説明

無線通信システム

【課題】通信基地局に外部フィルタを取り付けてスプリアス抑圧を行った際に、通信品質の劣化を防止して改善を図ることを可能にする。
【解決手段】通信基地局100の外部に外部フィルタ300を接続して周波数帯域を制限すると共にスプリアス抑圧を行って信号を送信する無線通信システムにおいて、通信基地局100から外部フィルタ300を介して送信された信号を受信し、この受信信号に対して高速フーリエ変換を行って送信する補助機400を備え、通信基地局100は、補助機400から送信された信号を受信し、この受信信号に対して遅延補正及び歪み補正を行って蓄積し、この蓄積された前後の信号を比較して異常を検出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信基地局に外部フィルタを取り付けて隣接通信基地局に対するスプリアス抑圧を行う、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信基地局では、フィルタを付けないで電波を放射すると、所定の周波数帯の近隣の周波数の電波に対して干渉を与えてしまう場合がある。規定で定められた所定の周波数帯内で電波を放射して電波干渉を避けるために、内部フィルタ又は外部フィルタでその周波数帯に制限する方式がある。自通信基地局(又は他通信基地局)において外部フィルタで近傍の設計上意図されない周波数成分であるスプリアスの抑圧を行っている。この種の従来技術として特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2781946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したように外部フィルタでスプリアスを抑圧すると、例えば図8に実線11で示す周波数帯域内の振幅及び位相の偏差を劣化させることとなる。図8(a)は周波数帯域と振幅との関係を示す図であり、実線11で示す周波数帯域f1〜fnにおいて、必要帯域がf2〜fmである場合、外部フィルタによって破線12で示すように必要帯域以外を急峻に遮断する。この急峻な遮断においては温度等で周波数帯域が変動し易く、また振幅のエネルギーが落とされるので、これと同時に図8(b)に破線13で示すように位相が時間的にずれる。このように周波数帯域内の振幅及び位相の偏差が劣化すると、変調精度が劣化するため、無線通信システムの通信品質が劣化するという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、通信基地局に外部フィルタを取り付けてスプリアス抑圧を行った際に、通信品質の劣化を防止して改善を図ることができる、無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために本発明は、通信基地局の外部に外部フィルタを接続して周波数帯域を制限すると共にスプリアス抑圧を行って信号を送信する無線通信システムにおいて、当該通信基地局から前記外部フィルタを介して送信された信号を受信し、この受信信号に対して高速フーリエ変換を行って送信する補助機を備え、前記通信基地局は、前記補助機から送信された信号を受信し、この受信信号に対して遅延補正及び歪み補正を行って蓄積し、この蓄積された前後の信号を比較して異常を検出することを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記補助機は、前記補助機で受信される前記通信基地局からの受信信号が、所定値以上の信号強度に収まる位置であることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記補助機と前記通信基地局とは、無線LANで接続され、この際に当該補助機で受信信号の周波数帯域の圧縮を行い、当該通信基地局で周波数帯域の伸張を行うことを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記補助機と前記通信基地局とは、無線回線で接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信基地局に外部フィルタを取り付けてスプリアス抑圧を行った際に、通信品質の劣化を防止して改善を図ることができる、無線通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の無線通信システムにおける通信基地局及び外部フィルタの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の無線通信システムにおける補助機の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態の無線通信システムにおける補助機と通信基地局間の通信動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施の形態の無線通信システムにおける補助機によりFFT解析を実施した際の周波数帯域の模式図である。
【図6】本実施の形態の無線通信システムにおける補助機によりFFT解析した結果をさらに帯域圧縮して情報量を削減した際の周波数帯域の模式図である。
【図7】本実施の形態の無線通信システムにおける通信基地局において無線LANでの受信信号をもとにデータを伸張し、歪み成分を計算、逆補正を実施した際の周波数帯域の模式図である。
【図8】従来の無線通信システムにおける外部フィルタでスプリアス抑圧を行った際の周波数帯域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための実施の形態(以下、単に本実施形態という)について詳細に説明する。
(実施形態の構成)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る無線通信システムは、基地局用アンテナ200及び無線LAN(Local Area Network)用アンテナ201を有する通信基地局100と、通信基地局100の本体と基地局用アンテナ200との間に接続された外部フィルタ300と、受信用アンテナ202及び無線LAN用アンテナ203を有する補助機400とを備えて構成されている。なお、基地局用アンテナ200、無線LAN用アンテナ201,受信用アンテナ202及び無線LAN用アンテナ203は、以降単にアンテナとも称する。また、補助機400において運用するアンテナ202,203が2本の例を示したが、これに限定するものではない。
【0013】
通信基地局100は、図2に示すように、ベースバンド部110と、2G(2rd Generation),3G(3rd Generation)をはじめ4G(4rd Generation),LTE(Long Term Evolution)等の通信機能を有する送受信回路120と、無線LAN回路150とを備えて構成されている。
【0014】
送受信回路120は、ベースバンド部110からの同相信号Iをデジタルからアナログに変換するDAC(Digital to Analog Converter)121と、ベースバンド部110からの直交位相信号Qをデジタルからアナログに変換するDAC122と、図示せぬPLL(Phase Locked Loop)回路を含む周波数発振器141及び直交変調器123と、フィルタ124と、高出力電力増幅器125と、デュプレクサ126とを有する送信回路を備える、更に、受信回路として、デュプレクサ135と、低雑音増幅器134と、ミキサ133と、周波数発振器142と、フィルタ132と、ADC(Analog to Digital Converter)131とを備えて構成されている。
【0015】
但し、デュプレクサ126,135は、双方で一体に構成されており、FDD(Frequency Division Duplex)システムでは送信と受信信号を合成及び分離し、TDD(Time Division Duplex)であればスイッチを後段に接続し、送信と受信との切り換えを行う。
【0016】
直交変調器123は、DAC121,122でデジタル信号に変換された同相信号I及び直交位相信号Qを、それぞれcos,sinの90°位相がずれた信号と乗算した後、それぞれを加算する直交変調を行ってフィルタ124へ出力する。フィルタ124は不要成分の除去を行い、高出力電力増幅器125は、その不要成分除去後の信号を、出力に必要な電力に増幅し、これをデュプレクサ126から外部フィルタ300を介してアンテナ200から空間へ送信する。
【0017】
外部フィルタ300は、送受信の周波数帯域を所定の帯域に制限し、この際に隣接通信基地局に対するスプリアス抑圧を行う送受信フィルタにより構成されている。
【0018】
デュプレクサ135は、アンテナ200で受信され、外部フィルタ300を介した受信信号から必要な受信帯域を取り出し、低雑音増幅器134は、その取り出された信号の電力増幅を行い、ミキサ133及び周波数発振器142は、電力増幅された信号を中間周波数に変換する。フィルタ132は、その中間周波数に変換された信号からエイリアシング、イメージ等の不要成分を除去し、ADC131はその除去後の信号をデジタル信号に変換する。
【0019】
無線LAN回路150も送受信回路120と同様に構成されている。即ち、同相信号Iをデジタルからアナログに変換するDAC151と、直交位相信号Qをデジタルからアナログに変換するDAC152と、周波数発振器171及び直交変調器153と、更に、フィルタ154と、高出力電力増幅器155と、デュプレクサ156,165と、低雑音増幅器164と、ミキサ163及び周波数発振器172と、フィルタ162と、ADC161とを備えて構成されている。
【0020】
フィルタ154は不要成分の除去を行い、この除去後の信号を高出力電力増幅器155により出力に必要な電力に増幅する。この増幅された信号を、一体のデュプレクサ156,165を介してアンテナ201から空間へ送信する。
【0021】
デュプレクサ165は、アンテナ201で受信された受信信号から必要な受信帯域を取り出し、低雑音増幅器164は、その取り出された信号の電力増幅を行い、ミキサ163及び周波数発振器172は、電力増幅された信号を中間周波数に変換する。フィルタ162は、その中間周波数に変換された信号からエイリアシング、イメージ等の不要成分を除去し、ADC161はその除去後の信号をデジタル信号に変換する。ベースバンド部110については後述する。
【0022】
補助機400は、図3に示すように、通信基地局100に比較し、送信系回路と補正処理部を持たない(必要がない)構成となっており、その他は通信基地局100と同じ構成となっている。即ち、ベースバンド部410と、受信回路430と、無線LAN回路460とを備えて構成されている。
【0023】
また、補助機400は、通信基地局100からの受信信号が所定値以上の信号強度に収まる位置に設置される。但し、信号強度は、受信の許容範囲であるダイナミックレンジを含む。
【0024】
無線LAN回路460は、同相信号Iをデジタルからアナログに変換するDAC451と、直交位相信号Qをデジタルからアナログに変換するDAC452と、周波数発振器471及び直交変調器453と、更に、フィルタ454と、高出力電力増幅器455と、デュプレクサ456,465と、低雑音増幅器464と、ミキサ463及び周波数発振器472と、フィルタ462と、ADC461とを備えて構成されている。
【0025】
フィルタ454は不要成分の除去を行い、この除去後の信号を高出力電力増幅器455により出力に必要な電力に増幅する。この増幅された信号を、一体のデュプレクサ456を介してアンテナ203から空間へ送信する。
【0026】
デュプレクサ465は、アンテナ203で受信された受信信号から必要な受信帯域を取り出し、低雑音増幅器464は、その取り出された信号の電力増幅を行い、ミキサ463及び周波数発振器472は、電力増幅された信号を中間周波数に変換する。フィルタ462は、その中間周波数に変換された信号からエイリアシング、イメージ等の不要成分を除去し、ADC461はその除去後の信号をデジタル信号に変換する。
【0027】
受信回路430は、フィルタ435と、低雑音増幅器434と、ミキサ433及び周波数発振器442と、フィルタ432と、ADC431とを備えて構成されている。
【0028】
フィルタ435は、アンテナ202で受信された受信信号から必要な受信帯域を取り出し、低雑音増幅器434は、その取り出された信号の電力増幅を行い、ミキサ433及び周波数発振器442は、電力増幅された信号を中間周波数に変換する。フィルタ432は、その中間周波数に変換された信号からエイリアシング、イメージ等の不要成分を除去し、ADC431はその除去後の信号をデジタル信号に変換する。
【0029】
ベースバンド部410は、信号処理部及びFFT(Fast Fourier Transform)演算部411と、制御部413と、モデム部414とを備えて構成されている。
【0030】
モデム部414は、受信回路430による受信信号の復調、無線LAN回路460による送受信信号の変復調をおこなう。
【0031】
信号処理部及びFFT演算部411は、モデム部414で復調された受信回路430での受信信号を、離散フーリエ変換の対称性に着目して、その演算量を減らし高速に変換を行う高速フーリエ変換の演算(FFT演算)を行い、この演算後の信号の周波数帯域圧縮を行う。その圧縮後の信号が無線LAN回路460で通信基地局100へ送信されることになる。制御部413は、ベースバンド部410がベースバンド処理を行うための制御を司る。
【0032】
通信基地局100のベースバンド部110は、信号処理部及びFFT演算部111と、補正処理部112と、制御部113と、モデム部114とを備えて構成されている。
【0033】
信号処理部及びFFT演算部111は、無線LAN回路150で受信された補助機400からの信号に対して周波数帯域伸張を行って元に戻す。補正処理部112は、その伸張後の信号に対して補正を行う。この補正は、1つ目は遅延補正であり、通信基地局100からの送信信号は、この送信後に補助機400で受信された後、無線LANで通信基地局100へ送信され、当該通信基地局100で受信されるといったフィードバックの通信経路を辿っているので、通信基地局100からの送信信号に対して遅れがある。この遅れを補正する。2つ目は歪み補正であり、通信基地局100からの送信と、この送信を補助機400の経路を介して通信基地局100で受信した場合との補正をおこなう。この送信と受信との比較で歪み量が分かるのでこれを補正する。
【0034】
制御部113は、その歪み補正後のデータを周期的に蓄積し、この蓄積データを過去のものと比較して、双方が異なる異常が一定時間継続するようであれば異常と判断する。更に、ベースバンド部110がベースバンド処理を行うための制御を司る。
(実施形態の動作)
以下、図1に示す本実施形態に係る無線通信システムの特徴部分の動作について、図4のフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0035】
まず、通信基地局100から信号を送信する。この送信は、送受信回路120において、直交変調器123がDAC121,122でデジタル信号に変換された同相信号I及び直交位相信号Qを直交変調を行い、この直交変調された信号からフィルタ124で不要成分を除去し、この除去後の信号を高出力電力増幅器125で出力に必要な電力に増幅し、これをデュプレクサ126から外部フィルタ300へ出力する。外部フィルタ300では、送信信号が所定の帯域に制限され、この際、スプリアス抑圧が行われた信号がアンテナ200から送信される(ステップS1)。
【0036】
この送信信号が補助機400のアンテナ202で受信される。この受信信号は、デュプレクサ435で、必要な受信帯域が取り出され、この取り出された信号の電力が低雑音増幅器434で増幅され、この増幅された信号がミキサ433及び周波数発振器442で中間周波数に変換される。この変換された信号からフィルタ432でエイリアシング、イメージ等の不要成分が除去され、この除去後の信号がADC431でデジタル信号に変換され、ベースバンド部410へ出力される(ステップS2)。
【0037】
ベースバンド部410においては、そのADC431で変換されたデジタル信号が復調され、この復調信号が信号処理部及びFFT演算部411でFFT演算される(ステップS3)。このFFT演算におけるFFT解析を実施した際の模式図を図5に示す。図5(a)は、横軸に周波数、縦軸に振幅特性を表す模式図であり、(b)は横軸に周波数、縦軸に位相特性を表す模式図である。即ち、(a)では周波数帯域21に破線22で示すように、フィルタ432によって近傍スプリアスが抑圧されることで生ずる通過特性の振幅歪みが表され、(b)では破線23で示すように、位相遅延の劣化が表される。但し、双方向矢印Y1で必要帯域を示す。
【0038】
更に、このFFT演算後の信号は、信号処理部及びFFT演算部411で周波数帯域圧縮が行われる(ステップS4)。図6に、その帯域圧縮して情報量を削減した状態の周波数帯域25を示す。双方向矢印Y2で必要帯域を示す。その圧縮後の信号は無線LAN回路460からアンテナ203を介して通信基地局100へ送信される(ステップS5)。
【0039】
この送信された信号は、通信基地局100のアンテナ201で受信され、無線LAN回路150で次の処理が行われる。そのアンテナ201での受信信号からデュプレクサ165で必要な受信帯域が取り出され、低雑音増幅器164で、その取り出された信号の電力増幅が行われ、更に、ミキサ163及び周波数発振器172で、その電力増幅された信号が中間周波数に変換される。この変換された信号からフィルタ162でエイリアシング、イメージ等の不要成分が除去され、ADC161でその除去後の信号がデジタル信号に変換され、ベースバンド部110へ出力される(ステップS6)。
【0040】
ベースバンド部110においては、そのADC161で変換されたデジタル信号が復調され、この復調信号に対して信号処理部及びFFT演算部111で周波数帯域伸張が行われて、元に戻される(ステップS7)。図7(a)及び(b)にその帯域が伸張された周波数帯域27において、矢印Y3で必要帯域を示す。
【0041】
この伸張後の信号に対して補正処理部112で補正が行われる。この補正では、まず、補助機400からの受信信号と、通信基地局100からの送信信号との間の時間的な遅れが補正、即ち遅延補正が行われる(ステップS8)。次に、通信基地局100からの送信と、この送信を補助機400の経路を介して通信基地局100で受信した場合との比較(ステップS9)で判明した歪み量が補正される。即ち、図7(a)に示す振幅方向において、破線31で示す劣化分に対する補正量32で補正されると共に、(b)に示す位相方向において、破線34で示す劣化分に対する補正量35で補正される(ステップS10)。
【0042】
次に、制御部113において、その歪み補正後のデータが周期的に蓄積される(ステップS11)。この蓄積データが過去のものと比較されて、双方が異なる異常が一定時間継続するようであれば異常と判断される。ここで異常がない場合は、上記ステップS2に戻って処理が継続される。一方、異常がある場合は、制御部113でその異常がアラームや点灯などの通知方法で通知される。
(実施形態の効果)
以上説明のように本実施形態に係る無線通信システムは、通信基地局100の外部に外部フィルタ300を接続して周波数帯域を制限すると共にスプリアス抑圧を行って信号を送信する無線通信システムにおいて、通信基地局100から外部フィルタ300を介して送信された信号を受信し、この受信信号に対して高速フーリエ変換を行って送信する補助機400を備え、通信基地局100は、補助機400から送信された信号を受信し、この受信信号に対して遅延補正及び歪み補正を行って蓄積し、この蓄積された前後の信号を比較して異常を検出するように構成した。
【0043】
この構成によれば、通信基地局100からの外部フィルタ300で帯域制限された送信信号が、補助機400で高速フーリエ変換が行われたのち通信基地局100で受信される。このフィードバック経路で受信信号に生ずる遅延及び歪みが通信基地局100で補正されて蓄積される。この蓄積された補正後の信号は、通信基地局100から本来送信される信号と同じ信号なので、この信号が外部フィルタ300でのスプリアス抑圧によって劣化していれば、正常な信号と異なる。従って、順次蓄積される信号を前後で比較して行けば通信基地局100からの送信信号が劣化しているか否かが分かり、劣化している場合には、その劣化が生じないように処理を施すことができる。
【0044】
つまり、本実施形態の無線通信システムでは、通信基地局100に外部フィルタ300を取り付けてスプリアス抑圧を行った際に、通信品質の劣化を防止して改善を図ることができる。
【0045】
また、上記の補助機400が設置される位置は、補助機400で受信される通信基地局100からの受信信号が、所定値以上の信号強度に収まる位置である。例えば、補助機400が飽和する位置に配置された場合、その飽和状態による位相ズレで歪みが起きていないように検出してしまう。この場合、通信基地局100では実際の電波特性と異なった状態と判断、つまり信号に劣化が生じている場合でも何も劣化が起こっていないと判断してしまうので、何も補償を行わないといった不具合が生じる。そこで、上記のように補助機400の位置では、そのような不具合が生じることを防止することができる。
【0046】
また、補助機400と通信基地局100とは、無線LANで接続され、この際に補助機400で受信信号の周波数帯域の圧縮を行い、通信基地局100で周波数帯域の伸張を行う構成とした。これによって、補助機400と通信基地局100とが無線LANで接続されているので、補助機400を適正な位置に容易に設置することができる。
【0047】
また、補助機400と通信基地局100とは、有線回線で接続してもよい。この場合、補助機400と通信基地局100とで、周囲の電波環境に関わらず、適正に信号を送受信することができる。
【0048】
更に、このような無線通信システムにおいては、変調精度、通信品質を改善することができ、変調クラスやMCS(Modulation and Coding Scheme)を下げることなく、また送信電力も下がらないため、データレートや通話、サービスエイリアを減らさないようにすることができる。
【0049】
また、2G,3Gをはじめ4G,LTE等のシステムに依存しない。複数システムに対応したマルチキャリアシステムにも対応させることができる。また、無線通信システムの運用を停止することなく、常時補正が可能である。このため、急峻なフィルタが設置され、温度変動が大きい場合の補正も対応可能となる。また、運用周波数と情報交換の周波数が異なるため、通信基地局100の送信及び受信周波数とのアイソレーションが不要となる。また、外部フィルタ300内に検波に付随する回路を入れた場合、検波用に接続するケーブルが必要となるが、そのケーブルが不要となる。
【0050】
この他、絶対レベルを測定する必要がないため、設置に制限を与えない。通信基地局100の近くに補助機400を設置することにより、フェージングの影響も少ない。通信基地局100は、補助機400からの受信信号の統計を取り、そのレベルが長期低下した場合、異常事態としての検出も可能となる。更には、フィルタで歪みを検出する方法に比較し、アンテナ異常判定機能も合わせ持つという利点もある。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明の技術的範囲予測は上記実施形態に記載の範囲予測には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲予測に含まれ得ることが、特許請求の範囲予測の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0052】
100・・通信基地局、110‥ベースバンド部、111‥信号処理部及びFFT演算部,112‥補正処理部,113‥制御部,114‥モデム部,120‥送受信回路、121,122,151,152,451,452‥DAC、123,153,453‥直交変調器、124,432,454‥フィルタ、125,455‥高出力電力増幅器、126,135,435,454,465‥デュプレクサ、131,161,431,461‥ADC、132,154,162,454,62‥フィルタ、155‥電力増幅器、133,163,433,463‥ミキサ、134,164.464,434‥低雑音増幅器、150,460‥無線LAN回路、171,172,442,471,472‥周波数発振器、200‥基地局用アンテナ、202‥受信用アンテナ、203‥無線LAN用アンテナ、300‥外部フィルタ,400‥補助機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信基地局の外部に外部フィルタを接続して周波数帯域を制限すると共にスプリアス抑圧を行って信号を送信する無線通信システムにおいて、
当該通信基地局から前記外部フィルタを介して送信された信号を受信し、この受信信号に対して高速フーリエ変換を行って送信する補助機を備え、
前記通信基地局は、前記補助機から送信された信号を受信し、この受信信号に対して遅延補正及び歪み補正を行って蓄積し、この蓄積された前後の信号を比較して異常を検出することを特徴とする動作無線通信システム。
【請求項2】
前記補助機は、前記補助機で受信される前記通信基地局からの受信信号が、所定値以上の信号強度に収まる位置にあることを特徴とする請求項1記載の動作無線通信システム。
【請求項3】
前記補助機と前記通信基地局とは、無線LANで接続され、この際に当該補助機で受信信号の周波数帯域の圧縮を行い、当該通信基地局で周波数帯域の伸張を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の動作無線通信システム。
【請求項4】
前記補助機と前記通信基地局とは、無線回線で接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の動作無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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