説明

無線通信装置及び無線通信プログラム

【課題】サブフレーム種別毎のチャネル品質指標をユーザ端末がピコ基地局に定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネルのスループット性能が低下しない無線通信装置及び無線通信プログラムを提供する。
【解決手段】ヘテロジニアス・ネットワークにおいて、無線通信装置600は、無線端末をグループ化するグループ化部650と、無線リソースの割合が所定閾値以上である場合、第1種サブフレームの送信タイミングで測定されたチャネル品質指標をフィードバックするよう、第1グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、第2種サブフレームの送信タイミングで測定されたチャネル品質指標をフィードバックするよう、第2グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成するチャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置及び無線通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ローカルエリアにおける無線通信の品質を改善するとともに、マクロエリアにおける無線通信のトラヒックをオフロードするため、マクロ基地局及びピコ基地局などから構成される、ヘテロジニアス・ネットワークが注目されている。ヘテロジニアス・ネットワークでは、ピコ基地局からユーザ端末への希望波が、マクロ基地局が送信した干渉波から干渉を受けることがある。
【0003】
また、3GPP(3rd Generation Partnership Project) LTE(Long Term Evolution) Rel−10では、ピコ基地局からユーザ端末(User Equipment,UE)に送信される物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control CHannel、PDCCH)への干渉を回避させるため、Time Domain−Inter Cell Interference Coordination(TD−ICIC) が検討されている。
【0004】
ヘテロジニアス・ネットワークにTD−ICICが適用される場合、物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel,PDSCH)、及び物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel,PUSCH)の送信可能タイミングは、オールモスト・ブランク・サブフレーム(Almost Blank Subframe、ABS)により制限されることが可能である。また、ピコ基地局のユーザ端末は、チャネル品質指標(Channle Quality Indicator,CQI)を、サブフレーム種別(ノーマル・サブフレーム、ABS)毎に測定することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−15023号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP, TS 36.211 V9.1.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical Channels and Modulation (Release 9),” March 2010.
【非特許文献2】3GPP, TS 36.213 V9.1.0, “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Physical layer procedures (Release 9),” March 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チャネル品質指標をユーザ端末がピコ基地局に定期的にフィードバックする場合(Periodic CQI)、ユーザ端末は、物理上りチャネルの無線リソースを使用して、チャネル品質指標をピコ基地局にフィードバックする。このため、サブフレーム種別毎のチャネル品質指標をユーザ端末が単にフィードバックした場合、チャネル品質指標をフィードバックするための無線リソース量が多くなることで、フィードバックチャネルと周波数軸上で多重化される物理上り共有チャネルのスループット性能が低下してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、サブフレーム種別毎のチャネル品質指標をユーザ端末がピコ基地局に定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネルのスループット性能が低下しない無線通信装置及び無線通信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、データ送信が制限されていない第1種サブフレームと、データ送信が制限されている第2種サブフレームとを、互いに排他する送信タイミングで送信するマクロ基地局と、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームから干渉を受ける下りチャネルを有する非マクロ基地局と、を備えるヘテロジニアス・ネットワークにおいて、前記非マクロ基地局の上りチャネルの所定単位の全ての無線リソースに対する、前記下りチャネルのチャネル品質指標以外の共用チャネルデータが割り当てられる前記上りチャネルの無線リソースの割合を算出する割合算出部と、前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第1グループと、前記第2種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第2グループと、に前記無線端末をグループ化するグループ化部と、前記割合が前記所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第1グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、前記第2種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第2グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成するチャネル品質フィードバック用無線リソース割当部と、前記チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部が生成した前記指標割当情報を、前記非マクロ基地局と通信する無線端末に送信する下りチャネル情報割当部と、を備えることを特徴とする無線通信装置である。
【0010】
また、本発明は、前記グループ化部が、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームの所定単位の全てのサブフレーム数と、前記第2種サブフレームのサブフレーム数との比に応じて、前記無線端末をグループ化することを特徴とする無線通信装置である。
【0011】
また、本発明は、前記グループ化部が、前記下りチャネルの受信強度又は信号対干渉雑音電力比に基づいて、前記無線端末をグループ化することを特徴とする無線通信装置である。
【0012】
また、本発明は、データ送信が制限されていない第1種サブフレームと、データ送信が制限されている第2種サブフレームとを、互いに排他する送信タイミングで送信するマクロ基地局と、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームから干渉を受ける下りチャネルを有する非マクロ基地局と、を備えるヘテロジニアス・ネットワークにおける無線通信装置のコンピュータに、前記非マクロ基地局の上りチャネルの所定単位の全ての無線リソースに対する、前記下りチャネルのチャネル品質指標以外の共用チャネルデータが割り当てられる前記上りチャネルの無線リソースの割合を算出する手順と、前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第1グループと、前記第2種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第2グループと、に前記無線端末をグループ化する手順と、前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第1グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、前記第2種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第2グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成する手順と、生成した前記指標割当情報を、前記非マクロ基地局と通信する無線端末に送信する手順と、を実行させるための無線通信プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線端末は、無線リソースの割合に基づいてグループ化され、第1種サブフレームの送信タイミングで測定されたチャネル品質指標を、第1グループに属する無線端末がフィードバックし、第2種サブフレームの送信タイミングで測定されたチャネル品質指標を、第2グループに属する無線端末がフィードバックする。したがって、無線リソースの割合に応じてグループ化された無線端末から、グループ毎に制御されたレポート数のチャネル品質指標がフィードバックされる。これにより、無線通信装置は、ユーザ端末がピコ基地局にサブフレーム種別毎のチャネル品質指標を定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネルのスループット性能が低下しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における、ヘテロジニアス・ネットワークの例を表す図である。
【図2】本発明の一実施形態における、データ送信が制限されるABSの例を表す図である。
【図3】本発明の一実施形態における、無線通信装置の構成例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、ヘテロジニアス・ネットワークの例が表されている。無線通信システムは、マクロ基地局100と、ピコ基地局300と、CRE端末500(ユーザ端末)とを備える。
【0016】
マクロ基地局100は、マクロセル200を形成し、マクロセル200内に在る無線端末(不図示)と無線通信を実行する。
【0017】
ピコ基地局300は、マクロセル200内にピコセル400を形成する。さらに、ピコ基地局300は、セルレンジ拡張(Cell Range Expansion,CRE)によりピコセル400を拡張し、拡張ピコセル410を形成する。ピコ基地局300は、拡張ピコセル410内に在るCRE端末500と、無線通信を実行する。また、ピコ基地局300は、ピコセル400内に在る無線端末(不図示)(以下、「非CRE端末」という)と、無線通信を実行する。
【0018】
ピコセル400内に在る無線端末では、「ピコ基地局300からの参照信号(希望波)の受信強度」>「マクロ基地局100からの参照信号(干渉波)の受信強度」が成り立つ。ここで、参照信号の受信強度は、例えば、Reference Signal Received Power(RSRP)である。
【0019】
一方、拡張ピコセル410内に在るCRE端末500では、セルレンジ拡張により、「ピコ基地局300からの参照信号(希望波)の受信強度 + ピコ基地局300のバイアス値」>「マクロ基地局100からの参照信号(干渉波)の受信強度 + マクロ基地局100のバイアス値」が成り立つ。一般的に、ピコ基地局300のバイアス値、及びマクロ基地局100のバイアス値は0以上のデシベル(dB)値であり、ピコ基地局300のバイアス値>マクロ基地局100のバイアス値である。
【0020】
なお、参照信号の受信強度は、例えば、Reference Signal Received Power (RSRP)である。
【0021】
CRE端末500は、ピコ基地局300から無線サービスが提供される無線端末であり、セルレンジ拡張により拡張された拡張ピコセル410内に位置しているとする。CRE端末500は、ピコ基地局300の上りチャネル及び下りチャネルを介して、ピコ基地局300と無線通信を実行する。以下、ピコ基地局300の上りチャネル及び下りチャネル(希望波)は、マクロ基地局100の上りチャネル及び下りチャネル(干渉波)から干渉を受けるものとして説明を続ける。
【0022】
図2には、データ送信が制限されるABSの例が表されている。図2では、一例として、所定単位のサブフレーム数(例えば、40サブフレーム)において、マクロ基地局100の上りチャネル及び下りチャネルを介して、データ送信が制限されていないノーマル・サブフレームと、データ送信が制限されているサブフレーム(ABS)とが、マクロ基地局100と他の無線端末(不図示)の間で、互いに排他する送信タイミング(40サブフレームに対する、ABSの割合50[%])で送信されているものとして説明を続ける。なお、ABSはデータ送信が制限されているサブフレームであるため、マクロ基地局及び無線端末は、ABSを用いて通信することができない。
【0023】
データ送信が制限されていないノーマル・サブフレームのタイミングでは、ピコ基地局300の上りチャネル及び下りチャネル(希望波)は、マクロ基地局100の上りチャネル及び下りチャネル(干渉波)から、強い干渉を受ける。一方、データ送信が制限されているABSのタイミングでは、マクロ基地局100の上りチャネル及び下りチャネルが存在しなくなるため、ピコ基地局300の上りチャネル及び下りチャネルは、マクロ基地局100の上りチャネル及び下りチャネルから干渉を受けない。
【0024】
そこで、CRE端末500及び非CRE端末は、ピコ基地局300から送信されたフィードバック指示に基づいて、チャネル品質指標(CQI)をピコ基地局300に、サブフレーム種別毎にフィードバックする。ここで、フィードバック指示には、例えば、チャネル品質指標が測定される対象のサブフレーム種別(ノーマル・サブフレーム、ABS)と、サブフレーム群においてチャネル品質指標が送信されるサブフレームの位置を示すオフセット値と、チャネル品質指標が送信される送信間隔(送信タイミング)と、ノーマル・サブフレームが送信されているタイミングで測定されたチャネル品質指標をフィードバックするためのサブフレームに含まれるチャネル品質指標のレポート数(0又は1)と、ABSが送信されているタイミングで測定されたチャネル品質指標をフィードバックするためのサブフレームに含まれるチャネル品質指標のレポート数(0又は1)と、が含まれている。
【0025】
次に、無線通信装置の構成例を説明する。
図3には、無線通信装置の構成例が表されている。無線通信装置600は、ピコ基地局300(図1を参照)に備えられる。無線通信装置600は、パターン取得部610と、端末情報取得部620と、上りチャネル情報割当部630と、割合算出部640と、グループ化部650と、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660と、下りチャネル情報割当部670とを備える。
【0026】
各部は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit)及び記憶部(メモリ)を備える。また、各部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)でもよい。
【0027】
パターン取得部610は、40サブフレーム(図2を参照)におけるABSの送信タイミングを示す情報(以下、「ABSパターン情報」という)を、例えば、X2インタフェースによりマクロ基地局100(図1を参照)から受信し、受信したABSパターン情報をグループ化部650に転送する。
【0028】
端末情報取得部620は、マクロ基地局100からの参照信号の受信強度を示す情報と、ピコ基地局300からの参照信号の受信強度を示す情報とを、CRE端末500(図1を参照)及び非CRE端末(不図示)からそれぞれ受信し、受信した各情報を下りチャネル情報割当部670に、無線端末に対応付けて転送する。端末情報取得部620は、マクロ基地局100からの受信強度と、ピコ基地局300からの受信強度との差(以下、「受信強度差」という)を算出し、算出した受信強度差を示す情報を、グループ化部650に出力する。
【0029】
なお、端末情報取得部620は、受信強度を示す情報を一部の無線端末から取得することができなかった場合、その無線端末における受信強度を示す情報として、受信強度を示す情報を取得することができた他の無線端末における受信強度の最小値又は最大値を、下りチャネル情報割当部670に転送してもよい。
【0030】
上りチャネル情報割当部630は、ピコ基地局300(図1を参照)の上りチャネル(PUSCH)を介して送信されるデータを、無線リソースに割り当てる(スケジューリング)。また、上りチャネル情報割当部630は、ピコ基地局300の上りチャネルを介して送信されるデータが割り当てられる無線リソースを示す情報(以下、「上りデータ割当情報」という)を生成し、生成した上りデータ割当情報を割合算出部640に出力する。
【0031】
割合算出部640は、ピコ基地局300の上りチャネルの無線リソースの所定単位の全ブロック数(例えば、40サブフレーム)に対する、データが割り当てられているリソースブロック数の割合(以下、「リソースブロック割合」という)を、上りデータ割当情報に基づいて算出する。割合算出部640は、算出したリソースブロック割合を示す情報を、予め定められた周期又はサブフレーム毎に、グループ化部650及びチャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660に出力する。
【0032】
ここで、割合算出部640は、統計的な手法により、リソースブロック割合を算出する。例えば、リソースブロック割合を示す情報を予め定められた周期で出力する場合、割合算出部640は、データが割り当てられているリソースブロックの所定期間毎の平均数(以下、「割合平均値」という)に基づいて、リソースブロック割合を算出する。また、例えば、リソースブロック割合を示す情報をサブフレーム毎に出力する場合、割合算出部640は、データが割り当てられているリソースブロック数の移動平均値に基づいて、リソースブロック割合を算出する。
【0033】
グループ化部650は、ピコ基地局300(図1を参照)から無線サービスが提供される複数の無線端末のグループ化するか否かを、繰り返し判定する。より具体的には、グループ化部650は、前回のタイミングでグループ化を実行したか否かに基づいて、今回のタイミングでグループ化を実行するか否かを判定する。ここで、グループ化部650は、リソースブロック割合を示す情報が周期的又はサブフレーム毎に入力される場合、今回のタイミングでグループ化を実行するか否かを、リソースブロック割合を示す情報が入力されるタイミングに同期して、リソースブロック割合(割合平均値、又は移動平均値)に基づいて判定する。
【0034】
グループ化部650は、前回のタイミングでグループ化を実行し、且つ、リソースブロック割合が閾値A(例えば、75[%])未満である場合、今回のタイミングでグループ化を実行しない(グループ化を解除する)と判定する。一方、グループ化部650は、前回のタイミングでグループ化を実行し、且つ、リソースブロック割合が閾値A以上である場合、今回のタイミングでグループ化を実行すると判定する。
【0035】
また、グループ化部650は、前回のタイミングでグループ化を実行せず、且つ、リソースブロック割合が閾値B(例えば、80[%])を超えている場合、今回のタイミングでグループ化を実行すると判定する。一方、グループ化部650は、前回のタイミングでグループ化を実行せず、且つ、リソースブロック割合が閾値B以下である場合、今回のタイミングでグループ化を実行しない(グループ化を解除する)と判定する。ここで、閾値A≦閾値Bであるものとする。
【0036】
グループ化部650は、グループ化を実行する場合、ABSパターン情報と、受信強度差を示す情報とに基づいて、CRE端末500(図1を参照)と非CRE端末(不図示)とに、ピコ基地局300(図1を参照)から無線サービスが提供される複数の無線端末をグループ化する。
【0037】
より具体的には、グループ化部650は、ABSパターン情報に基づいて、非CRE端末にグループ化する無線端末の台数を算出する。例えば、ABSパターン情報において、40サブフレーム(図2を参照)のうち、X個のサブフレームがABSであると定められているとする。この場合、グループ化部650は、非CRE端末にグループ化する無線端末の目安数を、サブフレーム数の比(X/40)に基づいて、「(ピコ基地局300から無線サービスが提供される無線端末の総数)×(1−X/40)」と算出する。
【0038】
さらに、グループ化部650は、ピコ基地局300から無線サービスが提供される無線端末を、受信強度差を示す情報に基づいて、受信強度差の順に並べ替える(ソート)。また、グループ化部650は、受信強度差が閾値C(例えば、8[dB])以上である無線端末を選択する。
【0039】
グループ化部650は、選択した無線端末の台数が、非CRE端末にグループ化する無線端末の目安数以下であるか否かを判定する。選択した無線端末の台数が、非CRE端末にグループ化する無線端末の目安数以下である場合、グループ化部650は、選択した各無線端末を非CRE端末にグループ化し(ノーマル・グループ)、選択していない残りの各無線端末をCRE端末にグループ化する(ABSグループ)。
【0040】
一方、選択した無線端末の台数が、非CRE端末にグループ化する無線端末の目安数以下でない場合、グループ化部650は、無線端末に送信されるデータを記憶するバッファのキュー長の昇順、又は受信強度差の降順となるよう、選択した各無線端末を並べ替える。また、グループ化部650は、並べ替えられた上位の無線端末から、非CRE端末にグループ化する目安数の各無線端末を非CRE端末にグループ化し(ノーマル・グループ)、選択していない残りの各無線端末をCRE端末にグループ化する(ABSグループ)。
【0041】
このようにして、グループ化部650は、グループ化結果を示す情報を無線端末に対応付けて、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660及び下りチャネル情報割当部670に出力する。
【0042】
チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660には、リソースブロック割合を示す情報と、グループ化結果を示す情報とが入力される。チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、ピコ基地局300の上りチャネルを介して送信されるチャネル品質指標(CQI)が割り当てられる無線リソース(例えば、送信間隔、オフセット値、リソースID)と、チャネル品質指標が測定される対象のサブフレームの種別(ノーマル・サブフレーム、ABS)とを示すフィードバック指示(以下、「指標割当情報」という)を、リソースブロック割合を示す情報と、グループ化結果を示す情報とに基づいて生成する。
【0043】
例えば、グループ化部650により無線端末がグループ化されていない場合、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、ピコ基地局300から無線サービスが提供される全ての無線端末が、ノーマル・サブフレーム及びABSのチャネル品質指標をピコ基地局300にフィードバックするよう、それら全ての無線端末に対して指標割当情報を生成する。ここで、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、指標割当情報として、チャネル品質指標のフィードバック送信間隔と、オフセット値と、リソースIDとを、ノーマル・サブフレームのチャネル品質指標、及びABSのチャネル品質指標のそれぞれについて定める。
【0044】
一方、グループ化部650により無線端末がグループ化されている場合、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、グループ化結果を示す情報に基づいて、指標割当情報を生成する。より具体的には、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、各非CRE端末がノーマル・サブフレームのチャネル品質指標をピコ基地局300にフィードバックするよう、各非CRE端末に対して指標割当情報を生成する。チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、指標割当情報として、チャネル品質指標のフィードバック送信間隔と、オフセット値と、リソースIDとを、ノーマル・サブフレームのチャネル品質指標について定める。また、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、各CRE端末がABSのチャネル品質指標をピコ基地局300にフィードバックするよう、各CRE端末に対して指標割当情報を生成する。チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、指標割当情報として、チャネル品質指標のフィードバック送信間隔と、オフセット値と、リソースIDとを、ABSのチャネル品質指標について定める。
【0045】
このように、非CRE端末は、ノーマル・サブフレームの送信タイミングで測定されたCQIをフィードバックする。また、CRE端末は、ABSの送信タイミングで測定されたCQIをフィードバックする。したがって、無線リソースの割合に応じてグループ化された無線端末から、グループ毎に制御されたレポート数のチャネル品質指標がフィードバックされる。これにより、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660は、物理上り共有チャネルのスループット性能を低下させないようにすることができる。
【0046】
下りチャネル情報割当部670は、参照信号の受信強度を示す情報と、グループ化結果を示す情報と、指標割当情報とに基づいて、ピコ基地局300の下りチャネルを介して送信されるデータを、無線リソースに割り当てる。ここで、下りチャネル情報割当部670は、ピコ基地局300の下りチャネルを介して送信されるデータが割り当てられる無線リソースを示す、下りデータ割当情報を生成する。下りデータ割当情報には、例えば、変調方式を示す情報が含まれている。
【0047】
グループ化部650により無線端末がグループ化されていない場合、下りチャネル情報割当部670は、参照信号の受信強度を示す情報に基づいて、受信強度差を算出する。さらに、下りチャネル情報割当部670は、ピコ基地局300から無線サービスが提供される無線端末のうち、算出した受信強度差が所定閾値E以上である各無線端末のみを対象に、マクロ基地局100からノーマル・サブフレームが送信されるタイミングの無線リソースを割り当てるよう、下りデータ割当情報を生成する。また、下りチャネル情報割当部670は、ピコ基地局300から無線サービスが提供される全ての無線端末を対象に、マクロ基地局100からABSが送信されるタイミングの無線リソースを割り当てるよう、下りデータ割当情報を生成する。
【0048】
一方、グループ化部650により無線端末がグループ化されている場合、下りチャネル情報割当部670は、各非CRE端末を対象に、マクロ基地局100からノーマル・サブフレームが送信されるタイミングの無線リソースを割り当てることで、下りデータ割当情報を生成する。このようにすれば、下りチャネル情報割当部670は、非CRE端末ではピコ基地局300からの受信強度が高いので、物理上り共有チャネルのスループット性能が低下しないようにすることができる。
【0049】
また、下りチャネル情報割当部670は、各CRE端末を対象に、マクロ基地局100からABSが送信されるタイミングの無線リソースを割り当てることで、下りデータ割当情報を生成する。このようにすれば、下りチャネル情報割当部670は、ピコ基地局300からの受信強度が低いCRE端末500(図1を参照)でも、物理上り共有チャネルのスループット性能が低下しないようにすることができる。
【0050】
下りチャネル情報割当部670は、下りデータ割当情報を無線通信部(不図示)に出力する。無線通信部は、下りデータ割当情報に基づいて、CRE端末500及び非CRE端末と無線通信を実行する。
【0051】
以上のように、データ送信が制限されていないノーマル・サブフレームと、データ送信が制限されているABSとを、互いに排他する送信タイミングで送信するマクロ基地局100と、ノーマル・サブフレーム及びABSから干渉を受ける下りチャネル(PDSCH)を有するピコ基地局300と、を備えるヘテロジニアス・ネットワークにおいて、 無線通信装置600は、ピコ基地局300の上りチャネル(PUSCH)の所定単位(例えば、40サブフレーム)の全ての無線リソースに対する、前記下りチャネルのチャネル品質指標(CQI)以外の共用チャネルデータが割り当てられる前記上りチャネルの無線リソースの割合を算出する割合算出部640と、リソースブロック割合が所定閾値(例えば、閾値A)以上である場合、ノーマル・サブフレームが送信されているタイミングに測定されたCQIを送信する第1グループ(非CRE端末)と、ABSが送信されているタイミングに測定されたCQIを送信する第2グループ(CRE端末)と、に前記無線端末をグループ化するグループ化部650と、リソースブロック割合が前記所定閾値以上である場合、ノーマル・サブフレームの送信タイミングで測定されたCQIをフィードバックするよう、非CRE端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、ABSの送信タイミングで測定されたCQIをフィードバックするよう、CRE端末に対して指標割当情報を生成するチャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660と、チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部660が生成した指標割当情報を、ピコ基地局300と通信する無線端末に送信する下りチャネル情報割当部670と、を備える。
【0052】
この構成により、無線端末は、リソースブロック割合に基づいてグループ化され、ノーマル・サブフレームの送信タイミングで測定されたCQIのみを非CRE端末がフィードバックし、ABSの送信タイミングで測定されたCQIのみをCRE端末がフィードバックする。したがって、無線リソースの割合に応じてグループ化された無線端末から、グループ毎に制御されたレポート数のチャネル品質指標がフィードバックされる。これにより、無線通信装置は、ユーザ端末(無線端末)がピコ基地局にサブフレーム種別毎のチャネル品質指標を定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネル(PUSCH)のスループット性能が低下しないようにすることができる。
【0053】
また、グループ化部650は、ノーマル・サブフレーム及びABSの所定単位(例えば、40サブフレーム)の全てのサブフレーム数と、ABSのサブフレーム数Xとの比に応じて、前記無線端末をグループ化する。
この構成により、サブフレーム数の比に応じてグループ化された無線端末から、グループ毎に制御されたレポート数のチャネル品質指標がフィードバックされる。これにより、無線通信装置は、ユーザ端末(無線端末)がピコ基地局にサブフレーム種別毎のチャネル品質指標を定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネル(PUSCH)のスループット性能が低下しないようにすることができる。
【0054】
また、グループ化部650は、下りチャネルの受信強度(例えば、RSRP)又は信号対干渉雑音電力比(SINR,RSRQ)に基づいて、前記無線端末をグループ化する。
この構成により、下りチャネルの受信強度又は信号対干渉雑音電力比に基づいてグループ化された無線端末から、グループ毎に制御されたレポート数のチャネル品質指標がフィードバックされる。これにより、無線通信装置は、ユーザ端末(無線端末)がピコ基地局にサブフレーム種別毎のチャネル品質指標を定期的にフィードバックする場合でも、物理上り共有チャネル(PUSCH)のスループット性能が低下しないようにすることができる。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0056】
例えば、参照信号の受信強度は、参照信号の信号対干渉雑音電力比(例えば、Signal−to−Interference and Noise power Ratio(SINR),Reference Signal Received Quality(RSRQ))でもよい。この場合、グループ化部650は、信号対干渉雑音電力比の差が閾値F(例えば、5[dB])以上である無線端末を選択してもよい。
【0057】
また、例えば、一部の非CRE端末に送信されるデータを記憶するバッファのキュー長は、CRE端末に送信されるデータを記憶するバッファのキュー長(例えば、1[Mbyte])と同じ長さとなるよう、微調整されてもよい。キュー長が微調整された場合、無線通信装置600は、一部の非CRE端末に対して、他の非CRE端末と比較して高速にデータを送信することができる。
【符号の説明】
【0058】
100…マクロ基地局、200…マクロセル、300…ピコ基地局、400…ピコセル、410…拡張ピコセル、500…CRE端末、600…無線通信装置、610…パターン取得部、620…端末情報取得部、630…上りチャネル情報割当部、640…割合算出部、650…グループ化部、660…チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部、670…下りチャネル情報割当部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信が制限されていない第1種サブフレームと、データ送信が制限されている第2種サブフレームとを、互いに排他する送信タイミングで送信するマクロ基地局と、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームから干渉を受ける下りチャネルを有する非マクロ基地局と、を備えるヘテロジニアス・ネットワークにおいて、
前記非マクロ基地局の上りチャネルの所定単位の全ての無線リソースに対する、前記下りチャネルのチャネル品質指標以外の共用チャネルデータが割り当てられる前記上りチャネルの無線リソースの割合を算出する割合算出部と、
前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第1グループと、前記第2種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第2グループと、に前記無線端末をグループ化するグループ化部と、
前記割合が前記所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第1グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、前記第2種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第2グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成するチャネル品質フィードバック用無線リソース割当部と、
前記チャネル品質フィードバック用無線リソース割当部が生成した前記指標割当情報を、前記非マクロ基地局と通信する無線端末に送信する下りチャネル情報割当部と、
を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記グループ化部は、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームの所定単位の全てのサブフレーム数と、前記第2種サブフレームのサブフレーム数との比に応じて、前記無線端末をグループ化することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記グループ化部は、前記下りチャネルの受信強度又は信号対干渉雑音電力比に基づいて、前記無線端末をグループ化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
データ送信が制限されていない第1種サブフレームと、データ送信が制限されている第2種サブフレームとを、互いに排他する送信タイミングで送信するマクロ基地局と、前記第1種サブフレーム及び前記第2種サブフレームから干渉を受ける下りチャネルを有する非マクロ基地局と、を備えるヘテロジニアス・ネットワークにおける無線通信装置のコンピュータに、
前記非マクロ基地局の上りチャネルの所定単位の全ての無線リソースに対する、前記下りチャネルのチャネル品質指標以外の共用チャネルデータが割り当てられる前記上りチャネルの無線リソースの割合を算出する手順と、
前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第1グループと、前記第2種サブフレームが送信されているタイミングに測定された前記チャネル品質指標を送信する第2グループと、に前記無線端末をグループ化する手順と、
前記割合が所定閾値以上である場合、前記第1種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第1グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成し、且つ、前記第2種サブフレームの送信タイミングで測定された前記チャネル品質指標をフィードバックするよう、前記第2グループに属する無線端末に対して指標割当情報を生成する手順と、
生成した前記指標割当情報を、前記非マクロ基地局と通信する無線端末に送信する手順と、
を実行させるための無線通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253486(P2012−253486A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123241(P2011−123241)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】