説明

無線通信装置及び無線通信方法

【課題】MIMO固有モード伝送等の線形プリコーディングを用いるMIMO伝送方式において、線形プリコーディングの効果を保持したまま、位相回転によりPAPRを低減させる。
【解決手段】複数の送信アンテナを用いて線形プリコーディング処理を行い無線信号の送信を行う無線通信装置10が、ピーク値対平均電力比を低減する位相パターンを選択する位相パターン制御部12と、位相パターン制御部12において選択された位相パターンを用いて、変調信号に対して位相回転を行う位相回転部13と、位相パターン制御部12において選択された位相パターンに基づいて制御信号を生成する制御信号生成部15と、位相回転部13及び制御信号生成部15からの出力信号に対して線形プリコーディング処理を行うプリコーディング部14と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形プリコーディングを用いるMIMO伝送方式における無線通信装置及び無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信において高速・高信頼MIMO-OFDM伝送方式が注目されている。OFDM信号は、多数のサブキャリアから構成され、周波数選択性フェージングに強い性質を有するが、ピーク値対平均電力比(Peak-to-Average Power Ratio (PAPR))が大きいという問題がある。また、CDMA方式においても、拡散後の複数の信号系列をコード多重して送信する場合には、OFDM信号同様にPAPRが大きくなるという問題がある。さらに、OFDM方式やCDMA方式に限らず、シングルキャリア方式等を用いる場合においても、複数送信アンテナを用いたMIMO伝送を行う場合には、並列多重を行う信号ストリーム数が増加すると、PAPRが大きくなるという問題がある。
【0003】
このように、PAPRの大きな送信信号波形では、送信電力増幅器により非線形歪が発生し、伝送特性が劣化するとともに、帯域外輻射電力が生じる。これを避けるため、送信電力増幅器の入力バックオフを大きく取ると、送信電力効率が大幅に低下する。このため、MIMO-OFDMにおける伝送特性の改善とPAPR低減を同時に実現するサブキャリア位相ホッピング選択マッピング(Subcarrier Phase Hopping-Selected Mapping (SPH-SLM))が下記の非特許文献1に記載されている。非特許文献1の方法では、各サブキャリアの変調信号を位相回転させる複数のユニタリ行列であるランダム位相行列候補から、ピークを最も抑圧する位相パターンを選択することにより、PAPR低減を可能としている。
【非特許文献1】S. Suyama, N. Nomura, H. Suzuki, and K. Fukawa, “Subcarrier phase hopping MIMO-OFDM transmission employing enhanced selected mapping for PAPR reduction,” Annual IEEE Inter. Symposium on Personal Indoor Mobile Radio Communication. (PIMRC), pp.1-5, Sept. 2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術であるランダム位相行列を乗算する方法を、MIMO固有モード伝送等の線形プリコーディングを用いるMIMO伝送方式に適用した場合、線形プリコーディングにより得られる効果が保持できないという問題があった。つまり、線形プリコーディング処理として、各送信信号ストリームに対して送信アンテナウェイトを乗算することにより形成されたビームの特性が、上記従来技術の適用により崩れてしまうという問題があった。たとえば、線形プリコーディング処理としてMIMO固有モード伝送を用いた場合には、形成された複数のビームが直交するという特徴を有するが、このMIMO固有モード伝送に上記従来技術であるランダム位相行列を乗算する方法を適用した場合、形成された直交ビームが崩れてしまう。
【0005】
本発明は、MIMO固有モード伝送等の線形プリコーディングを用いるMIMO伝送方式において、線形プリコーディングの効果を保持したまま、位相回転によりPAPRを低減させることができる無線通信装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するため、本発明に係る無線通信装置は、複数の送信アンテナを用いて線形プリコーディング処理を行い無線信号の送信を行う無線通信装置であって、ピーク値対平均電力比を低減する位相パターンを選択する位相パターン制御部と、前記位相パターン制御部において選択された前記位相パターンを用いて、変調信号に対して位相回転を行う位相回転部と、前記位相パターン制御部において選択された前記位相パターンを用いて制御信号を生成する制御信号生成部と、前記位相回転部及び前記制御信号生成部からの出力信号に対して線形プリコーディング処理を行うプリコーディング部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記の構成により、位相回転部において、送信信号に位相回転を与えた後にプリコーディングを行うことにより、線形プリコーディングの効果を保持することができる。また、位相パターン制御部において、複数の位相パターン候補の中からPAPRのピーク値に基づいて最適な位相パターンを選択することにより、PAPRを低減させることができる。
【0008】
また、本発明に係る無線通信装置では、MIMO-OFDM変調部と、MIMO-OFDM送信部とをさらに有し、前記MIMO-OFDM変調部において生成された各サブキャリアの信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、前記プリコーディング部からの出力が、前記MIMO-OFDM送信部に入力されるよう構成されることが望ましい。即ち、MIMO-OFDMシステムにおける変調後の各サブキャリアの信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0009】
また、本発明に係る無線通信装置では、MIMO-CDMA変調部と、MIMO-CDMA送信部とをさらに有し、前記MIMO-CDMA変調部において各拡散符号を用いて生成された拡散後の信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、前記プリコーディング部からの出力が、前記MIMO-CDMA送信部に入力されるよう構成されていることが望ましい。即ち、MIMO-CDMAシステムにおいて、各拡散符号で拡散された信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、MIMO-CDMAシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0010】
また、本発明に係る無線通信装置では、シングルキャリアMIMO変調部をさらに有し、前記シングルキャリアMIMO変調部において並列伝送を行うために生成された各送信ストリームの信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力されるよう構成されていることが望ましい。即ち、シングルキャリアMIMOシステムにおける変調後の信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、シングルキャリアMIMOシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0011】
また、本発明に係るMIMO-OFDM伝送における無線通信装置では、ブロック制御部と、逆フーリエ変換部と、並直列変換部とをさらに有し、前記プリコーディング部からの出力が前記ブロック制御部に入力され、前記ブロック制御部において複数のブロックに分割された信号が、前記逆フーリエ変換部に入力され、前記逆フーリエ変換部の出力が前記並直列変換部に入力され、前記並直列変換部の出力が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、前記位相パターン制御部は、前記並直列変換部の出力である時間信号波形を用いて位相パターンを選択するよう構成されていることが望ましい。これにより、前記位相パターン制御部での演算量低減を図りつつ、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0012】
上記の問題点を解決するため、本発明に係る無線通信方法は、複数の送信アンテナを用いて線形プリコーディング処理を行い無線信号の送信を行う無線通信方法であって、ピーク値対平均電力比を低減する位相パターンを選択する位相パターン制御ステップと、前記位相パターン制御ステップにおいて選択された前記位相パターンを用いて、変調信号に対して位相回転を行う位相回転ステップと、前記位相パターン制御ステップにおいて選択された前記位相パターンを用いて制御信号を生成する制御信号生成ステップと、前記位相回転ステップ及び前記制御信号生成ステップからの出力信号に対して線形プリコーディング処理を行うプリコーディングステップと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記の構成により、位相回転ステップにおいて、送信信号に位相回転を与えた後にプリコーディングを行うことにより、線形プリコーディングの効果を保持することができる。また、位相パターン制御ステップにおいて、複数の位相パターン候補の中からPAPRのピーク値に基づいて最適な位相パターンを選択することにより、PAPRを低減させることができる。
【0014】
また、本発明に係る無線通信方法では、MIMO-OFDM変調ステップと、MIMO-OFDM送信ステップとをさらに有し、前記MIMO-OFDM変調ステップにおいて生成された各サブキャリアの信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、前記プリコーディングステップからの出力が、前記MIMO-OFDM送信ステップに入力されるよう構成されることが望ましい。即ち、MIMO-OFDMシステムにおける変調後の各サブキャリアの信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0015】
また、本発明に係る無線通信方法では、MIMO-CDMA変調ステップと、MIMO-CDMA送信ステップとをさらに有し、前記MIMO-CDMA変調ステップにおいて各拡散符号を用いて生成された拡散後の信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、前記プリコーディングステップからの出力が、前記MIMO-CDMA送信ステップに入力されるよう構成されていることが望ましい。即ち、MIMO-CDMAシステムにおいて、各拡散符号で拡散された信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、MIMO-CDMAシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る無線通信方法では、シングルキャリアMIMO変調ステップをさらに有し、前記シングルキャリアMIMO変調ステップにおいて並列伝送を行うために生成された各送信ストリームの信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力されるよう構成されていることが望ましい。即ち、シングルキャリアMIMOシステムにおける変調後の信号に対して位相回転が行われた後に、プリコーディング処理が行われる。これにより、シングルキャリアMIMOシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0017】
また、本発明に係るMIMO-OFDM伝送における無線通信方法では、ブロック制御ステップと、逆フーリエ変換ステップと、並直列変換ステップとをさらに有し、前記プリコーディングステップからの出力が前記ブロック制御ステップに入力され、前記ブロック制御ステップにおいて複数のブロックに分割された信号が、前記逆フーリエ変換ステップに入力され、前記逆フーリエ変換ステップの出力が前記並直列変換ステップに入力され、前記並直列変換ステップの出力が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、前記位相パターン制御ステップは、前記並直列変換ステップの出力である時間信号波形を用いて位相パターンを選択するよう構成されていることが望ましい。これにより、前記位相パターン制御ステップでの演算量低減を図りつつ、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る無線通信装置及び無線通信方法によれば、MIMO固有モード伝送等の線形プリコーディングを用いるMIMO伝送方式において、線形プリコーディングの効果を保持したまま、位相回転によりPAPRを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態にかかる無線通信装置について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係るMIMO-OFDM伝送系についての無線通信装置の構成について説明する。図1はMIMO-OFDM伝送系についての本無線通信装置10のハードウェア構成図である。無線通信装置10は、物理的には、図1に示すように、MIMO-OFDM変調部11と、位相パターン制御部12と、位相回転部13と、プリコーディング部14と、制御信号生成部15と、MIMO-OFDM送信部16とを含んで構成される。ここで、MIMO-OFDM変調部11は直並列変換部11Aと、チャネル符号化部11Bと、インタリーバ部11Cと、信号変調部11Dとを含んで構成され、MIMO-OFDM送信部16は逆フーリエ変換部16Aと、並直列変換部16Bと、ガードインターバル挿入部16Cとを含んで構成される。
【0021】
図2は本実施形態におけるMIMO-OFDM伝送系についての位相パターン制御部12の構成図を示す。位相パターン制御部12は、位相パターン選択部22と位相パターンの候補数(U)だけのピーク値算出部21とを含んで構成される。各位相パターンに対応するピーク値算出部21は、位相回転部21Aと、プリコーディング部21Bと、制御信号生成部21Cと、逆フーリエ変換部21Dと、ピーク値検知部21Eとを含んで構成される。
【0022】
続いて、本実施形態にかかる無線通信装置10の動作及び無線通信方法について説明する。以下では、サブキャリア数N、送信アンテナ数N、受信アンテナ数N、空間多重をおこなう送信信号ストリーム数M(M≦N)を用いるMIMO-OFDM伝送において、線形プリコーディング処理として固有モード伝送を用いた場合について説明する。
【0023】
はじめに、図1に示されるMIMO-OFDM変調部11では、送信する情報信号系列を直並列変換部11Aにおいて、多重化する各送信ストリームに割り当て、チャネル符号化部11Bにおいてチャネル符号化を施してインタリーバ部11Cにおいてインタリーブを施し、直並列変換部11Aにおいて各サブキャリアに割り当てた後、信号変調部11Dにおいて変調を行い、送信信号zを発生させる。ここで、zは第n(0≦n≦N−1)サブキャリアにおける送信信号を表し、以下では、第n(0≦n≦N−1)サブキャリアにおける処理について述べる。
【0024】
信号変調部11Dにおいて送信信号zを発生させた後、位相回転部13において送信信号z
【数1】


を乗算した後に、プリコーディング部14においてユニタリ行列Vを乗算することにより、
【数2】


を生成する。ここで、
【数3】


は、後述する位相パターン制御部12で選択された
【数4】


における行列を表す。また、ユニタリ行列Vは、以下の式(1)で表されるN×NMIMOチャネルのチャネル行列Hを特異値分解(SVD)することにより得られる行列であり、以下の式(2)の形で表すことができる。
【数5】


ここで、は複素共役転置を表し、行列Dは以下の式で表すことができる。
【数6】


なお、λnT,nはHの第n番目の固有値で、
【数7】


である。
【0025】
プリコーディング部14で生成される
【数8】


は、上記のユニタリ行列V及び
【数9】


を用いて、以下の式で表すことができる。
【数10】


ここで、は転置を表し、生成された
【数11】


における各要素は、対応する送信アンテナにおける逆フーリエ変換部16Aに入力される。
【0026】
一方、制御信号生成部15では、位相パターン制御部12において選択された
【数12】


を受信側に通知するための制御信号を生成し、生成された制御信号はプリコーディング部14に入力される。プリコーディング部14では、制御信号を送信するサブキャリアにおけるチャネル行列を用いて、式(2)に示す特異値分解を行うことにより得られるユニタリ行列を制御信号に乗算することにより、制御信号に対してプリコーディング処理を行う。
【0027】
逆フーリエ変換部16Aでは、プリコーディング部14から入力された、プリコーディング処理後の
【数13】


と制御信号に対して逆フーリエ変換を行うことにより時間領域の信号を生成し、並直列変換部16Bに入力する。並直列変換部16Bは、並列に入力した信号系列を直列の信号系列に変換し、ガードインターバル挿入部16Cに入力する。ガードインターバル挿入部16Cでは、入力された信号に対してガードインターバルを挿入し、各アンテナにおける送信信号を生成する。
【0028】
続いて図2に示される位相パターン制御部12の動作について説明する。位相パターン選択部22と位相パターンの候補数(U)だけのピーク値算出部21とを含んで構成される位相パターン制御部12において、第u(1≦u≦U)位相パターンに対応するピーク値算出部21では、入力される送信信号zに対して、位相回転部21Aにおいて、以下の式で定義される行列Qu,nを乗算することにより位相回転を施す。
【数14】

【0029】
その後、位相回転部21Aから出力された信号は、プリコーディング部21Bに入力され、プリコーディング部21Bではユニタリ行列Vを乗算することによりプリコーディング処理を行う。このとき、プリコーディング後の第u位相パターンに対応した送信信号ベクトルsu,n
【数15】


となる。プリコーディング部21Bにおいて生成された送信信号ベクトルsu,nの各要素が、対応する各送信アンテナにおける逆フーリエ変換部21Dに入力される。また、第u位相パターンに対応した制御信号が制御信号生成部21Cにおいて生成され、生成された制御信号はプリコーディング部21Bに入力される。プリコーディング部21Bでは、制御信号を送信するサブキャリアにおけるチャネル行列を用いて、特異値分解を行うことにより得られるユニタリ行列を制御信号に乗算することにより、制御信号に対してプリコーディング処理を行う。
【0030】
逆フーリエ変換部21Dでは、プリコーディング部21Bから入力された、プリコーディング処理後の送信信号ベクトルsu,nと制御信号に対して逆フーリエ変換を行うことにより時間信号波形を生成する。各送信アンテナに対応する逆フーリエ変換部21Dから出力された時間信号波形はピーク値検知部21Eに入力される。ピーク値検知部21Eでは、各送信アンテナの時間信号波形から最も値が大きいピーク値を出力する。各ピーク値算出部21におけるピーク値検知部21Eから出力された最大のピーク値が位相パターン選択部22に入力されて、位相パターン選択部22では最大ピークの値を最も小さくすることができる位相パターンを選択する。ここで、選択された位相パターンを
【数16】


とすると、
【数17】


は以下の式により選択される。
【数18】


ここで、
【数19】


は、位相パターンuが適用された第nアンテナ、第k(0≦k≦N−1)サンプルにおける時間信号波形を表す。選択された
【数20】


が、位相パターン選択部22から出力されて、図1における位相回転部13及び制御信号生成部15に入力される。
【0031】
続いて本実施形態にかかる無線通信装置10の作用及び効果について説明する。本実施形態にかかる無線通信装置10では、式(7)により選択された
【数21】


を用いて、各サブキャリアの位相を回転させることによりPAPRを低減することができる。また、位相回転をプリコーディング部14の前で行うことにより、受信側では従来の固有ビーム伝送と同様に、受信信号ベクトルrに対して、ユニタリ行列Uを乗算することによりチャネルの直交化が可能となる。ここで、N次元の受信信号ベクトルrを次式で表す。
=H+n(8)
ただし、nはN次元の雑音ベクトルである。この受信信号ベクトルrに対して、受信側でユニタリ行列Uを乗算すると、
【数22】


は、式(2)の関係を用いることにより以下の式で表すことができる。
【数23】

【0032】
ここで、式(9)における行列D及び
【数24】


は対角行列であるためチャネルの直交性が維持される。つまり、PAPRを低減させるために
【数25】


により位相回転を施した
【数26】


は、ユニタリ行列Vの乗算に基づく線形プリコーディングの効果を保持することが可能である。なお、受信側では
【数27】


に対して、制御信号により通知された
【数28】


を用いて、
【数29】


により回転された位相と逆の位相回転を与えることで、元の情報信号を検出することができる。
【0033】
ここで、従来の固有モード伝送において、プリコーディングを施した後に、各アンテナに対して異なる位相回転を施すと、プリコーディングにより形成された直交ビームが崩れるため伝送特性が劣化する。これに対して、本発明における上記位相パターン制御部12においては、プリコーディングを施す前に送信信号zに対して位相回転を施し、その後、プリコーディングを行うことを特徴とする。これにより、プリコーディング後の信号に特別な操作を加えることなく送信信号に対して位相回転を施すことができるため、プリコーディングにより形成された直交ビームを維持したまま、PAPRを低減することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態における上述の説明ではMIMO-OFDM伝送系への適用例について示したが、Multi Carrier (MC)-CDMAやOFDMAなどの、OFDMに基づくいずれの方式にも適用可能である。つまり、OFDMのサブキャリアを用いて拡散後の信号を送信するMC-CDMAや、OFDMのサブキャリアを複数のユーザに割り当てるOFDMAなどの、OFDMに基づく方法において線形プリコーディング処理を用いたMIMO伝送を行う場合には、本発明を適用することが可能である。
【0035】
以下、上述の無線通信装置の構成の変形例について説明する。上述の例ではMIMO-OFDM伝送系に本発明を適用した場合の装置及び方法を示したが、MIMO-CDMA伝送系に適用することも可能である。図3はMIMO-CDMA伝送系についての本無線通信装置30のハードウェア構成図である。無線通信装置30は、物理的には、図3に示すように、MIMO-CDMA変調部31と、位相パターン制御部32と、位相回転部33と、プリコーディング部34と、制御信号生成部35と、MIMO-CDMA送信部36とを含んで構成される。ここで、MIMO-CDMA変調部31は直並列変換部31Aと、チャネル符号化部31Bと、インタリーバ部31Cと、信号変調部31Dと、拡散部31Eとを含んで構成され、MIMO-CDMA送信部36はコード多重部36Aにより構成される。
【0036】
図4は本実施形態におけるMIMO-CDMA伝送系についての位相パターン制御部32の構成図を示す。位相パターン制御部32は、位相パターン選択部42と位相パターンの候補数だけのピーク値算出部41とを含んで構成される。各位相パターンに対応するピーク値算出部41は、位相回転部41Aと、プリコーディング部41Bと、制御信号生成部41Cと、ピーク値検知部41Dとを含んで構成される。
【0037】
続いて、MIMO-CDMA伝送系における無線通信装置30の動作及び無線通信方法について説明する。はじめに、MIMO-CDMA変調部31における直並列変換部31Aにおいて、情報信号を各送信ストリームに割り当て、チャネル符号化部31Bにおいてチャネル符号化を施してインタリーバ部31Cにおいてインタリーブを施し、信号変調部31Dにおいて変調を行い、拡散部31Eにおいて(コード多重を行う)各拡散符号を用いて信号を拡散し、送信信号を発生させる。
【0038】
続いて、位相パターン制御部32においてPAPRを低減する上で最適な位相パターンを選択し、位相回転部33において各拡散符号により生成された送信信号と選択された位相パターンを乗算し、プリコーディング部34に入力する。一方、制御信号生成部35では、位相パターン制御部32において選択された位相パターンに基づいて制御信号を生成し、制御信号用の拡散符号を用いて拡散を行った後に、プリコーディング部34に入力する。プリコーディング部34は、位相回転部33から入力された信号と、制御信号生成部35から入力された信号に対してプリコーディング処理を施した後、プリコーディング処理後の信号はMIMO-CDMA送信部36におけるコード多重部36Aに入力される。コード多重部36Aでは、入力された信号のコード多重を行うことにより、各送信アンテナにおける送信信号を生成する。なお、MIMO-CDMA伝送系における位相パターン制御部32の動作については、MIMO-OFDM伝送系における位相パターン制御部12(図2)の逆フーリエ変換部21Dにおける逆フーリエ変換動作が無いことを除いて、MIMO-OFDM伝送系における位相パターン制御部12の動作と同じである。
【0039】
上述では無線通信装置の構成の変形例としてMIMO-CDMA伝送系への適用例について示したが、以下では別の変形例として、シングルキャリアMIMO伝送系への適用例について説明する。図5はシングルキャリアMIMO伝送系についての本無線通信装置50のハードウェア構成図である。無線通信装置50は、物理的には、図5に示すように、シングルキャリアMIMO変調部51と、位相パターン制御部52と、位相回転部53と、プリコーディング部54と、制御信号生成部55とを含んで構成される。ここで、シングルキャリアMIMO変調部51は直並列変換部51Aと、チャネル符号化部51Bと、インタリーバ部51Cと、信号変調部51Dとを含んで構成される。
【0040】
図6は本実施形態におけるシングルキャリアMIMO伝送系についての位相パターン制御部52の構成図を示す。位相パターン制御部52は、位相パターン選択部62と位相パターンの候補数だけのピーク値算出部61とを含んで構成される。各位相パターンに対応するピーク値算出部61は、位相回転部61Aと、プリコーディング部61Bと、制御信号生成部61Cと、ピーク値検知部61Dとを含んで構成される。
【0041】
続いて、シングルキャリアMIMO伝送系における無線通信装置50の動作及び無線通信方法について説明する。はじめに、シングルキャリアMIMO変調部51における直並列変換部51Aにおいて、情報信号を多重化する各送信ストリームに割り当て、チャネル符号化部51Bにおいてチャネル符号化を施してインタリーバ部51Cにおいてインタリーブを施し、信号変調部51Dにおいて変調を行い、送信信号を発生させる。続いて、位相パターン制御部52においてPAPRを低減する上で最適な位相パターンを選択し、それを基に位相回転部53では送信信号と選択された位相パターンとを乗算し、プリコーディング部54に入力する。一方、制御信号生成部55では、位相パターン制御部52において選択された位相パターンに基づいて制御信号を生成し、プリコーディング部54に入力する。プリコーディング部54は、位相回転部53から入力された信号と、制御信号生成部55から入力された信号に対してプリコーディング処理を施した後、プリコーディング処理後の信号は、各送信アンテナより送信される。
【0042】
ここで、上述では位相回転部53及び制御信号生成部55から出力された信号がプリコーディング部54において空間多重される場合の例について説明したが、位相回転部53及び制御信号生成部55から出力された信号が時間多重することとしても良い。
【0043】
なお、シングルキャリアMIMO伝送系における位相パターン制御部52の動作については、MIMO-OFDM伝送系における位相パターン制御部12(図2)の逆フーリエ変換部21Dにおける逆フーリエ変換動作が無いことを除いて、MIMO-OFDM伝送系における位相パターン制御部12の動作と同じである。
【0044】
続いて、本実施形態におけるピーク値検知部21E、41D、61Dの変形例について説明する。上述のピーク値検知部21E、41D、61Dでは、時間信号波形における信号電力の最大値をピーク値として出力する構成について説明を行ったが、送信電力増幅器でクリッピングされることを考慮すると、ピーク値検知部21E、41D、61Dにおいてクリッピングされる閾値電力以上の総電力を算出する構成としても良い。このとき、位相パターン選択部22、42、62において、クリッピングされる閾値電力以上の総電力を最小とする最適な位相パターンを選択する。
【0045】
なお、本実施形態にかかる上述の説明では、線形プリコーディング処理として固有モード伝送を用いる場合の装置及び方法を示したが、その他の送信プリコーディング方法を用いる場合においても、上記方法を利用して、線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減させることが可能である。
【0046】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る無線通信装置の構成について説明する。本実施形態に係る無線通信装置は、第1実施形態に係るMIMO-OFDM伝送系における無線通信装置と比較して、位相パターン制御部における逆フーリエ変換部の数を減少させることができるため、位相パターン制御部での演算量低減が可能となる。図7は本無線通信装置70のハードウェア構成図である。本実施形態にかかる無線通信装置70は、MIMO-OFDM変調部71と、プリコーディング部72と、ブロック制御部73と、逆フーリエ変換部74と、並直列変換部75と、位相パターン制御部76と、位相回転部77と、制御信号生成部78と、加算部79と、ガードインターバル挿入部7Aとを含んで構成される。ここで、MIMO-OFDM変調部71は、第1実施形態における構成と同一である。
【0047】
図8に本実施形態における位相パターン制御部76の構成図を示す。位相パターン制御部76は、位相パターン選択部82と位相パターンの候補数だけのピーク値算出部81とを含んで構成される。各位相パターンに対応するピーク値算出部81は、位相回転部81Aと、加算部81Bと、制御信号生成部81Cと、ピーク値検知部81Dとを含んで構成される。
【0048】
続いて、本実施形態にかかる無線通信装置70の動作及び無線通信方法について説明する。本実施形態のMIMO-OFDM変調部71における信号生成方法は、第1実施形態と同一である。MIMO-OFDM変調部71により生成された送信信号zに対して、本実施形態では第1実施形態と異なり、プリコーディング部72においてユニタリ行列Vを先に乗算する。プリコーディング部72から出力された信号は、ブロック制御部73において複数のブロックに分割され、ブロック毎に逆フーリエ変換部74において時間信号波形に変換する。逆フーリエ変換部74から出力された信号は、並直列変換部75において直列の時間信号系列に変換される。並直列変換部75から出力された信号は、後述の位相パターン制御部76に入力され、PAPR低減を行う上で最適な位相パターンが選択される。位相パターン制御部76で選択された位相パターン情報は、位相回転部77及び制御信号生成部78に入力される。位相回転部77では、位相パターン制御部76から入力された位相パターン情報を用いて、並直列変換部75より入力された信号に対して位相回転を行い、位相回転後の信号が加算部79に入力される。一方、制御信号生成部78は、位相パターン制御部76から入力された位相パターン情報を用いて、受信側に位相パターン情報を通知するための制御信号を生成し、生成された制御信号は各送信アンテナに対応する加算部79に入力される。ここで、制御信号生成部78における制御信号の生成に関して、各位相パターン候補に対応した時間信号波形を予めメモリに保存し、選択された位相パターンに対応する時間信号波形を、制御信号として出力することができる。また、位相パターン制御部76で選択された位相パターンに対応した制御信号を周波数領域で生成し、生成後の信号を逆フーリエ変換した時間信号波形を、制御信号生成部78からの出力信号として用いることもできる。
【0049】
加算部79では、位相回転部77から出力される複数ブロックの信号と制御信号を加算して、加算後の信号をガードインターバル挿入部7Aに入力する。ガードインターバル挿入部7Aでは、加算部79から入力された信号に対してガードインターバルを挿入して、各アンテナにおける送信信号を生成する。
【0050】
続いて、図8に示される位相パターン制御部76の動作について説明する。位相パターン選択部82と位相パターンの候補数(U)だけのピーク値算出部81とを含んで構成される位相パターン制御部76において、第u(1≦u≦U)位相パターンに対応するピーク値算出部81では、並直列変換部75より入力される信号に対して、位相回転部81Aにおいて以下の式で定義される行列Q'u,nを乗算することにより位相回転を施す。
【数30】


ここで、式(11)に示されるように、本実施形態では式(5)で示される第1実施形態の場合とは異なり、形成される各ビームに対して同一の位相回転量を与えることを特徴とする。
【0051】
一方、制御信号生成部81Cでは、第u(1≦u≦U)位相パターンに対応する制御信号を生成する。ここで、制御信号生成部81Cにおける制御信号の生成に関しては、上述のように当該位相パターンに対応した制御信号の時間信号波形を予めメモリに保存しておくか、当該位相パターンに対応した制御信号を周波数領域で生成した後に逆フーリエ変換を施すことにより、制御信号を生成することができる。制御信号生成部81Cから出力された制御信号と、位相回転部81Aから出力された信号は加算部81Bに入力され、加算後の時間信号波形が生成される。加算部81Bから出力された信号はピーク値検知部81Dに入力され、ピーク値検知部81Dでは各送信アンテナに対応する時間信号波形を比較して、最も値が大きいピーク値を出力する。各ピーク値算出部81のピーク値検知部81Dから出力されたピーク値は、位相パターン選択部82に入力される。位相パターン選択部82では、入力された最大ピーク値を最も小さくすることができる位相パターンを選択し、選択された
【数31】


を出力する。選択された
【数32】


は、図7における位相回転部77及び制御信号生成部78に入力される。
【0052】
続いて本実施形態にかかる無線通信装置70の作用及び効果について説明する。本実施形態にかかる無線通信装置70では、式(11)により定義される行列を用いて位相回転を行う。その結果、第1実施形態では式(6)の形で表された送信信号ベクトルsu,nは、本実施形態では以下の式で表される。
【数33】


ここで、sはプリコーディング部72より出力される信号であり、s=Vである。
【0053】
ブロック制御部73において、第b(0≦b≦B−1)ブロックには、サブキャリア番号{b, B+b,…,(N/B-1)B+b}の信号が属するように分割し、同一ブロック内の各サブキャリアにおける位相回転量φu,nをφu,n=φu,B+b=…=φu,(N/B-1)B+bとして、同一の位相回転量を与えることとする。このとき、送信信号ベクトルsu,nにおける第n送信アンテナにおける
【数34】


は以下の式で表すことができる。
【数35】


ここで、式(13)における
【数36】


は、第bブロックに属するサブキャリアの変調信号から構成される、以下の式(14)で表される長さNの信号系列を逆フーリエ変換した時間信号波形となる。
【数37】

【0054】
したがって、式(13)は、各ブロックに分割された信号を逆フーリエ変換した時間信号波形に
【数38】


を乗算して、全ブロックを足し合わせた形となる。これにより、ブロック制御部73で各ブロックに分割された信号を逆フーリエ変換した後の信号に対して、図7及び図8における位相回転部77、81Aにおいて位相回転を行うことが可能となる。その結果、図8に示される位相パターン制御部76における各ピーク値算出部81において、図2に示される第1実施形態のピーク値算出部21で用いられていた逆フーリエ変換部21Dを省略することができるため、演算量を低減することができる。つまり、本実施形態ではブロック制御部73において式(14)に示す形で各サブキャリアの信号を分割し、同一ブロック内の各サブキャリアでは同一の位相回転量を与えるようにすることで、位相パターン制御部76における演算量低減を図りつつ、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0055】
さらに、式(13)に関して、N=N/Bとすることにより、式(13)は以下の式(15)とすることができる。
【数39】


ここで、
【数40】


は、以下の式(16)で表される長さNの信号系列を逆フーリエ変換した時間信号波形となる。
【数41】

【0056】
したがって、逆フーリエ変換におけるポイント数をNからNに低減することができる。これにより、図7における逆フーリエ変換部74による逆フーリエ変換の演算量をさらに低減することができる。つまり、図7におけるブロック制御部73で、ブロックごとに式(16)で示される信号系列を生成し、逆フーリエ変換部74による逆フーリエ変換におけるポイント数をNとすることにより、逆フーリエ変換の演算量低減を図りつつ、MIMO-OFDMシステムにおいて線形プリコーディングの効果を保持したままPAPRを低減することができる。
【0057】
なお、本実施形態における上述の説明では、MIMO-OFDM伝送系への適用例について示したが、第1実施形態の場合と同様に、本発明をMulti Carrier (MC)-CDMAやOFDMAなどの、OFDMに基づくいずれの方式にも適用可能である。ここで、本発明をOFDMAに適用する場合、ブロック制御部73で分割された各ブロックの信号を異なるユーザに割当てることにより、制御信号として送信すべき情報量の低減、または、制御信号生成部78の省略が可能となる。これは、本実施形態では同一ブロック内の信号には同一の位相回転量が適用されるため、各ユーザに向けて送信される全てのサブキャリアが同一の位相回転の影響を受けることによる。
【0058】
また、本実施形態における上述の説明では、ピーク値検知部81Dが最大のピーク値を出力する場合について説明したが、第1実施形態のピーク値検知部における変形例にて説明したように、クリッピングされる閾値電力以上の総電力を出力する構成としても良い。
【実施例1】
【0059】
本発明の第1実施形態にかかる実施例について図面を参照して説明する。本発明の有効性を確認するため、線形プリコーディングとして固有モード伝送を用いるMIMO-OFDM方式に、本発明の第1実施形態を適用した場合の計算機シミュレーション結果について以下に示す。送信及び受信のアンテナ数はそれぞれ2とし、2ストリームを空間多重した。また、OFDMのパラメータは5GHz帯無線LANに準拠し、FFTポイント数は64とした。変調方式はQPSKとし、本発明における位相パターン数Uは16とした。
【0060】
図9に従来の固有モード伝送と本発明におけるPAPRのCCDF(Complementary Cumulative Distribution Function)特性を示す。また、比較のために固有モード伝送を行わない場合のCCDF特性も併せて示す。同図においてEMは従来の固有モード伝送におけるCCDF特性を表し、EM-SLMは本発明の第1実施形態を適用した固有モード伝送のCCDF特性を示す。また、SDMは固有モード伝送を行わないMIMO-OFDM方式のCCDF特性を表し、SDM-SLMは固有モード伝送を行わないMIMO-OFDM方式において非特許文献1の方法を適用した場合のCCDF特性を示す。
【0061】
図9よりPAPR低減処理を用いないEMとSDMは、ほぼ同等のCCDF特性となり、本発明の第1実施形態を適用したU=16のEM-SLMのCCDF特性は、EMのCCDF特性に対してCCDF=10−3におけるPAPRを約3.6dB低減できることがわかる。また、EM-SLMは、固有モード伝送を用いないSDM-SLMとほぼ同等のPAPR特性を実現できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態に係るMIMO-OFDM伝送系の無線通信装置の構成図である。
【図2】第1実施形態に係るMIMO-OFDM伝送系の無線通信装置の位相パターン制御部の構成図である。
【図3】第1実施形態に係るMIMO-CDMA伝送系の無線通信装置の構成図である。
【図4】第1実施形態に係るMIMO-CDMA伝送系の無線通信装置中の位相パターン制御部の構成図である。
【図5】第1実施形態に係るシングルキャリアMIMO伝送系の無線通信装置の構成図である。
【図6】第1実施形態に係るシングルキャリアMIMO伝送系の無線通信装置中の位相パターン制御部の構成図である。
【図7】第2実施形態に係る無線通信装置の構成図である。
【図8】第2実施形態に係る無線通信装置の位相パターン制御部の構成図である。
【図9】本発明の適用効果を示すPAPR特性を表す図である。
【符号の説明】
【0063】
10…無線通信装置、11…MIMO-OFDM変調部、11A…直並列変換部、11B…チャネル符号化部、11C…インタリーバ部、11D…信号変調部、12…位相パターン制御部、13…位相回転部、14…プリコーディング部、15…制御信号生成部、16…MIMO-OFDM送信部、16A…逆フーリエ変換部、16B…並直列変換部、16C…ガードインターバル挿入部、21…ピーク値算出部、21A…位相回転部、21B…プリコーディング部、21C…制御信号生成部、21D…逆フーリエ変換部、21E…ピーク値検知部、22…位相パターン選択部、30…無線通信装置、31…MIMO-CDMA変調部、31A…直並列変換部、31B…チャネル符号化部、31C…インタリーバ部、31D…信号変調部、31E…拡散部、32…位相パターン制御部、33…位相回転部、34…プリコーディング部、35…制御信号生成部、36…MIMO-CDMA送信部、36A…コード多重部、41…ピーク値算出部、41A…位相回転部、41B…プリコーディング部、41C…制御信号生成部、41D…ピーク値検知部、42…位相パターン選択部、50…無線通信装置、51…シングルキャリアMIMO変調部、51A…直並列変換部、51B…チャネル符号化部、51C…インタリーバ部、51D…信号変調部、52…位相パターン制御部、53…位相回転部、54…プリコーディング部、55…制御信号生成部、61…ピーク値算出部、61A…位相回転部、61B…プリコーディング部、61C…制御信号生成部、61D…ピーク値検知部、62…位相パターン選択部、70…無線通信装置、71…MIMO-OFDM変調部、71A…直並列変換部、71B…チャネル符号化部、71C…インタリーバ部、71D…信号変調部、72…プリコーディング部、73…ブロック制御部、74…逆フーリエ変換部、75…並直列変換部、76…位相パターン制御部、77…位相回転部、78…制御信号生成部、79…加算部、7A…ガードインターバル挿入部、81…ピーク値算出部、81A…位相回転部、81B…加算部、81C…制御信号生成部、81D…ピーク値検知部、82…位相パターン選択部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信アンテナを用いて線形プリコーディング処理を行い無線信号の送信を行う無線通信装置であって、
ピーク値対平均電力比を低減する位相パターンを選択する位相パターン制御部と、
前記位相パターン制御部において選択された前記位相パターンを用いて、変調信号に対して位相回転を行う位相回転部と、
前記位相パターン制御部において選択された前記位相パターンに基づいて制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記位相回転部及び前記制御信号生成部からの出力信号、に対して線形プリコーディング処理を行うプリコーディング部と、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記無線通信装置は、MIMO-OFDM変調部と、MIMO-OFDM送信部とをさらに有し、
前記MIMO-OFDM変調部において生成された各サブキャリアの信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、
前記プリコーディング部からの出力が、前記MIMO-OFDM送信部に入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記無線通信装置は、MIMO-CDMA変調部と、MIMO-CDMA送信部とをさらに有し、
前記MIMO-CDMA変調部において各拡散符号を用いて生成された拡散後の信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、
前記プリコーディング部からの出力が、前記MIMO-CDMA送信部に入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信装置は、シングルキャリアMIMO変調部をさらに有し、
前記シングルキャリアMIMO変調部において並列伝送を行うために生成された各送信ストリームの信号が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記無線通信装置は、ブロック制御部と、逆フーリエ変換部と、並直列変換部とをさらに有し、
前記プリコーディング部からの出力が前記ブロック制御部に入力され、
前記ブロック制御部において複数のブロックに分割された信号が、前記逆フーリエ変換部に入力され、
前記逆フーリエ変換部の出力が前記並直列変換部に入力され、
前記並直列変換部の出力が、前記位相回転部及び前記位相パターン制御部に入力され、
前記位相パターン制御部は、前記並直列変換部の出力である時間信号波形を用いて位相パターンを選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項6】
複数の送信アンテナを用いて線形プリコーディング処理を行い無線信号の送信を行う無線通信方法であって、
ピーク値対平均電力比を低減する位相パターンを選択する位相パターン制御ステップと、
前記位相パターン制御ステップにおいて選択された前記位相パターンを用いて、変調信号に対して位相回転を行う位相回転ステップと、
前記位相パターン制御ステップにおいて選択された前記位相パターンに基づいて制御信号を生成する制御信号生成ステップと、
前記位相回転ステップ及び前記制御信号生成ステップからの出力信号に対して線形プリコーディング処理を行うプリコーディングステップと、
を備えたことを特徴とする無線通信方法。
【請求項7】
前記無線通信方法は、MIMO-OFDM変調ステップと、MIMO-OFDM送信ステップとをさらに有し、
前記MIMO-OFDM変調ステップにおいて生成された各サブキャリアの信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、
前記プリコーディングステップからの出力が、前記MIMO-OFDM送信ステップに入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項8】
前記無線通信方法は、MIMO-CDMA変調ステップと、MIMO-CDMA送信ステップとをさらに有し、
前記MIMO-CDMA変調ステップにおいて各拡散符号を用いて生成された拡散後の信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、
前記プリコーディングステップからの出力が、前記MIMO-CDMA送信ステップに入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記無線通信方法は、シングルキャリアMIMO変調ステップをさらに有し、
前記シングルキャリアMIMO変調ステップにおいて並列伝送を行うために生成された各送信ストリームの信号が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力されるよう構成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記無線通信方法は、ブロック制御ステップと、逆フーリエ変換ステップと、並直列変換ステップとをさらに有し、
前記プリコーディングステップからの出力が前記ブロック制御ステップに入力され、
前記ブロック制御ステップにおいて複数のブロックに分割された信号が、前記逆フーリエ変換ステップに入力され、
前記逆フーリエ変換ステップの出力が前記並直列変換ステップに入力され、
前記並直列変換ステップの出力が、前記位相回転ステップ及び前記位相パターン制御ステップに入力され、
前記位相パターン制御ステップは、前記並直列変換ステップの出力である時間信号波形を用いて位相パターンを選択する、
ことを特徴とする請求項7に記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−194732(P2009−194732A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34935(P2008−34935)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】