説明

無線通信モジュールおよび無線通信モジュールのナンバープレートへの取り付け方法

【課題】従来にない新規な方法でナンバープレートに取り付け可能な無線通信モジュールの技術を提供する。
【解決手段】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のナンバープレート1への取り付け時に、ボルト3によって取り付け部22およびそれと一体の筐体がナンバープレート1に固定され、さらに、取り付け部22に固定されている突起部24aが、ナンバープレート1に食い込み、ボルト3の回りの電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の回転を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナンバープレートに取り付けるための無線通信モジュールおよび無線通信モジュールのナンバープレートへの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信モジュールを車両のナンバープレートに取り付けることが提案されている。例えば、電子ナンバープレートは、ナンバープレートに取り付けられ、ナンバープレートの情報等の車両情報を無線送信する装置である(例えば、特許文献1参照)。無線通信モジュールのナンバープレートへの取り付けには、ナンバープレートを車体に取り付けるボルトを利用し、共締め固定する方法が知られている。
【0003】
無線通信モジュールをそのようなボルトのみで固定する場合、無線通信モジュールのナンバープレートに対する回転移動を抑制する機構を別途設けることが望ましい。回転移動を抑制する方法としては、ナンバープレートの端部に無線通信モジュールを引っ掛けて固定する方法がある(特許文献2参照)。
【特許文献1】特許3236832号公報
【特許文献2】特開2006−076345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような技術では、端部の周囲に他の部品があるナンバープレート(例えば、アクセサリ用の枠が付いたナンバープレート、背面に発光装置のある字光式ナンバープレート)や、変形の大きいナンバープレートに対する取り付けは困難である。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、従来にない新規な方法でナンバープレートに取り付け可能な無線通信モジュールの技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の特徴は、車両のナンバープレート(1)に取り付けられる無線通信モジュールが、ナンバープレート(1)を車両の車体に固定するためのボルト(3)を通す穴(10)が開いていると共に、無線通信のための回路を保護する筐体(21、22)と、筐体(21、22)に固定可能な突起部(24a、34、62)と、を備え、突起部(24a、34、62)の筐体(21、22)への固定位置は、当該無線通信モジュールがナンバープレート(1)に取り付けられた状態において、筐体(21、22)によって押し付けられることで、ナンバープレート(1)に食い込む位置となっていることである。
【0007】
このように、無線通信モジュールのナンバープレート(1)への取り付け時に、ボルト(3)によって筐体(21、22)がナンバープレート(1)に固定され、さらに、筐体(21、22)に固定されている突起部(24a、34、62)が、ナンバープレート(1)に食い込む。このように、突起部(24a、34、62)がナンバープレート(1)に食い込むことで、ナンバープレート(1)に対する無線通信モジュールの回転を抑制しつつ、無線通信モジュールをナンバープレート(1)に取り付けることができる。そして、その取り付けの際、ナンバープレート(1)の端部を利用する必要がない。また、ナンバープレート(1)が曲がっていても、突起部(24a、34、62)がナンバープレート(1)に押し付けられさえすれば、無線通信モジュールの回転を抑制することができる。
【0008】
また、突起部(24a、34、62)は、筐体(21、22)に開いた穴(10)を中心とする周上に配置されて固定されるようになっていてもよい。このようになっていることで、無線通信モジュールの、ボルト(3)を中心とする回転を効率よく抑制することができる。
【0009】
さらに、突起部(62)は、筐体(21、22)に設けられたアーチ状の溝(61)にはめ込まれることで、筐体(21、22)に固定されるようになっていてもよい。このようになっていることで、突起部(62)自体の存在により、筐体(21、22)と突起部(62)とがボルト(3)中心とする回転方向へずれることを抑制できる。
【0010】
また、無線通信モジュールは、非円形の固定部材(23、33a)および穴(10)に挿入されるブッシュ部(24b、33b)を更に備え、筐体(21、22)は、穴(10)の周囲の、ナンバープレート(1)と対面する側の反対側に、窪み部(25)を有し、突起部(24a、34)と固定部材(23、33a)とが、穴(10)を挟んで互いに回転を制限されてブッシュ部(24b、33b)を介して固定され、かつ、固定部材(23、33a)が窪み部(25)内に回転を制限されてはめ込まれることで、突起部(24a、34)の穴形成部(22)への固定が実現してもよい。
【0011】
このようになっていることで、固定部材(23、33a)が窪み部(25)によって回転移動を制限され、それによって筐体(21、22)と突起部(24a、34)とが、ボルト(3)を中心として互いに回転することを抑えることができる。また、突起部(24a、34)がブッシュ部(24b、33b)を介して筐体(21、22)に固定されていることで、ボルト(3)の締めによって効果的に突起部(24a、34)をナンバープレート(1)に押し付けることができる。
【0012】
またこのとき、突起部(24a)はブッシュ部(24b)と一体に形成され、固定部材(23)と突起部(24a)とは、ブッシュ部(24b)を介して互いに固定されようになっていてもよい。このようになっていることで、ボルト(3)が締まれば確実に突起部(24a、34)をナンバープレート(1)に食い込ませることができる。
【0013】
また、固定部材(33a)はブッシュ部(33b)と一体に形成され、固定部材(33a)と突起部(34)とは、ブッシュ部(33b)を介して互いに固定されるようになっていてもよい。
【0014】
ナンバープレート(1)に取り付けられた状態において、外部から穴(10)が見えないように隠す蓋(51、52)を有するようになっていてもよい。このようになっていることで、無線通信モジュールの取り付け構造を隠すことができるので、無線通信モジュールの見栄えが向上し、さらに、取り付け構造に対する第三者によるいたずらを抑制することもできる。
【0015】
また、本発明の特徴は、別の観点から見れば、車両のナンバープレート(1)に取り付けられる無線通信モジュールが、無線通信のための回路を保護する筐体本体(21)と、ボルト(3)を通す穴(10)が開いた穴形成部(22)と、突起部(24a、34、62)と、を備えている。そして、筐体本体(21)のナンバープレート(1)への取り付け時に、穴形成部(22)は、筐体本体(21)に固定されていると共に、穴(10)を通る前記ボルト(3)によってナンバープレート(1)に固定される。また、突起部(24a、34、62)は、穴(10)を通るボルト(3)によって穴形成部(22)がナンバープレート(1)に固定されたときに、筐体本体(21)または穴形成部(22)に固定されており、かつ、ナンバープレート(1)に食い込むようになっていると、捉えることができる。
【0016】
なお、穴形成部(22)が、「筐体(21)のナンバープレート(1)への取り付け時に筐体(21)に固定されている」とは、少なくとも取り付け時には筐体(21)に固定されていることを意味している。すなわち、ナンバープレート(1)への取り付け時に穴形成部(22)が筐体(21)に固定されておりさえすれば、穴形成部(22)が筐体(21)に固定されるタイミングは、ナンバープレート(1)への筐体(21)の取り付け時でもよいし、取り付け前でもよい。また、筐体(21)と穴形成部(22)とがあらかじめ一体成型されていてもよい。
【0017】
また、突起部(24a、34、62)が、「穴形成部(22)が穴(10)を通るボルト(3)によってナンバープレート(1)に固定されたとき、筐体(21)または穴形成部(22)に固定されている。」とは、少なくとも固定されたときには筐体(21)または穴形成部(22)に固定されていることを意味している。すなわち、穴形成部(22)の固定時に突起部(24a、34、62)が筐体(21)または穴形成部(22)に固定されておりさえすれば、突起部(24a、34、62)がこれらに固定されるタイミングは、穴形成部(22)のナンバープレート(1)への固定時でもよいし、固定前でもよいし、突起部(24a、34、62)は筐体(21)または穴形成部(22)のナンバープレート(1)に対向する面上にあらかじめインサート加工等で形成されていてもよい。
【0018】
さらに、本発明の特徴は、無線通信のための回路を保護し、ボルト(3)を通す穴(10)が開いた筐体(21、22)と、突起部(24a、34、62)と、を備えた無線通信モジュール(2)を車両のナンバープレート(1)に取り付けるための取り付け方法であって、突起部(24、34、62)が筐体(21、22)に固定された状態で、突起部(24、34、62)をナンバープレート(1)に押し付け、さらに、ボルト(3)を穴(10)およびナンバープレート(1)に通すことで、筐体(21、22)をナンバープレート(1)に固定する取り付け方法としても捉えることができる。
【0019】
なお、上記特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された成要素等の一例として後述の実施形態に記載される具体的構成要素等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、車両用のナンバープレート1に、本実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が、ボルト3で固定される様子を斜視図で示す。
【0021】
ボルト3は、ナンバープレート1を車体に取り付けて固定するためのボルトである。電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に取り付けない場合、ボルト3をナンバープレート1の穴に通し、さらにボルト3を車体のねじ穴に挿入して締め付けることで、ナンバープレート1が車体に固定される。
【0022】
本実施形態においては、ナンバープレート1および電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をこの1本のボルト3で共締めすることによって、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のナンバープレート1への固定、および、ナンバープレート1の車体への固定を実現する。具体的には、ボルト3を電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の穴に通し、さらに、ボルト3をナンバープレート1の穴に通し、さらにボルト3を車体のねじ穴に挿入して締め付ける。これによって、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、ナンバープレート1の表面に押さえつけられた状態で、ナンバープレート1に固定される。
【0023】
図2および図3に、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2およびボルト3の斜視図を示す。図2は、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の前面側、すなわち、取り付け後に外部から見える側から見た斜視図である。図3は、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の接触面側、すなわち、取り付け後にナンバープレート1に対面する側から見た斜視図である。
【0024】
これらの図に示すように、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、筐体本体21および取り付け部22から成る筐体を有している。更に、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、回り止めプレート23および突起形状部材24を有している。筐体本体21は樹脂製であり、その内部には、電池、通信回路、制御回路、メモリ等、ナンバープレート1の情報等の車両情報を無線送信するための、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の構成部品が格納される。これら構成部品は、筐体本体21によって外部から保護されている。
【0025】
取り付け部22は、筐体本体21と一体に形成されることで筐体本体21に対して固定されている部材である。この取り付け部22には、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をその前面から接触面まで貫通する穴10が開けられている。電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定する際、ボルト3はこの穴10に挿入される。
【0026】
回り止めプレート23は、非円形形状、具体的には、正六角形の頂点がさらに外側に突出した星型形状の金属製平板である。この回り止めプレート23の中央には、取り付け部22の穴10と同じ大きさの穴が設けられている。電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のナンバープレート1への固定時には、図2に示すように、回り止めプレート23が、取り付け部22の前面側に、その穴と穴10の位置が一致するように取り付けられ、さらに、ボルト3が回り止めプレート23の穴および穴10に、この順に挿入される。
【0027】
突起形状部材24は、ナンバープレート1の材質(例えばアルミニウム)より硬い金属から成り、先端が尖った複数の突起物を含んでいる。この突起形状部材24には、取り付け部22の穴10よりやや小さい穴が開けられており、その穴の周囲に上述の金属製の突起物が円環状に並べられている。この突起形状部材24は、図3に示すように、取り付け部22の接触面側に取り付けられ、それによって、これら突起物の先端が、ナンバープレート1の方向を向く。
【0028】
図4〜6に、取り付け部22に対する回り止めプレート23および突起形状部材24の取り付け手順を示す。なお、図5は、図4の斜視図に示すように取り付け部22、回り止めプレート23、突起形状部材24を配置した状態において、穴10の中心を垂直に貫通する中心線11を含み、かつ、突起形状部材24の最上端および最下端を通る線12を含む面で、取り付け部22、回り止めプレート23、突起形状部材24を切断したときの断面図である。
【0029】
まず、取り付け部22、回り止めプレート23、および突起形状部材24を、図4および図5に示すような配置に並べる。なお、図4、5に示すように、回り止めプレート23は、その穴のすぐ左右に、穴の中心方向に突起しているかしめ部23a、23bを有している。
【0030】
また、図5に示すように、突起形状部材24は、円環状に並んだ複数の突起物およびそれら突起物を支える部材から成る突起部24a、および、突起部24aと一体に形成された円筒形状のブッシュ部24bを有している。より具体的には、突起形状部材24は、外歯座金にブッシュ部品を組み合わせた様な形状を有している。ブッシュ部24bの長さは、穴10の深さをわずかに超えている。ブッシュ部24bは、その前面側の端部の左右に、切り欠き24c、24dを有している。
【0031】
また、取り付け部22の表面側における穴10の周囲は、前方に盛り上がることによって、やや先細りの円柱形状26を形成している。さらに、その円柱形状26の頂部の面(すなわち、回り止めプレート23に対向する面)には、円柱形状26の頂部に対して、名バープレート1の方向に窪んだ窪み部25が形成されている。この窪み部25を前方から見たときの形状は、回り止めプレート23とほぼ相似の形状であり、かつ、その大きさは、回り止めプレート23の大きさとほぼ同じである。したがって、回り止めプレート23は、窪み部25にぴったり密着して嵌まるようになる。
【0032】
図6は、回り止めプレート23および突起形状部材24を取り付け部22に組み付けた状態の、図5と同じ面における断面図である。この図に示すように、回り止めプレート23を窪み部25にはめ込み、さらに、突起形状部材24のブッシュ部24bを穴10に挿入する。そして、ブッシュ部24bの先端部にある切り欠き24cおよび24dに、回り止めプレート23のかしめ部23aおよび23bをそれぞれはめ込んでかしめ結合させる。このようにすることで、回り止めプレート23と突起部24aとが、取り付け部22を挟んで、ブッシュ部24bを介して、固定される。また、かしめ部23a、bおよび切り欠き24c、dにおけるかしめ結合により、回り止めプレート23と突起形状部材24とは互いに回転することができないようになっている。
【0033】
さらに、このような組み付けによって、回り止めプレート23が窪み部25に当たることによって、回り止めプレート23の取り付け部22に対する回転が制限される。その結果として、突起形状部材24の取り付け部22に対する回転が制限される。すなわち、突起形状部材24と取り付け部22とは、互いに空回りしない構造となっている。
【0034】
図7〜図9に、このようにして組みつけられた電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定する手順を、図5と同じ面における断面図で示す。
【0035】
これらの図に示すように、ナンバープレート1の穴に電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の穴10の位置を合わせ、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の前面側からそれらの穴に、ボルト3を挿入する。そして、ボルト3のうち、ナンバープレート1の裏面に出た部分は、図示しない車体のねじ穴にねじ込まれる。そして、ボルト3を強く締めることで、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2がナンバープレート1に押さえつけられ、ねじ穴、ナンバープレート1、および電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が、それぞれ固定される。このとき、突起部24aの突起物が、筐体に押し付けられることで、ナンバープレート1に食い込む。この食い込んだ突起物とナンバープレート1との間の引っかかりにより、突起形状部材24がボルト3を中心としてナンバープレート1に対して回転することが制限され、ひいては、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2がボルト3を中心としてナンバープレート1に対して回転することが制限される。
【0036】
このように、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のナンバープレート1への取り付け時に、ボルト3によって取り付け部22および筐体本体21がナンバープレート1に固定され、さらに、筐体本体21または取り付け部22に固定されている突起部24aが、ナンバープレート1に食い込む。このように、突起部24aがナンバープレート1に食い込むことで、ナンバープレート1に対する電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の回転を抑制しつつ、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に取り付けることができる。そして、その取り付けの際、ナンバープレート1の端部を利用する必要がない。また、ナンバープレート1が曲がっていても、突起部24aがナンバープレート1に押し付けられさえすれば、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のボルト3の周りの回転を抑制することができる。
【0037】
したがって、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の取り付けは、ナンバープレート1と電波モジュールとを1本のボルト3で共締めするだけで、各方向(ナンバープレート1の面に対して平行、垂直、回転の方向)についての固定が可能となる。また、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の取り付け作業性もよくなるので、簡単に取り付けができるようになる。また、ナンバープレート1の表面上に歯が食い込んでいるだけなので、ナンバープレート1と共締めしている取り付け用ボルトを外すだけで、容易にナンバープレート1を取り外すことができる。したがって、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の内部電池の交換も容易になる。
【0038】
また、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、ナンバープレート1の端部等の固有の形状を利用しない。したがって、ボルト3用の穴と突起部24aが食込ませられる平面部分がナンバープレート1にありさえすれば、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の取り付けが可能となる。したがって、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、アクセサリ用のナンバープレート枠の付けられたナンバープレートや字光式のナンバープレート、更には、多少歪んだナンバープレートにも取り付けが可能となる。また、ナンバープレート1に電子ナンバープレート用無線通信モジュール2を取り付けた後は、外部からはナンバープレート1の筐体本体21および取り付け部22のみが見えるだけであり、見た目にもシンプルとなる。
【0039】
また、突起部24aは、取り付け部22の穴10を中心とする周上に配置されて固定されている。このようになっていることで、ナンバープレート1の、ボルト3を中心とする回転を効率よく抑制することができる。
【0040】
また、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、非円形の回り止めプレート23および穴10に挿入されるブッシュ部24bを更に備え、取り付け部22は、穴10の周囲の、ナンバープレート1と対面する側の反対側に、窪み部25を有し、突起部24aと回り止めプレート23とが、穴10を挟んで互いに回転を制限されてブッシュ部24bを介して固定され、かつ、回り止めプレート23が窪み部25内に回転を制限されてはめ込まれることで、突起部24aの取り付け部22への固定が実現している。
【0041】
このようになっていることで、回り止めプレート23が窪み部25によって回転移動を制限され、それによって取り付け部22と突起部24aとが、ボルト3を中心として互いに回転することを抑えることができる。
【0042】
樹脂部品のネジ締め、ボルト締めには、樹脂のクリープ変形や熱変形によりネジ締結緩みが懸念される。ブッシュ部24bが穴10に埋め込まれていることで、ボルト3の締付け力は、ブッシュ部24bが受けている。それによって、樹脂にクリープ変形や熱変形が発生しても、ボルト3の締結力の低下が抑えられる。
【0043】
またこのとき、突起部24aはブッシュ部24bと一体に形成され、固定部材23と突起部24aとは、ブッシュ部24bを介して互いに固定されようになっている。すなわちボルト3の締め付け軸力は、突起部24aと一体となったブッシュ部24bで受け、締付け力はそのまま突起部24aに伝わるようになっている。このようになっていることで、ボルト3を締めれば効果的に突起部24aをナンバープレート1に押し付けて食い込ませることができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。図10および図11に、本実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2を、それぞれ図5および図6と同じ形式の断面図で示す。本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が第1実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2と異なるのは、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が、回り止めプレート23および突起形状部材24に代えて、回り止め部材33および外歯座金34を有していることである。
【0045】
回り止め部材33は、第1実施形態の回り止めプレート23と同材質同形状のプレート部33aと、第1実施形態のブッシュ部24bと同材質同形状のブッシュ部33bとを有している。このプレート部33aとブッシュ部33bとは、一体に形成されている。外歯座金34は、突起部24aと同材質同形状となっている。
【0046】
本実施形態においては、図11に示すように、回り止め部材33のブッシュ部33bを穴10に挿入すると共に、プレート部33aを窪み部25にはめ込む。そして、ブッシュ部33bのうち、取り付け部22の接触面側の端部に、外歯座金34をかしめ結合させる。このかしめ結合においては、回り止め部材33に対して外歯座金34が回転しないように、ブッシュ部33bおよび外歯座金34を非円形に変形させてもよい。
【0047】
このようにすることで、プレート部33aと外歯座金34とが取り付け部22を挟んで、ブッシュ部34bを介して、固定される。このように、ブッシュ部33bをプレート部33aと一体に形成することで、外歯座金34として、汎用品を用いることができるようになる。
【0048】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。図12に、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図を示す。また、図13および図14に、本実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2を、それぞれ図5および図6と同じ形式の断面図で示す。
【0049】
本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が第2実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2と異なる点は、回り止め部材33に代えてブッシュ部材43を有していることである。ブッシュ部材43は、回り止め部材33のブッシュ部33bと同材質同形状である。このブッシュ部材43は、穴10の内壁にインサート成型されることで、取り付け部22に対して固定されている。そして、このブッシュ部材43のうち、取り付け部22の接触面側の端部に、外歯座金34をかしめ結合させる。このかしめ結合においては、回り止め部材33に対して外歯座金34が回転しないように、ブッシュ部33bおよび外歯座金34を変形させてもよい。
【0050】
このように、筐体本体21および取り付け部22の材質によっては、インサート成形によってボルト3の軸力を受けるブッシュ部材43を取り付け部22に結合させ、それに外歯座金34をかしめ等で結合させてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。図15および図16に、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図を示す。本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が第1実施形態と異なるのは、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2は、回り止めプレート23を有さず、さらに、突起形状部材24に代えてアーチ歯62を有し、さらに、取り付け部22の接触面側には、アーチ歯62がぴったり(または僅かな隙間を残して)嵌まる溝61が設けられていることである。図15は、アーチ歯62が溝61に挿入される前の状態を、図16は、アーチ歯62が溝61に挿入された後の状態を、それぞれ示している。
【0052】
アーチ歯62は、円環の一部が欠けた円弧形状の(ナンバープレート1より硬い)金属である。そして、アーチ歯62のナンバープレート1に取り付けられる側には、当該円弧形状に沿った複数の先端が尖った突起物が設けられている。このようなアーチ歯62は、溝61にはめ込まれることで、取り付け部22に固定される。
【0053】
そして、図16のように組みつけられた電子ナンバープレート用無線通信モジュール2を、ボルト3でナンバープレート1に固定することで、アーチ歯62がナンバープレート1に押し付けられて食い込む。
【0054】
この場合は、アーチ歯62が円形でないため、アーチ歯62そのものが電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のボルト3の周りの回転を制限し、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の回り止めとして機能する。また、この場合、第1実施形態のような回り止めプレート23を省略できるため、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の製造コストを抑えることができる。
【0055】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、第1実施形態と異なる点について説明する。図17に、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図を示す。本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が第1実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2と異なる点は、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が、樹脂製もしくは金属製で円環形状の封緘部材51を有していることである。電子ナンバープレート用無線通信モジュール2にボルト3を通すとき、まずボルト3を封緘部材51の穴に挿入し、さらに、取り付け部22の穴10に挿入する。そして、ボルト3のフランジ部と取り付け部22で封緘部材51を挟むことで、封緘部材51を固定する。
【0056】
このような組み付けを行うことで、ナンバープレート1に電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が取り付けられた状態において、封緘部材51は、回り止めプレート23等の回り止めの機構を外部から完全に隠す蓋として機能する。このようになっていることで、ナンバープレート1の見栄えが向上し、さらに、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の取り付け構造に対する第三者によるいたずらを抑制することもできる。また、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2およびナンバープレート1の盗難の恐れを低減することができる。
【0057】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について、第5実施形態と異なる点について説明する。図18に、本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図を示す。本実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が第1実施形態の電子ナンバープレート用無線通信モジュール2と異なる点は、封緘部材51に代えて、樹脂製もしくは金属製で有底筒形状の封印部材52を有していることである。電子ナンバープレート用無線通信モジュール2にボルト3を通し、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定した後、封印部材52を、ボルト3に被せるように、取り付け部22に取り付ける。
【0058】
このような組み付けを行うことで、ナンバープレート1に電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が取り付けられた状態において、封印部材52は、回り止めプレート23等の回り止めの機構を外部から完全に隠す蓋として機能する。このようになっていることで、ナンバープレート1の見栄えが向上し、さらに、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の取り付け構造に対する第三者によるいたずらを抑制することもできる。また、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2およびナンバープレート1の盗難の恐れを低減することができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0060】
例えば、窪み部25の大きさは、回り止めプレート23の大きさよりもやや大きくなっていてもよい。この場合、回り止めプレート23は、窪み部25にぴったり密着するのではなく、回り止めプレート23と窪み部25との間に隙間を残しながら、窪み部25に嵌まることになる。この場合、回り止めプレート23と窪み部25との接触部は、点または線となる。このようになっていても、回り止めプレート23の取り付け部22に対する回転は制限される。このように、回り止めプレート23と窪み部25との間に隙間があれば、熱で取り付け部22の樹脂が膨張しても、回り止めプレート23と窪み部25との間にかかるストレスを軽減もしくは解消することができる。
【0061】
また、突起部24a、34、62の、歯状に並んだ突起物は、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のボルト3の周りの回転を制限できる程度の食い込み量、もしくは摩擦力等が確保出来るならば、その材質は樹脂やゴム等であってもよい。
【0062】
また、回り止めプレート23、プレート部33a等の回り止めの部材は、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2のボルト3の周りの方向の動きを制限できるならば、どのような形状であってもよい。
【0063】
また、突起部と回り止め部材との結合は、溶接、接着等で実現してもよい。また、突起部をインサート成形にて電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の接触面に埋め込んでもよい。
【0064】
また、突起部24aは、取り付け部22でなく、筐体本体21の面のうち、ナンバープレート1に対向する面に取り付けられていてもよい。
【0065】
また、筐体本体21と取り付け部22は、ナンバープレート1への組み付け時に互いに固定されるようになっていればよいのであって、例えば製造時、販売時等においては、分離していてもよい。
【0066】
また、本発明の技術は、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2に限らず、ナンバープレート1に取り付けられる無線通信のための装置であればどのようなものにでも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】ナンバープレート1に、本発明の実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2が、ボルト3で固定される様子を斜視図である。
【図2】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2およびボルト3を、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の前面側から見た斜視図である。
【図3】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2およびボルト3を、電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の接触面側から見た斜視図である。
【図4】取り付け部22に対する回り止めプレート23および突起形状部材24の取り付け手順を示す斜視図である。
【図5】図4における線11、12を含む面における断面図である。
【図6】回り止めプレート23および突起形状部材24を取り付け部22に組み付けた状態の、図5と同じ面における断面図である。
【図7】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定する手順を示す、図5と同じ面における断面図である。
【図8】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定する手順を示す、図5と同じ面における断面図である。
【図9】電子ナンバープレート用無線通信モジュール2をナンバープレート1に固定する手順を示す、図5と同じ面における断面図である。
【図10】第2実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の、図5と同じ形式による断面図である。
【図11】第2実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の、図6と同じ形式による断面図である。
【図12】第3実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図である。
【図13】第3実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の、図5と同じ形式による断面図である。
【図14】第3実施形態に係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の、図5と同じ形式による断面図である。
【図15】第4実施形態係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図である。
【図16】第4実施形態係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図である。
【図17】第5実施形態係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図である。
【図18】第6実施形態係る電子ナンバープレート用無線通信モジュール2の斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1…ナンバープレート、2…電子ナンバープレート用無線通信モジュール、
3…ボルト、10…穴、21…筐体本体、22…取り付け部、
23…回り止めプレート、23a、23b…かしめ部、24…突起形状部材、
24a…突起部、24b…ブッシュ部、24c…切り欠き、24d…切り欠き、
25…窪み部、26…円柱形状、33…回り止め部材、33a…プレート部、
33b…ブッシュ部、34…外歯座金、43…ブッシュ部材、51…封緘部材、
52…封印部材、61…溝、62…アーチ歯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のナンバープレート(1)に取り付けられる無線通信モジュールであって、
前記ナンバープレート(1)を前記車両の車体に固定するためのボルト(3)を通す穴(10)が開いていると共に、無線通信のための回路を保護する筐体(21、22)と、
前記筐体(21、22)に固定可能な突起部(24a、34、62)と、を備え、
前記突起部(24a、34、62)の前記筐体(21、22)への固定位置は、当該無線通信モジュールが前記ナンバープレート(1)に取り付けられた状態において、前記筐体(21、22)によって押し付けられることで、前記ナンバープレート(1)に食い込む位置であることを特徴とする無線通信モジュール。
【請求項2】
前記突起部(24a、34、62)は、前記筐体(21、22)に開いた前記穴(10)を中心とする周上に配置されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の無線通信モジュール。
【請求項3】
前記突起部(62)は、前記筐体(21、22)に設けられたアーチ状の溝(61)にはめ込まれることで、前記筐体(21、22)に固定されることを特徴とする請求項2に記載の無線通信モジュール。
【請求項4】
非円形の固定部材(23、33a)、および前記穴(10)に挿入されるブッシュ部(24b、33b)を、更に備え、
前記筐体(21、22)は、前記穴(10)の周囲の、前記ナンバープレート(1)と対面する側の反対側に、窪み部(25)を有し、
前記突起部(24a、34)と前記固定部材(23、33a)とが、前記穴(10)を挟んで互いに回転を制限されて前記ブッシュ部(24b、33b)を介して固定され、かつ、前記固定部材(23、33a)が前記窪み部(25)内に回転を制限されてはめ込まれることで、前記突起部(24a、34)の前記穴形成部(22)への固定が実現することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の無線通信モジュール。
【請求項5】
前記突起部(24a)は、前記ブッシュ部(24b)と一体に形成され、
前記固定部材(23)と前記突起部(24a)とは、前記ブッシュ部(24b)を介して互いに固定されることを特徴とする請求項4に記載の無線通信モジュール。
【請求項6】
前記固定部材(33a)は、前記ブッシュ部(33b)と一体に形成され、
前記固定部材(33a)と前記突起部(34)とは、前記ブッシュ部(33b)を介して互いに固定されることを特徴とする請求項4に記載の無線通信モジュール。
【請求項7】
前記ナンバープレート(1)に取り付けられた状態において、外部から前記穴(10)が見えないように隠す蓋(51、52)を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の無線通信モジュール。
【請求項8】
車両のナンバープレート(1)に取り付けられる無線通信モジュールであって、
無線通信のための回路を保護する筐体本体(21)と、
ボルト(3)を通す穴(10)が開いた穴形成部(22)と、
突起部(24a、34、62)と、を備え、
前記筐体本体(21)の前記ナンバープレート(1)への取り付け時に、前記穴形成部(22)は、前記筐体本体(21)に固定されていると共に、前記穴(10)を通る前記ボルト(3)によって前記ナンバープレート(1)に固定され、
前記突起部(24a、34、62)は、前記穴形成部(22)が前記穴(10)を通る前記ボルト(3)によって前記ナンバープレート(1)に固定されたときに、前記筐体本体(21)または前記穴形成部(22)に固定されており、かつ、前記ナンバープレート(1)に食い込むことを特徴とする無線通信モジュール。
【請求項9】
無線通信のための回路を保護し、ボルト(3)を通す穴(10)が開いた筐体(21、22)と、突起部(24a、34、62)と、を備えた無線通信モジュール(2)を車両のナンバープレート(1)に取り付けるための取り付け方法であって、
前記突起部(24、34、62)が前記筐体(21、22)に固定された状態で、前記突起部(24、34、62)を前記ナンバープレート(1)に押し付け、さらに、前記ボルト(3)を前記穴(10)および前記ナンバープレート(1)に通すことで、前記筐体(21、22)を前記ナンバープレート(1)に固定する取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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