説明

無線通信システム及びアンテナの切り替え方法

【課題】低コスト化に有利な構造としながらも、ダイバシティ効果を得ることのできる無線通信システムを提供する。
【解決手段】この無線通信システムは、車両本体1に設けられた受信装置14と車輪2に設けられたセンサユニット20との間で無線通信を行うにあたり、第1及び第2の受信アンテナ13a,13bをスイッチ15によって選択的に切り替えるとともに、選択された受信アンテナによりセンサユニット20から送信される無線信号を受信する。ここでは、無線信号を複数のフレームで構成した上で、第1の受信アンテナ13aにより無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、RSSI回路14aを通じて検出される受信信号強度に基づいて車輪2の回転速度を推定する。そして、推定された車輪2の回転速度に基づいてスイッチ15の切り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた各車輪のタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧監視システムに用いて有益な無線通信システム及びアンテナの切り替え方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の各車輪に設けられたセンサを通じてタイヤの空気圧を直接監視するとともに、タイヤの空気圧に異常が検出されたときに運転者に対して警告を行う、いわゆるダイレクト式のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が周知である。そして従来、このようなタイヤ空気圧監視システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。図8は、この特許文献1に記載のシステムを含めて、従来一般に採用されているタイヤ空気圧監視システムの概要を示したものである。
【0003】
同図8に示されるように、このシステムでは、各車輪W1〜W4の周辺に起動信号を送信するためのイニシエータ30a〜30dが設けられている。一方、各車輪W1〜W4には、起動信号の受信に基づきタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む無線信号を送信するセンサユニットU1〜U4が設けられている。すなわちこのシステムでは、イニシエータ30a〜30dから各車輪W1〜W4に起動信号が送信されると、センサユニットU1〜U4から無線信号が送信される。そしてこの無線信号は、車両に設けられた受信装置32により受信されるとともに、同システムにかかる各種制御を統括的に司る制御装置33に伝達される。そして、制御装置33では、無線信号に含まれている空気圧の情報に基づいて各車輪のタイヤの空気圧を監視するとともに、いずれかのタイヤの空気圧に異常が検出されることを条件に、車室内に設けられているインジケータ34を通じて運転者に対して警告を行う。
【0004】
ところで、受信装置32の受信アンテナ32aで受信される電波には、センサユニットU1〜U4から直接届く電波(直接波)と、センサユニットU1〜U4から放射された後に例えば地面などの障害物で反射した後に届く電波(反射波)とが存在する。一方、このシステムでは、車輪W1〜W4の回転に伴ってセンサユニットU1〜U4が回転すると、センサユニットU1〜U4と受信アンテナ32aとの間の距離が変化する。したがって、上記直接波が伝播する距離、並びに上記反射波が伝播する距離がそれぞれ変化するため、各電波に位相干渉が生じる。そしてこのような位相干渉が生じると、アンテナ32aにより受信される電波の強度が低下して無線信号を適切に受信できなくなることがあるため、例えばタイヤの空気圧の異常を検出することができなくなるなどの不都合が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、従来のタイヤ空気圧監視システムにあっては、例えば上記特許文献1に見られるように、センサユニットU1〜U4と受信装置32との間の無線通信の方式としてダイバシティ方式を採用するようにしている。このダイバシティ方式とは、受信特性の異なる複数の受信アンテナを受信装置に設けた上で、各アンテナの受信信号強度を比較して最大の受信信号強度を有するアンテナを選択し、選択したアンテナにより無線信号を受信する方法である。このようなダイバシティ方式を採用すれば、上述した位相干渉によって一つの受信アンテナの受信信号強度が低くなったとしても、それ以外の受信アンテナの受信信号強度が高ければそちらに切り替えるなどすれば、無線信号を適切に受信することができるようになる。このため、上述したタイヤの空気圧の異常を検出することができなくなるなどの不都合を好適に回避することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−56346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このようなタイヤ空気圧監視システムにあっては、一般に、センサユニットU1〜U4と受信装置32との間で無線通信を行う際に、上記無線信号がフレーム単位で授受される。このため、受信装置32で無線信号を受信する際に1つのフレームを確実に受信することのできる無線通信システムの開発、実用化が望まれている。
【0008】
一方、このような無線通信システムを実現すべく、例えば次のような方法を採用することが考えられる。すなわち、無線信号の受信時に受信エラーが生じた際に、同無線信号のフレームを破棄せずに、フレームの途中で受信アンテナを切り替えつつ無線信号の受信を行うといった方法である。しかしながら、このような方法を採用した場合には、複数の受信アンテナにより常時電波を受信する必要がある上、受信アンテナの切り替えに高速処理が必要になるため、構造の複雑化やコストの増大を招くおそれがある。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コスト化に有利な構造としながらも、ダイバシティ効果を得ることのできる無線通信システム及びアンテナの切り替え方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両本体に設けられた受信装置と車輪に設けられた通信機器との間で無線通信を行うにあたり、前記受信装置に設けられた複数の受信アンテナを切り替え手段によって選択的に切り替えるとともに、選択された特定の受信アンテナにより前記通信機器から送信される無線信号を受信する無線通信システムにおいて、前記無線信号が複数のフレームで構成され、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、前記車輪の回転速度に基づいて前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信できるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて前記切り替え手段を駆動させる制御手段を備えることを要旨としている。
【0011】
また請求項6に記載の発明は、車両本体に設けられた受信装置と車輪に設けられた通信機器との間で無線通信を行うにあたり、前記受信装置に設けられた複数の受信アンテナを選択的に切り替えを行うとともに、選択された特定の受信アンテナにより前記通信機器から送信される無線信号を受信するアンテナの切り替え方法において、前記無線信号が複数のフレームで構成され、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、前記車輪の回転速度に基づいて前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信できるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて前記受信アンテナの切り替えを行うことを要旨としている。
【0012】
車両本体に設けられた受信装置と車輪に設けられた通信機器との間で無線通信を行う無線通信システムにあっては、通常、受信アンテナの受信信号強度が車輪の回転角度に応じて一定の態様で変化する。なおこの特性は車輪の回転速度(角速度)に依存しない。すなわち、受信信号強度の単位時間当たりの変化量は車輪の回転速度に応じて定まる。したがって、上記システム、あるいは上記方法によるように、無線信号を複数のフレームで構成することとすれば、特定の受信アンテナにより無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、その時点での車輪の回転速度に基づいて2フレーム目以降を特定の受信アンテナにより受信することができるか否かを判定することが可能である。そしてその判定結果に基づいて、例えば特定の受信アンテナにより2フレーム目以降を受信することができる場合には同特定の受信アンテナをそのまま用いる一方、2フレーム目以降を特定の受信アンテナにより受信することが難しい場合には他の受信アンテナに切り替えるなどすれば、1フレーム分の信号を確実に受信することができるようになる。したがって、ダイバシティ効果を的確に得ることができるようになる。また、受信アンテナを切り替える場合には、2フレーム目以降を受信するまでに受信アンテナを切り替えればよいため、上述した複数の受信アンテナを高速に切り替える処理が不要となり、ひいては低コスト化を図ることができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無線通信システムにおいて、前記無線信号の各フレームの間に、前記無線信号の1つのフレームの長さよりも十分短い時間間隔を設けたことを要旨としている。
【0014】
同システムによれば、各フレームの間に設けられた時間間隔を利用して切り替え手段を操作することができるため、上記特定の受信アンテナから他の受信アンテナへの切り替えを時間的な余裕をもって行うことができるようになる。したがって、他の受信アンテナによって無線信号の2フレーム目以降を確実に受信することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の無線通信システムにおいて、前記特定の受信アンテナの受信信号強度を検出する信号強度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記無線信号の1フレーム目を前記特定の受信アンテナにより受信している際の前記受信信号強度の経時的な変化に基づいて前記車輪の回転速度を推定することを要旨としている。
【0016】
前述のように、受信アンテナの受信信号強度の単位時間当たりの変化量と車輪の回転速度との間には相関関係がある。したがって、上記システムによるように、特定の受信アンテナの受信信号強度の経時的な変化に基づいて車輪の回転速度を推定することとすれば、特定の受信アンテナにより無線信号を受信している時点での車輪の回転速度を簡便に且つ、的確に検出することができるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の無線通信システムにおいて、前記受信信号強度の経時的な変化の検出が、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信し始めた直後に前記信号強度検出手段を通じて検出される第1の受信信号強度と、前記特定の受信アンテナによる前記無線信号の1フレーム目の受信が完了する直前に前記信号強度検出手段を通じて検出される第2の受信信号強度とを検出することによって行われることを要旨としている。
【0018】
このような受信装置にあっては通常、受信アンテナの受信信号強度は、車輪の回転に伴い単調減少及び単調増加を繰り返すだけである。したがって、上記システムによるように、特定の受信アンテナにより無線信号の1フレーム目を受信し始めた直後に第1の受信信号強度を検出するとともに、無線信号の1フレーム目の受信が完了する直前に第2の受信信号強度を検出することとすれば、これら2つの受信信号強度に基づいて受信信号強度の経時的な変化を推定することは可能である。そしてこのような構成によれば、特定の受信アンテナの受信信号強度をA/Dサンプリングし続けることによりその経時的な変化を検出する場合と比較すると、制御手段の処理負担を軽減することができるようになる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無線通信システムにおいて、前記受信信号強度に対して、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号を受信することのできる最小の受信信号強度である受信下限閾値と同程度の第1の閾値、及び同第1の閾値よりも大きな第2の閾値がそれぞれ設定され、前記制御手段は、前記第1及び第2の閾値と前記第1及び第2の受信信号強度との比較のもとに前記車輪の回転速度を推定することを要旨としている。
【0020】
同システムによれば、上記第1及び第2の受信信号強度と第1及び第2の閾値とを比較するだけで、車輪の回転速度を推定することができるため、同推定を容易に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる無線通信システム及びアンテナの切り替え方法によれば、低コスト化に有利な構造としながらも、ダイバシティ効果を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる無線通信システムの一実施形態について同無線通信システムを利用したタイヤ空気圧監視システムのシステム構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の無線通信システムについて車輪の回転角度に対する第1の受信アンテナの受信信号強度の変化を示すグラフ。
【図3】同実施形態の無線通信システムについてセンサユニットと受信装置との間で授受される無線信号の構成を模式的に示す図。
【図4】(a),(b)は、車輪の回転角度に対する第1及び第2の受信アンテナの受信信号強度の変化について車速が速い場合と遅い場合とを対比して示すグラフ。
【図5】第1の受信アンテナにより無線信号の1フレーム目を受信した際の受信信号強度の推移について車速が速い場合と遅い場合とを対比して示すグラフ。
【図6】(a),(b)は、第1及び第2の受信信号強度を検出する方法を説明するためのタイミングチャート。
【図7】同実施形態の無線通信システムによる受信アンテナの切り替え処理についてその手順を示すフローチャート。
【図8】従来のタイヤ空気圧監視システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明にかかる無線通信システムを、タイヤ空気圧監視システムの無線通信システムに適用した一実施形態について図1〜図7を参照して説明する。図1は、こうしたタイヤ空気圧監視システムのシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、同図1を参照して、このタイヤ空気圧監視システムの構成について説明する。
【0024】
同図1に示されるように、このタイヤ空気圧監視システムでは、車輪2に設けられたセンサユニット20によってタイヤの空気圧が一定の周期で検出される。また、センサユニット20は、タイヤの空気圧を検出した際に、検出した空気圧などの情報を含む無線信号を生成するとともに、生成した無線信号を車両本体1に設けられた監視装置10に送信する。すなわち、センサユニット20から監視装置10に一定の周期で無線信号が送信される。そしてセンサユニット20から送信される無線信号が監視装置10によって受信されると、同無線信号に含まれているタイヤの空気圧の情報がインジケータ16に表示される。また、タイヤの空気圧に異常が検出された場合には、その旨がインジケータ16に表示される。
【0025】
ここで、監視装置10には、通信機器としてのセンサユニット20から送信される無線信号を受信するための受信装置14が設けられている。ちなみに、この受信装置14には、前述したダイバシティ効果を得るべく、受信特性の異なる第1及び第2の受信アンテナ13a,13bがそれぞれ設けられるとともに、これらの受信アンテナ13a,13bを選択的に切り替えるための切り替え手段としてのスイッチ15が設けられている。そして、この受信装置14では、通常は、第1の受信アンテナ13aにより無線信号を受信するように設定されており、スイッチ15の切り替え操作が行われたときに第2の受信アンテナ13bにより無線信号を受信することができるようになる。また、この受信装置14には、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度を検出するための受信信号強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路14aが内蔵されている。そして、受信装置14により受信される無線信号の処理が、マイクロコンピュータを中心に構成される制御手段としての制御装置17を通じて行われる。ちなみにこの制御装置17は、無線信号に含まれている空気圧の情報をインジケータ16に表示する処理を実行したり、あるいは上記スイッチ15の切り替えなどを行う部分でもある。
【0026】
ところで、このようなタイヤ空気圧監視システムにあっては、前述の通り、車輪2の回転に伴いセンサユニット20が回転するため、センサユニット20と受信アンテナ13a,13bとの間の距離が車輪2の回転に伴い変化する。このため、センサユニット20から受信アンテナ13a,13bに直接的に届く電波(直接波)と、センサユニット20から放射された後に例えば地面などの障害物で反射した後に届く電波(反射波)との間に位相干渉が生じるため、受信アンテナ13a,13bにより受信される無線信号の強度が弱くなってしまうことも前述の通りである。
【0027】
図2は、こうした車輪2の回転に伴う第1の受信アンテナ13aの受信信号強度の変化を例示したものである。なお、本例では、V字形の特性であるが、車両、タイヤ等の条件違いにより、W字形などの別の特性となるが、受信信号の強度に強弱がある点については同じである。
【0028】
同図2に示されるように、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度は、車輪2の回転角度に応じて単調減少と単調増加を繰り返す態様にて変化する。このため、例えば車輪2が図中の回転角度θeの範囲で回転している期間にセンサユニット20から無線信号が送信されたとすると、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度が図中の受信下限閾値Vthよりも小さくなる。そしてこの場合には、第1の受信アンテナ13aにより受信される無線信号の強度が弱すぎるため、同無線信号を適切に受信することができないおそれがある。
【0029】
そこで、本実施形態では、まず、センサユニット20から無線信号を送信する際に、上記タイヤの空気圧などの情報を1フレームだけ送信するのではなく、図3に示すように、2フレーム送信するようにしている。すなわち、無線信号を2つのフレームで構成するようにしている。なお、本実施形態では、1フレーム目と2フレーム目との間に、1つのフレームの長さTfよりも十分短い時間間隔Tgap(≪Tf)が設けられている。そして、第1の受信アンテナ13aで無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じた場合には、上記RSSI回路14aを通じて検出される受信信号強度に基づいて、2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することができるか否かを判定する。そしてその判定結果に基づいて、例えば第1の受信アンテナ13aにより2フレーム目を受信することができる場合には、第1の受信アンテナ13aをそのまま用いる一方、第1の受信アンテナ13aにより2フレーム目を受信することが難しい場合には、上記スイッチ15によって第2の受信アンテナ13bに切り替えるようにしている。
【0030】
次に、無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、その2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信できるか否かを判定する方法について図4を参照して説明する。
【0031】
図4(a),(b)は、第1の受信アンテナ13aにより無線信号を受信している際の受信信号強度の変化を、車輪2の回転速度が遅い状況と速い状況とを対比して示したものである。なお、図4(a),(b)では、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度の変化を二点鎖線で示すとともに、第1の受信アンテナ13aにより実際に無線信号を受信している期間における受信信号強度の変化を実線で示している。また、第2の受信アンテナ13bの受信信号強度の変化を一点鎖線で示している。
【0032】
同図4(a),(b)に示されるように、無線信号の1フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信している期間に車輪2が回転する角度は、車輪2の回転速度に応じて変化する。すなわち、車輪2の回転速度が遅い状況では、図4(a)に実線で示されるように、車輪2の回転角度は比較的小さい回転角度θaとなる一方、車輪2の回転速度が速い状況では、図4(b)に実線で示されるように、車輪2の回転角度は上記回転角度θaよりも大きな回転角度θbとなる。したがって、図4(a)に示されるように、車輪2の回転速度が遅い状況では、例えば車輪2の回転角度が図中の角度θ1となる時点でセンサユニット20から無線信号が送信されたとすると、その時点から車輪2の回転角度が角度θaだけ変化する期間に受信信号強度が上記受信下限閾値Vthよりも小さくなるため、受信エラーが生じてしまう。そしてこの場合には、無線信号の2フレーム目を受信する際にも受信信号強度が受信下限閾値Vth以上である可能性が低いため、第1の受信アンテナ13aをそのまま用いた場合、2フレーム目を適切に受信することができない。ただしこの場合、図中の一点鎖線で示されるように、第2の受信アンテナ13bに切り替えれば、受信信号強度を受信下限閾値Vth以上とすることができるため、2フレーム目を好適に受信することができる。一方、図4(b)に示されるように、車輪2の回転速度が速い状況では、例えば車輪2の回転速度が図中の角度θ2となる時点でセンサユニット20から無線信号が送信されたとすると、その時点から回転角度が角度θbだけ変化する期間に受信信号強度が上記受信下限閾値Vthよりも小さくなるため、受信エラーが生じてしまう。しかしながらこの場合には、2フレーム目を受信する際には受信信号強度が受信下限閾値Vth以上となるため、受信アンテナを切り替えなくても2フレーム目を受信することは可能である。
【0033】
このように、無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、その2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信できるか否かは、その時点での車輪2の回転速度に応じて定まる。また、図4(a)と図4(b)とを対比して明らかなように、受信エラーが発生する際の受信信号強度の推移は、車輪2の回転速度が速い状況と遅い状況とで互いに異なったものとなる。したがって、無線信号の1フレーム目を受信している期間における受信信号強度の経時的な変化に基づいて車輪2の回転速度を推定することは可能である。
【0034】
そこで、上記制御装置17では、無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、上記RSSI回路14aを通じて検出される受信信号強度に基づいて車輪2の回転速度を推定するようにしている。具体的には、車輪2の回転速度が、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信できる回転速度であるか否かを推定するようにしている。そして、車輪2の回転速度が、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信できる回転速度でない旨が推定された場合には、上記スイッチ15によって第1の受信アンテナ13aから第2の受信アンテナ13bに切り替えるようにしている。
【0035】
次に、上記RSSI回路14aを通じて検出される受信信号強度に基づいて車輪2の回転速度を推定する方法について図5を参照して説明する。
図5は、第1の受信アンテナ13aにより無線信号の1フレーム目を受信した際の受信信号強度の推移を示したものである。なお、この図5では、先の図4(a)に例示した車輪2の回転速度が遅い状況での受信信号強度の変化を一点鎖線で、また、先の図4(b)に例示した車輪2の回転速度が速い状況での受信信号強度の変化を二点鎖線で示している。さらに、図中の時刻t10は、無線信号の1フレーム目の受信を開始した時刻を、また、時刻t11は、1フレーム目の受信が完了した時刻をそれぞれ示している。
【0036】
同図5に示されるように、本実施形態では、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度に対して、2つの閾値Vth1,Vth2を設定するようにしている。ちなみに、第1の閾値Vth1は、受信エラーが発生する可能性のある受信信号強度であるか否かを判定するための判定値であって、例えば受信下限閾値Vthよりも小さい値に設定されている。なお、この第1の閾値Vth1は、受信下限閾値Vthとほぼ同程度の値、より具体的には、受信下限閾値Vthよりも少し小さい値から同閾値Vthよりも僅かに大きい値の範囲で設定される。これは、上述した無線信号の反射状態は、路面などの環境変化に起因して変化してしまうため、例えば第1の受信アンテナ13aの受信信号強度が受信下限閾値Vthよりも若干大きい値であっても受信エラーが生じることがある。このため、こうした環境変化の観点から、第2の閾値Vth2を上述した範囲で設定することが望ましいからである。一方、第2の閾値Vth2は、受信エラーが発生する可能性が全くない受信信号強度であるか否かを判定するための判定値であって、上記第1の閾値Vth1よりも大きな値に設定されている。具体的には、この第1の閾値Vth1は、例えば車輪2が一回転する間に検出される受信信号強度の平均値程度の値に設定されている。
【0037】
一方、制御装置17は、無線信号の1フレーム目の受信を開始した直後に、すなわち時刻t10の直後に上記RSSI回路14aを通じて第1の受信信号強度Vrsを検出する。また、制御装置17は、1フレーム目の受信が完了する直前に、すなわち時刻t11の直前に上記RSSI回路14aを通じて第2の受信信号強度Vreを検出する。そして、制御装置17は、これら第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreと上記第1及び第2の閾値Vth1,Vth2との比較のもとに、車輪2の回転速度を次のように推定する。
【0038】
(a1)第1の受信信号強度Vrsが第2の閾値Vth2よりも小さくて且つ、第2の受信信号強度Vreが第1の閾値Vth1よりも小さい場合。この場合には、車輪2の回転速度は、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することのできない回転速度であると推定する。
【0039】
(a2)第1の受信信号強度Vrsが第2の閾値Vth2よりも小さくて且つ、第2の受信信号強度Vreが第1の閾値Vth1よりも大きい場合。この場合には、車輪2の回転速度は、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することの可能な回転速度であると推定する。
【0040】
このように、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度に基づいて車輪2の回転速度を推定することとすれば、第1の受信アンテナ13aにより無線信号を受信している時点での車輪の回転速度を的確に推定することができるようになる。
【0041】
ちなみに、制御装置17は、第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreの検出を具体的には図6に示すように行う。図6(a)は、無線信号の構成をより詳細に示したものである。また、図6(b)は、先の図4(b)に例示した車輪2の回転速度が速い状況で第1の受信アンテナ13aにより無線信号の1フレーム目を受信した際の受信信号強度の推移を示したものである。まず、図6(a)に示されるように、本実施形態では、上記無線信号の1つのフレームが、当該無線信号の先頭に設けられるプリアンブル部と、上記タイヤの空気圧の情報などからなるデータ部とによって構成されている。そして、図6(b)に示されるように、制御装置17は、プリアンブル部の受信が完了する時刻t20の時点で上記RSSI回路14aを通じて第1の受信信号強度Vrsを検出する。また、制御装置17は、プリアンブル部の受信が完了する時刻t20の時点から、所定時間Ta(=Tf−(Tp+ΔT))が経過した時刻t21の時点で上記RSSI回路14aを通じて第2の受信信号強度Vreを検出する。なお、Tpはプリアンブル長、ΔTは予め設定された所定時間である。
【0042】
図7は、上記制御装置17を通じて実行される、上記(a1),(a2)に示した推定方法に基づいて第1及び第2の受信アンテナ13a,13bの切り替えを行う処理についてその手順をフローチャートで示したものである。なお、この処理は、上記受信装置14により無線信号を受信した際に実行される。
【0043】
同図7に示されるように、この処理では、はじめに、上記プリアンブル部の受信が完了した時点で上記RSSI回路14aを通じて第1の受信信号強度Vrsが検出されるとともに(ステップS1)、無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが発生したか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2の処理では、例えば無線信号の1フレーム目にパルス公差以上のパルスずれが生じている旨が検出されることをもって受信エラーが発生した旨が判断される。ここで、1フレーム目を受信している際に受信エラーが発生しなかった場合には(ステップS2:NO)、制御装置17は、この一連の処理を終了する。
【0044】
一方、1フレーム目を受信している際に受信エラーが発生した場合には(ステップS2:YES)、同1フレーム目の受信が完了した時点で上記RSSI回路14aを通じて第2の受信信号強度Vreが検出される(ステップS3)。このステップS3の処理では、具体的には、制御装置17の内部タイマを通じて上記プリアンブル部の受信が完了した時点からの経過時間が計測されるとともに、この経過時間が上記所定時間Taに達した時点で第2の受信信号強度Vreが検出される。そして、続くステップS4の処理として、上記第1の受信信号強度Vrsが上記第2の閾値Vth2よりも小さいか否かが判断されて、第1の受信信号強度Vrsが第2の閾値Vth2よりも小さい旨が判断された場合には(ステップS4:YES)、第2の受信信号強度Vreが第1の閾値Vth1よりも小さいか否かが判断される(ステップS5)。そして、第2の受信信号強度Vreが第1の閾値Vth1よりも小さい旨が判断された場合には(ステップS5:YES)、車輪2の回転速度が、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することのできない回転速度である旨が推定されて、スイッチ15を操作することによって第2の受信アンテナ13bに切り替えられる(ステップS6)。なお、このスイッチ15の操作は、上記第2の受信信号強度Vreを検出した時点から無線信号の2フレーム目の受信が開始されるまでの期間に、すなわち上記第2の受信信号強度Vreを検出した時点から時間間隔「ΔT+Tgap」が経過するまでの期間に行われる。このため、第1の受信アンテナ13aから第2の受信アンテナ13bへの切り替えを時間的な余裕をもって行うことができる。また、このステップS6の処理に続いて、無線信号の2フレーム目の受信が完了した時点で、上記スイッチ15を操作することによって第1の受信アンテナ13aに切り替えられる(ステップS7)。このステップS7の処理では、具体的には、上記内部タイマを通じて第2の受信アンテナ13bにより2フレーム目の受信を開始した時点からの経過時間が計測されるとともに、この経過時間が上記フレーム長Tf以上となった時点で第1の受信アンテナ13aに切り替えられる。そして、制御装置17は、このステップS7の処理を実行した後、この一連の処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS5の判定処理において、第2の受信信号強度Vreが第1の閾値Vth1以上である旨が判断された場合には(ステップS5:NO)、車輪2の回転速度が、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することの可能な回転速度である旨が推定されて、制御装置17は、受信アンテナの切り替えを行うことなく、この一連の処理を終了する。すなわちこの場合には、無線信号の2フレーム目が第1の受信アンテナ13aにより受信されることとなる。
【0046】
また一方、ステップS4の判定処理において、上記第1の受信信号強度Vrsが上記第2の閾値Vth2以上である旨が判断された場合にも(ステップS4:NO)、制御装置17は、この一連の処理を終了する。すなわち、第1の受信信号強度Vrsが第2の閾値Vth2以上である場合にも、受信アンテナの切り替えを行わないようにしている。これは以下の理由による。まず、無線信号の1フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信した際に第1の受信信号強度Vrsが第2の閾値Vth2以上であれば、基本的には無線信号の1フレーム目の受信時に受信エラーが生じることはない。しかしながら、例えばノイズなどの影響によって無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じることがある。ただしこの場合には、アンテナを切り替えなくても、引き続き十分な受信強度で受信が継続できると推定でき、無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信できる可能性があるため、受信アンテナを切り替えを行わないようにしている。
【0047】
センサユニット20と受信装置14との間の無線通信システムとしてのこうした構成によれば、センサユニット20から無線信号が送信されたときに、1フレーム分の信号を受信装置により確実に受信することができるようになるため、ダイバシティ効果を的確に得ることができるようになる。また、スイッチ15の切り替え操作は、第2の受信信号強度Vreを検出した時点から無線信号の2フレーム目の受信が開始されるまでの期間に行えばよいため、受信アンテナを高速に切り替える処理などが不要となり、ひいては低コスト化を図ることができるようになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態にかかる無線通信システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)無線信号を2つのフレームで構成するようにした。また、無線信号の1フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信している際に受信エラーが生じたときに、車輪2の回転速度に基づいて無線信号の2フレーム目を第1の受信アンテナ13aにより受信することができるか否かを判定するようにした。そして、その判定結果に基づいて、スイッチ15の切り替えを行うようにした。これにより、1フレーム分の信号を確実に受信することができるようになるため、ダイバシティ効果を的確に得ることができるようになる。また、第2の受信信号強度Vreを検出した時点から無線信号の2フレーム目の受信が開始されるまでの期間にスイッチ15の操作を行えばよいため、受信アンテナを高速に切り替える処理が不要となり、ひいては低コスト化を図ることができるようになる。
【0049】
(2)無線信号の1フレーム目と2フレーム目との間に、1つのフレームの長さTfよりも十分に短い時間間隔Tgapを設けるようにした。これにより、この時間間隔Tgapを利用してスイッチ15の切り替え操作を行うことができるため、第1の受信アンテナ13aから第2の受信アンテナ13bへの切り替えを時間的な余裕をもって行うことができるようになる。したがって、第2の受信アンテナ13bにより無線信号の2フレーム目を確実に受信することができるようになる。また、時間間隔Tgapを1つのフレームの長さTfよりも十分に短い時間間隔とすれば、2フレーム目が来るタイミングを容易に判断することが可能となる。
【0050】
(3)RSSI回路14aを通じて検出される受信信号強度の経時的な変化に基づいて車輪2の回転速度を推定するようにした。これにより、第1の受信アンテナ13aにより無線信号を受信している時点での車輪2の回転速度を簡便に且つ、的確に検出することができるようになる。
【0051】
(4)第1の受信アンテナ13aにより無線信号の1フレーム目を受信し始めた直後に第1の受信信号強度Vrsを検出するとともに、無線信号の1フレーム目の受信が完了する直前に第2の受信信号強度Vreを検出するようにした。そして、これら第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreに基づいて受信信号強度の経時的な変化を検出するようにした。これにより、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度をA/Dサンプリングし続けることによって受信信号強度の経時的な変化を検出する場合と比較すると、制御装置17の処理負担を軽減することができるようになる。
【0052】
(5)第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreと第1及び第2の閾値Vth1,Vth2との比較のもとに車輪2の回転速度を推定するようにした。これにより、車輪2の回転速度を容易に推定することができるようになる。
【0053】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、フレームに含まれているプリアンブル部の受信が完了した時点で第1の受信信号強度を検出したが、これに代えて、例えばプリアンブル部を受信している際に、あるいはフレームに含まれているデータ部の先頭部分を受信している際に第1の受信信号強度を検出してもよい。
【0054】
・上記実施形態では、フレームに含まれているプリアンブル部の受信が完了するよりも所定時間ΔTだけ前の時点で第2の受信信号強度を検出したが、この所定時間ΔTの長さは適宜変更することが可能である。
【0055】
・上記実施形態では、無線信号の1つのフレームをプリアンブル部とデータ部とによって構成したが、無線信号のフレームからプリアンブル部を省略することは可能である。なおこの場合、上記第1の受信信号強度の検出を、例えば無線信号の1フレーム目の受信を開始してから所定時間が経過した時点で行う。
【0056】
・上記実施形態では、無線信号の1フレーム目を受信している際に第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreを検出するとともに、検出された第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreと第1及び第2の閾値Vth1,Vth2との比較のもとに車輪2の回転速度を推定した。これに代えて、例えば無線信号の1フレーム目を受信している際に3つ以上の受信信号強度を検出するとともに、検出された3つ以上の受信信号強度と上記第1及び第2の閾値Vth1,Vth2との比較のもとに車輪2の回転速度を推定してもよい。このように受信信号強度の検出回数を増やすことで、より高い精度で車輪2の回転速度を推定することが可能となる。
【0057】
・上記実施形態では、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度に対して2つの閾値Vth1,Vth2を設けた上で、これらの閾値Vth1,Vth2と第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreとの比較のもとに車輪2の回転速度を推定した。これに代えて、例えば第1の受信アンテナ13aの受信信号強度に対して3つ以上の閾値を設けた上で、これら3つ以上の閾値と第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreとの比較のもとに車輪2の回転速度を推定してもよい。このように閾値の数を増やすことで、より高い精度で車輪2の回転速度を推定することができるようになる。
【0058】
・上記実施形態では、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度の経時的な変化を検出すべく、第1及び第2の受信信号強度Vrs,Vreを検出したが、例えば第1の受信アンテナ13aの受信信号強度をA/Dサンプリングし続けることによってその経時的な変化を検出してもよい。これにより、受信信号強度の経時的な変化をより正確に検出することができるようになるため、ひいては車輪2の回転速度をより高い精度で推定することができるようになる。
【0059】
・上記実施形態では、第1の受信アンテナ13aの受信信号強度の経時的な変化に基づいて車輪2の回転速度を推定したが、これに代えて、例えば車両に設けられた車速センサを通じて検出される車両の速度に基づいて車輪2の回転速度を推定してもよい。また、車輪2の回転速度を検出する回転速度センサを設けた上で、この回転速度センサを通じて車輪2の回転速度を直接検出してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、1フレーム目と2フレーム目との間に時間間隔Tgapを設けるようにしたが、この時間間隔Tgapを省略してもよい。なお、このように時間間隔Tgapを省略したとしても、上記第2の受信信号強度Vreを検出した時点から無線信号の2フレーム目の受信が開始されるまでに上記所定時間ΔTが存在するため、この所定時間ΔTを利用してスイッチ15の切り替えを行うことができる。したがって、受信アンテナを高速に切り替える処理が必要となることはないため、低コスト化を図ることは可能である。
【0061】
・上記実施形態では、無線信号を2つのフレームで構成したが、3つ以上のフレームで構成してもよい。そしてこの場合、車輪の回転速度に基づいて無線信号の3フレーム目以降を第1の受信アンテナ13aにより受信できるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて受信アンテナを切り替えてもよい。具体的には、第1の受信アンテナ13aにより3フレーム目以降を受信することができる場合には第1の受信アンテナ13aをそのまま用いる一方、3フレーム目以降を第1の受信アンテナ13aにより受信することが難しい場合には第2の受信アンテナ13bに切り替えてもよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0062】
(イ)請求項5に記載の無線通信システムにおいて、前記制御手段は、前記第1の受信信号強度が前記第2の閾値よりも小さくて且つ、前記第2の受信信号強度が前記第1の閾値よりも小さい旨を判断したとき、前記車輪の回転速度が、前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信することのできない回転速度であると推定することを特徴とする無線通信システム。同システムによれば、車輪の回転速度を精度良く推定することができるようになる。
【0063】
(ロ)請求項5又は付記イに記載の無線通信システムにおいて、前記制御手段は、前記第1の受信信号強度が前記第2の閾値よりも小さくて且つ、前記第2の受信信号強度が前記第1の閾値よりも大きい旨を判断したとき、前記車輪の回転速度が、前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信することのできる回転速度であると推定することを特徴とする無線通信システム。同システムによれば、車輪の回転速度を精度良く推定することができるようになる。
【符号の説明】
【0064】
U1〜U4…センサユニット、W1〜W4…車輪、1…車両本体、2…車輪、10…監視装置、13a…第1の受信アンテナ、13b…第2の受信アンテナ、14…受信装置、14a…RSSI回路、15…スイッチ、16…インジケータ、17…制御装置、20…センサユニット、30a〜30d…イニシエータ、32…受信装置、32a…受信アンテナ、33…制御装置、34…インジケータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体に設けられた受信装置と車輪に設けられた通信機器との間で無線通信を行うにあたり、前記受信装置に設けられた複数の受信アンテナを切り替え手段によって選択的に切り替えるとともに、選択された特定の受信アンテナにより前記通信機器から送信される無線信号を受信する無線通信システムにおいて、
前記無線信号が複数のフレームで構成され、
前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、前記車輪の回転速度に基づいて前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信できるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて前記切り替え手段を駆動させる制御手段を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記無線信号の各フレームの間に、前記無線信号の1つのフレームの長さよりも十分短い時間間隔を設けた
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無線通信システムにおいて、
前記特定の受信アンテナの受信信号強度を検出する信号強度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記無線信号の1フレーム目を前記特定の受信アンテナにより受信している際の前記受信信号強度の経時的な変化に基づいて前記車輪の回転速度を推定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
前記受信信号強度の経時的な変化の検出が、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信し始めた直後に前記信号強度検出手段を通じて検出される第1の受信信号強度と、前記特定の受信アンテナによる前記無線信号の1フレーム目の受信が完了する直前に前記信号強度検出手段を通じて検出される第2の受信信号強度とを検出することによって行われる
請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記受信信号強度に対して、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号を受信することのできる最小の受信信号強度である受信下限閾値と同程度の第1の閾値、及び同第1の閾値よりも大きな第2の閾値がそれぞれ設定され、前記制御手段は、前記第1及び第2の閾値と前記第1及び第2の受信信号強度との比較のもとに前記車輪の回転速度を推定する
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
車両本体に設けられた受信装置と車輪に設けられた通信機器との間で無線通信を行うにあたり、前記受信装置に設けられた複数の受信アンテナを選択的に切り替えを行うとともに、選択された特定の受信アンテナにより前記通信機器から送信される無線信号を受信するアンテナの切り替え方法において、
前記無線信号が複数のフレームで構成され、前記特定の受信アンテナにより前記無線信号の1フレーム目を受信している際に受信エラーが生じたときに、前記車輪の回転速度に基づいて前記無線信号の2フレーム目以降を前記特定の受信アンテナにより受信できるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて前記受信アンテナの切り替えを行う
ことを特徴とするアンテナの切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−199604(P2011−199604A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64335(P2010−64335)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】