説明

無線通信端末

【課題】緊急内容の伝達先の機器が遠い場所にある場合においても、すぐに緊急であることを確認することができる。
【解決手段】無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器から第1の無線通信プロトコルで送信される、植込み型医療機器が検出したイベントの緊急度を示す緊急度データと、植込み型医療機器から第2の無線通信プロトコルで送信される、イベントの詳細を示す詳細データとを受信する。無線第2インターフェース27は、外部機器に対して第2の無線通信プロトコルで詳細データを送信する。表示部25は情報を表示する。制御部23は、無線第1インターフェース22が受信した緊急度データに基づいて、イベントの緊急度に対応する概要情報を表示部25に表示させ、無線第1インターフェース22が受信した詳細データを外部機器に対して無線第2インターフェース27に送信させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
医療・ヘルスケア分野では、各種センサを備えた端末を用いて人体表面または体内から生体データを収集し、端末が収集した生体データを蓄積装置に転送して蓄積することで、蓄積装置が蓄積した生体データを健康管理や、病気の診断や、治療などに役立てようとする取り組みが盛んに進められている。このような用途では、生体データを転送するために端末と蓄積装置との間を有線ケーブルでつなぐと行動の自由が制限されてしまうため、無線通信で生体データを転送するようにし、さらに、端末を電池で駆動させるようにし、端末を自由に持ち歩くことができるようにすることが望ましい。このようなニーズは、医療分野、特に植込み型医療機器(IMD、Implantable Medical Devices)ではより大きい。
【0003】
また、植込み型医療機器は、一般的にセンサが緊急情報を検出し、検出した緊急情報の緊急度に応じて緊急内容の伝達先や伝達方法を変更する。また、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急事態を、緊急事態の緊急度に適した任意の通知形態により伝達先の機器に送信してユーザに通知する通知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−24002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、ユーザは、センサが検出した情報に基づいて判定した緊急情報を、通知装置自体では確認することができず、伝達先の機器でのみ確認することができる。そのため、伝達先の機器が遠い場所にある場合等では、すぐに緊急であることを確認することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、緊急内容の伝達先の機器が遠い場所にある場合においても、すぐに緊急であることを確認することができる無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、植込み型医療機器から第1の無線通信プロトコルで送信される、前記植込み型医療機器が検出したイベントの緊急度を示す緊急度データと、前記植込み型医療機器から第2の無線通信プロトコルで送信される、前記イベントの詳細を示すデータであり前記緊急度データよりもデータサイズが大きい詳細データとを受信する第1のインターフェースと、外部機器に対して前記第2の無線通信プロトコルで前記詳細データを送信する第2のインターフェースと、情報を表示する表示部と、前記第1のインターフェースが受信した前記緊急度データに基づいて、前記イベントの緊急度に対応する概要情報を前記表示部に表示させ、前記第1のインターフェースが受信した前記詳細データを前記外部機器に対して前記第2のインターフェースに送信させる制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信端末である。
【0008】
また、本発明の無線通信端末において、前記第1のインターフェースは、前記緊急度データと前記詳細データとをそれぞれ別々に受信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の無線通信端末において、前記第1のインターフェースは、暗号化された前記緊急度データを受信し、前記第2のインターフェースは、前記外部機器に対して、前記緊急度データとは異なる暗号内容で暗号化された前記詳細データを送信することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の無線通信端末において、前記制御部は、前記緊急度データに基づいて緊急度を判定し、当該緊急度に応じて、前記詳細データの送信タイミングと送信先の前記外部機器とを決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の無線通信端末において、前記制御部は、前記緊急度データに基づいて緊急度を判定し、当該緊急度に応じて、前記詳細データの送信内容と送信先の前記外部機器とを決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無線端末装置は情報を表示する表示部を備えており、制御部は、第1のインターフェースが受信した緊急度データに基づいて、イベントの緊急度に対応する概要情報を表示部に表示させ、第1のインターフェースが受信した詳細データを外部機器に対して第2のインターフェースに送信させる。これにより、表示部にイベントの緊急度に対応する概要情報を表示させることができるため、イベントの詳細を示す詳細データを転送する先の外部機器が遠い場所にある場合においても、すぐに緊急であることを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における植込み型医療機器の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における無線通信端末の構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における外部機器の構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態において、植込み型医療機器が、無線通信端末に対して、緊急度データと詳細データとを送信するタイミングを示した概略図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における植込み型医療機器の動作手順を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における無線通信端末の動作手順を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における無線通信端末の動作手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。生体データ監視システム1は、植込み型医療機器10と、無線通信端末20と、外部機器30とを備える。本実施形態では、植込み型医療機器10と無線通信端末20とは、1対1での無線通信を行う。植込み型医療機器10は、人の体内に植込められ、各種センサを使って血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等の生体データや、植込み型医療機器10が備える各部の状態を示す機器状態データを取得する。また、植込み型医療機器10は、取得した生体データに異常がある場合、治療を行う。また、植込み型医療機器10は、治療を行った場合、行った治療の詳細情報を示す治療データを生成する。本実施形態では、生体データと、機器状態データと、治療データとを詳細データとする。
【0015】
また、植込み型医療機器10は、取得および生成した詳細データに基づいて、無線通信端末20に対して詳細データを早急に送信する必要があるか否かを示す緊急度データを生成する。また、植込み型医療機器10は、緊急度データを第1の暗号方法を用いて暗号化し、詳細データを第2の暗号方法を用いて暗号化する。そして、植込み型医療機器10は、無線通信端末20に対して、暗号化した緊急度データを第1の無線通信プロトコルを用いて無線送信し、暗号化した詳細データを第2の無線通信プロトコルを用いて無線送信する。
【0016】
なお、上述した通り、詳細データは、植込み型医療機器10が検出した血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等の生体データや、植込み型医療機器10が備える各部の状態を示す機器状態データや、植込み型医療機器10が行った治療の詳細情報を示す治療データである。また、緊急度データは、詳細データを早急に送信する必要があるか否かを示すデータである。そのため、詳細データは緊急度データよりもデータサイズが大きい。また、第1の暗号方法および第2の暗号方法は、暗号化および復号を行うことができればどのような暗号方法でもよい。また、第1の無線通信プロトコルおよび第2の無線通信プロトコルは、無線送信を行うことができるプロトコルであればどのようなプロトコルでもよい。
【0017】
無線通信端末20は、植込み型医療機器10から第1の無線通信プロトコルを用いて無線送信された緊急度データと、植込み型医療機器10から第2の無線通信プロトコルを用いて無線送信された詳細データとを受信する。また、無線通信端末20は、受信した緊急度データを復号する。また、無線通信端末20は、復号した緊急度データに応じた情報を表示し、復号した緊急度データに応じた音を出力する。また、無線通信端末20は、受信した詳細データを外部機器に対して第2の無線通信プロトコルを用いて無線送信する。外部機器30は、無線通信端末20から第2の無線通信プロトコルを用いて無線送信された詳細データを受信して復号し、復号した詳細データを記憶する。
【0018】
次に、植込み型医療機器10の構成について説明する。図2は、本実施形態における植込み型医療機器10の構成を示したブロック図である。図示する例では、植込み型医療機器10は、センサ部11と、治療部12と、緊急度判定部13と、無線通信部14と、アンテナ15とを備える。
【0019】
センサ部11は、血圧、脈拍、心電、心拍、血中酸素濃度、体温、尿糖、血糖等をセンシングして生体データを取得し、治療部12と緊急度判定部13とに対して出力する。また、センサ部11は、植込み型医療機器10が備える各部の状態をセンシングして機器状態データを取得し、緊急度判定部13に対して出力する。治療部12は、センサ部11が出力した生体データを取得し、取得した生体データに基づいて治療を行う。また、治療部12は、治療を行った場合、行った治療の詳細情報を示す治療データを生成し、緊急度判定部13に対して出力する。
【0020】
緊急度判定部13は、センサ部11および治療部12が出力した詳細データに基づいて、イベント(生体データの異常や、機器状態データの異常や、治療の実施)が発生した場合、イベントを検出する。また、緊急度判定部13は、イベントを検出した場合、詳細データを無線通信端末20に対して送信するか否かを判定する。例えば、緊急度判定部13は、検出したイベントが、軽度の異常や軽度の治療の実施であれば、詳細データを無線通信端末20に対して送信しないと判定し、それ以外の場合には詳細データを無線通信端末20に対して送信すると判定する。
【0021】
また、緊急度判定部13は、詳細データを無線通信端末20に対して送信すると判定した場合、早急に送信する必要がある(遅延が許されない)詳細データであるか否かを判定し、早急に送信する必要がある詳細データであるか否かを示す緊急度データを生成する。例えば、緊急度判定部13は、早急に送信する必要がある(遅延が許されない)詳細データであると判定した場合には、緊急度「高」を示す緊急度データを生成し、早急に送信する必要が無い(遅延が許される)詳細データであると判定した場合には、緊急度「低」を示す緊急度データを生成する。
【0022】
また、緊急度判定部13は、センサ部11が出力した詳細データを無線通信端末20に対して送信すると判定した場合、緊急度データを第1の暗号方法を用いて暗号化し、詳細データを第2の暗号方法を用いて暗号化し、暗号化した緊急度データと詳細データとを無線通信部14に対して出力する。
【0023】
無線通信部14は、緊急度判定部13が出力した緊急度データと詳細データとを取得する。そして、無線通信部14は、取得した緊急度データを、アンテナ15を介して無線通信端末20に対して第1の無線通信プロトコルを用いて送信する。また、無線通信部14は、取得した詳細データを、アンテナ15を介して無線通信端末20に対して第2の無線通信プロトコルを用いて送信する。
【0024】
次に、無線通信端末20の構成について説明する。図3は、本実施形態における無線通信端末20の構成を示したブロック図である。図示する例では、無線通信端末20は、第1アンテナ21と、無線第1インターフェース22(第1のインターフェース)と、制御部23と、記憶部24と、表示部25と、音出力部26と、無線第2インターフェース27(第2のインターフェース)と、第2アンテナ28とを備える。
【0025】
無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された緊急データを、第1アンテナ21を介して第1の無線通信プロトコルを用いて受信する。また、無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された詳細データを、第1アンテナ21を介して第2の無線通信プロトコルを用いて受信する。そして、無線第1インターフェース22は、受信した緊急データと詳細データとを制御部23に対して出力する。
【0026】
制御部23は、無線第1インターフェース22が出力した緊急データと詳細データとを取得する。また、制御部23は、取得した緊急データを復号する。そして、制御部23は、緊急データに基づいた内容を表示部25に表示させ、緊急データに基づいた音を音出力部26に出力させる。例えば、制御部23は、取得した緊急データが緊急度「高」を示すデータである場合、記憶部24に予め記録されている表示データ(例えば、助けてほしいことを示す警告情報や、緊急情報や、患者の状態や、患者の容態や、緊急連絡先(自宅の連絡先または病院の連絡先)など)を表示部25に表示させ、記憶部24に予め記憶されている音データ(例えば、助けを求める音声信号や警報音など)を周期的に分割して音出力部26に出力させる。また、制御部23は、取得した詳細データを、無線第2インターフェース27に対して出力する。
【0027】
記憶部24は、表示データや音データを記憶する。表示部25は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)などの表示装置であり、制御部23の制御に基づいて、緊急データに対応する内容を表示する。音出力部26は、スピーカーなどであり、制御部23の制御に基づいて、緊急データに対応する音を出力する。無線第2インターフェース27は、制御部23が出力した詳細データを取得し、取得した詳細データを、第2アンテナ28を介して外部機器30に対して第2の無線通信プロトコルを用いて送信する。なお、第1アンテナ21と、第2アンテナ28とを1つのアンテナとし、無線第1インターフェース22と無線第2インターフェース27とはアンテナを共有して使用するようにしてもよい。
【0028】
次に、外部機器30の構成について説明する。図4は、本実施形態における外部機器30の構成を示したブロック図である。図示する例では、外部機器30は、アンテナ31と、無線通信部32と、外部機器制御部33と、外部機器記憶部34とを備える。
【0029】
無線通信部32は、無線通信端末20から送信された詳細データを、アンテナ31を介して第2の無線通信プロトコルを用いて受信する。また、無線通信部32は、受信した詳細データを外部機器制御部33に対して出力する。外部機器制御部33は、無線通信部32が出力した詳細データを取得して復号する。そして、外部機器制御部33は、復号した詳細データを外部機器記憶部34に記憶させる。外部機器記憶部34は、外部機器制御部33の制御に基づいて詳細データを記憶する。この構成により、外部機器30は、無線通信端末20から送信される詳細データを記憶することができる。
【0030】
次に、植込み型医療機器10が、無線通信端末20に対して、緊急度データと詳細データとを送信するタイミングについて説明する。図5は、本実施形態において、植込み型医療機器10が、無線通信端末20に対して、緊急度データと詳細データとを送信するタイミングを示した概略図である。なお、横軸は時間を示している。図示する例では、植込み型医療機器10は、イベントが発生したことを検出した後に、第1の無線通信プロトコルを用いて緊急度データを送信し、緊急度データの送信を完了した後、第2の無線通信プロトコルを用いて詳細データを送信している。なお、図示する例では、植込み型医療機器10は、イベントが発生したことを検出した後、第1の無線通信プロトコルを用いて緊急度データを送信し、緊急度データの送信を完了した後、第2の無線通信プロトコルを用いて詳細データを送信しているが、これに限らない。例えば、イベントが発生した後、第2の無線通信プロトコルを用いて詳細データを送信し、詳細データの送信を完了した後、第1の無線通信プロトコルを用いて緊急度データを送信するようにしてもよい。
【0031】
次に、植込み型医療機器10の動作手順について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態における植込み型医療機器10の動作手順を示したフローチャートである。
(ステップS101)センサ部11および治療部12は、詳細データを緊急度判定部13に対して出力する。制御部23は、センサ部11および治療部12が出力した詳細データに基づいて、イベントが発生したことを検出する。その後、ステップS102の処理に進む。
【0032】
(ステップS102)緊急度判定部13は、イベントを検出した場合、センサ部11および治療部12から出力された詳細データを取得する。例えば、緊急度判定部13は、イベントを検出した時刻の前後の所定時間内における詳細データを取得する。その後、ステップS103の処理に進む。
(ステップS103)緊急度判定部13は、ステップS102の処理で取得した詳細データを、無線通信端末20に送信する必要があるか否かを判定する。その後、ステップS104の処理に進む。
【0033】
(ステップS104)緊急度判定部13は、ステップS102の処理で取得した詳細データを無線通信端末20に送信する必要があると判定した場合、この詳細データに基づいて、詳細データを早急に送信する必要があるか否かを示す緊急度データを生成する。続いて、緊急度判定部13は、無線端末装置10が緊急度データを用いて処理を行う際に簡易に復号できるように、緊急度データをアスキーコードに変換する符号化処理(暗号化)を行い、符号化処理を行った緊急度データを無線通信部14に対して出力する。その後、ステップS105の処理に進む。
【0034】
(ステップS105)緊急度判定部13は、ステップS102の処理で取得した詳細データを、コードに変換して別の文字を割り当てたり、単一換字や、多表式換字や、文字の並べ替えを行ったり、又は「かぎ」コードを使った変換等を行い、暗号化する(高いセキュリティを備えた符号化処理を行う)。続いて、緊急度判定部13は、暗号化した詳細データを無線通信部14に対して出力する。その後、ステップS106の処理に進む。
【0035】
(ステップS106)無線通信部14は、無線通信端末20と事前に取り決められた通信方法を用いて、緊急度データと詳細データとを無線通信端末20に対して送信する。具体的には、無線通信部14は、ステップS104の処理で緊急度判定部13が出力した緊急度データを、アンテナ15を介して、第1の無線通信プロトコルを用いて無線通信端末20に対して送信する。続いて、無線通信部14は、ステップS105の処理で緊急度判定部13が出力した詳細データを、アンテナ15を介して、第2の無線通信プロトコルを用いて無線通信端末20に対して送信する。その後、処理を終了する。なお、本実施携帯では、植込み型医療機器10は、緊急度データと詳細データとを別々に無線通信端末20に対して送信する。
【0036】
次に、無線通信端末20の動作手順について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態における無線通信端末20の動作手順を示したフローチャートである。
(ステップS201)無線通信端末20の無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10と事前に取り決められた通信方法を用いて、植込み型医療機器10から送信された緊急度データと詳細データとを受信する。本実施形態では、初めに、緊急度データを第1の無線通信プロトコルを用いて受信し、続いて詳細データを第2の無線通信プロトコルを用いて受信するように取り決められている。具体的には、初めに、無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された緊急度データを、第1の無線通信プロトコルを用いて第1アンテナ21を介して受信する。続いて、無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された詳細データを、第2の無線通信プロトコルを用いて第1アンテナ21を介して受信する。その後、ステップS202の処理に進む。
【0037】
(ステップS202)制御部23は、ステップS201の処理で無線第1インターフェース22が受信した緊急度データを復号する。続いて、制御部23は、緊急度データに基づいて、表示部25を制御してメッセージを表示させ、音出力部26を制御してアラーム音や、音声や、音楽などを出力させる。例えば、緊急度データが緊急度「高」を示すデータの場合、制御部23は、表示部25に、助けてほしいことを示す警告情報や、緊急情報や、患者の状態や、患者の容態や、緊急連絡先(自宅の連絡先または病院の連絡先)などを表示させ、音出力部26に、助けを求める音声信号や警報音などを出力させる。表示部25は、表示停止処理が行われるまでメッセージを表示し続ける。また、音出力部26は、音出力停止処理が行われるまで音を出力し続ける。その後、ステップS203の処理に進む。なお、表示部25に表示させるメッセージの内容を示すデータや、音出力部26に出力させるアラーム音や、音声や、音楽等のデータは、予め他の機器から無線通信を用いて、無線通信端末20の記憶部24に記憶させておく。
【0038】
(ステップS203)制御部23は、無線第2インターフェース27を制御し、外部機器30と無線接続を開始させる。その後、ステップS204の処理に進む。
(ステップS204)制御部23は、ステップS201の処理で無線第1インターフェース22が受信した詳細データを復号せずに無線第2インターフェース27に対して出力する。無線第2インターフェース27は、制御部23が出力した詳細データを取得し、外部機器30に対して送信する。その後、ステップS205の処理に進む。
【0039】
(ステップS205)無線通信端末20から詳細データを受信した外部機器30は、詳細データを受信したことを示す応答メッセージを無線通信端末20に対して送信する。無線通信端末20の無線第2インターフェース27は、外部機器30から送信された応答メッセージを、第2アンテナ28を介して受信する。制御部23は、無線第2インターフェース27が応答メッセージを受信した場合、音出力停止処理を行い、音出力部26に音の出力を停止させる。これにより、無線通信端末20は、メッセージのみ表示するため、消費電力を減らすことができる。その後、処理を終了する。
【0040】
上述したとおり、本実施形態によれば、無線通信端末20は、表示部25と音出力部26とを備えており、緊急度データに基づいて、緊急度に対応するメッセージの表示や音声を出力する。従って、無線通信端末20の表示部25には緊急度に対応するメッセージが表示され、音出力部26から緊急度に対応する音が出力されるため、詳細データを転送する先の外部機器30が遠くにある場合においても、すぐに緊急であることを確認することができる。
【0041】
例えば、植込み型医療機器10を植え込んだ患者が、植込み型医療機器10と無線通信を行うことができる腕時計のような無線通信端末20を持ち歩くことができる場合において、植込み型医療機器10で治療や機器の異常などのイベントが発生した時に、無線通信端末20は、植込み型医療機器10から送信された緊急度データに応じたメッセージ(患者の状態や、患者の容態や、緊急連絡先(病院や自宅)など)を表示部25に表示させることができる。そのため、患者や、周囲の人や、駆け付けた救急隊員は、すぐに緊急であることを確認することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態と第1の実施形態とで異なる点は、本実施形態における生体データ監視システムは、複数の外部機器を備えており、無線通信端末は、植込み型医療機器から送信される緊急度データに基づいて、詳細データを送信する先の外部機器を変更する点と、送信するデータを変更する点である。
【0043】
図8は、本実施形態における生体データ監視システムの構成を示した概略図である。生体データ監視システム2は、植込み型医療機器10と、無線通信端末20と、複数の外部機器30とを備える。なお、本実施形態の植込み型医療機器10と、無線通信端末20と、外部機器30との構成は、第1の実施形態における各装置と同様の構成である。また、植込み型医療機器10と外部機器30との動作は、第1の実施形態における各装置の動作と同様の動作である。
【0044】
但し、本実施形態における植込み型医療機器10は、取得した詳細データに基づいて、3種類の緊急度データを生成する。具体的には、植込み型医療機器10の緊急度判定部13は、センサ部11または治療部12が出力した詳細データについて、無線通信端末20に予め登録している家族または友人が有する外部機器30に早急(例えば5秒以内)に送信する必要がある詳細データであると判定した場合、緊急度「1」を示す緊急度データを生成する。また、植込み型医療機器10の緊急度判定部13は、センサ部11または治療部12が出力した詳細データについて、無線通信端末20に予め登録している外部機器30に早急(例えば5秒以内)に送信する必要がある詳細データであると判定した場合、緊急度「2」を示す緊急度データを生成する。また、植込み型医療機器10の緊急度判定部13は、センサ部11または治療部12が出力した詳細データについて、無線通信端末20に予め登録している緊急対応用インターネットサーバである外部機器30に一定時間以内(例えば一時間以内)に送信する必要がある詳細データであると判定した場合、緊急度「3」を示す緊急度データを生成する。
【0045】
次に、無線通信端末20の動作手順について図9を参照して説明する。図9は、本実施形態における無線通信端末20の動作手順を示したフローチャートである。
(ステップS301)無線通信端末20の無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10と事前に取り決められた通信方法を用いて、植込み型医療機器10から送信された緊急度データと詳細データとを受信する。本実施形態では、初めに、緊急度データを第1の無線通信プロトコルを用いて受信し、続いて詳細データを第2の無線通信プロトコルを用いて受信するように取り決められている。具体的には、無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された緊急度データを、第1の無線通信プロトコルを用いて第1アンテナ21を介して受信する。続いて、無線第1インターフェース22は、植込み型医療機器10から送信された詳細データを、第2の無線通信プロトコルを用いて第1アンテナ21を介して受信する。その後、ステップS302の処理に進む。
【0046】
(ステップS302)制御部23は、ステップS301の処理で無線第1インターフェース22が受信した緊急度データを復号する。続いて、制御部23は、緊急度データに基づいて、表示部25を制御してメッセージを表示させ、音出力部26を制御してアラーム音や、音声や、音楽などを出力させる。例えば、緊急度データが緊急度「1」を示すデータの場合、制御部23は、表示部25に、助けてほしいこと(警告メッセージ)や、患者の状態や、患者の容態や、緊急連絡先(病院の連絡先または家族の連絡先)などのメッセージを順次又は繰り返し表示させ、音出力部26に、助けを求める音声信号や警報音などを出力させる。また、緊急度データが緊急度「2」を示すデータの場合、制御部23は、表示部25に、患者の容態や、治療履歴(治療内容および回数)などのメッセージを順次又は繰り返し表示させ、音出力部26に、助けを求める音声信号や警報音などを出力させる。また、緊急度データが緊急度「3」を示すデータの場合、制御部23は、表示部25に、治療があったことや、電池残量が不足していることや、リード異常や、本体異常を示すメッセージを順次又は繰り返し表示させ、音出力部26に、装置異常を知らせる音声信号などを出力させる。表示部25は、表示停止処理が行われるまでメッセージを表示し続ける。音出力部26は、音出力停止処理が行われるまで音を出力し続ける。その後、ステップS303の処理に進む。なお、表示部25に表示させるメッセージの内容や、アラーム音や、音声や、音楽等のデータは、予め他の機器から無線通信を用いて、無線通信端末20の記憶部24に記憶しておく。
【0047】
(ステップS303)制御部23は、緊急度データに基づいて、詳細データの送信先を決定する。その後、ステップS304の処理に進む。例えば、無線通信端末20には、緊急度データに応じた送信先が予め設定されており、記憶部24は、この設定内容を記憶している。本実施形態では、制御部23は、緊急度データが緊急度「1」を示すデータの場合、詳細データの送信先を無線通信端末20に予め登録されている、家族または友人が有する携帯電話や通信機能を備えたテレビなどの外部機器30に決定する。また、制御部23は、緊急度データが緊急度「2」を示すデータの場合、詳細データの送信先を無線通信端末20に予め登録されている、携帯電話やスマートフォンや緊急対応用インターネットサーバなどの外部機器30に決定する。また、制御部23は、緊急度データが緊急度「3」を示すデータの場合、詳細データの送信先を無線通信端末20に予め登録されている緊急対応用インターネットサーバである外部機器30に決定する。
【0048】
(ステップS304)制御部23は、緊急度データに基づいて、詳細データを送信する送信タイミングと詳細データの内容とを決定する。その後、ステップS305の処理に進む。例えば、無線通信端末20には、緊急度データに応じた送信タイミングと送信内容とが予め設定されており、記憶部24は、この設定内容を記憶している。本実施形態では、緊急度データが緊急度「1」を示すデータの場合、送信タイミングは早急(例えば5秒以内)であり、送信内容は「助けてほしいこと(警告メッセージ)や、患者の状態や、患者の容態や、緊急連絡先(病院の連絡先または家族の連絡先)」を示すデータである。また、緊急度データが緊急度「2」を示すデータの場合、送信タイミングは早急(例えば5秒以内)であり、送信内容は「患者の容態や、治療履歴(治療内容や治療回数)」を示すデータである。また、緊急度データが緊急度「3」を示すデータの場合、送信タイミングは一定時間以内(例えば一時間以内)であり、送信内容は「治療があったことや、電池残量不足や、リード異常や、本体異常」を示すデータである。
【0049】
(ステップS305)制御部23は、ステップS304の処理で決定した送信タイミングに基づいて無線第2インターフェース27を制御し、ステップS303の処理で詳細データの送信先に決定した外部機器30と無線接続を開始させる。その後、ステップS306の処理に進む。例えば、送信タイミングが早急(例えば5秒以内)である場合、制御部23は、無線第2インターフェース27を制御し、5秒以内に無線接続を開始させる。また、送信タイミングが一定時間以内(例えば一時間以内)である場合、制御部23は、無線第2インターフェース27を制御し、一時間以内に無線接続を開始させる。
【0050】
(ステップS306)制御部23は、ステップS301の処理で決定した送信内容の詳細データを、無線第2インターフェース27に対して出力する。無線第2インターフェース27は、制御部23が出力した詳細データを取得し、ステップS305の処理で無線接続を開始した外部機器30に対して送信する。その後、ステップS307の処理に進む。
【0051】
(ステップS307)無線通信端末20から詳細データを受信した外部機器30は、受信したことを示す応答メッセージを無線通信端末20に対して送信する。無線通信端末20の無線第2インターフェース27は、外部機器30から送信された応答メッセージを受信する。制御部23は、無線第2インターフェース27が応答メッセージを受信した場合、音出力停止処理を行い、音出力部26に音の出力を停止させる。これにより、無線通信端末20は、メッセージのみ表示するため、消費電力を減らすことができる。その後、処理を終了する。
【0052】
上述したとおり、本実施形態によれば、無線通信端末20は、表示部25と音出力部26とを備えており、緊急度データに基づいて、緊急度に対応するメッセージの表示や音声を出力する。従って、無線通信端末20の表示部25には緊急度に対応するメッセージが表示され、音出力部26から緊急度に対応する音が出力されるため、詳細データを転送する先の外部機器30が遠くにある場合においても、すぐに緊急であることを確認することができる。また、緊急度に応じて、詳細データを送信する先の外部機器30を変更することができる。また、緊急度に応じて、詳細データを送信するタイミングを変更することができる。また、緊急度に応じて、詳細データの内容を変更することができる。
【0053】
以上、この発明の第1の実施形態および第2の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、第1の実施形態では無線通信端末20と外部機器30とは1対1との関係で無線通信を行っており、第2の実施形態では無線通信端末20と外部機器30とは1対多の関係で無線通信を行っているがこれに限らない。例えば、無線通信端末20と外部機器30とは、多対多の関係で無線通信を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1,2・・・生体データ監視システム、10・・・植込み型医療機器、11・・・センサ部、12・・・治療部、13・・・緊急度判定部、14,32・・・無線通信部、15,31・・・アンテナ、20・・・無線通信端末、21・・・第1アンテナ、22・・・無線第1インターフェース、23・・・制御部、24・・・記憶部、25・・・表示部、26・・・音出力部、27・・・無線第2インターフェース、28・・・第2アンテナ、30・・・外部機器、33・・・外部機器制御部、34・・・外部機器記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型医療機器から第1の無線通信プロトコルで送信される、前記植込み型医療機器が検出したイベントの緊急度を示す緊急度データと、前記植込み型医療機器から第2の無線通信プロトコルで送信される、前記イベントの詳細を示すデータであり前記緊急度データよりもデータサイズが大きい詳細データとを受信する第1のインターフェースと、
外部機器に対して前記第2の無線通信プロトコルで前記詳細データを送信する第2のインターフェースと、
情報を表示する表示部と、
前記第1のインターフェースが受信した前記緊急度データに基づいて、前記イベントの緊急度に対応する概要情報を前記表示部に表示させ、前記第1のインターフェースが受信した前記詳細データを前記外部機器に対して前記第2のインターフェースに送信させる制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】
前記第1のインターフェースは、前記緊急度データと前記詳細データとをそれぞれ別々に受信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項3】
前記第1のインターフェースは、暗号化された前記緊急度データを受信し、
前記第2のインターフェースは、前記外部機器に対して、前記緊急度データとは異なる暗号内容で暗号化された前記詳細データを送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記緊急度データに基づいて緊急度を判定し、当該緊急度に応じて、前記詳細データの送信タイミングと送信先の前記外部機器とを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。
【請求項5】
前記制御部は、前記緊急度データに基づいて緊急度を判定し、当該緊急度に応じて、前記詳細データの送信内容と送信先の前記外部機器とを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−178680(P2012−178680A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40016(P2011−40016)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】