説明

無線通信装置

【課題】 アンテナを収納した無線ユニットの小型化を図りながら、アンテナ性能の向上を図ることができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】 アンテナ13、およびアンテナ13に接続した無線回路基板12を具備して、無線信号の送受信を行う無線ユニット1と、無線ユニット1に対する送信データの出力と無線ユニット1からの受信データの入力との各機能を有する計測回路基板22を具備する計測ユニット2とを備え、計測ユニット2が具備する導体板24は、計測回路基板22のグランドパターン22aに接続するとともに、無線回路基板12の一面に対向して、無線回路基板12のグランドパターン12aと容量結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種データを計測する計測ユニットに、無線通信機能を有する無線ユニットを接続し、親端末との間で無線通信を行うことによって、計測したデータを親端末へ送信したり、データ計測のための制御信号を親端末から受信する無線通信装置がある。
【0003】
そして、無線ユニットにはアンテナが収納されており、特許文献1では、アンテナ性能(送信性能、受信性能)を確保するために、無線基板とアンテナ基板とを互いに直交させて配置し、アンテナ基板と金属部分との間に空間を設けている。
【0004】
また、特許文献2では、反射導体を設けることによって、アンテナの利得向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−241832号公報
【特許文献2】特開平10−313212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、無線ユニットの小型化が図られているため、無線ユニットに収納されているアンテナは、十分なグランド領域を確保することができず、アンテナ性能が低いという問題があった。一般的に十分高いアンテナ性能を確保するためには、アンテナ素子と、このアンテナ素子に給電する回路基板のグランドとの各電気的長さの和が、通信に用いる波長λの1/2以上の長さであることが好ましい。しかし、グランド領域がこの条件を満たす無線ユニットは、大型になってしまう。
【0007】
上記特許文献1の技術は、無線ユニットを計測ユニットに取り付けた場合にアンテナ性能の劣化を抑える手段としては有効であるが、小型の無線ユニットに対して、アンテナ性能を向上させるものではない。
【0008】
また、上記特許文献2の技術では、反射導体が有効に作用するためには、反射導体にλ/2以上の長さが求められ、無線ユニットの大型化の要因になってしまう。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナを収納した無線ユニットの小型化を図りながら、アンテナ性能の向上を図ることができる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の無線通信装置は、アンテナ、および前記アンテナに接続した無線回路基板を具備して、無線信号の送信と受信との少なくとも一方を行う無線ユニットと、前記無線ユニットに対する送信データの出力と前記無線ユニットからの受信データの入力との少なくとも一方の機能を有する信号基板を具備する信号ユニットとを備え、前記無線ユニットは、前記無線回路基板のグランド電位に接続した第1の結合部を有し、前記信号ユニットは、前記信号基板のグランド電位に接続した第2の結合部を有し、前記第1の結合部と前記第2の結合部とは、互いに容量結合することを特徴とする。
【0011】
この発明において、前記第1の結合部は、前記無線回路基板の一面に形成したグランドパターンで構成され、前記第2の結合部は、前記無線回路基板の一面の少なくとも一部と対向することが好ましい。
【0012】
この発明において、前記第1の結合部は、前記無線回路基板と別体に形成した第1の導体板で構成され、前記第2の結合部は、前記第1の導体板の一面の少なくとも一部と対向することが好ましい。
【0013】
この発明において、前記第2の結合部は、前記信号基板と別体に形成した第2の導体板で構成され、この第2の導体板の一面が前記第1の結合部の少なくとも一部と対向することが好ましい。
【0014】
この発明において、前記第2の結合部は、前記信号基板に形成したグランドパターンに接続することが好ましい。
【0015】
この発明において、前記第2の結合部は、前記信号基板と別体に形成されて前記信号基板のグランドパターンに接続した導電部材に接続することが好ましい。
【0016】
この発明において、前記信号ユニットは、前記信号基板のグランド電位に接続した第3の結合部を有し、一の前記信号ユニットの前記第3の結合部は、他の前記信号ユニットの前記第2の結合部に容量結合することが好ましい。
【0017】
この発明において、前記第3の結合部は、前記信号基板に形成したグランドパターンに接続することが好ましい。
【0018】
この発明において、前記第3の結合部は、前記信号基板と別体に形成されて前記信号基板のグランドパターンに接続した導電部材に接続することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、アンテナを収納した無線ユニットの小型化を図りながら、アンテナ性能の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1の無線通信装置の構成を示す断面図である。
【図2】同上の無線通信装置の構成を示す斜視図である。
【図3】(a)(b)同上の無線通信装置の構成を示す断面図である。
【図4】実施形態2の無線通信装置の構成を示す断面図である。
【図5】同上の無線通信装置の構成を示す斜視図である。
【図6】(a)(b)同上の増設ユニットの構成を示す断面図である。
【図7】同上の増設ユニットの他の構成を示す断面図である。
【図8】実施形態3の無線通信装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1〜図3は、本実施形態の無線通信装置の構成を示し、無線通信装置は、無線ユニット1と、計測ユニット2とで構成される。例えば、住戸、店舗、工場等の建屋には、建屋内の電路を導通・遮断する主幹ブレーカ、分岐ブレーカ等が収納された分電盤が設置されており、この無線通信装置も分電盤内に収納される。そして、計測ユニット2は、分岐電路毎の電力使用量を計測し、無線ユニット1は、図示しない親端末との間で無線通信を行うことによって、電気使用量の計測データを親端末へ送信したり、データ計測のための制御信号を親端末から受信する。なお、以下の説明では、図1において上下左右前後方向を規定している。
【0023】
無線ユニット1は、筐体11を外郭として備え、無線回路基板12、アンテナ13を筐体11内に収納している。
【0024】
筐体11は、略直方体の箱状に形成され、その前面には略矩形の凸部11aが左右方向に沿って形成されており、スイッチ等の操作部、LED等の表示部、パーソナルコンピュータ等との接続部が、凸部11aの前面に設けられている。この筐体11は、上下方向の寸法(高さ寸法)および左右方向の寸法(幅寸法)が規格化されており、幅寸法は、規格化された単位寸法の整数倍で形成されている。
【0025】
無線回路基板12は、アンテナ13を介して親端末との間で無線通信を行う無線回路を構成しており、筐体11の左側面に配置されて、無線回路基板12の裏面が筐体11の左側面に対向している。この無線回路基板12の裏面には、無線回路基板12のグランド電位となるグランドパターン12aが、例えば、銅箔等によるべたパターンで面状に形成されている。さらに、無線回路基板12の裏面には、後述の計測ユニット2のコネクタ23aと接続するコネクタ12bが実装されており、コネクタ12bの接続口は、筐体11の左側面に設けた開口を挿通して外部に露出している。
【0026】
この無線回路基板12は、無線通信機能のみを有しているので、小型に形成されており、無線回路基板12の長さ(方向問わず)は、通信に用いる波長λの1/4未満の寸法に抑えられている。したがって、無線回路基板12に形成されたグランドパターン12aの長さも、通信に用いる波長λの1/4未満の寸法に抑えられている。例えば、通信に用いる周波数が800MHzの場合、波長λ/4は約8cmとなる。
【0027】
アンテナ13は、モノポールアンテナや逆Fアンテナ等の不平衡アンテナで構成されており、筐体11の凸部11a内に配置され、無線回路基板12から給電されて、グランドパターン12aをグランドプレーンとして用いる。そして、無線ユニット1の筐体11が小型に形成されているため、このアンテナ13は、通信に用いる波長λの1/4程度の長さしか確保できない。したがって、アンテナ13と無線回路基板12のグランドパターン12aとの各電気的長さの和は、通信に用いる波長λの1/2未満になる。
【0028】
次に、計測ユニット2は、筐体21を外郭として備え、計測回路基板22、インターフェース基板23、導体板24(第2の導体板)を筐体21内に収納している。なお、計測ユニット2は、本発明の信号ユニットに相当し、計測回路基板22は、本発明の信号基板に相当する。
【0029】
筐体21は、略直方体の箱状に形成され、その前面には略矩形の凸部21aが左右方向に沿って形成されており、スイッチ等の操作部、LED等の表示部、パーソナルコンピュータ等との接続部が、凸部11aの前面に設けられている。この筐体21は、筐体11と同様に高さ寸法および幅寸法が規格化されており、幅寸法は、規格化された単位寸法の整数倍で形成されるとともに、無線ユニット1の筐体11の幅寸法より長く形成される。
【0030】
計測回路基板22は、分岐電路毎の電力使用量の検知量を電気信号で出力する分電盤内の電力センサ(図示無し)に接続して、電力使用量の計測データを生成する計測回路を構成している。この計測回路基板22は、インターフェース基板23を介して、生成した計測データ(送信データ)を無線ユニット1へ出力し、また無線ユニット1が受信した制御信号(受信データ)を取得する各機能を有する。計測回路基板22は、筐体21の後面(底面)に、その板面が対向するように配置されており、計測回路基板22のグランド電位となるグランドパターン22aが形成されている。
【0031】
この計測回路基板22は、無線回路基板12より大きいサイズに形成されており、計測回路基板22の長さ(方向問わず)は、通信に用いる波長λの1/4以上の寸法に形成されている。そして、計測回路基板22に形成されたグランドパターン22aの長さも、通信に用いる波長λの1/4以上の寸法に形成されている。
【0032】
インターフェース基板23は、凸部21a内に配置され、その右端には、無線ユニット1のコネクタ12bと接続するコネクタ23aが実装されており、コネクタ23aの接続口は、筐体21の右側面に設けた開口を挿通して外部に露出している。このインターフェース基板23は、筐体21内で計測回路基板22に接続しており、コネクタ12b,23aを介して計測回路基板22と無線回路基板12との間で授受される送信データおよび受信データのインターフェース機能を有する。
【0033】
導体板24は、銅、アルミ等の導体で板状に構成され、計測回路基板22のグランドパターン22aに接続されており、その板面が筐体21の右側面に対向している。
【0034】
計測ユニット2の右側には無線ユニット1が配置され、無線ユニット1の筐体11の左側面と計測ユニット2の筐体21の右側面とが互いに対向している。そして、無線ユニット1のコネクタ12bと計測ユニット2のコネクタ23aとが互いに接続することによって、計測ユニット2の計測データが無線ユニット1へ出力され、無線ユニット1は、この計測データを無線信号に変換して親端末へ送信する。また、無線ユニット1が親端末から無線信号として受信した制御信号は、計測ユニット2が受信データとして取得する。
【0035】
そして、本実施形態のアンテナ13は、無線回路基板12のグランドパターン12aだけでなく、計測回路基板22のグランドパターン22aも、グランドプレーンとして用いており、以下、アンテナ13のグランドプレーンについて説明する。
【0036】
まず、無線ユニット1に収納されている無線回路基板12のグランドパターン12aと、計測ユニット2に収納されている導体板24とは、各面が左右方向に対向しており、互いに容量結合している。つまり、グランドパターン12aと導体板24とは、高周波領域で電気的に接続している。また、グランドパターン12aと導体板24との容量結合は、電磁結合とみなすこともできる。すなわち、グランドパターン12aと導体板24とは、グランドパターン12aと導体板24との間にギャップが存在する場合でも、高周波領域において互いに電気的に接続可能に構成されている。なお、グランドパターン12aは、本発明の第1の結合部に相当し、導体板24は、本発明の第2の結合部に相当する。
【0037】
例えば、グランドパターン12aと導体板24との対向面積S、グランドパターン12aと導体板24とのギャップD、空気の誘電率εとした場合、グランドパターン12aと導体板24との間の静電容量Cは、C=εS/Dとなる。したがって、上記対向面積S、ギャップDを適宜設定することにより、静電容量Cを調整して、高周波領域におけるグランドパターン12aと導体板24との間のインピーダンスを所望の値に設定できる。
【0038】
そして、導体板24は、計測回路基板22のグランドパターン22aに接続しているので、無線回路基板12のグランドパターン12aは、計測回路基板22のグランドパターン22aに、導体板24を介して高周波領域で電気的に接続している。すなわち、アンテナ13は、無線回路基板12のグランドパターン12aだけでなく、計測回路基板22のグランドパターン22aも、グランドプレーンとして用いることになる。
【0039】
計測回路基板22は無線回路基板12より大型に構成されており、グランドパターン22aの長さは、通信に用いる波長λの1/4以上の寸法に形成されている。したがって、アンテナ13とグランドパターン12aとグランドパターン22aとの各電気的長さの和は、通信に用いる波長λの1/2以上となり、アンテナ13のアンテナ性能が向上する。さらに、アンテナ13のグランドプレーンの面積(投影面積)は、グランドパターン12aとグランドパターン22aとの両面積の和になるので、投影面積が増えることによっても、アンテナ13のアンテナ性能が向上する。したがって、アンテナ13を収納した無線ユニット1の小型化を図りながら、アンテナ性能の向上を図ることができるのである。
【0040】
例えば、アンテナ13が、グランドパターン12aのみをグランドプレーンとして用いた場合、自由空間効率は−12〜−7(dB)である。しかし、グランドパターン12aとグランドパターン22aとの両方をグランドプレーンとして用いた場合、自由空間効率は−4(dB)程度にまで改善される。
【0041】
(実施形態2)
図4,図5は、本実施形態の無線通信装置の構成を示し、無線通信装置は、無線ユニット1と、計測ユニット2と、増設ユニット3とで構成されており、無線ユニット1と計測ユニット2との間に増設ユニット3を設けたものである。なお、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0042】
増設ユニット3は、図4〜図6に示すように、筐体31を外郭として備え、増設回路基板32、インターフェース基板33、導体板34,35を筐体31内に収納している。
【0043】
筐体31は、略直方体の箱状に形成され、その前面には略矩形の凸部31aが左右方向に沿って形成されており、スイッチ等の操作部、LED等の表示部、パーソナルコンピュータ等との接続部が、凸部31aの前面に設けられている。この筐体31は、筐体11と同様に高さ寸法および幅寸法が規格化されており、幅寸法は、規格化された単位寸法の整数倍で形成される。なお、本実施形態における筐体31の幅寸法は、無線ユニット1の筐体11の幅寸法と同一に設定しているが、この寸法に限定されるものではない。
【0044】
増設回路基板32は、計測ポイントを増やす増設用の計測回路を構成しており、分岐電路毎の電力使用量の検知量を電気信号で出力する分電盤内の電力センサ(図示無し)に接続して、電力使用量の計測データを生成する増設用計測回路を構成している。そして、増設回路基板32は、インターフェース基板33を介して、生成した計測データ(送信データ)を無線ユニット1へ出力し、また無線ユニット1が受信した制御信号(受信データ)を取得する各機能を有する。増設回路基板32は、筐体31の後面(底面)に、その板面が対向するように配置されており、増設回路基板32のグランド電位となるグランドパターン32aが形成されている。
【0045】
インターフェース基板33は、凸部31a内に配置され、その右端には、無線ユニット1のコネクタ12bと接続するコネクタ33aが実装されており、コネクタ33aの接続口は、筐体31の右側面に設けた開口を挿通して外部に露出している。さらに、インターフェース基板33の左端には、計測ユニット2のコネクタ23aと接続するコネクタ33bが実装されており、コネクタ33bの接続口は、筐体31の左側面に設けた開口を挿通して外部に露出している。このインターフェース基板33は、筐体31内で増設回路基板32に接続しており、増設ユニット3と無線ユニット1および計測ユニット2との間で授受される送信データおよび受信データのインターフェース機能を有する。
【0046】
導体板34,35は、銅、アルミ等の導体で板状に構成され、増設回路基板32のグランドパターン32aに接続されており、導体板34の板面が筐体31の右側面に対向し、導体板35の板面が筐体31の左側面に対向している。
【0047】
増設ユニット3の右側には無線ユニット1が配置され、無線ユニット1の筐体11の左側面と増設ユニット3の筐体31の右側面とが互いに対向している。そして、無線ユニット1のコネクタ12bと増設ユニット3のコネクタ33aとが互いに接続することによって、増設ユニット3の計測データが無線ユニット1へ出力され、無線ユニット1は、この計測データを無線信号に変換して親端末へ送信する。また、無線ユニット1が親端末から無線信号として受信した制御信号は、増設ユニット3が受信データとして取得する。
【0048】
さらに、増設ユニット3の左側には計測ユニット2が配置され、計測ユニット2の筐体11の右側面と増設ユニット3の筐体31の左側面とが互いに対向している。そして、計測ユニット2のコネクタ23aと増設ユニット3のコネクタ33bとが互いに接続することによって、計測ユニット2の計測データが増設ユニット3を介して無線ユニット1へ出力される。また、無線ユニット1が親端末から無線信号として受信した制御信号は、増設ユニット3を介して計測ユニット2へ出力される。
【0049】
なお、計測ユニット2および増設ユニット3は、本発明の信号ユニットに相当し、計測回路基板22および増設回路基板32は、本発明の信号基板に相当する。さらに、導体板34は、本発明の第2の結合部に相当し、導体板35は、本発明の第3の結合部に相当する。
【0050】
そして、本実施形態のアンテナ13は、無線回路基板12のグランドパターン12aだけでなく、計測回路基板22のグランドパターン22a、増設ユニット3のグランドパターン32aも、グランドプレーンとして用いている。以下、アンテナ13のグランドプレーンについて説明する。
【0051】
まず、無線ユニット1に収納されている無線回路基板12のグランドパターン12aと、増設ユニット3に収納されている導体板34とは、各面が左右方向に対向しており、互いに容量結合している。つまり、グランドパターン12aと導体板34とは、高周波領域で電気的に接続している。そして、導体板34は、増設回路基板32のグランドパターン32aに接続しているので、無線回路基板12のグランドパターン12aは、増設回路基板32のグランドパターン32aに、導体板34を介して高周波領域で電気的に接続している。
【0052】
さらに、増設ユニット3内でグランドパターン32aに接続している導体板35と、計測ユニット2に収納されている導体板24とは、各面が左右方向に対向しており、互いに容量結合している。つまり、導体板35は、計測回路基板22のグランドパターン22aに接続している導体板24と高周波領域で電気的に接続している。
【0053】
而して、無線回路基板12のグランドパターン12aは、計測回路基板22のグランドパターン22aに、導体板34、グランドパターン32a、導体板35、導体板24を介して高周波領域で電気的に接続している。すなわち、アンテナ13は、無線回路基板12のグランドパターン12aだけでなく、計測回路基板22のグランドパターン22a、増設ユニット3のグランドパターン32aも、グランドプレーンとして用いることになる。
【0054】
したがって、通信に用いる波長λの1/4以上の寸法に形成されているグランドパターン22aをグランドプレーンとして用いることができる。而して、アンテナ13とグランドパターン12aとグランドパターン22aとグランドパターン32aとの各電気的長さの和は、通信に用いる波長λの1/2以上となり、アンテナ13のアンテナ性能が向上する。さらに、アンテナ13のグランドプレーンの面積(投影面積)は、グランドパターン12a,22a,32aの各面積の和になるので、投影面積が増えることによっても、アンテナ13のアンテナ性能が向上する。したがって、アンテナ13を収納した無線ユニット1の小型化を図りながら、アンテナ性能の向上を図ることができるのである。
【0055】
このように、増設ユニット3は、導電板34,35を、左右両側面に各々設けており、無線ユニット1と計測ユニット2との間に増設ユニット3を接続した場合でも、グランドパターン12aをグランドパターン22aに電気的に接続させることができる。
【0056】
また、増設ユニット3のグランドパターン32aの長さも、通信に用いる波長λの1/4以上の寸法に形成すれば、アンテナ性能がさらに向上する。
【0057】
また、図7に示すように導電板34,35の各端部を、銅、アルミ等の導体からなる接続板36で一体に連結してコの字状に形成してもよい。
【0058】
また、増設ユニット3が有する機能は、計測ポイントを増やす増設機能に限定されず、例えば、計測ユニット2から出力された計測データを記憶するデータ記憶機能を有するものでもよい。
【0059】
また、計測ユニット2も、増設ユニット3と同様に、グランドパターン22aに接続している導電板を左右両側面に設けることによって、左右の両方向に他のユニットを接続することが可能になる。
【0060】
(実施形態3)
図8は、本実施形態の無線通信装置の構成を示し、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0061】
無線ユニット1において、無線回路基板12は、筐体11の後面(底面)に、その板面が対向するように配置されている。さらに、銅、アルミ等の導体で板状に構成された導体板14が、無線回路基板12のグランドパターン12aに接続されており、その板面が筐体11の左側面に対向している。そして、導体板14は、増設ユニット3の導体板34に対向しており、導体板14と導体板34とは互いに容量結合している。すなわち、導体板14が、本発明の第1の結合部に相当する。
【0062】
また、増設ユニット3は、銅、アルミ等の導体で板状に構成された導電部材37を、増設回路基板32の後方に配置しており、導電部材37は、導体板34,35、増設回路基板32のグランドパターン32aに接続されている。
【0063】
さらに、計測ユニット2は、銅、アルミ等の導体で板状に構成された導電部材25を、計測回路基板22の後方に配置しており、導電部材25は、導体板24、計測回路基板22のグランドパターン22aに接続されている。
【0064】
したがって、計測ユニット2および増設ユニット3の各グランド電位をより安定させることができ、さらにアンテナ13のグランドプレーンの面積(投影面積)も増えるので、アンテナ13のアンテナ性能がさらに向上する。
【0065】
なお、上記各実施形態において、無線ユニット1は、無線信号の送信と受信との少なくとも一方の機能を備えていればよく、計測ユニット2は、送信データの送信機能と受信データの受信機能との、少なくともいずれか一方の機能を備えていればよい。すなわち、無線通信装置は、無線送信機能と無線受信機能との少なくともいずれか一方の機能を備えていればよい。
【0066】
また、上記各実施形態において、計測ユニット2が測定するデータとしては、電力の使用量以外に、ガス、水道等の使用量や、温度、湿度等の物理量等が挙げられる。
【符号の説明】
【0067】
1 無線ユニット
12 無線回路基板
12a グランドパターン(第1の結合部)
13 アンテナ
2 計測ユニット(信号ユニット)
22 計測回路基板(信号基板)
22a グランドパターン
24 導体板(第2の結合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと無線回路基板とを具備して無線信号の送信と受信との少なくとも一方を行う無線ユニットと、
前記無線ユニットとの間でデータの入力と出力との少なくとも一方を行う信号基板を具備する信号ユニットとを備え、
前記無線ユニットは、前記無線回路基板のグランド電位に接続した第1の結合部を有し、前記信号ユニットは、前記信号基板のグランド電位に接続した第2の結合部を有し、前記第1の結合部と前記第2の結合部とは容量結合する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記第1の結合部は、前記無線回路基板の一面に形成したグランドパターンで構成され、前記第2の結合部は、前記無線回路基板の一面の少なくとも一部と対向することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1の結合部は、前記無線回路基板と別体に形成した第1の導体板で構成され、前記第2の結合部は、前記第1の導体板の一面の少なくとも一部と対向することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2の結合部は、前記信号基板と別体に形成した第2の導体板で構成され、この第2の導体板の一面が前記第1の結合部の少なくとも一部と対向することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第2の結合部は、前記信号基板に形成したグランドパターンに接続することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第2の結合部は、前記信号基板と別体に形成されて前記信号基板のグランドパターンに接続した導電部材に接続することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記信号ユニットは、前記信号基板のグランド電位に接続した第3の結合部を有し、一の前記信号ユニットの前記第3の結合部は、他の前記信号ユニットの前記第2の結合部に容量結合することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記第3の結合部は、前記信号基板に形成したグランドパターンに接続することを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記第3の結合部は、前記信号基板と別体に形成されて前記信号基板のグランドパターンに接続した導電部材に接続することを特徴とする請求項7または8記載の無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227616(P2012−227616A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91407(P2011−91407)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】