説明

無線通信システム

【課題】非拡声通報と拡声通報で同じ内容の通報を行う場合における操作者の負担を軽減することが可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】通話用統制台11(又は拡声通報用統制台12)が、通話用移動局設備40又は屋外拡声子局50の少なくとも一方に宛てた通報用の音声を入力する操作を操作者から受け付け、切替制御装置13が、前記宛先に応じて、通話用移動局設備40に宛てた音声を符号化せずに統制局制御装置14へ出力する第1の経路と、屋外拡声子局50に宛てた音声を音声コーデック部22で符号化して統制局制御装置14へ出力する第2の経路の一方又は両方を用いるように切り替え制御し、統制局制御装置14が、第1の経路から出力された音声を音声コーデック部31で符号化して基地局無線装置15へ出力し、第2の経路から出力された音声の符号化データを基地局無線装置15へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、特に、移動系通信システムを活用して拡声通報を行う無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時などにおいて、各自治体は、自治体職員や地域住民への情報伝達を速やかに行うことが必要となる。
地域住民への情報伝達は、一例として、同報系通信システムを用いた拡声通報により行われる。具体的には、例えば、拡声通報用統制台に対して入力された通報用の音声を統制局制御装置及び基地局無線装置を介して無線送信し、屋外拡声子局により受信して拡声用スピーカにより拡声出力する。
一方、自治体職員への情報伝達は、一例として、移動系通信システムを用いた非拡声通報により行われる。具体的には、例えば、通話用統制台に対して入力された通報用の音声を統制局制御装置及び基地局無線装置を介して無線送信し、通話用移動局設備(携帯型や車載型の無線機など)により受信して非拡声用スピーカにより非拡声出力する。
【0003】
各自治体は同報系通信システム及び移動系通信システムの両方を整備することが望ましいが、経済情勢や財政面などの理由から両方のシステムを導入することが困難な自治体も存在する。
ここで、地域防災無線に係る無線通信システムとして、移動系通信システムの一例である市町村デジタル移動通信システムを有する一方で、同報系通信システムを有しない自治体について考える。
【0004】
市町村デジタル移動通信システムでは、従来、法規制等の理由により拡声通報に利用することができなかったが、近年では規制が緩和され、100局未満の小規模システムであれば拡声通報に利用することが可能となった。
そこで、既存の市町村デジタル移動通信システムに拡声通報用の設備(拡声通報用統制台や屋外拡声子局など)を追加的に設けることで、市町村デジタル移動通信システムを利用して拡声通報を行えるようにすることが検討されている。
【0005】
図3には、拡声通報に対応する拡張を市町村デジタル移動通信システムに施した例を示してある。また、図4には、図3の市町村デジタル移動通信システムにおける統制局設備の構成の例を示してある。
【0006】
一般的な市町村デジタル移動通信システム(拡声通報に対応する拡張を施す前)は、大まかに、統制局設備100と、通話用移動局設備130により構成される。通話用移動局設備130は、識別番号等により識別されて複数台設けられる。
統制局設備100は、非拡声通報の出力装置(通話用移動局設備130)を呼び出す操作や通報用の音声の入力などを操作者から受け付ける通話用統制台101、システムの中枢となる装置であって回線制御装置としても機能する統制局制御装置103、通話用移動局設備130との無線通信を行う基地局無線装置104を有する。
また、統制局制御装置103には、通話用統制台101から伝送される音声を符号化する音声コーデック部121、統制局制御装置103の動作を制御する制御部123が設けられる。
【0007】
次に、拡声通報に対応する拡張を施した構成について説明する。
拡声通報に対応する拡張を施した市町村デジタル移動通信システムは、上述した統制局設備100及び通話用移動局設備130に加え、屋外拡声子局140を備える。屋外拡声子局140は、識別番号等により識別されて複数台設けられる。
また、統制局設備100に、拡声通報の出力装置(屋外拡声子局140)を呼び出す操作や通報用の音声の入力などを操作者から受け付ける拡声通報用統制台102を追加する。
また、統制局制御装置103を拡声通報に対応させる際の変更箇所がなるべく少なくなるように、拡声通報用統制台102に入力された音声を符号化する音声コーデック部111を拡声通報用統制台102側に設け、統制局制御装置103には、拡声通報用統制台102側から送信される音声(符号化データ)の入力インターフェースとなるデータINF122を追加するのみとする。
【0008】
非拡声通報を行う場合には、操作者は、まず、通話用統制台101に対して通話用移動局設備130の呼び出し操作を行う。通話用統制台101は、呼び出し操作に応じた呼出制御信号を統制局制御装置103へ送信する。統制局制御装置103は、通話用統制台101から受信した呼出制御信号に基づいて、該当する通話用移動局設備130との通信回線を確立する。
【0009】
その後、操作者は、通話用統制台101に対して通報用の音声を入力する。通話用統制台101は、入力された音声を統制局制御装置103に送信する。統制局制御装置103は、通話用統制台101から受信した音声を音声コーデック部121により符号化し、その符号化データの信号を該当する通話用移動局設備130に宛てて基地局無線装置104により無線送信する。通話用移動局設備130は、自局宛に無線送信された信号(音声の符号化データ)を無線部131により受信すると、図示しない音声コーデック部により音声を復号して、図示しない非拡声用スピーカにより非拡声出力する。
【0010】
拡声通報を行う場合には、操作者は、まず、拡声通報用統制台102に対して屋外拡声子局140の呼び出し操作を行う。拡声通報用統制台102は、呼び出し操作に応じた呼出制御信号を統制局制御装置103へ送信する。統制局制御装置103は、拡声通報用統制台102から受信した呼出制御信号に基づいて、該当する屋外拡声子局140との通信回線を確立する。
【0011】
その後、操作者は、拡声通報用統制台102に対して通報用の音声を入力する。拡声通報用統制台102は、入力された音声を音声コーデック部111により符号化し、その符号化データを統制局制御装置103に送信する。統制局制御装置103は、拡声通報用統制台102側から出力された音声の符号化データをデータINF122により受信すると、当該符号化データの信号を該当する屋外拡声子局140に宛てて基地局無線装置104により無線送信する。屋外拡声子局140は、自局宛に無線送信された信号(音声の符号化データ)を無線部141により受信すると、図示しない音声コーデック部により音声を復号して、拡声用スピーカ142により拡声出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−13302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような構成では、非拡声通報(例えば、自治体職員に対する一斉通報)と拡声通報(例えば、地域住民に対する拡声放送)で同じ内容の通報を行いたい場合でも、通話用統制台101と拡声通報用統制台102のそれぞれに対し、呼出操作や通報用の音声の入力を別個に行う必要がある。すなわち、音源としては2系統(2回の操作)が必要であるため、通話用統制台101と拡声通報用統制台102が同じ場所に設置されていたとしても操作負担がかかり、異なる場所に設置されていた場合には操作負担が増大することになる。
このように、上記のような構成では、緊急性を求められる防災目的の運用では不便な面があるため、更なる改良が求められていた。
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて為されたものであり、非拡声通報と拡声通報で同じ内容の通報を行う場合における操作者の負担を軽減することが可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信システムでは、統制台と、切替制御装置と、回線制御装置と、基地局と、非拡声子局と、拡声子局を備え、前記統制台が、前記非拡声子局又は前記拡声子局の少なくとも一方に宛てた通報用の音声を入力する操作を操作者から受け付け、当該入力された音声を前記切替制御装置へ出力し、前記切替制御装置が、前記非拡声子局に宛てた音声を符号化せずに前記回線制御装置へ出力する第1の経路と、前記拡声子局に宛てた音声を拡声用の音声コーデックで符号化して前記回線制御装置へ出力する第2の経路を有し、前記統制台に入力された音声の宛先に応じて、前記第1の経路と前記第2の経路の一方又は両方を用いるように経路の切り替えを行い、前記回線制御装置が、前記第1の経路から出力された音声を非拡声用の音声コーデックで符号化して前記基地局へ出力し、前記第2の経路から出力された音声の符号化データを前記基地局へ出力し、前記基地局が、前記回線制御装置から出力された音声の符号化データを無線により送信し、前記非拡声子局が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、前記非拡声用の音声コーデックで音声を復号して非拡声出力し、前記拡声子局が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、前記拡声用の音声コーデックで音声を復号して拡声出力するように構成した。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、非拡声通報と拡声通報で同じ内容の通報を1つの統制台に対する1回の操作で行うことができるようになり、操作者の負担が軽減される。このため、災害発生時における緊急通報などを効果的に実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る市町村デジタル移動通信システムの例を示す図である。
【図2】図1の市町村デジタル移動通信システムにおける統制局設備の構成の例を示す図である。
【図3】拡声通報に対応する拡張を市町村デジタル移動通信システムに施した例を示す図である。
【図4】図3の市町村デジタル移動通信システムにおける統制局設備の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る無線通信システムについて図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る市町村デジタル移動通信システムの構成の例を示してある。また、図2には、図1の市町村デジタル移動通信システムにおける統制局設備の構成の例を示してある。
【0019】
本例の無線通信システムは、大まかに、統制局設備10と、通話用移動局設備40(非拡声子局)と、屋外拡声子局50(拡声子局)により構成される。通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50は、それぞれ、識別番号等により識別されて複数台設けられる。
統制局設備10は、通報の出力装置(通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50)を呼び出す操作や通報用の音声の入力などを操作者から受け付ける通話用統制台11及び拡声通報用統制台12、システムの中枢となる装置であって回線制御装置としても機能する統制局制御装置14、通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50との無線通信を行う基地局無線装置15を有しており、更に、統制台(通話用統制台11及び拡声通報用統制台12)と統制局制御装置14の間に切替制御装置13を設けてある。
【0020】
統制局制御装置14は、入力された音声を符号化する音声コーデック部31、符号化された音声(符号化データ)の入力インターフェースとなるデータINF32、統制局制御装置14の動作を制御する制御部33を設けた構成となっており、図3及び図4に示した従来例の統制局設備103をそのまま利用することができる。
また、基地局無線装置15も、従来例の基地局無線装置104をそのまま利用することができる。
【0021】
通話用統制台11は、本来的には非拡声通報に使用されるものであり、通報の出力装置として通話用移動局設備40を呼び出す操作を受け付けるものであるが、拡声通報にも使用できるように、通報の出力装置として屋外拡声子局50も選択できるようにしてある。
また、拡声通報用統制台12は、本来的には拡声通報に使用されるものであり、通報の出力装置として屋外拡声子局50を呼び出す操作を受け付けるものであるが、拡声通報にも使用できるように、通報の出力装置として通話用移動局設備40も選択できるようにしてある。
なお、本例では、主に非拡声通報の際に使用される通話用統制台11と、主に拡声通報の際に使用される拡声通報用統制台12とを備えているが、一方の統制台のみを備えるようにしてもよい。
【0022】
切替制御装置13は、通話用統制台11又は拡声通報用統制台12から入力された音声を統制局制御装置14の音声コーデック31に入力する入力部21、入力された音声を符号化する音声コーデック部22を有する。また、切替制御装置13は、通話用統制台11又は拡声通報用統制台12に入力された通報用の音声を、その宛先(通報の出力装置に選択された装置)に応じて、入力部21を経由して統制局制御装置14へ出力する第1の経路と、音声コーデック部22を経由して統制局制御装置14へ出力する第2の経路との一方又は両方を用いて統制局制御装置14へ伝送するように経路の切り替えを制御する切替制御部として機能する。すなわち、通話用統制台11又は拡声通報用統制台12に入力された音声の宛先が通話用移動局設備40のみの場合には入力部21を通る第1の経路を使用し、統制台側に入力された音声の宛先が屋外拡声子局50のみの場合には音声コーデック部22を通る第2の経路を使用し、統制台側に入力された音声の宛先に通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50が共に含まれる場合には第1の経路と第2の経路の両方を使用するよう制御する。
【0023】
本例では、統制台(通話用統制台11及び拡声通報用統制台12)に対する呼び出し操作に応じて、当該操作で宛先に選択された出力装置(通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50)の識別番号を含む呼出制御信号を統制台から切替制御装置13を介して統制局制御装置14へ送信するようにしており、切替制御装置13は、予め記憶部(メモリ)に保持している出力装置の識別番号と当該出力装置の種別(通話用移動局設備40又は屋外拡声子局50の別)との対応付け情報を参照して、統制局制御装置14側へのデータ伝送に使用する経路の切り替えを制御している。なお、上記の制御手法は一例であり、他の手法を用いて経路の切り替え制御を行うようにしてもよい。
【0024】
第1の経路に入力された音声は、入力部21を経由して統制局制御装置14へ出力され、統制局制御装置14内の音声コーデック部31により符号化され、基地局無線装置15により通話用移動局設備40へ宛てて無線送信される。
第2の経路に入力された音声は、切替制御装置13内の音声コーデック部22により符号化されて統制局制御装置14へ出力され、基地局無線装置15により屋外拡声子局50へ宛てて無線送信される。
【0025】
本例の無線通信システムにおける処理の流れについて説明する。以下では、通話用統制台11を操作する例を説明するが、拡声通報用統制台12を操作してもよい。
災害発生時などにおいて自治体職員や地域住民に対する通報が必要になった場合には、操作者は、まず、通話用統制台11に対して、通報の出力装置(通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50)を呼び出す操作を行う。呼び出し対象となる通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50の選択の仕方は任意であり、個別に選択されてもよく、予め定められたグループ単位で選択されてもよく、全てが一括して選択されてもよい。
【0026】
通話用統制台11は、呼び出し操作に応じた呼出制御信号を切替制御装置13を介して統制局制御装置14へ送信する。本例の切替制御装置13は、入力された呼出制御信号の宛先(通報の出力装置に選択された装置)に応じて、当該呼出制御信号(及びその後に入力される音声)の伝送に使用する経路を決定する。具体的には、宛先に通話用移動局設備40が含まれる場合は、第1の経路を使用するよう制御し、宛先に屋外拡声子局50が含まれる場合は、第2の経路を使用するよう制御する。また、宛先に通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50が共に含まれる場合は、第1の経路と第2の経路の両方を使用するよう制御する(すなわち、入力された情報を両経路に分配する)。
統制局制御装置14は、通話用統制台11側から受信した呼出制御信号に基づいて、該当する通話用移動局設備40及び屋外拡声子局50との通信回線を確立する。
【0027】
その後、操作者は、通話用統制台11に対して通報用の音声を入力する。通話用統制台11は、入力された音声を切替制御装置13に送信する。通報用の音声としては、人の声だけでなく、テキストを入力して音声合成したものや、予め記憶された音楽、チャイム、サイレンなどを用いることもできる。
また、通話用統制台11や拡声通報用統制台12に、例えば、J−ALERT(全国瞬時警報システム)受信装置などの緊急性の高い通報を受信する受信装置が接続されている場合には、入力される音声はJ−ALERTから受信した音声であってもよい。なお、J−ALERTから警報を受信した場合には、操作者の操作なしに、通話用統制台11や拡声通報用統制台12が自動的に予め設定された宛先への呼出制御信号を送信することが望ましい。ここで上記宛先には、少なくとも屋外拡声子局50が含まれていることが好ましく、さらには、通話用移動局設備40を含む全局への一斉呼出であることが好ましい。
これにより、緊急警報などを受信すると自動的に屋外拡声子局50や通話用移動局設備40に警報を送信することができる。
【0028】
切替制御装置13は、通話用統制台11から受信した音声を、呼出制御信号に応じて決定された経路(第1の経路又は第2の経路の一方又は両方)に入力する。第1の経路に入力された音声(すなわち、非拡声通報用の音声)は、入力部21を経由して統制局制御装置14へ出力される。第2の経路に入力された音声(すなわち、拡声通報用の音声)は、音声コーデック部22により符号化された後に統制局制御装置14へ出力される。
【0029】
統制局制御装置14は、切替制御装置13の第1の経路から出力される音声を受信すると、当該音声を音声コーデック部31により符号化し、その符号化データの信号を該当する通話用移動局設備40に宛てて基地局無線装置15により無線送信する。
また、統制局制御装置14は、切替制御装置13の第2の経路から出力される音声の符号化データをデータINF32により受信すると、当該符号化データの信号を該当する屋外拡声子局50に宛てて基地局無線装置15により無線送信する。
【0030】
通話用移動局設備40は、自局宛に無線送信された信号(音声の符号化データ)を無線部41により受信すると、図示しない音声コーデック部により音声を復号して、図示しない非拡声用スピーカにより非拡声出力する。
屋外拡声子局50は、自局宛に無線送信された信号(音声の符号化データ)を無線部51により受信すると、図示しない音声コーデック部により音声を復号して、拡声用スピーカ52により拡声出力する。
【0031】
以上のように、本例の無線通信システムでは、通話用統制台11(又は拡声通報用統制台12)が、通話用移動局設備40(非拡声子局)又は屋外拡声子局50(拡声子局)の少なくとも一方に宛てた通報用の音声を入力する操作を操作者から受け付け、当該入力された音声を切替制御装置13へ出力し、切替制御装置13が、通話用移動局設備40に宛てた音声を符号化せずに統制局制御装置14(回線制御装置)へ出力する第1の経路と、屋外拡声子局50に宛てた音声を音声コーデック部22(拡声用の音声コーデック)で符号化して統制局制御装置14へ出力する第2の経路を有し、通話用統制台11(又は拡声通報用統制台12)に入力された音声の宛先に応じて、第1の経路と第2の経路の一方又は両方を用いるように経路の切り替えを行い、統制局制御装置14が、第1の経路から出力された音声を音声コーデック部31(非拡声用の音声コーデック)で符号化して基地局無線装置15へ出力し、第2の経路から出力された音声の符号化データを基地局無線装置15へ出力し、基地局無線装置15が、統制局制御装置14から出力された音声の符号化データを無線により送信し、通話用移動局設備40が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、音声コーデック部31と同じ音声コーデックで音声を復号して非拡声出力し、屋外拡声子局50が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、音声コーデック部22で音声を復号して拡声出力するようにした。
【0032】
したがって、本例の無線通信システムによれば、1種の統制台(通話用統制台11又は拡声通報用統制台12)に対する1回の操作で、通話用移動局設備40を用いた非拡声通報と屋外拡声子局50を用いた拡声通報を実施することができるようになり、操作者の操作負担が軽減される。このため、災害発生時における緊急通報などを効果的に実施することが可能になる。
【0033】
ここで、本例では、統制局制御装置14内の音声コーデック部31及び通話用移動局設備40内の音声コーデック部においてEL−CELPを音声コーデックとして使用しており、切替制御装置13内の音声コーデック部22及び屋外拡声子局50の音声コーデック部においてAMR−WBを音声コーデックとして使用している。AMR−WBは、EL−CELPに比べて高いビットレートで音声を符号化するものであり、比較的高い音声品質が求められる拡声通報用の音声の符号化に適している。
また、本例では、1つの制御スロットと3つの通信スロットで構成されたフレームを用いて無線通信を行っており、非拡声通報用の音声の送信には当該フレーム中の通信スロットのうちの1つのみを用い、拡声通報用の音声の送信には当該フレーム中の通信スロットのうちの3つ全てを用いるようにしている。
なお、上記の音声コーデックや通信スロット数は一例であり、他の音声コーデックや通信スロット数を用いる構成としてもよい。
【0034】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、上述した実施形態では、統制台11、12と統制局制御装置14との間に切替制御装置13を介装した例を示した。しかし、切替制御装置13が有する機能を、統制局制御装置14が備えてもよい。つまり、統制局制御装置が音声コーデック22、31を備え、統制台11、12からの呼出制御信号に基づいて音声コーデック31を通る第1の経路と音声コーデック22を通る第2の経路とを切替制御するように構成してもよい。これによっても上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0035】
10:統制局設備、 11:通話用統制台、 12:拡声通報用統制台、 13:切替制御装置、 14:統制局制御装置、 15:基地局無線装置、 21:入力部、 22:音声コーデック部(拡声通報用)、 31:音声コーデック部(非拡声通報用)、 32:データINF、 33:制御部、 40:通話用移動局設備、 41:無線部、 50:屋外拡声子局、 51:無線部、 52:拡声用スピーカ
100:統制局、 101:通話用統制台、 102:拡声通報用統制台、 103:統制局制御装置、 104:基地局無線装置、 111:音声コーデック部(拡声通報用)、 121:音声コーデック部(非拡声通報用)、 122:データINF、 123:制御部、 130:通話用移動局設備、 131:無線部、 140:屋外拡声子局、 141:無線部、 142:拡声用スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
統制台と、切替制御装置と、回線制御装置と、基地局と、非拡声子局と、拡声子局を備え、
前記統制台が、前記非拡声子局又は前記拡声子局の少なくとも一方に宛てた通報用の音声を入力する操作を操作者から受け付け、当該入力された音声を前記切替制御装置へ出力し、
前記切替制御装置が、前記非拡声子局に宛てた音声を符号化せずに前記回線制御装置へ出力する第1の経路と、前記拡声子局に宛てた音声を拡声用の音声コーデックで符号化して前記回線制御装置へ出力する第2の経路を有し、前記統制台に入力された音声の宛先に応じて、前記第1の経路と前記第2の経路の一方又は両方を用いるように経路の切り替えを行い、
前記回線制御装置が、前記第1の経路から出力された音声を非拡声用の音声コーデックで符号化して前記基地局へ出力し、前記第2の経路から出力された音声の符号化データを前記基地局へ出力し、
前記基地局が、前記回線制御装置から出力された音声の符号化データを無線により送信し、
前記非拡声子局が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、前記非拡声用の音声コーデックで音声を復号して非拡声出力し、
前記拡声子局が、自局宛に送信された音声の符号化データを受信し、前記拡声用の音声コーデックで音声を復号して拡声出力する、
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−42324(P2013−42324A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177459(P2011−177459)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】