説明

無線電力伝送システム

【課題】サーキュレータ等を用いずに高い電力伝送効率を実現し、かつ、受電機器から送電機器へ信号を伝送することを可能とする無線電力伝送システムを提供する。
【解決手段】送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムにおいて、送電機器は、E級増幅部と、送信共振回路部と、E級増幅部から送信共振回路部を見たときのインピーダンスに応じたE級増幅部の所定位置の電圧または電流の波形を検出する検出部と、波形に応じた信号を抽出する信号抽出部とを備えている。受電機器は、受信共振回路部と、整流回路部と、電力再生部と、整流回路部と電力再生部との間に接続されてインピーダンスを切り替えるインピーダンス可変部とを備えている。インピーダンスが切り替わると、検出部は上述の波形の変化を検出し、信号抽出部は検出部が検出した波形に応じた信号を抽出して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電機器と受電機器からなる無線電力伝送システムであって、送電機器から受電機器に電力を送電しつつ、受電機器から送電機器、そして送電機器から受電機器にデータ信号を送受信する無線電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や地上デジタル放送などの技術開発が進み、有線で接続することなく、無線電波を用いて、データ、音声、またはテレビ放送などを受信する無線受信機器が普及している。一方で、無線受信機器の多くは電力が有線で供給されており、内蔵している充電池などを充電することで使用されている。無線による通信技術が発展する中、電力もまたデータ信号などと同様に無線で伝送する取組みが行われている。
【0003】
例えば、電動シェーバーや電動歯ブラシなどの用途において、電磁誘導による無線電力伝送方式を採用した製品が商品化されており、ユーザの利便性を高めることに成功している。特許文献1においては、送電機器と受電機器の互いのコイルを電磁結合させ、送電機器から受電機器に無線で電力を送る一方、送電機器から受電機器、そして受電機器から送電機器へデータ伝送するシステムの構成が示されている。
【0004】
以下、図10を参照しながら、特許文献1の動作を説明する。
【0005】
図10は、従来の非接触型データ読み取り/書き込みシステムの構成を示す。このシステムでは読取/書込装置911(送電機器)と非接触ICカード992(受電機器)が電磁結合され、非接触でデータの読み取り/書き込みが行われる。読取/書込装置911の無線送信部131は、非接触ICカード992へ伝送する電力とデータ信号を生成する。周期信号発生部61は、送信共振回路部91と受信共振回路部92の共振周波数と略同じ周波数foを周期とする周期信号を出力する。変調部9は、非接触ICカード992へ送信したいデータ信号111を用いて、周期信号発生部61から出力された周期信号を搬送波としてデータ信号111で変調した波形を出力する。増幅部51は、変調部9の出力を必要な振幅に増幅する。整合回路部21でインピーダンス整合をとり、周期信号をデータ信号111で変調した電力とデータ信号の波形を出力する。この出力が、無線送信部131の出力となる。
【0006】
無線送信部131の出力は、サーキュレータ171へ入力される。サーキュレータ171は、整合回路部21からの入力は送信共振回路部91へ出力し、送信共振回路部91からの入力は無線受信部141へ出力し、無線受信部141からの入力は整合回路部21へ出力する。なお、無線受信部141から整合回路部21への入力は実際にはほとんど存在しない。したがって、無線送信部131の出力はサーキュレータ171によって送信共振回路部91へ入力される。
【0007】
送信共振回路部91と受信共振回路部92とは電磁誘導によって非接触に電磁結合されているため、無線送信部131の出力は、送信共振回路部91、受信共振回路部92を通して、ICチップ32へと伝送される。ICチップ32は、伝送されたデータ信号から自身を駆動するための電力を得て、データ信号を受信する。以上の流れで、読取/書込装置911から非接触ICカード992へ、電力およびデータが伝送される。
【0008】
次に、非接触ICカード992から読取/書込装置911へのデータ伝送の流れを説明する。ICチップ32は、送信したいデータ信号に応じて、受信共振回路部92の負荷抵抗(図示せず)の値を切り替える。負荷抵抗の値を切り替えると、読取/書込装置911においては、そのサーキュレータ171から送信共振回路部91を見たインピーダンスが変化する。その結果、読取/書込装置911内を伝送される信号のうち、サーキュレータ171から送信共振回路部91へ入力され、送信共振回路部91で反射されてサーキュレータ171へ返ってくる信号の波形が、非接触ICカード992の受信共振回路部92の負荷抵抗の値によって変化することになる。
【0009】
サーキュレータ171は、反射して返ってきた信号波形を無線受信部141側へ出力する。復調部101は、負荷抵抗の変化によって生じた信号波形の変化からデータ信号を復調し、非接触ICカード992から読取/書込装置911へのデータ信号として、受信信号121を出力する。
【0010】
このようにサーキュレータを用いることで、無線送信部131の出力が無線受信部141へ回り込まず、非接触ICカード992へと出力されるので、電力損失を低減できる。また、負荷抵抗の変化によって生じた送信共振回路部91の反射波が、無線送信部131へは入力されずに無線受信部141にだけ入力されるため、信号波形の変化が小さくなることを回避でき、復調部101でデータ信号を復調しやすくなっている。
【0011】
以上のような構成により、読取/書込装置911(送電機器)から非接触ICカード992(受電機器)へ電力を伝送し、加えて受電機器から送電機器へ、そして送電機器から受電機器へデータ伝送することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−206245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、送電機器にサーキュレータを配置すると、サーキュレータの挿入による挿入損が必ず発生する。
【0014】
この挿入損は、近年開発が活発化しつつある中〜大電力用途(AV機器や電気自動車)においては無視できない。その理由は、中〜大電力用途では、有線による電力伝送効率とできるだけ同じ効率に近づけるよう求められ、極力損失源となる要素を排除することが必要だからである。
【0015】
なお、特許文献1の技術の用途は、非接触ICカードへの電力及びデータの伝送である。そして伝送される電力はμW級と小さい。そのため、特許文献1の技術の用途においては上述の挿入損は問題とならない。
【0016】
また、図10のシステムでは、データの送受信が主目的であり、無線による電力伝送はデータの送信/受信を行うために必要とされているに過ぎなかった。一方、データの送信/受信を行うものの、無線で電力を伝送することの方が主目的である場合には、高い電力伝送効率が求められる。
【0017】
高い電力伝送効率を追求するためには、E級増幅回路が利用されることがある。E級増幅回路は、直流電源からの直流電圧を効率よく交流信号に変換する回路として知られている。E級増幅回路は、A級増幅回路やB級増幅回路などと異なり、入力信号を増幅するのではなく、入力となる周期信号をトリガーとして入力し、直流電圧を交流電圧に効率よく変換する。E級増幅回路は、単一周波数を生成し、特定の共振周波数の信号を用いて送電機器から受電機器へ電力を伝送するシステムには適している。
【0018】
その上で、データの送信/受信を行うための機能の実装も考慮する必要がある。たとえば盗電できないよう安全に無線で電力伝送を行うために、送電機器と受電機器との間で認証、調停などを行う必要がある。そのためには、最低でも受電機器から送電機器へデータ伝送するための機能や、送電機器から受電機器へデータ伝送することのできる双方向データ伝送の機能を持たせる必要がある。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、サーキュレータ等を用いずに高い電力伝送効率を実現し、かつ、受電機器から送電機器へデータ伝送し、送電機器から受電機器へデータ伝送することを可能とする、無線電力伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明による無線電力伝送システムは、送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、前記送電機器は、周期信号を発生する周期信号発生部と、前記周期信号発生部からの前記周期信号に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部とを備え、かつ、前記周期信号で前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、前記受電機器は、前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、前記受電機器から前記送電機器に伝送する信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部とを備えている。
【0021】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記信号を伝送してもよい。
【0022】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出してもよい。
【0023】
前記検出部は、抵抗素子を有していてもよく、前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出してもよい。
【0024】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成されていてもよい。
【0025】
本発明による機器は、送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送機器であって、前記送電機器は、周期信号を発生する周期信号発生部と、前記周期信号発生部からの前記周期信号に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部と、前記送電機器から前記受電機器へ送信する第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧を制御する電圧制御部とを備え、かつ、前記周期信号で前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、前記受電機器は、前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、前記インピーダンス可変部の出力から前記第1の送信信号を復調する復調部と、前記受電機器から前記送電機器に伝送する第2の送信信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部とを備えている。
【0026】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記第2の送信信号を伝送してもよい。
【0027】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出してもよい。
【0028】
前記検出部は、抵抗素子を有していてもよく、前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出してもよい。
【0029】
前記電圧制御部は、前記第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧を変化させることで、前記送信共振回路部から出力される信号が、前記送信共振回路部と前記受信共振回路部の共振周波数と略同じ周波数を持った交流信号を搬送波として、前記第1の送信信号で振幅変調した波形となってもよい。
【0030】
前記電圧制御部は、前記第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧をパルス幅変調することで、前記送信共振回路部から出力される信号が、前記送信共振回路部と前記受信共振回路部の共振周波数と略同じ周波数を持った交流信号を搬送波として、前記第1の送信信号でパルス幅変調した波形となってもよい。
【0031】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成されてもよい。
【0032】
本発明による他のシステムは、送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、前記送電機器は、周期信号を発生する周期信号発生部と、前記送電機器から前記受電機器へ送信する第1の送信信号に応じて、パルス幅変調信号を生成するパルス幅変調信号生成部と、前記周期信号を前記パルス幅変調信号で変調する変調部と、前記変調部の出力に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部とを備え、前記受電機器は、前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、前記インピーダンス可変部の出力の包絡線を検波する包絡線検波部と、前記包絡線検波部の出力から前記第1の送信信号を復調するパルス幅変調信号復調部と、前記受電機器から前記送電機器に伝送する第2の送信信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部とを備えている。
【0033】
前記送電機器は、前記変調部の出力として前記周期信号がある期間は、前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、前記変調部の出力がない期間は、出力を停止してもよい。
【0034】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記第2の送信信号を伝送してもよい。
【0035】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出してもよい。
【0036】
前記信号抽出部は、前記変調部の、前記周期信号をパルス幅変調信号で変調された出力をタイミング信号として使用し、前記変調部の出力に周期信号がある場合はタイミング信号として有効と判断し、前記変調部の出力に周期信号が無い場合はタイミング信号として無効と判断し、タイミング信号として有効と判断されたときに、前記検出部の出力から前記信号を抽出してもよい。
【0037】
前記検出部は、抵抗素子を有していてもよく、前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出してもよい。
【0038】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成されていてもよい。
【0039】
本発明による無線電力伝送システムは、送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、前記送電機器は、交流エネルギを生成するE級増幅部と、前記交流エネルギを空間へ送出する送信共振回路部と、前記E級増幅部の所定位置の電圧または電流の波形を検出する検出部であって、前記E級増幅部から前記送信共振回路部を見たときのインピーダンスに応じた波形を検出する検出部と、前記波形に応じた信号を抽出する信号抽出部とを備えており、前記受電機器は、前記送信共振回路部によって送出された前記交流エネルギの少なくとも一部を受け取る受信共振回路部と、前記受信共振回路部によって受け取られた前記交流エネルギの少なくとも一部を整流して出力する整流回路部と、前記整流回路部の出力に基づいて電力を出力する電力再生部と、前記整流回路部と前記電力再生部との間に接続され、インピーダンスを切り替えるインピーダンス可変部とを備え、前記インピーダンス可変部が前記インピーダンスを切り替えることにより、前記検出部は前記インピーダンスが整合しているときの波形と整合していないときの波形とを検出し、前記信号抽出部は、前記検出部が検出した波形に応じた信号を抽出して出力する。
【0040】
前記送電機器は、送信対象となる送信信号に応じて、前記E級増幅部の出力電圧を変調する電圧制御部をさらに備え、前記受電機器は、前記整流回路部の出力に所定の波形処理を行って、前記送信信号を復調する復調部とをさらに備えていてもよい。
【0041】
前記送電機器は、周期信号を発生する周期信号発生部と、送信対象となる送信をパルス幅変調するPWM信号生成部と、前記周期信号とパルス幅変調された前記送信とを掛け合わせる変調部とをさらに備え、前記受電機器は、前記整流回路部の出力に包絡線検波の波形処理を行う包絡線検波部と、前記波形処理が行われた前記整流回路部の出力にパルス幅復調を行い前記送信を出力するPWM信号復調部とを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0042】
本発明のある実施形態によれば、送電機器と受電機器の間で電力の無線伝送を行いながら、E級増幅回路のスイッチ部を流れる電流量をモニターする。これにより、E級増幅回路を用いて効率よく交流電流信号に変換しながら、受電機器から送電機器へ、そして送電機器から受電機器へデータを伝送することが可能となる。
【0043】
たとえばこのデータ伝送を利用すると、送電機器と受電機器の間で無線電力伝送するための機器認証を行うことができるようになり、本来使用できない受電機器に電力を送信せず、認証された機器にだけ無線で電力伝送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施形態1における無線電力伝送システム100のブロック構成図である。
【図2】(a)〜(c)は、E級増幅部511に関連する信号の波形を示す図である。
【図3】(a)は、インピーダンスが最適のときのE級増幅部511のA点の波形を示す図であり、(b)〜(e)はインピーダンスが最適ではないときのA点の波形の変化を示す図であり、(f)はスイッチ部31のオン/オフ動作タイミングを示す図である。
【図4】(a)は、インピーダンスが最適のときのA点における波形と、送電機器1の検出部41の電流検出波形とを示す図であり、(b)は(a)の状態からインピーダンスが変化したときのA点における波形と、送電機器1の検出部41の電流検出波形とを示す図であり、(c)はスイッチ部31のオン/オフ動作タイミングを示す図である。
【図5】実施形態2における無線電力伝送システム110のブロック構成図である。
【図6】(a)〜(e)は、無線電力伝送システム110内で生成または検出される信号波形を示す図である。
【図7】実施形態3における無線電力伝送システム120のブロック構成図である。
【図8】(a)〜(g)は、無線電力伝送システム120内で生成または検出される信号波形を示す図である。
【図9】実施形態1の変形例による無線電力伝送システム130のブロック構成図である。
【図10】従来の非接触型データ読み取り/書き込みシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による無線電力伝送システムの実施形態を説明する。
【0046】
(実施形態1)
図1は、本実施形態における無線電力伝送システム100のブロック構成である。無線電力伝送システム100は、送電機器1および受電機器2を有している。送電機器1は、周期信号発生部61と、E級増幅部511と、送信共振回路部91と、検出部41と、信号抽出部221とを有している。
【0047】
一方、受電機器2は、受信共振回路部92、整流回路部52、インピーダンス可変部42、電力再生部82、制御部62とを有している。
【0048】
送電機器1の送信共振回路部91と、受電機器2の受信共振回路部92とは、それぞれ送信コイルと受信コイルと、各コイルに直列もしくは並列またはその組合せで共振回路を形成する。送信共振回路91と受信共振回路92とが共振周波数foで電磁結合されて、非接触で共振する場合、送電機器1の周期信号発生部61は周波数foの周期信号を生成する。この周期信号は電力の無線伝送に用いられる。
【0049】
E級増幅部511はたとえばE級アンプであり、所定周波数の交流エネルギを出力し、スイッチ部31、電源191、第1のインダクタL1、第2のインダクタL2、第1のキャパシタC1および第2のキャパシタC2とを有している。E級増幅部511ではE級増幅動作を行うように各回路素子の定数が決定されている。
【0050】
以下、図2の波形を用いて、E級増幅部511の動作を説明する。図2は、E級増幅部511に関連する信号の波形を示す。
【0051】
周期信号発生部61からの信号によって、スイッチ部31はON/OFFを切り替える(図2(b))。いまスイッチ部31の状態がONからOFFに切り替わったとする。図1に示すA点の電圧波形は、図2(a)のように上昇する。これは、スイッチ部31が切り替わっても、電流量が変化しないようにL1が作用するためである。スイッチ部31がOFFになってもL1から電流が流れてくるため、C1に電荷が溜まることでA点の電圧が上昇する。しばらくすると、A点の電位上昇は収まり、つぎは電位が降下する。これは、C1に溜まった電荷が、L2、C2へと流れていくためである。
【0052】
ここで、E級増幅部511が最適な効率で動作するためには、スイッチ部31をOFFからONに切り替えるときに、下記の2つの条件を満たす必要がある。すなわち、条件1は、A点の電圧が略0Vであること(スイッチ部31にバイポーラトランジスタを用いた場合にはコレクタ−エミッタ電圧が生じるため0Vとはならないように、全ての回路において0Vが条件ではなく、実現する回路において極力低電圧の状態であること)である。また条件2は、電圧波形の傾きが略0であることである。
【0053】
図2上のA点の波形は、上記の2つの条件を満たしている。これは、E級増幅部511から送信共振回路部91をみた負荷に応じて、E級増幅部511のL1、C1、L2、C2の値を適切に設定することで可能となる。このとき、E級増幅部511は図2(c)の波形のような、ほぼ正弦波の波形を有する電圧を出力する。なお、厳密には正弦波でなくてもよい。
【0054】
スイッチ部31のB点は、検出部41を介してグランドまたはアース(本明細書では「GND」とも記述する)に接続されている。
【0055】
検出部41は、スイッチ部31からGNDへ流れる電流もしくはB点の電圧を検出し、その検出結果を信号抽出部221へと出力する。たとえば検出部41は、電流を電圧に変換する抵抗素子を配置することにより実現される。抵抗素子を利用してスイッチ部31からGNDへ流れる電流を検出できる。検出部41は、後述するように受電機器2側でのインピーダンス可変部42でのインピーダンス値の変化に応じて変化する、スイッチ部31のB点を流れる電流の波形を検出する。
【0056】
信号抽出部221は、検出部41で検出された波形の変化(電流波形311)から、データ信号の有無を判定し、データ信号が存在する場合にはそのデータ信号321を抽出する。このデータ信号が表すデータは、受電機器2から送電機器1に送信されたデータである。データの種類は任意である。データは、たとえば受電機器2から送電機器1に送信されたコマンドであってもよい。
【0057】
なお、信号抽出部221がデータ信号の有無を判定することは必須ではない。信号抽出部221は、受け取った電流波形311から直接に信号を抽出してもよい。この結果得られた所定の振幅を有する信号が、データ信号321として取り扱われる。
【0058】
E級増幅部511の出力は、送信共振回路部91から、電磁結合された受電機器2の受信共振回路部92へと伝送される。受信共振回路部92で受信された交流信号は、整流回路部52で整流され、インピーダンス可変部42を介して電力再生部82へと入力される。電力再生部82は、入力された信号を受電機器2の回路へ供給される電源電力として出力する。
【0059】
以上、送電機器1から受電機器2へと電力が無線伝送される動作を説明した。
【0060】
次に、受電機器2から送電機器1へとデータを伝送する動作を説明する。
【0061】
受電機器2が送電機器1へデータ伝送するとき、整流回路部52と電力再生部82の間のインピーダンス可変部42は、インピーダンス値を変化させる。これにより、送電機器1において、E級増幅部511から送信共振回路部91を見たインピーダンス値が変化する。
【0062】
このとき、E級増幅部511のA点の波形が、前述の最適なE級増幅動作から外れることになり、図3(a)〜(e)に示すように波形が変化する。図3(a)は、インピーダンスが最適のときのE級増幅部511のA点の波形を示し、図3(b)〜(e)はインピーダンスが最適ではないときのA点の波形の変化を示す。また図3(f)は、スイッチ部31のオン/オフ動作タイミングを示す。図3(b)〜(e)の波形は、前述したE級増幅部511が最適な効率で動作するための2つの条件が満たされていないことを示す。
【0063】
A点の波形変化は、下記に示すように主に4つの波形形状に分けられる。
(1)スイッチがONからOFFに変化した後、電圧が上昇して、単調減少している状態でスイッチがOFFからONに切り替わり、しばらく放電して略0Vになる(図3(b))。
(2)スイッチがONからOFFに変化した後、電圧が上昇して、減少して、再び上昇している状態でスイッチがOFFからONに切り替わり、しばらく放電して略0Vになる(図3(c))。
(3)スイッチがONからOFFに変化した後、電圧が上昇して、減少して略0Vまで落ちて略0Vが続いたあと、再び上昇している状態でスイッチがOFFからONに切り替わり、しばらく放電して略0Vになる(図3(d))。
(4)スイッチがONからOFFに変化した後、電圧が上昇して、減少して略0Vまで落ちて、略0Vの状態のままスイッチがOFFからONに切り替わり、略0Vの状態が継続する(図3(e))。
【0064】
本願発明者らは、受電機器2のインピーダンス可変部42のインピーダンス値を意図的に変化させてインピーダンスをあえて最適でない状態に遷移させ、それによって送電機器1において生じるA点の電流波形の変化を検出することで、受電機器2から送電機器1に送信されたデータ信号を抽出することが可能であることを見出した。
【0065】
より具体的に説明する。図4(a)は、インピーダンスが最適のときのA点における波形と、送電機器1の検出部41の電流検出波形とを示す。インピーダンスが最適のときは、電流検出波形に変化はない。
【0066】
この状態から、図3(b)〜(d)までの波形変化が生じるように、受電機器2のインピーダンス可変部42がインピーダンス値を変化させる。そのとき、送電機器1の検出部41を流れる電流を検出すると、その電流には、たとえば図4(b)に示すような立ち上がり波形が含まれている。この電流は、図4(c)のようにスイッチ部31がOFFからONに切り替わった直後から放電が終わるまでの間において、E級増幅部511のスイッチ部31から放電される電流である。信号抽出部221は、その変化に基づいて、たとえばスイッチ部31がオフからオンに変化したときに立ち上がり波形が存在する場合には「1」、存在しない場合には「0」としてデータ信号を生成する。これにより、受電機器2から送電機器1へ送られるデータを検出することが可能となる。
【0067】
なお、識別タイミングには送電機器1自身のクロックを用いることが可能である。送電機器1自身のクロックは通常、インピーダンス値の変化に起因するピークの立ち上がり開始から立ち下がりまでの時区間よりも充分短い。したがって、わずかの時区間で現れるピークを検出することは充分可能である。
【0068】
なお、上述の説明では、1つの立ち上がり波形に「1」を割り当てた。しかしながらこの処理は一例である。他の例として、スイッチ部31がオフからオンに切り替わるタイミングの電流検出波形を、切り替え複数回分監視し、立ち上がり波形が検出された回数、および、検出されなかった回数の比率に応じて「1」または「0」と判定してもよい。図1には、信号抽出部221が、電流波形の立ち上がりが4回含まれている電流検出波形311に基づいて、「1」に相当する受信データ信号321を生成している様子を示している。
【0069】
また、スイッチ部31から放電される電流波形の変化は、スイッチ部31がOFFからONに切り替わった瞬間から放電が完了するまで生じる。よって、スイッチ部31を切り替える周期信号発生部61の出力信号をタイミング信号として用いれば、信号抽出部221でデータ判定するためのタイミング信号を別途設けなくとも、データ判定が可能となる。そのため、タイミング信号を生成するためのクロックデータリカバリー回路などを設ける必要がないので、回路の簡素化を図り、コスト増加を抑制できる。
【0070】
以上より、送電機器1から受電機器2へ無線電力伝送する無線電力伝送システム100では、送電機器1にE級増幅部511を使用して受電機器2へ電力を伝送することが可能である。さらに、受電機器2のインピーダンス値を伝送したデータに応じて変化させ、E級増幅部511のスイッチ部31から放電される際の電流波形または電圧波形を検出することで、受電機器2から送電機器1へデータを伝送することが可能となる。
【0071】
このデータの利用方法として、たとえば受電機器が受電を許可された機器か否かの判定または認証に利用することができる。正規の受電機器がたとえば定期的に「1」のデータを送電機器に伝送することにより、送電機器は、その受電機器が正規の受電機器であると判定できる。すると、送電機器は自らの送信共振回路と受電機器の受信共振回路とを共振周波数で電磁結合して、非接触で共振することにより、電力を伝送することができる。これにより、非正規の受電機器による盗電を防ぐことができる。伝送されるデータを、送電機器と受電機器とのペアリングのための情報として利用してもよい。
【0072】
なお、本実施形態において、スイッチ部31は電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタのような半導体を用いたスイッチング素子であったり、スイッチングの周波数が低ければ機械的なスイッチング素子であってもよく、2点間を接続/切断することのできるスイッチング素子であってもよい。
【0073】
(実施形態2)
図5は、本実施形態における無線電力伝送システム110のブロック構成である。図5において、実施形態1の無線電力伝送システムと同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0074】
実施形態1では、受電機器2から送電機器1への片方向のデータ伝送を説明した。本実施形態では、送電機器1から受電機器2への無線での電力伝送だけでなく、E級増幅回路を用いて、送電機器1と受電機器2とで双方向のデータ伝送を行う無線電力伝送システム110を説明する。
【0075】
以下、図5および図6を参照しながら、無線電力伝送システム110の構成および動作を説明する。図6(a)〜(e)は、無線電力伝送システム110内で生成または検出される信号波形を示す。
【0076】
図5において、第1の送信データ信号421(図6(a))を電圧制御部251へ入力する。第1の送信データ信号421(図6(a))は、送電機器1が受電機器2へ送りたいデータ信号と位置づけられる。
【0077】
電圧制御部251は、入力された所与の第1の送信データ信号421に応じて、電源191の出力電圧を図6(a)のように制御する。言い換えると、電圧制御部251は、電源191の出力電圧を、第1の送信データ信号421(図6(a))の波形変化と同じ波形変化を有するよう制御する。
【0078】
このとき、電源191の出力電圧が変化すると、E級増幅部511の出力波形の振幅が、電源191の出力電圧に応じて変化する(図6(b))。これにより、E級増幅部511の出力に、振幅変調をかけることができる。電源191の出力電圧が変化すると、実施形態1で述べた、E級増幅部511のA点の波形は振幅方向に変化する。しかし、A点の波形は振幅が変化するだけであり、電源191の出力電圧が変化する前のA点の波形が例えば図4(b)に示す波形であれば、変化した後も図4(b)に示す波形となる。スイッチ部31がOFFからONに変わるタイミングで、図4(b)の電流検出波形を検出することは可能である。よって、実施形態1で説明した、受電機器2から送電機器1へのデータ伝送を、本実施形態においても同様に行うことは可能である。
【0079】
E級増幅部511の出力信号に図6(b)のような振幅変調がかかると、受電機器2の整流回路部52の出力にも、振幅変調された波形が得られる(図6(c))。整流回路部52の出力は、インピーダンス可変部42を介してデータ復調部292と電力再生部82へ入力される。電力再生部82は、受電機器2の回路へ供給される電力を出力する(図8(e))。一方、データ復調部292は、整流回路部52の出力信号に包絡線検波などの波形処理を行い、第1の受信データ信号422を出力する。これにより、送電機器1から送信されたデータを復調(または再生)することができる(図6(d))。
【0080】
以上説明した通り、本実施形態に係る無線電力伝送システム110では、送電機器1にE級増幅部511を使用して受電機器2へ無線で電力を伝送するとともに、送電機器1から受電機器2へデータを伝送することが可能である。送電機器1から受電機器2へのデータは、E級増幅部511の電源191の出力電圧を制御して、送電機器1から受電機器2へと伝送するデータ信号でE級増幅部511の出力を振幅変調することにより伝送される。一方、受電機器2から送電機器1へのデータは、実施形態1と同様に、受電機器2のインピーダンス値を伝送したデータに応じて変化させ、それに対応する電流波形変化を送電機器1において検出することによって伝送される。これにより、送電機器1と受電機器2の間でデータの双方向伝送が可能となる。
【0081】
なお、本実施形態では、電圧制御部251が電源191の出力電圧を制御してE級増幅部511の出力を振幅変調していたが、電圧制御部251が電源191の出力電圧をパルス幅変調することで、E級増幅部511の出力をパルス幅変調する構成であってもよい。E級増幅部511の電源191を制御してデータ変調をかける方式であればよい。
【0082】
なお、本実施形態では、図6で整流回路部52を全波整流の出力として図示しているが、半波整流であってもよく、データ復調と電源再生が可能となる整流方法であればよい。
【0083】
(実施形態3)
図7は、本実施形態における無線電力伝送システム120のブロック構成である。図7において、実施形態1および2の無線電力伝送システムと同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0084】
実施形態2では、送電機器1から受電機器2へ伝送したいデータを、E級増幅部511の電源191を制御することでデータ変調する構成としていた。本実施形態では、E級増幅部511の入力波形である周期信号をパルス幅変調することでデータを変調する。
【0085】
以下、図7および図8を参照しながら、無線電力伝送システム110の構成および動作を説明する。図8(a)〜(e)は、無線電力伝送システム120内で生成または検出される信号波形を示す。
【0086】
PWM信号生成部291は、第1の送信データ信号421(図8(a))を、パルス幅変調し、図8(b)に示す信号を出力する。変調部111は、この信号と、周期信号発生部61の出力信号とを掛け合わせて、E級増幅部511のスイッチ部31へ入力する。
【0087】
E級増幅部511の出力は、スイッチ部31への入力が周期信号である期間は周期信号となり、スイッチ部31の入力が無い期間は無信号となる(図8(c))。E級増幅部511の出力は、送信共振回路部91から受信共振回路部92へ伝送されて、整流回路部52で整流される(図8(d))。
【0088】
整流回路部52の出力は、インピーダンス可変部42を介して包絡線検波部452と電力再生部82へ入力される。電力再生部82は、受電機器2の回路へ供給される電力を出力する(図8(g))。一方、包絡線検波部452は、整流回路部52の出力信号を包絡線検波する(図8(e))。包絡線検波部452の出力信号は、送電機器1のPWM信号生成部291が出力したパルス幅変調信号と同じになる。PWM信号復調部332は、得られたパルス幅変調信号にPWM信号生成部291の処理と逆の処理(パルス幅復調)を行って、第1の受信データ信号422を出力する(図8(f))。
【0089】
受電機器2から送電機器1へデータ伝送する方法は、実施形態1とほぼ同様である。ただし、E級増幅部511をパルス幅変調された周期信号で変調している。そのため、周期信号がある期間は、図4(b)に示すような電流検出波形を検出することで受電機器2から送電機器1へのデータを検出することが可能となる。この場合、パルス幅変調されている関係上、周期信号がない期間があるため、スイッチ部31を流れる電流の変化を検出することができない。その期間についてはスイッチ部31を流れる電流は略0だからである。
【0090】
そのため、パルス幅変調された信号を伝送する本実施形態では、パルス幅変調された中の周期信号がある期間で、受電機器2から送電機器1へデータ伝送することになる。一例として、パルス幅変調する際に、1つのタイムスロット内で必ず周期信号がある(即ちパルス幅が0とはならない)ようにパルス幅変調する。そして、1つのタイムスロットで最低でも1ビットのデータを受電機器2から送電機器1へ伝送できるようにすることで、送電機器1から受電機器2へのデータレートと同じデータレートを維持できる。
【0091】
実施形態1では、周期信号発生部61の出力信号をタイミング信号として用いる構成を述べたが、上述のとおり周期信号がない期間はデータ判定をしても検出できない。そのため、変調部111の出力信号をタイミング信号として使用することで、周期信号のある期間は周期信号があるためその信号をタイミング信号としてデータを判定する。周期信号の無い期間は信号がないのでデータを判定しない。データを検出することができない期間のデータ判定を無効とすることができるため、データ判定の精度を高めることが可能となる。
【0092】
以上説明した通り、本実施形態に係る無線電力伝送システム120によっても、送電機器1にE級増幅部511を使用して受電機器2へ無線で電力を伝送するとともに、送電機器1から受電機器2へデータを伝送することが可能である。送電機器1から受電機器2へのデータは、E級増幅部511の入力信号である周期信号をパルス幅変調して、送電機器1から受電機器2へと伝送するデータ信号でE級増幅部511の出力をパルス幅変調することにより伝送される。一方、受電機器2から送電機器1へのデータは、実施形態1、2と同様に、受電機器2のインピーダンス値を伝送したデータに応じて変化させ、それに対応する電流波形変化を送電機器1において検出することによって伝送される。これにより、送電機器1と受電機器2の間でデータの双方向伝送が可能となる。
【0093】
なお、本実施形態では、図8で整流回路部52を全波整流の出力として図示しているが、半波整流であってもよく、データ復調と電源再生が可能となる整流方法であればよい。
【0094】
実施形態2および3においては、双方向のデータ伝送が可能である。たとえば、送信機器が応答を要求したタイミングで所定期間内に受電機器から応答があれば、送信機器はその受電機器を認証し、その後も受電させてもよい。応答がなければ、または、予め定められた応答ではなければ、送信機器はその受電機器を認証せず、電力の送信を停止してもよい。または、相互に伝送されるデータを、送電機器と受電機器とのペアリングのための情報として利用してもよい。
【0095】
上述の実施形態1〜3では、信号抽出部221は、検出部41で検出された波形の変化(電流波形311)からデータ信号の有無を判定し、データ信号が存在する場合にはそのデータ信号321を抽出すると説明した。しかしながら、信号抽出部221がデータ信号の有無を判定する動作は必須ではない。信号抽出部221は、検出部41が検出した信号波形から常に何らかの信号を抽出して出力してもよい。たとえば信号抽出部221は、検出部41の出力信号を継続的に受け取りながら、実施形態1においてデータ信号が存在する場合に行っていた処理をその出力信号に施す。その結果、検出部41から出力される信号波形にデータ信号が含まれている場合には、信号抽出部221は受信データ信号321を抽出する。一方、検出部41から出力される信号波形にデータ信号が含まれていない場合には、信号抽出部221は、波形に立ち上がりおよび立ち下がりが含まれない一定の信号を抽出する。信号抽出部221から出力される信号に受電機器2から送信されたデータが含まれているか否かの判断は、たとえば後段の処理回路(図示せず)が行えばよい。
【0096】
上述の実施形態、たとえば図1に示す実施形態1の例では、検出部41は、スイッチ部31からGNDへ流れる電流もしくはB点の電圧を検出する、と説明した。しかしながら、上述の検出方法によって電流もしくは電圧を検出するためには電流を流す必要がある。そのため、電力の損失が発生していた。
【0097】
そのような電力損失を低減するために、検出部41を設ける位置を変更すればよい。たとえば図9は、実施形態1の変形例にかかる無線電力伝送システム130のブロック構成を示している。無線電力伝送システム130が、実施形態1の無線電力伝送システム100と相違する点は、検出部241がA点の電圧を検出することである。この相違点に起因して、図9にはB点は示されていない。
【0098】
以下、上述の相違点に関連する構成を説明する。その他の構成およびシステムの動作の詳細は実施形態1と同じであるから、その説明は省略する。
【0099】
検出部241は、A点の電圧を検出する。このとき、A点から検出部241に電流が実質的に流れないようにするため、検出部241のインピーダンスを十分高く設定する必要がある。なお、A点では図3に示す電圧波形が検出されることになる。この電圧は比較的大きいため、検出部241および信号抽出部221には、想定される電圧に耐え得る程度の性能が必要である。すなわち、比較的耐圧を高く設定しなければならない。
【0100】
上記構成によれば、受電機器2から送電機器1へとデータを伝送する動作に関連する電力損失を低減することができる。
【0101】
なお、上述の図9の構成は一例である。実施形態2および3の各無線電力伝送システムの検出部に関しても全く同様に適用できる。すなわち、図5に記載の実施形態2にかかる無線電力伝送システム110、および、図7に記載の実施形態3にかかる無線電力伝送システム120において、図9に示す位置に、上述した特性を有する検出器241およびそれに接続される信号抽出部221を配置すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明にかかる無線電力伝送システムは、無線で電力を伝送する送電機器および受電機器の間で、データの一方向または双方向の伝送が可能である。このデータを利用して、たとえば無線で伝送された電力の受電を許可するかどうかの認証に利用することができる。本発明は、送電機器および受電機器を有する無線電力伝送システムとして実現される数多くの電気製品に対して有用である。
【符号の説明】
【0103】
1 送電機器
2 受電機器
21 整合回路部
31 スイッチ部
32 ICチップ
41 検出部
42 インピーダンス可変部
51 増幅部
52 整流回路部
61 周期信号発生部
62 制御部
82 電力再生部
9 変調部
91 送信共振回路部
92 受信共振回路部
101 復調部
111 変調部
131 無線送信部
141 無線受信部
171 サーキュレータ
191 電源
221 信号抽出部
251 電圧制御部
291 PWM信号生成部
292 データ復調部
332 PWM信号復調部
452 包絡線検波部
911 読取/書込装置
992 非接触ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、
前記送電機器は、
周期信号を発生する周期信号発生部と、
前記周期信号発生部からの前記周期信号に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、
直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、
前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、
前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、
前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、
前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、
前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部とを備え、かつ、前記周期信号で前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、
前記受電機器は、
前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、
前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、
前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、
前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、
前記受電機器から前記送電機器に伝送する信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部と
を備えた、無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記信号を伝送する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出する、請求項1または請求項2に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記検出部は、抵抗素子からなり、
前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、
前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出する、請求項1から3のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成される、請求項1から4のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送機器であって、
前記送電機器は、
周期信号を発生する周期信号発生部と、
前記周期信号発生部からの前記周期信号に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、
直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、
前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、
前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、
前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、
前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、
前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部と、
前記送電機器から前記受電機器へ送信する第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧を制御する電圧制御部と
を備え、かつ、前記周期信号で前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、
前記受電機器は、
前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、
前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、
前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、
前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、
前記インピーダンス可変部の出力から前記第1の送信信号を復調する復調部と、
前記受電機器から前記送電機器に伝送する第2の送信信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部と
を備えた無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記第2の送信信号を伝送する、請求項6に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出する、請求項6または請求項7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記検出部は、抵抗素子からなり、
前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、
前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出する、請求項6から8のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記電圧制御部は、前記第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧を変化させることで、前記送信共振回路部から出力される信号が、前記送信共振回路部と前記受信共振回路部の共振周波数と略同じ周波数を持った交流信号を搬送波として、前記第1の送信信号で振幅変調した波形となる、請求項6から9のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項11】
前記電圧制御部は、前記第1の送信信号に応じて、前記直流電源の出力電圧をパルス幅変調することで、前記送信共振回路部から出力される信号が、前記送信共振回路部と前記受信共振回路部の共振周波数と略同じ周波数を持った交流信号を搬送波として、前記第1の送信信号でパルス幅変調した波形となる、請求項6から9のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項12】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成される、請求項6から11のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項13】
送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、
前記送電機器は、
周期信号を発生する周期信号発生部と、
前記送電機器から前記受電機器へ送信する第1の送信信号に応じて、パルス幅変調信号を生成するパルス幅変調信号生成部と、
前記周期信号を前記パルス幅変調信号で変調する変調部と、
前記変調部の出力に応じてスイッチング動作するスイッチ部と、
直流電源と前記スイッチ部の一端を接続する第1のインダクタと、
前記スイッチ部の一端とグランドを接続する第1のキャパシタと、
前記スイッチ部の一端に接続された第2のインダクタと第2のキャパシタで構成されたLC共振回路部と、
前記LC共振回路部に接続され、前記周期信号の周期と略同じ共振周波数を有する送信共振回路部と、
前記スイッチ部の一端の電圧、または、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する検出部と、
前記検出部の出力から信号を抽出する信号抽出部と、
を備え、
前記受電機器は、
前記送信共振回路部と電磁結合し、前記送信共振回路部と共振する受信共振回路部と、
前記受信共振回路部で受信した信号を整流する整流回路部と、
前記整流回路部と電力再生部を接続するインピーダンス可変部と、
前記インピーダンス可変部の出力から前記受電機器の電力を生成する電力再生部と、
前記インピーダンス可変部の出力の包絡線を検波する包絡線検波部と、
前記包絡線検波部の出力から前記第1の送信信号を復調するパルス幅変調信号復調部と、
前記受電機器から前記送電機器に伝送する第2の送信信号に応じて前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替える制御部と、
を備えた無線電力伝送システム。
【請求項14】
前記送電機器は、前記変調部の出力として前記周期信号がある期間は、前記スイッチ部をスイッチング動作することで、前記直流電源から供給される電力を、前記周期信号と略同じ周波数を有する交流信号に変換するE級増幅動作を行い、前記変調部の出力がない期間は、出力を停止する、請求項13に記載の無線電力伝送システム。
【請求項15】
前記制御部が、前記インピーダンス可変部のインピーダンスを切り替えることで生じる、前記スイッチ部の他端からグランドに流れる電流若しくは前記スイッチ部の他端の電圧の変化を、前記検出部で検出することで、前記受電機器から前記送電機器に前記第2の送信信号を伝送する、請求項13または請求項14に記載の無線電力伝送システム。
【請求項16】
前記信号抽出部は、前記周期信号発生部の出力をタイミング信号として使用し、前記検出部の出力から前記信号を抽出する、請求項13から15のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項17】
前記信号抽出部は、前記変調部の、前記周期信号をパルス幅変調信号で変調された出力をタイミング信号として使用し、前記変調部の出力に周期信号がある場合はタイミング信号として有効と判断し、前記変調部の出力に周期信号が無い場合はタイミング信号として無効と判断し、タイミング信号として有効と判断されたときに、前記検出部の出力から前記信号を抽出する、請求項13から15のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項18】
前記検出部は、抵抗素子からなり、
前記検出部が、前記スイッチ部の他端の電流もしくは電圧を検出する場合において、前記検出部は、前記スイッチ部からグランドに流れる電流によって生じる電圧を前記信号抽出部に入力し、
前記信号抽出部は、入力された電圧から前記信号を抽出する、請求項13から17のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項19】
前記スイッチ部は、電界効果型トランジスタおよびバイポーラトランジスタの一方によって構成される、請求項13から18のいずれかに記載の無線電力伝送システム。
【請求項20】
送電機器から受電機器へ電力を無線で伝送する無線電力伝送システムであって、
前記送電機器は、
交流エネルギを生成するE級増幅部と、
前記交流エネルギを空間へ送出する送信共振回路部と、
前記E級増幅部の所定位置の電圧または電流の波形を検出する検出部であって、前記E級増幅部から前記送信共振回路部を見たときのインピーダンスに応じた波形を検出する検出部と、
前記波形に応じた信号を抽出する信号抽出部とを備えており、
前記受電機器は、
前記送信共振回路部によって送出された前記交流エネルギの少なくとも一部を受け取る受信共振回路部と、
前記受信共振回路部によって受け取られた前記交流エネルギの少なくとも一部を整流して出力する整流回路部と、
前記整流回路部の出力に基づいて電力を出力する電力再生部と、
前記整流回路部と前記電力再生部との間に接続され、インピーダンスを切り替えるインピーダンス可変部とを備え、
前記インピーダンス可変部が前記インピーダンスを切り替えることにより、前記検出部は前記インピーダンスが整合しているときの波形と整合していないときの波形とを検出し、前記信号抽出部は、前記検出部が検出した波形に応じた信号を抽出して出力する、無線電力伝送システム。
【請求項21】
前記送電機器は、送信対象となる送信信号に応じて、前記E級増幅部の出力電圧を変調する電圧制御部をさらに備え、
前記受電機器は、前記整流回路部の出力に所定の波形処理を行って、前記送信信号を復調する復調部とをさらに備えた、請求項20に記載の無線電力伝送システム。
【請求項22】
前記送電機器は、周期信号を発生する周期信号発生部と、送信対象となる送信をパルス幅変調するPWM信号生成部と、前記周期信号とパルス幅変調された前記送信とを掛け合わせる変調部とをさらに備え、
前記受電機器は、前記整流回路部の出力に包絡線検波の波形処理を行う包絡線検波部と、前記波形処理が行われた前記整流回路部の出力にパルス幅復調を行い前記送信を出力するPWM信号復調部と
を備えた、請求項20に記載の無線電力伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−146289(P2012−146289A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263408(P2011−263408)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】