無線通信システム、基地局装置、移動局装置、無線通信方法及び集積回路
【課題】移動局装置が効率の良いランダムアクセス手順を行なう。
【解決手段】
基地局装置は、複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、移動局装置は、通知された設定情報にランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行する。
【解決手段】
基地局装置は、複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、移動局装置は、通知された設定情報にランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、基地局装置、移動局装置および無線通信システムに関連し、より詳細には、上りリンクの送信タイミングの通知時の動作における無線通信システム、基地局装置、移動局装置、無線通信方法及び集積回路に関する。
【背景技術】
【０００２】
３ＧＰＰ（3rd Generation Partnership Project）では、Ｗ−ＣＤＭＡ方式が第三世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度を更に上げたＨＳＤＰＡも標準化され、サービスが開始されている。
【０００３】
一方、３ＧＰＰでは、第三世代無線アクセスの進化（Evolved Universal Terrestrial Radio Access；以下、「EUTRA」と呼称する。）の標準化も標準化され、サービスが開始されている。ＥＵＴＲＡの下りリンクの通信方式として、マルチパス干渉に強く、高速伝送に適したＯＦＤＭ（Orthogonal Frequency Division Multiplexing）方式を採用している。また、上りリンクの通信方式として、移動局装置のコストと消費電力を考慮し、送信信号のピーク対平均電力比ＰＡＰＲ（Peak to Average Power Ratio）を低減できるシングルキャリア周波数分割多重方式ＳＣ−ＦＤＭＡ（Single Carrier-Frequency Division Multiple Access）のＤＦＴ（Discrete Fourier Transform（離散フーリエ変換））−ｓｐｒｅａｄ ＯＦＤＭ方式を採用している。
【０００４】
また、３ＧＰＰでは、ＥＵＴＲＡの更なる進化のＡｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡの標準化作業も行なわれている。Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、上りリンクおよび下りリンクでそれぞれ最大１００ＭＨｚ帯域幅までの帯域を使用して、最大で下りリンク１Ｇｂｐｓ以上、上りリンク５００Ｍｂｐｓ以上の伝送レートの通信を行なうことを想定している。
【０００５】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの移動局装置も収容できるようにＥＵＴＲＡの２０ＭＨｚ以下の帯域を複数個束ねることで、最大で１００ＭＨｚ帯域を実現することを考えている。尚、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの１つの２０ＭＨｚ以下の帯域をコンポーネントキャリア（Component Carrier : CC）と呼んでいる（非特許文献２）。また、１つの下りリンクのコンポーネントキャリアと１つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて１つのセルを構成する。尚、１つの下りリンクコンポーネントキャリアのみでも１つのセルを構成できる。基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当てて、割り当てたセルを介して移動局装置と通信を行なう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００６】
【非特許文献１】3GPP TS(Technical Specification)36.300、V10.3.0(2011-03)、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)、Overall description Stage2
【非特許文献２】3GPP TR(Technical Specification)36.814、V9.0.0(2010-03)、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) Further advancements for E-UTRA physical layer aspects
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
移動局装置が、周波数の異なる複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、ある周波数のセルではリピータ（Ｒｅｐｅａｔｅｒ）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアからのデータの受信タイミングは、セル毎に異なり、更に各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングが異なることとなる。その為、移動局装置は、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミング調整を行なって、基地局装置へのデータ送信を行なう必要がある。
【０００８】
そのため、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎にランダムアクセス手順を実行し、送信タイミング情報を取得する必要がある。しかしながら、全ての上りリンクコンポーネントキャリアでランダムアクセス手順を実行することは、移動局装置に負荷がかかる。
【０００９】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置からの送信タイミングが異なる上りリンクコンポーネントキャリアにおけるデータ送信について、効率良くランダムアクセス手順を実行するための移動局装置、基地局装置、無線通信システム、無線通信方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
（１）上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線通信システムは、基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムであって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１１】
（２）また、本発明の無線通信システムは、前記移動局装置が前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１２】
（３）また、本発明の無線通信システムは、前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが、非競合ベースランダムアクセス手順のみ必要なパラメータで構成されることを特徴とする。
【００１３】
（４）また、本発明の無線通信システムは、前記移動局装置が、前記基地局装置から各セルに対する設定情報を再度取得し、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を再度保持し、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を破棄することを特徴とする。
【００１４】
（５）また、本発明の基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に送信することを特徴とする。
【００１５】
（６）また、本発明の移動局装置は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信し、前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１６】
（７）また、本発明の移動局装置は、前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対して、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１７】
（８）また、本発明の無線通信方法は、基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムに適用される無線通信方法であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて前記移動局装置に通知するステップと、前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行するするステップとを少なくとも含むことを特徴とする。
【００１８】
（９）また、本発明の無線通信方法は、前記移動局装置が前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする。
【００１９】
（１０）また、本発明の集積回路は、移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置に適用される集積回路であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める手段と、前記設定情報を移動局装置に送信する手段を有することを特徴とする。
【００２０】
（１１）また、本発明の集積回路は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置に適用される集積回路であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信する手段と、前記複数セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００２１】
本発明によれば、各セルにおいて上りリンク送信タイミングが異なる場合に、１つ送信タイミンググループに対して１つの送信タイミング情報を通知するだけで良く、送信タイミング情報の通知のために無駄な無線リソースを使用しなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の実施形態に係る移動局装置の構成を示す図である。
【図２】本発明の実施形態に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図３】本発明の実施形態に係るセルの構成例を示す図である。
【図４】本発明の実施形態に係るセルの割り当て例を示す図である。
【図５】送信タイミングメッセージ受信時の移動局装置の動作例を示すフローチャートである。
【図６】送信タイミングメッセージ受信時の移動局装置の動作例を示すフローチャートである。
【図７】ＥＵＴＲＡにおけるチャネル構成を示す図である。
【図８】ＥＵＴＲＡにおける上りリンクの構成を示す図である。
【図９】競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。
【図１０】非競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。
【図１１】Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける下りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【図１２】Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける上りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【図１３】基地局装置と移動局装置がリピータを介して通信する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
ＥＵＴＲＡの下りリンクでは、下りリンク参照信号（Downlink Reference Signal）、下りリンク同期チャネルＤＳＣＨ（Downlink Synchronization Channel）、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨ（Physical Downlink Shared Channel）、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨ（Physical Downlink Control Channel）、報知チャネルＰＢＣＨ（Physical Broadcast Channel）により構成されている。
【００２４】
ＥＵＴＲＡの上りリンクでは、上りリンク参照信号（Uplink Reference Signal）、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ（Random Access Channel）、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨ（Physical Uplink Shared Channel）、上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨ（Physical Uplink Control Channel）により構成されている。また、上りリンク参照信号には、復調用参照信号（Demodulation Reference Signal）と測定用参照信号（Sounding Reference Signal）の2種類の信号がある。
【００２５】
図７は、ＥＵＴＲＡにおけるチャネル構成を示す図であり、図８は、ＥＵＴＲＡにおける上りリンクの構成を示す図である。１ブロックは、１２本のサブキャリアと７つのＯＦＤＭシンボルから構成される。そして、２つのブロックを使用して、１リソースブロック（Resource Block：RB）を構成する。上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨは、１リソースブロック単位で使用される。ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、６リソースブロック分を使用して構成される。
【００２６】
上りリンク参照信号は、リソースブロック内の特定のＯＦＤＭシンボルに配置される。上りリンクの各チャネルは、図８のように上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの領域と上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの領域とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨとが分けられている。上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの各領域に関する情報は、基地局装置から報知される。また、基地局装置は、各領域の中から移動局装置個別に上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースを割り当てる。尚、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、一定の周期で配置される。
【００２７】
下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨは、基地局装置から移動局装置へのユーザーデータや制御データの送信に使用される。下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨは、基地局装置から移動局装置への下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨと上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの無線リソース割り当て情報などの制御情報通知に使用される。下りリンク参照信号は、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨと下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨを復調するために使用される。下りリンク同期チャネルＤＳＣＨは、移動局装置が下りリンクの同期を取るために使用される。報知チャネルＰＢＣＨは、基地局装置のセルのシステム情報に関する情報を通知するために使用される。
【００２８】
上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨは、移動局装置から基地局装置へのユーザーデータや制御データの送信に使用される。尚、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨで送受信されるデータは、ＨＡＲＱ（Hybrid Automatic Repeat reQuest）処理が行われ、再送時に初送データと再送データを合成処理することで再送時のデータの誤り訂正能力を向上させている。上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨは、基地局装置からの下りリンクのデータに対する応答（ＡＣＫ(Acknowledge)/ＮＡＣＫ(Negative acknowledge)）や下りリンクの無線伝搬路品質情報などの制御情報を通知する為に使用される。
【００２９】
ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、主に移動局装置から基地局装置への送信タイミング情報を取得するためのランダムアクセスプリアンブル送信に使用される。ランダムアクセスプリアンブル送信はランダムアクセス手順の中で行なわれる。上りリンク参照信号の復調用参照信号は、基地局装置が上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨを復調するために使用され、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの４番目のシンボル位置と１１番目のシンボル位置に挿入される。上りリンク参照信号の測定用参照信号は、基地局装置が上りリンクの無線伝搬路品質を測定するために使用され、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの１４番目のシンボル位置に挿入される。尚、測定用参照信号を送信するための無線リソースは、基地局装置から移動局装置個別に割り当てられる。
【００３０】
ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス手順（Contention based Random Access procedure）と非競合ベースランダムアクセス手順（Non-contention based Random Access procedure）の２つのアクセス手順がある（非特許文献１）。
【００３１】
図９は、競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、競合ベースランダムアクセス手順は、基地局装置と接続（通信）していない状態からの初期アクセス時や基地局装置と接続中であるが、上りリンク同期が外れている状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
【００３２】
図１０は、非競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。非競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが、上りリンクの同期が外れている場合に迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるためにハンドオーバーや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置がランダムアクセス指示情報を移動局装置に通知することで、移動局装置がランダムアクセス手順を開始する（非特許文献１）。非競合ベースランダムアクセス手順は、ＲＲＣ（Ｒａｄｉｏ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｃｏｎｔｒｏｌ：Ｌａｙｅｒ３）層のメッセージ及び下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨの制御データにより指示される。
【００３３】
図９を用いて、競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、移動局装置１−１がランダムアクセスプリアンブルを基地局装置３に送信する（メッセージ１：（１）、ステップＳ１）。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置３が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答（ランダムアクセスレスポンス）を移動局装置１−１に送信する（メッセージ２：（２）、ステップＳ２）。移動局装置１−１がランダムアクセスレスポンスに含まれているスケジューリング情報を元に上位レイヤ（Layer2/Layer3）のメッセージを送信する（メッセージ３：（３）、ステップＳ３）。基地局装置３は、（３）の上位レイヤメッセージを受信できた移動局装置１−１に衝突確認メッセージを送信する（メッセージ４：（４）、ステップＳ４）。尚、競合ベースランダムアクセス手順で送信されるランダムアクセスプリアンブルをランダムプリアンブルとも言う。
【００３４】
図１０を用いて、非競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、基地局装置３は、プリアンブル番号（または、シーケンス番号）と使用するランダムアクセスチャネル番号を含んだランダムアクセス指示情報を移動局装置１−１に通知する（メッセージ０：（１）’、ステップＳ１１）。移動局装置１−１は、指定されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを指定されたランダムアクセスチャネルＲＡＣＨに送信する（メッセージ１：（２）’、ステップＳ１２）。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置３が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答（ランダムアクセスレスポンス）を移動局装置１−１に送信する（メッセージ２：（３）’、ステップＳ１３）。ただし、通知されたプリアンブル番号の値が０の場合は、競合ベースランダムアクセス手順を行なう。尚、非競合ベースランダムアクセス手順で送信されるランダムアクセスプリアンブルを専用プリアンブルとも言う。尚、ランダムアクセスプリアンブルは、ＣＡＺＡＣ（Constant Amplitude Zero AutoCorrelation）シーケンスを用いて生成される。
【００３５】
図９を用いて、移動局装置１−１が基地局装置３への接続手順を説明する。まず、移動局装置１−１は、報知チャネルＰＢＣＨ等から基地局装置３のシステム情報を取得し、システム情報に含まれているランダムアクセス情報から競合ベースランダムアクセス手順を実行し、基地局装置３との接続を行なう。移動局装置１−１は、下りリンクの無線伝搬路品質、送信する上位レイヤメッセージのサイズ及びランダムアクセス情報等からランダムアクセスプリアンブルを選択・生成する。そして、移動局装置１−１は、ランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを決定し、ランダムアクセスプリアンブルを送信する（メッセージ１：（１））。
【００３６】
基地局装置３は、移動局装置１−１からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置１−１と基地局装置３との間の送信タイミングのずれ量を算出し、Ｌａｙｅｒ２（Ｌ２）／Ｌａｙｅｒ３（Ｌ３）メッセージを送信するためスケジューリング（上りリンク無線リソース位置（上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの位置）、送信フォーマット（メッセージサイズ）などの指定）を行ない、Ｔｅｍｐｏｒａｒｙ Ｃ−ＲＮＴＩ（Cell-Radio Network Temporary Identity：移動局装置識別情報）を割り当て、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨにランダムアクセスチャネルＲＡＣＨのランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置１−１宛の応答（ランダムアクセスレスポンス）を示すＲＡ−ＲＮＴＩ（Random Access-Radio Network Temporary Identity：ランダムアクセスレスポンス識別情報）を配置し、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに送信タイミング情報、スケジューリング情報、Ｔｅｍｐｏｒａｒｙ Ｃ−ＲＮＴＩおよび受信したランダムアクセスプリアンブルの情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージを送信する（メッセージ２：（２））。
【００３７】
移動局装置１−１は、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨにＲＡ−ＲＮＴＩがあることを検出すると、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルの情報が含まれている場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング情報から上りリンクの送信タイミングを調整し、スケジューリングされた無線リソースと送信フォーマットでＣ−ＲＮＴＩ（またはTemporary C-RNTI）または、ＩＭＳＩ（International Mobile Subscriber Identity）等の移動局装置１−１を識別する情報を含むＬ２／Ｌ３メッセージを送信する（メッセージ３：（３））。移動局装置１−１は、送信タイミングを調整した場合に、調整した送信タイミングが有効である送信タイミングタイマーをスタートする。尚、この送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となる。送信タイミングが有効の間、移動局装置１−１は、基地局装置へのデータ送信が可能であり、送信タイミングが無効の場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信のみ可能である。また、送信タイミングが有効な期間を上りリンク同期状態と言い、送信タイミングが有効でない期間を上りリンク非同期状態とも言う。
【００３８】
基地局装置３は、移動局装置１−１からのＬ２／Ｌ３メッセージを受信すると、受信したＬ２／Ｌ３メッセージに含まれるＣ−ＲＮＴＩ（またはTemporary C-RNTI）またはＩＭＳＩを使用して移動局装置１−１〜１−３間で衝突が起こっているかどうか判断するための衝突確認（コンテンションレゾリューション）メッセージを移動局装置１−１に送信する（メッセージ４：（４））。移動局装置１−１は、衝突確認メッセージを受信すると競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００３９】
尚、移動局装置１−１は、一定期間内に送信したランダムアクセスプリアンブルに対応するプリアンブル番号を含むランダムアクセスレスポンスメッセージを検出しなかった場合、メッセージ３の送信に失敗した場合、または、一定期間内に衝突確認メッセージに自移動局装置１−１の識別情報を検出しなかった場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信（メッセージ１：（１））からやり直す。そして、ランダムアクセスプリアンブルの送信回数がランダムアクセス情報で示されたランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数を越えた場合、移動局装置１−１は、ランダムアクセス手順失敗と判断し、基地局装置３との通信を切断する。尚、ランダムアクセス手順成功後は、更に基地局装置３と移動局装置１−１との間で接続の為の制御データのやり取りがされる。この時、基地局装置３は、個別に割り当てる上りリンク参照信号や上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの割り当て情報を移動局装置１−１に通知する。
【００４０】
尚、基地局装置から報知されるランダムアクセス情報は、ランダムアクセスプリアンブル生成のために使用されるＣＡＺＡＣシーケンスの番号情報やランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの配置情報などから構成されるランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムプリアンブル数やランダムプリアンブルのグループ情報などのランダムプリアンブルを選択・生成するための情報から構成されるランダムプリアンブル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報、コンテンションレゾリューション受信に関する情報、Ｌ２／Ｌ３メッセージ送信に関する情報などから構成されるランダムアクセス手順関連情報など複数のパラメータから構成される。
【００４１】
ランダムアクセス手順完了以降の上りリンクの送信タイミングの更新は、基地局装置３が移動局装置１−１から送信される上りリンク参照信号（測定用参照信号、または、復調用参照信号）を測定して、送信タイミング情報を算出し、算出した送信タイミング情報含む送信タイミングメッセージを移動局装置１−１に通知することで行なわれる。移動局装置１−１は、基地局装置３から通知された送信タイミング情報から上りリンクの送信タイミングを調整すると送信タイミングタイマーをリスタート（restart）する。尚、基地局装置３も移動局装置１−１と同じ送信タイミングタイマーを保持しており、送信タイミングメッセージを送信した場合に送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。このようにすることで、基地局装置３と移動局装置１−１で上りリンク同期状態を管理する。送信タイミングタイマーが満了すると送信タイミングは無効となり、ランダムアクセスプリアンブルの送信以外の上りリンク送信を停止する。
【００４２】
また、３ＧＰＰでは、ＥＵＴＲＡの更なる進化のＡｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡの議論も始まっている。Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、上りリンクおよび下りリンクでそれぞれ最大１００ＭＨｚ帯域幅までの帯域を使用して、最大で下りリンク１Ｇｂｐｓ以上、上りリンク５００Ｍｂｐｓ以上の伝送レートの通信を行なうことを想定している。
【００４３】
図１１は、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける下りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。図１２は、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける上りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【００４４】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの移動局装置も収容できるようにＥＵＴＲＡの２０ＭＨｚ以下の帯域を複数個束ねることで、最大で１００ＭＨｚ帯域を実現することを考えている。尚、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの１つの２０ＭＨｚ以下の帯域をコンポーネントキャリア（Component Carrier : CC）と呼んでいる（非特許文献２）。また、１つの下りリンクのコンポーネントキャリアと１つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて１つのセルを構成する。尚、１つの下りリンクコンポーネントキャリアのみでも１つのセルを構成できる。
【００４５】
つまり、基地局装置は、移動局装置の通信能力や通信条件にあった複数のセルを割り当て、割り当てた複数のセルを介して移動局装置と通信を行なうようにしている。尚、移動局装置に割り当てられた複数のセルは、１つのセルを第一セル（Primary Cell）とそれ以外のセルを第二セル（Secondary Cell）としている。第一セルには、上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨを割り当てや、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨへのアクセス許可など特別な機能を設定している。
【００４６】
また、移動局装置の消費電力を少なくするために、割り当て直後の第二セルに対し、移動局装置は下りリンクの受信処理を行わず（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従わない）、基地局装置からアクティベート（Activate）を指示された後、アクティベートを指示された第二セルに対して下りリンクの受信処理を開始する（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従う）ようにしている。また、移動局装置は、基地局装置からアクティベートしている第二セルに対してデアクティベート（deactivate）を指示された後、デアクティベートを指示された第二セルに対して下りリンクの受信処理を停止する（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従わない）ようにしている。尚、基地局装置からアクティベートを指示され、下りリンクの受信処理を行っている第二セルをアクティベートセルと言い、また、基地局装置から移動局装置への割り当て直後の第二セル及びデアクティベートを指示され、下りリンクの受信処理を停止している第二セルをデアクティベートセルと言う。また、第一セルは、常にアクティベートセルである。
【００４７】
しかし、移動局装置が、複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、図１３のようにリピータ（Repeater）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアの受信タイミングと、上りリンクコンポーネントキャリア毎の基地局装置への送信タイミングの両方または一方がセル毎に異なることとなる。特に、上りリンクコンポーネントキャリア毎の基地局装置への送信タイミングが異なる場合、移動局装置は各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミングの調整を行なって、基地局装置へのデータ送信を行なう必要がある。
【００４８】
[構成説明]
図１は、本発明の実施形態に係る移動局装置の構成を示す図である。移動局装置１−１〜１−３は、無線部１０１、送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７、制御部１０９、上りリンク参照信号生成部１１１、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３、受信処理部１１５、復調部１１７、受信ＨＡＲＱ処理部１１９、移動局管理部１２１から構成される。移動局管理部１２１は、ＵＬスケジュール部１２３、制御データ作成部１２５、制御データ解析部１２７、セル管理部１２９、ＴＡ管理部１３１から構成される。
【００４９】
ユーザーデータや制御データは、送信ＨＡＲＱ処理部１０７に入力される。送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９の指示により、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、パンクチャしたデータを変調部１０５に出力し、符号化したデータを保存しておく。また、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９より、データの再送を指示された場合、保存されている符号化したデータに前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを変調部１０５に出力する。また、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００５０】
変調部１０５は、送信ＨＡＲＱ処理部１０７からの入力データに変調を行ない、送信処理部１０３に出力する。送信処理部１０３は、制御部１０９の指示により、変調部１０５や上りリンク参照信号生成部１１１やランダムアクセスプリアンブル生成部１１３からの入力データ（または入力信号）を各セルの上りリンクコンポーネントキャリアの各チャネルにマッピングし、マッピングしたデータを直列／並列変換、ＤＦＴ−ＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform（逆高速フーリエ変換））変換、ＣＰ挿入などのＯＦＤＭ信号処理を行い、ＯＦＤＭ信号を生成する。また、送信処理部１０３は、制御部１０９から渡される送信タイミング情報と送信タイミングを調整する送信タイミンググループ情報から各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に出力される信号の送信タイミングを調整し、送信タイミングの調整後、ＯＦＤＭ信号を無線部１０１に出力する。
【００５１】
上りリンク参照信号生成部１１１は、制御部１０９の指示により、移動局管理部１２１から取得した上りリンク参照信号生成情報から上りリンク参照信号を生成し、生成した上りリンク参照信号を送信処理部１０３に出力する。ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３は、制御部１０９からプリアンブル番号のみが通知された場合、設定されたランダムアクセス情報から通知されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを生成し、ランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの位置を選択して、送信処理部１０３に生成したランダムアクセスプリアンブルと選択したランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置を出力する。また、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３は、制御部１０９からプリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置が通知された場合、ランダムアクセス情報から通知されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを生成し、生成したランダムアクセスプリアンブルと通知されたランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置を送信処理部１０３に出力する。
【００５２】
無線部１０１は、制御部１０９からの指示により送信処理部１０３からの入力信号を無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナから送信する。また、無線部１０１は、アンテナより受信した無線信号をダウンコンバートし、受信処理信部１１５に出力する。受信処理部１１５は、無線部１０１からの入力信号をＦＦＴ（Fast Fourier Transform（高速フーリエ変換））処理を行ない、復調部１１７に出力する。復調部１１７は、入力データの復調処理を行い、復調したデータを受信ＨＡＲＱ処理部１１９に出力する。
【００５３】
受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、制御データを移動局管理部１２１に出力し、ユーサーデータを上位層に出力する。受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存しておく。受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理の成否を移動局管理部１２１に通知する。また、受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、制御部１０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００５４】
制御部１０９は、移動局管理部１２１からの指示に基づいて、無線部１０１、送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７、上りリンク参照信号生成部１１１、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３、受信処理部１１５、復調部１１７、受信ＨＡＲＱ処理部１１９の制御を行う。
【００５５】
移動局管理部１２１は、ＵＬスケジュール部１２３、制御データ作成部１２５、制御データ解析部１２７、セル管理部１２９、ＴＡ管理部１３１から構成される。制御データ作成部１２５は、受信ＨＡＲＱ処理部１１９からの受信データの復号結果からデータのＡＣＫ／ＮＡＣＫメッセージを作成し、また、下りリンクの無線品質を示すメッセージなどの制御データを作成し、作成した制御データを送信ＨＡＲＱ処理部１０７に出力する。制御データ解析部１２７は、受信ＨＡＲＱ処理部１１９から入力された制御データを解析する。制御データ解析部１２７は、基地局装置３から受信したセルのシステム情報（または、セルの設定情報）やセルの割り当て情報、ランダムアクセス指示情報、ランダムアクセスレスポンスメッセージ、コンテンションレゾリューションメッセージ、上りリンク参照信号の生成情報をセル管理部１２９に出力し、送信タイミングメッセージや送信タイミングタイマー情報をＴＡ管理部１３１に出力する。
【００５６】
ＵＬスケジュール部１２３は、基地局装置３からの上りリンクデータのスケジューリング情報や送信した上りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）をもとに制御部１０９を介して送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７を制御する。また、上位層からの制御情報をもとにセル管理部１２９にランダムアクセス手順を開始するよう指示する。
【００５７】
セル管理部１２９は、基地局装置３から割り当てられたセルを管理し、基地局装置３から受信したセル毎のシステム情報、または、設定情報（物理チャネルの構成や送信電力情報やランダムアクセス情報、上りリンク参照信号の生成情報などの各セルのシステム情報や上りリンク参照信号（測定用参照信号）の無線リソースや上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースなどの移動局装置１−１に個別に割り当てられた無線リソース）を管理する。セル管理部１２９は、制御部１０９を介してランダムアクセス情報をランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知し、上りリンク参照信号の生成情報を上りリンク参照信号生成部１１１に通知する。
【００５８】
セル管理部１２９は、送信タイミングが同じセルのグループ情報をＴＡ管理部１３１に通知する。セル管理部１２９は、通信の開始時や上りリンクデータのスケジュール要求を行なう場合、競合ベースランダムアクセス手順を開始し、ランダムアクセス情報からランダムプリアンブルを選択し、選択したランダムプリアンブルのプリアンブル番号を制御部１０９を介してランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知する。また、セル管理部１２９は、ランダムアクセス指示情報を取得した場合、非競合ベースランダムアクセス手順を開始し、ランダムアクセス指示情報に含まれているプリアンブル番号とランダムアクセスチャネル番号を制御部１０９を介してランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知する。
【００５９】
セル管理部１２９は、ランダムアクセスレスポンスメッセージを取得した場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング情報をＴＡ管理部１３１に出力し、Ｌ２／Ｌ３メッセージの情報を制御データ作成部１２５に出力し、非競合ベースランダムアクセス手順実行中の場合、非競合ベースランダムアクセス手順を終了する。セル管理部１２９は、コンテンションレゾリューションメッセージを取得した場合、競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００６０】
ＴＡ管理部１３１は、セル毎または送信タイミンググループ毎の送信タイミングと送信タイミングタイマーを管理する。また、ＴＡ管理部１３１は、送信タイミングが同じとなるセルのグループ情報も管理する。ＴＡ管理部１３１は、送信タイミングメッセージを取得した場合、送信タイミングメッセージに含まれる送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報と送信タイミング情報とを制御部１０９を介して送信処理部１０３に通知し、送信タイミングを適用する送信タイミンググループの送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。
【００６１】
図２は、本発明の実施形態に係る基地局装置３の構成図を示す。基地局装置３は、無線部２０１、送信処理部２０３、変調部２０５、送信ＨＡＲＱ処理部２０７、制御部２０９、下りリンク参照信号生成部２１１、プリアンブル検出部２１３、受信処理部２１５、復調部２１７、受信ＨＡＲＱ処理部２１９、基地局管理部２２１から構成される。基地局管理部２２１は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３、制御データ作成部２２５、制御データ解析部２２７、セル管理部２２９、ＴＡ管理部２３１から構成される。
【００６２】
ユーザーデータと制御データは、送信ＨＡＲＱ処理部２０７に入力される。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９の指示により、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、パンクチャしたデータを変調部２０５に出力し、符号化したデータを保存する。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９より、データの再送を指示された場合、保存してある符号化したデータを取得し、前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを変調部２０５に出力する。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００６３】
変調部２０５は、送信ＨＡＲＱ処理部２０７からの入力データに変調を行ない、送信処理部２０３に出力する。送信処理部２０３は、制御部２０９の指示により、変調部２０５や下りリンク参照信号生成部２１１からの入力データ（または信号）を各セルの下りリンクコンポーネントキャリアの下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨ、下りリンク同期チャネルＤＳＣＨ、報知チャネルＰＢＣＨ、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨなどの各チャネルにマッピングし、マッピングしたデータを直列／並列変換、ＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform（逆高速フーリエ変換））変換、ＣＰ挿入などのＯＦＤＭ信号処理を行い、ＯＦＤＭ信号を生成する。そして、送信処理部２０３は、生成したＯＦＤＭ信号を無線部２０１に出力する。
【００６４】
無線部２０１は、制御部２０９からの指示により送信処理部２０３からの入力信号を無線周波数にアップコンバートして、送信アンテナから移動局装置１−１〜１−３に送信する。また、無線部２０１は、アンテナより移動局装置１−１からの無線信号を受信し、受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートして、受信信号を受信処理部２１５、または、プリアンブル検出部２１３に出力する。受信処理部２１５は、無線部２０１からの入力信号にＦＦＴ（Fast Fourier Transform（高速フーリエ変換））処理を行い、復調部２１７に出力する。また、受信処理部２１５は、上りリンク参照信号（測定用参照信号）から無線伝搬路品質や送信タイミングのずれ量を測定し、測定結果を基地局管理部２２１に渡す。尚、上りリンクの通信方式は、ＤＦＴ−ｓｐｒｅａｄ ＯＦＤＭ等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、ＯＦＤＭ方式のようなマルチキャリア方式でもかまわない。復調部２１７は、入力データの復調処理を行い、復調したデータを受信ＨＡＲＱ処理部２１９に出力する。
【００６５】
受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、制御データを基地局管理部２２１に出力し、ユーサーデータを上位層に出力する。受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存する。受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理の成否を基地局管理部２２１に通知する。また、受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、制御部２０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００６６】
プリアンブル検出部２１３は、無線部２０１から入力信号に対して、相関処理を行い、ランダムアクセスプリアンブルの検出処理を行う。ランダムアクセスプリアンブルを検出した場合、検出したランダムアクセスプリアンブルから送信タイミングずれ量を算出し、ランダムアクセスプリアンブルを検出したセルと検出したプリアンブルの情報と送信タイミングずれ量を基地局管理部２２１に通知する。制御部２０９は、基地局管理部２２１からの指示に基づいて、無線部２０１、送信処理部２０３、変調部２０５、送信ＨＡＲＱ処理部２０７、下りリンク参照信号生成部２１１、受信処理部２１５、復調部２１７、受信ＨＡＲＱ処理部２１９の制御を行う。
【００６７】
基地局管理部２２１は、下りリンク及び上りリンクのスケジュールを行なうＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３、制御データ作成部２２５、制御データ解析部２２７、セル管理部２２９、ＴＡ管理部２３１から構成される。ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、移動局装置１−１から通知される下りリンクの無線伝搬路品質情報や上位層からの通知される各ユーザーのデータ情報や制御データ作成部２２５で作成される制御データから下りリンクの各チャネルにユーザーデータおよび制御データをマッピングする為のスケジュールを行ない、スケジュール結果を制御部２０９に出力する。また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、受信処理部２１５からの上りリンクの無線伝搬路品質結果と移動局装置１−１からの無線リソース割り当て要求から上りリンクの各チャネルにユーザーデータをマッピングする為のスケジュールを行なう。
【００６８】
また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、プリアンブル検出部２１３からランダムアクセスプリアンブルを検出したことを通知された場合、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨを割り当てて、割り当てた上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨとプリアンブル番号を制御データ作成部２２５に通知する。ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、ＴＡ管理部２３１から送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を通知された場合、ＴＡ管理部２３１に送信タイミング情報を送信することを報告し、送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を制御データ作成部２２５に通知する。また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、上りリンクの同期が外れている移動局装置に対して、下りリンクのユーザーデータが発生した場合、移動局装置にランダムアクセス手順を行なわせるようにセル管理部２２９に指示する。
【００６９】
制御データ作成部２２５は、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨに配置される制御データや下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに配置される制御データを作成する。スケジュール情報を含んだ制御メッセージ、上りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）、物理チャネルの構成情報や各チャネルの送信電力情報やランダムアクセス情報などを含むシステム情報メッセージ、利用するセルの設定情報（ランダムアクセス情報を含む）を含んだ初期設定メッセージ、プリアンブル番号や送信タイミング情報やスケジューリング情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ、コンテンションレゾリューションメッセージ、プリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ番号を含んだランダムアクセス指示情報、送信タイミング情報を含んだ送信タイミングメッセージなどの制御データを作成する。制御データ解析部２２９は、移動局装置１−１からの下りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）結果により、制御部２０９を介して、送信ＨＡＲＱ処理部２０７を制御する。
【００７０】
セル管理部２２９は、各セルや各セルのシステム情報（物理チャネルの構成情報や各チャネルの送信電力情報やランダムアクセス情報や送信タイミングのセル関係情報など）を管理する。また、セル管理部２２９は、移動局装置１−１〜１−３に１つ以上のセルを割り当てて、また、上りリンク参照信号（測定用参照信号）の無線リソースや上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースを割り当てる。そして、セル管理部２２９は、割り当てたセルに関する情報を通知するように制御データ作成部２２５にセルの割り当て情報やセルのシステム情報（セルの設定情報）、移動局装置１−１〜１−３に割り当てる無線リソース情報などを出力する。
【００７１】
セル管理部２２９は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３から移動局装置にランダムアクセス手順を実行させる指示を受信した場合、セルのランダムアクセス情報からプリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ番号を選択し、制御データ作成部２２５に通知する。
【００７２】
ＴＡ管理部２３１は、移動局装置１−１〜１−３のセル毎の送信タイミングと送信タイミングタイマーを管理する。また、ＴＡ管理部２３１は、送信タイミングが同じとなるセル関係情報も管理する。ＴＡ管理部２３１は、プリアンブル検出部２１３や受信処理部２１５から送信タイミングのずれ量を取得した場合、送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を作成し、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３に送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を通知する。ＴＡ管理部２３１は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３から送信タイミング情報の送信を通知されると送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。
【００７３】
[動作説明]
図１１、図１２で説明した基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、割り当てた複数のセルを介して基地局装置と移動局装置が通信を行なう無線通信システムを想定している。また、図１３で説明した移動局装置からの送信タイミングが異なる複数のセルを介して通信を行なうような無線通信システムを想定している。
【００７４】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、基地局装置は、複数あるセルの中から移動局装置の通信能力や通信条件にあった１つ以上の異なる周波数のセルを周波数毎に割り当てる。そして、移動局装置は、割り当てられたセルを介して基地局装置とデータの送受信を行なう。移動局装置が、複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、図１３のようにリピータ（Ｒｅｐｅａｔｅｒ）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアからのデータの受信タイミングは、セル毎に異なる場合がある。更に各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングも異なる場合がある。上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングが異なる場合、移動局装置は、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミングの調整が必要ということになっている。
【００７５】
そのため、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎にランダムアクセス手順を実行し、送信タイミング情報を取得する必要がある。しかしながら、全ての上りリンクコンポーネントキャリアでランダムアクセス手順を実行することは、移動局装置に負荷がかかる。
【００７６】
基地局装置は、移動局装置からの送信タイミングが同じとなるセルをグループ化（以降は、送信タイミンググループと示す。）する。そして、基地局装置は、１つのセルを第一セルに設定し、それ以外のセルを第二セルに設定する。基地局装置は、移動局装置に各送信タイミンググループの１つのセルに対してランダムアクセス手順を実行することを許可する。第一セルでは、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を許可され、第二セルでは、非競合ベースランダムアクセス手順を許可される。この時、基地局装置は、移動局装置に第一セルの情報としてランダムアクセス情報の全てのパラメータ（すなわち、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を実行するために必要となる設定情報）を通知されないときも保持される設定情報として通知し、非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルの情報としてランダムアクセス情報の中で非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報のパラメータだけを通知されないときは解放（破棄、リリース）される設定情報として通知する。以降、それぞれのランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報のパラメータのことを、単にランダムアクセス情報と称して説明する場合がある。
【００７７】
保持される設定情報とは、ランダムアクセス情報が設定されたセルに対して変更を行う場合に、当該ランダムアクセス情報のパラメータに対して明示的に変更が通知されないときに、すでに設定されているパラメータの値を保持し、変更後も引き続き使用する設定情報のことを示す。一方、解放（破棄、リリース）される設定情報とは、ランダムアクセス情報が設定されたセルに対して変更を行う場合に、当該ランダムアクセス情報のパラメータに対して明示的に変更が通知されないときは、すでに設定されているパラメータの値を解放し、変更後に当該パラメータを使用せず、更に、解放したパラメータに関連する機能を停止する必要のある設定情報のことを示す。
【００７８】
このようにすることで、基地局装置は、移動局装置がランダムアクセス手順を開始できるセルを制限することができる。また、非競合ベースランダムアクセス手順のランダムアクセス情報のみを通知されたセルに対して、移動局装置は、競合ベースランダムアクセス手順を行おうと試みても、競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報がないので、競合ベースランダムアクセス手順を実行できない。
【００７９】
尚、第一セルには、電話やリアルタイム情報を通知するための定期的な無線リソースや下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに対する応答に使用するための上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨ、下りリンクの無線伝搬路品質情報などの制御情報を通知するための上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨを割り当てるなど重要な機能を設定する。このため、無線伝搬路状態の良いなど通信環境の良いセルが、第一セルとして設定される。
【００８０】
移動局装置は、ランダムアクセス情報を通知されたセルがランダムアクセス手順を許可されたセルと認識する。また、移動局装置は、ランダムアクセス情報の全てのパラメータが通知されたセルが、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を許可され、ランダムアクセス情報の一部のパラメータが通知されたセルが非競合ベースランダムアクセス手順を許可されたセルと認識する。このようにすることで、ランダムアクセス情報が通知されたか否かで、移動局装置は、どのセルでどのランダムアクセス手順が許可されたかどうかを認識できる。また、基地局装置は、非競合ベースランダムアクセス手順のみを許可する場合、通知するランダムアクセス情報のデータ量を少なくすることができ、無駄な無線リソースを使用しなくて済む。
【００８１】
尚、送信タイミンググループは、第一セルと、第一セルと同じ上りリンク送信タイミングの第二セルとから構成される第一の送信タイミンググループと、第一セルの上りリンク送信タイミングと異なる同じ上りリンク送信タイミングの第二セルから構成される第二の送信タイミンググループとに分類される。第一の送信タイミンググループは、少なくとも第一セルを含み、第二の送信タイミンググループは、少なくとも１つの第二セルを含む。
【００８２】
尚、ランダムアクセス情報は、ランダムアクセスプリアンブル生成のために使用されるＣＡＺＡＣシーケンスの番号情報やランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの配置情報などから構成されるランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムプリアンブル数やランダムプリアンブルのグループ情報などのランダムプリアンブルを選択・生成するための情報から構成されるランダムプリアンブル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報、コンテンションレゾリューション受信に関する情報、Ｌ２／Ｌ３メッセージ送信に関する情報などから構成されるランダムアクセス手順関連情報などの複数のパラメータから構成される。競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報は、上述したランダムアクセス情報の全てのパラメータであり、非競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報は、上述したランダムアクセス情報のうち、ランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報のパラメータである。なお、基地局装置３は、第一セルと第二セルに設定されるランダムアクセス情報のそれぞれの設定値を、セル毎に独立して設定することが可能である。
【００８３】
移動局装置１−１と基地局装置３の動作を説明する。尚、例として、基地局装置３は、図３のようにセル１〜セル５から構成されていて、セル１〜セル３はそれぞれ送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ１）であり、セル４〜セル５はそれぞれ送信タイミングが同じであって、かつ、送信タイミンググループ１とは異なる別の送信タイミンググループ（送信タイミンググループ２）であるとする。
【００８４】
移動局装置１−１は、セルサーチを行い、基地局装置３の１つのセルを見つける。ここではセル１を見つけるとする。移動局装置１−１は、セル１の報知チャネルＰＢＣＨなどを受信し、セル１のシステム情報（セルの物理チャネル構成や送信電力情報やランダムアクセス情報など）を取得する。そして、移動局装置１−１は、初期アクセスのためにシステム情報に含まれるランダムアクセス情報を使用して、ランダムアクセスプリアンブルの選択・生成を行い、ランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを選択し、選択したセル１のランダムアクセスチャネルＲＡＣＨへランダムアクセスプリアンブル（メッセージ１）を送信する。
【００８５】
そして、移動局装置１−１は、基地局装置３からセル１に対する送信タイミング情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ（メッセージ２）を取得し、ランダムアクセスレスポンスに含まれる送信タイミング情報からセル１に対する上りリンクコンポーネントキャリアの送信タイミングを調整して、送信タイミングタイマーをスタートさせる。移動局装置１−１は、セル１を介してＬ２／Ｌ３メッセージ（メッセージ３）を基地局装置３へ送信する。尚、移動局装置１−１は、このメッセージ３に初期アクセスを示した内容を含めてメッセージ３を送信する。そして、移動局装置１−１は、コンテンションレゾリューション（メッセージ４）を基地局装置３から受信すると競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００８６】
ランダムアクセス手順が完了後、基地局装置３は、移動局装置１−１に使用させるセルを割り当て、割り当て情報を移動局装置１−１に通知する。尚、ここでは、図４のように基地局装置３は、移動局装置１−１にセル１〜セル５を割り当てて、セル１を第一セル、セル２〜セル５を第二セルに設定し、セル１〜セル３を送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ１）に設定し、セル４とセル５を送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ２）に設定する。また、送信タイミンググループ２のセル５に対して、非競合ベースランダムアクセス手順を設定する（許可する）とする。
【００８７】
そして、基地局装置３は、移動局装置１−１に割り当てたセル（セル１からセル５）の設定情報（各セルのシステム情報）や送信タイミンググループのグループ情報、第一セルの上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの割り当て情報、上りリンク参照信号（測定用参照信号）の生成情報や上りリンク参照信号（測定用参照信号）を送信するための無線リソース割り当て情報、定期的な上りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨの無線リソース割り当て情報などの移動局装置個別の設定情報も移動局装置１−１に通知する。また、基地局装置３は、ランダムアクセス手順を許可するセルに対する情報としてランダムアクセス情報もセルの設定情報に含めて通知する。尚、ここでは、基地局装置３は、セル１を第一セルに設定したので、セル１に対しランダムアクセス情報の全てのパラメータを通知し、セル５に対し非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを通知する。移動局装置１−１は、ランダムアクセス情報を取得したセルに対して、設定されたパラメータに基づいて当該セルで許可されるランダムアクセス手順を認識する。
【００８８】
尚、移動局装置１−１は、初期アクセス時にセル１のランダムアクセス情報をすでに取得しているので、基地局装置３は、再度、セル１のランダムアクセス情報を通知しなくても良い。基地局装置３は、初期アクセス時と異なるセルに対して、第一セルを設定する場合は、ランダムアクセス情報を必ず通知する。尚、上記情報を通知後、基地局装置３は、移動局装置１−１にセル２〜セル５のアクティベートを指示し、移動局装置１−１は、セル２〜セル５の下りリンク受信処理を開始するとする。
【００８９】
そして、移動局装置１−１は、割り当てられたセルの設定情報や送信タイミンググループのグループ情報を取得後、送信タイミンググループのグループ情報と取得しているセル１の送信タイミング情報からセル１と同じ送信タイミンググループのセル２とセル３の上りリンクの送信タイミングを調整する。この後、移動局装置１−１と基地局装置３との間でセル１〜セル５の下りリンクコンポーネントキャリアとセル１〜セル３の上りリンクコンポーネントキャリアを介してデータのやり取りがされる。
【００９０】
移動局装置１−１からの送信データ量が多くなり、移動局装置１−１で利用していないセルがある場合、基地局装置３は、移動局装置１−１に非競合ベースランダムアクセス手順を行うように指示するランダムアクセス指示情報を下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨで通知する。ここでは、基地局装置３は、セル５に対してのランダムアクセス指示情報を移動局装置１−１に通知するとする。ランダムアクセス指示情報には、プリアンブル番号とランダムアクセスチャネル番号が含まれており、移動局装置１−１は、基地局装置３から指定されたプリアンブル番号と保持しているセル５の設定情報に含まれるランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを生成し、ランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを選択して、ランダムアクセスプリアンブルをセル５のランダムアクセスチャネルＲＡＣＨに送信する。
【００９１】
基地局装置３は、ランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから送信タイミングずれ量を算出して、移動局装置１−１にセル５の下りリンクコンポーネントキャリアを介して送信タイミング情報を含んだランダムアクセスレスポンスを通知する。移動局装置１−１は、ランダムアクセスレスポンスを受信するとランダムアクセスレスポンスに含まれている送信タイミング情報をセル５の上りリンクの送信タイミングとして調整し、更に、送信タイミング情報を同じ送信タイミンググループであるセル４の上りリンクの送信タイミングとして調整し、送信タイミングタイマーが開始されていなければ送信タイミングタイマーをスタートする。そして、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を完了する。この後、セル４とセル５の上りリンクコンポーネントキャリアも含めて、移動局装置１−１と基地局装置３との間でデータのやり取りを行なう。
【００９２】
移動局装置１−１は、送信タイミンググループ毎に１つの送信タイミングタイマーを持ち、送信タイミング情報を取得すると送信タイミングタイマーをスタート、またはリスタートする。基地局装置３も同様に送信タイミンググループ毎に１つの送信タイミングタイマーを持ち、送信タイミング情報を送信すると送信タイミングタイマーをスタート、またはリスタートする。送信タイミングタイマーが動作中は、当該送信タイミンググループ毎に上りリンク同期している（送信タイミングが有効である）状態であり、移動局装置１−１は、対象となる送信タイミンググループの上りリンクコンポーネントキャリアでの上りリンク送信が可能である。尚、送信タイミングタイマーは、セル毎に持つように構成しても良い。
【００９３】
移動局装置１−１の動作を図５のフローチャートを用いて以下に示す。
移動局装置１−１は、基地局装置３から複数セルを割り当てられ、各セルの設定情報を受信し、各セルの設定情報を設定する。移動局装置１−１は、スケジューリングリクエストや基地局装置３からのランダムアクセス指示情報によりランダムアクセス手順を実行する場合、どのような理由でランダムアクセス手順を実行するか確認する（ステップＳ１０１）。スケジューリングリクエストが理由でランダムアクセス手順を実行する場合、移動局装置１−１は、第一セルで競合ベースランダムアクセス手順を実行することを決定する（ステップＳ１０２）。移動局装置１−１は、第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されているか否かを確認する（ステップＳ１０３）。
【００９４】
第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されている場合、移動局装置１−１は、競合ベースランダムアクセス手順を実行する（ステップＳ１０４）。第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されていない場合、移動局装置１−１は、競合ベースランダムアクセス手順を実行しない。ランダムアクセス指示情報が理由でランダムアクセス手順を実行する場合、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを決定する。移動局装置１−１は、基地局装置３からランダムアクセス手順を実行するように指定されたセル（または送信タイミンググループ）に対し、ランダムアクセス情報が設定されているか否かを確認する（ステップＳ１０６）。ランダムアクセス手順を実行するように指定されたセルに対し、ランダムアクセス情報が設定されている場合、移動局装置１−１は、ランダムアクセス指示情報に従って、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する（ステップＳ１０７）。ランダムアクセス手順を実行するように指定されたセルに対し、ランダムアクセス情報が設定されていない場合、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を実行しない。
【００９５】
基地局装置３の動作を図６のフローチャートを用いて以下に示す。
基地局装置３は、移動局装置１−１に複数セルを割り当てる（ステップＳ２０１）。基地局装置３は、割り当てた複数セルの中で第一セルと非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルを決定する（ステップＳ２０２）。基地局装置３は、各セルの設定情報を作成する。そして、基地局装置３は、第一セルの設定情報にランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルの設定情報に非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める（ステップＳ２０３）。基地局装置３は、移動局装置１−１に各セルの設定情報を移動局装置１−１に通知する（ステップＳ２０４）。なお、基地局装置３は、第一セルと第二セルに設定されるランダムアクセス情報のそれぞれの設定値を、セル毎に独立して設定することが可能である。
【００９６】
基地局装置３は、無線伝搬路環境の変動等による通信環境の変化から、割り当てたセルの追加・削除を行う場合や、第一セルや第二セルのランダムアクセス手順を許可したセルの変更を行なう場合がある。このような場合の基地局装置３、移動局装置１−１のランダムアクセス情報に関する送受信処理動作を以下に示す。
【００９７】
ここでは、セル１〜セル３がそれぞれ同じ送信タイミンググループ、セル４〜セル５がそれぞれ同じ送信タイミンググループとし、セル１が第一セル、セル２〜セル５が第二セルにとして設定されている場合において、セル５に対して非競合ベースランダムアクセス手順が許可されている構成（非競合ベースランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報を設定されている）から、第一セルをセル１からセル２に変更する場合の例を示す。
【００９８】
設定されているセルの構成数を変えずに第一セルをセル１からセル２に変更する場合、基地局装置３は、移動局装置１−１に初期アクセス時と同じようにセルの割り当て情報やセル１〜セル５の設定情報、送信タイミンググループのグループ情報及び移動局装置個別の設定情報などを通知する。尚、基地局装置３は、セル２の設定情報には、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、セル５の設定情報には、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置１−１に通知する。尚、この場合、基地局装置３は、設定を変更しないセルに対する設定情報を通知しなくても良い。すなわち、基地局装置３は、セル３〜セル５に対する設定情報を通知しなくても良い。移動局装置１−１は、設定情報が通知されなかったセルに対して、それまで保持（設定）していた設定情報をそのまま使用する。すなわち、移動局装置１−１は、一部のランダムアクセス情報が設定されたセル（セル５）に対して設定情報が通知されなかった場合、セルの追加・削除・変更後、当該セル（セル５）において設定されたパラメータに基づいて非競合ベースランダムアクセス手順が引き続き許可されていると認識する。
【００９９】
移動局装置１−１は、基地局装置３から新たにセルの割り当て情報やセル１〜セル５の設定情報、送信タイミンググループのグループ情報及び移動局装置個別の設定情報を通知されると、それまで保持（設定）していた情報に対して新たに通知された情報を再設定する。また、移動局装置１−１はセル２の設定情報からセル２が第一セルに設定されたことを認識する。
【０１００】
次に、第二送信タイミンググループの非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルをセル５からセル４に変更する場合の例を示す。ここでは、セル１〜セル３がそれぞれ同じ送信タイミンググループ、セル４〜セル５がそれぞれ同じ送信タイミンググループとし、セル２が第一セル、セル２〜セル５が第二セルとして設定されている場合において、セル５に対して非競合ベースランダムアクセス手順を許可されている（非競合ベースランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報が設定されている）構成の例を示す。
【０１０１】
非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルをセル５からセル４に変更する場合、基地局装置３は、移動局装置１−１にセル４〜セル５の設定情報、セル４〜セル５の移動局装置個別の設定情報（上りリンク参照信号の設定情報など）を通知する。尚、基地局装置３は、セル４の設定情報には、非競合ベースランダムアクセス手順の実行に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置１−１に通知する。尚、セル１〜セル３の設定情報は、通知しなくても良い。また、セル１〜セル３の設定情報も通知する場合、セル１の設定情報にランダムアクセス情報を含めなくするようにしても良い。
【０１０２】
移動局装置１−１は、セル４とセル５の設定情報を新たに受信した場合、それまで保持（設定）していたセル４及びセル５の設定情報に対して、新たに通知されたセル４及びセル５の設定情報を再設定する。移動局装置１−１は、セル４の新たな設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれていることから、セル４で非競合ベースランダムアクセス手順を許可されたことを認識する。また、移動局装置１−１は、第一セルの設定情報を受信しないことで、第一セルの設定情報に対して変更がなかったことを認識し、セル１の設定情報を維持する。尚、この場合、基地局装置３は、セル４に対してランダムアクセス情報を含む設定情報を通知し、セル５に対してランダムアクセス情報を含まない設定情報を通知しても良い。
【０１０３】
移動局装置１−１は、セル５に対してランダムアクセス情報を含まない設定情報を通知された場合、それまで保持（設定）していた一部のランダムアクセス情報を解放（破棄、リリース）する。すなわち、移動局装置１−１は、セル（セル５）に対する新たな設定情報として一部のランダムアクセス情報が通知されなかった場合、セルの追加・削除・変更後、当該セル（セル５）において非競合ベースランダムアクセス手順（および非競合ベースランダムアクセス）が許可されていないと認識する。
【０１０４】
このように、基地局装置３は、第一セルを再設定する場合、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順の両方のランダムアクセス手順を許可するセルに対して必要な全てのランダムアクセス情報を通知し、非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルを再設定する場合、対象となる第二セルに対して非競合ベースのランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報を通知するようにすることで、第二セルに対して通知するランダムアクセス情報を少なくすることができる。
【０１０５】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【０１０６】
例えば、基地局装置３は、第二セルに対して設定するランダムアクセス情報として、全てのランダムアクセス情報を設定する場合と、一部のランダムアクセス情報を設定する場合とを状況に応じて適宜選択してもよい。この場合、移動局装置１−１は、第二セルに対して必要な全てのランダムアクセス情報が通知されている場合は、基地局装置３のランダムアクセス指示情報に基づいて、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順のどちらか一方を第二セルで実行し、一部のランダムアクセス情報が通知されている場合は、基地局装置３のランダムアクセス指示情報に基づいて、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する。なお、この場合であっても、移動局装置１−１の第一セルに対するランダムアクセス手順は同じである。
【０１０７】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置１−１及び基地局装置３を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置１−１及び基地局装置３の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行なっても良い。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【０１０８】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【０１０９】
また、上記各実施形態に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるＬＳＩとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はＬＳＩに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりＬＳＩに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【０１１０】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【０１１１】
１−１〜１−３ 移動局装置
３ 基地局装置
５−１、５−２ リピータ
１０１、２０１ 無線部
１０３、２０３ 送信処理部
１１５、２１５ 受信処理部
１０５、２０５ 変調部
１１７，２１７ 復調部
１０７、２０７ 送信ＨＡＲＱ処理部
１１９、２１９ 受信ＨＡＲＱ処理部
１０９、２０９ 制御部
１２１ 移動局管理部
２２１ 基地局管理部
１２３ ＵＬスケジュール部
１２５、２２５ 制御データ作成部
１２７，２２７ 制御データ解析部
１２９，２２９ セル管理部
１３１，２３１ ＴＡ管理部
１１１ 上りリンク参照信号生成部
２１１ 下りリンク参照信号生成部
１１３ ランダムアクセスプリアンブル生成部
２１３ プリアンブル検出部
２２３ ＤＬ／ＵＬスケジュール部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、基地局装置、移動局装置および無線通信システムに関連し、より詳細には、上りリンクの送信タイミングの通知時の動作における無線通信システム、基地局装置、移動局装置、無線通信方法及び集積回路に関する。
【背景技術】
【０００２】
３ＧＰＰ（3rd Generation Partnership Project）では、Ｗ−ＣＤＭＡ方式が第三世代セルラー移動通信方式として標準化され、順次サービスが開始されている。また、通信速度を更に上げたＨＳＤＰＡも標準化され、サービスが開始されている。
【０００３】
一方、３ＧＰＰでは、第三世代無線アクセスの進化（Evolved Universal Terrestrial Radio Access；以下、「EUTRA」と呼称する。）の標準化も標準化され、サービスが開始されている。ＥＵＴＲＡの下りリンクの通信方式として、マルチパス干渉に強く、高速伝送に適したＯＦＤＭ（Orthogonal Frequency Division Multiplexing）方式を採用している。また、上りリンクの通信方式として、移動局装置のコストと消費電力を考慮し、送信信号のピーク対平均電力比ＰＡＰＲ（Peak to Average Power Ratio）を低減できるシングルキャリア周波数分割多重方式ＳＣ−ＦＤＭＡ（Single Carrier-Frequency Division Multiple Access）のＤＦＴ（Discrete Fourier Transform（離散フーリエ変換））−ｓｐｒｅａｄ ＯＦＤＭ方式を採用している。
【０００４】
また、３ＧＰＰでは、ＥＵＴＲＡの更なる進化のＡｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡの標準化作業も行なわれている。Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、上りリンクおよび下りリンクでそれぞれ最大１００ＭＨｚ帯域幅までの帯域を使用して、最大で下りリンク１Ｇｂｐｓ以上、上りリンク５００Ｍｂｐｓ以上の伝送レートの通信を行なうことを想定している。
【０００５】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの移動局装置も収容できるようにＥＵＴＲＡの２０ＭＨｚ以下の帯域を複数個束ねることで、最大で１００ＭＨｚ帯域を実現することを考えている。尚、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの１つの２０ＭＨｚ以下の帯域をコンポーネントキャリア（Component Carrier : CC）と呼んでいる（非特許文献２）。また、１つの下りリンクのコンポーネントキャリアと１つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて１つのセルを構成する。尚、１つの下りリンクコンポーネントキャリアのみでも１つのセルを構成できる。基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当てて、割り当てたセルを介して移動局装置と通信を行なう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【０００６】
【非特許文献１】3GPP TS(Technical Specification)36.300、V10.3.0(2011-03)、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network(E-UTRAN)、Overall description Stage2
【非特許文献２】3GPP TR(Technical Specification)36.814、V9.0.0(2010-03)、Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA) Further advancements for E-UTRA physical layer aspects
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
移動局装置が、周波数の異なる複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、ある周波数のセルではリピータ（Ｒｅｐｅａｔｅｒ）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアからのデータの受信タイミングは、セル毎に異なり、更に各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングが異なることとなる。その為、移動局装置は、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミング調整を行なって、基地局装置へのデータ送信を行なう必要がある。
【０００８】
そのため、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎にランダムアクセス手順を実行し、送信タイミング情報を取得する必要がある。しかしながら、全ての上りリンクコンポーネントキャリアでランダムアクセス手順を実行することは、移動局装置に負荷がかかる。
【０００９】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、移動局装置からの送信タイミングが異なる上りリンクコンポーネントキャリアにおけるデータ送信について、効率良くランダムアクセス手順を実行するための移動局装置、基地局装置、無線通信システム、無線通信方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
（１）上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線通信システムは、基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムであって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１１】
（２）また、本発明の無線通信システムは、前記移動局装置が前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１２】
（３）また、本発明の無線通信システムは、前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが、非競合ベースランダムアクセス手順のみ必要なパラメータで構成されることを特徴とする。
【００１３】
（４）また、本発明の無線通信システムは、前記移動局装置が、前記基地局装置から各セルに対する設定情報を再度取得し、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を再度保持し、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を破棄することを特徴とする。
【００１４】
（５）また、本発明の基地局装置は、移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に送信することを特徴とする。
【００１５】
（６）また、本発明の移動局装置は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信し、前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１６】
（７）また、本発明の移動局装置は、前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対して、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする。
【００１７】
（８）また、本発明の無線通信方法は、基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムに適用される無線通信方法であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて前記移動局装置に通知するステップと、前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行するするステップとを少なくとも含むことを特徴とする。
【００１８】
（９）また、本発明の無線通信方法は、前記移動局装置が前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする。
【００１９】
（１０）また、本発明の集積回路は、移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置に適用される集積回路であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める手段と、前記設定情報を移動局装置に送信する手段を有することを特徴とする。
【００２０】
（１１）また、本発明の集積回路は、基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置に適用される集積回路であって、前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信する手段と、前記複数セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【００２１】
本発明によれば、各セルにおいて上りリンク送信タイミングが異なる場合に、１つ送信タイミンググループに対して１つの送信タイミング情報を通知するだけで良く、送信タイミング情報の通知のために無駄な無線リソースを使用しなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の実施形態に係る移動局装置の構成を示す図である。
【図２】本発明の実施形態に係る基地局装置の構成を示す図である。
【図３】本発明の実施形態に係るセルの構成例を示す図である。
【図４】本発明の実施形態に係るセルの割り当て例を示す図である。
【図５】送信タイミングメッセージ受信時の移動局装置の動作例を示すフローチャートである。
【図６】送信タイミングメッセージ受信時の移動局装置の動作例を示すフローチャートである。
【図７】ＥＵＴＲＡにおけるチャネル構成を示す図である。
【図８】ＥＵＴＲＡにおける上りリンクの構成を示す図である。
【図９】競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。
【図１０】非競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。
【図１１】Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける下りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【図１２】Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける上りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【図１３】基地局装置と移動局装置がリピータを介して通信する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【００２３】
ＥＵＴＲＡの下りリンクでは、下りリンク参照信号（Downlink Reference Signal）、下りリンク同期チャネルＤＳＣＨ（Downlink Synchronization Channel）、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨ（Physical Downlink Shared Channel）、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨ（Physical Downlink Control Channel）、報知チャネルＰＢＣＨ（Physical Broadcast Channel）により構成されている。
【００２４】
ＥＵＴＲＡの上りリンクでは、上りリンク参照信号（Uplink Reference Signal）、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ（Random Access Channel）、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨ（Physical Uplink Shared Channel）、上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨ（Physical Uplink Control Channel）により構成されている。また、上りリンク参照信号には、復調用参照信号（Demodulation Reference Signal）と測定用参照信号（Sounding Reference Signal）の2種類の信号がある。
【００２５】
図７は、ＥＵＴＲＡにおけるチャネル構成を示す図であり、図８は、ＥＵＴＲＡにおける上りリンクの構成を示す図である。１ブロックは、１２本のサブキャリアと７つのＯＦＤＭシンボルから構成される。そして、２つのブロックを使用して、１リソースブロック（Resource Block：RB）を構成する。上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨは、１リソースブロック単位で使用される。ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、６リソースブロック分を使用して構成される。
【００２６】
上りリンク参照信号は、リソースブロック内の特定のＯＦＤＭシンボルに配置される。上りリンクの各チャネルは、図８のように上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの領域と上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの領域とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨとが分けられている。上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの各領域に関する情報は、基地局装置から報知される。また、基地局装置は、各領域の中から移動局装置個別に上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースを割り当てる。尚、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、一定の周期で配置される。
【００２７】
下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨは、基地局装置から移動局装置へのユーザーデータや制御データの送信に使用される。下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨは、基地局装置から移動局装置への下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨと上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの無線リソース割り当て情報などの制御情報通知に使用される。下りリンク参照信号は、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨと下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨを復調するために使用される。下りリンク同期チャネルＤＳＣＨは、移動局装置が下りリンクの同期を取るために使用される。報知チャネルＰＢＣＨは、基地局装置のセルのシステム情報に関する情報を通知するために使用される。
【００２８】
上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨは、移動局装置から基地局装置へのユーザーデータや制御データの送信に使用される。尚、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨと下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨで送受信されるデータは、ＨＡＲＱ（Hybrid Automatic Repeat reQuest）処理が行われ、再送時に初送データと再送データを合成処理することで再送時のデータの誤り訂正能力を向上させている。上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨは、基地局装置からの下りリンクのデータに対する応答（ＡＣＫ(Acknowledge)/ＮＡＣＫ(Negative acknowledge)）や下りリンクの無線伝搬路品質情報などの制御情報を通知する為に使用される。
【００２９】
ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨは、主に移動局装置から基地局装置への送信タイミング情報を取得するためのランダムアクセスプリアンブル送信に使用される。ランダムアクセスプリアンブル送信はランダムアクセス手順の中で行なわれる。上りリンク参照信号の復調用参照信号は、基地局装置が上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨを復調するために使用され、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの４番目のシンボル位置と１１番目のシンボル位置に挿入される。上りリンク参照信号の測定用参照信号は、基地局装置が上りリンクの無線伝搬路品質を測定するために使用され、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの１４番目のシンボル位置に挿入される。尚、測定用参照信号を送信するための無線リソースは、基地局装置から移動局装置個別に割り当てられる。
【００３０】
ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス手順（Contention based Random Access procedure）と非競合ベースランダムアクセス手順（Non-contention based Random Access procedure）の２つのアクセス手順がある（非特許文献１）。
【００３１】
図９は、競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、競合ベースランダムアクセス手順は、基地局装置と接続（通信）していない状態からの初期アクセス時や基地局装置と接続中であるが、上りリンク同期が外れている状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
【００３２】
図１０は、非競合ベースランダムアクセス手順を示す図である。非競合ベースランダムアクセス手順は、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが、上りリンクの同期が外れている場合に迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるためにハンドオーバーや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置がランダムアクセス指示情報を移動局装置に通知することで、移動局装置がランダムアクセス手順を開始する（非特許文献１）。非競合ベースランダムアクセス手順は、ＲＲＣ（Ｒａｄｉｏ Ｒｅｓｏｕｒｃｅ Ｃｏｎｔｒｏｌ：Ｌａｙｅｒ３）層のメッセージ及び下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨの制御データにより指示される。
【００３３】
図９を用いて、競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、移動局装置１−１がランダムアクセスプリアンブルを基地局装置３に送信する（メッセージ１：（１）、ステップＳ１）。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置３が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答（ランダムアクセスレスポンス）を移動局装置１−１に送信する（メッセージ２：（２）、ステップＳ２）。移動局装置１−１がランダムアクセスレスポンスに含まれているスケジューリング情報を元に上位レイヤ（Layer2/Layer3）のメッセージを送信する（メッセージ３：（３）、ステップＳ３）。基地局装置３は、（３）の上位レイヤメッセージを受信できた移動局装置１−１に衝突確認メッセージを送信する（メッセージ４：（４）、ステップＳ４）。尚、競合ベースランダムアクセス手順で送信されるランダムアクセスプリアンブルをランダムプリアンブルとも言う。
【００３４】
図１０を用いて、非競合ベースランダムアクセス手順を簡単に説明する。まず、基地局装置３は、プリアンブル番号（または、シーケンス番号）と使用するランダムアクセスチャネル番号を含んだランダムアクセス指示情報を移動局装置１−１に通知する（メッセージ０：（１）’、ステップＳ１１）。移動局装置１−１は、指定されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを指定されたランダムアクセスチャネルＲＡＣＨに送信する（メッセージ１：（２）’、ステップＳ１２）。そして、ランダムアクセスプリアンブルを受信した基地局装置３が、ランダムアクセスプリアンブルに対する応答（ランダムアクセスレスポンス）を移動局装置１−１に送信する（メッセージ２：（３）’、ステップＳ１３）。ただし、通知されたプリアンブル番号の値が０の場合は、競合ベースランダムアクセス手順を行なう。尚、非競合ベースランダムアクセス手順で送信されるランダムアクセスプリアンブルを専用プリアンブルとも言う。尚、ランダムアクセスプリアンブルは、ＣＡＺＡＣ（Constant Amplitude Zero AutoCorrelation）シーケンスを用いて生成される。
【００３５】
図９を用いて、移動局装置１−１が基地局装置３への接続手順を説明する。まず、移動局装置１−１は、報知チャネルＰＢＣＨ等から基地局装置３のシステム情報を取得し、システム情報に含まれているランダムアクセス情報から競合ベースランダムアクセス手順を実行し、基地局装置３との接続を行なう。移動局装置１−１は、下りリンクの無線伝搬路品質、送信する上位レイヤメッセージのサイズ及びランダムアクセス情報等からランダムアクセスプリアンブルを選択・生成する。そして、移動局装置１−１は、ランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを決定し、ランダムアクセスプリアンブルを送信する（メッセージ１：（１））。
【００３６】
基地局装置３は、移動局装置１−１からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置１−１と基地局装置３との間の送信タイミングのずれ量を算出し、Ｌａｙｅｒ２（Ｌ２）／Ｌａｙｅｒ３（Ｌ３）メッセージを送信するためスケジューリング（上りリンク無線リソース位置（上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨの位置）、送信フォーマット（メッセージサイズ）などの指定）を行ない、Ｔｅｍｐｏｒａｒｙ Ｃ−ＲＮＴＩ（Cell-Radio Network Temporary Identity：移動局装置識別情報）を割り当て、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨにランダムアクセスチャネルＲＡＣＨのランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置１−１宛の応答（ランダムアクセスレスポンス）を示すＲＡ−ＲＮＴＩ（Random Access-Radio Network Temporary Identity：ランダムアクセスレスポンス識別情報）を配置し、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに送信タイミング情報、スケジューリング情報、Ｔｅｍｐｏｒａｒｙ Ｃ−ＲＮＴＩおよび受信したランダムアクセスプリアンブルの情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージを送信する（メッセージ２：（２））。
【００３７】
移動局装置１−１は、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨにＲＡ−ＲＮＴＩがあることを検出すると、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルの情報が含まれている場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング情報から上りリンクの送信タイミングを調整し、スケジューリングされた無線リソースと送信フォーマットでＣ−ＲＮＴＩ（またはTemporary C-RNTI）または、ＩＭＳＩ（International Mobile Subscriber Identity）等の移動局装置１−１を識別する情報を含むＬ２／Ｌ３メッセージを送信する（メッセージ３：（３））。移動局装置１−１は、送信タイミングを調整した場合に、調整した送信タイミングが有効である送信タイミングタイマーをスタートする。尚、この送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となる。送信タイミングが有効の間、移動局装置１−１は、基地局装置へのデータ送信が可能であり、送信タイミングが無効の場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信のみ可能である。また、送信タイミングが有効な期間を上りリンク同期状態と言い、送信タイミングが有効でない期間を上りリンク非同期状態とも言う。
【００３８】
基地局装置３は、移動局装置１−１からのＬ２／Ｌ３メッセージを受信すると、受信したＬ２／Ｌ３メッセージに含まれるＣ−ＲＮＴＩ（またはTemporary C-RNTI）またはＩＭＳＩを使用して移動局装置１−１〜１−３間で衝突が起こっているかどうか判断するための衝突確認（コンテンションレゾリューション）メッセージを移動局装置１−１に送信する（メッセージ４：（４））。移動局装置１−１は、衝突確認メッセージを受信すると競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００３９】
尚、移動局装置１−１は、一定期間内に送信したランダムアクセスプリアンブルに対応するプリアンブル番号を含むランダムアクセスレスポンスメッセージを検出しなかった場合、メッセージ３の送信に失敗した場合、または、一定期間内に衝突確認メッセージに自移動局装置１−１の識別情報を検出しなかった場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信（メッセージ１：（１））からやり直す。そして、ランダムアクセスプリアンブルの送信回数がランダムアクセス情報で示されたランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数を越えた場合、移動局装置１−１は、ランダムアクセス手順失敗と判断し、基地局装置３との通信を切断する。尚、ランダムアクセス手順成功後は、更に基地局装置３と移動局装置１−１との間で接続の為の制御データのやり取りがされる。この時、基地局装置３は、個別に割り当てる上りリンク参照信号や上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの割り当て情報を移動局装置１−１に通知する。
【００４０】
尚、基地局装置から報知されるランダムアクセス情報は、ランダムアクセスプリアンブル生成のために使用されるＣＡＺＡＣシーケンスの番号情報やランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの配置情報などから構成されるランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムプリアンブル数やランダムプリアンブルのグループ情報などのランダムプリアンブルを選択・生成するための情報から構成されるランダムプリアンブル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報、コンテンションレゾリューション受信に関する情報、Ｌ２／Ｌ３メッセージ送信に関する情報などから構成されるランダムアクセス手順関連情報など複数のパラメータから構成される。
【００４１】
ランダムアクセス手順完了以降の上りリンクの送信タイミングの更新は、基地局装置３が移動局装置１−１から送信される上りリンク参照信号（測定用参照信号、または、復調用参照信号）を測定して、送信タイミング情報を算出し、算出した送信タイミング情報含む送信タイミングメッセージを移動局装置１−１に通知することで行なわれる。移動局装置１−１は、基地局装置３から通知された送信タイミング情報から上りリンクの送信タイミングを調整すると送信タイミングタイマーをリスタート（restart）する。尚、基地局装置３も移動局装置１−１と同じ送信タイミングタイマーを保持しており、送信タイミングメッセージを送信した場合に送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。このようにすることで、基地局装置３と移動局装置１−１で上りリンク同期状態を管理する。送信タイミングタイマーが満了すると送信タイミングは無効となり、ランダムアクセスプリアンブルの送信以外の上りリンク送信を停止する。
【００４２】
また、３ＧＰＰでは、ＥＵＴＲＡの更なる進化のＡｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡの議論も始まっている。Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、上りリンクおよび下りリンクでそれぞれ最大１００ＭＨｚ帯域幅までの帯域を使用して、最大で下りリンク１Ｇｂｐｓ以上、上りリンク５００Ｍｂｐｓ以上の伝送レートの通信を行なうことを想定している。
【００４３】
図１１は、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける下りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。図１２は、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡにおける上りリンクのコンポーネントキャリアについての説明図である。
【００４４】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの移動局装置も収容できるようにＥＵＴＲＡの２０ＭＨｚ以下の帯域を複数個束ねることで、最大で１００ＭＨｚ帯域を実現することを考えている。尚、Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、ＥＵＴＲＡの１つの２０ＭＨｚ以下の帯域をコンポーネントキャリア（Component Carrier : CC）と呼んでいる（非特許文献２）。また、１つの下りリンクのコンポーネントキャリアと１つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて１つのセルを構成する。尚、１つの下りリンクコンポーネントキャリアのみでも１つのセルを構成できる。
【００４５】
つまり、基地局装置は、移動局装置の通信能力や通信条件にあった複数のセルを割り当て、割り当てた複数のセルを介して移動局装置と通信を行なうようにしている。尚、移動局装置に割り当てられた複数のセルは、１つのセルを第一セル（Primary Cell）とそれ以外のセルを第二セル（Secondary Cell）としている。第一セルには、上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨを割り当てや、ランダムアクセスチャネルＲＡＣＨへのアクセス許可など特別な機能を設定している。
【００４６】
また、移動局装置の消費電力を少なくするために、割り当て直後の第二セルに対し、移動局装置は下りリンクの受信処理を行わず（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従わない）、基地局装置からアクティベート（Activate）を指示された後、アクティベートを指示された第二セルに対して下りリンクの受信処理を開始する（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従う）ようにしている。また、移動局装置は、基地局装置からアクティベートしている第二セルに対してデアクティベート（deactivate）を指示された後、デアクティベートを指示された第二セルに対して下りリンクの受信処理を停止する（または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従わない）ようにしている。尚、基地局装置からアクティベートを指示され、下りリンクの受信処理を行っている第二セルをアクティベートセルと言い、また、基地局装置から移動局装置への割り当て直後の第二セル及びデアクティベートを指示され、下りリンクの受信処理を停止している第二セルをデアクティベートセルと言う。また、第一セルは、常にアクティベートセルである。
【００４７】
しかし、移動局装置が、複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、図１３のようにリピータ（Repeater）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアの受信タイミングと、上りリンクコンポーネントキャリア毎の基地局装置への送信タイミングの両方または一方がセル毎に異なることとなる。特に、上りリンクコンポーネントキャリア毎の基地局装置への送信タイミングが異なる場合、移動局装置は各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミングの調整を行なって、基地局装置へのデータ送信を行なう必要がある。
【００４８】
[構成説明]
図１は、本発明の実施形態に係る移動局装置の構成を示す図である。移動局装置１−１〜１−３は、無線部１０１、送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７、制御部１０９、上りリンク参照信号生成部１１１、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３、受信処理部１１５、復調部１１７、受信ＨＡＲＱ処理部１１９、移動局管理部１２１から構成される。移動局管理部１２１は、ＵＬスケジュール部１２３、制御データ作成部１２５、制御データ解析部１２７、セル管理部１２９、ＴＡ管理部１３１から構成される。
【００４９】
ユーザーデータや制御データは、送信ＨＡＲＱ処理部１０７に入力される。送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９の指示により、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、パンクチャしたデータを変調部１０５に出力し、符号化したデータを保存しておく。また、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９より、データの再送を指示された場合、保存されている符号化したデータに前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを変調部１０５に出力する。また、送信ＨＡＲＱ処理部１０７は、制御部１０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００５０】
変調部１０５は、送信ＨＡＲＱ処理部１０７からの入力データに変調を行ない、送信処理部１０３に出力する。送信処理部１０３は、制御部１０９の指示により、変調部１０５や上りリンク参照信号生成部１１１やランダムアクセスプリアンブル生成部１１３からの入力データ（または入力信号）を各セルの上りリンクコンポーネントキャリアの各チャネルにマッピングし、マッピングしたデータを直列／並列変換、ＤＦＴ−ＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform（逆高速フーリエ変換））変換、ＣＰ挿入などのＯＦＤＭ信号処理を行い、ＯＦＤＭ信号を生成する。また、送信処理部１０３は、制御部１０９から渡される送信タイミング情報と送信タイミングを調整する送信タイミンググループ情報から各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に出力される信号の送信タイミングを調整し、送信タイミングの調整後、ＯＦＤＭ信号を無線部１０１に出力する。
【００５１】
上りリンク参照信号生成部１１１は、制御部１０９の指示により、移動局管理部１２１から取得した上りリンク参照信号生成情報から上りリンク参照信号を生成し、生成した上りリンク参照信号を送信処理部１０３に出力する。ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３は、制御部１０９からプリアンブル番号のみが通知された場合、設定されたランダムアクセス情報から通知されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを生成し、ランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの位置を選択して、送信処理部１０３に生成したランダムアクセスプリアンブルと選択したランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置を出力する。また、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３は、制御部１０９からプリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置が通知された場合、ランダムアクセス情報から通知されたプリアンブル番号のランダムアクセスプリアンブルを生成し、生成したランダムアクセスプリアンブルと通知されたランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ位置を送信処理部１０３に出力する。
【００５２】
無線部１０１は、制御部１０９からの指示により送信処理部１０３からの入力信号を無線周波数にアップコンバートし、送信アンテナから送信する。また、無線部１０１は、アンテナより受信した無線信号をダウンコンバートし、受信処理信部１１５に出力する。受信処理部１１５は、無線部１０１からの入力信号をＦＦＴ（Fast Fourier Transform（高速フーリエ変換））処理を行ない、復調部１１７に出力する。復調部１１７は、入力データの復調処理を行い、復調したデータを受信ＨＡＲＱ処理部１１９に出力する。
【００５３】
受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、制御データを移動局管理部１２１に出力し、ユーサーデータを上位層に出力する。受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存しておく。受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、入力データの復号処理の成否を移動局管理部１２１に通知する。また、受信ＨＡＲＱ処理部１１９は、制御部１０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００５４】
制御部１０９は、移動局管理部１２１からの指示に基づいて、無線部１０１、送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７、上りリンク参照信号生成部１１１、ランダムアクセスプリアンブル生成部１１３、受信処理部１１５、復調部１１７、受信ＨＡＲＱ処理部１１９の制御を行う。
【００５５】
移動局管理部１２１は、ＵＬスケジュール部１２３、制御データ作成部１２５、制御データ解析部１２７、セル管理部１２９、ＴＡ管理部１３１から構成される。制御データ作成部１２５は、受信ＨＡＲＱ処理部１１９からの受信データの復号結果からデータのＡＣＫ／ＮＡＣＫメッセージを作成し、また、下りリンクの無線品質を示すメッセージなどの制御データを作成し、作成した制御データを送信ＨＡＲＱ処理部１０７に出力する。制御データ解析部１２７は、受信ＨＡＲＱ処理部１１９から入力された制御データを解析する。制御データ解析部１２７は、基地局装置３から受信したセルのシステム情報（または、セルの設定情報）やセルの割り当て情報、ランダムアクセス指示情報、ランダムアクセスレスポンスメッセージ、コンテンションレゾリューションメッセージ、上りリンク参照信号の生成情報をセル管理部１２９に出力し、送信タイミングメッセージや送信タイミングタイマー情報をＴＡ管理部１３１に出力する。
【００５６】
ＵＬスケジュール部１２３は、基地局装置３からの上りリンクデータのスケジューリング情報や送信した上りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）をもとに制御部１０９を介して送信処理部１０３、変調部１０５、送信ＨＡＲＱ処理部１０７を制御する。また、上位層からの制御情報をもとにセル管理部１２９にランダムアクセス手順を開始するよう指示する。
【００５７】
セル管理部１２９は、基地局装置３から割り当てられたセルを管理し、基地局装置３から受信したセル毎のシステム情報、または、設定情報（物理チャネルの構成や送信電力情報やランダムアクセス情報、上りリンク参照信号の生成情報などの各セルのシステム情報や上りリンク参照信号（測定用参照信号）の無線リソースや上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースなどの移動局装置１−１に個別に割り当てられた無線リソース）を管理する。セル管理部１２９は、制御部１０９を介してランダムアクセス情報をランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知し、上りリンク参照信号の生成情報を上りリンク参照信号生成部１１１に通知する。
【００５８】
セル管理部１２９は、送信タイミングが同じセルのグループ情報をＴＡ管理部１３１に通知する。セル管理部１２９は、通信の開始時や上りリンクデータのスケジュール要求を行なう場合、競合ベースランダムアクセス手順を開始し、ランダムアクセス情報からランダムプリアンブルを選択し、選択したランダムプリアンブルのプリアンブル番号を制御部１０９を介してランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知する。また、セル管理部１２９は、ランダムアクセス指示情報を取得した場合、非競合ベースランダムアクセス手順を開始し、ランダムアクセス指示情報に含まれているプリアンブル番号とランダムアクセスチャネル番号を制御部１０９を介してランダムアクセスプリアンブル生成部１１３に通知する。
【００５９】
セル管理部１２９は、ランダムアクセスレスポンスメッセージを取得した場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング情報をＴＡ管理部１３１に出力し、Ｌ２／Ｌ３メッセージの情報を制御データ作成部１２５に出力し、非競合ベースランダムアクセス手順実行中の場合、非競合ベースランダムアクセス手順を終了する。セル管理部１２９は、コンテンションレゾリューションメッセージを取得した場合、競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００６０】
ＴＡ管理部１３１は、セル毎または送信タイミンググループ毎の送信タイミングと送信タイミングタイマーを管理する。また、ＴＡ管理部１３１は、送信タイミングが同じとなるセルのグループ情報も管理する。ＴＡ管理部１３１は、送信タイミングメッセージを取得した場合、送信タイミングメッセージに含まれる送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報と送信タイミング情報とを制御部１０９を介して送信処理部１０３に通知し、送信タイミングを適用する送信タイミンググループの送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。
【００６１】
図２は、本発明の実施形態に係る基地局装置３の構成図を示す。基地局装置３は、無線部２０１、送信処理部２０３、変調部２０５、送信ＨＡＲＱ処理部２０７、制御部２０９、下りリンク参照信号生成部２１１、プリアンブル検出部２１３、受信処理部２１５、復調部２１７、受信ＨＡＲＱ処理部２１９、基地局管理部２２１から構成される。基地局管理部２２１は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３、制御データ作成部２２５、制御データ解析部２２７、セル管理部２２９、ＴＡ管理部２３１から構成される。
【００６２】
ユーザーデータと制御データは、送信ＨＡＲＱ処理部２０７に入力される。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９の指示により、入力データに符号化を行い、符号化したデータにパンクチャ処理を行う。そして、送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、パンクチャしたデータを変調部２０５に出力し、符号化したデータを保存する。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９より、データの再送を指示された場合、保存してある符号化したデータを取得し、前回に行なったパンクチャと異なるパンクチャ処理を行い、パンクチャしたデータを変調部２０５に出力する。送信ＨＡＲＱ処理部２０７は、制御部２０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００６３】
変調部２０５は、送信ＨＡＲＱ処理部２０７からの入力データに変調を行ない、送信処理部２０３に出力する。送信処理部２０３は、制御部２０９の指示により、変調部２０５や下りリンク参照信号生成部２１１からの入力データ（または信号）を各セルの下りリンクコンポーネントキャリアの下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨ、下りリンク同期チャネルＤＳＣＨ、報知チャネルＰＢＣＨ、下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨなどの各チャネルにマッピングし、マッピングしたデータを直列／並列変換、ＩＦＦＴ（Inverse Fast Fourier Transform（逆高速フーリエ変換））変換、ＣＰ挿入などのＯＦＤＭ信号処理を行い、ＯＦＤＭ信号を生成する。そして、送信処理部２０３は、生成したＯＦＤＭ信号を無線部２０１に出力する。
【００６４】
無線部２０１は、制御部２０９からの指示により送信処理部２０３からの入力信号を無線周波数にアップコンバートして、送信アンテナから移動局装置１−１〜１−３に送信する。また、無線部２０１は、アンテナより移動局装置１−１からの無線信号を受信し、受信信号をベースバンド信号にダウンコンバートして、受信信号を受信処理部２１５、または、プリアンブル検出部２１３に出力する。受信処理部２１５は、無線部２０１からの入力信号にＦＦＴ（Fast Fourier Transform（高速フーリエ変換））処理を行い、復調部２１７に出力する。また、受信処理部２１５は、上りリンク参照信号（測定用参照信号）から無線伝搬路品質や送信タイミングのずれ量を測定し、測定結果を基地局管理部２２１に渡す。尚、上りリンクの通信方式は、ＤＦＴ−ｓｐｒｅａｄ ＯＦＤＭ等のようなシングルキャリア方式を想定しているが、ＯＦＤＭ方式のようなマルチキャリア方式でもかまわない。復調部２１７は、入力データの復調処理を行い、復調したデータを受信ＨＡＲＱ処理部２１９に出力する。
【００６５】
受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理を行い、復号処理に成功した場合、制御データを基地局管理部２２１に出力し、ユーサーデータを上位層に出力する。受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理に失敗した場合、復号処理に失敗したデータを保存する。受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、再送データを受信した場合、保存してあるデータと再送データを合成し、復号処理を行う。また、受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、入力データの復号処理の成否を基地局管理部２２１に通知する。また、受信ＨＡＲＱ処理部２１９は、制御部２０９からの指示により、保存してあるデータを消去する。
【００６６】
プリアンブル検出部２１３は、無線部２０１から入力信号に対して、相関処理を行い、ランダムアクセスプリアンブルの検出処理を行う。ランダムアクセスプリアンブルを検出した場合、検出したランダムアクセスプリアンブルから送信タイミングずれ量を算出し、ランダムアクセスプリアンブルを検出したセルと検出したプリアンブルの情報と送信タイミングずれ量を基地局管理部２２１に通知する。制御部２０９は、基地局管理部２２１からの指示に基づいて、無線部２０１、送信処理部２０３、変調部２０５、送信ＨＡＲＱ処理部２０７、下りリンク参照信号生成部２１１、受信処理部２１５、復調部２１７、受信ＨＡＲＱ処理部２１９の制御を行う。
【００６７】
基地局管理部２２１は、下りリンク及び上りリンクのスケジュールを行なうＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３、制御データ作成部２２５、制御データ解析部２２７、セル管理部２２９、ＴＡ管理部２３１から構成される。ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、移動局装置１−１から通知される下りリンクの無線伝搬路品質情報や上位層からの通知される各ユーザーのデータ情報や制御データ作成部２２５で作成される制御データから下りリンクの各チャネルにユーザーデータおよび制御データをマッピングする為のスケジュールを行ない、スケジュール結果を制御部２０９に出力する。また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、受信処理部２１５からの上りリンクの無線伝搬路品質結果と移動局装置１−１からの無線リソース割り当て要求から上りリンクの各チャネルにユーザーデータをマッピングする為のスケジュールを行なう。
【００６８】
また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、プリアンブル検出部２１３からランダムアクセスプリアンブルを検出したことを通知された場合、上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨを割り当てて、割り当てた上りリンク共用チャネルＰＵＳＣＨとプリアンブル番号を制御データ作成部２２５に通知する。ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、ＴＡ管理部２３１から送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を通知された場合、ＴＡ管理部２３１に送信タイミング情報を送信することを報告し、送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を制御データ作成部２２５に通知する。また、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３は、上りリンクの同期が外れている移動局装置に対して、下りリンクのユーザーデータが発生した場合、移動局装置にランダムアクセス手順を行なわせるようにセル管理部２２９に指示する。
【００６９】
制御データ作成部２２５は、下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨに配置される制御データや下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに配置される制御データを作成する。スケジュール情報を含んだ制御メッセージ、上りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）、物理チャネルの構成情報や各チャネルの送信電力情報やランダムアクセス情報などを含むシステム情報メッセージ、利用するセルの設定情報（ランダムアクセス情報を含む）を含んだ初期設定メッセージ、プリアンブル番号や送信タイミング情報やスケジューリング情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ、コンテンションレゾリューションメッセージ、プリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ番号を含んだランダムアクセス指示情報、送信タイミング情報を含んだ送信タイミングメッセージなどの制御データを作成する。制御データ解析部２２９は、移動局装置１−１からの下りリンクデータの応答（ＡＣＫ／ＮＡＣＫ）結果により、制御部２０９を介して、送信ＨＡＲＱ処理部２０７を制御する。
【００７０】
セル管理部２２９は、各セルや各セルのシステム情報（物理チャネルの構成情報や各チャネルの送信電力情報やランダムアクセス情報や送信タイミングのセル関係情報など）を管理する。また、セル管理部２２９は、移動局装置１−１〜１−３に１つ以上のセルを割り当てて、また、上りリンク参照信号（測定用参照信号）の無線リソースや上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの無線リソースを割り当てる。そして、セル管理部２２９は、割り当てたセルに関する情報を通知するように制御データ作成部２２５にセルの割り当て情報やセルのシステム情報（セルの設定情報）、移動局装置１−１〜１−３に割り当てる無線リソース情報などを出力する。
【００７１】
セル管理部２２９は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３から移動局装置にランダムアクセス手順を実行させる指示を受信した場合、セルのランダムアクセス情報からプリアンブル番号とランダムアクセスチャネルＲＡＣＨ番号を選択し、制御データ作成部２２５に通知する。
【００７２】
ＴＡ管理部２３１は、移動局装置１−１〜１−３のセル毎の送信タイミングと送信タイミングタイマーを管理する。また、ＴＡ管理部２３１は、送信タイミングが同じとなるセル関係情報も管理する。ＴＡ管理部２３１は、プリアンブル検出部２１３や受信処理部２１５から送信タイミングのずれ量を取得した場合、送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を作成し、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３に送信タイミング情報と送信タイミングを適用する送信タイミンググループ情報を通知する。ＴＡ管理部２３１は、ＤＬ／ＵＬスケジュール部２２３から送信タイミング情報の送信を通知されると送信タイミングタイマーをスタート、または、リスタートする。
【００７３】
[動作説明]
図１１、図１２で説明した基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、割り当てた複数のセルを介して基地局装置と移動局装置が通信を行なう無線通信システムを想定している。また、図１３で説明した移動局装置からの送信タイミングが異なる複数のセルを介して通信を行なうような無線通信システムを想定している。
【００７４】
Ａｄｖａｎｃｅｄ−ＥＵＴＲＡでは、基地局装置は、複数あるセルの中から移動局装置の通信能力や通信条件にあった１つ以上の異なる周波数のセルを周波数毎に割り当てる。そして、移動局装置は、割り当てられたセルを介して基地局装置とデータの送受信を行なう。移動局装置が、複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、図１３のようにリピータ（Ｒｅｐｅａｔｅｒ）などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアからのデータの受信タイミングは、セル毎に異なる場合がある。更に各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングも異なる場合がある。上りリンクコンポーネントキャリア毎に基地局装置への送信タイミングが異なる場合、移動局装置は、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎に送信タイミングの調整が必要ということになっている。
【００７５】
そのため、各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎にランダムアクセス手順を実行し、送信タイミング情報を取得する必要がある。しかしながら、全ての上りリンクコンポーネントキャリアでランダムアクセス手順を実行することは、移動局装置に負荷がかかる。
【００７６】
基地局装置は、移動局装置からの送信タイミングが同じとなるセルをグループ化（以降は、送信タイミンググループと示す。）する。そして、基地局装置は、１つのセルを第一セルに設定し、それ以外のセルを第二セルに設定する。基地局装置は、移動局装置に各送信タイミンググループの１つのセルに対してランダムアクセス手順を実行することを許可する。第一セルでは、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を許可され、第二セルでは、非競合ベースランダムアクセス手順を許可される。この時、基地局装置は、移動局装置に第一セルの情報としてランダムアクセス情報の全てのパラメータ（すなわち、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を実行するために必要となる設定情報）を通知されないときも保持される設定情報として通知し、非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルの情報としてランダムアクセス情報の中で非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報のパラメータだけを通知されないときは解放（破棄、リリース）される設定情報として通知する。以降、それぞれのランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報のパラメータのことを、単にランダムアクセス情報と称して説明する場合がある。
【００７７】
保持される設定情報とは、ランダムアクセス情報が設定されたセルに対して変更を行う場合に、当該ランダムアクセス情報のパラメータに対して明示的に変更が通知されないときに、すでに設定されているパラメータの値を保持し、変更後も引き続き使用する設定情報のことを示す。一方、解放（破棄、リリース）される設定情報とは、ランダムアクセス情報が設定されたセルに対して変更を行う場合に、当該ランダムアクセス情報のパラメータに対して明示的に変更が通知されないときは、すでに設定されているパラメータの値を解放し、変更後に当該パラメータを使用せず、更に、解放したパラメータに関連する機能を停止する必要のある設定情報のことを示す。
【００７８】
このようにすることで、基地局装置は、移動局装置がランダムアクセス手順を開始できるセルを制限することができる。また、非競合ベースランダムアクセス手順のランダムアクセス情報のみを通知されたセルに対して、移動局装置は、競合ベースランダムアクセス手順を行おうと試みても、競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報がないので、競合ベースランダムアクセス手順を実行できない。
【００７９】
尚、第一セルには、電話やリアルタイム情報を通知するための定期的な無線リソースや下りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨに対する応答に使用するための上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨ、下りリンクの無線伝搬路品質情報などの制御情報を通知するための上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨを割り当てるなど重要な機能を設定する。このため、無線伝搬路状態の良いなど通信環境の良いセルが、第一セルとして設定される。
【００８０】
移動局装置は、ランダムアクセス情報を通知されたセルがランダムアクセス手順を許可されたセルと認識する。また、移動局装置は、ランダムアクセス情報の全てのパラメータが通知されたセルが、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順を許可され、ランダムアクセス情報の一部のパラメータが通知されたセルが非競合ベースランダムアクセス手順を許可されたセルと認識する。このようにすることで、ランダムアクセス情報が通知されたか否かで、移動局装置は、どのセルでどのランダムアクセス手順が許可されたかどうかを認識できる。また、基地局装置は、非競合ベースランダムアクセス手順のみを許可する場合、通知するランダムアクセス情報のデータ量を少なくすることができ、無駄な無線リソースを使用しなくて済む。
【００８１】
尚、送信タイミンググループは、第一セルと、第一セルと同じ上りリンク送信タイミングの第二セルとから構成される第一の送信タイミンググループと、第一セルの上りリンク送信タイミングと異なる同じ上りリンク送信タイミングの第二セルから構成される第二の送信タイミンググループとに分類される。第一の送信タイミンググループは、少なくとも第一セルを含み、第二の送信タイミンググループは、少なくとも１つの第二セルを含む。
【００８２】
尚、ランダムアクセス情報は、ランダムアクセスプリアンブル生成のために使用されるＣＡＺＡＣシーケンスの番号情報やランダムアクセスチャネルＲＡＣＨの配置情報などから構成されるランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムプリアンブル数やランダムプリアンブルのグループ情報などのランダムプリアンブルを選択・生成するための情報から構成されるランダムプリアンブル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報、コンテンションレゾリューション受信に関する情報、Ｌ２／Ｌ３メッセージ送信に関する情報などから構成されるランダムアクセス手順関連情報などの複数のパラメータから構成される。競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報は、上述したランダムアクセス情報の全てのパラメータであり、非競合ベースランダムアクセス手順に必要な情報は、上述したランダムアクセス情報のうち、ランダムアクセスチャネル設定情報、ランダムアクセスプリアンブル送信電力情報、ランダムアクセスプリアンブルの最大送信回数の設定情報、ランダムアクセスレスポンス受信に関する情報のパラメータである。なお、基地局装置３は、第一セルと第二セルに設定されるランダムアクセス情報のそれぞれの設定値を、セル毎に独立して設定することが可能である。
【００８３】
移動局装置１−１と基地局装置３の動作を説明する。尚、例として、基地局装置３は、図３のようにセル１〜セル５から構成されていて、セル１〜セル３はそれぞれ送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ１）であり、セル４〜セル５はそれぞれ送信タイミングが同じであって、かつ、送信タイミンググループ１とは異なる別の送信タイミンググループ（送信タイミンググループ２）であるとする。
【００８４】
移動局装置１−１は、セルサーチを行い、基地局装置３の１つのセルを見つける。ここではセル１を見つけるとする。移動局装置１−１は、セル１の報知チャネルＰＢＣＨなどを受信し、セル１のシステム情報（セルの物理チャネル構成や送信電力情報やランダムアクセス情報など）を取得する。そして、移動局装置１−１は、初期アクセスのためにシステム情報に含まれるランダムアクセス情報を使用して、ランダムアクセスプリアンブルの選択・生成を行い、ランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを選択し、選択したセル１のランダムアクセスチャネルＲＡＣＨへランダムアクセスプリアンブル（メッセージ１）を送信する。
【００８５】
そして、移動局装置１−１は、基地局装置３からセル１に対する送信タイミング情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージ（メッセージ２）を取得し、ランダムアクセスレスポンスに含まれる送信タイミング情報からセル１に対する上りリンクコンポーネントキャリアの送信タイミングを調整して、送信タイミングタイマーをスタートさせる。移動局装置１−１は、セル１を介してＬ２／Ｌ３メッセージ（メッセージ３）を基地局装置３へ送信する。尚、移動局装置１−１は、このメッセージ３に初期アクセスを示した内容を含めてメッセージ３を送信する。そして、移動局装置１−１は、コンテンションレゾリューション（メッセージ４）を基地局装置３から受信すると競合ベースランダムアクセス手順を終了する。
【００８６】
ランダムアクセス手順が完了後、基地局装置３は、移動局装置１−１に使用させるセルを割り当て、割り当て情報を移動局装置１−１に通知する。尚、ここでは、図４のように基地局装置３は、移動局装置１−１にセル１〜セル５を割り当てて、セル１を第一セル、セル２〜セル５を第二セルに設定し、セル１〜セル３を送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ１）に設定し、セル４とセル５を送信タイミングが同じ送信タイミンググループ（送信タイミンググループ２）に設定する。また、送信タイミンググループ２のセル５に対して、非競合ベースランダムアクセス手順を設定する（許可する）とする。
【００８７】
そして、基地局装置３は、移動局装置１−１に割り当てたセル（セル１からセル５）の設定情報（各セルのシステム情報）や送信タイミンググループのグループ情報、第一セルの上りリンク制御チャネルＰＵＣＣＨの割り当て情報、上りリンク参照信号（測定用参照信号）の生成情報や上りリンク参照信号（測定用参照信号）を送信するための無線リソース割り当て情報、定期的な上りリンク共用チャネルＰＤＳＣＨの無線リソース割り当て情報などの移動局装置個別の設定情報も移動局装置１−１に通知する。また、基地局装置３は、ランダムアクセス手順を許可するセルに対する情報としてランダムアクセス情報もセルの設定情報に含めて通知する。尚、ここでは、基地局装置３は、セル１を第一セルに設定したので、セル１に対しランダムアクセス情報の全てのパラメータを通知し、セル５に対し非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを通知する。移動局装置１−１は、ランダムアクセス情報を取得したセルに対して、設定されたパラメータに基づいて当該セルで許可されるランダムアクセス手順を認識する。
【００８８】
尚、移動局装置１−１は、初期アクセス時にセル１のランダムアクセス情報をすでに取得しているので、基地局装置３は、再度、セル１のランダムアクセス情報を通知しなくても良い。基地局装置３は、初期アクセス時と異なるセルに対して、第一セルを設定する場合は、ランダムアクセス情報を必ず通知する。尚、上記情報を通知後、基地局装置３は、移動局装置１−１にセル２〜セル５のアクティベートを指示し、移動局装置１−１は、セル２〜セル５の下りリンク受信処理を開始するとする。
【００８９】
そして、移動局装置１−１は、割り当てられたセルの設定情報や送信タイミンググループのグループ情報を取得後、送信タイミンググループのグループ情報と取得しているセル１の送信タイミング情報からセル１と同じ送信タイミンググループのセル２とセル３の上りリンクの送信タイミングを調整する。この後、移動局装置１−１と基地局装置３との間でセル１〜セル５の下りリンクコンポーネントキャリアとセル１〜セル３の上りリンクコンポーネントキャリアを介してデータのやり取りがされる。
【００９０】
移動局装置１−１からの送信データ量が多くなり、移動局装置１−１で利用していないセルがある場合、基地局装置３は、移動局装置１−１に非競合ベースランダムアクセス手順を行うように指示するランダムアクセス指示情報を下りリンク制御チャネルＰＤＣＣＨで通知する。ここでは、基地局装置３は、セル５に対してのランダムアクセス指示情報を移動局装置１−１に通知するとする。ランダムアクセス指示情報には、プリアンブル番号とランダムアクセスチャネル番号が含まれており、移動局装置１−１は、基地局装置３から指定されたプリアンブル番号と保持しているセル５の設定情報に含まれるランダムアクセス情報からランダムアクセスプリアンブルを生成し、ランダムアクセスプリアンブルを送信するランダムアクセスチャネルＲＡＣＨを選択して、ランダムアクセスプリアンブルをセル５のランダムアクセスチャネルＲＡＣＨに送信する。
【００９１】
基地局装置３は、ランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから送信タイミングずれ量を算出して、移動局装置１−１にセル５の下りリンクコンポーネントキャリアを介して送信タイミング情報を含んだランダムアクセスレスポンスを通知する。移動局装置１−１は、ランダムアクセスレスポンスを受信するとランダムアクセスレスポンスに含まれている送信タイミング情報をセル５の上りリンクの送信タイミングとして調整し、更に、送信タイミング情報を同じ送信タイミンググループであるセル４の上りリンクの送信タイミングとして調整し、送信タイミングタイマーが開始されていなければ送信タイミングタイマーをスタートする。そして、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を完了する。この後、セル４とセル５の上りリンクコンポーネントキャリアも含めて、移動局装置１−１と基地局装置３との間でデータのやり取りを行なう。
【００９２】
移動局装置１−１は、送信タイミンググループ毎に１つの送信タイミングタイマーを持ち、送信タイミング情報を取得すると送信タイミングタイマーをスタート、またはリスタートする。基地局装置３も同様に送信タイミンググループ毎に１つの送信タイミングタイマーを持ち、送信タイミング情報を送信すると送信タイミングタイマーをスタート、またはリスタートする。送信タイミングタイマーが動作中は、当該送信タイミンググループ毎に上りリンク同期している（送信タイミングが有効である）状態であり、移動局装置１−１は、対象となる送信タイミンググループの上りリンクコンポーネントキャリアでの上りリンク送信が可能である。尚、送信タイミングタイマーは、セル毎に持つように構成しても良い。
【００９３】
移動局装置１−１の動作を図５のフローチャートを用いて以下に示す。
移動局装置１−１は、基地局装置３から複数セルを割り当てられ、各セルの設定情報を受信し、各セルの設定情報を設定する。移動局装置１−１は、スケジューリングリクエストや基地局装置３からのランダムアクセス指示情報によりランダムアクセス手順を実行する場合、どのような理由でランダムアクセス手順を実行するか確認する（ステップＳ１０１）。スケジューリングリクエストが理由でランダムアクセス手順を実行する場合、移動局装置１−１は、第一セルで競合ベースランダムアクセス手順を実行することを決定する（ステップＳ１０２）。移動局装置１−１は、第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されているか否かを確認する（ステップＳ１０３）。
【００９４】
第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されている場合、移動局装置１−１は、競合ベースランダムアクセス手順を実行する（ステップＳ１０４）。第一セルの設定情報にランダムアクセス情報が設定されていない場合、移動局装置１−１は、競合ベースランダムアクセス手順を実行しない。ランダムアクセス指示情報が理由でランダムアクセス手順を実行する場合、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを決定する。移動局装置１−１は、基地局装置３からランダムアクセス手順を実行するように指定されたセル（または送信タイミンググループ）に対し、ランダムアクセス情報が設定されているか否かを確認する（ステップＳ１０６）。ランダムアクセス手順を実行するように指定されたセルに対し、ランダムアクセス情報が設定されている場合、移動局装置１−１は、ランダムアクセス指示情報に従って、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する（ステップＳ１０７）。ランダムアクセス手順を実行するように指定されたセルに対し、ランダムアクセス情報が設定されていない場合、移動局装置１−１は、非競合ベースランダムアクセス手順を実行しない。
【００９５】
基地局装置３の動作を図６のフローチャートを用いて以下に示す。
基地局装置３は、移動局装置１−１に複数セルを割り当てる（ステップＳ２０１）。基地局装置３は、割り当てた複数セルの中で第一セルと非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルを決定する（ステップＳ２０２）。基地局装置３は、各セルの設定情報を作成する。そして、基地局装置３は、第一セルの設定情報にランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、非競合ベースランダムアクセス手順を許可する第二セルの設定情報に非競合ベースランダムアクセス手順に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める（ステップＳ２０３）。基地局装置３は、移動局装置１−１に各セルの設定情報を移動局装置１−１に通知する（ステップＳ２０４）。なお、基地局装置３は、第一セルと第二セルに設定されるランダムアクセス情報のそれぞれの設定値を、セル毎に独立して設定することが可能である。
【００９６】
基地局装置３は、無線伝搬路環境の変動等による通信環境の変化から、割り当てたセルの追加・削除を行う場合や、第一セルや第二セルのランダムアクセス手順を許可したセルの変更を行なう場合がある。このような場合の基地局装置３、移動局装置１−１のランダムアクセス情報に関する送受信処理動作を以下に示す。
【００９７】
ここでは、セル１〜セル３がそれぞれ同じ送信タイミンググループ、セル４〜セル５がそれぞれ同じ送信タイミンググループとし、セル１が第一セル、セル２〜セル５が第二セルにとして設定されている場合において、セル５に対して非競合ベースランダムアクセス手順が許可されている構成（非競合ベースランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報を設定されている）から、第一セルをセル１からセル２に変更する場合の例を示す。
【００９８】
設定されているセルの構成数を変えずに第一セルをセル１からセル２に変更する場合、基地局装置３は、移動局装置１−１に初期アクセス時と同じようにセルの割り当て情報やセル１〜セル５の設定情報、送信タイミンググループのグループ情報及び移動局装置個別の設定情報などを通知する。尚、基地局装置３は、セル２の設定情報には、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、セル５の設定情報には、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置１−１に通知する。尚、この場合、基地局装置３は、設定を変更しないセルに対する設定情報を通知しなくても良い。すなわち、基地局装置３は、セル３〜セル５に対する設定情報を通知しなくても良い。移動局装置１−１は、設定情報が通知されなかったセルに対して、それまで保持（設定）していた設定情報をそのまま使用する。すなわち、移動局装置１−１は、一部のランダムアクセス情報が設定されたセル（セル５）に対して設定情報が通知されなかった場合、セルの追加・削除・変更後、当該セル（セル５）において設定されたパラメータに基づいて非競合ベースランダムアクセス手順が引き続き許可されていると認識する。
【００９９】
移動局装置１−１は、基地局装置３から新たにセルの割り当て情報やセル１〜セル５の設定情報、送信タイミンググループのグループ情報及び移動局装置個別の設定情報を通知されると、それまで保持（設定）していた情報に対して新たに通知された情報を再設定する。また、移動局装置１−１はセル２の設定情報からセル２が第一セルに設定されたことを認識する。
【０１００】
次に、第二送信タイミンググループの非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルをセル５からセル４に変更する場合の例を示す。ここでは、セル１〜セル３がそれぞれ同じ送信タイミンググループ、セル４〜セル５がそれぞれ同じ送信タイミンググループとし、セル２が第一セル、セル２〜セル５が第二セルとして設定されている場合において、セル５に対して非競合ベースランダムアクセス手順を許可されている（非競合ベースランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報が設定されている）構成の例を示す。
【０１０１】
非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルをセル５からセル４に変更する場合、基地局装置３は、移動局装置１−１にセル４〜セル５の設定情報、セル４〜セル５の移動局装置個別の設定情報（上りリンク参照信号の設定情報など）を通知する。尚、基地局装置３は、セル４の設定情報には、非競合ベースランダムアクセス手順の実行に必要なランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置１−１に通知する。尚、セル１〜セル３の設定情報は、通知しなくても良い。また、セル１〜セル３の設定情報も通知する場合、セル１の設定情報にランダムアクセス情報を含めなくするようにしても良い。
【０１０２】
移動局装置１−１は、セル４とセル５の設定情報を新たに受信した場合、それまで保持（設定）していたセル４及びセル５の設定情報に対して、新たに通知されたセル４及びセル５の設定情報を再設定する。移動局装置１−１は、セル４の新たな設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれていることから、セル４で非競合ベースランダムアクセス手順を許可されたことを認識する。また、移動局装置１−１は、第一セルの設定情報を受信しないことで、第一セルの設定情報に対して変更がなかったことを認識し、セル１の設定情報を維持する。尚、この場合、基地局装置３は、セル４に対してランダムアクセス情報を含む設定情報を通知し、セル５に対してランダムアクセス情報を含まない設定情報を通知しても良い。
【０１０３】
移動局装置１−１は、セル５に対してランダムアクセス情報を含まない設定情報を通知された場合、それまで保持（設定）していた一部のランダムアクセス情報を解放（破棄、リリース）する。すなわち、移動局装置１−１は、セル（セル５）に対する新たな設定情報として一部のランダムアクセス情報が通知されなかった場合、セルの追加・削除・変更後、当該セル（セル５）において非競合ベースランダムアクセス手順（および非競合ベースランダムアクセス）が許可されていないと認識する。
【０１０４】
このように、基地局装置３は、第一セルを再設定する場合、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順の両方のランダムアクセス手順を許可するセルに対して必要な全てのランダムアクセス情報を通知し、非競合ベースランダムアクセス手順を許可するセルを再設定する場合、対象となる第二セルに対して非競合ベースのランダムアクセス手順に必要な一部のランダムアクセス情報を通知するようにすることで、第二セルに対して通知するランダムアクセス情報を少なくすることができる。
【０１０５】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【０１０６】
例えば、基地局装置３は、第二セルに対して設定するランダムアクセス情報として、全てのランダムアクセス情報を設定する場合と、一部のランダムアクセス情報を設定する場合とを状況に応じて適宜選択してもよい。この場合、移動局装置１−１は、第二セルに対して必要な全てのランダムアクセス情報が通知されている場合は、基地局装置３のランダムアクセス指示情報に基づいて、競合ベースランダムアクセス手順と非競合ベースランダムアクセス手順のどちらか一方を第二セルで実行し、一部のランダムアクセス情報が通知されている場合は、基地局装置３のランダムアクセス指示情報に基づいて、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する。なお、この場合であっても、移動局装置１−１の第一セルに対するランダムアクセス手順は同じである。
【０１０７】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置１−１及び基地局装置３を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置１−１及び基地局装置３の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行なっても良い。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、ＯＳや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【０１０８】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＣＤ−ＲＯＭ等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【０１０９】
また、上記各実施形態に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるＬＳＩとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はＬＳＩに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりＬＳＩに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【０１１０】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【０１１１】
１−１〜１−３ 移動局装置
３ 基地局装置
５−１、５−２ リピータ
１０１、２０１ 無線部
１０３、２０３ 送信処理部
１１５、２１５ 受信処理部
１０５、２０５ 変調部
１１７，２１７ 復調部
１０７、２０７ 送信ＨＡＲＱ処理部
１１９、２１９ 受信ＨＡＲＱ処理部
１０９、２０９ 制御部
１２１ 移動局管理部
２２１ 基地局管理部
１２３ ＵＬスケジュール部
１２５、２２５ 制御データ作成部
１２７，２２７ 制御データ解析部
１２９，２２９ セル管理部
１３１，２３１ ＴＡ管理部
１１１ 上りリンク参照信号生成部
２１１ 下りリンク参照信号生成部
１１３ ランダムアクセスプリアンブル生成部
２１３ プリアンブル検出部
２２３ ＤＬ／ＵＬスケジュール部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムであって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、
前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項２】
請求項１記載の無線通信システムであって、
前記移動局装置は、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項３】
請求項２記載の無線通信システムであって、
前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータは、非競合ベースランダムアクセス手順のみ必要なパラメータで構成されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項４】
請求項３記載の無線通信システムであって、
前記移動局装置が、前記基地局装置から各セルに対する設定情報を再度取得し、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を再度保持し、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を破棄することを特徴とする無線通信システム。
【請求項５】
移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に送信することを特徴とする基地局装置。
【請求項６】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信し、
前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする移動局装置。
【請求項７】
請求項６記載の移動局装置であって、
前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対して、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする移動局装置。
【請求項８】
基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムに適用される無線通信方法であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて前記移動局装置に通知するステップと、
前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項９】
請求項８記載の無線通信方法であって、
前記移動局装置は、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項１０】
移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置に適用される集積回路であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める手段と、前記設定情報を移動局装置に送信する手段を有することを特徴とする集積回路。
【請求項１１】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置に適用される集積回路であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信する手段と、
前記複数セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する手段を有することを特徴とする集積回路。
【請求項１】
基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムであって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に通知し、
前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項２】
請求項１記載の無線通信システムであって、
前記移動局装置は、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする無線通信システム。
【請求項３】
請求項２記載の無線通信システムであって、
前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータは、非競合ベースランダムアクセス手順のみ必要なパラメータで構成されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項４】
請求項３記載の無線通信システムであって、
前記移動局装置が、前記基地局装置から各セルに対する設定情報を再度取得し、ランダムアクセス情報の全てのパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を再度保持し、ランダムアクセス情報の一部のパラメータを設定されていたセルの設定情報にランダムアクセス情報が含まれていない場合、保持していたランダムアクセス情報を破棄することを特徴とする無線通信システム。
【請求項５】
移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて移動局装置に送信することを特徴とする基地局装置。
【請求項６】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信し、
前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする移動局装置。
【請求項７】
請求項６記載の移動局装置であって、
前記セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対して、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行することを特徴とする移動局装置。
【請求項８】
基地局装置が移動局装置に複数セルを割り当て、前記移動局装置が前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する無線通信システムに適用される無線通信方法であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置は、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータを含めて前記移動局装置に通知するステップと、
前記移動局装置は、前記通知された設定情報に前記ランダムアクセス情報が含まれているセルに対してランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項９】
請求項８記載の無線通信方法であって、
前記移動局装置は、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータが含まれているセルに対し、競合ベースランダムアクセス手順及び／または非競合ベースランダムアクセス手順を実行し、前記設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータのみが含まれているセルに対し、非競合ベースランダムアクセス手順を実行するステップとを少なくとも含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項１０】
移動局装置に複数セルを割り当て、通信中に前記移動局装置がランダムアクセス情報を使用してランダムアクセスプリアンブルを送信し、前記移動局装置からの前記ランダムアクセスプリアンブルを検出する基地局装置に適用される集積回路であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報に前記ランダムアクセス情報の全てのパラメータを含め、前記複数セルの少なくとも１つのセルに対する設定情報にランダムアクセス情報の一部のパラメータを含める手段と、前記設定情報を移動局装置に送信する手段を有することを特徴とする集積回路。
【請求項１１】
基地局装置から複数セルを割り当てられ、前記基地局装置との通信中にランダムアクセス情報を使用してランダムアクセス手順を実行する移動局装置に適用される集積回路であって、
前記ランダムアクセス情報は、２つ以上のパラメータで構成され、
前記基地局装置から前記複数セルに対する設定情報を受信する手段と、
前記複数セルの設定情報に前記ランダムアクセス情報の一部のパラメータが含まれているセルに対して、非競合ベースランダムアクセス手順を実行する手段を有することを特徴とする集積回路。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１３−１７０６０（Ｐ２０１３−１７０６０Ａ）
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１４８７４９（Ｐ２０１１−１４８７４９）
【出願日】平成２３年７月５日（２０１１．７．５）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年７月５日（２０１１．７．５）
【出願人】（０００００５０４９）シャープ株式会社 (33,933)
【Ｆターム（参考）】
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