説明

無線通信システム

【課題】スペクトルを利用する1次利用システムと1次利用システムが利用していない空きスペクトルを利用する2次利用システムにより、スペクトルの干渉を発生させないようにして、スペクトルを効率的に利用する無線通信システムを提供する。
【解決手段】基地局と端末から構成される無線通信システムであって、スペクトルを2次利用システムでの利用を許可するか不可とするかの2次利用許可情報が設定されるスペクトル管理テーブル421と、スペクトルが利用されていないかを検出するスペクトルセンシング手段113aと、2次利用が許可されているスペクトルについて、スペクトルセンシング手段113aにより1次利用システムで利用されていないスペクトルの2次利用を決定する利用スペクトル決定手段113bとを備え、利用スペクトル決定手段113bにより決定したスペクトルを、2次利用システムで利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに係り、特に1次利用システムと2次利用システムを含んだ無線通信システムにおいて、2次利用システムの1次利用システムへの干渉を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信の発展に伴い、周波数(以下、スペクトルという)利用の高効率化が求められている。現状、既存の無線通信システム(以下、1次利用システムという)では、空間的、時間的に常にスペクトルを使用している訳ではなく、周波数利用率は低い状況にある(混雑している都市部でも周波数瞬時利用率は80%以下という調査報告もある)。周波数資源をより効率的に利用するため、1次利用システムで使用されていない周波数(以下、空きスペクトルという)を2次的に利用する無線通信システム(以下、2次利用システムという)という概念が注目されている。上記概念における、1次利用システムと2次利用システムがスペクトルを同時利用する周波数共用型無線通信システムでは、2次利用システムが、1次利用システムに干渉を与えないように利用することが要求されている。複数の基地局及び端末で構成される無線通信システムの従来技術として、基地局及び端末のグループ分けを行い、基地局及び端末が利用するスペクトルの干渉が発生しないようにグループごとに利用するスペクトルを決め、このスペクトルを利用する1次利用システムと、1次利用システムが利用していないスペクトルを利用する2次利用システムで構成したものがある。この従来技術について図面を参照して説明する。
【0003】
図6に、従来技術による上記2次利用システムを含む無線通信システムの一例を無線通信システム10としてその構成を示す。無線通信システム10は、グループA、グループB、グループC、スペクトル管理サーバ400及びネットワーク500から構成されている。グループAは、基地局110、端末121、端末122及び端末123から構成され、基地局110とネットワーク500は回線130により接続されている。グループBは、基地局210、端末221、端末222及び端末223から構成され、基地局210とネットワーク500は回線230により接続されている。グループCは、基地局310、端末321、端末322及び端末323から構成され、基地局310とネットワーク500は回線330により接続されている。スペクトル管理サーバ400は、集中管理手段410とスペクトル管理テーブル420を備え、ネットワーク500と回線430により接続されている。
【0004】
基地局110は、固定局または移動局であり、端末121、端末122及び端末123と通信を行う。また、基地局110は、ネットワーク500を介してスペクトル管理サーバ400と接続し、スペクトル管理サーバ400から送信される後述するスペクトル管理テーブル420の情報及び災害発生などの非常時における運用指示を受信し、端末121、端末122及び端末123から受信するスペクトルの利用状態をスペクトル管理サーバ400に送信する。端末121、端末122及び端末123は、固定機器または移動機器であり、基地局110を介してあるいは直接端末間で通信を行う。回線130は、有線回線または無線回線であり、基地局110とネットワーク500を接続する。基地局210及び基地局310については、基地局110と同じ機能を備えている。端末221、端末222、端末223、端末321、端末322及び端末323については、端末121〜端末123と同じ機能を備えている。したがって、グループB、グループCはグループAと同様の構成となっており、同様に動作するので、以降の説明では主にグループAの基地局110、端末121〜端末123について説明し、その他は適宜説明する。
【0005】
スペクトル管理サーバ400は、ネットワーク500を介して基地局110と接続し、スペクトルの管理を行うサーバである。スペクトル管理サーバ400の集中管理手段410は、グループA、グループB及びグループCが同じスペクトルを利用したときでも干渉しないようにするために、グループA、グループB及びグループCの位置から干渉の有無を判断し、この判断結果に基づいてグループ間の干渉を回避できるようにスペクトルの割り当てを行う手段である。スペクトル管理サーバ400のスペクトル管理テーブル420は、スペクトルごとのキャリア周波数、伝送帯域幅などの情報と、スペクトルの利用を許可するグループ、基地局110、基地局210、基地局310または端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323(以下、局という)の情報が設定されるテーブルであり、集中管理手段410により予め決められた周期で更新される。
【0006】
次に、図7に示すスペクトル管理テーブル420の構成について説明する。スペクトル管理テーブル420は、(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d)伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力及び(g)利用許可グループ/局の項目から構成されているテーブルである。(a)キャリア周波数は、スペクトルの周波数(Hz)が設定される項目である。(b)帯域幅は、キャリア周波数の範囲が設定される項目である。(c)1次利用通信系名は、基地局110、基地局210、基地局310、端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323及びスペクトル管理サーバ400の間でチャネル制御により送受信される通信システム(以下、通信系という)の名称が設定される項目である。(d)伝送情報種別は、通信データのデータ種別が設定される項目で、「共通制御」、「グループ内共通制御」、又は「ユーザデータ」のいずれかが設定される。「共通制御」は、全てのグループの共通制御チャネルにより通信される制御情報であることを示し、スペクトル管理サーバ400から基地局110、基地局210、基地局310に送信されるスペクトル管理テーブル420の情報及び災害発生などの非常時における運用指示などの制御情報である。「グループ内共通制御」は、特定のグループ内の端末の制御チャネルにより通信される制御情報であることを示し、例えば基地局110が端末121〜端末123に送信するスペクトル管理テーブル420の情報及び災害発生などの非常時における運用指示の制御情報、又は端末121〜端末123が基地局110に送信するスペクトルの利用状態のデータなどの情報である。「ユーザデータ」は、映像データ、音声データ、文字データなどのユーザが送受信する通信データである。(e)電波形式は、電波の変調方式等が設定される項目である。(f)送信出力は、電波の送信電力が設定される項目である。(g)利用許可グループ/局は、1次利用システムにおいて(a)キャリア周波数の利用が許可されているグループのグループ名とそのグループの局が設定される項目である。例えば、図6に示すようにグループA、グループB及びグループCがあり、グループAとグループBについて干渉の危険があり、グループAとグループC及びグループBとグループCについて干渉の危険がないときは、グループは、「A、C」又「B」と分けられ、(g)利用許可グループ/局にはこのグループ名が設定される。更に、各グループ内の全ての局に利用を許可するのであれば(g)利用許可グループ/局には「全局」が設定される。(d)伝送情報種別の「共通制御」については、全てのグループで共通に利用される制御情報であるので、(g)利用許可グループ/局には、「A/全局、B/全局、C/全局」が設定される。また、(d)伝送情報種別の「グループ内共通制御」については、グループ内で共通に利用される制御情報であるので、(g)利用許可グループ/局には、「A/全局、C/全局」または「B/全局」が設定される。また、グループAの基地局110に利用を許可するのであれば「A/基地局110」が(g)利用許可グループ/局に設定され、グループAの端末121に利用を許可するのであれば「A/端末121」が(g)利用許可グループ/局に設定される。
【0007】
次に、図8に示す従来技術の無線通信システム10に係るスペクトル利用手順について説明する。図8(1)は、1次利用システムにおいて、グループAまたはグループCが全ての通信系のスペクトルを利用している状態を示す図である。以下、図7に示すスペクトル管理テーブル420を参照してグループAまたはグループCの通信系0から順番に通信系6までの利用手順について説明する。(c)1次利用通信系名の「通信系0」に対応する(a)キャリア周波数は「F0」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/全局、B/全局、C/全局」が設定されているので、通信系0は全グループ/全局により「共通制御」の送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系1」に対応する(a)キャリア周波数は「F1」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/全局、C/全局」が設定されているので、通信系1はグループA/全局とグループC/全局により「グループ内共通制御」の送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系2」に対応する(a)キャリア周波数は「F2」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/基地局110、C/基地局310」が設定されているので、通信系2はグループA/基地局110とグループC/基地局310のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系3」に対応する(a)キャリア周波数は「F3」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/基地局110、C/基地局310」が設定されているので、通信系3はグループA/基地局110とグループC/基地局310のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系4」に対応する(a)キャリア周波数は「F4」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末121、C/端末321」が設定されているので、通信系4はグループA/端末121とグループC/端末321のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系5」に対応する(a)キャリア周波数は「F5」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末122、C/端末322」が設定されているので、通信系5はグループA/端末122とグループC/端末322のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名の「通信系6」に対応する(a)キャリア周波数は「F6」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末123、C/端末323」が設定されているので、通信系6はグループA/端末123とグループC/端末323のデータの送受信で利用されている状態である。
【0008】
図8(2)は、ある時間帯において、グループAの端末123が検出したグループAとグループCのスペクトルの利用状態を示す図である。通信系0のキャリア周波数「F0」と通信系1のキャリア周波数「F1」は、ユーザデータの伝送では利用できないので検出対象外となっている。通信系2のキャリア周波数「F2」と通信系5のキャリア周波数「F5」は利用されていない状態の「空き」となっている。通信系3のキャリア周波数「F3」、通信系4のキャリア周波数「F4」及び通信系6のキャリア周波数「F6」については利用している状態の「利用中」であり、特に通信系6のキャリア周波数「F6」はグループAの端末123自身が利用している。このようにある時間帯でグループAの端末123が図8(2)に示すような状態を検出したときに、グループAの端末123は通信系2のキャリア周波数「F2」または通信系5のキャリア周波数「F5」の利用が可能となる。そして、グループAの端末123が空いている通信系5のキャリア周波数「F5」を利用すると、図8(3)に示すように通信系5のキャリア周波数「F5」が2次利用システムの通信系1(1次利用システムと2次利用システムでは通信系の名称が異なるように設定してもよい)による利用状態となる。尚、1次利用システムと2次利用システムは、スペクトル管理サーバ400の集中管理手段410によって実行される処理である。
【0009】
次に、図9に示す従来技術の無線通信システム10に係る時間経過におけるスペクトル間の状態遷移について、図8を参照して説明する。図9は、通信系0〜通信系6のキャリア周波数について、時間経過の順にこれらの通信系の状態遷移を示す図である。時間軸のA点までは図8(1)に対応する部分であり、通信系0〜通信系6のキャリア周波数は、全て利用されている状態である。次の時間軸のA点からB点の間は図8(3)に対応する部分であり、通信系0、通信系1、通信系3及び通信系6については利用されている状態であるが、通信系2は空いている状態であり、また通信系5は2次利用システムによりグループAの端末123により通信系1として利用されている状態である。次の時間軸のB点以降は、再び図8(1)に対応する部分であり、通信系0〜通信系6のキャリア周波数は、全て利用されている状態である。
【0010】
次に、図9(2)を用いて従来技術の2次利用システムにおいて、グループAの端末123がスペクトルの利用状態を検出するときの遅れによりスペクトルの干渉が発生する現象を説明する。図9(2)(ア)は、1次利用システムの実際のスペクトル利用状態の時間的変化を示し、A点で利用を停止し、B点で利用を再開している。しかし、図9(2)(イ)に示すように、端末123による検出処理の遅れによりスペクトルが利用されていない空いている時間を区間C−Dと判定している。このため、図9(2)(ウ)に示すように、端末123がスペクトルの区間C−Dが空いていると判定し、この区間についてスペクトルを利用する。このようにスペクトルが実際に空いている区間について、2次利用システムでは正しく判定することができないことがあり、この結果図9(2)(エ)に示すように、区間B−Dを端末123が利用するとスペクトルに干渉を与えてしまい、通信不能や伝送情報の欠落が生じてしまうことがあった。
【0011】
図9(2)に示すA点がC点、B点がD点となる原因は、空きスペクトルを検出するときに、検出精度向上のため短区間(例えば、100ms)毎の検出結果をある程度長時間(例えば、数秒)蓄積した上で最終的に判定するため、その蓄積時間が長くなるにしたがって利用無から利用再開への検出の遅れが大きくなる。実際にはスペクトルの利用状態の検出は、所定の周期で2次利用システムのスペクトルによる送信を停止して行うため、スペクトルの利用状態の検出が再開されるまでの時間も考慮すると、図9(2)に示す区間B−Dは更に長くなることがある。このため、スペクトルがメールやファイル転送等に利用されている場合には、区間B−Dの欠落したデータは自動再送要求(以下、ARQという)により再送可能であるが、音声や映像のようなリアルタイムの通信でスペクトルが利用されている場合は、話頭切れ、音声不通及び画質の劣下が生じる問題が発生していた。
【0012】
無線通信システムにおける効率的に複数の無線周波数帯チャネルを同時に利用する技術として下記の特許文献1がある。特許文献1は、伝送可能な各チャンネルの容量に基づいて送信データを負荷分散して送受信するため、より高いスループットでの通信が実現でき、短時間で多量な同一情報を送受信することができる超広帯域負荷分散型無線通信方法及びシステムを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−313993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の無線通信システムにおいては、まず1次利用システムによりスペクトルを優先的に利用し、2次利用システムにより空いているスペクトルを検出したときに、この空いているスペクトルを利用するので、スペクトルを効率的に利用することができる。しかし、このようなスペクトルの利用方式を用いた場合でも、スペクトルの利用状態の検出の遅れにより、スペクトルの干渉が発生してしまうことがあった。また、特許文献1の超広帯域負荷分散型無線通信システムでは、伝送可能な各チャンネルの容量に基づいて送信データを負荷分散して送受信することで高いスループットでの通信と短時間で多量な同一情報を送受信できるが、スペクトルに干渉を与えずにスペクトルの利用率を高くすることができなかった。したがって、上記の問題を解消し、スペクトルの利用効率を向上できる無線通信システムが要望されていた。
【0015】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の無線通信システムは、スペクトルを優先的に利用する1次利用システムと前記スペクトルが利用されていないときに前記スペクトルを利用する2次利用システムを用いて通信を行う無線通信装置から構成される無線通信システムであって、前記1次利用システムで利用される前記スペクトルに対して、前記2次利用システムにおいて当該スペクトルの利用を許可するか不可とするかの情報である2次利用許可情報を前記スペクトル毎に記憶する2次利用許可情報記憶手段を備え、前記無線通信装置は前記2次利用許可情報記憶手段に記憶される前記2次利用許可情報を参照し、前記2次利用システムとして利用が許可された前記スペクトルのみを用いて前記2次利用システムにおける通信を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、1次利用システムと2次利用システムによりスペクトルを利用する無線通信システムにおいて、スペクトルの利用による干渉を発生させないようにし、スペクトルを効率的に利用することができる無線通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態1に係るスペクトル管理テーブルの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る基地局の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るグループ内スペクトル利用管理テーブルとスペクトル利用管理テーブルの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係るスペクトル利用手順を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るスペクトル管理テーブルの構成を示す図である。
【図6】従来技術の無線通信システムの構成を示す図である。
【図7】従来技術のスペクトル管理テーブルの構成を示す図である。
【図8】従来技術のスペクトル利用手順を説明する図である。
【図9】従来技術の時間経過におけるスペクトル間の状態遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の2次利用システムを実施するための第1の実施形態(以下、「実施形態1」という)を、図面を参照して説明する。本発明の実施形態1に係る無線通信システム20の構成は、従来の実施の形態に係る無線通信システム10の構成の図6に同じである。但し、無線通信システム20においては、スペクトル管理サーバ400のスペクトル管理テーブル420をスペクトル管理テーブル421に変更する。
【0020】
まず、本発明の実施形態1に係るスペクトル管理テーブル421の構成について図1を参照して説明する。スペクトル管理テーブル421は、(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d')伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力、(g)利用許可グループ/局及び(h)2次利用許可の項目から構成されているテーブルである。(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(e)電波形式、(f)送信出力及び(g)利用許可グループ/局の項目については、図7に示す従来の実施形態に係るスペクトル管理テーブル420の項目に同じである。従来の実施形態に係るスペクトル管理テーブル420と異なる(d')伝送情報種別と(h)2次利用許可について、以下説明する。(d')伝送情報種別は、通信データのデータ種別が設定される項目で、「共通制御」、「グループ内共通制御」、「データ」、「映像」及び「音声」のいずれかが設定される。「共通制御」と「グループ内共通制御」は、スペクトル管理テーブル420の(d)伝送情報種別に設定する「共通制御」と「グループ内共通制御」に同じである。「データ」は、自動再送が可能なメール、ファイルなどのデータであるときに設定される伝送情報種別である。「映像」は、データが映像であるときに設定される伝送情報種別である。「音声」は、データが音声であるときに設定される伝送情報種別である。(h)2次利用許可は、(a)キャリア周波数の2次利用を許可するか否かを設定する項目で、2次利用を許可するときは「可」が設定され、許可しないときは「不可」が設定される。但し、(d')伝送情報種別が「共通制御」または「グループ内共通制御」であるときは、高い信頼性、即時性が要求される重要度が高いデータを送信するので、2次利用システムでは対象外とし、(h)2次利用許可には「対象外」が設定される。また、(d')伝送情報種別が「映像」または「音声」であるときは、映像または音声のデータがリアルタイムで通信されるので、スペクトルの干渉が発生すると話頭切れ、音声不通及び画質の劣下が生じるため、(h)2次利用許可には「不可」が設定される。
【0021】
次に、実施形態1に係る図2に示す基地局110の機能構成について説明する。基地局110は、アンテナ111、送受信処理手段112、無線リソース制御手段113、アプリケーション114及び適応伝送制御装置115から構成されている。また、送受信処理手段112は、変復調処理部112aと広帯域無線送受信回路112bから構成され、無線リソース制御手段113は、スペクトルセンシング手段113aと利用スペクトル決定手段113bから構成されている。更に、利用スペクトル決定手段113bにはグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1とスペクトル利用管理テーブル113b2を備えている。送受信処理手段112における変復調処理部112aは、利用するスペクトルの情報に基づいて、変復調処理の切替えを行う部位である。広帯域無線送受信回路112bは、利用するスペクトルの情報に基づいて、広帯域無線送受信回路における広帯域(システム帯域)の中の(ア)キャリア周波数と(イ)帯域幅に対応する無線回路の切替えを行う。
【0022】
次に、図2に示す基地局110の各機能について説明する。アンテナ111は、空中から電波を受信すると、送受信処理手段112またはスペクトルセンシング手段113aに出力する。また、アンテナ111は、送受信処理手段112から回線a110により出力された信号を、空中に電波で送信する。送受信処理手段112は、アプリケーション114から回線f110により入力するデジタル音声情報、デジタル映像情報、又はアナログ音声信号などのデータを変復調処理部112aで送信可能な信号に変換(変調処理)し、アンテナ111に出力する手段である。また、送受信処理手段112は、アンテナ111から回線a110により入力するデジタル音声情報、デジタル映像情報、又はアナログ音声信号などのデータを変復調処理部112aで処理可能なデータに変換(復調処理)し、アプリケーション114に出力する手段である。送受信処理手段112で送信時に利用するスペクトルは、無線リソース制御手段113の利用スペクトル決定手段113bから回線c110により入力する。また、送受信処理手段112は、複数のスペクトルを利用して複数の送信情報を同時に送信することが可能である。
【0023】
無線リソース制御手段113は、スペクトルの利用状態の監視と2次利用システムで利用するスペクトルを決定する手段である。スペクトルセンシング手段113aは、アンテナ111から回線a110により入力される受信信号のエネルギーの検出を行うことにより、スペクトルの利用状態の監視を行い、スペクトル利用状態を回線b110により利用スペクトル決定手段113bに出力する手段である。スペクトルセンシング手段113aによるスペクトルの利用状態の監視には、以下の2通りの処理方法があり、いずれかの処理で行う。
(1) 送受信処理手段112がデータを送受信している間もスペクトルの利用状態を継続して監視する方法。
(2) 送受信処理手段112でデータ送信を開始しようとする直前にキャリアセンスを行い、対応スペクトルが利用可能であるかを監視する方法。
但し、上記(1)、(2)共に、2次利用システムの送信期間中は、その送信に利用しているスペクトルに対して、1次利用システムのスペクト利用状態(利用再開)を検出することが出来ないため、所定の周期で2次利用システムの送信を停止し、スペクトル検出を行う。利用スペクトル決定手段113bは、利用可能と判断された空きスペクトルから利用するスペクトル(以下、利用スペクトルという)を決定する。このときに、利用中のスペクトルの質の低下、あるいはスペクトル利用休止中の1次利用システムのスペクトル利用再開などが発生した場合には、2次利用システムは速やかにスペクトルの利用を中止する必要があるため、利用スペクトルを移行するための予備スペクトルを特定する手段を設けてもよい。また、利用スペクトル決定手段113bでは、スペクトルセンシング手段113aで利用可能と判断された帯域においてSINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)等の情報を基に、回線品質が高く利用価値の高いスペクトルを選択するように制御する機能を備えることも可能である。利用スペクトル決定手段113bから回線c110により、空きスペクトルのキャリア周波数、帯域幅、伝送情報種別等の情報が送受信処理手段112に出力される。
【0024】
アプリケーション114は、デジタル音声情報、デジタル映像情報、又はアナログ音声信号などのデータを生成し、回線f110により送受信処理手段112に出力する処理である。また、アプリケーション114は、回線f110により送受信処理手段112から受信したデジタル音声情報、デジタル映像情報、又はアナログ音声信号などのデータを入力する。適応伝送制御手段115は、回線e110により送受信処理手段112の適応変調などの伝送制御を行う手段である。
【0025】
次に、端末123の機能構成について説明する。端末123の機能構成は、図2に示す基地局110の機能構成においてスペクトル管理サーバ400から回線d110を介してスペクトル管理テーブル421のデータ受信しない点、利用スペクトル決定手段113bに後述するグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1を備えていない点以外は、図2に示す基地局110の機能構成に同じである。
【0026】
次に、利用スペクトル決定手段113bが備えている図3(1)に示すグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1と図3(2)に示すスペクトル利用管理テーブル113b2の構成について説明する。ここでグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1は、基地局のみが備えるものである。まず、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の構成について説明する。グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1は、(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d')伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力、(g)利用許可グループ/局、(h)2次利用許可及び(i)2次利用状態(利用局/通信系)の項目から構成されているテーブルである。(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d')伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力、(g)利用許可グループ/局及び(h)2次利用許可の項目については、スペクトル管理テーブル421の項目に同じであり、これらの項目のデータはスペクトル管理サーバ410からd110により受信し、設定される。(i)2次利用状態(利用局/通信系)は、グループ内の他の端末から送信される(a)キャリア周波数の利用状態に基づいて設定される項目で、2次利用システムで利用している利用局と通信系名が設定される。図3(1)に示すグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1では、(a)のキャリア周波数「F0」は共通制御であるので「対象外」、キャリア周波数「F1」はグループ内共通制御であり「対象外」となる。キャリア周波数「F2」は、2次利用システムとして端末123が通信系1として利用していれば「端末123/2次利用通信系1」が設定される。それ以外のキャリア周波数「F3」から「F6」が利用されていないときは「無」が設定される。
【0027】
次に、図3(2)に示すスペクトル利用管理テーブル113b2の構成について説明する。図3(2)は端末123が備えるものの例である。スペクトル利用管理テーブル113b2は、(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d')伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力、(h)2次利用許可、(j)スペクトル利用状態及び(k)2次利用状態の項目から構成されているテーブルである。(a)キャリア周波数、(b)帯域幅、(c)1次利用通信系名、(d')伝送情報種別、(e)電波形式、(f)送信出力及び(h)2次利用許可の項目については、図3(1)に示すグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の項目に同じであるが、「通信系0」と「通信系1」はデータの通信には利用できないので対象外となり、「通信系0」と「通信系1」の情報は設定されない。(j)スペクトル利用状態は、スペクトルセンシング手段113aによりセンシングした結果が設定される項目で、(d')伝送情報種別が「映像」または「音声」であれば、2次利用システムでスペクトルを利用するとARQ(再送)できないため干渉による情報の欠落が発生する可能性があるのでスペクトルのセンシングは行われない「センシング無」が設定される。また、(a)キャリア周波数が利用されていれば、(j)スペクトル利用状態には「利用中」、(a)キャリア周波数を自分自身で利用していれば「利用中(自身)」が設定され、(a)キャリア周波数が利用されていなければ「空」が設定される。(k)2次利用状態は、2次利用システムにおける基地局110の利用状態を設定する項目で、(j)スペクトル利用状態が「センシング無」または「利用中(自身)」であれば「対象外」が設定され、「利用中」であれば「不可」が設定され、「空」となっている通信系を利用するのであれば2次利用システムとして利用する通信系名が設定される。例えば、(c)1次利用通信系名の「通信系2」の(a)キャリア周波数「F2」が空きスペクトルとなり、2次利用通信系名の「2次利用通信系1」(1次利用システムと2次利用システムでは通信系の名称が異なるように設定してもよい)として利用するのであれば、(k)2次利用状態に「2次利用通信系1」が設定される。
【0028】
次に、このような図2に示す実施形態1の機能構成におけるスペクトル管理テーブル421、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1及びスペクトル利用管理テーブル113b2の設定手順について説明する。
(1) 基地局110は、端末121〜端末123の現在位置の情報をスペクトル管理サーバ400に送信する。スペクトル管理サーバ400は全ての基地局110、基地局210、基地局310と全ての端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323の現在位置の情報に基づいて、基地局110、基地局210、基地局310と端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323のグループ分けを行い、グループ間で干渉が発生しないようにスペクトルの割り当てを行い、スペクトル管理テーブル421に(a)から(h)の情報を設定する。そして、スペクトル管理サーバ400は、共通制御として利用する通信系0により基地局110、基地局210、基地局310にスペクトル管理テーブル421の(a)から(h)の情報を送信する。
(2) 基地局110、基地局210、基地局310は、スペクトル管理サーバ400からスペクトル管理テーブル421の(a)から(h)の情報を受信すると、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の(a)から(h)に設定し、更にグループ内共通制御として利用する通信系1により端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323にグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の(a)から(f)と(h)の情報を送信する。
(3) 例えば、グループAの端末121〜端末123は、基地局110からグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の(a)から(f)と(h)の情報を受信すると、スペクトル利用管理テーブル113b2の(a)から(f)と(h)に設定する。端末121〜端末123は、(h)2次利用許可に「可」が設定されている(a)キャリア周波数について、スペクトルセンシング手段113aによりスペクトルのセンシングを行い、センシング結果をスペクトル利用管理テーブル113b2の(j)スペクトル利用状態に設定する。例えば、端末123が(j)スペクトル利用状態で「空」となっている(a)キャリア周波数を利用するときには、(j)スペクトル利用状態の「空」に対応する(k)2次利用状態に通信系名(例えば「通信系1」)を設定する。このように設定したスペクトル利用管理テーブル113b2の(k)の情報を基地局110に送信する。
(4) また、例えば、グループAの基地局110が、端末121〜端末123からスペクトル利用管理テーブル113b2の(k)の情報を受信すると、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の(i)2次利用状態(利用局/通信系)に設定する。例えば、基地局110が端末123から(k)の情報「通信系1」を受信すると、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の(i)2次利用状態(利用局/通信系)には「端末123/通信系1」が設定される。
以上のように、(1)から(4)の手順を繰り返して行うことで、基地局110、基地局210、基地局310と端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323が1次利用システムの空スペクトルを検出し、利用することが可能となる。また、基地局110、基地局210、基地局310は、利用スペクトル決定手段113bにグループ内スペクトル利用管理テーブル113b1を備えているので、グループ内スペクトル利用管理テーブル113b1の情報とスペクトル利用管理テーブル113b2の情報を通信を介すことなく直接設定することができる。
【0029】
次に、図4に示す実施形態1に係るスペクトル利用手順について説明する。図4(1)は、グループAまたはグループCの1次利用システムにおいて、全ての通信系が利用されている状態を示す図である。以下、図1に示すスペクトル管理テーブル421を参照してグループAまたはグループCの通信系0から順番に通信系6までの利用手順について説明する。(c)1次利用通信系名「通信系0」に対応する(a)キャリア周波数は「F0」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/全局、B/全局、C/全局」が設定されているので、通信系0は全グループ/全局により「共通制御」の送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系1」に対応する(a)キャリア周波数は「F1」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/全局、C/全局」が設定されているので、通信系1はグループA/全局またはグループC/全局により「グループ内共通制御」の送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系2」に対応する(a)キャリア周波数は「F2」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/基地局110、C/基地局310」が設定されているので、通信系2はグループA/基地局110とグループC/基地局310のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系3」に対応する(a)キャリア周波数は「F3」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/基地局110、C/基地局310」が設定されているので、通信系3はグループA/基地局110とグループC/基地局310のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系4」に対応する(a)キャリア周波数は「F4」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末121、C/端末321」が設定されているので、通信系4はグループA/端末121とグループC/端末321のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系5」に対応する(a)キャリア周波数は「F5」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末122、C/端末322」が設定されているので、通信系5はグループA/端末122とグループC/端末322のデータの送受信で利用されている状態である。(c)1次利用通信系名「通信系6」に対応する(a)キャリア周波数は「F6」となり、また(g)利用許可グループ/局では、「A/端末123、C/端末323」が設定されているので、通信系6はグループA/端末123またはグループC/端末323のデータの送受信で利用されている状態である。
【0030】
図4(2)は、ある時間帯において、グループAの端末123が検出したグループAとグループCのスペクトルの状態を示す図である。通信系0のキャリア周波数「F0」と通信系1のキャリア周波数「F1」は、データの伝送では利用できないので検出対象外となっている。通信系2のキャリア周波数「F2」は利用されていない状態の「空き」となっている。通信系3のキャリア周波数「F3」は(d')伝送情報種別が「映像」であり、通信系5のキャリア周波数「F5」は(d')伝送情報種別が「音声」であるので、「センシング無(2次利用不可)」となっている。通信系4のキャリア周波数「F4」と通信系6のキャリア周波数「F6」については利用している状態の「利用中」であり、特に通信系6のキャリア周波数「F6」はグループAの端末123自身が利用している。このようにある時間帯でグループAの端末123が図4(2)の状態を検出したときに、グループAの端末123は通信系2のキャリア周波数「F2」の利用が可能となる。そして、グループAの端末123が空いている通信系2のキャリア周波数「F2」を2次利用システムの通信系1として利用すると、図4(3)に示すように通信系2のキャリア周波数「F2」が2次利用システムの通信系1による利用状態となる。尚、1次利用システムと2次利用システムは、スペクトル管理サーバ400の集中管理手段410によって実行される処理である。
【0031】
以上のような実施形態1によれば、伝送情報種別を映像、音声及び映像と音声以外と分け、映像と音声以外を伝送するときだけ2次使用システムによるスペクトルの使用を許可することにより、干渉による情報の欠落の発生を回避することができ、スペクトルの利用効率を向上させる無線通信システムを提供することができる。また、実施形態1において、グループに空きスペクトルがあるときに、他のグループがこの空きスペクトルを利用するようにすることで、更にスペクトルの利用効率を向上させることができる。
【0032】
次に、本発明を実施するための第2の実施形態(以下、「実施形態2」という)の無線システム30を、図面を参照して説明する。本発明の実施形態2に係る無線通信システム30の構成は、従来の実施の形態に係る無線通信システム10の構成の図6に同じである。但し、無線通信システム30においては、スペクトル管理サーバ400のスペクトル管理テーブル420をスペクトル管理テーブル422に変更する。
【0033】
実施形態2の無線システム30は、2次的利用を許可されるスペクトルの周波数管理を各グループ内で自律分散的に行うのではなく、スペクトル管理サーバ400で集中管理する実施の形態である。図5に実施形態2におけるスペクトル管理テーブル422の構成を示す。実施形態2のスペクトル管理テーブル422には、実施形態1のスペクトル管理テーブル421に(l)2次利用中(グループ/局/通信系名)の項目が追加されている。この(l)2次利用中(グループ/局/通信系名)の項目には、基地局110、基地局210、基地局310を経由して端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323が送信するスペクトル利用管理テーブル113b2の(k)2次利用状態に基づいて設定される。このように、スペクトルの2次利用を行っている基地局110、基地局210、基地局310または端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323の通信グループ名、利用局及び通信系名をスペクトル管理サーバ400が管理することで、非常時等にスペクトル管理サーバ400が2次利用システムで利用されているスペクトルの開放要求を即時に出すことが可能となる。実施形態2においては、基地局110、基地局210、基地局310または端末121〜端末123、端末221〜端末223、端末321〜端末323からスペクトル管理サーバ400にスペクトルの2次利用の状態を制御情報として随時送信する必要がある。しかし、この制御情報の送信には長い時間を要することが考えられるため、実施形態2は比較的長い時間間隔でスペクトルの2次利用を行うシステムに適している。
【0034】
グループ内に1つの基地局110、基地局210、基地局310が設置される無線通信システムの形態について説明したが、グループ内に複数の基地局が設置されるようにすることも可能である。更に、端末121〜端末123のいずれかに基地局110の機能を備えるようにしておくことで、基地局110が使用できなくなったときに基地局110の機能を備えたいずれかの端末121〜端末123が基地局110のバックアップすることも可能である。端末221〜端末223についても同様に基地局210のバックアップすることが可能であり、端末321〜端末323についても同様に基地局310のバックアップすることが可能である。
【0035】
以上、具体的な実施の形態により本発明を説明したが、上記実施の形態は本発明の例示であり、この実施の形態に限定されないことは言うまでもない。
【0036】
以上をまとめると、本発明は次のような特徴を有する。
(1) 本発明の無線通信システムは、スペクトルを優先的に利用する1次利用システムと前記スペクトルが利用されていないときに前記スペクトルを利用する2次利用システムを用いて通信を行う無線通信装置から構成される無線通信システムであって、前記1次利用システムで利用される前記スペクトルに対して、前記2次利用システムにおいて当該スペクトルの利用を許可するか不可とするかの情報である2次利用許可情報を前記スペクトル毎に記憶する2次利用許可情報記憶手段を備え、前記無線通信装置は前記2次利用許可情報記憶手段に記憶される前記2次利用許可情報を参照し、前記2次利用システムとして利用が許可された前記スペクトルのみを用いて前記2次利用システムにおける通信を行うことを特徴としている。
(2) (1)の無線通信システムは、前記2次利用許可情報には、データの伝送情報種別がリアルタイム性が要求されるものであるときに不可が設定されることを特徴としている。
(3) (2)の無線通信システムは、前記リアルタイム性が要求される前記伝送情報種別が、映像または音声であることを特徴としている。
(4) (1)から(3)のいずれかの無線通信システムは、前記スペクトルが利用されていないかを検出するスペクトルセンシング手段を備え、前記スペクトルセンシング手段が、アンテナから受信する信号のエネルギーの検出を行うことにより前記スペクトルが利用されていることを検出することを特徴としている。
(5) (4)の無線通信システムは、前記スペクトルセンシング手段により前記1次利用システムで利用されていない前記スペクトルの2次利用を決定するスペクトル決定手段とを備えていることを特徴としている。
(6) (1)から(5)のいずれかの無線通信システムは、前記スペクトルについて前記2次利用システムの利用許可または利用不可を管理するスペクトル管理サーバを備えていることを特徴としている。
(7) (1)から(6)のいずれかの無線通信システムは、基地局と端末のグループ分けを行い、グループごとに優先的に利用する前記スペクトルを決め、前記グループの前記スペクトルが利用されていないときに、他のグループが利用されていない前記スペクトルを利用することを特徴としている。
(8) 本発明の無線通信システムのスペクトル利用方法は、スペクトルを優先的に利用する1次利用システムと前記スペクトルが利用されていないときに前記スペクトルを利用する2次利用システムを用いて通信を行う無線通信装置から構成される無線通信システムであって、前記1次利用システムで利用される前記スペクトルに対して、前記2次利用システムにおいて当該スペクトルの利用を許可するか不可とするかの情報である2次利用許可情報を前記スペクトル毎に記憶する2次利用許可情報記憶工程を備え、前記無線通信装置は前記2次利用許可情報記憶工程に記憶される前記2次利用許可情報を参照し、前記2次利用システムとして利用が許可された前記スペクトルのみを用いて前記2次利用システムにおける通信を行うことを特徴としている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、無線通信システムに好適であるが、無線通信システムに限られるものではなく、データを伝送するシステム一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10・・・・・・・・・無線通信システム
20・・・・・・・・・無線通信システム
30・・・・・・・・・無線通信システム
110・・・・・・・・基地局
111・・・・・・・・アンテナ
112・・・・・・・・送受信処理手段
112a・・・・・・・変復調処理部
112b・・・・・・・広帯域無線送受信回路
113・・・・・・・・無線リソース制御手段
113a・・・・・・・スペクトルセンシング手段
113b1・・・・・・グループ内スペクトル利用管理テーブル
113b2・・・・・・スペクトル利用管理テーブル
114・・・・・・・・アプリケーション
115・・・・・・・・適応伝送制御手段
121・・・・・・・・端末
122・・・・・・・・端末
123・・・・・・・・端末
130・・・・・・・・回線
210・・・・・・・・基地局
221・・・・・・・・端末
222・・・・・・・・端末
223・・・・・・・・端末
230・・・・・・・・回線
310・・・・・・・・基地局
321・・・・・・・・端末
322・・・・・・・・端末
323・・・・・・・・端末
330・・・・・・・・回線
400・・・・・・・・スペクトル管理サーバ
410・・・・・・・・集中管理手段
420・・・・・・・・スペクトル管理テーブル
421・・・・・・・・スペクトル管理テーブル
422・・・・・・・・スペクトル管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトルを優先的に利用する1次利用システムと前記スペクトルが利用されていないときに前記スペクトルを利用する2次利用システムを用いて通信を行う無線通信装置から構成される無線通信システムであって、
前記1次利用システムで利用される前記スペクトルに対して、前記2次利用システムにおいて当該スペクトルの利用を許可するか不可とするかの情報である2次利用許可情報を前記スペクトル毎に記憶する2次利用許可情報記憶手段を備え、
前記無線通信装置は前記2次利用許可情報記憶手段に記憶される前記2次利用許可情報を参照し、前記2次利用システムとして利用が許可された前記スペクトルのみを用いて前記2次利用システムにおける通信を行うことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate