説明

無線通信装置

【課題】 多機能機と通話デバイスに異なる無線設定情報が設定されることを抑制すること。
【解決手段】 多機能機10は、多機能機10に現在設定されている無線設定情報WS1を、無線設定情報WS2に変更するための指示が入力される場合に、WS1に従った無線接続を利用して、WS2を通話デバイス70に送信する。通話デバイス70は、通話デバイス70に現在設定されているWS1をWS2に変更する際に(S96)、接続完了通知122を多機能機10に送信する。多機能機10は、接続完了通知122が受信される場合に、WS2を新たに設定し、接続完了通知122が受信されない場合に、WS1を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、他の無線通信装置と無線通信する無線通信装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、親機と子機との間で無線通信する無線電話機が開示されている。親機と子機とは、アクセスポイントを介さずに、直接的に無線通信する。即ち、特許文献1には、アドホックの無線通信技術が開示されている。なお、一対の無線通信装置が、アクセスポイントを介して、間接的に無線通信する技術も知られている。即ち、インフラストラクチャの無線通信技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−69870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アドホックの無線通信技術でも、インフラストラクチャの無線通信技術でも、一対の無線通信装置が適切に無線通信するためには、一対の無線通信装置のそれぞれに同じ無線設定情報(例えば、認証方式、暗号化方式等)を設定する必要がある。即ち、一対の無線通信装置に異なる無線設定情報が設定された状態では、一対の無線通信装置が適切に無線通信することができない。本明細書では、一対の無線通信装置が適切に無線通信することができない事象が発生するのを抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、第2の無線通信装置と無線接続される第1の無線通信装置を開示する。第1の無線通信装置は、通信部と、第1の送信部と、設定部と、を備える。通信部は、特定のデータを通信するための無線設定情報に従った無線接続を利用して、第2の無線通信装置と上記の特定のデータを通信する。第1の送信部は、上記の特定のデータを通信するための無線設定情報として、第1の無線通信装置に現在設定されている第1の無線設定情報を、第2の無線設定情報に変更するための指示が入力される場合に、第1の無線設定情報に従った第1の無線接続を利用して、第2の無線設定情報を第2の無線通信装置に送信する。設定部は、第2の無線通信装置が、第2の無線通信装置に現在設定されている第1の無線設定情報を第2の無線設定情報に変更する際に、第1の無線通信装置に送信する所定の信号が受信される場合に、上記の特定のデータを通信するための無線設定情報として、第2の無線設定情報を新たに設定する。設定部は、上記の所定の信号が受信されない場合に、上記の特定のデータを通信するための無線設定情報として、第1の無線設定情報を維持する。
【0006】
仮に、第1の無線通信装置が、第2の無線設定情報を第2の無線通信装置に送信した後に、上記の所定の信号の受信の有無に関わらず、第1の無線設定情報から第2の無線設定情報に設定変更を行なう構成(以下では「特定の構成」と呼ぶ)を採用すると、以下の問題が発生し得る。第1の無線通信装置が上記の所定の信号を受信しない状況では、第2の無線通信装置が、第1無線設定情報から第2の無線設定情報に適切に設定変更を行なうことが保証されない。従って、上記の特定の構成では、第1の無線通信装置が、第2の無線設定情報に設定変更を行なうが、第2の無線通信装置が、設定変更を行なわずに第1の無線設定情報を維持する事象が発生し得る。この場合、第1及び第2の無線通信装置に異なる無線設定情報が設定されるために、第1及び第2の無線通信装置は、上記の特定のデータを無線通信することができない。これに対し、本明細書によって開示される第1の無線通信装置は、上記の所定の信号が受信される場合、即ち、第2の無線通信装置が第2の無線設定情報に設定変更を行なうことが確認される場合に、第2の無線設定情報に設定変更を行なう。一方において、第1の無線通信装置は、上記の所定の信号が受信されない場合、即ち、第2の無線通信装置が第2の無線設定情報に設定変更を行なうことが確認されない場合に、第1の無線設定情報を維持する。これにより、第1及び第2の無線通信装置に異なる無線設定情報が設定されることを抑制することができる。従って、上記の特定の構成と比べると、第1及び第2の無線通信装置が上記の特定のデータを無線通信することができない事象が発生するのを抑制することができる。
【0007】
第1の無線通信装置は、第2の無線設定情報が、アクセスポイントを介する無線通信のための無線設定情報である場合に、第1の無線接続に代えて、アクセスポイントとの間で第2の無線設定情報に従った第2の無線接続を構築することを試行する試行部をさらに備えていてもよい。設定部は、アクセスポイントから上記の試行が成功したことを示す成功情報が受信される場合であり、かつ、上記の所定の信号が受信される場合に、上記の特定のデータを通信するための無線設定情報として、第2の無線設定情報を新たに設定してもよい。仮に、第1及び第2の無線通信装置に同じ第2の無線設定情報が設定されても、第1の無線通信装置とアクセスポイントとの間で第2の無線接続が適切に構築されない場合には、第1及び第2の無線通信装置は、アクセスポイントを介して、上記の特定のデータを無線通信することができない。このような事象が発生するのを抑制するために、上記の技術では、第1の無線通信装置は、アクセスポイントから成功情報が受信される場合、即ち、第1の無線通信装置とアクセスポイントとの間で第2の無線接続が構築されることが確認される場合に、第2の無線設定情報に設定変更を行なう。この構成によると、第1及び第2の無線通信装置が上記の特定のデータを無線通信することができない事象が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0008】
第1の送信部は、上記の指示が入力されても、アクセスポイントから成功情報が受信されない場合に、第2の無線設定情報を第2の無線通信装置に送信しなくてもよい。この構成によると、第1の無線通信装置は、アクセスポイントから成功情報が受信されない場合に、第2の無線設定情報を第2の無線通信装置に送信しないために、第2の無線通信装置は、第2の無線設定情報に設定変更を行なわず、第1の無線設定情報を維持する。この結果、第2の無線通信装置は、上記の所定の信号を第1の無線通信装置に送信しないために、第1の無線通信装置も、第2の無線設定情報に設定変更を行なわず、第1の無線設定情報を維持する。第1及び第2の無線通信装置は、第1の無線設定情報に従った第1の無線接続を利用して、上記の特定のデータを無線通信することができる。
【0009】
第1の送信部は、アクセスポイントから成功情報が受信される場合に、上記の試行によって構築された第2の無線接続に代えて、第1の無線接続を再構築し、再構築された第1の無線接続を利用して、第2の無線設定情報を第2の無線通信装置に送信してもよい。
【0010】
設定部は、再構築された第1の無線接続を利用して、第2の無線通信装置から上記の所定の信号を受信してもよい。
【0011】
上記の所定の信号は、第2の無線通信装置が、アクセスポイントとの間で第2の無線設定情報に従った無線接続を構築することを試行する場合に、第2の無線通信装置が、アクセスポイントから成功情報を受信する際に、第1の無線通信装置に送信する信号であってもよい。この構成によると、第1の無線通信装置は、第2の無線通信装置とアクセスポイントとの間で無線接続が構築されることが確認される場合に、設定変更を行なうことができる。
【0012】
上記の所定の信号は、第2の無線通信装置が、第2の無線設定情報を受信する際に、第1の無線通信装置に送信する信号であってもよい。
【0013】
設定部は、上記の試行によって構築された第2の無線接続を利用して、アクセスポイントを介して、第2の無線通信装置から上記の所定の信号を受信してもよい。この構成で第1の無線通信装置が上記の所定の信号を受信するということは、第1及び第2の無線通信装置が、第2の無線設定情報に従って、無線通信可能であることを意味する。即ち、この構成によると、第1及び第2の無線通信装置が、第2の無線設定情報に従って、無線通信可能であることが確認される場合に、第1の無線通信装置は、設定変更を行なうことができる。
【0014】
第1の無線通信装置は、アクセスポイントから成功情報が受信される場合に、上記の試行によって構築された第2の無線接続を利用して、アクセスポイントを介して、特定の信号を第2の無線通信装置に送信する第2の送信部をさらに備えていてもよい。上記の所定の信号は、第2の無線通信装置が、上記の特定の信号を受信する際に、アクセスポイントを介して、第1の無線通信装置に送信する信号であってもよい。
【0015】
上記の所定の信号は、第2の無線通信装置が、アクセスポイントとの間で第2の無線設定情報に従った無線接続を構築することを試行する場合に、第2の無線通信装置が、アクセスポイントから成功情報を受信する際に、アクセスポイントを介して、第1の無線通信装置に送信する信号であってもよい。
【0016】
第2の無線通信装置は、第1の無線通信装置の付属機であってもよい。また、第1の無線設定情報は、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とが、アクセスポイントを介することなく、直接的に無線通信するための無線設定情報であってもよい。
【0017】
第1の無線通信装置は、通信部が、上記の特定のデータを通信するための無線設定情報に従った無線接続を利用して、第2の無線通信装置から上記の特定のデータを受信する場合に、上記の特定のデータを用いて、印刷実行部に印刷させる印刷制御部をさらに備えていてもよい。
【0018】
なお、上記の第1の無線通信装置の単体も新規で有用である。上記の第2の無線通信装置の単体も新規で有用である。また、上記の第1の無線通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。上記の第2の無線通信装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ読取可能記憶媒体も新規で有用である。また、上記の第1の無線通信装置と上記の第2の無線通信装置とを備える無線通信システムも新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例の無線通信システムの構成を示す。
【図2】第1実施例の各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図3】図2の続きのシーケンス図を示す。
【図4】図3の続きのシーケンス図を示す。
【図5】第2実施例の各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図6】第3実施例の各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【図7】第3実施例の各デバイスが実行する処理のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施例)
(システムの構成)
図面を参照して第1実施例を説明する。図1に示されるように、無線通信システム2は、複数個のPC4,5と、AP(アクセスポイント)6と、多機能機10と、通話デバイス70と、を備える。PC4とPC5とは、AP6を介して、相互に無線通信可能である。多機能機10及び通話デバイス70は、AP6を介して、又は、AP6を介さずに、相互に無線通信可能である。即ち、多機能機10及び通話デバイス70は、インフラストラクチャの無線通信、又は、アドホックの無線通信、を実行可能である。なお、本実施例では、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(802.11a,11b等)に基づいて、無線通信が実行される。従って、後述の無線設定情報WS1,WS2は、上記の規格に適合する無線設定情報である。
【0021】
(多機能機10の構成)
多機能機10の構成について詳しく説明する。多機能機10は、印刷機能、スキャナ機能、コピー機能等の多機能を実行可能である。多機能機10は、操作部12と、表示部14と、印刷実行部16と、スキャン実行部18と、無線インターフェイス20と、有線インターフェイス22と、記憶部30と、制御部50と、を備える。操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。印刷実行部16は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構である。スキャン実行部18は、CCD、CIS等のスキャン機構である。無線インターフェイス20は、無線通信を実行するためのインターフェイスである。有線インターフェイス22は、有線通信を実行するためのインターフェイスである。
【0022】
記憶部30は、ROM32と、NVRAM(不揮発性メモリ)36と、VRAM(揮発性メモリ)40と、を備える。ROM32は、制御部50が様々な処理を実行するためのプログラム34を格納する。NVRAM36は、本設定用領域38を備える。本設定用領域38は、多機能機10が通話デバイス70とFAXデータを無線通信するための無線設定情報を格納する。無線設定情報は、認証方式、暗号化方式、パスワード等を含む。本設定用領域38に特定の無線設定情報が格納されている状態が、多機能機10がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、上記の特定の無線設定情報が多機能機10に設定されている状態である。VRAM40は、仮設定用領域42を備える。仮設定用領域42は、本設定用領域38に格納されている無線設定情報を、別の無線設定情報に設定変更するための処理が実行される過程において、当該別の無線設定情報を一時的に格納する。
【0023】
制御部50は、ROM32に格納されているプログラム34に従って、様々な処理を実行する。制御部50がプログラム34に従って処理を実行することによって、通信部52、第1の送信部54、設定部56、試行部58、第2の送信部60、及び、印刷制御部62の各機能が実現される。通信部52は、通話デバイス70との間でFAXデータの送受信を実行する。第1の送信部54は、ユーザの設定変更操作によって入力された各種情報(認証方式、暗号化方式、パスワード等)に基づいた無線設定情報を通話デバイス70に送信する。設定部56は、多機能機10に現在設定されている無線設定情報を新たな無線設定情報に変更し、又は、多機能機10に現在設定されている無線設定情報を維持する。試行部58は、ユーザの設定変更操作に基づく無線設定情報を用いて、無線通信を試行する。第2の送信部60は、後述の接続完了通知(図6の接続完了通知310、図7の接続完了通知320)を、AP6を介して、通話デバイス70に送信する。印刷制御部62は、印刷実行部16の動作を制御する。
【0024】
(通話デバイス70の構成)
通話デバイス70は、多機能機10の付属機である。即ち、通話デバイス70は、それ単体で出荷されることはなく、多機能機10と共に出荷される。通話デバイス70は、マイク72と、スピーカ74と、PSTNインターフェイス76と、無線インターフェイス78と、制御部80と、記憶部90と、を備える。PSTNインターフェイス76は、一般公衆回線網であるPSTN(Public Switched Telephone Network)8に接続されている。無線インターフェイス78は、無線通信を実行するためのインターフェイスである。制御部80は、記憶部90に格納されている図示省略のプログラムに従って、様々な処理を実行する。記憶部90は、NVRAM(不揮発性メモリ)91と、VRAM(揮発性メモリ)93と、を備える。NVRAM91は、本設定用領域92を備える。本設定用領域92は、通話デバイス70が多機能機10とFAXデータを無線通信するための無線設定情報を格納する。本設定用領域92に特定の無線設定情報が格納されている状態が、通話デバイス70がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、上記の特定の無線設定情報が通話デバイス70に設定されている状態である。VRAM93は、仮設定用領域94を備える。仮設定用領域94は、本設定用領域92に格納されている無線設定情報を、別の無線設定情報に設定変更するための処理が実行される過程において、当該別の無線設定情報を一時的に格納する。
【0025】
通話デバイス70が処理を実行することによって、電話機能が実現される。例えば、多機能機10及び通話デバイス70のユーザは、通話デバイス70を用いて、PSTN8に接続されている別の電話機に電話をかけることができる。この場合、通話デバイス70は、マイク72に入力された音声に対応する音声データを、PSTNインターフェイス76を介して、上記の別の電話機に送信する。また、通話デバイス70は、上記の別の電話機から送信される音声データが、PSTNインターフェイス76によって受信される場合に、当該音声データに対応する音声をスピーカ74から出力させる。
【0026】
また、多機能機10及び通話デバイス70が協働して処理を実行することによって、FAX機能が実現される。例えば、通話デバイス70は、PSTNインターフェイス76によって画像データ(即ちFAXデータ)が受信される場合に、当該画像データを無線で多機能機10に送信する。多機能機10は、通話デバイス70から無線で送信される画像データが、無線インターフェイス20によって受信される場合に、当該画像データに従った印刷を印刷実行部16に実行させる。これにより、FAXの受信動作が実行される。また、多機能機10は、スキャン実行部18がスキャンを実行することによって生成される画像データ(即ちFAXデータ)を、通話デバイス70に無線で送信する。通話デバイス70は、多機能機10から無線で送信される画像データが、無線インターフェイス78によって受信される場合に、ユーザによって予め指定されたPSTN8内の宛先に当該画像データを送信する。これにより、FAXの送信動作が実行される。
【0027】
(各デバイス10,70が実行する処理)
続いて、図2から図4を参照して、各デバイス10,70が実行する処理の内容について説明する。なお、本実施例では、多機能機10と通話デバイス70とがアドホックの無線通信を実行可能である場合に、ユーザが、多機能機10において、インフラストラクチャの無線設定に変更するための設定変更操作を実行する例について説明する。即ち、ユーザが、多機能機10と通話デバイス70との間の無線通信のみならず、多機能機10とPC4,5との間の無線通信も実行可能な状態に変更するための設定変更操作を実行する例について説明する。
【0028】
多機能機10及び通話デバイス70の出荷段階(「初期状態」と言うこともできる)では、多機能機10の本設定用領域38と通話デバイス70の本設定用領域92とのそれぞれに、同じ無線設定情報WS1(以下では「WS1」と簡単に記載する)が予め格納されている。即ち、出荷段階では、多機能機10及び通話デバイス70のそれぞれにWS1が設定されている。WS1は、多機能機10及び通話デバイス70が、AP6を介さずに、直接的に無線通信するための無線設定情報である。即ち、WS1は、アドホックの無線設定情報である。従って、図2に示されるように、多機能機10と通話デバイス70との間には、WS1に従った無線接続(アドホックの無線接続)が構築される。WS1に従った無線接続が構築されている状態では、多機能機10及び通話デバイス70は、FAXデータを無線通信可能である。
【0029】
WS1に従った無線接続が構築されている間に、通話デバイス70の制御部80は、PSTNインターフェイス76を介して、FAXデータ100を受信する(S2)。この場合、制御部80は、WS1に従った無線接続を利用して、FAXデータ100を多機能機10に送信する(S4)。これにより、多機能機10の通信部52は、WS1に従った無線接続を利用して、FAXデータ100を受信する(S6)。この場合、多機能機10の印刷制御部62は、FAXデータ100を用いて、印刷実行部16に印刷を実行させる(S8)。これにより、FAXデータ100によって表わされる画像が形成された印刷媒体をユーザに提供することができる。なお、図2には、通話デバイス70から多機能機10にFAXデータ100が送信される例(即ちPSTN8からのFAXの受信動作の例)が示されているが、WS1に従った無線接続が構築されている状態では、多機能機10から通話デバイス70にFAXデータ(即ちスキャン実行部18によって生成されるFAXデータ)を送信することもできる。即ち、PSTN8へのFAXの送信動作を実行することもできる。
【0030】
ユーザは、多機能機10の操作部12に設定変更操作を加えることによって、本設定用領域38に格納されているWS1を、異なる無線設定情報WS2(以下では「WS2」と簡単に記載する)に変更するための指示を、多機能機10に入力する(S10)。上記の設定変更操作は、WS2に含まれる各種情報(認証方式、暗号化方式、パスワード等)を入力するための操作を含む。本実施例では、WS2は、多機能機10及び通話デバイス70が、AP6を介して、間接的に無線通信するための無線設定情報である。即ち、WS2は、インフラストラクチャの無線設定情報である。設定部56は、上記の指示が入力される場合に、WS1が本設定用領域38に維持された状態で、WS2を仮設定用領域42に格納する(S12)。S12では、さらに、設定部56は、本設定用領域38に格納されているWS1に代えて、仮設定用領域42に格納されているWS2を利用して、無線接続を構築すべきことを決定する。これにより、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が切断される(S14)。続いて、試行部58は、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築するために、接続要求102をAP6に無線で送信する(S16)。接続要求102は、WS2に基づいた情報(認証方式、暗号化方式、認証に必要な認証データ等)を含む。
【0031】
AP6は、接続要求102を受信すると、接続要求102に基づいて認証を実行する(S18)。この認証は、例えば、WS2に含まれる認証方式及び暗号化方式をAP6がサポートしているのか否かに関する認証、WS2に含まれるパスワードがAP6に登録されているのか否かに関する認証等を含む。従って、S18の認証が成功するためには、ユーザは、S10の操作を実行する際に、AP6がサポートしている認証方式及び暗号化方式を入力する必要がある。また、S18の認証が成功するためには、ユーザは、S10の操作を実行する前に、特定のパスワードをAP6に予め登録しておき、S10の操作を実行する際に、上記の特定のパスワードと同じパスワードを入力する必要がある。
【0032】
S18の認証が失敗した場合には、AP6は、認証が失敗したことを示すNG通知104を多機能機10に無線で送信する。S18の認証が失敗する例としては、ユーザが、S10の操作を実行する際に、AP6がサポートしている認証方式及び暗号化方式を入力しなかった場合、AP6に予め登録された上記の特定のパスワードと異なるパスワードを入力した場合等を挙げることができる。設定部56は、NG通知104を受信する(S20)。この場合、多機能機10の制御部50は、設定変更を行なうことができないことを示す画面を表示部14に表示させる(S22)。次いで、設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S24)。この場合、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。これにより、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S26)。
【0033】
なお、S16で多機能機10が接続要求102を送信する際に、例えば、AP6の電源がOFFされている場合には、AP6は、接続要求102を受信することができない。また、例えば、AP6と多機能機10との間の距離が大きい場合にも、AP6は、接続要求102を受信することができない。即ち、これらのケースでは、AP6は、S18の認証を実行することができず、認証結果を示す情報(NG通知104又は後述の図3のOK通知110)を多機能機10に送信しない。このような状況でWS1からWS2に設定変更が行なわれても、多機能機10及び通話デバイス70は、AP6を介して、無線通信することができない。従って、図示省略しているが、設定部56は、S16で接続要求102が送信されてから所定時間が経過しても、NG通知104又はOK通知110を受信しない場合に、S22〜S26の処理を実行する。
【0034】
S18の認証が成功した場合には、図3に示されるように、AP6は、認証が成功したことを示すOK通知110を多機能機10に無線で送信する。これにより、設定部56は、OK通知110を受信する(S32)。この場合、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S34)。次いで、設定部56は、WS2に従った無線接続に代えて、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S40)。これにより、多機能機10とAP6との間で構築されたWS2に従った無線接続が切断される(S42)。続いて、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S44)。次いで、第1の送信部54は、再構築されたWS1に従った無線接続を利用して、WS2を通話デバイス70に送信する(S46)。これにより、通話デバイス70の制御部80は、WS2を受信する(S48)。
【0035】
通話デバイス70の制御部80は、WS2を受信すると、WS1が本設定用領域92に維持された状態で、WS2を仮設定用領域94に格納する(S50)。S50では、さらに、制御部80は、本設定用領域92に格納されているWS1に代えて、仮設定用領域94に格納されているWS2を利用して、無線接続を構築すべきことを決定する。これにより、WS1に従った無線接続が切断される(S52)。続いて、通話デバイス70の制御部80は、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築するために、WS2に基づいた情報を含む接続要求112をAP6に無線で送信する(S54)。
【0036】
AP6は、接続要求112を受信すると、接続要求112に基づいて認証を実行する(S56)。この認証は、図2のS18の認証と同様である。従って、S18の認証が成功する場合には、通常、S56の認証が成功する。しかしながら、例えば、AP6と通話デバイス70との間で無線接続が構築されることを禁止するための情報が、AP6に予め登録されている場合(例えば、無線接続の構築を禁止するMACアドレスとして、通話デバイス70のMACアドレスが、AP6に予め登録されている場合)には、S56の認証が失敗する可能性がある。この場合、AP6は、認証が失敗したことを示すNG通知114を通話デバイス70に無線で送信する。これにより、通話デバイス70の制御部80は、NG通知114を受信する(S58)。この場合、制御部80は、仮設定用領域94に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S60)。これにより、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S62)。さらに、制御部80は、再構築されたWS1に従った無線接続を利用して、認証が失敗したことを示すNG通知116を多機能機10に送信する(S64)。これにより、設定部56は、NG通知116を受信する(S66)。この場合、多機能機10の制御部50は、設定変更を行なうことができないことを示す画面を表示部14に表示させる(S68)。さらに、設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去する(S70)。この場合、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。
【0037】
なお、図2のS16で多機能機10が接続要求102を送信する際には、AP6の電源がONされているが、図3のS54で通話デバイス70が接続要求112を送信する際には、AP6の電源がOFFされている場合には、AP6は、接続要求112を受信することができない。また、例えば、AP6と通話デバイス70との間の距離が大きい場合にも、AP6は、接続要求112を受信することができない。図示省略しているが、これらのケースを考慮して、通話デバイス70の制御部80は、S54で接続要求112が送信されてから所定時間が経過しても、NG通知114又は後述のOK通知120(図4参照)を受信しない場合に、S60〜S64の処理を実行する。
【0038】
S56の認証が成功した場合には、図4に示されるように、AP6は、認証が成功したことを示すOK通知120を通話デバイス70に無線で送信する。これにより、通話デバイス70の制御部80は、OK通知120を受信する(S82)。この場合、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S84)。次いで、制御部80は、WS2に従った無線接続に代えて、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S86)。これにより、通話デバイス70とAP6との間で構築されたWS2に従った無線接続が切断される(S88)。さらに、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S90)。続いて、制御部80は、再構築されたWS1に従った無線接続を利用して、AP6との無線接続が構築されたことを示す接続完了通知122を多機能機10に送信する(S92)。さらに、制御部80は、本設定用領域92に格納されているWS1を消去し、本設定用領域92にWS2を新たに格納する(S96)。これにより、通話デバイス70がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、通話デバイス70にWS2が新たに設定される。即ち、S92で送信される接続完了通知122は、通話デバイス70がWS1からWS2に設定変更を行なう際に送信される通知である。
【0039】
多機能機10の設定部56は、通話デバイス70から接続完了通知122を受信する(S94)。この場合、設定部56は、本設定用領域38に格納されているWS1を消去し、本設定用領域38にWS2を新たに格納する(S98)。これにより、多機能機10がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、多機能機10にWS2が新たに設定される。
【0040】
S96及びS98を終えると、WS1に従った無線接続が切断される(S99)。次いで、試行部58は、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築するために、WS2に基づいた情報を含む接続要求124をAP6に無線で送信する(S100)。図2のS18の認証が一度成功しているために、AP6は、通常、OK通知126を多機能機10に無線で送信する。これにより、設定部56は、OK通知126を受信する(S102)。これにより、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S104)。この場合、多機能機10の制御部50は、AP6との間で無線接続が構築されたことを示す画面を表示部14に表示させる(S106)。
【0041】
また、通話デバイス70の制御部80は、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築するために、WS2に基づいた情報を含む接続要求128をAP6に無線で送信する(S108)。図3のS56の認証が一度成功しているために、AP6は、通常、OK通知130を通話デバイス70に無線で送信する。これにより、制御部80は、OK通知130を受信する(S110)。これにより、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S112)。
【0042】
上述したように、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築され(S104)、かつ、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S112)。この状態では、多機能機10及び通話デバイス70は、AP6を介して、FAXデータを無線通信可能である。例えば、通話デバイス70の制御部80は、PSTNインターフェイス76を介して、FAXデータ140を受信する(S114)。この場合、制御部80は、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、FAXデータ140を多機能機10に送信する(S116)。これにより、通信部52は、WS2に従った無線接続を利用して、FAXデータ140を受信する(S118)。この場合、印刷制御部62は、FAXデータ140を用いて、印刷実行部16に印刷を実行させる(S120)。なお、図4には、PSTN8からのFAXの受信動作の例が示されているが、WS2に従った無線接続が構築されている状態では、PSTN8へのFAXの送信動作を実行することもできる。
【0043】
第1実施例の無線通信システム2について詳しく説明した。例えば、多機能機10がWS2を通話デバイス70に送信した後(図3のS46の後)に、図4の接続完了通知122の受信の有無に関わらず、多機能機10が、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域38内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する構成(以下では「比較例の構成」と呼ぶ)が考えられる。上記の比較例の構成では、多機能機10が、WS1からWS2に設定変更を行なうが、通話デバイス70が、設定変更を行なわずにWS1を維持する事象(例えば、図3のNG通知114が受信される場合、又は、図3のNG通知114も図4のOK通知120も受信されない場合)が発生し得る。この場合、多機能機10及び通話デバイス70に異なる無線設定情報が設定されるために、多機能機10及び通話デバイス70は、FAXデータを無線通信することができない。即ち、FAXの受信動作及びFAXの送信動作が実現されない。このような問題が発生するのを抑制するために、本実施例では、通話デバイス70は、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域92内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する際に、接続完了通知122を多機能機10に送信する(図4のS92)。多機能機10は、通話デバイス70から接続完了通知122が受信される場合に、WS1からWS2に設定変更を行なう(図4のS98)。一方において、多機能機10は、接続完了通知122が受信されない場合(図3のNG通知114が受信される場合、又は、NG通知114も接続完了通知122も受信されない場合)に、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持する。これにより、多機能機10及び通話デバイス70に異なる無線設定情報が設定されることを抑制することができる。従って、上記の比較例の構成と比べると、多機能機10及び通話デバイス70がFAXデータを無線通信することができない事象が発生するのを抑制することができる。
【0044】
また、多機能機10がWS1からWS2に設定変更される場合には、通話デバイス70もWS1からWS2に設定変更される(図4のS96,S98)。即ち、ユーザは、通話デバイス70に設定変更操作を加えなくても、通話デバイス70の設定変更を行なうことができる。通話デバイス70の表示部(図示省略)が、多機能機10の表示部14と比べて小さい場合等の理由により、通話デバイス70での操作性が劣る場合であっても、ユーザは、より設定し易いユーザインターフェイス(即ち多機能機10のユーザインターフェイス)を用いて、通話デバイス70の設定変更を行なうことができる。
【0045】
また、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なう前に、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築することを試行する(図2のS16)。多機能機10は、AP6から図3のOK通知110が受信される場合であり、かつ、接続完了通知122が受信される場合に、WS1からWS2に設定変更を行なう。多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されることが確認される場合に、WS1からWS2に設定変更が行なわれるために、多機能機10及び通話デバイス70がFAXデータを無線通信することができない事象が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、多機能機10は、AP6から図3のOK通知110が受信されない場合(図2のNG通知104が受信される場合、又は、図2のNG通知104も図3のOK通知110も受信されない場合)に、WS2を通話デバイス70に送信するための図3のS46の処理を実行しない。従って、通話デバイス70は、WS2を受信しないために、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持する。この場合、多機能機10もWS1を維持するために、多機能機10及び通話デバイス70は、WS1に従った無線接続を利用して、FAXデータを無線通信することができる。
【0047】
また、本実施例では、通話デバイス70は、WS1からWS2に設定変更を行なう前に、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築することを試行する(図3のS54)。通話デバイス70は、AP6から図4のOK通知120が受信される際に、多機能機10に図4の接続完了通知122を送信する。この構成によると、多機能機10は、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されることが確認される場合に、WS1からWS2に設定変更を行なうことができる。
【0048】
上記の説明から明らかなように、多機能機10、通話デバイス70が、それぞれ、「第1の無線通信装置」、「第2の無線通信装置」の一例である。また、WS1、WS2が、それぞれ、「第1の無線設定情報」、「第2の無線設定情報」の一例である。FAXデータ100,140が、「特定のデータ」の一例である。図4の接続完了通知122が、「所定の信号」の一例である。また、図3のOK通知110、図4のOK通知120が、それぞれ、第1の無線通信装置によって受信される「成功情報」、第2の無線通信装置によって受信される「成功情報」の一例である。
【0049】
(第2実施例)
図5を参照して、第2実施例を説明する。ここでは、第1実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例の場合と同様に、多機能機10と通話デバイス70との間には、WS1に従った無線接続が構築される。ユーザは、多機能機10の操作部12に設定変更操作を加えることによって、多機能機10の本設定用領域38に格納されているWS1をWS2に変更するための指示を、多機能機10に入力する(S210)。設定部56は、上記の指示が入力される場合に、WS2を仮設定用領域42に格納し、WS1に代えてWS2を利用して、無線接続を構築すべきことを決定する(S212)。これにより、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が切断される(S214)。
【0050】
続いて、試行部58は、WS2に基づいた情報を含む接続要求200をAP6に無線で送信する(S216)。この場合、AP6は、第1実施例と同様の認証を実行し、認証が成功した場合には、OK通知202を多機能機10に無線で送信する。なお、図示省略しているが、AP6は、認証が失敗した場合には、第1実施例と同様に、NG通知を多機能機10に無線で送信する。多機能機10がNG通知を受信する場合の処理(図2のS22〜S26参照)は、第1実施例と同様である。また、多機能機10がNG通知もOK通知202も受信しない場合の処理(図2のS22〜S26参照)も、第1実施例と同様である。
【0051】
設定部56がOK通知202を受信する場合(S232)に、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S234)。次いで、設定部56は、WS2に従った無線接続に代えて、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S240)。これにより、多機能機10とAP6との間で構築されたWS2に従った無線接続が切断される(S242)。さらに、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S244)。続いて、第1の送信部54は、再構築されたWS1に従った無線接続を利用して、WS2を通話デバイス70に送信する(S246)。なお、第2実施例において、S246までの処理は、第1実施例とほぼ同様である。以下では、第1実施例と相違する点を説明する。
【0052】
例えば、多機能機10から通話デバイス70にWS2が送信される際(S246が実行される際)に、通話デバイス70の電源がOFFされている場合には、通話デバイス70は、WS2を受信することができない。このようなケースを考慮して、設定部56は、S246でWS2が送信されてから所定時間が経過するまでに、通話デバイス70から応答が受信されることを監視する(S250)。上記の所定時間が経過しても応答が受信されない場合には、制御部50は、設定変更を行なうことができないことを示す画面を表示部14に表示させる(S252)。さらに、設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去する(S254)。この場合、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。
【0053】
通話デバイス70の制御部80は、WS2が受信される場合に、WS1に従った無線接続を利用して、WS2が受信されたことを示す受信完了通知212を多機能機10に送信する(S292)。この場合、制御部80は、本設定用領域92に格納されているWS1を消去し、本設定用領域92にWS2を新たに格納する(S296)。これにより、通話デバイス70がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、通話デバイス70にWS2が新たに設定される。即ち、S292で送信される受信完了通知212は、通話デバイス70がWS1からWS2に設定変更を行なう際に送信される通知である。
【0054】
多機能機10の設定部56は、通話デバイス70から受信完了通知212を受信する(S294)。この場合、設定部56は、本設定用領域38に格納されているWS1を消去し、本設定用領域38にWS2を新たに格納する(S298)。これにより、多機能機10がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、多機能機10にWS2が新たに設定される。なお、図示省略しているが、S296の後に、通話デバイス70の制御部80は、第1実施例と同様に、図4のS108,S110の処理を実行する。これにより、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される。また、S298の後に、多機能機10の試行部58は、第1実施例と同様に、図4のS100,S102,S106の処理を実行する。これにより、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される。この結果、多機能機10及び通話デバイス70は、AP6を介して、FAXデータを無線通信可能な状態になる。なお、第2実施例では、通話デバイス70がAP6に対して接続要求を実行すると、認証が成功する場合を例にして説明している。
【0055】
第2実施例の無線通信システム2について詳しく説明した。本実施例では、通話デバイス70は、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域92内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する際に、受信完了通知212を多機能機10に送信する(S292)。多機能機10は、通話デバイス70から受信完了通知212が受信される場合に、WS1からWS2に設定変更を行なう(S298)。一方において、多機能機10は、受信完了通知212が受信されない場合に、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持する(S254)。これにより、多機能機10及び通話デバイス70に異なる無線設定情報が設定されることを抑制することができる。従って、多機能機10がWS2を通話デバイス70に送信した後(図5のS246の後)に、図5の受信完了通知212の受信の有無に関わらず、多機能機10が、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域38内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する構成と比べると、多機能機10及び通話デバイス70がFAXデータを無線通信することができない事象が発生するのを抑制することができる。なお、本実施例では、受信完了通知212が、「所定の信号」の一例である。
【0056】
(第3実施例)
図6及び図7を参照して、第3実施例を説明する。ここでは、第1実施例及び第2実施例と異なる点を中心に説明する。第1実施例の場合と同様に、多機能機10と通話デバイス70との間には、WS1に従った無線接続が構築される。ユーザは、多機能機10の操作部12に設定変更操作を加えることによって、多機能機10の本設定用領域38に格納されているWS1をWS2に変更するための指示を、多機能機10に入力する(S310)。なお、第3実施例において、S310までの処理は、第1実施例及び第2実施例とほぼ同様である。以下では、第1実施例及び第2実施例と相違する点を説明する。ユーザによって設定変更操作が実行されると(S310)、第1の送信部54は、WS1に従った無線接続を利用して、WS2を通話デバイス70に送信する(S312)。なお、図示省略しているが、第2実施例の図5のS250〜S254の処理と同様に、多機能機10は、WS2の送信に対する応答が受信されない場合には、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持する。
【0057】
通話デバイス70の制御部80は、WS2を受信する(S314)。制御部80は、WS2が受信される場合に、WS1に従った無線接続を利用して、WS2が受信されたことを示す受信完了通知302を多機能機10に送信する(S316)。この場合、制御部80は、WS2を仮設定用領域94に格納し、WS1に代えてWS2を利用して、無線接続を構築すべきことを決定する(S322)。多機能機10の設定部56は、受信完了通知302を受信する(S318)。この場合、設定部56は、WS2を仮設定用領域42に格納し、WS1に代えてWS2を利用して、無線接続を構築すべきことを決定する(S320)。これにより、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が切断される(S324)。
【0058】
続いて、試行部58は、WS2に基づいた情報を含む接続要求304をAP6に無線で送信する(S326)。この場合、AP6は、第1実施例と同様の認証を実行し、認証が成功した場合には、OK通知を多機能機10に無線で送信する。また、通話デバイス70の制御部80も、WS2に基づいた情報を含む接続要求306をAP6に無線で送信する(S328)。この場合、AP6は、第1実施例と同様の認証を実行し、認証が成功した場合には、OK通知を通話デバイス70に無線で送信する。なお、図6のパターン1は、多機能機10と通話デバイス70の両方がOK通知を受信する場合に実行される各処理を示す。また、図7のパターン2は、多機能機10のみがOK通知を受信する場合に実行される各処理を示し、パターン3は、通話デバイス70のみがOK通知を受信する場合に実行される各処理を示す。
【0059】
(パターン1)
図6のパターン1に示されるように、多機能機10と通話デバイス70の両方がOK通知を受信する場合には、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築され(S340)、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築される(S342)。多機能機10の第2の送信部60は、AP6からOK通知が受信される場合に、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、接続完了通知310を通話デバイス70に送信する(S344)。これにより、通話デバイス70の制御部80は、接続完了通知310を受信する(S346)。この場合、制御部80は、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、接続完了通知310が受信されたことを示す受信完了通知312を多機能機10に送信する(S348)。さらに、制御部80は、本設定用領域92に格納されているWS1を消去し、本設定用領域92にWS2を新たに格納する(S354)。これにより、通話デバイス70がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、通話デバイス70にWS2が新たに設定される。即ち、S348で送信される受信完了通知312は、通話デバイス70がWS1からWS2に設定変更を行なう際に送信される通知である。
【0060】
多機能機10の設定部56は、受信完了通知312を受信する(S350)。この場合、設定部56は、本設定用領域38に格納されているWS1を消去し、本設定用領域38にWS2を新たに格納する(S352)。これにより、多機能機10がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、多機能機10にWS2が新たに設定される。多機能機10及び通話デバイス70は、S340及びS342で構築されたWS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、FAXデータを無線通信可能である。
【0061】
(パターン2)
図7のパターン2に示されるように、多機能機10のみがOK通知を受信する場合には、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されるが(S360)、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されない。通話デバイス70の制御部80は、AP6からOK通知が受信されない場合(NG通知が受信される場合、又は、NG通知もOK通知も受信されない場合)に、仮設定用領域94に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を構築すべきことを決定する(S362)。ただし、この時点では、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が構築されない。多機能機10が、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築しているからである。
【0062】
パターン1の場合と同様に、多機能機10の第2の送信部60は、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、接続完了通知320を通話デバイス70に送信する(S364)。しかしながら、上述したように、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されていないために、通話デバイス70は、接続完了通知320を受信することができず、この結果、受信完了通知を多機能機10に送信しない。このようなケースを考慮して、設定部56は、S364で接続完了通知320が送信されてから所定時間が経過するまでに、通話デバイス70から応答が受信されることを監視する(S366)。パターン2では、上記の所定時間が経過しても応答が受信されないために、制御部50は、設定変更を行なうことができないことを示す画面を表示部14に表示させる(S368)。さらに、設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S370)。これにより、パターン2の場合には、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。従って、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S372)。
【0063】
(パターン3)
図7のパターン3に示されるように、通話デバイス70のみがOK通知を受信する場合には、通話デバイス70とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されるが(S380)、多機能機10とAP6との間でWS2に従った無線接続が構築されない。多機能機10の制御部50は、AP6からOK通知が受信されない場合(NG通知が受信される場合、又は、NG通知もOK通知も受信されない場合)に、設定変更を行なうことができないことを示す画面を表示部14に表示させる(S384)。さらに、設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S386)。ただし、この時点では、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が構築されない。通話デバイス70が、AP6との間でWS2に従った無線接続を構築しているからである。
【0064】
上述したように、パターン3の場合には、多機能機10は、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、接続完了通知を通話デバイス70に送信することができない。このようなケースを考慮して、通話デバイス70の制御部80は、AP6からOK通知が受信されてから所定時間が経過するまでに、多機能機10から接続完了通知が受信されることを監視する(S382)。パターン3では、上記の所定時間が経過しても接続完了通知が受信されないために、制御部80は、仮設定用領域94に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S388)。これにより、パターン3の場合には、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。従って、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される(S390)。
【0065】
(パターン4)
なお、図示省略しているが、多機能機10と通話デバイス70の両方がOK通知を受信しないパターンがあり得る。この場合、パターン3の場合と同様に、多機能機10の設定部56は、仮設定用領域42に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S386)。また、パターン2の場合と同様に、通話デバイス70の制御部80は、仮設定用領域94に格納されているWS2を消去し、WS1に従った無線接続を再構築すべきことを決定する(S362)。これにより、パターン4の場合には、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持し、通話デバイス70もWS1を維持する。従って、多機能機10と通話デバイス70との間でWS1に従った無線接続が再構築される。
【0066】
第3実施例の無線通信システム2について詳しく説明した。本実施例では、通話デバイス70は、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域92内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する際に、受信完了通知312を多機能機10に送信する(図6のS348)。多機能機10は、通話デバイス70から受信完了通知312が受信される場合に、WS1からWS2に設定変更を行なう(図6のS352)。一方において、多機能機10は、受信完了通知312が受信されない場合(パターン2〜パターン4の場合)に、WS1からWS2に設定変更を行なわずに、WS1を維持する。また、パターン2〜パターン4の場合には、通話デバイス70も、WS1を維持する。これにより、多機能機10及び通話デバイス70に異なる無線設定情報が設定されることを抑制することができる。従って、図6の受信完了通知312の受信の有無に関わらず、多機能機10が、FAXデータを無線通信するための無線設定情報(本設定用領域38内の無線設定情報)を、WS1からWS2に変更する構成と比べると、多機能機10及び通話デバイス70がFAXデータを無線通信することができない事象が発生するのを抑制することができる。
【0067】
また、本実施例では、多機能機10は、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、通話デバイス70から受信完了通知312を受信する。多機能機10が受信完了通知312を受信するということは、多機能機10及び通話デバイス70がWS2に従って無線通信可能であることを意味する。即ち、本実施例によると、多機能機10及び通話デバイス70がWS2に従って無線通信可能であることが確認される場合に、多機能機10は、WS1からWS2に設定変更を行なうことができる。なお、本実施例では、受信完了通知312が、「所定の信号」の一例である。また、接続完了通知310が、「特定の信号」の一例である。
【0068】
(第3実施例の変形例)
第3実施例では、多機能機10は、AP6からOK通知が受信される場合に、接続完了通知310を通話デバイス70に送信し、通話デバイス70は、接続完了通知310が受信される場合に、受信完了通知312を多機能機10に送信する。本変形例では、第3実施例の構成と逆の構成を採用する。即ち、通話デバイス70の制御部80は、AP6からOK通知が受信される場合に、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、接続完了通知を通話デバイス70に送信する。多機能機10の第2の送信部60は、接続完了通知が受信される場合に、WS2に従った無線接続を利用して、AP6を介して、受信完了通知を通話デバイス70に送信する。多機能機10の設定部56は、通話デバイス70から接続完了通知が受信される場合に、本設定用領域38に格納されているWS1を消去し、本設定用領域38にWS2を新たに格納する。これにより、多機能機10がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、多機能機10にWS2が新たに設定される。また、通話デバイス70の制御部80は、多機能機10から受信完了通知が受信される場合に、本設定用領域92に格納されているWS1を消去し、本設定用領域92にWS2を新たに格納する。これにより、通話デバイス70がFAXデータを無線通信するための無線設定情報として、通話デバイス70にWS2が新たに設定される。本変形例では、通話デバイス70から多機能機10に送信される接続完了通知が、「所定の信号」の一例である。
【0069】
上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施例は、アドホックの無線設定情報WS1からインフラストラクチャの無線設定情報WS2に設定変更が行なわれる例を開示している。ただし、上記の各実施例の技術は、インフラストラクチャの無線設定情報WS2からアドホックの無線設定情報WS1に設定変更が行なわれる構成にも適用することができる。また、インフラストラクチャの無線設定情報WS2からインフラストラクチャの無線設定情報WS3に設定変更が行なわれる構成にも適用することができる。同様に、上記の各実施例の技術は、アドホックの無線設定情報WS1からアドホックの無線設定情報WS4に設定変更を行なう場合にも適用することができる。なお、WS2からWS1に設定変更が行なわれる場合、及び、WS1からWS4に設定変更が行なわれる場合には、AP6との無線接続を構成することを試行する処理(例えば図2のS16、図3のS54等)は実行されない。即ち、通話デバイス70は、WS1が受信される場合に、受信完了通知を多機能機10に送信し、WS2からWS1に設定変更を行なってもよい。多機能機10は、受信完了通知が受信される場合に、WS2からWS1に設定変更を行なってもよい。また、通話デバイス70は、WS4が受信される場合に、受信完了通知を多機能機10に送信し、WS1からWS4に設定変更を行なってもよい。多機能機10は、通話デバイス70から受信完了通知が受信される場合に、WS1からWS4に設定変更を行なってもよい。本変形例では、通話デバイス70から多機能機10に送信される受信完了通知が、「所定の信号」の一例である。
【0070】
(2)上記の各実施例では、多機能機10と通話デバイス70との間で通信される対象のデータは、FAXデータである。即ち、一般的に言うと、FAXデータが、「特定のデータ」の一例である。しかしながら、「特定のデータ」は、FAXデータに限られず、音声データ(例えば留守番電話の音声データ)、PSTN8を介して通信されるFAXデータ以外の画像データ、その他の種類のデータ(例えばテキストデータ)であってもよい。
【0071】
(3)また、上記の各実施例では、図2のS10、図5のS210、及び、図6のS310では、多機能機10の操作部12を介して、WS2を入力するための設定変更操作が実行される。しかしながら、例えば、多機能機10が有線インターフェイス22を介して有線LANに接続されている場合には、有線LANに接続されている図示省略の特定のPCの操作部を介して、WS2を入力するための設定変更操作が実行されてもよい。この場合、上記の特定のPCは、有線LANを介して、WS2を多機能機10に送信してもよい。多機能機10は、上記の特定のPCからWS2が受信される場合に、WS1をWS2に変更するための指示が入力されたと判断してもよい。
【0072】
(4)また、第1実施例では、図4に示されるように、通話デバイス70は、接続完了通知122を送信した後に(S92の後に)、WS1からWS2に設定変更を行なう(S96)。この構成に代えて、通話デバイス70は、S96の処理を先に実行し、その後にS92の処理を実行してもよい。同様に、第2実施例において、通話デバイス70は、図5のS296の処理を先に実行し、その後にS292の処理を実行してもよい。同様に、第3実施例において、通話デバイス70は、図6のS354の処理を先に実行し、その後にS348の処理を実行してもよい。即ち、一般的に言うと、「所定の信号」は、第2の無線通信装置が第1の無線設定情報を第2の無線設定情報に変更する前に、第1の無線通信装置に送信されてもよいし、第2の無線通信装置が第1の無線設定情報を第2の無線設定情報に変更した後に、第1の無線通信装置に送信されてもよい。
【0073】
(5)また、第1実施例では、図3のS46で多機能機10から送信されるWS2を通話デバイス70が受信することを前提としているが(図3のS48,S50)、第2実施例のように、通話デバイス70は、WS2を受信する場合に、受信完了通知を多機能機10に送信してもよい。多機能機10は、通話デバイス70から受信完了通知が受信され、かつ、接続完了通知122が受信される場合(図4のS94)に、WS2を本設定用領域38に格納する処理(図4のS98の処理)を実行してもよい。多機能機10は、受信完了通知が受信されない場合、又は、接続完了通知が受信されない場合に、WS2を本設定用領域38に格納する処理(図4のS98の処理)を実行しなくてもよい。
【0074】
(6)また、上記の各実施例では、通話デバイス70が多機能機10の付属機である場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、通話デバイス70の代わりにPCを用いてもよい。具体的には、多機能機10とPCとがWS1に従って無線通信する場合に、ユーザは、多機能機10において、設定変更操作を実行してもよい。これにより、多機能機10とPCとが、上記の各実施例の各処理を実行し、設定変更を行なってもよい。この場合、例えば、PCが多機能機10に印刷の実行を指示するための印刷データが「特定のデータ」の一例である。
【0075】
(7)また、上記の各実施例では、通話デバイス70がPSTN8に接続される場合を例に説明したが、これに限らない。即ち、多機能機10がPSTN8に接続され、ユーザが多機能機10において、設定変更操作を実行してもよい。
【0076】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0077】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0078】
WS1:無線設定情報、WS2:無線設定情報、2:無線通信システム、10:多機能機、70:通話デバイス、122:接続完了通知、212:受信完了通知、310:接続完了通知、312:受信完了通知

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の無線通信装置と無線接続される第1の無線通信装置であって、
特定のデータを通信するための無線設定情報に従った無線接続を利用して、前記第2の無線通信装置と前記特定のデータを通信する通信部と、
前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第1の無線通信装置に現在設定されている第1の無線設定情報を、第2の無線設定情報に変更するための指示が入力される場合に、前記第1の無線設定情報に従った第1の無線接続を利用して、前記第2の無線設定情報を前記第2の無線通信装置に送信する第1の送信部と、
前記第2の無線通信装置が、前記第2の無線通信装置に現在設定されている前記第1の無線設定情報を前記第2の無線設定情報に変更する際に、前記第1の無線通信装置に送信する所定の信号が受信される場合に、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第2の無線設定情報を新たに設定し、
前記所定の信号が受信されない場合に、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第1の無線設定情報を維持する設定部と、
を備える第1の無線通信装置。
【請求項2】
前記第2の無線設定情報が、アクセスポイントを介する無線通信のための無線設定情報である場合に、前記第1の無線接続に代えて、前記アクセスポイントとの間で前記第2の無線設定情報に従った第2の無線接続を構築することを試行する試行部をさらに備え、
前記設定部は、前記アクセスポイントから前記試行が成功したことを示す成功情報が受信され、かつ、前記所定の信号が受信される場合に、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第2の無線設定情報を新たに設定する、請求項1に記載の第1の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1の送信部は、前記指示が入力されても、前記アクセスポイントから前記成功情報が受信されない場合に、前記第2の無線設定情報を前記第2の無線通信装置に送信しない、請求項2に記載の第1の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1の送信部は、前記アクセスポイントから前記成功情報が受信される場合に、前記試行によって構築された前記第2の無線接続に代えて、前記第1の無線接続を再構築し、再構築された前記第1の無線接続を利用して、前記第2の無線設定情報を前記第2の無線通信装置に送信する、請求項2又は3に記載の第1の無線通信装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記再構築された前記第1の無線接続を利用して、前記第2の無線通信装置から前記所定の信号を受信する、請求項4に記載の第1の無線通信装置。
【請求項6】
前記所定の信号は、前記第2の無線通信装置が、前記アクセスポイントとの間で前記第2の無線設定情報に従った無線接続を構築することを試行する場合に、前記第2の無線通信装置が、前記アクセスポイントから前記成功情報を受信する際に、前記第1の無線通信装置に送信する信号である、請求項2から5のいずれか一項に記載の第1の無線通信装置。
【請求項7】
前記所定の信号は、前記第2の無線通信装置が、前記第2の無線設定情報を受信する際に、前記第1の無線通信装置に送信する信号である、請求項2から5のいずれか一項に記載の第1の無線通信装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記試行によって構築された前記第2の無線接続を利用して、前記アクセスポイントを介して、前記第2の無線通信装置から前記所定の信号を受信する、請求項2に記載の第1の無線通信装置。
【請求項9】
前記アクセスポイントから前記成功情報が受信される場合に、前記試行によって構築された前記第2の無線接続を利用して、前記アクセスポイントを介して、特定の信号を前記第2の無線通信装置に送信する第2の送信部をさらに備え、
前記所定の信号は、前記第2の無線通信装置が、前記特定の信号を受信する際に、前記アクセスポイントを介して、前記第1の無線通信装置に送信する信号である、請求項8に記載の第1の無線通信装置。
【請求項10】
前記所定の信号は、前記第2の無線通信装置が、前記アクセスポイントとの間で前記第2の無線設定情報に従った無線接続を構築することを試行する場合に、前記第2の無線通信装置が、前記アクセスポイントから前記成功情報を受信する際に、前記アクセスポイントを介して、前記第1の無線通信装置に送信する信号である、請求項8に記載の第1の無線通信装置。
【請求項11】
前記第2の無線通信装置は、前記第1の無線通信装置の付属機であり、
前記第1の無線設定情報は、前記第1の無線通信装置と前記第2の無線通信装置とが、前記アクセスポイントを介することなく、直接的に無線通信するための無線設定情報である、請求項2から10のいずれか一項に記載の第1の無線通信装置。
【請求項12】
前記通信部が、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報に従った前記無線接続を利用して、前記第2の無線通信装置から前記特定のデータを受信する場合に、前記特定のデータを用いて、印刷実行部に印刷を実行させる印刷制御部をさらに備える請求項1から11のいずれか一項に記載の第1の無線通信装置。
【請求項13】
第2の無線通信装置と無線接続される第1の無線通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記第1の無線通信装置に搭載されるコンピュータに、以下の各処理、即ち、
特定のデータを通信するための無線設定情報に従った無線接続を利用して、前記第2の無線通信装置と前記特定のデータを通信する通信処理と、
前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第1の無線通信装置に現在設定されている第1の無線設定情報を、第2の無線設定情報に変更するための指示が入力される場合に、前記第1の無線設定情報に従った第1の無線接続を利用して、前記第2の無線設定情報を前記第2の無線通信装置に送信する第1の送信処理と、
前記第2の無線通信装置が、前記第2の無線通信装置に現在設定されている前記第1の無線設定情報を前記第2の無線設定情報に変更する際に、前記第1の無線通信装置に送信する所定の信号が受信される場合に、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第2の無線設定情報を新たに設定し、
前記所定の信号が受信されない場合に、前記特定のデータを通信するための前記無線設定情報として、前記第1の無線設定情報を維持する設定処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−9416(P2013−9416A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−194087(P2012−194087)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2010−73431(P2010−73431)の分割
【原出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】