説明

無線通信機

【課題】目的周波数バンドの設定、表示に至るまでに要するキー操作回数を低減した無線通信機を提供する。
【解決手段】使用可能周波数バンド中におけるマスク周波数バンドを予めマスク指示キー6によって指定し、マスク指示キー6によって指定されたマスク周波数バンドの情報と使用可能周波数バンドの各周波数バンドの情報とをメモリ4に記憶し、Aキー5の押下毎にマスク周波数バンドを除く使用可能周波数バンド中から周波数バンドをメモリ4から順次、昇順もしくは降順に検索し、検索した周波数バンドに基づく表示を表示器8に表示させると共に、該表示周波数バンドに送受信周波数バンドを設定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信機に関し、特に使用周波数を含む機能の設定操作を容易にした無線通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機において、使用周波数や機能等を予め複数チャンネルのメモリに記憶し、使用時に所望チャンネルのメモリ内容を呼び出し、そのデータに基づく送受信の運用状態を再現させることができるようにした無線通信機がある。
【0003】
かかる無線通信機では、例えば、複数のチャンネルメモリのうちの、呼び出しモードスイッチにより呼び出しモードとされ、かつ選択スイッチで選択されて呼び出されたメモリに格納さている運用データに基づいて再現された各種運用条件を変更でき、その変更された内容に基づき当該メモリの内容を自動的に変更するか、変更しないようにするかを使用者が選択できるように構成することにより、設定操作と設定の変更操作がきわめて単純化されて、初心者であっても操作が判らなくなったり、間違ったりすることなく、既に設定されている大切な情報がクリアされることなく使い勝手を向上させている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−284540号公報
【0004】
一方、従来の無線通信機において、使用者が使用したい周波数バンドの設定は、該無線通信機で使用可能なすべての周波数バンドを選択可能とし、キー操作、例えばAキーを押下する毎に、順次周波数バンドが呼び出され、周波数バンドの設定と周波数バンドの表示がなされていた。例えば、使用周波数バンド;118MHz→Aキー押下→144MHz→Aキー押下→220MHz→Aキー押下→300MHz→Aキー押下→430MHz(→Aキー押下→118MHz)の如くである。このように使用周波数バンドを118MHzから300MHzに設定変更しようとすればAキーを3回押下する必要がある。
【0005】
これをフローチャートによって説明すると図3に示す如くである。即ち、通常状態(118MHz表示)からAキーが押下されると(ステップS11)、次に表示するべき周波数バンド(144MHz表示)がメモリから検索される(ステップS12)。検索の結果、周波数バンド(144MHz表示)が見つかれば(ステップS13)、その周波数バンドが呼び出され(ステップS14)、表示器に周波数バンドが表示され、該表示周波数バンドに送受信周波数バンドが設定される(ステップS15)。ステップS13において検索の結果、周波数バンド(144MHz表示)が見つからないときは、検索を終了し、現在表示している周波数バンド(118MHz表示)がそのまま表示、設定される。これを目的の周波数バンド(例えば300MHz表示)が表示、設定されるまでAキーの押下を繰り返す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記したような従来の方法による周波数帯の設定、表示では、Aキーの押下を行って目的の周波数バンドの設定、表示に至るまでに使用しない周波数バンドも順次設定、表示していく必要があるため、目的の使用周波数バンドを呼び出すまでに要するキー操作回数が増加するという問題点がある。
【0007】
本発明は、目的周波数バンドの設定、表示に至るまでに要するキー操作回数を低減した無線通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1にかかる無線通信機は、表示器と、使用可能周波数バンド中におけるマスク周波数バンドを予め指定する第1のキーと、第1のキーによって指定されたマスク周波数バンドの情報と使用可能周波数バンドの各周波数バンドの情報とを記憶するメモリと、第2のキーの押下毎にマスク周波数バンドを除く使用可能周波数バンド中から周波数バンドをメモリから順次、昇順もしくは降順に検索し、検索した周波数バンドに基づく表示を表示器に表示させると共に該表示周波数バンドに送受信周波数バンドを設定する周波数表示、周波数設定制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1にかかる無線通信機によれば、第1のキーによってマスク指定された周波数バンドについては、第2のキーの押下毎の操作によっても表示されず、勿論周波数バンドの設定もなされることはなくなり、キー操作回数が低減され、操作が簡略化される。また、設定のカスタマイズを行うことができるほか、表示のための周波数バンドの探索時間が短縮されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかる無線通信機を実施の形態によって説明する。
【0011】
図1は本発明の実施の形態にかかる無線通信機の構成を示すブロック図である。
【0012】
本発明の実施の形態にかかる無線通信機は図1に示す如く、送受信回路1と、アンテナ2と、送受信回路1を制御すると共に表示制御および周波数バンドを設定する設定制御を行うマイクロコンピュータ3と、使用可能周波数バンドとマスク周波数バンドを含む情報を記憶させるメモリ4と、押下毎に使用周波数バンドを指定するための第2のキーに対応するAキー5とマスクする周波数バンドを指定する第1のキーに対応するマスク指示キー6を含むキー群7と、使用周波数バンドの表示を含む表示器8とを備えている。
【0013】
マイクロコンピュータ3は、機能的に、予めマスク指示キー6からの指示を受けて使用可能周波数バンド中において使用しない周波数バンド情報をメモリ4に格納させ、Aキー5の押下毎にマスク周波数バンドを除く使用可能周波数バンド中から周波数バンドをメモリから順次、昇順もしくは降順に検索し、検索した周波数バンドに基づく表示を表示器8に表示させると共に表示周波数バンドに送受信周波数バンドを設定する周波数表示、周波数設定制御手段とを備えている。
【0014】
本発明の実施の形態にかかる無線通信機における周波数バンドの表示について説明する。
【0015】
マスク指示キー6によって、マスクされる周波数バンドが指定される。例えば、マスク指示キー6によって「144MHz:USE」→「144MHz:MASK」、「220MHz:USE」→「220MHz:MASK」が指定される。これによりメモリ4に記憶された使用可能周波数バンド中から、144MHzおよび220MHzの周波数バンドがマスクされた旨の情報が格納される。
【0016】
引き続きAキー5の押下毎に、順次周波数バンドが呼び出され、周波数バンドの設定および表示がなされる。例えば、使用周波数バンド;118MHz→Aキー押下→300MHz→Aキー押下→430MHz(→Aキー押下→118MHz)の如くAキー5の押下毎に設定表示されて、この場合は144MHzおよび220MHzの周波数バンドはマスクされる。したがって、周波数バンド118MHzから300MHzに設定変更しようとすれば、従来の場合ではAキー5の押下を3回する必要であったが、これが1回で済むことになる。
【0017】
また、マスク指示キー6によって、マスクされる周波数バンドの指定において、「144MHz:MASK」→「144MHz:USE」、「220MHz:MASK」→「220MHz:USE」と指定することにより、メモリ4に記憶されている使用可能周波数バンド中における144MHzおよび220MHzの周波数バンドのマスクが解除されて、従来の操作性に戻される。
【0018】
次に、本発明の実施の形態にかかる無線通信機における周波数バンドの設定表示について図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0019】
通常状態(118MHz表示)からAキー5が押下されると(ステップS1)、次に設定表示するべき周波数バンド(144MHz表示)がメモリから検索される(ステップS2)。検索の結果、周波数バンド(144MHz表示)が見つからなかった場合は、検索を終了し、現在表示している周波数バンド(118MHz表示)がそのまま表示され、送受信周波数バンドもそのまま維持される。
【0020】
ステップS2における検索の結果、周波数バンド(144MHz表示)が見つかれば(ステップS3)、その周波数バンドがマスク設定されているか否かがチェックされ(ステップS4)、マスクされていないと判別されたときは周波数バンド(144MHz表示)が呼び出されて(ステップS5)、表示器8に表示されると共に、該表示周波数バンドに送受信周波数バンドが設定される(ステップS6)。ステップS4においてその周波数バンドがマスク設定されていると判別されたときは、再び次に表示するべき周波数バンド(220MHz表示)をメモリ4から検索を行う。ここで再びバンドマスクのチェックが行われ、目的の周波数バンド(300MHz表示)が見つかるまでこの処理を繰り返し、見つかったときは目的の周波数バンド(300MHz表示)が表示器8に表示されると共に、該表示周波数バンドに送受信周波数バンドが設定される。
【0021】
このように、周波数バンド(144MHz)と周波数バンド(220MHz)がマスクされているときは、Aキー5の操作は1回のみで済むことになる。
【0022】
以上説明したように本発明の実施の形態にかかる無線通信機によれば、使用する周波数バンドの設定、表示時のAキー押下回数が減り、煩わしさがなくなる。また不要な周波数バンドが表示されないので、操作が簡略化される。また、同時に2つの周波数バンドで運用できる無線通信機においては、更にキーの押下回数が増加してしまうので、本発明を適用することにより、更に操作性を向上させることができる。
【0023】
また、周波数バンドの設定、表示のみではなく、使用者に対して不必要な設定項目を表示させないようにすることによって、設定表示の簡略化が図れる。また、設定、表示の変更は遠隔制御による操作であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態にかかる無線通信機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる無線通信機の作用の説明に供するフローチャートである。
【図3】従来の無線通信機の作用の説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1 送受信回路
2 アンテナ
3 マイクロコンピュータ
4 メモリ
5 Aキー
6 マスク指示キー
7 キー群
8 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、使用可能周波数バンド中におけるマスク周波数バンドを予め指定する第1のキーと、第1のキーによって指定されたマスク周波数バンドの情報と使用可能周波数バンドの各周波数バンドの情報とを記憶するメモリと、第2のキーの押下毎にマスク周波数バンドを除く使用可能周波数バンド中から周波数バンドをメモリから順次、昇順もしくは降順に検索し、検索した周波数バンドに基づく表示を表示器に表示させると共に表示周波数バンドに送受信周波数バンドを設定する周波数表示、周波数設定制御手段とを備えたことを特徴とする無線通信機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−166246(P2007−166246A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−359851(P2005−359851)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】