無線通信システム及び無線通信装置
【課題】定期送信装置とランダム送信装置とが混在する無線通信システムにおいて、これら各送信装置の中間の優先度でデータ通信を実施できる無線通信装置を設け、各送信装置が互いに異なる優先度でデータ送信を最適に実施できるようにする。
【解決手段】路上機は、一定の通信周期で予め設定された送信期間に定期送信し、優先車載機は、路上機や他の優先車載機の定期送信情報をこれら各送信機やランダム送信機を介して取得し、路上機や他の優先車載機と送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を設定して定期送信する。また、ランダム送信機は、優先車載機と同様の手順で路上機や他の優先車載機の定期送信情報を取得し、その定期送信情報から得られる定期送信期間と重複しない送信期間内に、CSMA方式によるランダム送信を行う。また、優先車載機は、送信期間が路上機や他の優先車載機と重複すると、定期送信期間を変更する。
【解決手段】路上機は、一定の通信周期で予め設定された送信期間に定期送信し、優先車載機は、路上機や他の優先車載機の定期送信情報をこれら各送信機やランダム送信機を介して取得し、路上機や他の優先車載機と送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を設定して定期送信する。また、ランダム送信機は、優先車載機と同様の手順で路上機や他の優先車載機の定期送信情報を取得し、その定期送信情報から得られる定期送信期間と重複しない送信期間内に、CSMA方式によるランダム送信を行う。また、優先車載機は、送信期間が路上機や他の優先車載機と重複すると、定期送信期間を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定期送信機能を有する定期送信装置とランダム送信機能を有するランダム送信装置が混在し、これら各送信装置が共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う無線通信システム、及び、この無線通信システムを構成するのに好適な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CSMA方式の無線通信システムのように、複数の無線通信装置が共通の通信チャンネルを利用してランダムにデータ送信を開始する無線通信システムでは、例えば、基地局となる特定の無線通信装置が重要性の高い情報(重要情報)を送信しようとしても、通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を速やかに送信することができないという問題があった。
【0003】
そこで、この種の無線通信システムにおいては、CSMA等の通信方式でランダムにデータ送信を開始する無線通信装置(以下、ランダム送信装置ともいう)とは別に、TDMA等による通信方式で重要情報を定期的に送信する無線通信装置(以下、定期送信装置ともいう)を設け、定期送信装置が定期送信する定期送信期間中は、ランダム送信装置によるランダム送信を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、この提案の無線通信システムでは、定期送信装置が定期送信を行う際に、送信データに定期送信期間を表す定期送信期間情報を含めることで、ランダム送信装置に定期送信期間を通知し、更に、定期送信期間情報を受信したランダム送信装置がデータ送信を行う際には、送信データに定期送信期間情報を含めることで、定期送信装置からの送信電波が届かないエリアに位置する他のランダム送信装置に対し、定期送信期間情報を転送するようにされている。
【0005】
このため、上記提案の無線通信システムによれば、ランダム送信装置がランダム送信を行うランダム送信期間を制限して、定期送信装置から周囲のランダム送信装置に重要情報を優先的に送信させることができる。
【0006】
従って、この提案の無線通信システムによれば、定期送信装置を路上機、ランダム送信装置を車載機として利用することで、路車間通信及び車車間通信を最適に実施し得る高度道路交通システム(ITS)を実現できる。
【0007】
しかしながら、上記提案の無線通信システムをITSに適用した場合、路上機から車載機への送信(路車間通信)を優先的に実施させることはできるものの、車車間通信は、全てCSMA方式等のランダム送信にて実施されることになる。
【0008】
このため、例えば、車両の数(換言すれば通信トラフィック)が多くなる交差点等で、救急車等の緊急車両が周囲の一般車両に自身の緊急走行を通知しようとしても、送信権を取得するのに時間がかかり、自身の緊急走行を周囲の一般車両に速やかに通知することができないという問題があった。
【0009】
一方、こうした問題を防止する技術として、第1期間と第2期間とにより形成される繰り返しフレームにおいて、第2期間を、車載機がランダム送信可能な通信期間として割り当てておき、路上機としてのアクセス制御装置が、繰り返しフレームの第1期間を複数に分割したスロットを、制御情報として、路上機付近の車載機に通知することが提案されている。
【0010】
この提案のシステムによれば、路上機から制御情報を取得した交差点付近の車載機は、その制御情報に含まれる各スロットの情報に基づき、データ送信に利用可能なスロット(換言すれば送信期間)を選択し、その選択したスロットを利用して、データ送信を実施する。
【0011】
従って、交差点付近の車載機は、路上機から制御情報を取得できない一般の車載機(換言すれば、路上機から離れた車載機)がランダム送信に利用する第2期間とは異なる第1期間内のスロットを利用して、一定周期毎の定期送信を実施することができるようになり、送信データを周囲の車載機に確実に送信することができる。
【0012】
そして、この特許文献2に記載の技術を、特許文献1に記載の無線通信システムに適用すれば、路上機からのデータ送信を最優先で実施させつつ、交差点付近の車載機からのデータ送信を、交差点から離れた車載機よりも優先的に実施させることができるようになり、例えば、交差点付近では、緊急車両から一般車両への緊急走行の通知を確実に実施させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−21870号公報
【特許文献2】特開2010−41145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献2の記載の技術は、路上機から交差点付近の車載機に対して、時分割による定期送信用の送信期間(スロット)を割り当てる技術であるので、路上機からの送信電波が届かない地域では、全ての車載機が個々にランダム送信を実施することになる。
【0015】
従って、上記特許文献2に記載の技術を利用しても、路上機が設置されていない地域では、車載機のデータ送信の優先度は全て同一となり、緊急車両等に搭載される車載機によるデータ送信を、一般車両に搭載される一般車載機によるデータ送信よりも優先的に実施させることはできない。
【0016】
よって、例えば、交通渋滞等で緊急車両の周囲に存在する一般車両が増えると、緊急車両から一般車両へのデータ送信を実施することができなくなる、という問題が発生する。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、定期送信装置とランダム送信装置とが混在する無線通信システムにおいて、これら2種類の送信装置の中間の優先度でデータ通信を実施できる無線通信装置を設けることで、優先度の高い上位の定期送信装置から下位の送信装置に対し送信期間を割り当てることなく、各送信装置が互いに異なる優先度でデータ通信を実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の無線通信システムにおいては、第1定期送信装置と、第2定期送信装置と、ランダム送信装置とからなる複数種類の無線通信装置が混在し、これら各無線通信装置が共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う。
【0018】
ここで、第1定期送信装置及び第2定期送信装置は、夫々、一定の通信周期毎に、この通信周期よりも短い第1定期送信期間若しくは第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内に無線送信(定期送信)を行う。
【0019】
また、第1定期送信装置及び第2定期送信装置が定期送信を行う際には、自身の定期送信期間である第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する。
【0020】
一方、ランダム送信装置は、送信要求が発生した際に通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いているときに無線送信(ランダム送信)を行う。
そして、ランダム送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から定期送信期間情報を含むデータを受信すると、その受信した定期送信期間情報に基づき、第1定期送信装置若しくは第2定期送信装置の定期送信期間を検知し、その後所定期間の間、当該定期送信期間内にランダム送信を実施するのを禁止する。
【0021】
また、ランダム送信装置がランダム送信を実施する際には、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を、送信データに付加する。
従って、本発明の無線通信システムによれば、第1定期送信装置が定期送信を行う第1定期送信期間と、第2定期送信装置が定期送信を行う第2定期送信期間とが、各定期送信装置から定期送信期間情報として送信されるだけでなく、その定期送信期間情報を受信したランダム送信装置を介して、他の送信装置(第1、第2定期送信装置若しくはランダム送信装置)に転送される。
【0022】
このため、各定期送信装置の定期送信期間情報は、各定期送信装置からの送信電波を受信・復調し得る周囲のランダム送信装置だけでなく、そのランダム送信装置から更に離れた位置に存在するランダム送信装置にも届くことになり、そのエリア内に存在するランダム送信装置は、各定期送信装置の定期送信期間を除く期間を自身の送信可能期間として、ランダム送信を実施する。
【0023】
また、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置(第1、第2定期送信装置若しくはランダム送信装置)から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、他の定期送信装置(第1、第2定期送信装置)と送信タイミングが重複することのないよう、第2定期送信期間を設定する。
【0024】
従って、本発明の無線通信システムによれば、ランダム送信装置によるランダム送信と第1、第2定期送信装置による定期送信とが重なるのを防止できるだけでなく、第1定期送信装置による定期送信と第2定期送信装置による定期送信、或いは、第2定期送信装置同士の定期送信、が重なるのも防止できる。
【0025】
このため、本発明の無線通信システムによれば、第1定期送信装置がデータ送信の優先度が最も高く、ランダム送信装置がデータ送信の優先度が最も低く、第2定期送信装置が中間の優先度を有する無線通信システムを実現でき、しかも、その何れかの送信装置の送信タイミングが重なって通信不良が発生するのを防止できる。
【0026】
また、こうした本発明の無線通信システムを上述したITSに適用して、第1定期送信装置を路上機、ランダム送信装置を一般車両に搭載される一般車載機、第2定期送信装置を緊急車両等に搭載される優先車載機、として利用するようにすれば、緊急車両から一般車両へのデータ送信(車車間通信)を、一般車両同士のデータ送信(車車間通信)よりも優先的に実施し、また、路上機から各車両へのデータ送信(路車間通信)を、各車両間のデータ送信(車車間通信)よりも更に優先的に実施することができるようになる。
【0027】
そして、本発明の無線通信システムによれば、データ送信の優先度を3段階に階層化するために、上記特許文献2に記載のように、最上位の送信装置である路上機側から、下位の送信装置である車載機に対し、送信期間や送信方式を指示する制御情報を送信する必要がないので、路上機からの送信電波が車載機に届かない場合であっても、車載機のデータ送信の優先度を2段階に設定して、緊急車両からのデータ送信を、一般車両よりも優先的に実施させることができる。
【0028】
ところで、本発明の無線通信システムにおいては、ランダム送信装置が、他の送信装置から受信した定期送信期間情報を再送信することから、第2定期送信装置の周囲に、第2定期送信装置からの送信電波を受信して第2定期送信期間情報を復元することのできるランダム送信装置が存在すれば、第2定期送信装置からの送信電波を受信できない他の送信装置にも、第2定期送信期間情報が通知されるが、第2定期送信装置からの送信電波を受信して第2定期送信期間情報を復元することのできるランダム送信装置が存在しない場合には、他の送信装置に第2定期送信期間情報を通知することができない。
【0029】
そして、このように、第2定期送信装置から送信された第2定期送信期間情報を、他の送信装置に通知できない場合には、第2定期送信装置からの送信電波が届くエリアと他の送信装置からの送信電波が届くエリアとが重なる一部のエリアで、これら各送信装置からの送信電波が衝突して、その一部のエリアで通信不良が発生することが考えられる。
【0030】
そこで、この問題を防止するには、請求項2に記載のように、第2定期送信装置を、第2定期送信期間内での定期送信を開始した後、通信チャンネルを介して他の送信装置から当該第2定期送信装置自身の第2定期送信期間情報を取得するまで、第2定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させるように構成するとよい。
【0031】
つまり、このようにすれば、第2定期送信装置が送信した第2定期送信期間情報が周囲のランダム送信装置に届き、再送信され易くなり、第2定期送信装置の送信期間が他の送信装置の送信期間と重複して、通信不良が発生するのを抑制できる。
【0032】
また、第2定期送信期間情報を周囲のランダム送信装置に通知するための送信データの送信回数又は送信電力を最小限に抑えることができ、延いては、通信チャンネルの利用効率を高めることができる。
【0033】
次に、ランダム送信装置は、第1定期送信期間情報若しくは第2定期送信期間情報を取得すると、その取得した定期送信期間情報に基づき、自身のランダム送信を禁止する期間を設定するが、例えば、ランダム送信装置が定期送信装置から離れることによって、定期送信期間情報を取得できなくなったときには、その定期送信期間情報に従いランダム送信を禁止する必要がなくなる。
【0034】
しかし、定期送信期間情報を取得できなくなったからといって、直ぐに、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間を、ランダム送信禁止期間から排除して、ランダム送信可能期間として設定すると、当該ランダム送信装置からの送信電波と定期送信装置からの送信電波とが届く周囲のエリア内で、これら各送信装置からの送信電波が衝突して、通信不良が発生することが考えられる。
【0035】
このため、ランダム送信装置は、定期送信期間情報を受信することにより、その定期送信期間情報に対応してランダム送信禁止期間を設定した場合には、その後、その定期送信期間情報を受信できなくなっても、所定期間は、その定期送信期間情報に基づきランダム送信を禁止することが望ましい。
【0036】
この場合、そのランダム送信の禁止期間を、第1定期送信期間と第2定期送信期間とで一律に設定してもよいが、第1定期送信装置は、第2定期送信装置よりもデータ送信の優先度が高いので、通常、送信電波の送信電力も第2定期送信装置よりも高く、第1定期送信装置からの送信電波がランダム送信装置からの送信電波に影響を与える期間は、第2定期送信装置からの送信電波よりも長くなるものと考えられる。
【0037】
また、上記のように、第1定期送信装置が路上機として利用され、第2定期送信装置が緊急車両に搭載される優先車載機として利用され、ランダム送信装置が一般車両に搭載される一般車載機として利用される場合、緊急車両は一般車載機に一旦接近しても、直ぐに離れることから、第2定期送信装置からの送信電波がランダム送信装置からの送信電波に影響を与える期間は、第1定期送信装置からの送信電波よりも短くなる。
【0038】
従って、請求項3に記載のように、ランダム送信装置が、第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知して、通信周期毎にその第2定期送信期間内にランダム送信を禁止する第2送信禁止期間は、第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知して、通信周期毎にその第1定期送信期間内にランダム送信を禁止する第1送信禁止期間、よりも短い期間に設定するとよい。
【0039】
そして、このようにすれば、ランダム送信装置がランダム送信を実施する期間を、制限し過ぎ、ランダム送信装置がデータ送信できなくなるのを防止できる。
一方、ランダム送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することで、第1定期送信装置や第2定期送信装置の定期送信期間を、これら各定期送信装置からの送信電波が届かない地域に広範囲に伝送するが、こうした定期送信期間情報の再送信機能は、請求項4に記載のように、第2定期送信装置にも持たせるようにしてもよく、更に請求項5に記載のように、第1定期送信装置にも持たせるようにしてもよい。
【0040】
つまり、請求項4、5に記載のように、第2定期送信装置、若しくは、第1定期送信装置が、自身の定期送信期間内に定期送信を実施する際に、自身の定期送信期間情報に加えて、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加するようにすれば、第1定期送信装置若しくは第2定期送信装置の周囲にランダム送信装置が存在しない場合にでも、その定期送信装置から送信された定期送信情報が他の定期送信装置から再送信されることがあるので、各定期送信装置の定期送信期間情報を広範囲に伝達することができる。
【0041】
よって、請求項4、5に記載の無線通信システムによれば、各送信装置からの送信電波が衝突して通信不良が発生する確率をより低くすることができる。
また次に、第2定期送信装置は、請求項6に記載のように、第2定期送信期間内に、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから、無線送信を開始するように構成してもよく、或いは、請求項7に記載のように、第2定期送信期間内に、通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始するようにしてもよい。
【0042】
そして、第2定期送信装置を請求項6に記載のように構成した場合には、第2定期送信装置によるデータ送信と他の送信装置によるデータ送信とが衝突して、通信不良が発生するのをより確実に防止することができるようになる。
【0043】
また、逆に、定期送信装置を請求項7に記載のように構成した場合には、第2定期送信装置によるデータ送信と他の送信装置によるデータ送信とが衝突して通信不良が発生する領域があったとしても、その領域以外の領域内のランダム送信装置には、第2定期送信装置からの送信データが届くことになるため、そのランダム送信装置に対して第2定期送信装置からの送信データをより早く伝えることができるようになる。
【0044】
次に、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、他の定期送信装置(第1、第2定期送信装置)と送信タイミングが重複することのないように設定するが、自身の第2定期送信期間が第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複しないようにするには、請求項8〜10の何れかに記載のように構成するとよい。
【0045】
すなわち、まず、請求項8に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知し、その検知した第1定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、これら各定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0046】
このため、請求項8に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することのないように設定若しくは変更することができ、第2定期送信装置からの送信電波と第1定期送信装置からの送信電波が衝突して通信不良が発生するのを防止できる。
【0047】
これに対し、請求項9に記載の無線通信システムにおいては、第2定期送信装置が第2定期送信期間を設定可能な期間が、第1定期送信装置が第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられる。
【0048】
このため、請求項9に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置が設定した第2定期送信期間が、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複して、これら各定期送信装置からの送信電波が衝突するという問題が発生することはなく、その送信電波の衝突により通信不良が発生することはない。
【0049】
また、請求項10に記載の無線通信システムは、請求項9に記載の発明を請求項6に記載のものに適用したものである。
このため、請求項10に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから無線通信を開始することから、第2定期送信装置同士の定期送信期間が重複することはない。
【0050】
従って、各第2定期送信装置は、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を考慮することなく、予め割り当てられている特定期間をそのまま第2定期送信期間として設定するようにしてもよい。
【0051】
しかし、この場合、第2定期送信期間が短いと、周囲に複数の第2定期送信装置が存在する場合に、通信チャンネルにて送信権を取得するのに時間がかかり、データ送信を実施できない第2定期送信装置が発生することが考えられる。
【0052】
また、逆に、各第2定期送信装置が設定する第2定期送信期間が長いと、第2定期送信装置からの送信電波が届くエリア内に第2定期送信装置が1台だけ存在する場合に、1台の第2定期送信装置の定期送信のために第2定期送信装置複数台分の第2定期送信期間が確保されてしまい、ランダム送信装置がランダム送信可能な送信期間を充分確保することができなくなるという問題が発生する。
【0053】
そこで、請求項10に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して得られる受信データに基づき、周囲に存在する第2定期送信装置の台数を認識し、その認識した台数に応じて(台数が少ないほど第2定期送信期間が短く、台数が多いほど第2定期送信期間が長くなるように)、第2定期送信期間を設定する。
【0054】
よって、請求項10に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置の第2定期送信期間が、他の定期送信装置の定期送信期間と重複するのを防止することができるだけでなく、第2定期送信装置同士の定期送信期間の重複を防止するために各第2定期送信装置が確保する共通の第2定期送信期間(詳しくは、特定期間)を必要最小限に抑え、第2定期送信装置とランダム送信装置とによる通信チャンネルの有効利用を図ることができる。
【0055】
次に、請求項8又は請求項9に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、設定した第2定期送信期間が第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することを検知すると、第2定期送信期間をその第1定期送信期間と重複することのないように変更することはできるが、上記構成だけでは、複数の第2定期送信装置の定期送信期間同士が重複することが考えられる。
【0056】
そこで、請求項8又は請求項9に記載の無線通信システムにおいて、複数の第2定期送信装置の定期送信期間同士が重複しないようにするには、更に、請求項11又は請求項12に記載のように構成するとよい。
【0057】
つまり、まず請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、周囲に存在する他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知し、その検知した他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0058】
このため、請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することのないように設定若しくは変更することができるだけでなく、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間とも重複することのないように設定若しくは変更することができる。
【0059】
よって、請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置からの送信電波と、第1定期送信装置若しくは他の第2定期送信装置からの送信電波とが衝突して、通信不良が発生するのを防止できる。
【0060】
また、請求項12に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、定期送信により当該第2定期送信装置自身の識別情報を含む送信データを送信する。
また、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、その受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、その受信データに含まれる識別情報に基づき、受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該第2定期送信装置自身よりも優先度が高いか否かを判定する。
【0061】
そして、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複し、且つ、他の第2定期送信装置の優先度が高い場合、第2定期送信装置は、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0062】
従って、請求項12に記載の無線通信システムによれば、請求項11と同様の効果が得られるだけでなく、複数の第2定期送信装置の第2定期送信期間同士が重複する場合に、優先度の低い第2定期送信装置の第2定期送信期間だけを変更させるので、その変更により第2定期送信期間同士が再度重複するのを防止できる。
【0063】
つまり、請求項11に記載の無線通信システムでは、2つの第2定期送信装置の第2定期送信期間が重複する場合、2つの第2定期送信装置が、それぞれ、自身の第2定期送信期間を変更することがある。このため、変更後の第2定期送信期間同士が再度重複して、通信不良が発生することが考えられる。
【0064】
しかし、請求項12に記載の無線通信システムによれば、2つの第2定期送信期間が重複する場合には、一方の第2定期送信期間だけが更新されるので、変更後に第2定期送信期間同士が重複するようなことはなく、通信不良が発生するのをより確実に防止することができる。
【0065】
次に、請求項6に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから無線通信を開始するので、複数の第2定期送信装置の定期送信期間が重複しても、これら各第2定期送信装置から同時に電波が送信されて、通信不良が発生することはない。
【0066】
しかし、この場合、定期送信期間が重複する複数の第2定期送信装置のうち、定期送信期間の送信タイミングが最も早い第2定期送信装置が常に送信権を取得してデータ送信を開始できることになり、他の第2定期送信装置はデータ送信を開始できなくなってしまう。
【0067】
そこで、請求項6に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、請求項13に記載のように、無線送信の待機中にキャリアセンスにより他の第2定期送信装置からの送信電波を受信すると、自身の定期送信期間を変更するようにしてもよい。
【0068】
そして、このようにすれば、定期送信期間が重複する複数の第2定期送信装置のうち、キャリアセンスにより送信権を得ることのできない第2定期送信装置は、自身の定期送信期間を変更するので、キャリアセンスにより送信権を取得し易くなり、第2定期送信装置がデータ送信を実施できなくなるのを防止できる。
【0069】
次に、請求項14に記載の無線通信システムにおいては、第2定期送信装置及びランダム送信装置が、それぞれ、車両に搭載されており、第2定期送信装置は、少なくとも自車両の位置を表す位置情報及び操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信する。
【0070】
このため、請求項14に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置からの送信信号を受信した装置(ランダム送信装置、他の第2定期送信装置、第1定期送信装置)側では、受信信号から、その信号を送信してきた第2定期送信装置を搭載した車両(以下、特定車両という)の車両情報として位置情報及び操舵情報を取得し、これらの車両情報から、特定車両の位置、速度、進路等を把握することができる。
【0071】
また定期送信装置をこのように構成した場合、ランダム送信装置を搭載した車両(一般車両)側で、第2定期送信装置を搭載した特定車両の進路を把握するには、請求項15に記載のように、ランダム送信装置に、進路推定手段を設けるようにすればよい。
【0072】
つまり、請求項15に記載の無線通信システムにおいて、ランダム送信装置側では、特定車両に搭載された第2定期送信装置から送信された車両情報を受信すると、進路推定手段が、その車両情報に含まれる位置情報及び操舵情報に基づき、特定車両の進路を推定する。
【0073】
従って、ランダム送信装置を搭載した一般車両側では、例えば、進路推定手段による推定結果から、第2定期送信装置を搭載した特定車両が自車両の進行の妨げになるか否かを判定して、特定車両が自車両の走行の妨げになる場合には、運転者等の乗員に対し警報を発する、といったことができるようになり、車両走行時の安全性を向上することができる。
【0074】
具体的には、例えば、バスがバス停から発進したり、右折するような場合には、複数車線を横切ることがあるが、このような場合には、バスが後続する直進車両の妨げになり、後続車両の運転者は、急ブレーキをかけたり、バスを避けるための車線変更をしなければならず、危険である。
【0075】
しかし、このような場合、本発明の第2定期送信装置をバスに搭載して、定期送信にてバスの位置情報や操舵情報を含む車両情報を送信するようにすれば、後続車両に搭載されたランダム送信装置側で、その車両情報(位置情報、操舵情報)に基づきバスの進路を推定して、自車両の進路にバスが進入してくると予測される場合に、運転者に対し警報を発し、安全運転を促すことができる。
【0076】
また、ランダム送信装置を搭載した一般車両側で、第2定期送信装置を搭載した特定車両の進路が自車両の走行の妨げになるか否かを判定するには、進路推定手段にて推定された特定車両の進路と自車両の進路とが重なるか否かを判断すればよく、その進路判定に、ナビゲーション装置等で用いられる地図情報を利用する必要はない。
【0077】
このため、こうした進路判定は、ランダム送信装置内、若しくは、ランダム送信装置に接続される送受信データ入出力用の制御装置内、に設けられる情報処理回路(マイクロコンピュータ等)による判定処理にて、簡単に実行できるようになる。
【0078】
次に、請求項16〜請求項24に記載の発明は、本発明(請求項1〜請求項15)の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置として利用するのに好適な無線通信装置に関する発明である。
【0079】
そして、請求項16に記載の無線通信装置においては、送信手段が、送信データを所定の通信チャンネルの送信信号に変換して無線送信させると共に、受信手段が、その通信チャンネルを介して他の無線通信装置から無線送信されてきた信号を受信して、その受信信号から受信データを復元し、更に、情報抽出手段が、受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出して記憶手段に格納する。
【0080】
また、当該無線通信装置に送信要求が入力されると、定期送信期間設定手段が、送信手段からの無線送信を一定の通信周期毎に許可するための定期送信期間を初期設定すると共に、記憶手段に格納された他の無線通信装置からの定期送信期間情報に基づき、他の無線通信装置と定期送信期間が重複することのないよう、初期設定した定期送信期間を更新し、定期送信許可手段が、上記一定の通信周期毎に、定期送信期間設定手段にて設定及び更新される定期送信期間だけ送信手段からの無線送信を許可し、情報付加手段が、送信手段が送信する送信データに、その定期送信期間を表す定期送信期間情報を付加する。
【0081】
従って、特許文献1に記載の無線通信システムにおいて、請求項16に記載の無線通信装置を第2定期送信装置として追加すれば、上述した請求項1、請求項8若しくは請求項11に記載の無線通信システムを実現できることになる。よって、この請求項16に記載の無線通信装置によれば、これら請求項1、請求項8若しくは請求項11と同様の効果を得ることができる。
【0082】
次に、請求項17に記載の無線通信装置によれば、請求項16に記載のものにおいて、送信手段は、通信周期毎に無線送信を行う定期送信を開始すると、その後、情報抽出手段にて、情報付加手段が送信データに付加した自身の定期送信期間情報が抽出されるまで、定期送信許可手段にて許可された定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させる。
【0083】
従って、請求項17に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項2に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項2と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項18に記載の無線通信装置によれば、請求項17に記載のものにおいて、情報付加手段は、情報抽出手段にて他の無線通信装置の定期送信期間情報が抽出されると、その抽出された他の無線通信装置の定期送信期間情報を、自身の定期送信期間情報と共に送信データに付加する。
【0084】
このため、請求項18に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項4に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項4と同様の効果を得ることができる。
また、請求項19に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項18の何れかに記載のものにおいて、送信手段は、定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、受信手段にて他の無線通信装置から無線送信されてきた信号が受信されているか否かを判断するキャリアセンスにより、通信チャンネルの空き状態を確認してから、送信データの無線送信を開始する。
【0085】
このため、請求項19に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項6に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項6と同様の効果を得ることができる。
また、請求項20に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項18の何れかに記載のものにおいて、送信手段は、定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始する。
【0086】
このため、請求項20に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項7に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項7と同様の効果を得ることができる。
また、請求項21に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項20の何れかに記載のものにおいて、定期送信期間設定手段は、通信周期内で定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、定期送信期間を設定及び更新する。
【0087】
従って、請求項21に記載の無線通信装置によれば、請求項9に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項9と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項22に記載の無線通信装置によれば、請求項19に記載のものにおいて、定期送信期間設定手段は、通信周期内で定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で定期送信期間を初期設定すると共に、受信手段にて受信される受信データに基づき周囲に存在する他の無線通信装置の台数を認識して、その認識した台数が多いほど定期送信期間が長くなるよう、定期送信期間を更新する。
【0088】
従って、請求項22に記載の無線通信装置によれば、請求項10に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項10と同様の効果を得ることができる。
また、請求項23に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項21の何れかに記載のものにおいて、情報付加手段は、定期送信期間情報に加えて、当該無線通信装置自身の識別情報を、送信手段が送信する送信データに付加する。
【0089】
そして、定期送信期間設定手段は、受信手段にて当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、その受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、その受信データに含まれる識別情報に基づき、受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該定期送信装置よりも優先度が高いか否かを判定し、他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複し、且つ、他の定期送信装置の優先度が高い場合に、他の定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更する。
【0090】
従って、請求項23に記載の無線通信装置によれば、請求項12に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項12と同様の効果を得ることができる。
また、請求項24に記載の無線通信装置によれば、請求項19に記載の無線通信装置において、定期送信期間設定手段は、送信手段が無線送信の待機中にキャリアセンスにより他の無線通信装置からの送信電波が受信されたことが検知されると、その送信電波は当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置からの送信電波であるか否かを判定して、その送信電波が他の第2定期送信装置からの送信電波であれば、自身の定期送信期間を変更する。
【0091】
従って、請求項24に記載の無線通信装置によれば、請求項13に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項13と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【図2】実施形態の無線通信装置の構成を表すブロック図である。
【図3】情報抽出処理を表すフローチャートである。
【図4】定期送信期間情報登録処理を表すフローチャートである。
【図5】重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図6】定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図7】無線通信装置が路上機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図8】無線通信装置が一般車載機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図9】無線通信装置が優先車載機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図10】路上機、優先車載機、一般車載機の送信期間を表すタイムチャートである。
【図11】路上機と優先車載機との送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図12】優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図13】優先車載機が送信前にキャリアセンスしないことによる効果を説明する説明図である。
【図14】変形例1の路上機の機能ブロックを表す説明図である。
【図15】変形例1の情報抽出処理を表すフローチャートである。
【図16】変形例1の定期送信期間情報登録処理を表すフローチャートである。
【図17】変形例2の路上機と優先車載機との送信期間の違い及び優先車載機の送信タイミングを表すタイムチャートである。
【図18】変形例3の路上機と優先車載機との送信期間の違い及び優先車載機の送信タイミングを表すタイムチャートである。
【図19】変形例3の優先車載機の機能ブロックを表す説明図である。
【図20】変形例4の重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図21】変形例4の優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図22】変形例6の重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図23】変形例6の優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図24】変形例8の無線通信システムを説明する説明図である。
【図25】変形例8の特定車両及び一般車両の概略構成を表すブロック図である。
【図26】変形例8の一般車両80にて実行される進路判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施形態]
(無線通信システムの概要)
図1は、本発明が適用された実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【0094】
本実施形態の無線通信システムは、基本的には特許文献1に記載された無線通信システムと同じであり、特許文献1に記載のものと異なる点は、図1(a)に示すように、定期送信を行う路上機2、及び、ランダム送信を行う一般車載機4に加えて、路上機2よりも低く一般車載機4よりも高い優先度で定期送信を行う優先車載機6を備えた点である。
【0095】
ここで、路上機2は、自動車の走行路付近に分散して設置されて一定の通信周期毎に、通信周期よりも短い第1定期送信期間内にて定期送信を行うものであり、本発明の第1定期送信装置に相当する。
【0096】
また、優先車載機6は、救急車等の緊急車両に搭載されて、緊急走行時等に、路上機2と同じ一定の通信周期毎に、第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内にて定期送信を行うものであり、本発明の第2定期送信装置に相当する。
【0097】
そして、これら路上機2及び優先車載機6は、共通の通信チャンネルを利用して定期送信を行う。
また、一般車載機4は、キャリアセンスにより上記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いていて所定の条件が成立したときに、上記通信チャンネルを利用してランダム送信を行う、CSMA方式の無線通信装置であり、本発明のランダム送信装置に相当する。
【0098】
そして、路上機2及び優先車載機6は、定期送信を実施する際、送信データのヘッダ部分に、自身の送信期間(第1定期送信期間又は第2定期送信期間)を表す定期送信期間情報を含む定期送信情報を付加し、一般車載機4は、受信データに定期送信情報が含まれている場合には、その定期送信情報を送信データに付加することで、受信した定期送信情報を転送する。
【0099】
また、優先車載機6は、受信データに路上機2若しくは他の優先車載機6の定期送信情報が含まれている場合には、その定期送信情報を、自身の定期送信情報と併せて送信データに付加することで、受信した定期送信情報を転送する。
【0100】
なお、定期送信情報は、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)とを表す定期送信期間情報に、この定期送信期間情報の送信元である路上機2若しくは優先車載機6の識別情報である装置IDと、一般車載機4若しくは優先車載機6による転送回数を付与することにより構成される。
【0101】
そして、路上機2、一般車載機4、若しくは優先車載機6が、自身の定期送信情報若しくは受信した定期送信情報を送信データに付加して送信する際には、定期送信情報に、送信時刻を付与する。
(無線通信装置の構成)
次に、図2は、上述した本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる無線通信装置1の構成を表すブロック図である。
【0102】
図2(a)に示す無線通信装置1は、本実施形態の路上機2、一般車載機4、及び優先車載機6としての機能を全て有するものであり、路上機2として道路近傍に設置する際や車載機として自動車に搭載する際に、その用途を外部から指定することにより、路上機2、一般車載機4、若しくは優先車載機6として機能させることができる。
【0103】
図2(a)に示すように、無線通信装置1には、外部の制御装置から入力される送信データにヘッダ等の付加情報を付与して出力するデータ送信部10と、データ送信部10から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部12と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み、他の無線通信装置からの送信データを復元する復調処理部14と、復調処理部14にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該無線通信装置1に向けて送信されたものであれば受信データを外部の制御装置に出力するデータ受信部16と、が設けられている。
【0104】
また、無線通信装置1には、定期送信を行う際の定期送信期間(詳しくは第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間)を設定する定期送信期間設定部20、定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル(具体的にはメモリ)22、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信期間やデータ受信部16にて受信データから抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報を更新する定期送信期間更新部18、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報(詳しくは自身の定期送信期間情報)に基づき定期送信を実際に行う際の定期送信期間を決定し、データ送信部10に出力する定期送信期間決定部24、及び、ランダム送信を行う際にランダム送信を禁止する期間(ランダム送信禁止期間)を、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報(詳しくは他の無線通信装置1から取得した定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部10に出力するランダム送信禁止期間決定部26、が設けられている。
【0105】
そして、データ送信部10は、定期送信期間決定部24から定期送信期間情報が入力されると、その情報に対応した定期送信期間だけ、送信データの定期送信が可能となり、ランダム送信禁止期間決定部26からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間を除く期間(ランダム送信可能期間)だけ、送信データのランダム送信が可能となる。
【0106】
次に、無線通信装置1には、内部クロックをカウントすることにより時刻を計時する時計32が設けられており、データ送信部10は、この時計32による計時時刻に基づき、定期送信の通信周期、及び、その通信周期内の定期送信期間或いはランダム送信禁止期間を検知し、定期送信或いはランダム送信を制御する。
【0107】
また、時計32には、時計32による計時時刻(詳しくはカウント値)が、定期送信一周期分のカウント値の所定の整数値倍になった時点で、時計32をリセットして、そのカウント値を初期化する、タイマリセット部34が接続されている。
【0108】
また、時計32には、時計32の他の無線通信装置1との同期精度を表す同期精度情報と、時刻差分計算部36にて算出された時刻差情報とに基づき、時計32による計時時刻の補正の要否を判断して、計時時刻の補正が必要なときには時刻補正情報を発生して、時計32による計時時刻を補正する時刻補正判断部38が接続されている。
【0109】
時刻差分計算部36は、データ受信部16にて復元された定期送信情報に付与されている送信時刻情報と、時計32を介して得られる定期送信情報の受信時刻情報とをデータ受信部16から読み込み、定期送信情報を送信若しくは転送してきた無線通信装置1からの送信時刻と当該無線通信装置1での受信時刻との時刻差を算出するものであり、時刻補正判断部38は、その時刻差が後述のガードタイムにて吸収できない程大きい場合に、時計32による計時時刻を補正する。
【0110】
また、無線通信装置1には、上記同期精度情報に基づき、定期送信期間とランダム送信期間との間に設けるガードタイムを決定するガードタイム決定部30が設けられており、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26は、ガードタイム決定部30にて決定されたガードタイムに基づき、定期送信期間若しくはランダム送信禁止期間の開始若しくは終了タイミングを補正する。
【0111】
また、変調処理部12は、データ送信部10からの指令に従い送信データの変調方式(BPSK、QPSK、16QAM等)を設定するようにされており、無線通信装置1には、変調処理部12からその変調方式を表す変調情報を取り込み、この変調情報とデータ送信部10が変調処理部12に出力する送信データのデータ長とに基づき、変調処理部12が送信データを1パケット分変調するのに要する時間(送信時間)を算出する、送信時間判定部28が設けられている。
【0112】
そして、この送信時間判定部28にて求められた送信時間情報は、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26に出力され、定期送信期間決定部24は、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の終了タイミングを送信時間分だけ前に移動させて、定期送信期間を短くすることで、データ送信部10に出力する定期送信期間情報を決定する。
【0113】
また、ランダム送信禁止期間決定部26は、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の開始タイミングを送信時間分だけ前に移動させて、ランダム送信禁止期間を長くすることで、データ送信部10に出力するランダム送信禁止期間情報を決定する。
【0114】
つまり、本実施形態の無線通信装置1は、路上機2若しくは優先車載機6による定期送信期間(第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間)と一般車載機4によるランダム送信期間とが、時計32の同期ずれによって重複することのないよう、ガードタイム決定部30にてガードタイムを算出し、そのガードタイムと、送信時間判定部28にて送信データのデータ長から算出された送信時間とを用いて、定期送信期間決定部24若しくはランダム送信禁止期間決定部26にて決定される定期送信期間若しくはランダム送信禁止期間を補正する。
【0115】
また、ガードタイム決定部30にて決定されるガードタイムでは同期ずれを補正できない程、時計32の時刻が他の無線通信装置1とずれている場合には、時刻補正判断部38が時計32による計時時刻を直接補正する。
【0116】
なお、このような補正動作を行うために設けられたガードタイム決定部30、送信時間判定部28、時刻差分計算部36、及び時刻補正判断部38や、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26の動作については、上述した特許文献1に詳細に説明されているので、ここではこれ以上の説明は省略し、次に、本発明の主要部である優先車載機6としての機能を実現するために無線通信装置1に設けられている各部の構成及び動作について説明する。
(データ受信部16)
図2(b)に示すように、データ受信部16は、受信データに含まれる定期送信情報及びこの定期送信情報に付加された送信時刻情報を抽出すると共に、復調処理部14にて受信データの受信時に付加される受信時刻情報を抽出する、送信時刻抽出部42、受信時刻抽出部44、及び定期送信情報抽出部46としての機能を有する。
【0117】
これら各抽出部42、44、46の機能は、無線通信装置1内に設けられたマイクロコンピュータが、図3に示す情報抽出処理を繰り返し実行することによって実現される機能である。
【0118】
図3に示すように、この情報抽出処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、当該無線通信装置1が路上機2として利用されるか、一般車載機4若しくは優先車載機6として利用されるか判定し、当該無線通信装置1が路上機2として利用される場合には、上記各抽出部42、44、46としての機能を実現する必要がないので、そのまま当該情報抽出力を一旦終了する。
【0119】
一方、S110にて、当該無線通信装置1が車載機(つまり一般車載機4若しくは優先車載機6)として利用されると判断されると、S120にて、受信データから送信時刻を抽出し、S130にて、受信データから受信時刻を抽出し、S140にて、受信データから定期送信情報を抽出する、といった手順で、上記各抽出部42、44、46としての処理を実行し、当該情報抽出処理を一旦終了する。
(定期送信期間更新部18)
次に、図2(c)に示すように、定期送信期間更新部18は、定期送信期間設定部20にて設定された定期送信情報や、データ受信部16にて抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報を、定期送信期間テーブル22に登録する定期送信期間マージ部52、及び、定期送信期間設定部20にて設定された定期送信情報とデータ受信部16にて抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報とに基づき、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信期間内に他の無線通信装置1の定期送信期間と重複する期間があるか否かを判定して、重複する期間があれば、その旨を表す重複通知情報を定期送信期間設定部20に出力することで、自身の定期送信期間を変更させる重複期間検知部54、を備える。
【0120】
この定期送信期間マージ部52、及び、重複期間検知部54としての機能は、上記各抽出部42、44、46としての機能と同様、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理にて実現される。
【0121】
すなわち、定期送信期間マージ部52としての機能は、マイクロコンピュータが図4に示す定期送信期間情報登録処理を実行することにより実現され、重複期間検知部54としての機能は、マイクロコンピュータが図5に示す重複期間検知処理を実行することにより実現される。なお、これら各処理は、マイクロコンピュータにおいて繰り返し実行される。
【0122】
そして、図4に示すように、定期送信期間登録処理では、まずS210にて、当該無線通信装置1が、ランダム送信を行う一般車載機4である、定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6であるかを判定し、無線通信装置1が一般車載機4であれば、S220に移行する。
【0123】
S220では、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていないか否か(換言すれば他の無線通信装置1から取得した定期送信情報は定期送信期間テーブル22に既に登録されているか否か)を判断する。
【0124】
そして、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていない場合(つまり、取得した定期送信情報が未登録の場合)には、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録し、当該処理を一旦終了する。
【0125】
次に、S210にて、当該無線通信装置1が、路上機2若しくは優先車載機6であると判断されると、S240に移行して、当該無線通信装置1は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0126】
そして、S240にて、当該無線通信装置1は、路上機2であると判断されると、そのまま当該処理を終了し、S240にて、当該無線通信装置1は、優先車載機6であると判断されると、S250に移行して、自身の定期送信情報と、データ受信部16にて今回取得した定期送信情報とが同一であるか否か(つまり、自身の定期送信情報が他の無線通信装置1を介して転送されてきたか否か)を判断する。
【0127】
S250にて、自身の定期送信情報と今回取得した定期送信情報とは同一ではないと判断されると、S220に移行して、今回取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録する処理(S220、S230)を実行し、当該処理を終了する。
【0128】
また、S250にて、自身の定期送信情報と今回取得した定期送信情報とが一致している(つまり自身の定期送信情報が他の無線通信装置1を介して転送されてきた)と判断された場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0129】
この結果、データ受信部16にて取得した定期送信情報が他の無線通信装置1の定期送信情報であれば、定期送信期間テーブル22に登録されることになる。また、定期送信期間更新部18から定期送信期間テーブル22に出力される定期送信情報は、データ送信部10にも出力されることから、データ受信部16にて取得した定期送信情報は、次回の定期送信時にデータ送信部10から再送信されることになる。
【0130】
次に、図5に示すように、重複期間検知処理では、まず、S260にて、当該無線通信装置1が、優先車載機6であるか否かを判断する。そして、当該無線通信装置1が優先車載機6でなければ、そのまま当該処理を終了し、当該無線通信装置1が優先車載機6であれば、S270に移行する。
【0131】
S270では、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信情報と、データ受信部16にて取得された他の無線通信装置1の定期送信情報とに基づき、これら各定期送信情報から得られる定期送信期間に重複する期間があるか否かを判断する。
【0132】
そして、S270にて、自身の定期送信期間と、データ受信部16にて取得された他の無線通信装置1の定期送信期間とに重複する期間があれば、S280に移行して、定期送信期間設定部20にその旨を表す重複通知情報を出力した後、当該処理を一旦終了し、逆に、S270にて重複する期間はないと判断されると、当該処理をそのまま一旦終了する。
【0133】
なお、S280にて、定期送信期間設定部20に重複通知情報を出力すると、定期送信期間設定部20は、図6に示す定期送信期間設定処理にて、定期送信期間を再設定する。
上記のように、定期送信期間更新部18において、定期送信期間マージ部52は、データ受信部16にて新たに取得された他の無線通信装置1の定期送信情報を定期送信期間テーブル22に登録するが、定期送信期間更新部18は、単に定期送信期間テーブル22を更新するだけでなく、データ受信部16にて新たに取得された他の無線通信装置1の定期送信情報をデータ送信部10に出力することで、この定期送信情報を他の無線通信装置1に転送させる。
【0134】
また、定期送信期間更新部18は、定期送信期間テーブル22に登録されている定期送信情報を受信できない場合には、その継続時間を計時して、その計時時間が非同期判定時間に達すると、自車両が、その定期送信情報に対応した無線通信装置1から離れ、その無線通信装置1の定期送信期間内にデータ送信を実施しても問題ないと判断して、定期送信情報を非同期情報に書き換える。
【0135】
そして、定期送信期間更新部18が、定期送信期間テーブル22に登録された定期送信情報を受信できないときに、定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの非同期判定時間には、定期送信情報の送信元が路上機2であるか、優先車載機6であるかによって、異なる時間が設定されている。
【0136】
つまり、非同期判定時間は、優先車載機6からの定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの時間よりも、路上機2からの定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの時間の方が長くなるように、設定されている。
【0137】
この結果、一般車載機4若しくは優先車載機6において、定期送信期間テーブル22には、路上機2からの定期送信情報の方が、優先車載機6からの定期送信情報よりも長く保持されることになる。
(定期送信期間設定部20)
次に、図6は、定期送信期間設定部20としての機能を実現するために、無線通信装置1に設けられたマイクロコンピュータにより繰り返し実行される定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【0138】
図6に示すように、この処理が開始されると、S310にて、当該無線通信装置1は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判定する。
そして、当該無線通信装置1が路上機2である場合には、S320にて、予め登録された定期送信期間を設定して、当該処理を終了し、逆に、当該無線通信装置1が優先車載機6である場合には、S330にて、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報から、路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間を読み込む。
【0139】
そして、続くS340では、定期送信期間更新部18から、重複通知情報が入力されているか否かを判断し、重複通知情報が入力されていなければ、S350に移行して、S330の処理で読み込んだ路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間と重複しない任意の期間に定期送信期間を設定し、当該処理を一旦終了する。
【0140】
なお、この定期送信期間設定処理は、マイクロコンピュータにて所定周期で繰り返し実行される処理であり、S350にて一旦定期送信期間を設定し、その後S350の処理が繰り返し実行される際には、既に設定されている定期送信期間を変更することなく、そのまま自身の定期送信期間として設定する。
【0141】
一方、S340にて、重複通知情報が入力されたと判断されると、S360に移行する。そして、S360では、既に設定されている自身の定期送信期間が、データ受信部16にて新たに取得された定期送信期間と重複していることから、その新たに取得された定期送信期間、及び、S330の処理で読み込んだ路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間と重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更し、当該処理を一旦終了する。
(データ送信部10)
図2(d)に示すように、データ送信部10は、外部から送信要求と共に入力される送信データに、定期送信期間更新部18から入力される定期送信情報を付加する定期送信情報付加部62と、送信可否判断部64から送信禁止指令が入力されているとき、定期送信情報付加部62にて定期送信情報が付加された送信データを保持し、その送信データのデータ長情報を送信時間判定部28に出力すると共に、送信可否判断部64から送信許可が入力されると、それまで保持していた送信データを出力する送信データ保持部66と、送信データ保持部66から出力された送信データに時計32から読み取った現在時刻(送信時刻情報)を付加し、変調処理部12へ出力する送信時刻付加部68と、から構成されている。
【0142】
送信可否判断部64は、当該無線通信装置1が定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6である場合には、定期送信期間決定部24から入力される定期送信期間情報に従い、定期送信可能なタイミング及び送信時間だけ、送信データ保持部66に送信許可を出力する。
【0143】
一方、送信可否判断部64は、当該無線通信装置1がランダム送信を行う一般車載機4である場合には、ランダム送信禁止期間決定部26から入力されるランダム送信禁止期間情報に従い、ランダム送信可能期間を検知する。
【0144】
そして、送信可否判断部64は、ランダム送信可能期間内に、復調処理部14から、他の無線通信装置1からの送信電波を受信中か否かを表すキャリアセンス信号(図示せず)を取り込み、キャリアセンス信号が入力されない期間が所定期間継続すると、通信チャンネルでの送信権を取得できたと判断して、送信データ保持部66に送信許可を出力する。なお、こうしたCSMA方式のデータ送信については、周知であるので、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0145】
この結果、当該無線通信装置1によるデータ送信の実行期間は、当該無線通信装置1の用途(路上機2、優先車載機6、一般車載機4)に応じて、定期送信期間決定部24にて決定された定期送信期間、若しくは、ランダム送信禁止期間決定部26にて決定されたランダム送信禁止期間を除くランダム送信可能期間、に制限されることになる。
【0146】
なお、定期送信情報付加部62は、定期送信期間更新部18から出力される定期送信情報を送信データに付加するが、その付加する定期送信情報が自身の定期送信情報であれば、転送回数として、初期値「0」(又は上限値「Cmax」)を設定し、付加する定期送信情報がデータ受信部16にて取得された転送用の定期送信情報であれば、定期送信情報の転送回数をインクリメント(+1)(又はデクリメント(−1))する。
【0147】
また、定期送信情報付加部62は、データ受信部16にて取得された定期送信情報の転送回数が上限値「Cmax」(又は下限値「0」)に達していれば、その定期送信情報を送信データへ付加せず、その定期送信情報の転送(再送信)を禁止する。
【0148】
これは、定期送信情報を不必要に転送して、一般車載機4によるランダム送信を制限しすぎるのを防止するためであるが、この点についても、上記特許文献1に記載されているので、ここではこれ以上の説明は省略する。
(路上機2、一般車載機4、優先車載機6としての機能ブロック)
ここで、本実施形態の無線通信装置1が路上機2として利用されるときには、図7に点線で示すように、ランダム送信禁止期間決定部26、ガードタイム決定部30、時刻差分計算部36、時刻補正判断部38の機能が停止されると共に、データ受信部16において、送信時刻抽出部42、受信時刻抽出部44、及び定期送信情報抽出部46としての機能が停止され、定期送信期間更新部18において、重複期間検知部54としての機能が停止される。
【0149】
また、本実施形態の無線通信装置1が一般車載機4として利用されるときには、図8に点線で示すように、定期送信期間設定部20及び定期送信期間決定部24の機能が停止されると共に、定期送信期間更新部18において、重複期間検知部54としての機能が停止される。
【0150】
また、本実施形態の無線通信装置1が優先車載機6として利用されるときには、図9に点線で示すように、ランダム送信禁止期間決定部26の機能が停止されるだけであり、ランダム送信禁止期間決定部26以外の機能は全て利用される。
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の無線通信システムは、第1定期送信装置としての路上機2と、第2定期送信装置としての優先車載機6と、ランダム送信装置としての一般車載機4とから構成されている。
【0151】
そして、例えば、2つの路上機2A、2Bと、2つの一般車載機4A、4Bと、2つの優先車載機6A、6Bとが、送信電波が互いに干渉し合う位置に存在するような場合には、これら各無線通信装置が、図10に示すようにデータ送信を行うことになる。
【0152】
すなわち、路上機2A、2Bは、それぞれ、予め設定された互いに異なる定期送信期間(第1定期送信期間)内に、所望データの定期送信を行う。
また、2つの優先車載機6A、6Bは、それぞれ、路上機2A、2Bや他の優先車載機6B又は6A、若しくは一般車載機4A、4Bから取得した定期送信情報に基づき、路上機2A、2Bや他の優先車載機6B又は6Aと定期送信期間が重複しないように自身の定期送信期間(第2定期送信期間)を設定し、その定期送信期間内に、所望データの定期送信を行う。
【0153】
また、一般車載機4A、4Bは、路上機2A、2Bや優先車載機6B、6A、若しくは他の一般車載機4B又は4Aから取得した定期送信情報に基づき、路上機2A、2B及び優先車載機6A、6Bと送信期間が重複することのないようランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間を除くランダム送信可能期間内にて、CSMA方式によるランダム送信を行う。
【0154】
従って、本実施形態の無線通信システムによれば、路上機2、一般車載機4、優先車載機6の内、データ送信の優先度が最も高いのは路上機2となり、データ送信の優先度が最も低いのは一般車載機4となり、優先車載機6は、これらの間の優勢度でデータ送信を実施できる。
【0155】
このため、優先車載機6を搭載した緊急車両は、路上機2から送信されてくる交通情報等を受信しつつ、周囲の一般車両に搭載された一般車載機4に対し自車両の緊急走行を通知するとか、路上機2や周囲の一般車載機4を介して交通センタ等へ自車両の位置や走行状況を通知して、病院等の目的地までより短時間で到達するための経路を取得する、といったことができる。
【0156】
つまり、優先車載機6を搭載した緊急車両は、緊急走行時の安全性を確保しつつ、その緊急走行に必要な情報を取得することができる。
ところで、優先車載機6を緊急車両に搭載すると、その車両の走行に伴い、図11に示すように、優先車載機6が一旦設定した定期送信期間(第2定期送信期間)と、路上機2がデータ送信を行う定期送信期間(第1定期送信期間)とが重複することがある。
【0157】
また、図12に示すように、優先車載機6が一旦設定した定期送信期間(第2定期送信期間)と、他の優先車載機6がデータ送信を行う定期送信期間(第2定期送信期間)とが重複することがある。
【0158】
しかし、優先車載機6は、自身の定期送信期間が、路上機2や他の優先車載機6の定期送信期間と重複した場合、図11、図12に示すように、定期送信期間更新部18の重複期間検知部54と定期送信期間設定部20との機能によって、自身の定期送信期間を、他の定期送信期間から外れるように変更する。
【0159】
このため、優先車載機6の定期送信期間が、長期間、他の無線通信装置(路上機2若しくは他の優先車載機6)の定期送信期間と重複して、優先車載機6がデータ送信を実施できなくなるのを防止できる。
【0160】
また、本実施形態では、優先車載機6は、自身の定期送信期間中、定期送信期間決定部24からデータ送信部10に定期送信期間情報を出力し、データ送信部10内では、送信可否判断部64が、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の間、送信データ保持部66に送信許可を出力する。
【0161】
このため、優先車載機6では、一般車載機4のように、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認することなく、定期送信期間内に速やかにデータ送信が実施される。
【0162】
従って、例えば、図13に示すように、優先車載機6Aがビルの角の交差点に進入する際、自身の通信領域内にランダム送信しつつ高速に進入してきた一般車載機4Aが存在しても、優先車載機6Aは、一般車載機4Aからのランダム送信が完了するのを待つことなく、定期送信を実施することになる。
【0163】
このため、優先車載機6Aが進入しようとしている交差点に対し、その進入方向とは異なる方向から他の一般車載機4Bが進入しようとしている場合、優先車載機6Aは、上記定期送信によって、一般車載機4Bに自身の存在を通知することができ、延いては、車両の走行安全性を向上することができる。
【0164】
ここで、本実施形態では、図9に示した優先車載機6において、データ送信部10及び変調処理部12が、本発明の送信手段に相当し、復調処理部14及びデータ受信部16が、本発明の受信手段に相当し、定期送信期間更新部18が、本発明の情報抽出手段に相当し、定期送信期間設定部20が、本発明の定期送信期間設定手段に相当し、定期送信期間決定部24、及び、データ送信部10内の送信可否判断部64が、本発明の定期送信許可手段に相当し、データ送信部10内の定期送信情報付加部62が、本発明の情報付加手段に相当する。
【0165】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、一般車載機4と優先車載機6とが、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を転送するものとして説明したが、路上機2においても、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を転送するようにしてもよい。
【0166】
そして、この場合には、図14に示すように、路上機2のデータ受信部16内で定期送信情報抽出部46を動作させ、定期送信期間更新部18の定期送信期間マージ部52で、自身の定期送信情報だけでなく、データ受信部16で取得された他の無線通信装置1の定期送信情報についても、データ送信部10に出力するようにすればよい。
【0167】
具体的には、データ受信部16の情報抽出処理を、図3に記載のものから、図15に示すように変更し、S110にて当該無線通信装置1が路上機であると判定されると、S140に移行して、受信データから定期送信情報を抽出するようにする。
【0168】
また、定期送信期間マージ部52としての機能を実現するための定期送信情報登録処理を、図4に記載のものから、図16に示すように変更し、S210にて、当該無線通信装置1が、定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6であると判断されると、S240の判定処理を実行することなく、そのままS250に移行するようにする。
【0169】
この結果、路上機2においても、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていない場合(つまり、取得した定期送信情報が未登録の場合)には、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録され、その定期送信情報は、データ送信部10にも出力されて、次回の定期送信時に他の無線通信装置1に再送信されることになる。
[変形例2]
次に、上記実施形態では、優先車載機6は、他の無線通信装置1から送信されてきた定期送信情報に基づき、路上機2若しくは他の優先車載機6の定期送信期間を検知し、自身の定期送信期間がその検知した定期送信期間と重複することのないように、自身の定期送信期間を設定・更新するものとして説明したが、例えば、図17に示すように、定期送信の通信周期を、路上機2が定期送信に使用してもよい期間と、優先車載機6が定期送信に使用してもよい期間とに分割し、優先車載機6は、優先車載機6用に割り当てられた期間内で、自身の定期送信期間を設定して、定期送信を行うようにしてもよい。
【0170】
そして、このようにすれば、路上機2と優先車載機6との定期送信期間が重複するのを確実に防止することができる。
なお、この場合、優先車載機6用に割り当てる通信期間は、路上機2用に割り当てる通信期間よりも短くすればよいが、少なくとも、複数の優先車載機6が自身の定期送信期間を設定できるように、各優先車載機6が1回のデータ送信で占有する定期送信期間の数倍の期間に設定することが望ましい。
[変形例3]
一方、変形例2のように、定期送信の通信周期を、路上機2が定期送信に使用してもよい期間と、優先車載機6が定期送信に使用してもよい期間とに分割した場合、図18に示すように、各優先車載機6は、その定期送信に利用可能な期間を自身の定期送信期間として設定し、その定期送信期間内で、一般車載機4と同様のランダム送信を実施するようにしてもよい。
【0171】
そして、この場合には、図19に示すように、優先車載機6において、ランダム送信禁止期間決定部26を動作させると共に、定期送信期間決定部24の動作を停止させ、ランダム送信禁止期間決定部26に、定期送信期間設定部20にて設定・更新される自身の定期送信期間を、ランダム送信可能な期間として入力するようにすればよい。
【0172】
なお、ランダム送信禁止期間決定部26にランダム送信可能期間として入力する定期送信期間は、上記実施形態のように送信データのデータ長に対応して設定するだけではなく、優先車載機6の周囲に存在する他の優先車載機6の数に応じて設定することが望ましい。
【0173】
具体的には、周囲の優先車載機6の数が少ないほど、定期送信期間(ランダム送信可能期間)が短くなり、周囲の優先車載機6の数が多いほど、定期送信期間(ランダム送信可能期間)が長くなるよう、定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定するのである。
【0174】
つまり、このようにすれば、周囲の優先車載機6の数が増えても、各優先車載機6がその定期送信期間内でキャリアセンスにより送信権を取得してランダム送信を実施し得る確率が低下するのを防止することができる。
【0175】
そして、このように定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定するには、重複期間検知部54又はデータ受信部16にて、複数の通信周期内に受信された他の優先車載機6からの受信データの数をカウントし、そのカウント値を重複通知情報として定期送信期間設定部20に入力するようにすればよい。
【0176】
つまり、このようにすれば、定期送信期間設定部20において、周囲の優先車載機6の数に応じて、定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定できるようになる。
[変形例4]
次に、上記実施形態では、優先車載機6は、自身の定期送信期間が路上機2や他の優先車載機6の定期送信期間と重複すると、定期送信期間設定部20にて定期送信期間を再設定するが、この方法では、定期送信期間が重複した2つの優先車載機6が、個々に定期送信期間を再設定することがあり(図12参照)、その再設定により、再度定期送信期間が重複することも考えられる。
【0177】
このため、例えば、優先車載機6には、予め、相互に優先順位を識別可能な識別情報(ID)を割り当てておき、重複期間検知部54にて定期送信期間の重複を判定する際には、図20に示す手順で重複期間検知処理を実行するように構成するとよい。
【0178】
すなわち、図20に示す重複期間検知処理では、S260にて、当該無線通信装置1が優先車載機6であると判定されると、S262にて、定期送信情報の取得先(換言すれば送信元)は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0179】
そして、定期送信情報の取得先が路上機2であれば、S270に移行し、定期送信情報の取得先が優先車載機6であれば、S268にて、その取得先の優先車載機6のIDと自己のIDとを比較することで、優先順位が定期送信情報取得先の優先車載機6に負けているか否かを判断する。
【0180】
そして、優先順位が定期送信情報取得先の優先車載機6に負けていれば、S270に移行し、そうでなければ、重複期間検知処理をそのまま一旦終了する。
この結果、図21に示すように、優先車載機6は、自身の定期送信期間と他の優先車載機6の定期送信期間とが重複すると、自己の優先順位が他の優先車載機6に負けているときにだけ、自身の定期送信期間を、他の優先車載機6と重複することのないように変更することになり、変更後の定期送信期間が、他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
[変形例5]
一方、上記実施形態では、優先車載機6のデータ送信部10では、送信可否判断部64が、定期送信期間決定部24から入力される定期送信期間情報に基づき、自身の定期送信期間中、送信データ保持部66に送信許可を出力することで、一般車載機4のように、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認することなく、送信データを速やかに送信させるものとして説明したが、送信可否判断部64は、定期送信期間に入ると、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認した上で、送信データ保持部66に送信許可を出力するように構成してもよい。
【0181】
そして、このようにすれば、優先車載機6からのデータ送信は、キャリアセンスの実施のために若干遅れるものの、優先車載機6からの送信電波が他の無線通信装置1による通信に影響を与えたり、優先車載機6からの送信データが他の無線通信装置1に届かなくなるのを、より良好に防止できる。
[変形例6]
また、優先車載機6のデータ送信部10を変形例5のように構成した場合、重複期間検知部54では、図22に示す手順で、重複期間検知処理を実行するようにしてもよい。
【0182】
つまり、図22に示すように、この重複期間検知処理では、S260にて、当該無線通信装置1が優先車載機6であると判定されると、S262にて、定期送信情報の取得先(換言すれば送信元)は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0183】
そして、定期送信情報の取得先が路上機2であれば、S270に移行し、定期送信情報の取得先が優先車載機6であれば、S264にて、送信データ保持部66に、キャリアセンスに伴う送信待ちの送信データが保持されているか否かを判断する。
【0184】
そして、送信データ保持部66に送信待ちの送信データが保持されている場合には、S270に移行し、送信データ保持部66に送信待ちの送信データが保持されていなければ、重複期間検知処理をそのまま一旦終了する。
【0185】
この結果、優先車載機6は、図23に示すように、送信データ保持部66にキャリアセンスによる送信待ちの送信データが保持されているとき、データ受信部16にて他の優先車載機6からの定期送信情報が取得されると、その優先車載機6の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複したと判断して、他の優先車載機6と重複することのないように、自身の定期送信期間を変更することになり、変更後の定期送信期間が、他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
【0186】
そして、この場合、他の優先車載機6は、自身の定期送信期間を変更することなく、データ送信を実施することになるので、定期送信期間を変更した優先車載機6は、変更後の定期送信期間が他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
[変形例7]
次に、上記実施形態では、無線通信装置1は、路上機2、一般車載機4、優先車載機6として、予め用途が設定されるものとして説明したが、無線通信装置1は、一般車載機4としても、優先車載機6としても、機能させることができるので、車両走行中に、その機能を切り換えるようにしてもよい。
【0187】
つまり、例えば、一般車両でも、車列の先頭若しくは最後尾に位置しているときや、交差点若しくは合流点への突入時等に、急ブレーキをかけたとき、或いは、事故や車両故障が発生したときには、他の一般車両よりも優先的に情報を送信できるとよい。
【0188】
そこで、一般車両において、車両の走行状態を監視する監視装置が、その走行状態から緊急発信が必要であると判断したときには、無線通信装置1の機能を、一般車載機4から優先車載機6に切り換えるようにするのである。
【0189】
より具体的には、例えば、車両の制動装置に設けられたブレーキセンサにて、運転者による急ブレーキを検知したときや、車両に搭載された衝突センサやエアバッグからの衝突検出信号を受けたとき、或いは、故障診断装置から故障診断結果を受けたときなど、車両の走行状態に異常が発生したときに、監視装置から無線通信装置1に機能切換信号を送信することで、一般車載機4を優先車載機6として機能させるのである。
【0190】
そして、このようにすれば、無線通信装置1の用途を拡大して、車両の走行安全性を高めることができる。
[変形例8]
次に、上記実施形態では、第2定期送信装置としての優先車載機6は、救急車等の緊急車両に搭載されるものとして説明したが、優先車載機6は、バスやタクシー等、不特定多数の人が利用する車両(特定車両)に搭載して、その特定車両の位置や操舵方向を表す車両情報を定期的に送信するようにしてもよい。
【0191】
つまり、バスやタクシー等、不特定多数の人が利用する特定車両70は、図24に示すように、客の乗降のために路肩に停車してから発進するときや、交差点で右折(若しくは左折)するときに、複数車線を横切ることがある。
【0192】
このような進路変更は、後続車両(特に、直進車両)の走行の妨げになることがあり、この場合、後続車両の運転者は、進路変更した特定車両への衝突を避けるために、急ブレーキをかけたり、急な車線変更をしなければならないことがある。
【0193】
そこで、本変形例8では、図24に示すように、第2定期送信装置としての優先車載機6を、バスやタクシー等の特定車両70に搭載し、優先車載機6から、自車両の位置を表す位置情報やステアリングの操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信させることで、特定車両70の周囲を走行する一般車両80(詳しくは一般車載機4を搭載した車両)側で、その車両情報から特定車両70の進路を予測できるようにする。
【0194】
すなわち、図25(a)に示すように、特定車両70には、優先車載機6を設け、その優先車載機6には、マイクロコンピュータにて構成された車両制御用の電子制御装置(所謂ECU)72を介して、自車両の位置を表す位置情報、自車両の速度を表す速度情報、ステアリングの操舵角を表す操舵角情報、及び、方向指示器(所謂、ウィンカ)の切換状態を表すウィンカ情報を、送信データとして入力するように構成する。
【0195】
この結果、特定車両70に搭載された優先車載機6からは、位置情報、速度情報、操舵角情報、及び、ウィンカ情報からなる特定車両70の車両情報が、送信データとして、定期送信されることになる。
【0196】
なお、位置情報は、GPS受信機から得ることができ、速度情報はGPS受信機若しくは車速センサから得ることができ、操舵角情報はステアリングに設けられた操舵角センサから得ることができ、ウィンカ情報は、方向指示器の切換スイッチから得ることができる。
【0197】
一方、図25(b)に示すように、一般車両80には、一般車載機4を設け、一般車載機4にて得られた受信データを、マイクロコンピュータにて構成された車両用の電子制御装置(所謂ECU)82に入力するように構成する。
【0198】
また、電子制御装置82には、自車両の進路を認識できるように、自車両の車両情報である位置情報、速度情報、及び操舵角情報も入力する。
そして、電子制御装置82では、車両制御用の各種演算処理に加えて、図26に示す進路判定処理を実行することで、特定車両70の進路を推定して、特定車両70による進路妨害が発生するか否かを判定する。
【0199】
この進路判定処理は、図26に示す手順で実行される。
すなわち、進路判定処理では、まずS410にて、受信データが、特定車両70からの送信データであるか否か(換言すれば、特定車両70からの送信データを受信したか否か)を判断することにより、特定車両70からの送信データが受信されるのを待つ。
【0200】
そして、S410にて、特定車両70からの送信データが受信されたと判断すると、S420に移行して、その受信データに含まれる特定車両70の車両情報、つまり、上述した位置情報、速度情報、操舵角情報、及びウィンカ情報、を取得し、S430に移行する。
【0201】
S430では、S420で取得した車両情報の内、ウィンカ情報が、特定車両70の進路変更(右折若しくは左折)を表すオン状態になっているか否かを判断し、ウィンカ情報がオン状態でなければ、S410に移行し、ウィンカ情報がオン状態であれば、S440に移行する。
【0202】
そして、S440では、S420で取得した特定車両70の位置情報、速度情報、及び操舵角情報に基づき、特定車両70の進路を予測する。具体的には、S420にて繰り返し取得される特定車両70の位置情報、速度情報、及び操舵角情報の時系列変化に基づき、特定車両70の現在位置からの進路を、図24に点線で示すように予測(推定)する。
【0203】
また次に、S450では、自車両の車両情報である位置情報、速度情報、及び操舵角情報に基づき、自車両の現在位置からの進路を検出する。
そして、S460では、S450にて検出した自車両の進路が、S440にて予測(推定)した特定車両70の進路と交差するか否かを予測し、自車両の進路が特定車両70の進路と交差することが予測されない場合には、S410に移行する。
【0204】
一方、S460にて、自車両の進路が特定車両70の進路と交差すると予測された場合には、S470に移行し、警報装置84を駆動することで、その旨を車両乗員に報知した後、当該進路判定処理を一旦終了し、その後、所定時間経過した後、当該進路判定処理を開始する。
【0205】
このように、変形例8の無線通信システムにおいては、一般車両80に搭載された一般車載機4が、特定車両70に搭載された優先車載機6からの送信データを受信し、その送信データに含まれる特定車両70の車両情報を取得すると、その車両情報(位置情報、速度情報、及び操舵角情報)から、特定車両70の進路を予測(推定)し、その進路が、自車両の進路と交差するか否かを判断することで、特定車両70と自車両とが衝突する可能性があるか否かを判断する。
【0206】
そして、自車両の進路が特定車両70の進路と交差し、自車両が特定車両70と衝突する可能性がある場合には、警報装置84から警報を発することで、運転者等にその旨を通知する。
【0207】
このため、本実施形態の無線通信システムによれば、バスやタクシーなどを特定車両70として、優先車載機6を搭載させることにより、その特定車両70の進路変更により、周囲の一般車両80の進路が妨げられて、危険な状態になる前に、一般車両80の運転者等に対し警報を発し、安全運転を促すことができる。
【0208】
なお、本変形例8では、特定車両70に搭載される優先車載機6からは、特定車両70の車両情報として、位置情報、速度情報、操舵角情報及びウィンカ情報を送信するものとして説明したが、特定車両70の速度は、位置情報の変化から算出することができることから、速度情報は必ずしも送信する必要はない。
【0209】
また、ウィンカ情報は、S440以降の処理を実施すべきか否かを速やかに判定するのに利用されるが、特定車両70の進路の予測には特に必要はないため、ウィンカ情報についても、必ずしも送信する必要はない。
【0210】
一方、特定車両70の進路は、位置情報とウィンカ情報(進路の変更方向を表す情報)とから推定することもできる。
このため、優先車載機6からは、少なくとも、位置情報と車両の操舵方向を表す情報(つまり、速度情報と操舵角情報、若しくは、速度情報とウィンカ情報)を、特定車両の車両情報として送信するようにしても、一般車両80側で、その車両情報から特定車両70の進路を予測(推定)することができる。
【0211】
また、本変形例8では、電子制御装置82にて実行される進路判定処理にて、本発明の進路推定手段としての機能が実現されるが、この進路判定処理は、一般車載機4に設けられるマイクロコンピュータにて実行するようにしてもよい。
【0212】
また、警報装置84としては、警告音をスピーカ等から発生するものであってもよく、警告音を発生すると同時に、運転者が視認可能な領域でLED等の警報ランプを点灯若しくは点滅させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0213】
1…無線通信装置、2…優先車載機、4…一般車載機、6…優先車載機、10…データ送信部、12…変調処理部、14…復調処理部、16…データ受信部、18…定期送信期間更新部、20…定期送信期間設定部、22…定期送信期間テーブル、24…定期送信期間決定部、26…ランダム送信禁止期間決定部、28…送信時間判定部、30…ガードタイム決定部、32…時計、34…タイマリセット部、36…時刻差分計算部、38…時刻補正判断部、42…送信時刻抽出部、44…受信時刻抽出部、46…定期送信情報抽出部、52…定期送信期間マージ部、54…重複期間検知部、62…定期送信情報付加部、64…送信可否判断部、66…送信データ保持部、68…送信時刻付加部、70…特定車両、72…電子制御装置、80…一般車両、82…電子制御装置、84…警報装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、定期送信機能を有する定期送信装置とランダム送信機能を有するランダム送信装置が混在し、これら各送信装置が共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う無線通信システム、及び、この無線通信システムを構成するのに好適な無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CSMA方式の無線通信システムのように、複数の無線通信装置が共通の通信チャンネルを利用してランダムにデータ送信を開始する無線通信システムでは、例えば、基地局となる特定の無線通信装置が重要性の高い情報(重要情報)を送信しようとしても、通信チャンネルで送信権を取得するのに時間がかかり、重要情報を速やかに送信することができないという問題があった。
【0003】
そこで、この種の無線通信システムにおいては、CSMA等の通信方式でランダムにデータ送信を開始する無線通信装置(以下、ランダム送信装置ともいう)とは別に、TDMA等による通信方式で重要情報を定期的に送信する無線通信装置(以下、定期送信装置ともいう)を設け、定期送信装置が定期送信する定期送信期間中は、ランダム送信装置によるランダム送信を禁止することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
また、この提案の無線通信システムでは、定期送信装置が定期送信を行う際に、送信データに定期送信期間を表す定期送信期間情報を含めることで、ランダム送信装置に定期送信期間を通知し、更に、定期送信期間情報を受信したランダム送信装置がデータ送信を行う際には、送信データに定期送信期間情報を含めることで、定期送信装置からの送信電波が届かないエリアに位置する他のランダム送信装置に対し、定期送信期間情報を転送するようにされている。
【0005】
このため、上記提案の無線通信システムによれば、ランダム送信装置がランダム送信を行うランダム送信期間を制限して、定期送信装置から周囲のランダム送信装置に重要情報を優先的に送信させることができる。
【0006】
従って、この提案の無線通信システムによれば、定期送信装置を路上機、ランダム送信装置を車載機として利用することで、路車間通信及び車車間通信を最適に実施し得る高度道路交通システム(ITS)を実現できる。
【0007】
しかしながら、上記提案の無線通信システムをITSに適用した場合、路上機から車載機への送信(路車間通信)を優先的に実施させることはできるものの、車車間通信は、全てCSMA方式等のランダム送信にて実施されることになる。
【0008】
このため、例えば、車両の数(換言すれば通信トラフィック)が多くなる交差点等で、救急車等の緊急車両が周囲の一般車両に自身の緊急走行を通知しようとしても、送信権を取得するのに時間がかかり、自身の緊急走行を周囲の一般車両に速やかに通知することができないという問題があった。
【0009】
一方、こうした問題を防止する技術として、第1期間と第2期間とにより形成される繰り返しフレームにおいて、第2期間を、車載機がランダム送信可能な通信期間として割り当てておき、路上機としてのアクセス制御装置が、繰り返しフレームの第1期間を複数に分割したスロットを、制御情報として、路上機付近の車載機に通知することが提案されている。
【0010】
この提案のシステムによれば、路上機から制御情報を取得した交差点付近の車載機は、その制御情報に含まれる各スロットの情報に基づき、データ送信に利用可能なスロット(換言すれば送信期間)を選択し、その選択したスロットを利用して、データ送信を実施する。
【0011】
従って、交差点付近の車載機は、路上機から制御情報を取得できない一般の車載機(換言すれば、路上機から離れた車載機)がランダム送信に利用する第2期間とは異なる第1期間内のスロットを利用して、一定周期毎の定期送信を実施することができるようになり、送信データを周囲の車載機に確実に送信することができる。
【0012】
そして、この特許文献2に記載の技術を、特許文献1に記載の無線通信システムに適用すれば、路上機からのデータ送信を最優先で実施させつつ、交差点付近の車載機からのデータ送信を、交差点から離れた車載機よりも優先的に実施させることができるようになり、例えば、交差点付近では、緊急車両から一般車両への緊急走行の通知を確実に実施させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−21870号公報
【特許文献2】特開2010−41145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献2の記載の技術は、路上機から交差点付近の車載機に対して、時分割による定期送信用の送信期間(スロット)を割り当てる技術であるので、路上機からの送信電波が届かない地域では、全ての車載機が個々にランダム送信を実施することになる。
【0015】
従って、上記特許文献2に記載の技術を利用しても、路上機が設置されていない地域では、車載機のデータ送信の優先度は全て同一となり、緊急車両等に搭載される車載機によるデータ送信を、一般車両に搭載される一般車載機によるデータ送信よりも優先的に実施させることはできない。
【0016】
よって、例えば、交通渋滞等で緊急車両の周囲に存在する一般車両が増えると、緊急車両から一般車両へのデータ送信を実施することができなくなる、という問題が発生する。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、定期送信装置とランダム送信装置とが混在する無線通信システムにおいて、これら2種類の送信装置の中間の優先度でデータ通信を実施できる無線通信装置を設けることで、優先度の高い上位の定期送信装置から下位の送信装置に対し送信期間を割り当てることなく、各送信装置が互いに異なる優先度でデータ通信を実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の無線通信システムにおいては、第1定期送信装置と、第2定期送信装置と、ランダム送信装置とからなる複数種類の無線通信装置が混在し、これら各無線通信装置が共通の通信チャンネルを利用して無線通信を行う。
【0018】
ここで、第1定期送信装置及び第2定期送信装置は、夫々、一定の通信周期毎に、この通信周期よりも短い第1定期送信期間若しくは第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内に無線送信(定期送信)を行う。
【0019】
また、第1定期送信装置及び第2定期送信装置が定期送信を行う際には、自身の定期送信期間である第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する。
【0020】
一方、ランダム送信装置は、送信要求が発生した際に通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いているときに無線送信(ランダム送信)を行う。
そして、ランダム送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から定期送信期間情報を含むデータを受信すると、その受信した定期送信期間情報に基づき、第1定期送信装置若しくは第2定期送信装置の定期送信期間を検知し、その後所定期間の間、当該定期送信期間内にランダム送信を実施するのを禁止する。
【0021】
また、ランダム送信装置がランダム送信を実施する際には、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を、送信データに付加する。
従って、本発明の無線通信システムによれば、第1定期送信装置が定期送信を行う第1定期送信期間と、第2定期送信装置が定期送信を行う第2定期送信期間とが、各定期送信装置から定期送信期間情報として送信されるだけでなく、その定期送信期間情報を受信したランダム送信装置を介して、他の送信装置(第1、第2定期送信装置若しくはランダム送信装置)に転送される。
【0022】
このため、各定期送信装置の定期送信期間情報は、各定期送信装置からの送信電波を受信・復調し得る周囲のランダム送信装置だけでなく、そのランダム送信装置から更に離れた位置に存在するランダム送信装置にも届くことになり、そのエリア内に存在するランダム送信装置は、各定期送信装置の定期送信期間を除く期間を自身の送信可能期間として、ランダム送信を実施する。
【0023】
また、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置(第1、第2定期送信装置若しくはランダム送信装置)から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、他の定期送信装置(第1、第2定期送信装置)と送信タイミングが重複することのないよう、第2定期送信期間を設定する。
【0024】
従って、本発明の無線通信システムによれば、ランダム送信装置によるランダム送信と第1、第2定期送信装置による定期送信とが重なるのを防止できるだけでなく、第1定期送信装置による定期送信と第2定期送信装置による定期送信、或いは、第2定期送信装置同士の定期送信、が重なるのも防止できる。
【0025】
このため、本発明の無線通信システムによれば、第1定期送信装置がデータ送信の優先度が最も高く、ランダム送信装置がデータ送信の優先度が最も低く、第2定期送信装置が中間の優先度を有する無線通信システムを実現でき、しかも、その何れかの送信装置の送信タイミングが重なって通信不良が発生するのを防止できる。
【0026】
また、こうした本発明の無線通信システムを上述したITSに適用して、第1定期送信装置を路上機、ランダム送信装置を一般車両に搭載される一般車載機、第2定期送信装置を緊急車両等に搭載される優先車載機、として利用するようにすれば、緊急車両から一般車両へのデータ送信(車車間通信)を、一般車両同士のデータ送信(車車間通信)よりも優先的に実施し、また、路上機から各車両へのデータ送信(路車間通信)を、各車両間のデータ送信(車車間通信)よりも更に優先的に実施することができるようになる。
【0027】
そして、本発明の無線通信システムによれば、データ送信の優先度を3段階に階層化するために、上記特許文献2に記載のように、最上位の送信装置である路上機側から、下位の送信装置である車載機に対し、送信期間や送信方式を指示する制御情報を送信する必要がないので、路上機からの送信電波が車載機に届かない場合であっても、車載機のデータ送信の優先度を2段階に設定して、緊急車両からのデータ送信を、一般車両よりも優先的に実施させることができる。
【0028】
ところで、本発明の無線通信システムにおいては、ランダム送信装置が、他の送信装置から受信した定期送信期間情報を再送信することから、第2定期送信装置の周囲に、第2定期送信装置からの送信電波を受信して第2定期送信期間情報を復元することのできるランダム送信装置が存在すれば、第2定期送信装置からの送信電波を受信できない他の送信装置にも、第2定期送信期間情報が通知されるが、第2定期送信装置からの送信電波を受信して第2定期送信期間情報を復元することのできるランダム送信装置が存在しない場合には、他の送信装置に第2定期送信期間情報を通知することができない。
【0029】
そして、このように、第2定期送信装置から送信された第2定期送信期間情報を、他の送信装置に通知できない場合には、第2定期送信装置からの送信電波が届くエリアと他の送信装置からの送信電波が届くエリアとが重なる一部のエリアで、これら各送信装置からの送信電波が衝突して、その一部のエリアで通信不良が発生することが考えられる。
【0030】
そこで、この問題を防止するには、請求項2に記載のように、第2定期送信装置を、第2定期送信期間内での定期送信を開始した後、通信チャンネルを介して他の送信装置から当該第2定期送信装置自身の第2定期送信期間情報を取得するまで、第2定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させるように構成するとよい。
【0031】
つまり、このようにすれば、第2定期送信装置が送信した第2定期送信期間情報が周囲のランダム送信装置に届き、再送信され易くなり、第2定期送信装置の送信期間が他の送信装置の送信期間と重複して、通信不良が発生するのを抑制できる。
【0032】
また、第2定期送信期間情報を周囲のランダム送信装置に通知するための送信データの送信回数又は送信電力を最小限に抑えることができ、延いては、通信チャンネルの利用効率を高めることができる。
【0033】
次に、ランダム送信装置は、第1定期送信期間情報若しくは第2定期送信期間情報を取得すると、その取得した定期送信期間情報に基づき、自身のランダム送信を禁止する期間を設定するが、例えば、ランダム送信装置が定期送信装置から離れることによって、定期送信期間情報を取得できなくなったときには、その定期送信期間情報に従いランダム送信を禁止する必要がなくなる。
【0034】
しかし、定期送信期間情報を取得できなくなったからといって、直ぐに、その定期送信期間情報に対応した定期送信期間を、ランダム送信禁止期間から排除して、ランダム送信可能期間として設定すると、当該ランダム送信装置からの送信電波と定期送信装置からの送信電波とが届く周囲のエリア内で、これら各送信装置からの送信電波が衝突して、通信不良が発生することが考えられる。
【0035】
このため、ランダム送信装置は、定期送信期間情報を受信することにより、その定期送信期間情報に対応してランダム送信禁止期間を設定した場合には、その後、その定期送信期間情報を受信できなくなっても、所定期間は、その定期送信期間情報に基づきランダム送信を禁止することが望ましい。
【0036】
この場合、そのランダム送信の禁止期間を、第1定期送信期間と第2定期送信期間とで一律に設定してもよいが、第1定期送信装置は、第2定期送信装置よりもデータ送信の優先度が高いので、通常、送信電波の送信電力も第2定期送信装置よりも高く、第1定期送信装置からの送信電波がランダム送信装置からの送信電波に影響を与える期間は、第2定期送信装置からの送信電波よりも長くなるものと考えられる。
【0037】
また、上記のように、第1定期送信装置が路上機として利用され、第2定期送信装置が緊急車両に搭載される優先車載機として利用され、ランダム送信装置が一般車両に搭載される一般車載機として利用される場合、緊急車両は一般車載機に一旦接近しても、直ぐに離れることから、第2定期送信装置からの送信電波がランダム送信装置からの送信電波に影響を与える期間は、第1定期送信装置からの送信電波よりも短くなる。
【0038】
従って、請求項3に記載のように、ランダム送信装置が、第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知して、通信周期毎にその第2定期送信期間内にランダム送信を禁止する第2送信禁止期間は、第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知して、通信周期毎にその第1定期送信期間内にランダム送信を禁止する第1送信禁止期間、よりも短い期間に設定するとよい。
【0039】
そして、このようにすれば、ランダム送信装置がランダム送信を実施する期間を、制限し過ぎ、ランダム送信装置がデータ送信できなくなるのを防止できる。
一方、ランダム送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することで、第1定期送信装置や第2定期送信装置の定期送信期間を、これら各定期送信装置からの送信電波が届かない地域に広範囲に伝送するが、こうした定期送信期間情報の再送信機能は、請求項4に記載のように、第2定期送信装置にも持たせるようにしてもよく、更に請求項5に記載のように、第1定期送信装置にも持たせるようにしてもよい。
【0040】
つまり、請求項4、5に記載のように、第2定期送信装置、若しくは、第1定期送信装置が、自身の定期送信期間内に定期送信を実施する際に、自身の定期送信期間情報に加えて、通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加するようにすれば、第1定期送信装置若しくは第2定期送信装置の周囲にランダム送信装置が存在しない場合にでも、その定期送信装置から送信された定期送信情報が他の定期送信装置から再送信されることがあるので、各定期送信装置の定期送信期間情報を広範囲に伝達することができる。
【0041】
よって、請求項4、5に記載の無線通信システムによれば、各送信装置からの送信電波が衝突して通信不良が発生する確率をより低くすることができる。
また次に、第2定期送信装置は、請求項6に記載のように、第2定期送信期間内に、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから、無線送信を開始するように構成してもよく、或いは、請求項7に記載のように、第2定期送信期間内に、通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始するようにしてもよい。
【0042】
そして、第2定期送信装置を請求項6に記載のように構成した場合には、第2定期送信装置によるデータ送信と他の送信装置によるデータ送信とが衝突して、通信不良が発生するのをより確実に防止することができるようになる。
【0043】
また、逆に、定期送信装置を請求項7に記載のように構成した場合には、第2定期送信装置によるデータ送信と他の送信装置によるデータ送信とが衝突して通信不良が発生する領域があったとしても、その領域以外の領域内のランダム送信装置には、第2定期送信装置からの送信データが届くことになるため、そのランダム送信装置に対して第2定期送信装置からの送信データをより早く伝えることができるようになる。
【0044】
次に、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、他の定期送信装置(第1、第2定期送信装置)と送信タイミングが重複することのないように設定するが、自身の第2定期送信期間が第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複しないようにするには、請求項8〜10の何れかに記載のように構成するとよい。
【0045】
すなわち、まず、請求項8に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知し、その検知した第1定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、これら各定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0046】
このため、請求項8に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することのないように設定若しくは変更することができ、第2定期送信装置からの送信電波と第1定期送信装置からの送信電波が衝突して通信不良が発生するのを防止できる。
【0047】
これに対し、請求項9に記載の無線通信システムにおいては、第2定期送信装置が第2定期送信期間を設定可能な期間が、第1定期送信装置が第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられる。
【0048】
このため、請求項9に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置が設定した第2定期送信期間が、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複して、これら各定期送信装置からの送信電波が衝突するという問題が発生することはなく、その送信電波の衝突により通信不良が発生することはない。
【0049】
また、請求項10に記載の無線通信システムは、請求項9に記載の発明を請求項6に記載のものに適用したものである。
このため、請求項10に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから無線通信を開始することから、第2定期送信装置同士の定期送信期間が重複することはない。
【0050】
従って、各第2定期送信装置は、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を考慮することなく、予め割り当てられている特定期間をそのまま第2定期送信期間として設定するようにしてもよい。
【0051】
しかし、この場合、第2定期送信期間が短いと、周囲に複数の第2定期送信装置が存在する場合に、通信チャンネルにて送信権を取得するのに時間がかかり、データ送信を実施できない第2定期送信装置が発生することが考えられる。
【0052】
また、逆に、各第2定期送信装置が設定する第2定期送信期間が長いと、第2定期送信装置からの送信電波が届くエリア内に第2定期送信装置が1台だけ存在する場合に、1台の第2定期送信装置の定期送信のために第2定期送信装置複数台分の第2定期送信期間が確保されてしまい、ランダム送信装置がランダム送信可能な送信期間を充分確保することができなくなるという問題が発生する。
【0053】
そこで、請求項10に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して得られる受信データに基づき、周囲に存在する第2定期送信装置の台数を認識し、その認識した台数に応じて(台数が少ないほど第2定期送信期間が短く、台数が多いほど第2定期送信期間が長くなるように)、第2定期送信期間を設定する。
【0054】
よって、請求項10に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置の第2定期送信期間が、他の定期送信装置の定期送信期間と重複するのを防止することができるだけでなく、第2定期送信装置同士の定期送信期間の重複を防止するために各第2定期送信装置が確保する共通の第2定期送信期間(詳しくは、特定期間)を必要最小限に抑え、第2定期送信装置とランダム送信装置とによる通信チャンネルの有効利用を図ることができる。
【0055】
次に、請求項8又は請求項9に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、設定した第2定期送信期間が第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することを検知すると、第2定期送信期間をその第1定期送信期間と重複することのないように変更することはできるが、上記構成だけでは、複数の第2定期送信装置の定期送信期間同士が重複することが考えられる。
【0056】
そこで、請求項8又は請求項9に記載の無線通信システムにおいて、複数の第2定期送信装置の定期送信期間同士が重複しないようにするには、更に、請求項11又は請求項12に記載のように構成するとよい。
【0057】
つまり、まず請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、周囲に存在する他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知し、その検知した他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0058】
このため、請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、自身の第2定期送信期間を、第1定期送信装置の第1定期送信期間と重複することのないように設定若しくは変更することができるだけでなく、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間とも重複することのないように設定若しくは変更することができる。
【0059】
よって、請求項11に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置からの送信電波と、第1定期送信装置若しくは他の第2定期送信装置からの送信電波とが衝突して、通信不良が発生するのを防止できる。
【0060】
また、請求項12に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置は、定期送信により当該第2定期送信装置自身の識別情報を含む送信データを送信する。
また、第2定期送信装置は、通信チャンネルを介して他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、その受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、その受信データに含まれる識別情報に基づき、受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該第2定期送信装置自身よりも優先度が高いか否かを判定する。
【0061】
そして、他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複し、且つ、他の第2定期送信装置の優先度が高い場合、第2定期送信装置は、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更する。
【0062】
従って、請求項12に記載の無線通信システムによれば、請求項11と同様の効果が得られるだけでなく、複数の第2定期送信装置の第2定期送信期間同士が重複する場合に、優先度の低い第2定期送信装置の第2定期送信期間だけを変更させるので、その変更により第2定期送信期間同士が再度重複するのを防止できる。
【0063】
つまり、請求項11に記載の無線通信システムでは、2つの第2定期送信装置の第2定期送信期間が重複する場合、2つの第2定期送信装置が、それぞれ、自身の第2定期送信期間を変更することがある。このため、変更後の第2定期送信期間同士が再度重複して、通信不良が発生することが考えられる。
【0064】
しかし、請求項12に記載の無線通信システムによれば、2つの第2定期送信期間が重複する場合には、一方の第2定期送信期間だけが更新されるので、変更後に第2定期送信期間同士が重複するようなことはなく、通信不良が発生するのをより確実に防止することができる。
【0065】
次に、請求項6に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認してから無線通信を開始するので、複数の第2定期送信装置の定期送信期間が重複しても、これら各第2定期送信装置から同時に電波が送信されて、通信不良が発生することはない。
【0066】
しかし、この場合、定期送信期間が重複する複数の第2定期送信装置のうち、定期送信期間の送信タイミングが最も早い第2定期送信装置が常に送信権を取得してデータ送信を開始できることになり、他の第2定期送信装置はデータ送信を開始できなくなってしまう。
【0067】
そこで、請求項6に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置は、請求項13に記載のように、無線送信の待機中にキャリアセンスにより他の第2定期送信装置からの送信電波を受信すると、自身の定期送信期間を変更するようにしてもよい。
【0068】
そして、このようにすれば、定期送信期間が重複する複数の第2定期送信装置のうち、キャリアセンスにより送信権を得ることのできない第2定期送信装置は、自身の定期送信期間を変更するので、キャリアセンスにより送信権を取得し易くなり、第2定期送信装置がデータ送信を実施できなくなるのを防止できる。
【0069】
次に、請求項14に記載の無線通信システムにおいては、第2定期送信装置及びランダム送信装置が、それぞれ、車両に搭載されており、第2定期送信装置は、少なくとも自車両の位置を表す位置情報及び操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信する。
【0070】
このため、請求項14に記載の無線通信システムによれば、第2定期送信装置からの送信信号を受信した装置(ランダム送信装置、他の第2定期送信装置、第1定期送信装置)側では、受信信号から、その信号を送信してきた第2定期送信装置を搭載した車両(以下、特定車両という)の車両情報として位置情報及び操舵情報を取得し、これらの車両情報から、特定車両の位置、速度、進路等を把握することができる。
【0071】
また定期送信装置をこのように構成した場合、ランダム送信装置を搭載した車両(一般車両)側で、第2定期送信装置を搭載した特定車両の進路を把握するには、請求項15に記載のように、ランダム送信装置に、進路推定手段を設けるようにすればよい。
【0072】
つまり、請求項15に記載の無線通信システムにおいて、ランダム送信装置側では、特定車両に搭載された第2定期送信装置から送信された車両情報を受信すると、進路推定手段が、その車両情報に含まれる位置情報及び操舵情報に基づき、特定車両の進路を推定する。
【0073】
従って、ランダム送信装置を搭載した一般車両側では、例えば、進路推定手段による推定結果から、第2定期送信装置を搭載した特定車両が自車両の進行の妨げになるか否かを判定して、特定車両が自車両の走行の妨げになる場合には、運転者等の乗員に対し警報を発する、といったことができるようになり、車両走行時の安全性を向上することができる。
【0074】
具体的には、例えば、バスがバス停から発進したり、右折するような場合には、複数車線を横切ることがあるが、このような場合には、バスが後続する直進車両の妨げになり、後続車両の運転者は、急ブレーキをかけたり、バスを避けるための車線変更をしなければならず、危険である。
【0075】
しかし、このような場合、本発明の第2定期送信装置をバスに搭載して、定期送信にてバスの位置情報や操舵情報を含む車両情報を送信するようにすれば、後続車両に搭載されたランダム送信装置側で、その車両情報(位置情報、操舵情報)に基づきバスの進路を推定して、自車両の進路にバスが進入してくると予測される場合に、運転者に対し警報を発し、安全運転を促すことができる。
【0076】
また、ランダム送信装置を搭載した一般車両側で、第2定期送信装置を搭載した特定車両の進路が自車両の走行の妨げになるか否かを判定するには、進路推定手段にて推定された特定車両の進路と自車両の進路とが重なるか否かを判断すればよく、その進路判定に、ナビゲーション装置等で用いられる地図情報を利用する必要はない。
【0077】
このため、こうした進路判定は、ランダム送信装置内、若しくは、ランダム送信装置に接続される送受信データ入出力用の制御装置内、に設けられる情報処理回路(マイクロコンピュータ等)による判定処理にて、簡単に実行できるようになる。
【0078】
次に、請求項16〜請求項24に記載の発明は、本発明(請求項1〜請求項15)の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置として利用するのに好適な無線通信装置に関する発明である。
【0079】
そして、請求項16に記載の無線通信装置においては、送信手段が、送信データを所定の通信チャンネルの送信信号に変換して無線送信させると共に、受信手段が、その通信チャンネルを介して他の無線通信装置から無線送信されてきた信号を受信して、その受信信号から受信データを復元し、更に、情報抽出手段が、受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出して記憶手段に格納する。
【0080】
また、当該無線通信装置に送信要求が入力されると、定期送信期間設定手段が、送信手段からの無線送信を一定の通信周期毎に許可するための定期送信期間を初期設定すると共に、記憶手段に格納された他の無線通信装置からの定期送信期間情報に基づき、他の無線通信装置と定期送信期間が重複することのないよう、初期設定した定期送信期間を更新し、定期送信許可手段が、上記一定の通信周期毎に、定期送信期間設定手段にて設定及び更新される定期送信期間だけ送信手段からの無線送信を許可し、情報付加手段が、送信手段が送信する送信データに、その定期送信期間を表す定期送信期間情報を付加する。
【0081】
従って、特許文献1に記載の無線通信システムにおいて、請求項16に記載の無線通信装置を第2定期送信装置として追加すれば、上述した請求項1、請求項8若しくは請求項11に記載の無線通信システムを実現できることになる。よって、この請求項16に記載の無線通信装置によれば、これら請求項1、請求項8若しくは請求項11と同様の効果を得ることができる。
【0082】
次に、請求項17に記載の無線通信装置によれば、請求項16に記載のものにおいて、送信手段は、通信周期毎に無線送信を行う定期送信を開始すると、その後、情報抽出手段にて、情報付加手段が送信データに付加した自身の定期送信期間情報が抽出されるまで、定期送信許可手段にて許可された定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させる。
【0083】
従って、請求項17に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項2に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項2と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項18に記載の無線通信装置によれば、請求項17に記載のものにおいて、情報付加手段は、情報抽出手段にて他の無線通信装置の定期送信期間情報が抽出されると、その抽出された他の無線通信装置の定期送信期間情報を、自身の定期送信期間情報と共に送信データに付加する。
【0084】
このため、請求項18に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項4に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項4と同様の効果を得ることができる。
また、請求項19に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項18の何れかに記載のものにおいて、送信手段は、定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、受信手段にて他の無線通信装置から無線送信されてきた信号が受信されているか否かを判断するキャリアセンスにより、通信チャンネルの空き状態を確認してから、送信データの無線送信を開始する。
【0085】
このため、請求項19に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項6に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項6と同様の効果を得ることができる。
また、請求項20に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項18の何れかに記載のものにおいて、送信手段は、定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始する。
【0086】
このため、請求項20に記載の無線通信装置を利用すれば、請求項7に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項7と同様の効果を得ることができる。
また、請求項21に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項20の何れかに記載のものにおいて、定期送信期間設定手段は、通信周期内で定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、定期送信期間を設定及び更新する。
【0087】
従って、請求項21に記載の無線通信装置によれば、請求項9に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項9と同様の効果を得ることができる。
また次に、請求項22に記載の無線通信装置によれば、請求項19に記載のものにおいて、定期送信期間設定手段は、通信周期内で定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で定期送信期間を初期設定すると共に、受信手段にて受信される受信データに基づき周囲に存在する他の無線通信装置の台数を認識して、その認識した台数が多いほど定期送信期間が長くなるよう、定期送信期間を更新する。
【0088】
従って、請求項22に記載の無線通信装置によれば、請求項10に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項10と同様の効果を得ることができる。
また、請求項23に記載の無線通信装置によれば、請求項16〜請求項21の何れかに記載のものにおいて、情報付加手段は、定期送信期間情報に加えて、当該無線通信装置自身の識別情報を、送信手段が送信する送信データに付加する。
【0089】
そして、定期送信期間設定手段は、受信手段にて当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、その受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、その受信データに含まれる識別情報に基づき、受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該定期送信装置よりも優先度が高いか否かを判定し、他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複し、且つ、他の定期送信装置の優先度が高い場合に、他の定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更する。
【0090】
従って、請求項23に記載の無線通信装置によれば、請求項12に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項12と同様の効果を得ることができる。
また、請求項24に記載の無線通信装置によれば、請求項19に記載の無線通信装置において、定期送信期間設定手段は、送信手段が無線送信の待機中にキャリアセンスにより他の無線通信装置からの送信電波が受信されたことが検知されると、その送信電波は当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置からの送信電波であるか否かを判定して、その送信電波が他の第2定期送信装置からの送信電波であれば、自身の定期送信期間を変更する。
【0091】
従って、請求項24に記載の無線通信装置によれば、請求項13に記載の無線通信システムを実現できることになり、請求項13と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【図2】実施形態の無線通信装置の構成を表すブロック図である。
【図3】情報抽出処理を表すフローチャートである。
【図4】定期送信期間情報登録処理を表すフローチャートである。
【図5】重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図6】定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【図7】無線通信装置が路上機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図8】無線通信装置が一般車載機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図9】無線通信装置が優先車載機として動作する際の機能ブロックを表す説明図である。
【図10】路上機、優先車載機、一般車載機の送信期間を表すタイムチャートである。
【図11】路上機と優先車載機との送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図12】優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図13】優先車載機が送信前にキャリアセンスしないことによる効果を説明する説明図である。
【図14】変形例1の路上機の機能ブロックを表す説明図である。
【図15】変形例1の情報抽出処理を表すフローチャートである。
【図16】変形例1の定期送信期間情報登録処理を表すフローチャートである。
【図17】変形例2の路上機と優先車載機との送信期間の違い及び優先車載機の送信タイミングを表すタイムチャートである。
【図18】変形例3の路上機と優先車載機との送信期間の違い及び優先車載機の送信タイミングを表すタイムチャートである。
【図19】変形例3の優先車載機の機能ブロックを表す説明図である。
【図20】変形例4の重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図21】変形例4の優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図22】変形例6の重複期間検知処理を表すフローチャートである。
【図23】変形例6の優先車載機の送信期間が重複したときの動作を表すタイムチャートである。
【図24】変形例8の無線通信システムを説明する説明図である。
【図25】変形例8の特定車両及び一般車両の概略構成を表すブロック図である。
【図26】変形例8の一般車両80にて実行される進路判定処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0093】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[実施形態]
(無線通信システムの概要)
図1は、本発明が適用された実施形態の無線通信システムの構成及び動作の概要を表す説明図である。
【0094】
本実施形態の無線通信システムは、基本的には特許文献1に記載された無線通信システムと同じであり、特許文献1に記載のものと異なる点は、図1(a)に示すように、定期送信を行う路上機2、及び、ランダム送信を行う一般車載機4に加えて、路上機2よりも低く一般車載機4よりも高い優先度で定期送信を行う優先車載機6を備えた点である。
【0095】
ここで、路上機2は、自動車の走行路付近に分散して設置されて一定の通信周期毎に、通信周期よりも短い第1定期送信期間内にて定期送信を行うものであり、本発明の第1定期送信装置に相当する。
【0096】
また、優先車載機6は、救急車等の緊急車両に搭載されて、緊急走行時等に、路上機2と同じ一定の通信周期毎に、第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内にて定期送信を行うものであり、本発明の第2定期送信装置に相当する。
【0097】
そして、これら路上機2及び優先車載機6は、共通の通信チャンネルを利用して定期送信を行う。
また、一般車載機4は、キャリアセンスにより上記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、通信チャンネルが空いていて所定の条件が成立したときに、上記通信チャンネルを利用してランダム送信を行う、CSMA方式の無線通信装置であり、本発明のランダム送信装置に相当する。
【0098】
そして、路上機2及び優先車載機6は、定期送信を実施する際、送信データのヘッダ部分に、自身の送信期間(第1定期送信期間又は第2定期送信期間)を表す定期送信期間情報を含む定期送信情報を付加し、一般車載機4は、受信データに定期送信情報が含まれている場合には、その定期送信情報を送信データに付加することで、受信した定期送信情報を転送する。
【0099】
また、優先車載機6は、受信データに路上機2若しくは他の優先車載機6の定期送信情報が含まれている場合には、その定期送信情報を、自身の定期送信情報と併せて送信データに付加することで、受信した定期送信情報を転送する。
【0100】
なお、定期送信情報は、図1(b)に示すように、定期送信期間の開始タイミングと定期送信期間の長さ(期間長)とを表す定期送信期間情報に、この定期送信期間情報の送信元である路上機2若しくは優先車載機6の識別情報である装置IDと、一般車載機4若しくは優先車載機6による転送回数を付与することにより構成される。
【0101】
そして、路上機2、一般車載機4、若しくは優先車載機6が、自身の定期送信情報若しくは受信した定期送信情報を送信データに付加して送信する際には、定期送信情報に、送信時刻を付与する。
(無線通信装置の構成)
次に、図2は、上述した本実施形態の無線通信システムを構築するのに用いられる無線通信装置1の構成を表すブロック図である。
【0102】
図2(a)に示す無線通信装置1は、本実施形態の路上機2、一般車載機4、及び優先車載機6としての機能を全て有するものであり、路上機2として道路近傍に設置する際や車載機として自動車に搭載する際に、その用途を外部から指定することにより、路上機2、一般車載機4、若しくは優先車載機6として機能させることができる。
【0103】
図2(a)に示すように、無線通信装置1には、外部の制御装置から入力される送信データにヘッダ等の付加情報を付与して出力するデータ送信部10と、データ送信部10から出力された送信データを所定の通信チャンネルでの送信信号(高周波信号)に変換して通信アンテナ(図示せず)に出力する変調処理部12と、通信アンテナにて受信された受信信号を取り込み、他の無線通信装置からの送信データを復元する復調処理部14と、復調処理部14にて復元された受信データからヘッダ等の付加情報を抽出し、受信データが当該無線通信装置1に向けて送信されたものであれば受信データを外部の制御装置に出力するデータ受信部16と、が設けられている。
【0104】
また、無線通信装置1には、定期送信を行う際の定期送信期間(詳しくは第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間)を設定する定期送信期間設定部20、定期送信情報を記憶するための定期送信期間テーブル(具体的にはメモリ)22、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信期間やデータ受信部16にて受信データから抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報に基づき、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報を更新する定期送信期間更新部18、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報(詳しくは自身の定期送信期間情報)に基づき定期送信を実際に行う際の定期送信期間を決定し、データ送信部10に出力する定期送信期間決定部24、及び、ランダム送信を行う際にランダム送信を禁止する期間(ランダム送信禁止期間)を、定期送信期間テーブル22内の定期送信情報(詳しくは他の無線通信装置1から取得した定期送信期間情報)に基づき決定し、データ送信部10に出力するランダム送信禁止期間決定部26、が設けられている。
【0105】
そして、データ送信部10は、定期送信期間決定部24から定期送信期間情報が入力されると、その情報に対応した定期送信期間だけ、送信データの定期送信が可能となり、ランダム送信禁止期間決定部26からランダム送信禁止期間情報が入力されると、その情報に対応したランダム送信禁止期間を除く期間(ランダム送信可能期間)だけ、送信データのランダム送信が可能となる。
【0106】
次に、無線通信装置1には、内部クロックをカウントすることにより時刻を計時する時計32が設けられており、データ送信部10は、この時計32による計時時刻に基づき、定期送信の通信周期、及び、その通信周期内の定期送信期間或いはランダム送信禁止期間を検知し、定期送信或いはランダム送信を制御する。
【0107】
また、時計32には、時計32による計時時刻(詳しくはカウント値)が、定期送信一周期分のカウント値の所定の整数値倍になった時点で、時計32をリセットして、そのカウント値を初期化する、タイマリセット部34が接続されている。
【0108】
また、時計32には、時計32の他の無線通信装置1との同期精度を表す同期精度情報と、時刻差分計算部36にて算出された時刻差情報とに基づき、時計32による計時時刻の補正の要否を判断して、計時時刻の補正が必要なときには時刻補正情報を発生して、時計32による計時時刻を補正する時刻補正判断部38が接続されている。
【0109】
時刻差分計算部36は、データ受信部16にて復元された定期送信情報に付与されている送信時刻情報と、時計32を介して得られる定期送信情報の受信時刻情報とをデータ受信部16から読み込み、定期送信情報を送信若しくは転送してきた無線通信装置1からの送信時刻と当該無線通信装置1での受信時刻との時刻差を算出するものであり、時刻補正判断部38は、その時刻差が後述のガードタイムにて吸収できない程大きい場合に、時計32による計時時刻を補正する。
【0110】
また、無線通信装置1には、上記同期精度情報に基づき、定期送信期間とランダム送信期間との間に設けるガードタイムを決定するガードタイム決定部30が設けられており、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26は、ガードタイム決定部30にて決定されたガードタイムに基づき、定期送信期間若しくはランダム送信禁止期間の開始若しくは終了タイミングを補正する。
【0111】
また、変調処理部12は、データ送信部10からの指令に従い送信データの変調方式(BPSK、QPSK、16QAM等)を設定するようにされており、無線通信装置1には、変調処理部12からその変調方式を表す変調情報を取り込み、この変調情報とデータ送信部10が変調処理部12に出力する送信データのデータ長とに基づき、変調処理部12が送信データを1パケット分変調するのに要する時間(送信時間)を算出する、送信時間判定部28が設けられている。
【0112】
そして、この送信時間判定部28にて求められた送信時間情報は、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26に出力され、定期送信期間決定部24は、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の終了タイミングを送信時間分だけ前に移動させて、定期送信期間を短くすることで、データ送信部10に出力する定期送信期間情報を決定する。
【0113】
また、ランダム送信禁止期間決定部26は、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の開始タイミングを送信時間分だけ前に移動させて、ランダム送信禁止期間を長くすることで、データ送信部10に出力するランダム送信禁止期間情報を決定する。
【0114】
つまり、本実施形態の無線通信装置1は、路上機2若しくは優先車載機6による定期送信期間(第1定期送信期間若しくは第2定期送信期間)と一般車載機4によるランダム送信期間とが、時計32の同期ずれによって重複することのないよう、ガードタイム決定部30にてガードタイムを算出し、そのガードタイムと、送信時間判定部28にて送信データのデータ長から算出された送信時間とを用いて、定期送信期間決定部24若しくはランダム送信禁止期間決定部26にて決定される定期送信期間若しくはランダム送信禁止期間を補正する。
【0115】
また、ガードタイム決定部30にて決定されるガードタイムでは同期ずれを補正できない程、時計32の時刻が他の無線通信装置1とずれている場合には、時刻補正判断部38が時計32による計時時刻を直接補正する。
【0116】
なお、このような補正動作を行うために設けられたガードタイム決定部30、送信時間判定部28、時刻差分計算部36、及び時刻補正判断部38や、定期送信期間決定部24及びランダム送信禁止期間決定部26の動作については、上述した特許文献1に詳細に説明されているので、ここではこれ以上の説明は省略し、次に、本発明の主要部である優先車載機6としての機能を実現するために無線通信装置1に設けられている各部の構成及び動作について説明する。
(データ受信部16)
図2(b)に示すように、データ受信部16は、受信データに含まれる定期送信情報及びこの定期送信情報に付加された送信時刻情報を抽出すると共に、復調処理部14にて受信データの受信時に付加される受信時刻情報を抽出する、送信時刻抽出部42、受信時刻抽出部44、及び定期送信情報抽出部46としての機能を有する。
【0117】
これら各抽出部42、44、46の機能は、無線通信装置1内に設けられたマイクロコンピュータが、図3に示す情報抽出処理を繰り返し実行することによって実現される機能である。
【0118】
図3に示すように、この情報抽出処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、当該無線通信装置1が路上機2として利用されるか、一般車載機4若しくは優先車載機6として利用されるか判定し、当該無線通信装置1が路上機2として利用される場合には、上記各抽出部42、44、46としての機能を実現する必要がないので、そのまま当該情報抽出力を一旦終了する。
【0119】
一方、S110にて、当該無線通信装置1が車載機(つまり一般車載機4若しくは優先車載機6)として利用されると判断されると、S120にて、受信データから送信時刻を抽出し、S130にて、受信データから受信時刻を抽出し、S140にて、受信データから定期送信情報を抽出する、といった手順で、上記各抽出部42、44、46としての処理を実行し、当該情報抽出処理を一旦終了する。
(定期送信期間更新部18)
次に、図2(c)に示すように、定期送信期間更新部18は、定期送信期間設定部20にて設定された定期送信情報や、データ受信部16にて抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報を、定期送信期間テーブル22に登録する定期送信期間マージ部52、及び、定期送信期間設定部20にて設定された定期送信情報とデータ受信部16にて抽出された他の無線通信装置1の定期送信情報とに基づき、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信期間内に他の無線通信装置1の定期送信期間と重複する期間があるか否かを判定して、重複する期間があれば、その旨を表す重複通知情報を定期送信期間設定部20に出力することで、自身の定期送信期間を変更させる重複期間検知部54、を備える。
【0120】
この定期送信期間マージ部52、及び、重複期間検知部54としての機能は、上記各抽出部42、44、46としての機能と同様、マイクロコンピュータによるソフトウェア処理にて実現される。
【0121】
すなわち、定期送信期間マージ部52としての機能は、マイクロコンピュータが図4に示す定期送信期間情報登録処理を実行することにより実現され、重複期間検知部54としての機能は、マイクロコンピュータが図5に示す重複期間検知処理を実行することにより実現される。なお、これら各処理は、マイクロコンピュータにおいて繰り返し実行される。
【0122】
そして、図4に示すように、定期送信期間登録処理では、まずS210にて、当該無線通信装置1が、ランダム送信を行う一般車載機4である、定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6であるかを判定し、無線通信装置1が一般車載機4であれば、S220に移行する。
【0123】
S220では、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていないか否か(換言すれば他の無線通信装置1から取得した定期送信情報は定期送信期間テーブル22に既に登録されているか否か)を判断する。
【0124】
そして、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていない場合(つまり、取得した定期送信情報が未登録の場合)には、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録し、当該処理を一旦終了する。
【0125】
次に、S210にて、当該無線通信装置1が、路上機2若しくは優先車載機6であると判断されると、S240に移行して、当該無線通信装置1は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0126】
そして、S240にて、当該無線通信装置1は、路上機2であると判断されると、そのまま当該処理を終了し、S240にて、当該無線通信装置1は、優先車載機6であると判断されると、S250に移行して、自身の定期送信情報と、データ受信部16にて今回取得した定期送信情報とが同一であるか否か(つまり、自身の定期送信情報が他の無線通信装置1を介して転送されてきたか否か)を判断する。
【0127】
S250にて、自身の定期送信情報と今回取得した定期送信情報とは同一ではないと判断されると、S220に移行して、今回取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録する処理(S220、S230)を実行し、当該処理を終了する。
【0128】
また、S250にて、自身の定期送信情報と今回取得した定期送信情報とが一致している(つまり自身の定期送信情報が他の無線通信装置1を介して転送されてきた)と判断された場合には、そのまま当該処理を終了する。
【0129】
この結果、データ受信部16にて取得した定期送信情報が他の無線通信装置1の定期送信情報であれば、定期送信期間テーブル22に登録されることになる。また、定期送信期間更新部18から定期送信期間テーブル22に出力される定期送信情報は、データ送信部10にも出力されることから、データ受信部16にて取得した定期送信情報は、次回の定期送信時にデータ送信部10から再送信されることになる。
【0130】
次に、図5に示すように、重複期間検知処理では、まず、S260にて、当該無線通信装置1が、優先車載機6であるか否かを判断する。そして、当該無線通信装置1が優先車載機6でなければ、そのまま当該処理を終了し、当該無線通信装置1が優先車載機6であれば、S270に移行する。
【0131】
S270では、定期送信期間設定部20にて設定された自身の定期送信情報と、データ受信部16にて取得された他の無線通信装置1の定期送信情報とに基づき、これら各定期送信情報から得られる定期送信期間に重複する期間があるか否かを判断する。
【0132】
そして、S270にて、自身の定期送信期間と、データ受信部16にて取得された他の無線通信装置1の定期送信期間とに重複する期間があれば、S280に移行して、定期送信期間設定部20にその旨を表す重複通知情報を出力した後、当該処理を一旦終了し、逆に、S270にて重複する期間はないと判断されると、当該処理をそのまま一旦終了する。
【0133】
なお、S280にて、定期送信期間設定部20に重複通知情報を出力すると、定期送信期間設定部20は、図6に示す定期送信期間設定処理にて、定期送信期間を再設定する。
上記のように、定期送信期間更新部18において、定期送信期間マージ部52は、データ受信部16にて新たに取得された他の無線通信装置1の定期送信情報を定期送信期間テーブル22に登録するが、定期送信期間更新部18は、単に定期送信期間テーブル22を更新するだけでなく、データ受信部16にて新たに取得された他の無線通信装置1の定期送信情報をデータ送信部10に出力することで、この定期送信情報を他の無線通信装置1に転送させる。
【0134】
また、定期送信期間更新部18は、定期送信期間テーブル22に登録されている定期送信情報を受信できない場合には、その継続時間を計時して、その計時時間が非同期判定時間に達すると、自車両が、その定期送信情報に対応した無線通信装置1から離れ、その無線通信装置1の定期送信期間内にデータ送信を実施しても問題ないと判断して、定期送信情報を非同期情報に書き換える。
【0135】
そして、定期送信期間更新部18が、定期送信期間テーブル22に登録された定期送信情報を受信できないときに、定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの非同期判定時間には、定期送信情報の送信元が路上機2であるか、優先車載機6であるかによって、異なる時間が設定されている。
【0136】
つまり、非同期判定時間は、優先車載機6からの定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの時間よりも、路上機2からの定期送信情報を非同期情報に書き換えるまでの時間の方が長くなるように、設定されている。
【0137】
この結果、一般車載機4若しくは優先車載機6において、定期送信期間テーブル22には、路上機2からの定期送信情報の方が、優先車載機6からの定期送信情報よりも長く保持されることになる。
(定期送信期間設定部20)
次に、図6は、定期送信期間設定部20としての機能を実現するために、無線通信装置1に設けられたマイクロコンピュータにより繰り返し実行される定期送信期間設定処理を表すフローチャートである。
【0138】
図6に示すように、この処理が開始されると、S310にて、当該無線通信装置1は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判定する。
そして、当該無線通信装置1が路上機2である場合には、S320にて、予め登録された定期送信期間を設定して、当該処理を終了し、逆に、当該無線通信装置1が優先車載機6である場合には、S330にて、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報から、路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間を読み込む。
【0139】
そして、続くS340では、定期送信期間更新部18から、重複通知情報が入力されているか否かを判断し、重複通知情報が入力されていなければ、S350に移行して、S330の処理で読み込んだ路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間と重複しない任意の期間に定期送信期間を設定し、当該処理を一旦終了する。
【0140】
なお、この定期送信期間設定処理は、マイクロコンピュータにて所定周期で繰り返し実行される処理であり、S350にて一旦定期送信期間を設定し、その後S350の処理が繰り返し実行される際には、既に設定されている定期送信期間を変更することなく、そのまま自身の定期送信期間として設定する。
【0141】
一方、S340にて、重複通知情報が入力されたと判断されると、S360に移行する。そして、S360では、既に設定されている自身の定期送信期間が、データ受信部16にて新たに取得された定期送信期間と重複していることから、その新たに取得された定期送信期間、及び、S330の処理で読み込んだ路上機2及び他の優先車載機6の定期送信期間と重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更し、当該処理を一旦終了する。
(データ送信部10)
図2(d)に示すように、データ送信部10は、外部から送信要求と共に入力される送信データに、定期送信期間更新部18から入力される定期送信情報を付加する定期送信情報付加部62と、送信可否判断部64から送信禁止指令が入力されているとき、定期送信情報付加部62にて定期送信情報が付加された送信データを保持し、その送信データのデータ長情報を送信時間判定部28に出力すると共に、送信可否判断部64から送信許可が入力されると、それまで保持していた送信データを出力する送信データ保持部66と、送信データ保持部66から出力された送信データに時計32から読み取った現在時刻(送信時刻情報)を付加し、変調処理部12へ出力する送信時刻付加部68と、から構成されている。
【0142】
送信可否判断部64は、当該無線通信装置1が定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6である場合には、定期送信期間決定部24から入力される定期送信期間情報に従い、定期送信可能なタイミング及び送信時間だけ、送信データ保持部66に送信許可を出力する。
【0143】
一方、送信可否判断部64は、当該無線通信装置1がランダム送信を行う一般車載機4である場合には、ランダム送信禁止期間決定部26から入力されるランダム送信禁止期間情報に従い、ランダム送信可能期間を検知する。
【0144】
そして、送信可否判断部64は、ランダム送信可能期間内に、復調処理部14から、他の無線通信装置1からの送信電波を受信中か否かを表すキャリアセンス信号(図示せず)を取り込み、キャリアセンス信号が入力されない期間が所定期間継続すると、通信チャンネルでの送信権を取得できたと判断して、送信データ保持部66に送信許可を出力する。なお、こうしたCSMA方式のデータ送信については、周知であるので、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0145】
この結果、当該無線通信装置1によるデータ送信の実行期間は、当該無線通信装置1の用途(路上機2、優先車載機6、一般車載機4)に応じて、定期送信期間決定部24にて決定された定期送信期間、若しくは、ランダム送信禁止期間決定部26にて決定されたランダム送信禁止期間を除くランダム送信可能期間、に制限されることになる。
【0146】
なお、定期送信情報付加部62は、定期送信期間更新部18から出力される定期送信情報を送信データに付加するが、その付加する定期送信情報が自身の定期送信情報であれば、転送回数として、初期値「0」(又は上限値「Cmax」)を設定し、付加する定期送信情報がデータ受信部16にて取得された転送用の定期送信情報であれば、定期送信情報の転送回数をインクリメント(+1)(又はデクリメント(−1))する。
【0147】
また、定期送信情報付加部62は、データ受信部16にて取得された定期送信情報の転送回数が上限値「Cmax」(又は下限値「0」)に達していれば、その定期送信情報を送信データへ付加せず、その定期送信情報の転送(再送信)を禁止する。
【0148】
これは、定期送信情報を不必要に転送して、一般車載機4によるランダム送信を制限しすぎるのを防止するためであるが、この点についても、上記特許文献1に記載されているので、ここではこれ以上の説明は省略する。
(路上機2、一般車載機4、優先車載機6としての機能ブロック)
ここで、本実施形態の無線通信装置1が路上機2として利用されるときには、図7に点線で示すように、ランダム送信禁止期間決定部26、ガードタイム決定部30、時刻差分計算部36、時刻補正判断部38の機能が停止されると共に、データ受信部16において、送信時刻抽出部42、受信時刻抽出部44、及び定期送信情報抽出部46としての機能が停止され、定期送信期間更新部18において、重複期間検知部54としての機能が停止される。
【0149】
また、本実施形態の無線通信装置1が一般車載機4として利用されるときには、図8に点線で示すように、定期送信期間設定部20及び定期送信期間決定部24の機能が停止されると共に、定期送信期間更新部18において、重複期間検知部54としての機能が停止される。
【0150】
また、本実施形態の無線通信装置1が優先車載機6として利用されるときには、図9に点線で示すように、ランダム送信禁止期間決定部26の機能が停止されるだけであり、ランダム送信禁止期間決定部26以外の機能は全て利用される。
(実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の無線通信システムは、第1定期送信装置としての路上機2と、第2定期送信装置としての優先車載機6と、ランダム送信装置としての一般車載機4とから構成されている。
【0151】
そして、例えば、2つの路上機2A、2Bと、2つの一般車載機4A、4Bと、2つの優先車載機6A、6Bとが、送信電波が互いに干渉し合う位置に存在するような場合には、これら各無線通信装置が、図10に示すようにデータ送信を行うことになる。
【0152】
すなわち、路上機2A、2Bは、それぞれ、予め設定された互いに異なる定期送信期間(第1定期送信期間)内に、所望データの定期送信を行う。
また、2つの優先車載機6A、6Bは、それぞれ、路上機2A、2Bや他の優先車載機6B又は6A、若しくは一般車載機4A、4Bから取得した定期送信情報に基づき、路上機2A、2Bや他の優先車載機6B又は6Aと定期送信期間が重複しないように自身の定期送信期間(第2定期送信期間)を設定し、その定期送信期間内に、所望データの定期送信を行う。
【0153】
また、一般車載機4A、4Bは、路上機2A、2Bや優先車載機6B、6A、若しくは他の一般車載機4B又は4Aから取得した定期送信情報に基づき、路上機2A、2B及び優先車載機6A、6Bと送信期間が重複することのないようランダム送信禁止期間を設定し、そのランダム送信禁止期間を除くランダム送信可能期間内にて、CSMA方式によるランダム送信を行う。
【0154】
従って、本実施形態の無線通信システムによれば、路上機2、一般車載機4、優先車載機6の内、データ送信の優先度が最も高いのは路上機2となり、データ送信の優先度が最も低いのは一般車載機4となり、優先車載機6は、これらの間の優勢度でデータ送信を実施できる。
【0155】
このため、優先車載機6を搭載した緊急車両は、路上機2から送信されてくる交通情報等を受信しつつ、周囲の一般車両に搭載された一般車載機4に対し自車両の緊急走行を通知するとか、路上機2や周囲の一般車載機4を介して交通センタ等へ自車両の位置や走行状況を通知して、病院等の目的地までより短時間で到達するための経路を取得する、といったことができる。
【0156】
つまり、優先車載機6を搭載した緊急車両は、緊急走行時の安全性を確保しつつ、その緊急走行に必要な情報を取得することができる。
ところで、優先車載機6を緊急車両に搭載すると、その車両の走行に伴い、図11に示すように、優先車載機6が一旦設定した定期送信期間(第2定期送信期間)と、路上機2がデータ送信を行う定期送信期間(第1定期送信期間)とが重複することがある。
【0157】
また、図12に示すように、優先車載機6が一旦設定した定期送信期間(第2定期送信期間)と、他の優先車載機6がデータ送信を行う定期送信期間(第2定期送信期間)とが重複することがある。
【0158】
しかし、優先車載機6は、自身の定期送信期間が、路上機2や他の優先車載機6の定期送信期間と重複した場合、図11、図12に示すように、定期送信期間更新部18の重複期間検知部54と定期送信期間設定部20との機能によって、自身の定期送信期間を、他の定期送信期間から外れるように変更する。
【0159】
このため、優先車載機6の定期送信期間が、長期間、他の無線通信装置(路上機2若しくは他の優先車載機6)の定期送信期間と重複して、優先車載機6がデータ送信を実施できなくなるのを防止できる。
【0160】
また、本実施形態では、優先車載機6は、自身の定期送信期間中、定期送信期間決定部24からデータ送信部10に定期送信期間情報を出力し、データ送信部10内では、送信可否判断部64が、定期送信期間情報から得られる定期送信期間の間、送信データ保持部66に送信許可を出力する。
【0161】
このため、優先車載機6では、一般車載機4のように、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認することなく、定期送信期間内に速やかにデータ送信が実施される。
【0162】
従って、例えば、図13に示すように、優先車載機6Aがビルの角の交差点に進入する際、自身の通信領域内にランダム送信しつつ高速に進入してきた一般車載機4Aが存在しても、優先車載機6Aは、一般車載機4Aからのランダム送信が完了するのを待つことなく、定期送信を実施することになる。
【0163】
このため、優先車載機6Aが進入しようとしている交差点に対し、その進入方向とは異なる方向から他の一般車載機4Bが進入しようとしている場合、優先車載機6Aは、上記定期送信によって、一般車載機4Bに自身の存在を通知することができ、延いては、車両の走行安全性を向上することができる。
【0164】
ここで、本実施形態では、図9に示した優先車載機6において、データ送信部10及び変調処理部12が、本発明の送信手段に相当し、復調処理部14及びデータ受信部16が、本発明の受信手段に相当し、定期送信期間更新部18が、本発明の情報抽出手段に相当し、定期送信期間設定部20が、本発明の定期送信期間設定手段に相当し、定期送信期間決定部24、及び、データ送信部10内の送信可否判断部64が、本発明の定期送信許可手段に相当し、データ送信部10内の定期送信情報付加部62が、本発明の情報付加手段に相当する。
【0165】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
[変形例1]
例えば、上記実施形態では、一般車載機4と優先車載機6とが、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を転送するものとして説明したが、路上機2においても、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を転送するようにしてもよい。
【0166】
そして、この場合には、図14に示すように、路上機2のデータ受信部16内で定期送信情報抽出部46を動作させ、定期送信期間更新部18の定期送信期間マージ部52で、自身の定期送信情報だけでなく、データ受信部16で取得された他の無線通信装置1の定期送信情報についても、データ送信部10に出力するようにすればよい。
【0167】
具体的には、データ受信部16の情報抽出処理を、図3に記載のものから、図15に示すように変更し、S110にて当該無線通信装置1が路上機であると判定されると、S140に移行して、受信データから定期送信情報を抽出するようにする。
【0168】
また、定期送信期間マージ部52としての機能を実現するための定期送信情報登録処理を、図4に記載のものから、図16に示すように変更し、S210にて、当該無線通信装置1が、定期送信を行う路上機2若しくは優先車載機6であると判断されると、S240の判定処理を実行することなく、そのままS250に移行するようにする。
【0169】
この結果、路上機2においても、定期送信期間テーブル22に記憶されている定期送信情報に、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報が含まれていない場合(つまり、取得した定期送信情報が未登録の場合)には、他の無線通信装置1から取得した定期送信情報を定期送信期間テーブル22に追加登録され、その定期送信情報は、データ送信部10にも出力されて、次回の定期送信時に他の無線通信装置1に再送信されることになる。
[変形例2]
次に、上記実施形態では、優先車載機6は、他の無線通信装置1から送信されてきた定期送信情報に基づき、路上機2若しくは他の優先車載機6の定期送信期間を検知し、自身の定期送信期間がその検知した定期送信期間と重複することのないように、自身の定期送信期間を設定・更新するものとして説明したが、例えば、図17に示すように、定期送信の通信周期を、路上機2が定期送信に使用してもよい期間と、優先車載機6が定期送信に使用してもよい期間とに分割し、優先車載機6は、優先車載機6用に割り当てられた期間内で、自身の定期送信期間を設定して、定期送信を行うようにしてもよい。
【0170】
そして、このようにすれば、路上機2と優先車載機6との定期送信期間が重複するのを確実に防止することができる。
なお、この場合、優先車載機6用に割り当てる通信期間は、路上機2用に割り当てる通信期間よりも短くすればよいが、少なくとも、複数の優先車載機6が自身の定期送信期間を設定できるように、各優先車載機6が1回のデータ送信で占有する定期送信期間の数倍の期間に設定することが望ましい。
[変形例3]
一方、変形例2のように、定期送信の通信周期を、路上機2が定期送信に使用してもよい期間と、優先車載機6が定期送信に使用してもよい期間とに分割した場合、図18に示すように、各優先車載機6は、その定期送信に利用可能な期間を自身の定期送信期間として設定し、その定期送信期間内で、一般車載機4と同様のランダム送信を実施するようにしてもよい。
【0171】
そして、この場合には、図19に示すように、優先車載機6において、ランダム送信禁止期間決定部26を動作させると共に、定期送信期間決定部24の動作を停止させ、ランダム送信禁止期間決定部26に、定期送信期間設定部20にて設定・更新される自身の定期送信期間を、ランダム送信可能な期間として入力するようにすればよい。
【0172】
なお、ランダム送信禁止期間決定部26にランダム送信可能期間として入力する定期送信期間は、上記実施形態のように送信データのデータ長に対応して設定するだけではなく、優先車載機6の周囲に存在する他の優先車載機6の数に応じて設定することが望ましい。
【0173】
具体的には、周囲の優先車載機6の数が少ないほど、定期送信期間(ランダム送信可能期間)が短くなり、周囲の優先車載機6の数が多いほど、定期送信期間(ランダム送信可能期間)が長くなるよう、定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定するのである。
【0174】
つまり、このようにすれば、周囲の優先車載機6の数が増えても、各優先車載機6がその定期送信期間内でキャリアセンスにより送信権を取得してランダム送信を実施し得る確率が低下するのを防止することができる。
【0175】
そして、このように定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定するには、重複期間検知部54又はデータ受信部16にて、複数の通信周期内に受信された他の優先車載機6からの受信データの数をカウントし、そのカウント値を重複通知情報として定期送信期間設定部20に入力するようにすればよい。
【0176】
つまり、このようにすれば、定期送信期間設定部20において、周囲の優先車載機6の数に応じて、定期送信期間(ランダム送信可能期間)を設定できるようになる。
[変形例4]
次に、上記実施形態では、優先車載機6は、自身の定期送信期間が路上機2や他の優先車載機6の定期送信期間と重複すると、定期送信期間設定部20にて定期送信期間を再設定するが、この方法では、定期送信期間が重複した2つの優先車載機6が、個々に定期送信期間を再設定することがあり(図12参照)、その再設定により、再度定期送信期間が重複することも考えられる。
【0177】
このため、例えば、優先車載機6には、予め、相互に優先順位を識別可能な識別情報(ID)を割り当てておき、重複期間検知部54にて定期送信期間の重複を判定する際には、図20に示す手順で重複期間検知処理を実行するように構成するとよい。
【0178】
すなわち、図20に示す重複期間検知処理では、S260にて、当該無線通信装置1が優先車載機6であると判定されると、S262にて、定期送信情報の取得先(換言すれば送信元)は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0179】
そして、定期送信情報の取得先が路上機2であれば、S270に移行し、定期送信情報の取得先が優先車載機6であれば、S268にて、その取得先の優先車載機6のIDと自己のIDとを比較することで、優先順位が定期送信情報取得先の優先車載機6に負けているか否かを判断する。
【0180】
そして、優先順位が定期送信情報取得先の優先車載機6に負けていれば、S270に移行し、そうでなければ、重複期間検知処理をそのまま一旦終了する。
この結果、図21に示すように、優先車載機6は、自身の定期送信期間と他の優先車載機6の定期送信期間とが重複すると、自己の優先順位が他の優先車載機6に負けているときにだけ、自身の定期送信期間を、他の優先車載機6と重複することのないように変更することになり、変更後の定期送信期間が、他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
[変形例5]
一方、上記実施形態では、優先車載機6のデータ送信部10では、送信可否判断部64が、定期送信期間決定部24から入力される定期送信期間情報に基づき、自身の定期送信期間中、送信データ保持部66に送信許可を出力することで、一般車載機4のように、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認することなく、送信データを速やかに送信させるものとして説明したが、送信可否判断部64は、定期送信期間に入ると、キャリアセンスにより通信チャンネルの空き状態を確認した上で、送信データ保持部66に送信許可を出力するように構成してもよい。
【0181】
そして、このようにすれば、優先車載機6からのデータ送信は、キャリアセンスの実施のために若干遅れるものの、優先車載機6からの送信電波が他の無線通信装置1による通信に影響を与えたり、優先車載機6からの送信データが他の無線通信装置1に届かなくなるのを、より良好に防止できる。
[変形例6]
また、優先車載機6のデータ送信部10を変形例5のように構成した場合、重複期間検知部54では、図22に示す手順で、重複期間検知処理を実行するようにしてもよい。
【0182】
つまり、図22に示すように、この重複期間検知処理では、S260にて、当該無線通信装置1が優先車載機6であると判定されると、S262にて、定期送信情報の取得先(換言すれば送信元)は、路上機2であるか優先車載機6であるかを判断する。
【0183】
そして、定期送信情報の取得先が路上機2であれば、S270に移行し、定期送信情報の取得先が優先車載機6であれば、S264にて、送信データ保持部66に、キャリアセンスに伴う送信待ちの送信データが保持されているか否かを判断する。
【0184】
そして、送信データ保持部66に送信待ちの送信データが保持されている場合には、S270に移行し、送信データ保持部66に送信待ちの送信データが保持されていなければ、重複期間検知処理をそのまま一旦終了する。
【0185】
この結果、優先車載機6は、図23に示すように、送信データ保持部66にキャリアセンスによる送信待ちの送信データが保持されているとき、データ受信部16にて他の優先車載機6からの定期送信情報が取得されると、その優先車載機6の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複したと判断して、他の優先車載機6と重複することのないように、自身の定期送信期間を変更することになり、変更後の定期送信期間が、他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
【0186】
そして、この場合、他の優先車載機6は、自身の定期送信期間を変更することなく、データ送信を実施することになるので、定期送信期間を変更した優先車載機6は、変更後の定期送信期間が他の優先車載機6の定期送信期間と重複するのを防止できる。
[変形例7]
次に、上記実施形態では、無線通信装置1は、路上機2、一般車載機4、優先車載機6として、予め用途が設定されるものとして説明したが、無線通信装置1は、一般車載機4としても、優先車載機6としても、機能させることができるので、車両走行中に、その機能を切り換えるようにしてもよい。
【0187】
つまり、例えば、一般車両でも、車列の先頭若しくは最後尾に位置しているときや、交差点若しくは合流点への突入時等に、急ブレーキをかけたとき、或いは、事故や車両故障が発生したときには、他の一般車両よりも優先的に情報を送信できるとよい。
【0188】
そこで、一般車両において、車両の走行状態を監視する監視装置が、その走行状態から緊急発信が必要であると判断したときには、無線通信装置1の機能を、一般車載機4から優先車載機6に切り換えるようにするのである。
【0189】
より具体的には、例えば、車両の制動装置に設けられたブレーキセンサにて、運転者による急ブレーキを検知したときや、車両に搭載された衝突センサやエアバッグからの衝突検出信号を受けたとき、或いは、故障診断装置から故障診断結果を受けたときなど、車両の走行状態に異常が発生したときに、監視装置から無線通信装置1に機能切換信号を送信することで、一般車載機4を優先車載機6として機能させるのである。
【0190】
そして、このようにすれば、無線通信装置1の用途を拡大して、車両の走行安全性を高めることができる。
[変形例8]
次に、上記実施形態では、第2定期送信装置としての優先車載機6は、救急車等の緊急車両に搭載されるものとして説明したが、優先車載機6は、バスやタクシー等、不特定多数の人が利用する車両(特定車両)に搭載して、その特定車両の位置や操舵方向を表す車両情報を定期的に送信するようにしてもよい。
【0191】
つまり、バスやタクシー等、不特定多数の人が利用する特定車両70は、図24に示すように、客の乗降のために路肩に停車してから発進するときや、交差点で右折(若しくは左折)するときに、複数車線を横切ることがある。
【0192】
このような進路変更は、後続車両(特に、直進車両)の走行の妨げになることがあり、この場合、後続車両の運転者は、進路変更した特定車両への衝突を避けるために、急ブレーキをかけたり、急な車線変更をしなければならないことがある。
【0193】
そこで、本変形例8では、図24に示すように、第2定期送信装置としての優先車載機6を、バスやタクシー等の特定車両70に搭載し、優先車載機6から、自車両の位置を表す位置情報やステアリングの操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信させることで、特定車両70の周囲を走行する一般車両80(詳しくは一般車載機4を搭載した車両)側で、その車両情報から特定車両70の進路を予測できるようにする。
【0194】
すなわち、図25(a)に示すように、特定車両70には、優先車載機6を設け、その優先車載機6には、マイクロコンピュータにて構成された車両制御用の電子制御装置(所謂ECU)72を介して、自車両の位置を表す位置情報、自車両の速度を表す速度情報、ステアリングの操舵角を表す操舵角情報、及び、方向指示器(所謂、ウィンカ)の切換状態を表すウィンカ情報を、送信データとして入力するように構成する。
【0195】
この結果、特定車両70に搭載された優先車載機6からは、位置情報、速度情報、操舵角情報、及び、ウィンカ情報からなる特定車両70の車両情報が、送信データとして、定期送信されることになる。
【0196】
なお、位置情報は、GPS受信機から得ることができ、速度情報はGPS受信機若しくは車速センサから得ることができ、操舵角情報はステアリングに設けられた操舵角センサから得ることができ、ウィンカ情報は、方向指示器の切換スイッチから得ることができる。
【0197】
一方、図25(b)に示すように、一般車両80には、一般車載機4を設け、一般車載機4にて得られた受信データを、マイクロコンピュータにて構成された車両用の電子制御装置(所謂ECU)82に入力するように構成する。
【0198】
また、電子制御装置82には、自車両の進路を認識できるように、自車両の車両情報である位置情報、速度情報、及び操舵角情報も入力する。
そして、電子制御装置82では、車両制御用の各種演算処理に加えて、図26に示す進路判定処理を実行することで、特定車両70の進路を推定して、特定車両70による進路妨害が発生するか否かを判定する。
【0199】
この進路判定処理は、図26に示す手順で実行される。
すなわち、進路判定処理では、まずS410にて、受信データが、特定車両70からの送信データであるか否か(換言すれば、特定車両70からの送信データを受信したか否か)を判断することにより、特定車両70からの送信データが受信されるのを待つ。
【0200】
そして、S410にて、特定車両70からの送信データが受信されたと判断すると、S420に移行して、その受信データに含まれる特定車両70の車両情報、つまり、上述した位置情報、速度情報、操舵角情報、及びウィンカ情報、を取得し、S430に移行する。
【0201】
S430では、S420で取得した車両情報の内、ウィンカ情報が、特定車両70の進路変更(右折若しくは左折)を表すオン状態になっているか否かを判断し、ウィンカ情報がオン状態でなければ、S410に移行し、ウィンカ情報がオン状態であれば、S440に移行する。
【0202】
そして、S440では、S420で取得した特定車両70の位置情報、速度情報、及び操舵角情報に基づき、特定車両70の進路を予測する。具体的には、S420にて繰り返し取得される特定車両70の位置情報、速度情報、及び操舵角情報の時系列変化に基づき、特定車両70の現在位置からの進路を、図24に点線で示すように予測(推定)する。
【0203】
また次に、S450では、自車両の車両情報である位置情報、速度情報、及び操舵角情報に基づき、自車両の現在位置からの進路を検出する。
そして、S460では、S450にて検出した自車両の進路が、S440にて予測(推定)した特定車両70の進路と交差するか否かを予測し、自車両の進路が特定車両70の進路と交差することが予測されない場合には、S410に移行する。
【0204】
一方、S460にて、自車両の進路が特定車両70の進路と交差すると予測された場合には、S470に移行し、警報装置84を駆動することで、その旨を車両乗員に報知した後、当該進路判定処理を一旦終了し、その後、所定時間経過した後、当該進路判定処理を開始する。
【0205】
このように、変形例8の無線通信システムにおいては、一般車両80に搭載された一般車載機4が、特定車両70に搭載された優先車載機6からの送信データを受信し、その送信データに含まれる特定車両70の車両情報を取得すると、その車両情報(位置情報、速度情報、及び操舵角情報)から、特定車両70の進路を予測(推定)し、その進路が、自車両の進路と交差するか否かを判断することで、特定車両70と自車両とが衝突する可能性があるか否かを判断する。
【0206】
そして、自車両の進路が特定車両70の進路と交差し、自車両が特定車両70と衝突する可能性がある場合には、警報装置84から警報を発することで、運転者等にその旨を通知する。
【0207】
このため、本実施形態の無線通信システムによれば、バスやタクシーなどを特定車両70として、優先車載機6を搭載させることにより、その特定車両70の進路変更により、周囲の一般車両80の進路が妨げられて、危険な状態になる前に、一般車両80の運転者等に対し警報を発し、安全運転を促すことができる。
【0208】
なお、本変形例8では、特定車両70に搭載される優先車載機6からは、特定車両70の車両情報として、位置情報、速度情報、操舵角情報及びウィンカ情報を送信するものとして説明したが、特定車両70の速度は、位置情報の変化から算出することができることから、速度情報は必ずしも送信する必要はない。
【0209】
また、ウィンカ情報は、S440以降の処理を実施すべきか否かを速やかに判定するのに利用されるが、特定車両70の進路の予測には特に必要はないため、ウィンカ情報についても、必ずしも送信する必要はない。
【0210】
一方、特定車両70の進路は、位置情報とウィンカ情報(進路の変更方向を表す情報)とから推定することもできる。
このため、優先車載機6からは、少なくとも、位置情報と車両の操舵方向を表す情報(つまり、速度情報と操舵角情報、若しくは、速度情報とウィンカ情報)を、特定車両の車両情報として送信するようにしても、一般車両80側で、その車両情報から特定車両70の進路を予測(推定)することができる。
【0211】
また、本変形例8では、電子制御装置82にて実行される進路判定処理にて、本発明の進路推定手段としての機能が実現されるが、この進路判定処理は、一般車載機4に設けられるマイクロコンピュータにて実行するようにしてもよい。
【0212】
また、警報装置84としては、警告音をスピーカ等から発生するものであってもよく、警告音を発生すると同時に、運転者が視認可能な領域でLED等の警報ランプを点灯若しくは点滅させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0213】
1…無線通信装置、2…優先車載機、4…一般車載機、6…優先車載機、10…データ送信部、12…変調処理部、14…復調処理部、16…データ受信部、18…定期送信期間更新部、20…定期送信期間設定部、22…定期送信期間テーブル、24…定期送信期間決定部、26…ランダム送信禁止期間決定部、28…送信時間判定部、30…ガードタイム決定部、32…時計、34…タイマリセット部、36…時刻差分計算部、38…時刻補正判断部、42…送信時刻抽出部、44…受信時刻抽出部、46…定期送信情報抽出部、52…定期送信期間マージ部、54…重複期間検知部、62…定期送信情報付加部、64…送信可否判断部、66…送信データ保持部、68…送信時刻付加部、70…特定車両、72…電子制御装置、80…一般車両、82…電子制御装置、84…警報装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定の通信周期毎に、該通信周期よりも短い第1定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、当該定期送信時には、前記第1定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する第1定期送信装置と、
前記通信チャンネルを利用して、前記一定の通信周期毎に、前記第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、当該定期送信時には、前記第2定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する第2定期送信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有すると共に、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から定期送信期間情報を含むデータを受信すると、該定期送信期間情報に基づき前記第1定期送信装置若しくは前記第2定期送信装置の定期送信期間を検知し、その後所定期間の間、当該定期送信期間内にランダム送信を実施するのを禁止し、しかも、ランダム送信時には、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加するランダム送信装置と、
からなる複数種類の無線通信装置が混在し、各無線通信装置が前記通信チャンネルを利用して無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、他の定期送信装置と送信タイミングが重複することのないよう前記第2定期送信期間を設定することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内での定期送信を開始した後、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から当該第2定期送信装置自身の第2定期送信期間情報を取得するまで、前記第2定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ランダム送信装置において、前記第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知して前記通信周期毎に当該第2定期送信期間内にランダム送信を禁止する第2送信禁止期間は、前記第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知して前記通信周期毎に当該第1定期送信期間内にランダム送信を禁止する第1送信禁止期間よりも短い期間に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に定期送信を実施する際、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1定期送信装置は、前記第1定期送信期間内に定期送信を実施する際、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に、キャリアセンスにより前記通信チャンネルの空き状態を確認してから無線送信を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に、前記通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、前記第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知し、該検知した第1定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、これら各定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第2定期送信装置が前記第2定期送信期間を設定可能な期間は、前記第1定期送信装置が前記第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、前記一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第2定期送信装置が前記第2定期送信期間を設定可能な期間は、前記第1定期送信装置が前記第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、前記一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられており、
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して得られる受信データに基づき、周囲に存在する第2定期送信装置の台数を認識し、該認識した台数に応じて前記第2定期送信期間を設定することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、周囲に存在する他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知し、該検知した他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第2定期送信装置は、
前記定期送信にて当該第2定期送信装置自身の識別情報を含む送信データを送信し、
前記通信チャンネルを介して他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、該受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、該受信データに含まれる識別情報に基づき、該受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該第2定期送信装置自身よりも優先度が高いか否かを判定し、
他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複し、且つ、他の第2定期送信装置の優先度が高い場合に、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第2定期送信装置は、無線送信の待機中に前記キャリアセンスにより他の第2定期送信装置からの送信電波を受信すると、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第2定期送信装置及び前記ランダム送信装置は、それぞれ、車両に搭載されており、前記第2定期送信装置は、少なくとも自車両の位置を表す位置情報及び操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信することを特徴とする請求項1〜請求項13の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記ランダム送信装置は、
前記第2定期送信装置から前記車両情報を受信すると、該車両情報に含まれる前記位置情報及び前記操舵情報に基づき、当該車両情報を送信してきた第2定期送信装置を搭載した車両の進路を推定する進路推定手段、
を備えたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項16】
請求項1〜請求項15の何れか1項に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置として用いられる無線通信装置であって、
送信データを所定の通信チャンネルの送信信号に変換して無線送信させる送信手段と、
前記通信チャンネルを介して他の無線通信装置から無線送信されてきた信号を受信し、受信信号から受信データを復元する受信手段と、
前記受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出し、記憶手段に格納する情報抽出手段と、
送信要求が入力されると、前記送信手段からの無線送信を一定の通信周期毎に許可するための定期送信期間を初期設定すると共に、前記記憶手段に格納された他の無線通信装置からの定期送信期間情報に基づき、他の無線通信装置と定期送信期間が重複することのないよう、前記初期設定した定期送信期間を更新する定期送信期間設定手段と、
前記通信周期毎に、前記定期送信期間設定手段にて設定及び更新される定期送信期間だけ、前記送信手段からの無線送信を許可する定期送信許可手段と、
前記送信手段が送信する送信データに、前記定期送信許可手段が前記送信手段に無線送信を許可する定期送信期間を表す定期送信期間情報を付加する情報付加手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項17】
前記送信手段は、前記通信周期毎に無線送信を行う定期送信を開始すると、その後、前記情報抽出手段にて、前記情報付加手段が送信データに付加した自身の定期送信期間情報が抽出されるまで、前記定期送信許可手段にて許可された定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させることを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記情報付加手段は、前記情報抽出手段にて他の無線通信装置の定期送信期間情報が抽出されると、該抽出された他の無線通信装置の定期送信期間情報を、自身の定期送信期間情報と共に前記送信データに付加することを特徴とする請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記送信手段は、前記定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、前記受信手段にて他の無線通信装置から無線送信されてきた信号が受信されているか否かを判断するキャリアセンスにより、前記通信チャンネルの空き状態を確認してから、前記送信データの無線送信を開始することを特徴とする請求項16〜請求項18の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項20】
前記送信手段は、前記定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、前記通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始することを特徴とする請求項16〜請求項18の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記定期送信期間設定手段は、前記通信周期内で前記定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、前記定期送信期間を設定及び更新することを特徴とする請求項16〜請求項20の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項22】
前記定期送信期間設定手段は、前記通信周期内で前記定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、前記定期送信期間を初期設定すると共に、前記受信手段にて受信される受信データに基づき周囲に存在する他の無線通信装置の台数を認識して、該認識した台数が多いほど前記定期送信期間が長くなるよう、前記定期送信期間を更新することを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項23】
前記情報付加手段は、前記定期送信期間情報に加えて、当該無線通信装置自身の識別情報を、前記送信手段が送信する送信データに付加し、
前記定期送信期間設定手段は、前記受信手段にて当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、該受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、該受信データに含まれる識別情報に基づき、該受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該定期送信装置よりも優先度が高いか否かを判定し、他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複し、且つ、他の定期送信装置の優先度が高い場合に、他の定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項16〜請求項21の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項24】
前記定期送信期間設定手段は、前記送信手段が無線送信の待機中に前記キャリアセンスにより他の無線通信装置からの送信電波が受信されたことが検知されると、該送信電波は当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置からの送信電波であるか否かを判定して、該送信電波が他の第2定期送信装置からの送信電波であれば、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項1】
所定の通信チャンネルを利用して、予め設定された一定の通信周期毎に、該通信周期よりも短い第1定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、当該定期送信時には、前記第1定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する第1定期送信装置と、
前記通信チャンネルを利用して、前記一定の通信周期毎に、前記第1定期送信期間とは異なる第2定期送信期間内に無線送信を行う定期送信機能を有し、当該定期送信時には、前記第2定期送信期間を表す定期送信期間情報を含む送信データを送信する第2定期送信装置と、
送信要求が発生した際、前記通信チャンネルが空いているか否かを判定して、前記通信チャンネルが空いているときに無線送信を行うランダム送信機能を有すると共に、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から定期送信期間情報を含むデータを受信すると、該定期送信期間情報に基づき前記第1定期送信装置若しくは前記第2定期送信装置の定期送信期間を検知し、その後所定期間の間、当該定期送信期間内にランダム送信を実施するのを禁止し、しかも、ランダム送信時には、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加するランダム送信装置と、
からなる複数種類の無線通信装置が混在し、各無線通信装置が前記通信チャンネルを利用して無線通信を行う無線通信システムであって、
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、他の定期送信装置と送信タイミングが重複することのないよう前記第2定期送信期間を設定することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内での定期送信を開始した後、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から当該第2定期送信装置自身の第2定期送信期間情報を取得するまで、前記第2定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ランダム送信装置において、前記第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知して前記通信周期毎に当該第2定期送信期間内にランダム送信を禁止する第2送信禁止期間は、前記第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知して前記通信周期毎に当該第1定期送信期間内にランダム送信を禁止する第1送信禁止期間よりも短い期間に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に定期送信を実施する際、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記第1定期送信装置は、前記第1定期送信期間内に定期送信を実施する際、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から取得した定期送信期間情報を送信データに付加することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に、キャリアセンスにより前記通信チャンネルの空き状態を確認してから無線送信を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2定期送信装置は、前記第2定期送信期間内に、前記通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、前記第1定期送信装置の第1定期送信期間を検知し、該検知した第1定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、これら各定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記第2定期送信装置が前記第2定期送信期間を設定可能な期間は、前記第1定期送信装置が前記第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、前記一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記第2定期送信装置が前記第2定期送信期間を設定可能な期間は、前記第1定期送信装置が前記第1定期送信期間として利用可能な期間と重複することのないよう、前記一定の通信周期内の特定期間に予め割り当てられており、
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して得られる受信データに基づき、周囲に存在する第2定期送信装置の台数を認識し、該認識した台数に応じて前記第2定期送信期間を設定することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記第2定期送信装置は、前記通信チャンネルを介して他の送信装置から送信されてきた定期送信期間情報に基づき、周囲に存在する他の第2定期送信装置の第2定期送信期間を検知し、該検知した他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と、自身の送信期間である第2定期送信期間とが重複している場合には、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記第2定期送信装置は、
前記定期送信にて当該第2定期送信装置自身の識別情報を含む送信データを送信し、
前記通信チャンネルを介して他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、該受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、該受信データに含まれる識別情報に基づき、該受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該第2定期送信装置自身よりも優先度が高いか否かを判定し、
他の第2定期送信装置の第2定期送信期間と自身の第2定期送信期間とが重複し、且つ、他の第2定期送信装置の優先度が高い場合に、他の第2定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の第2定期送信期間を変更することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記第2定期送信装置は、無線送信の待機中に前記キャリアセンスにより他の第2定期送信装置からの送信電波を受信すると、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記第2定期送信装置及び前記ランダム送信装置は、それぞれ、車両に搭載されており、前記第2定期送信装置は、少なくとも自車両の位置を表す位置情報及び操舵方向を表す操舵情報を含む車両情報を定期送信することを特徴とする請求項1〜請求項13の何れか1項に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記ランダム送信装置は、
前記第2定期送信装置から前記車両情報を受信すると、該車両情報に含まれる前記位置情報及び前記操舵情報に基づき、当該車両情報を送信してきた第2定期送信装置を搭載した車両の進路を推定する進路推定手段、
を備えたことを特徴とする請求項14に記載の無線通信システム。
【請求項16】
請求項1〜請求項15の何れか1項に記載の無線通信システムにおいて、第2定期送信装置として用いられる無線通信装置であって、
送信データを所定の通信チャンネルの送信信号に変換して無線送信させる送信手段と、
前記通信チャンネルを介して他の無線通信装置から無線送信されてきた信号を受信し、受信信号から受信データを復元する受信手段と、
前記受信手段にて復元された受信データの中から定期送信期間情報を抽出し、記憶手段に格納する情報抽出手段と、
送信要求が入力されると、前記送信手段からの無線送信を一定の通信周期毎に許可するための定期送信期間を初期設定すると共に、前記記憶手段に格納された他の無線通信装置からの定期送信期間情報に基づき、他の無線通信装置と定期送信期間が重複することのないよう、前記初期設定した定期送信期間を更新する定期送信期間設定手段と、
前記通信周期毎に、前記定期送信期間設定手段にて設定及び更新される定期送信期間だけ、前記送信手段からの無線送信を許可する定期送信許可手段と、
前記送信手段が送信する送信データに、前記定期送信許可手段が前記送信手段に無線送信を許可する定期送信期間を表す定期送信期間情報を付加する情報付加手段と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項17】
前記送信手段は、前記通信周期毎に無線送信を行う定期送信を開始すると、その後、前記情報抽出手段にて、前記情報付加手段が送信データに付加した自身の定期送信期間情報が抽出されるまで、前記定期送信許可手段にて許可された定期送信期間内での送信データの送信回数又は送信電力を増加させることを特徴とする請求項16に記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記情報付加手段は、前記情報抽出手段にて他の無線通信装置の定期送信期間情報が抽出されると、該抽出された他の無線通信装置の定期送信期間情報を、自身の定期送信期間情報と共に前記送信データに付加することを特徴とする請求項17に記載の無線通信装置。
【請求項19】
前記送信手段は、前記定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、前記受信手段にて他の無線通信装置から無線送信されてきた信号が受信されているか否かを判断するキャリアセンスにより、前記通信チャンネルの空き状態を確認してから、前記送信データの無線送信を開始することを特徴とする請求項16〜請求項18の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項20】
前記送信手段は、前記定期送信許可手段にて無線送信が許可されると、前記通信チャンネルの空き状態を確認することなく無線送信を開始することを特徴とする請求項16〜請求項18の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項21】
前記定期送信期間設定手段は、前記通信周期内で前記定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、前記定期送信期間を設定及び更新することを特徴とする請求項16〜請求項20の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項22】
前記定期送信期間設定手段は、前記通信周期内で前記定期送信期間を設定可能な期間として予め割り当てられた特定期間内で、前記定期送信期間を初期設定すると共に、前記受信手段にて受信される受信データに基づき周囲に存在する他の無線通信装置の台数を認識して、該認識した台数が多いほど前記定期送信期間が長くなるよう、前記定期送信期間を更新することを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【請求項23】
前記情報付加手段は、前記定期送信期間情報に加えて、当該無線通信装置自身の識別情報を、前記送信手段が送信する送信データに付加し、
前記定期送信期間設定手段は、前記受信手段にて当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置から送信された送信データを受信すると、該受信データに含まれる定期送信期間情報に基づき他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複するか否かを判定すると共に、該受信データに含まれる識別情報に基づき、該受信データを送信してきた他の第2定期送信装置が当該定期送信装置よりも優先度が高いか否かを判定し、他の第2定期送信装置の定期送信期間と自身の定期送信期間とが重複し、且つ、他の定期送信装置の優先度が高い場合に、他の定期送信装置と定期送信期間が重複することのないよう、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項16〜請求項21の何れか1項に記載の無線通信装置。
【請求項24】
前記定期送信期間設定手段は、前記送信手段が無線送信の待機中に前記キャリアセンスにより他の無線通信装置からの送信電波が受信されたことが検知されると、該送信電波は当該無線通信装置と同種の他の第2定期送信装置からの送信電波であるか否かを判定して、該送信電波が他の第2定期送信装置からの送信電波であれば、自身の定期送信期間を変更することを特徴とする請求項19に記載の無線通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−257199(P2012−257199A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62348(P2012−62348)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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