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本第1実施形態における信号処理装置2、フレキシブル無線基地局3、無線端末局4の各々の動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、及び無線端末局8の構成を示すブロック図である。
【図8】本第2実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステム全体の動作を説明する図である。
【図9】本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8の各々の動作を説明するフローチャートである。
【図10】本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8の各々の動作を説明するフローチャートである。
【図11】本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8の各々の動作を説明するフローチャートである。
【図12】本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8の各々の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、フレキシブルワイヤレスシステムにおける基地局の負荷を低減するための無線通信システム、及び無線方式設定方法である。フレキシブルワイヤレスシステムでは、各フレキシブル無線基地局がソフトウェアをロードすることにより様々な無線方式に対応し、かつ、同時に複数の無線方式を扱うことができる。ここで、複数の無線方式を扱うときに、当該フレキシブル無線基地局のサービスエリアに存在する端末以外の無線方式までサポートすることは、フレキシブル無線基地局の負荷の増大につながるという問題がある。一方、フレキシブル無線基地局が限られた無線方式のみをサポートしている場合には、それ以外の無線方式の無線端末局がサービスエリアに入ったときに、当該無線端末局がフレキシブル無線基地局を検出できないという問題がある。
【0021】
本発明では、フレキシブル無線基地局に接続される信号処理装置が、フレキシブル無線基地局のサポートしていない無線方式の報知信号(ビーコン信号)を定期的に送信する。また、当該報知信号(ビーコン信号)に対して無線端末局からの応答を受信したときは、対応するフレキシブル無線基地局に対して、当該無線方式をインストールするためのソフトウェアを配信する。
【0022】
このような構成にすることにより、フレキシブル無線基地局は、実際に通信を行っている端末との間で使用する無線方式のみをサポートしていればよく、それ以外の無線方式の無線端末局がサービスエリアに入ってきたときには、報知信号(ビーコン信号)による応答を通じてこれを検出し、フレキシブル無線基地局がサポートする無線方式をアップデートすることができる。
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
A.第1実施形態
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステムの構成を示すブロック図である。図1において、フレキシブルワイヤレスシステムは、有線ネットワーク1に接続された1つの信号処理装置2と、当該信号処理装置2を経由して有線ネットワークに接続する複数のフレキシブル無線基地局3−1〜3−N(以下、総称してフレキシブル無線基地局3という)と、当該フレキシブル無線基地局3に接続する複数の無線端末局4a−1〜4a−N、4b−1〜4b−N(以下、総称して無線端末局4という)とから構成される。
【0025】
本第1実施形態では、信号処理装置2が、各無線方式に対応する下り報知信号を作成し、作成した報知信号を、当該無線方式をインストールしていない配下のフレキシブル無線基地局3に低頻度でマルチキャスト送信するものである。フレキシブル無線基地局3は、報知信号を信号処理装置2から受信する度に、当該報知信号を配下の無線端末局4にブロードキャスト送信することに加え、インストールしている無線方式に対応する報知信号を作成し、作成した報知信号を配下の無線端末局4に定期的にブロードキャスト送信することになる。なお、上記低頻度とは、インストールしている無線方式に対応する報知信号を送信する頻度(定期的)に比べ、より長い時間間隔であることを意味し、信号処理装置2や、フレキシブル無線基地局3、無線端末局4のスペックや、台数などに応じて適宜決定すればよい。
【0026】
図2は、本第1実施形態における信号処理装置2、フレキシブル無線基地局3、及び無線端末局4の構成を示すブロック図である。図2において、信号処理装置2は、中央処理装置や、記憶装置から構成され、無線方式管理部20、報知信号作成部21、下りリンク通信部22、上りリンク通信部23、無線方式検出部24、無線方式インストール信号作成部25、制御部26を備えている。
【0027】
無線方式管理部20は、信号処理装置2の配下の各フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を管理する。報知信号作成部21は、各無線方式に対応する下り報知信号を作成する。なお、当該下り報知信号の作成頻度は、無線方式管理部20から通知される信号処理装置2の配下のフレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式に基づいて決定される。
【0028】
具体的には、当該フレキシブル無線基地局3にインストールされていない無線方式に対応する下り報知信号を低頻度で作成する。低頻度で作成するのは、その時点でフレキシブル無線基地局3にインストールされていない無線方式は、すなわち、フレキシブル無線基地局3の周囲に当該無線方式の無線端末局4が存在しないためであり、当該無線方式の報知信号をフレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式と同様に送信することは、負荷の観点で効率的でないためである。
【0029】
下りリンク通信部22は、下り信号をフレキシブル無線基地局3に送信するとともに、報知信号作成部21が作成した下り報知信号、及び無線方式インストール信号作成部25が作成した無線方式インストール信号をフレキシブル無線基地局3に送信する。
【0030】
上りリンク通信部23は、上り信号をフレキシブル無線基地局3から受信する。無線方式検出部24は、フレキシブル無線基地局3から受信した信号に対応する無線方式を検出する。無線方式インストール信号作成部25は、無線方式をインストールする信号を作成する。当該無線方式インストール信号は、フレキシブル無線基地局3から受信した信号に対応する無線方式を検出した際に、当該無線方式が当該フレキシブル無線基地局3にインストールされていなかった場合に作成される。
【0031】
制御部26は、信号処理装置2内の無線方式管理部20が管理するべき無線方式を制御する。具体的には、フレキシブル無線基地局3が無線方式をインストールすることになった場合には、無線方式管理部20に当該フレキシブル無線基地局3が当該無線方式をインストールしたことを通知し、フレキシブル無線基地局3が無線方式をアンインストールした場合には、無線方式管理部20に当該フレキシブル無線基地局3が当該無線方式をアンインストールしたこと(インストールしていないこと)を通知する。
【0032】
フレキシブル無線基地局3は、中央処理装置や、記憶装置から構成され、報知信号作成部30、下りリンク通信部31、無線方式利用頻度管理部32、無線方式アンインストール部33、無線方式アンインストール完了信号作成部34、上りリンク通信部35、同期確立部36を備えている。
【0033】
報知信号作成部30は、フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式に対応する下り報知信号を定期的に作成する。下りリンク通信部31は、下り信号を信号処理装置2から受信し、当該下り信号を無線端末局4に送信するとともに、信号処理装置2から受信した報知信号、及び報知信号作成部30が作成した報知信号を無線端末局4に送信する。無線方式利用頻度管理部32は、フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を管理する。
【0034】
無線方式アンインストール部33は、フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールする。なお、この閾値には、実施形態ごとに予め定められた値が用いられ、この値は、無線方式アンインストール部33内の所定のメモリ領域内に記憶される。無線方式アンインストール完了信号作成部34は、無線方式のアンインストールが完了した際に、無線方式のアンインストールが完了したことを通知する無線方式アンインストール完了信号を作成する。
【0035】
上りリンク通信部35は、上り信号を無線端末局4から受信し、当該上り信号を信号処理装置2に送信するとともに、無線方式アンインストール完了信号作成部34が作成した無線方式アンインストール完了信号を信号処理装置2に送信する。同期確立部36は、無線端末局4から同期確立要求信号を受信した場合、当該無線端末局4との同期を確立する。
【0036】
無線端末局4は、中央処理装置や、記憶装置から構成され、下りリンク通信部40、同期確立要求信号作成部41、上りリンク通信部42を備えている。下りリンク通信部40は、下り信号をフレキシブル無線基地局3から受信する。同期確立要求信号作成部41は、フレキシブル無線基地局3との同期確立を要求する信号を作成する。当該同期確立要求信号は、フレキシブル無線基地局3との同期を確立していない無線端末局4が、フレキシブル無線基地局3から当該無線端末局4が扱う無線方式に対応する報知信号を受信した際に作成される。上りリンク通信部42は、上り信号をフレキシブル無線基地局3に送信するとともに、同期確立要求信号作成部41が作成した同期確立要求信号をフレキシブル無線基地局3に送信する。
【0037】
次に、本第1実施形態の動作について説明する。
図3は、本第1実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステム全体の動作を説明する図である。図3において、信号処理装置2は、802.11と802.15.4の2種類の無線方式を管理しているものとする。
【0038】
信号処理装置2は、フレキシブル無線基地局3aに対して、802.15.4に対応する報知信号を低頻度に送信し、フレキシブル無線基地局3cに対して、802.11に対応する報知信号を低頻度に送信する。
【0039】
フレキシブル無線基地局3aは、無線端末局4a−1〜4a−Nに対して、802.11に対応する報知信号を定期的に送信し、信号処理装置2から802.15.4に対応する報知信号を受信するたびに当該報知信号を送信する。フレキシブル無線基地局3bは、無線端末局4b−1〜4b−Nに対して、802.11に対応する報知信号を定期的に送信し、802.15.4に対応する報知信号を定期的に送信する。さらに、フレキシブル無線基地局3cは、無線端末局4c−1〜4c−Nに対して、信号処理装置2から802.11に対応する報知信号を受信するたびに当該報知信号を送信し、802.15.4に対応する報知信号を定期的に送信する。
【0040】
図4、及び図5は、本第1実施形態における信号処理装置2、フレキシブル無線基地局3、無線端末局4の各々の動作を説明するフローチャートである。まず、信号処理装置2では、無線方式管理部20は、当該信号処理装置2配下の各フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を報知信号作成部21に通知する。報知信号作成部21は、無線方式管理部20から通知された当該信号処理装置2配下の各フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を表す情報に基づいて、各無線方式に対応する下り報知信号を作成する。つまり、フレキシブル無線基地局3にインストールされていない無線方式に対応する報知信号を低頻度で作成することになる。下りリンク通信部22は、報知信号作成部21が作成した報知信号を、当該報知信号に対応する無線方式をインストールしていない当該信号処理装置2配下のフレキシブル無線基地局3にマルチキャスト送信する(ステップSc1)。
【0041】
フレキシブル無線基地局3では、報知信号作成部30は、当該フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式に対応する下り報知信号を定期的に作成し、下りリンク通信部31は、信号処理装置2から受信した報知信号、及び報知信号作成部30が作成した報知信号を、当該フレキシブル無線基地局3配下の無線端末局4にブロードキャスト送信する(ステップSc2、Sc3、Sc4)。
【0042】
無線端末局4では、下りリンク通信部40は、フレキシブル無線基地局3から送信された報知信号を受信し(ステップSc5)、受信した報知信号を同期確立要求信号作成部41に通知し、同期確立要求信号作成部41は、当該無線端末局4が下りリンク通信部40から通知された報知信号に対応する無線方式を扱っており(ステップSc6のYES)、かつ、当該無線端末局4がフレキシブル無線基地局3との同期を確立していない場合(ステップSc7のNO)、同期要求確立信号を作成し、上りリンク通信部42は、同期確立要求信号作成部41が作成した同期要求確立信号をフレキシブル無線基地局3に報知する(ステップSc8)。一方、当該無線端末局4が下りリンク通信部40から通知された報知信号に対応する無線方式を扱っていない場合(ステップSc6のNO)、あるいは、当該無線端末局4がフレキシブル無線基地局3との同期を確立している場合には(ステップSc7のYES)、何もせずに、ステップSc1またはSc2へ戻る。
【0043】
フレキシブル無線基地局3では、上りリンク通信部35は、無線端末局4から送信された同期確立要求信号を受信し(ステップSc9)、受信した同期確立要求信号に対応する無線方式がインストール済みである場合には(ステップSc10のYES)、同期確立部36は、ステップSc9で受信した同期確立要求信号を送信した無線端末局4との同期を確立する(ステップSc17)。一方、受信した同期確立要求信号に対応する無線方式がインストール済みでない場合には(ステップSc10のNO)、上りリンク通信部35は、受信した同期確立要求信号を信号処理装置2に送信する(ステップSc11)。
【0044】
信号処理装置2では、上りリンク通信部23は、フレキシブル無線基地局3から送信された同期確立要求信号を受信し(ステップSc12)、無線方式検出部24は、受信した同期確立要求信号に対して無線方式の検出を実施し(ステップSc13)、無線方式インストール信号作成部25は、受信した同期確立要求信号に対する無線方式をインストールする旨を指示するインストール信号を作成し、制御部26は、当該インストール信号に対応する無線方式をインストールすることを無線方式管理部20に通知し、下りリンク通信部22は、フレキシブル無線基地局3に作成したインストール信号を送信する(ステップSc14)。無線方式管理部20は、当該フレキシブル無線基地局3に当該無線方式がインストールされたことを管理する。
【0045】
フレキシブル無線基地局3では、下りリンク通信部31は、信号処理装置2から無線方式のインストール信号を受信し(ステップSc15)、受信した無線方式インストール信号に対応する無線方式をインストールする(ステップSc16)。無線方式をインストールする前は、当該無線方式に対応する報知信号を、信号処理装置2が低頻度で送信していたが、当該無線方式をインストールすることにより、当該報知信号をフレキシブル無線基地局3が定期的に送信するようになる。次に、同期確立部36は、ステップSc9で受信した同期確立要求信号を送信した無線端末局4との同期を確立する(ステップSc17)。
【0046】
なお、図3、または図4及び図5には示されていないが、フレキシブル無線基地局3は、インストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールすることができる。
【0047】
すなわち、フレキシブル無線基地局3では、無線方式利用頻度管理部32は、当該フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を無線方式アンインストール部33に通知する。無線方式アンインストール部33は、無線方式利用頻度管理部32から通知された当該フレキシブル無線基地局3にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を表す情報に基づいて、当該無線方式をアンインストールする。つまり、当該頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールすることになる。また、無線方式のアンインストールが完了したことを無線方式アンインストール完了信号作成部34に通知する。
【0048】
無線方式アンインストール完了信号作成部34は、無線方式アンインストール部33から無線方式のアンインストールが完了したことを通知された場合、当該無線方式のアンインストールが完了したことを表す信号を作成する。上りリンク通信部35は、無線方式アンインストール完了信号作成部34が作成した無線方式アンインストール完了信号を信号処理装置2に報知する。
【0049】
また、信号処理装置2では、上りリンク通信部23は、無線方式アンインストール完了信号を当該信号処理装置2配下のフレキシブル無線基地局3から受信する。制御部26は、フレキシブル無線基地局3から無線方式アンインストール完了信号を受信した場合、無線方式管理部20に当該フレキシブル無線基地局3が当該無線方式アンインストール完了信号に対応する無線方式をアンインストールすることを通知する。無線方式管理部20は、当該フレキシブル無線基地局3にインストールされていた当該無線方式がアンインストールされたことを管理する。
【0050】
なお、上述した第1実施形態において、フレキシブル無線基地局3は、信号処理装置2から受信した報知信号を復調することなく無線端末局4に送信することにより、信号処理装置2−無線端末局4間の通信に必要な信号処理量を削減することができる。
【0051】
また、上述した第1実施形態において、信号処理装置2は、報知信号と共に報知信号の送信間隔をフレキシブル無線基地局3に通知するようにしてもよい。その結果、以降の報知信号の送信をフレキシブル無線基地局3で実施することができるようになり、信号処理装置2が報知信号を送信する負荷を軽減することができる。
【0052】
また、上述した第1実施形態において、フレキシブルワイヤレスシステムが収容する無線方式に幅広く適用することができる。よって、本発明は、利用形態として、特定の無線方式(例えば、802.11や802.15.4)に制限されるものではない。
【0053】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステムの構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。図6において、フレキシブルワイヤレスシステムは、有線ネットワーク1に接続された1つの方式管理装置5と、当該方式管理装置5に有線回線を介して接続される信号処理装置6−1〜6−N(以下、総称して信号処理装置6という)と、当該信号処理装置6−1〜6−Nを経由して有線ネットワークに接続する複数のフレキシブル無線基地局7a−1〜7a−N、7b−1〜7b−N(以下、総称してフレキシブル無線基地局7という)と、当該フレキシブル無線基地局7に無線回線を介して接続する複数の無線端末局8a−1〜8a−N、8b−1〜8b−N、8c−1〜8c−N、8d−1〜8d−N(以下、総称して無線端末局8という)とから構成される。
【0054】
方式管理装置5は、各無線方式に対応する下り報知信号を作成し、作成した報知信号を、当該無線方式をインストールしていない配下の信号処理装置6−1〜6−Nに低頻度でマルチキャスト送信するようになっている。すなわち、本第2実施形態では、方式管理装置5が、各無線方式に対応する下り報知信号を作成し、作成した報知信号を当該無線方式がインストールされていない、配下の信号処理装置6−1〜6−Nに低頻度でマルチキャスト送信する。信号処理装置6−1〜6−Nは、報知信号を方式管理装置5から受信する度に、当該報知信号を配下のフレキシブル無線基地局7a−1〜7a−N、7b−1〜7b−Nに送信することに加え、インストールしている無線方式に対応する報知信号を作成し、作成した報知信号を配下のフレキシブル無線基地局7a−1〜7a−N、7b−1〜7b−Nに定期的に送信することになる。なお、上記低頻度とは、インストールしている無線方式に対応する報知信号を送信する頻度(定期的)に比べ、より長い時間間隔であることを意味し、方式管理装置5や、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8のスペックや、台数などに応じて適宜決定すればよい。
【0055】
図7は、本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、及び無線端末局8の構成を示すブロック図である。ここでは、第1実施形態と同じ機能については、その説明を省略し、相違点を以下に説明する。図7において、方式管理装置5は、中央処理装置や、記憶装置から構成され、第1実施形態における信号処理装置2が備えている、無線方式管理部20、報知信号作成部21、下りリンク通信部22、上りリンク通信部23、無線方式検出部24、無線方式インストール信号作成部25、制御部26に相当する、無線方式管理部50、報知信号作成部51、下りリンク通信部52、上りリンク通信部53、無線方式検出部54、無線方式インストール信号作成部55、及び制御部56を備えている。
【0056】
無線方式管理部50は、方式管理装置5配下の各信号処理装置6にインストールされている無線方式を管理する。報知信号作成部51は、各無線方式に対応する下り報知信号を作成する。なお、当該下り報知信号の作成頻度は、無線方式管理部50から通知される方式管理装置5配下の信号処理装置6にインストールされている無線方式に基づいて決定される。具体的には、当該信号処理装置6にインストールされていない無線方式に対応する下り報知信号を低頻度で作成する。
【0057】
下りリンク通信部52は、下り信号を信号処理装置6に送信するとともに、報知信号作成部51が作成した下り報知信号、及び無線方式インストール信号作成部55が作成した無線方式インストール信号を信号処理装置6に送信する。上りリンク通信部53は、上り信号を信号処理装置6から受信する。無線方式検出部54は、信号処理装置6から受信した信号に対応する無線方式を検出する。
【0058】
無線方式インストール信号作成部55は、無線方式をインストールする信号を作成する。当該無線方式インストール信号は、信号処理装置6から受信した信号に対応する無線方式を検出した際に、当該無線方式が当該信号処理装置6にインストールされていなかった場合に作成される。
【0059】
制御部56は、方式管理装置5内の無線方式管理部50が管理するべき無線方式を制御する。具体的には、信号処理装置6が無線方式をインストールすることになった場合には、無線方式管理部50に当該信号処理装置6が当該無線方式をインストールしたことを通知し、信号処理装置6が無線方式をアンインストールした場合には、無線方式管理部50に当該信号処理装置6が当該無線方式をアンインストールしたこと(インストールしていないこと)を通知する。
【0060】
信号処理装置6は、第1実施形態におけるフレキシブル無線基地局3と同様の構成を備える。すなわち、信号処理装置6は、フレキシブル無線基地局3が備えている、報知信号作成部30、下りリンク通信部31、無線方式利用頻度管理部32、無線方式アンインストール部33、無線方式アンインストール完了信号作成部34、上りリンク通信部35、同期確立部36に相当する、報知信号作成部60、下りリンク通信部61、無線方式利用頻度管理部62、無線方式アンインストール部63、無線方式アンインストール完了信号作成部64、上りリンク通信部65、同期確立部66を備えている。報知信号作成部60は、信号処理装置6にインストールされている無線方式に対応する下り報知信号を定期的に作成する。下りリンク通信部61は、下り信号を方式管理装置5から受信し、当該下り信号をフレキシブル無線基地局7に送信するとともに、方式管理装置5から受信した報知信号、及び報知信号作成部60が作成した報知信号をフレキシブル無線基地局7に送信する。
【0061】
無線方式利用頻度管理部62は、信号処理装置6にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を管理する。無線方式アンインストール部63は、信号処理装置6にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールする。なお、この閾値には、実施形態ごとに予め定められた値が用いられ、この値は、無線方式アンインストール部63内の所定のメモリ領域内に記憶される。
【0062】
無線方式アンインストール完了信号作成部64は、無線方式のアンインストールが完了した際に、無線方式のアンインストールが完了したことを通知する無線方式アンインストール完了信号を作成する。上りリンク通信部65は、上り信号をフレキシブル無線基地局7から受信し、当該上り信号を方式管理装置5に送信するとともに、無線方式アンインストール完了信号作成部64が作成した無線方式アンインストール完了信号を方式管理装置5に送信する。
【0063】
同期確立部66は、無線端末局8からフレキシブル無線基地局7を介して同期確立要求信号を受信した場合、当該フレキシブル無線基地局7を介して当該無線端末局8との同期を確立する。
【0064】
フレキシブル無線基地局7は、下りリンク通信部70、上りリンク通信部71を備えている。下りリンク通信部70は、下り信号を信号処理装置6から受信するとともに、下り信号を無線端末局8に送信する。上りリンク通信部71は、上り信号を無線端末局8から受信するとともに、上り信号を信号処理装置6に送信する。
【0065】
無線端末局8は、第1実施形態における無線端末局4と同様の構成である。すなわち、無線端末局8は、無線端末局4が備えている、下りリンク通信部40、同期確立要求信号作成部41、上りリンク通信部42に相当する、下りリンク通信部80、同期確立要求信号作成部81、上りリンク通信部82を備えている。下りリンク通信部80、同期確立要求信号作成部81、上りリンク通信部82は、それぞれ下りリンク通信部40、同期確立要求信号作成部41、上りリンク通信部42と同じ機能であるので説明を省略する。
【0066】
次に、本第2実施形態の動作について説明する。
図8は、本第2実施形態におけるフレキシブルワイヤレスシステム全体の動作を説明する図である。図8において、方式管理装置5は、802.11と802.15.4の2種類の無線方式を管理しているものとする。
【0067】
方式管理装置5は、信号処理装置6−2に対して、802.15.4に対応する報知信号を低頻度に送信し、信号処理装置6−3、6−4に対して、802.11に対応する報知信号を低頻度に送信する。
【0068】
信号処理装置6−1は、フレキシブル無線基地局7a−1、7a−2に対して、802.11に対応する報知信号を定期的に送信し、フレキシブル無線基地局7a−1に対して、802.15.4に対応する報知信号を定期的に送信し、フレキシブル無線基地局7a−2に対して、802.15.4に対応する報知信号を低頻度で送信する。信号処理装置6−2は、フレキシブル無線基地局7b−1、7b−2に対して、802.11に対応する報知信号を定期的に送信し、方式管理装置5から802.15.4に対応する報知信号を受信する度に当該報知信号を送信する。信号処理装置6−3は、フレキシブル無線基地局7c−1、7c−2に対して、方式管理装置5から802.11に対応する報知信号を受信する度に当該報知信号を送信し、802.15.4に対応する報知信号を定期的に送信する。信号処理装置6−4は、フレキシブル無線基地局7d−1、7d−2に対して、方式管理装置5から802.11に対応する報知信号を受信する度に当該報知信号を送信し、802.15.4に対応する報知信号を定期的に送信する。
【0069】
図9乃至図12は、本第2実施形態における方式管理装置5、信号処理装置6、フレキシブル無線基地局7、無線端末局8の各々の動作を説明するフローチャートである。まず、方式管理装置5では、無線方式管理部50は、方式管理装置5配下の各信号処理装置6にインストールされている無線方式を報知信号作成部51に通知する。報知信号作成部51は、無線方式管理部50から通知された当該方式管理装置5配下の各信号処理装置6にインストールされている無線方式を表す情報に基づいて、各無線方式に対応する下り報知信号を作成する。つまり、信号処理装置6にインストールされていない無線方式に対応する報知信号を低頻度で作成することになる。下りリンク通信部52は、報知信号作成部51が作成した報知信号を当該報知信号に対応する無線方式をインストールしていない当該方式管理装置5配下の信号処理装置6にマルチキャスト送信する(ステップSf1)。
【0070】
信号処理装置6では、報知信号作成部60は、当該信号処理装置6にインストールされている無線方式に対応する下り報知信号を定期的に作成し、下りリンク通信部61は、方式管理装置5から受信した報知信号、及び報知信号作成部60が作成した報知信号を、当該信号処理装置6配下のフレキシブル無線基地局7に送信する(ステップSf2、Sf3、Sf4)。
【0071】
フレキシブル無線基地局7では、下りリンク通信部70は、信号処理装置6から送信された報知信号を受信し(ステップSf5)、受信した報知信号をフレキシブル無線基地局7配下の無線端末局8にブロードキャスト送信する(ステップSf6)。
【0072】
無線端末局8では、下りリンク通信部80は、フレキシブル無線基地局7から送信された報知信号を受信し(ステップSf7)、受信した報知信号を同期確立要求信号作成部81に通知し、同期確立要求信号作成部81は、受信した報知信号に対応する無線方式を扱っており(ステップSf8のYES)、かつ、当該無線端末局8がフレキシブル無線基地局7を介して信号処理装置6との同期を確立していない場合(ステップSf9のNO)、同期要求確立信号を作成し、上りリンク通信部82は、同期確立要求信号作成部81が作成した同期要求確立信号をフレキシブル無線基地局7に報知する(ステップSf10)。一方、当該無線端末局8が下りリンク通信部80から通知された報知信号に対応する無線方式を扱っていない場合(ステップSf8のNO)、あるいは、当該無線端末局8がフレキシブル無線基地局7を介して信号処理装置6との同期を確立している場合には(ステップSf9のYES)、何もせずにステップSf1またはSf2へ戻る。
【0073】
フレキシブル無線基地局7では、上りリンク通信部71は、無線端末局8から送信された同期確立要求信号を受信し(ステップSf11)、受信した同期確立要求信号を信号処理装置6に送信する(ステップSf12)。
【0074】
信号処理装置6では、上りリンク通信部65は、フレキシブル無線基地局7から送信された同期確立要求信号を受信し(ステップSf13)、受信した同期確立要求信号に対応する無線方式がインストール済みである場合には(ステップSf14のYES)、同期確立部66は、ステップSf13で受信した同期確立要求信号を送信したフレキシブル無線基地局7を介して無線端末局8との同期を確立する(ステップSf21)。
【0075】
一方、受信した同期確立要求信号に対応する無線方式がインストール済みでない場合には(ステップSf14のNO)、上りリンク通信部65は、受信した同期確立要求信号を方式管理装置5に送信する(ステップSf15)。
【0076】
方式管理装置5では、上りリンク通信部53は、信号処理装置6から送信された同期確立要求信号を受信し(ステップSf16)、無線方式検出部54は、受信した同期確立要求信号に対して無線方式の検出を実施し(ステップSf17)、無線方式インストール信号作成部55は、受信した同期確立要求信号に対する無線方式をインストールする旨を指示するインストール信号を作成し、制御部56は、当該インストール信号に対応する無線方式をインストールすることを無線方式管理部50に通知し、下りリンク通信部52は、信号処理装置6に作成したインストール信号を送信する(ステップSf18)。無線方式管理部50は、当該信号処理装置6に当該無線方式がインストールされたことを管理する。
【0077】
信号処理装置6では、下りリンク通信部61は、方式管理装置5から無線方式のインストール信号を受信し(ステップSf19)、受信した無線方式インストール信号に対応する無線方式をインストールする(ステップSf20)。無線方式をインストールする前は、当該無線方式に対応する報知信号を、方式管理装置5が低頻度で送信していたが、当該無線方式をインストールすることにより、当該報知信号を信号処理装置6が定期的に送信するようになる。次に、同期確立部66は、ステップSf13で受信した同期確立要求信号を送信したフレキシブル無線基地局7を介して無線端末局8との同期を確立する(ステップSf21)。
【0078】
なお、図8、または図9乃至図12には示されていないが、信号処理装置6は、インストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールすることができる。
【0079】
すなわち、信号処理装置6では、無線方式利用頻度管理部62は、当該信号処理装置6にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を無線方式アンインストール部63に通知する。無線方式アンインストール部63は、無線方式利用頻度管理部62から通知された当該信号処理装置6にインストールされている無線方式を用いて行われた通信の頻度を表す情報に基づいて、当該無線方式をアンインストールする。つまり、当該頻度が閾値を下回った場合、当該無線方式をアンインストールすることになる。また、無線方式のアンインストールが完了したことを無線方式アンインストール完了信号作成部64に通知する。
【0080】
無線方式アンインストール完了信号作成部64は、無線方式アンインストール部63から無線方式のアンインストールが完了したことを通知された場合、当該無線方式のアンインストールが完了したことを表す信号を作成する。上りリンク通信部65は、無線方式アンインストール完了信号作成部64が作成した無線方式アンインストール完了信号を方式管理装置5に報知する。
【0081】
また、方式管理装置5では、上りリンク通信部53は、無線方式アンインストール完了信号を当該方式管理装置5配下の信号処理装置6から受信する。制御部56は、信号処理装置6から無線方式アンインストール完了信号を受信した場合、無線方式管理部50に当該信号処理装置6が当該無線方式アンインストール完了信号に対応する無線方式をアンインストールすることを通知する。無線方式管理部50は、当該信号処理装置6にインストールされていた無線方式がアンインストールされたことを管理する。
【0082】
なお、上述した第2実施形態において、信号処理装置6は、方式管理装置5から受信した報知信号を復調することなくフレキシブル無線基地局7に送信することにより、方式管理装置5−無線端末局8間の通信に必要な信号処理量を削減することができる。
【0083】
また、上述した第2実施形態において、フレキシブル無線基地局7は、信号処理装置6から受信した報知信号を復調することなく無線端末局8に送信することにより、方式管理装置5−無線端末局8間の通信に必要な信号処理量を削減することができる。
【0084】
また、上述した第2実施形態において、方式管理装置5は、報知信号と共に報知信号の送信間隔を信号処理装置6に通知するようにしてもよい。その結果、以降の報知信号の送信を信号処理装置6で実施することができるようになり、方式管理装置5が報知信号を送信する負荷を軽減することができる。
【0085】
また、上述した第2実施形態において、フレキシブルワイヤレスシステムが収容する無線方式に幅広く適用することができる。よって、本発明は、利用形態として、特定の無線方式(例えば、802.11や802.15.4)に制限されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 有線ネットワーク
2、6、6−1〜6−N 信号処理装置
3、3−1〜3−N、7、7a−1〜7a−N、7b−1〜7b−N、7c−1〜7c−2、7d−1〜7d−2 フレキシブル無線基地局
4、4a−1〜4a−N、4b−1〜4b−N、4c−1〜4c−N、8、8a−1〜8a−N、8b−1〜8b−N、8c−1〜8c−N、8d−1〜8d−N、8e−1〜8e−N、8f−1〜8f−N、8g−1〜8g−N、8h−1〜8h−N 無線端末局
5 方式管理装置
20、50 無線方式管理部
21、51 報知信号作成部
22、52 下りリンク通信部
23、53 上りリンク通信部
24、54 無線方式検出部
25、55 無線方式インストール信号作成部
26、56 制御部
30、60 報知信号作成部
31、61 下りリンク通信部
32、62 無線方式利用頻度管理部
33、63 無線方式アンインストール部
34、64 無線方式アンインストール完了信号作成部
35、65 上りリンク通信部
36、66 同期確立部
40、80 下りリンク通信部
41、81 同期確立要求信号作成部
42、82 上りリンク通信部
70 下りリンク通信部
71 上りリンク通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線方式の管理と無線方式を示す報知信号の報知を行う信号処理装置と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いてデータの送受信を行う基地局と端末局とにより構成される無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記複数の無線方式のいずれかを、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定手段と、
前記無線方式設定手段により設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信手段と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局を介して前記端末局に報知する報知手段と、
前記基地局に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局を介して受信した場合に、前記基地局に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示手段と
を備え、
前記基地局は、
前記無線方式設定手段により、前記信号処理装置の前記指示手段による指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記報知手段は、前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局が前記無線方式設定手段により設定された無線方式を示す報知信号を前記端末局に報知する所定の時間間隔に比べて、より低頻度で前記基地局を介して前記端末局に報知する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記基地局は、前記無線方式設定手段により設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が所定の閾値を下回った場合、当該無線方式の設定を解除する無線方式解除手段を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
複数の無線方式の管理と無線方式を示す報知信号の報知を行う方式管理装置と、信号処理装置と、基地局と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いて、前記基地局を介して、前記信号処理装置との間でデータの送受信を行う端末局とにより構成される無線通信システムであって、
前記信号処理装置は、
前記複数の無線方式のいずれかを、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定手段と、
前記基地局を介して、前記無線方式設定手段により設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信手段と
を備え、
前記方式管理装置は、
前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知する報知手段と、
前記信号処理装置に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局と前記信号処理装置を介して受信した場合に、前記信号処理装置に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示手段と
を備え、
前記信号処理装置は、
前記無線方式設定手段により、前記方式管理装置の前記指示手段による指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
前記報知手段は、前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置が前記無線方式設定手段により設定された無線方式を示す報知信号を前記端末局に報知する所定の時間間隔に比べて、より低頻度で前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知する
ことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記信号処理装置は、前記無線方式設定手段により設定されている無線方式を用いて行われた通信の頻度が所定の閾値を下回った場合、当該無線方式の設定を解除する無線方式解除手段を更に備えることを特徴とする請求項4または5に記載の無線通信システム。
【請求項7】
信号処理装置と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いてデータの送受信を行う基地局と端末局とにより構成される無線通信システムの無線方式設定方法であって、
前記信号処理装置が、前記基地局に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記基地局を介して前記端末局に報知する報知ステップと、
前記信号処理装置が、前記基地局に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局を介して受信した場合に、前記基地局に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示ステップと、
前記基地局が、前記指示ステップでの前記信号処理装置からの指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定ステップと、
前記基地局が、前記無線方式設定ステップで前記基地局に設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信ステップと
を含むことを特徴とする無線方式設定方法。
【請求項8】
方式管理装置と、信号処理装置と、基地局と、複数の無線方式のいずれか同一の無線方式を用いて、前記基地局を介して、前記信号処理装置との間でデータの送受信を行う端末局とにより構成される無線通信システムの無線方式設定方法であって、
前記方式管理装置が、前記信号処理装置に設定されていない無線方式を示す報知信号を、前記信号処理装置と前記基地局とを介して前記端末局に報知する報知ステップと、
前記方式管理装置が、前記信号処理装置に設定されていない無線方式による同期要求を前記端末局から前記基地局と前記信号処理装置とを介して受信した場合に、前記信号処理装置に対して、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式の設定を指示する指示ステップと、
前記信号処理装置が、前記指示ステップでの前記方式管理装置からの指示に従って、前記端末局からの前記同期要求に対応する無線方式を、前記端末局とのデータの送受信に用いる無線方式として設定する無線方式設定ステップと、
前記信号処理装置が、前記基地局を介して、前記無線方式設定ステップで前記信号処理装置に設定された前記無線方式と同一の無線方式を用いる端末局との間でデータの送受信を行う送受信ステップと
を含むことを特徴とする無線方式設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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